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【発明の名称】 吸水性不織布及び貼付材
【発明者】 【氏名】前田 敦則
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡績株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊度が0.5〜2.7dtexである接着性繊維を5%〜60%と、吸水率200%〜30000%の吸水性繊維を40%〜95%含むことを特徴とする短繊維不織布
【請求項2】
目付が5〜100g/m2であることを特徴とする請求項1記載の短繊維不織布
【請求項3】
熱ローラーで表面を加熱処理することを特徴とする請求項1〜3記載の短繊維不織布
【請求項4】
人体に接触する部材に用いることを特徴とする請求項1〜4記載の短繊維不織布
【請求項5】
請求項1〜4記載の短繊維不織布を用いることを特徴とする貼付材
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性に優れた不織布及び貼付材に関する。更に詳しくは、水膨潤時に、人体に対する密着性に優れ、かつ人体に与える物理的刺激が少なく、人体に接する用途に用いて好適な吸水性不織布及び貼付材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸水性繊維は、止水材、建材等の他、衛材、貼付材等、多くの分野に展開されている。このような用途の中で、衛材、貼付材等の人体に用いる用途においては、特に吸水性繊維の特性を利用して、汗等による蒸れを防止するため用いる(例えば特許文献1参照)、あるいは吸血材として用いることが知られている(例えば特許文献2参照)。これらの衛材、貼付材は、人体から流出する体液を吸収するために吸水性繊維を利用しており、肌へ水分、薬効成分を供給するものではないため、粘着層やメッシュシートを介して人体に用いるのが一般的である。そのため、吸水性繊維が肌へ及ぼす刺激や、肌への密着性について特に問題となることはなかった。
【特許文献1】特開平6−207358号公報
【特許文献2】特開2001−120588号公報
【0003】
一方、吸水性繊維に水分は薬効成分を含ませて肌に接触させ、積極的に肌に有効成分を供給するものとして、吸水性繊維と低温収縮性繊維とを含む不織布を用いた湿布材が開示されている(例えば特許文献3参照)。かかる湿布材は粘着剤を必要とせず、皮膚かぶれを防止し、効果的に有効成分を肌に供給するものである。しかしながら、水分を含んだ吸水性繊維からなる短繊維不織布を直接肌に密着させるとすると、繊維端が肌を刺激し、強い不快感を与え、更には肌を傷つけ、敏感な箇所での使用に問題が生じる。更に膨潤した吸水性不織布は肌への密着性が悪く、凹凸が大きい箇所や動きが激しい箇所に用いた場合、部分的に肌から剥離しやすいという問題を有する。また、水分を含んだ吸水性繊維は、肌に密着し易いことから、不織布を肌から剥がした場合、多くの繊維片が不織布から脱離し、肌に残るということも問題となる。
【特許文献3】特開平7−32640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水分や薬効成分を含ませて直接肌に接触させても、肌への刺激が小さく、かつ人体への密着性に優れ、更には破断し難い吸水性短繊維不織布を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、かかる問題を解決するために以下の手段を採用するものである。
すなわち、(1)(A)繊度が0.5〜2.7dtexである接着性繊維を5%〜60%と、吸水率200%〜30000%の吸水性繊維を40%〜95%含むことを特徴とする短繊維不織布(2)(B)目付が5〜100g/m2であることを特徴とする(A)記載の短繊維不織布,(3)(C)熱ローラーで表面を加熱処理することを特徴とする(A)〜(C)何れかに記載の短繊維不織布、(4)(D)人体に接触する部材に用いることを特徴とする(A)〜(D)記載の短繊維不織布、(5)(A)〜(D)記載の短繊維不織布を用いることを特徴とする貼付材である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による吸水性短繊維不織布は、水分を含んだ状態で肌への刺激が小さく、かつ人体への密着性に優れるため、敏感な箇所、凹凸が大きい箇所、動きが激しい箇所でも粘着剤等を用いずに肌に接触させることができ、水分・薬効成分を直接かつ有効に肌に供給することができ、更には使用後きれいに短繊維不織布を肌から剥がせるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる接着性繊維は、0.5〜2.7dtexであることが好ましい。2.7dtex以上であれば、繊維端が肌を強く刺激して使用者に不快感を与え、更には肌を傷つける場合もあるからである。一方、0.5dtex未満であれば貼付材として使用し、動いた場合等に部分的に繊維が破断し、肌から剥がした時に、不織布片や繊維片が肌に残る等の不具合を生じるからである。更に好ましくは0.8〜2.5dtex、最も好ましくは1.0〜2.0dtexである。
【0008】
また本発明に用いる吸水性繊維は、吸水率200%以上であることが好ましい。このような範囲であれば、水分や薬効成分を十分に含有させることができ、また肌への密着性を長時間保持することができるからである。特に好ましくは1000%以上、更に好ましくは10000%以上である。
【0009】
なお本発明でいう薬効成分は、肩こりや捻挫を治癒する等の健康の回復作用を有するものの他、肌を健やかに保つこと等、美容に用いるものも含むものである。
【0010】
本願発明に用いる吸水性繊維は、上述の繊度及び吸水率を満たせば特に限定されるものではないが、吸水性繊維としてはCOOX(X:アルカリ金属またはNH4)基を有するアクリロニトリル系繊維が特に好ましい。かかる繊維は、pHを弱酸性に保つ機能があり、肌を健やかに保つ機能を繊維自身が有するからである。
【0011】
本発明にかかる吸水性短繊維不織布は、吸水性繊維を40重量%〜95重量%含むことが好ましい。40重量%未満であれば、水分、薬効成分を十分に保持することができず、更には肌への密着性が不十分となり、剥離しやすくなるからである。また95重量%以上であれば、不織布の強度を保持することが困難になり、使用時に動いた場合に不織布が破断し、剥離時に不織布片が肌に残る等の不具合が生じるからである。
更に好ましい吸水性繊維の含有量は60重量%〜80重量%であり、最も好ましくは65重量%〜75重量%である。
【0012】
本発明にかかる吸水性短繊維不織布は、水分を含有させる前の目付が5〜100g/m2であることが好ましい。目付が5g/m2未満であれば、水分・薬効成分を十分に保持することができない。また目付が100g/m2以上とすると肌への密着性が低下し、凹凸の大きな箇所や動きが激しい箇所に用いることが困難となるからである。更に好ましい目付は10〜50g/m2、最も好ましくは15〜35g/m2である。
【0013】
本願発明にかかる吸水性短繊維不織布は、接着性繊維を含むことが好ましい。吸水性繊維からなる短繊維不織布は膨潤すると破断し易くなり、ニードルパンチ法等による繊維交絡によると、使用した状態で運動等すると破断して不織布・繊維が破片となって肌に付着し、除去することが困難となる等の不具合が生じるからである。特に肌への密着性を向上させるために目付を下げる場合に、接着性繊維を含有させる必要性が高くなる。接着性繊維の含有量は好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは25〜35重量%である。5重量%未満であれば十分な効果が発揮できず、吸水時の破断が生じ易くなり、他方60重量%以上であれば短繊維不織布の十分な吸水性を確保できないからである。
【0014】
本発明に用いる接着性繊維は、PET/PP、PP/PE、PET/PE、PET/PET、PE/PE、PP/PP等の複合繊維(シースコア構造等)を有する繊維であってもよい。特にポリオレフィン系繊維は柔軟性が高く、繊維端が肌に与える刺激が小さく好ましい。
【0015】
更に本発明は、熱ローラーで少なくとも片面を加熱処理することが好ましい。かかる処理により効果的に強度を向上し、水分を含んだ吸水性単繊維不織布を肌に接触させて剥がした後に繊維片が肌に残ることを防止することができ、また毛羽立ちを抑制し、肌への刺激を低減できるからである。
【0016】
熱ローラーのエンボスパターンや条件等は特に限定するものではないが、エンボス面積率が20%〜100%であることが好ましい。エンボス面積が20%未満であれば、肌にのこる繊維片が多くなるからである。更に好ましくは50%以上、最も好ましくは100%(フラットローラー)である。
【0017】
また、熱ローラーでの加熱条件は、接着性繊維(低融点成分)の融点より10℃〜20℃高い温度で、線圧10〜150kg/2.5mで加工することが推奨される。線圧が10kg/2.5m未満であれば、水を含んだ短繊維不織布は使用時に運動等して外的作用が加わると、分解し易くなってバラける、あるいは繊維片が肌に付着する、という不具合が生じるからである。また、通常の短繊維不織布は、線圧が高すぎると、風合いが硬くなる、ペーパーライクになる等の不具合が生じるが、吸水性繊維を含む短繊維不織布は、膨潤させた状態での線圧が風合いに与える影響は小さく、特に上限は問題とならないが、150kg/2.5mを超えると繊維にダメージを与えるため好ましくない。特に好ましい範囲は、20〜140kg/2.5m、更に好ましくは30〜120kg/2.5m、最も好ましくは40〜100kg/2.5mである。
【0018】
本願発明にかかる短繊維不織布は、人体に接触する用途に用いて特に効果を発揮するものであり、貼付材、湿布材、美容材等に用いることができる。
【実施例】
【0019】
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。なお、評価は以下の方法により測定した値を採用した。
【0020】
(吸水率)
(吸水率)300mlビーカーに試料0.4〜0.42g(W2)を精秤し、これに純水300mlを入れ、30分後、試料をナイロン濾布(200メッシュ)に包み、遠心脱水機(160G×5分、但しGは重力加速度。)により繊維間の水を除去する。この方法で調整した試料の重量を測定する(W1g)。以上の測定結果から、次式によって算出する。
吸水率(%)=((W1−W2)/W2)×100
(皮膚への刺激性)
女性モニター5名を選出し、サンプル15cm×15cmに化粧水を十分に膨潤させて、腰部に装着し、1時間放置した。その間の刺激性につき以下の基準でアンケートをとり、5名の平均点を評価した。
0点:使用に耐えないほど、不快である
3点:健康や肌に有効であれば使用する意欲はあるが、不快感はある
5点:湿布しても不快感はない。
(密着性)
女性モニター5名を選出し、サンプル15cm×15cmに化粧水を十分に膨潤させて、腰部に装着し、1時間放置した後の密着性につき以下の基準で目視評価し、5名の平均点を評価した。
0点:使用中の運動等により、サンプルが剥離した。
3点:サンプルの完全な剥離は生じなかったが、部分的に肌に密着していない箇所が見られた。
5点:サンプルの剥離は見られなかった。
(不織布破断)
女性モニター5名を選出し、サンプル15cm×15cmに化粧水を十分に膨潤させて、腰部に装着し、1時間放置した後、サンプルを剥がして肌の上に残った不織布片(ゲル状物)を観察し、以下の基準で評価した。
0点:サンプル湿布箇所全面に、不織布片が残留していた。
3点:サンプル不織布片の残留が目立った。
5点:サンプル不織布片は見当たらなかった。
【0021】
(実施例1)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を70重量部、1.7dtex×51mmのポリオレフィン系熱溶融接着性繊維(チッソ株式会社製、製品名ESCスフ)30重量部を混綿、カーデングし、20g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0022】
(実施例2)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を65重量部、1.1dtex×51mmのポリオレフィン系熱溶融接着性繊維(チッソ株式会社製:製品名ESCスフ)35重量部を混綿、カーデングし、20g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0023】
(実施例3)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を70重量部、1.7dtex×51mmのポリオレフィン系熱溶融接着性繊維(チッソ株式会社製、製品名ESCスフ)30重量部を混綿、カーデングし、30g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0024】
(比較例1)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を30重量部、3.3dtex×51mmのポリオレフィン系熱溶融接着性繊維(チッソ株式会社製、製品名ESCスフ)70重量部を混綿、カーデングし、20g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0025】
(比較例2)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を100重量部をカーデングし、20g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【0026】
(比較例3)
2.9dtex×38mmの吸水性繊維(東洋紡社製:製品名ランシール)を70重量部、1.7dtex×51mmのポリオレフィン系熱溶融接着性繊維(チッソ株式会社製、製品名ESCスフ)30重量部を混綿、カーデングし、120g/m2のウエブシートを形成し、150℃に加熱されたステンレス製フラットローラー2本の間を線圧50kg/2.5mで通して、不織布シートを得た。評価結果を表1に示す。
【表1】


【0027】
本願発明にかかる吸水性短繊維不織布(実施例1〜2)は、皮膚刺激性が小さく、かつ密着性に優れ、更には短繊維片が肌に残留し難い、吸水性繊維であった。他方、本発明の範囲外の吸水性短繊維不織布は、皮膚刺激性が大きい、密着性が悪い、あるいは短繊維片が肌に残留する等の不具合が生じ、実用には困難なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、水分や薬効成分を含ませて直接肌に接触させても、肌への刺激が小さく、かつ人体への密着性に優れ、更には不織布が破断分離することがなく使用することができるため、関節、足の裏、顔等人体の場所を選ばず貼付材、湿布材、美容材等に用いることができ、産業界に寄与すること大である。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成16年8月6日(2004.8.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−45730(P2006−45730A)
【公開日】 平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願番号】 特願2004−230359(P2004−230359)