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【発明の名称】 繊維質ウェブ及びその製造方法
【発明者】 【氏名】ポール,デイビッド・ビー

【氏名】マントゥフェル,リチャード・エル

【要約】 【課題】

【解決手段】ウェブを構成する繊維の90%の繊維径が、最小繊維径から、この最小繊維径の3倍以下、好ましくは2倍以下、の最大繊維径までの範囲におさまり、前記ウェブの0.64×13 cm の部分に沿って及び2.54 cm 平方について測定した重量分布の変動率が縦横両方向に測定して1%未満である、メルトブロー法により製造された繊維質不織ウェブ。平均繊維径は15μm以下、例えば、3〜8μmの範囲または2μm以下とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブを構成する繊維の90%の繊維径が、最小繊維径から、この最小繊維径の3倍以下の最大繊維径までの範囲におさまり、前記ウェブの0.64×13 cm の部分に沿って及び2.54 cm 平方について測定した重量分布の変動率が縦横両方向に測定して1%未満である、メルトブロー法により製造された繊維質不織ウェブ。
【請求項2】
該繊維の平均繊維径が15μm以下である請求項1記載のウェブ。
【請求項3】
該繊維の平均繊維径が3〜8μmの範囲である請求項2記載のウェブ。
【請求項4】
該繊維の平均繊維径が2μm以下である請求項2記載のウェブ。
【請求項5】
該ウェブを構成する繊維の90%の繊維径が、最小繊維径から、この最小繊維径の2倍以下の最大繊維径までの範囲におさまる、請求項1〜4のいずれかに記載のウェブ。
【請求項6】
第1方向の引張強度が、この第1方向に対して90°の第2方向の引張強度の少なくとも1.5 倍であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のウェブ。
【請求項7】
2cm横方向流れ時間が第1方向で40秒以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のウェブ。
【請求項8】
4cm横方向流れ時間が第1方向で225 秒以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のウェブ。
【請求項9】
該第1方向に対して90°の第2方向での横方向流れ時間 (LFT) が、第1方向でのLFTとは異なる、請求項7または8記載のウェブ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の繊維質不織ウェブからなる濾過媒体。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の繊維質不織ウェブからなる、診断デバイス用多孔質媒体。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載のウェブに流体を通過させることからなる流体の濾過方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本出願は、係属中の米国特許出願番号08/281,772 (1994年7月28日出願) 、同08/376,190 (1995年1月20日出願) 、同08/389,264 (1995年2月16日出願) 、および同08/429,731 (1995年4月25日出願)(これらの全体をここに援用する) の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、繊維質ウェブ、特にメルトブロー法(溶融ブロー法)により製造された繊維質ウェブ(メルトブロー繊維質ウェブまたは単にメルトブローウェブという)と、その製造方法に関する。かかる繊維質ウェブは特に濾過媒体として、ならびに血液からの血漿もしくは血清の分離用に適している。これはまた、実質的に均一な多孔質媒体が望ましいあらゆる場合に有用である。
【背景技術】
【0003】
メルトブロー法
現在行われている或る種のメルトブロー法では、図1に示すように、頂部での角度が中心線に対して約45〜60°の三角形の断面を持った部材の頂部に位置する、幅約1〜2mmの平面に、中心間隔約1〜2mmの直線配列で穿孔された1列の直線的に配置された孔から溶融樹脂を押し出す。図1に示すように、この頂部11の回りには、2個のスロット12, 13が片側に1つづつ設けられ、これらのスロットから加熱空気が送給され、この空気で孔から押し出された溶融樹脂が細くなることにより、繊維の流れが形成される。形成された繊維は、このノズルの先端から約10 cm 以上離れた移動スクリーンの片側で集められ、スクリーンの反対側は吸引送風機に連結されている。操業中、繊維の大部分はスクリーン上に捕集されて、表面が粗い低密度のウェブを形成するが、繊維の無視できない割合が周囲に逃散するので、それらを集めて廃棄所に送るための吸引フードが設けられている。
【0004】
捕集されたウェブは極めて弱く、引張強度は約1.5 kg/cm2よりかなり低い。繊維の寸法分布も広く、最大の繊維は最小の繊維の10倍以上も大きく、平均繊維径は最小繊維径の約5〜7倍またはそれ以上である。繊維の多くがツイン化 (2本の平衡な繊維がその平均直径の20倍以上の長さにわたって互いにくっついている状態を意味する) しており、他の繊維にはロープ化、即ち、2本以上の繊維がロープに似た状態で互いによじれ合っているものもある。ロープ化した繊維は、例えば濾過において実際には、ロープ直径にほぼ等しい直径を持つ1本の繊維とほとんど同じように挙動する。ツイン化およびロープ化はどちらも、捕集ウェブの圧力降下の増大や濾過効率の低下を生じる。ツイン化状態で結合した2本の繊維は、バラバラの2本の繊維よりフィルターでの濾過効率が低い。ショット、即ち、ウェブ中に散在している繊維にならなかった樹脂の小ペレット、も問題である。典型的には、上記のように製造された捕集ウェブは、ショット化とロープ化との間の妥協を反映している。このウェブは表面が粗く、かなり毛羽立っている傾向があり、これは、多くの用途、例えば使い捨て衣料用にとって望ましくない。
【0005】
上述したウェブの製造方式は、装置の幾何学的形状のために非効率的である。2つの空気流が1つに収束する時に、樹脂の繊維を形成するのに必要なエネルギーの一部が、この装置の中心線に垂直な空気流の速度成分に比例して消散してしまう。別の非効率は、各ノズルに作用する空気流の形状が矩形である点である。例えば、直径0.5 mmの孔が2mmの中心間隔で配置されている場合、幅2mmの矩形の空気流が直径0.5 mmの樹脂経路にそれぞれ作用する。液体の流れは円形であるから、樹脂ノズルから最も遠い矩形の角から出る空気の部分は比較的無効であり、繊維形成にはあまり寄与せずに高度の乱流を生ずることとなる。
【0006】
これらの非効率の結果、この方法における空気の圧縮および加熱のためのエネルギーコストは、各樹脂ノズルが円環形からそれ自身の空気流の供給を受けたと仮定した場合に予測されるものよりはずっと大きくなる。一定重量の樹脂を繊維化するのに必要な空気量が多いため、通常の実施において樹脂ノズルの出口から繊維捕集表面までの距離は約10〜13 cm を超え、この非常に乱流の空気中を比較的長く通過することから、捕集ウェブの繊維における望ましくないロープ化およびツイン化が起こる。10 cm よりずっと短い距離で操業しようとすると、繊維が半溶融状態となるほど高温でないと真空スクリーン上での繊維の捕集が困難となり、半溶融状態ではフィルターとして非効率的な非多孔性に近い製品ができてしまう。この方式の基本的欠陥は、溶融樹脂を繊維化ダイ (ノズル) の外部で分断し、同時に細くして繊維を形成することであり、分断と繊維形成との間に明確な線引きがなく、結果として繊維形成の制御が不十分となる。
【0007】
細くした繊維を製造する現在行われている別の方式も、ダイの外部で溶融樹脂を分断するものである。製造された繊維はマンドレル上でランダムな方向を向いた不均質なもつれ合った配列で集められる。繊維がマンドレルに達する時までに、繊維は既に不連続長さに破断ないし分断されているか、或いはまだ紡糸に用いたオリフィスに溶融部分がくっついているかである。
【0008】
本発明は、環状空気通路を持った自蔵型の個々の繊維化ノズルを採用する。これらの繊維化ノズルは平均繊維径が約2μm以下の繊維質シート媒体を作製することができ、約 2.5〜11.0 cm の範囲内、例えば、約 2.8〜9.0 cmの範囲内のダイ/捕集部材間の距離 (以下、DCD) で操作することができ、かつ繊維の向き(配向)が制御された製品を製造することができる。
【0009】
かかる繊維化ノズルは図2に示されている。図中、繊維化ノズル21は、溶融樹脂のポンプ送給通路であるキャピラリ (毛管) 22と、高温空気の送給通路である円環部23とを備えている。ポンプ送給された樹脂はキャピラリ22を出て樹脂分断ゾーン24に入り、次いでノズル流路25に入る。ノズル流路25では、既にばらばらの小さな液滴に破砕されている樹脂が空気流中でノズル先端26から外に送り出され、この先端26を超えると、個々の小さな液滴は伸ばされて繊維になる。
【0010】
空気の供給をより効率的に利用し、従って製品ウェブの重量に対してより少量しか使用しないで済むので、本発明の繊維化製品は、先に簡単に述べた非効率的な装置の反対側が真空になっているスクリーンとは異なり、非多孔性の捕集表面に衝突させることによりウェブとして捕集することができる。従来技術に対する別の顕著な改良点は、DCD (図2のノズル先端26と衝突目標の捕集表面との間の距離) を約5.5 cm以下、代表的には約 2.5〜5.5 cm、例えば、約2.8 〜5.5 cm、即ち、他の方式で使用されていた距離の約半分以下、に縮めることができ、それにより繊維流れの幅が小さくなり、繊維捕集効率がさらに向上する。
【0011】
本発明の繊維は繊維化ノズル内で形成され、顕微鏡による直接観察で繊維流が出てくるオリフィスと接触せずに完全に繊維が形成されることを見ることができる。本発明ではオリフィスの外部での繊維の分断がないことが、繊維が連続し、制御された様式で明らかに配向しているウェブの形成にとって不可欠である。
【0012】
かくして、繊維の経路に沿った制御のない、繊維製造用の不均質なもつれ合った配置のウェブとは異なり、本発明の繊維は、配向した繊維のウェブを生ずるように形成、制御および捕集される。
【0013】
個々のノズルを使用した現在の方式でもより細い繊維および改善された捕集は可能であるが、その使用には製品ウェブが縞模様の外観を有するという難点がある。この縞模様は隣接したノズル間の間隔を反映したものである。
【0014】
本発明は従来のメルトブロー法による繊維質ウェブとその製造方法の難点の少なくとも一部を改善するものである。
本発明は、縞模様の形成が実質的にないだけでなく、例えば、50 cm のスパンにわたる重量分布の変動率が約1%以下であるといった、高度の均一性で特徴づけられるウェブの形態で、個々の繊維化ノズルの押出流を捕集する好都合な手段を提供する。かかる高度の均一性により、この製品は診断デバイス (診断手段) といった用途、ならびに完全に近い均一性が要求される他の用途に有用となる。本発明の繊維質ウェブ製品は、実質的にショットを含まず、ロープ化していない。
【0015】
診断デバイス
上述したように、本発明は診断デバイスに使用するのが特に望ましい均一な繊維質ウェブ製品を提供する。
【0016】
多くの体液処理プロトコル、特に診断試験に関連するものが、特定の物質 (例、目標の分析物<analyte>)が体液中に存在するか否かの決定を含んでいる。これらの試験の多くは、体液成分と1または2以上の特異的な試薬との反応の熱量的評価法または分光光度的評価法を利用する。別の試験は、例えばpHまたは電気伝導度の変化を評価して分析物の存在の有無を決定する操作を含む。しかし、これらの試験が最適とはいえない結果を生ずることがある。その理由としては、例えば、体液が試験デバイスを効率よく濡らすことができない、ならびに/または体液中に共存する他の物質が分析対象の特定の物質を妨害するか、および/もしくは試験結果の解釈を困難にする、といったことが考えられる。
【0017】
例を挙げると、試験すべき体液が血液である場合、赤血球および/または溶血した赤血球により放出されたヘモグロビンの存在に起因する赤色は、試験操作の一部として色の変化を採用する診断試験を妨害することがある。従って、多くの体液試験プロトコルは、試験前に体液から1または2以上の成分を分離する操作を含む。例えば、血漿または血清を分析に付す前に、血球物質 (例、赤血球および/または白血球) が試験結果を妨害しないように、血液から血漿または血清を分離することがある。
【0018】
血漿または血清を他の血液成分、例えば、赤血球および白血球のような血球成分、から分離するための1つの技法は、例えば指の突き刺し(finger prick)で血液を採取し、採取した血液を血液試験ストリップ (細長い試験材) に置くことを含む。少なくとも1つの多孔質要素を備えた試験ストリップにより、血液はストリップ中に流入し、血漿の一部が血液試料中に含まれている血球から分離される。一部の試験ストリップは、血漿または血清を通過させることができる複数の多孔質要素を含んでいることがあり、その少なくとも1つの要素は、血漿または血清中の分析物の存在の有無を決定することができるように分析物と反応する1または2以上の試薬を含有していてもよい。
【0019】
しかし、従来の試験ストリップには多くの欠点がある。特に大きな欠点は、十分な程度の均一性を持つストリップを製造することが困難であるため、製品再現性に欠ける点である。例えば、一部のストリップは、効率的および/または再現性ある血漿分離を与えるには均一性が不十分である。例を挙げると、ある種のストリップは均一な繊維分布の欠如に起因する縞模様の外観、例えば、繊維のウネ、を持つ繊維質ウェブを含んでいる。不均一性の影響を最小限にするため、一部の試験ストリップは、複数層、例えば、約10層またはそれ以上、のウェブを含むことで信頼性のある分離を確保している。層の枚数が多いため、かかるデバイスは診断試験に十分な血漿を与えるには比較的多量の血液を必要とすることがある。
【0020】
繊維質媒体の有無にかかわらず、他のデバイスは、血球物質による妨害のない血漿の試験が可能となるように十分に大きな血漿の最前線(front) を血球物質の最前線より先に与えることができず、結果として、これらのデバイスは効率よく血漿を分離することができないため、十分な血漿を試験に利用できるようにするには比較的多量の血液試料を使用することが必要となることがある。
【0021】
さらに、一部のデバイスはデバイスの1または2以上の部分に予め置いた1または2以上の試薬を含んでいるので、デバイスごとの製品再現性の欠如により、血漿が特定の位置の試薬と接触できないか、および/または十分な時間試薬と接触できない結果となることがある。例えば、一部の予め置いた試薬は可溶性であるので、血漿をあまりに速く通過させてしまうデバイスでは、血漿がその試薬を溶解させることができず、試験結果が不正確になることがある。従って、均一性の欠如により、2つのデバイスが同じ患者に対して続けて採取した2滴の血液を用いても異なる試験結果を与えることがあり、どちらのデバイスが正確な結果を与えたのか決定することが困難となることがある。
【0022】
その上、特に互いに結合している少なくとも2つの多孔質要素を含む試験ストリップの一部について、多孔質要素の接合が厄介および/または困難となることがある。2以上の層または要素を単に圧縮して得た接合は一般に弱いだけでなく、2以上の層を一緒にプレスして接合を形成する時に望ましくない圧縮を受ける傾向もあり、これが血漿分離の有効性を減ずることとなる。市販の「粘着性」接着剤の使用は、ある層からその隣りの層への流れに悪影響を生じ、こうして接合部、または接合部付近の領域、の透過性が悪影響を受けることがある。
【0023】
従って、この技術分野では、体液の少なくとも1つの望ましい成分を分析に十分な量で効率よく分離することができる体液処理デバイスとそれを用いた体液処理方法が引き続いて求められている。かかる処理デバイスは、使用者が患者であろうと、医師、看護婦または実験技術者といった医療関係者であろうと、使用が容易であることが好ましい。その上、この処理デバイスは、正確かつ再現性のある試験結果を生ずるように分離を達成すべきである。
【0024】
さらに、この処理デバイスは、血漿中の分析または定量すべき物質または材料、例えば、いくつかを列挙すると、グルコース、コレステロール、脂質、血清酵素、核酸、ウイルス、細菌、および/または凝固因子、の著しい部分を除去することなく、血液から血漿を効率的に分離することができることが好ましい。
【0025】
本発明は従来の試験ストリップとこれを用いた方法の難点の少なくともいくつかを改善するものである。本発明はまた、非生物学的流体の処理を含むプロトコルにも使用することができる。本発明の上記およびその他の利点は、以下の説明から明らかとなろう。
【発明の開示】
【0026】
本発明は、好ましくはメルトブロー法で形成されたウェブ (メルトブローウェブ) である、少なくとも1つの実質的に均一な繊維質ウェブを提供する。不織ウェブであるこのメルトブロー繊維質ウェブは、繊維径、単位面積当たりの縦横両方向に測定した時の重量分布、厚み、および空隙率(voids volume)の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、に関して実質的に均一である。、好ましくは、このメルトブローウェブは、平均繊維径が密に制御され、繊維径の分布幅が狭く、重量分布が均一な繊維から構成される。
【0027】
本発明にかかるメルトブロー繊維質ウェブの態様はまた、ロープ化またはツイン化した繊維や、ショットを実質的に含んでいない。好適態様においては、この繊維質ウェブは、第1方向の引張強度が、この第1方向に対して90°の第2方向の引張強度の少なくとも約1.5 倍、より好ましくは数倍であることで特徴づけられる。このメルトブロー繊維質ウェブは、液体と接触した後の非常に望ましい吸い上げ速度でもさらに特徴づけられる。吸い上げが適用地点 (液体を置いた地点) から所定の距離まで広がるのに要する時間を後で規定するが、これを横方向流れ時間(Lateral Flow Time, LFT) と呼ぶことにする。
【0028】
本発明によれば、流体処理デバイスは、少なくとも1つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを備えている。本発明にかかるメルトブローウェブは実質的に均一であるので、このウェブを備えた試験デバイスは、1つのデバイスと別のデバイスとで、また流体、特に生物学的流体の1つの試料と同じ流体の別の試料とで、正確かつ再現性のある試験結果を与える。
【0029】
本発明はまた、本発明のメルトブロー繊維質ウェブを備えたフィルター要素、ならびにこのメルトブロー繊維質ウェブに流体を通過させることからなる濾過方法、も提供する。本発明はフィルター要素のハウジングを備えていてもよい。
【0030】
さらに、本発明は、少なくとも1枚の多孔質シートの上にメルトブロー繊維質不織ウェブを備えた多孔質複合構造物であって、多孔質シートの細孔の約10%以下しか結合用のメルトブロー繊維質不織ウェブでブロック (封鎖) されていないものも提供する。
【0031】
本発明はまた、平行な2列に実質的に等間隔で直線的に配置されたノズルから溶融樹脂を押出して、長軸 (軸線) がノズル列に平行に配置された円筒形捕集部材の表面上に繊維を形成することを含むメルトブロー繊維質不織ウェブの製造方法であって、ノズルの各列が互いにオフセット状にずれて、かつ互いの列の方を向くように角度をつけて (傾斜して) 配置されていることを特徴とする方法も提供する。本発明はまた、本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブを変性して、所望の吸い上げ速度または横方向流れ時間 (LFT) を得るように、ウェブの臨界湿潤表面張力 (Critical Wetting Surface Tension, CWST) および/または空隙率を変化させることからなるメルトブロー繊維質不織ウェブの製造方法も提供する。
【0032】
本発明にかかるデバイスおよび方法は、生物学的流体を含む流体の効率的な処理方法を与える。例えば、本発明にかかるデバイスおよび方法は、メルトブロー法で形成された実質的に均一な少なくとも1つの繊維質ウェブを生物学的流体の試料と接触させることにより、血液のような生物学的流体からの効率的な血漿分離を可能にする。本発明はまた、分離された血漿または血清中の検査対象の分析物の正確かつ再現性のよい測定を可能にする。本発明にかかるデバイスおよび方法はまた、生物学的流体から既に分離された血漿を効率よく処理することも可能にする。
【0033】
1態様において、本発明にかかるメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、膜を含む他の繊維質および/もしくは非繊維質媒体といった、生物学的流体を処理するための多様な他の多孔質媒体と適合性があり、本発明のメルトブローウェブからこれらの他の媒体に血漿を通過させ (例、吸い上げにより) ことができる。ある態様では、血漿は下流側の膜から少なくとも1つの追加の多孔質媒体 (例えば、他の膜、および/または繊維質ウェブ、これは好ましくはメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブである) にさらに通過させてもよい。
【0034】
本発明にかかるデバイスおよび方法によれば、血漿中に存在するか、または血清とともに輸送されうる、脂質、酵素、核酸、および/またはウイルスといった検査対象の物質または分析物を、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブおよび/またはこのウェブの下流側の他の1または2以上の多孔質媒体の内部または上部で捕捉または単離することができる。これらの物質または分析物は、このウェブおよび/または他の媒体内で検出または定量することができる。
【0035】
一部の態様では、単離された分析物の試料中の少なくとも一部または1成分を増幅して検出することができ、この部分または成分の存在は、試験している流体中に所定の分析物が存在することを意味する。例えば、本発明に従って、ウイルスのような分析物をメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの下流側の膜の内部または上部に捕捉または単離することができ、このウイルスを溶解してそのウイルス性核酸、即ち、DNAまたはRNAを遊離させることができる。その後、このウイルス性核酸の一部を当該分野で周知の手段により増幅および検出することができる。ウイルス性DNAまたはRNAの一部の検出は分析物であるウイルスの存在を意味する。
【0036】
本発明の説明において、下記の用語を次に述べる意味で使用する。
(A) 生物学的流体−生物学的流体とは、生物に付随する任意の処理したまたは未処理の流体を包含し、血液、唾液、リンパ液、脳脊髄液、腹水液、および尿を含むが、これらに限定されない。
【0037】
生物学的流体は特に、全血、常温もしくは低温の血液、ならびに貯蔵もしくは新鮮な血液を含む血液;生理的溶液 (食塩水、栄養素、および/もしくは抗凝固薬の溶液を含むがこれらに限られない) で希釈した血液のような処理した血液;血漿中の血小板の懸濁液、血小板濃縮液(PC) 、血小板の多い血漿 (高血小板血漿)(PRC) 、血小板を含まない血漿、血小板の少ない血漿 (低血小板血漿)(PPP) 、血漿、濃縮赤血球 (PRC) 、バフィーコート (軟膜) といった1もしくは2以上の血液成分;血液または血液成分から得られた、または骨髄から得られた、類似の血液製剤;生理的流体に懸濁させた赤血球;ならびに生理的流体に懸濁させた血小板、を包含する。生物学的流体は白血球を含有していてもよく、或いは白血球を除去するように予め処理してあってもよい。ここで用いた生物学的流体とは、上述した成分に加えて、他の手段により得られた類似の特性を持つ類似の血液製剤も意味する。
【0038】
(B) 分析物−分析物は下記の少なくとも1つを包含するが、これらに限られない:グルコース、コレステロール;尿素;トリグリセライド;ケトン;ビリルビン;ウロビリノーゲン;亜硝酸塩;テオフィリン;ガラクトース;脂質;血清酵素;タンパク質;ホルモン;核酸;凝固因子;成長因子;カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびリチウムのようなイオン;モルヒネ、コデイン、ヘロイン、コカイン、ステロイド、およびマリファナのような薬物;代謝産物;農薬;汚染物質;血漿、血小板、赤血球、および白血球のような血液成分;ウイルス;ならびに細菌および原虫のような微生物。分析物は抗原または抗体であってもよい。
【0039】
分析物は、直接検出してもよく、或いは分析物の一部または1成分を検出することができるように処理してもよい。例を示すと、ウイルスのような分析物は、ウイルス性核酸を遊離するように処理してもよく、この核酸の一部を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明は、高度に均一な少なくとも1枚の繊維質ウェブを提供する。不織ウェブからなるこの繊維質ウェブは、いくつかのやり方で特性を表すことができる。好ましくは、この不織ウェブは、繊維の90%の繊維径が最小繊維径からこの最小繊維径の約3倍以下の最大繊維径までの範囲に入るような繊維から構成される。一部の態様では、繊維の90%の繊維径が最小繊維径からこの最小繊維径の約2倍以下の最大繊維径までの範囲に入るような繊維から不織ウェブが構成される。
【0041】
この不織ウェブ内の繊維の平均繊維径は約15μm以下、例えば、約3〜8μmの範囲内でよく、約2μm以下であってもよい。一部の態様では、平均繊維径は約1.5 μm以下、さらには約1μm以下であってもよい。このメルトブロー繊維質不織ウェブは、単位面積当たりの重量分布の変動率が約10%以下であるという特徴をさらに示すことができる。例えば、一部の態様では、0.64×13 cm の面積に沿っておよび2.54 cm 平方上で重量分布を測定して、長手方向と横方向の両方で測定した時に、重量分布の変動率が約10%以下、例えば、約5%以下である。1態様では、上記のように測定した時の重量分布変動率が1%未満である。
【0042】
本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブはまた、ロープ化やツイン化した繊維およびショットが実質的に皆無であり、第1方向での引張強度が、この第1方向に対して90°の第2方向での引張強度の少なくとも約1.2 倍、例えば少なくとも約1.5 倍、好ましくは少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約4倍であるという特徴を示すことができる。
【0043】
このメルトブロー繊維質不織ウェブはさらに、2cm横方向流れ時間 (LFT) が第1方向で約60秒以下、例えば、約15秒、および/または4cmLFTが第1方向で約300 秒以下、例えば、約45秒であるという特徴を示すことができる。さらに一層好ましくは、このウェブの2cmLFTは第1方向で約50〜20秒であり、および/または4cmLFTは第1方向で約 200〜64秒である。一部の態様では、2cmLFTが第1方向で約40秒以下、例えば、約10秒、および/または4cmLFTが約225 秒以下となりうる。例えば、このウェブの2cmLFTは第1方向で約35〜12秒であってもよい。第1方向に対して90°の第2方向でのLFTが第1方向でのLFTとは異なるかかるウェブを製造することができる。1態様において、第1方向でのLFTは第2方向でのLFTより約5%以上大きくなる。さらに、かかるウェブは、ウェブが第1および/または第2方向において、実質的にビーズ最前線の遅れ(bead front lag)を示さないように製造することができる。
【0044】
本発明はまた、上述した少なくとも1枚のメルトブロー繊維質不織ウェブを備えた、流体 (これは生物学的流体でよい) の処理デバイスも包含する。生物学的流体の処理デバイスの一部の態様では、メルトブロー繊維質不織ウェブの少なくとも1枚が少なくとも約65ダイン/cmの臨界湿潤表面張力 (CWST) を有する。
【0045】
このデバイスはまた、不透過性媒体、多孔質媒体、バイオセンサ、キャピラリ、およびハウジングといった少なくとも1つの追加の構造物を備えていてもよい。
以下により詳しく説明するように、本発明のデバイスは、流体の濾過、流体中の分析物の存在の決定、および/または血漿含有流体からの血漿の分離に有用である。このデバイスはタンパク質含有流体の濾過に使用できる。
【0046】
このデバイスのいくつかの態様は、生物学的流体中の少なくとも1つの分析物の存在の決定および/または血漿含有生物学的流体からの血漿の一部の分離に使用することができる。このデバイスは少なくとも1枚の実質的に均一なメルトブロー繊維質ウェブを備えており、分析物および他の物質を含有する生物学的流体の試料を受け入れる領域と、その中に該分析物は流入するが、該他の物質の少なくとも一部は流入しない領域とを有している。このデバイスは、主に垂直の流れ、または主に水平の流れ、を生ずるような形状とすることができる。
【0047】
所望により、ある1枚のウェブが、分析物および他の物質を含有する生物学的流体の試料を受け入れる領域と、その中に該分析物は流入するが、該他の物質の少なくとも一部は流入しない領域とを備えていることができる。代わりに、デバイスが、例えば、生物学的流体の試料を受け入れる領域を持った1つのウェブと、その中に該分析物は流入するが、該他の物質の少なくとも一部は流入しない領域を持った別のウェブという2以上のウェブを備えていることもできる。
【0048】
ウェブは生物学的流体の試料と接触するのに適した少なくとも1つの表面を備えることができ、該分析物が通過して流れ、好ましくは該他の物質の少なくとも一部は通過させない少なくとも1つの表面を備えることができる。流体は、繊維質ウェブの対向する (向かい合った) 2つの表面、または対向しない2つの表面を通過して流れることができる。
【0049】
本発明のデバイスは、2枚以上の実質的に均一なメルトブロー繊維質ウェブを備えていてもよく、その1枚のウェブは分析物および他の物質を含有する生物学的流体の試料を受け入れ、別のウェブは、その中に該分析物は流入するが、該他の物質の少なくとも一部は流入しない領域を備えている。
【0050】
本発明のデバイスにおいて、繊維質ウェブは空隙率に関して完全に均一であってもよく、または所望の効果のために圧縮部分を含有していてもよい。例えば、繊維質ウェブは、該他の物質の少なくとも一部、例えば、赤血球および/または白血球の通過を妨げる圧縮部分を含有することができる。この圧縮部分は、該他の物質がウェブの別の部分に移行するのを妨げるか、または該他の物質がこのウェブから別の媒体に移行するのを妨げることができる。
【0051】
本発明のデバイスは、繊維質不織ウェブに加えて、少なくとも1つの追加の多孔質媒体、例えば、膜のような第2の多孔質媒体、を備えていてもよい。例えば、このデバイスは追加の多孔質媒体をさらに含むことができ、この追加の多孔質媒体は、例えば、上流側表面と下流側表面とを持つ膜であって、その上流側表面の少なくとも一部が、該繊維質ウェブの1表面と流体連通状態にあり、追加の多孔質媒体は分析物をこれに捕捉することができ、かつ残りの物質の少なくとも一部の流入を妨げる。この多孔質媒体は、繊維質ウェブと同じ広がり (平面寸法) を持っていてもよく、または繊維質ウェブから突き出たはみ出し領域を持っていてもよい。
【0052】
1態様において、繊維質ウェブは、追加の多孔質媒体のはみ出し領域に隣接した圧縮部分を有していて、この圧縮部分は、残りの物質の少なくとも一部、例えば、赤血球および/または白血球がこれを通過してはみ出し領域に移行するのを妨げる。
【0053】
追加の、または第2の、多孔質媒体は、任意の適当な形態 (例、微孔質膜) を持つ任意の適当な材料製のものでよく、ナイロン膜、ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 膜、ポリスルホン膜、およびニトロセルロース膜などが例示されるが、これらに限定されるものではない。一部の態様では、微孔質膜は、例えば、等方性のスキンレスポリフッ化ビニリデン膜、特にT1 バクテリオファージに対する力価減少率(titer reduction) が少なくとも約108 であるか、および/または界面張力が約4ダイン/cmの液体対を使用して試験した時のKUFが少なくとも約15 psiである、上記の多孔質膜といった、ウイルス除去膜であってもよい。
【0054】
このウイルス除去膜は、直径0.02μmの単分散ラテックス粒子を排除することができ、かかる限外濾過特性を低下させずに乾燥させることができる限外濾過/透析濾過(diafiltration) 膜であってもよく、これは湿潤/乾燥サイクルを少なくとも1回受けさせた後に、湿潤液として水が飽和した1−ブタノールを、置換液として1−ブタノールが飽和した水を使用して室温にて10 psiで測定したKUF流速が膜1平方フィート当たり50 cc/min 以下である。適当な限外濾過/透析濾過膜としては、ポリエーテルスルホンまたはポリフェニルスルホン膜のようなポリスルホン膜が挙げられる。
【0055】
本発明のデバイスは、繊維質ウェブと第2の多孔質媒体との間に介在させた少なくとも1枚の追加の多孔質媒体、すなわち、第3の多孔質媒体をさらに備えていてもよい。1態様において、この第3の多孔質媒体は好ましくは第2のメルトブロー繊維質不織ウェブである。
【0056】
別の態様において、本発明のデバイスは、第3の多孔質媒体をさらに含むことができ、この第3の多孔質媒体は上流側表面と下流側表面とを持ち、その上流側表面が第2の多孔質媒体の下流側表面と流体連通状態にある。かかる変更例の1態様において、第2の多孔質媒体は好ましくは多孔質膜、例えば、ナイロン膜、ポリスルホン膜、または等方性のスキンレスポリフッ化ビニリデン (PVDF) 膜からなる。
【0057】
本発明のデバイスは、少なくとも1枚の繊維質ウェブおよび/または少なくとも1枚の他の多孔質媒体の表面と接触した非多孔質構造物をさらに含有していてもよい。このような態様では、本発明のデバイスは、生物学的試料の蒸発を減少させるようにデバイス、例えば、繊維質ウェブの少なくとも片面に付着させた1または2以上の非多孔質構造物をさらに含んでいることが望ましい。
【0058】
これに代えて、または加えて、本発明のデバイスは、キャピラリのような非多孔質構造物を備えていてもよい。キャピラリは血漿または全血のような生物学的流体をウェブおよび/または他の多孔質媒体に送給することができ、またはキャピラリは生物学的流体をウェブおよび/または他の多孔質媒体から抜き出すことができる。
【0059】
さらに、本発明は、少なくとも1枚の多孔質シートと、その上に設けた結合用のメルトブロー含有繊維質不織ウェブとを備えた多孔質複合構造物を提供する。結合用のメルトブロー繊維質不織ウェブで封鎖されている多孔質シートの細孔の割合は約50%以下、好ましくは約10%以下または約5%以下である。結合用のメルトブロー繊維質不織ウェブの融点は、接合する多孔質シートの融点より低いのが好ましい。この多孔質複合構造物において、少なくとも1枚の多孔質シートはメルトブロー繊維質不織ウェブであってもよく、2枚の多孔質シートをこの結合用のメルトブロー繊維質不織ウェブにより一体に結合することができる。また、この多孔質複合構造物において、多孔質シートの1枚は微孔質膜で、多孔質シートの残りがメルトブロー繊維質不織ウェブであってもよい。さらに、この多孔質複合構造物は、1枚の微孔質膜または不透過性シートにメルトブロー繊維質不織ウェブを接合したものから構成することもできる。
【0060】
本発明はさらに、メルトブロー繊維質不織ウェブとそのハウジングとから構成されるフィルター要素も提供する。本発明はさらに、一端が閉じ、他端が開き、内面と外面とを持つ袋の形状に形成されたフィルター媒体からなるバッグフィルターも提供し、このバッグフィルターの形成に用いたフィルター媒体が本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブから構成される。このバッグフィルターは、フィルターの開放端部に装着されたカラーをさらに備えていてもよい。一部の態様では、バッグフィルターは熱によりシールされたか、または縫合され熱可塑性テープで熱シールされた1または2以上にシーム部を有する。
【0061】
本発明はまた、流体を本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブに通過させることからなる流体の濾過方法も提供する。
本発明はまた、本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブを変性してウェブの臨界湿潤表面張力 (CWST) を変化させることからなる、メルトブロー繊維質不織ウェブの製造方法も提供する。例えば、このウェブをCWSTが少なくとも約55ダイン/cm、例えば、約65〜110 ダイン/cm、またはそれ以上になるように変性させることができる。一部の態様では、所望の横方向流れ時間 (LFT) を得るように、ウェブを約73〜110 ダイン/cm、より好ましくは約73〜100 ダイン/cmの範囲内の特定のCWSTになるように変性させることができる。
【0062】
本発明はまた、本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブを変性して、ウェブの空隙率を所望のLFTを得るように変化させることからなるメルトブロー繊維質不織ウェブの製造方法も提供する。例えば、所望のLFTを得るように空隙率が好ましくは約60〜96%、より好ましくは約64〜94%の範囲内であるメルトブロー繊維質ウェブを製造することができる。
【0063】
本発明はまた、流体、例えば、生物学的流体の処理方法も提供する。本発明の方法の1態様は、少なくとも1枚のメルトブロー繊維質不織ウェブを備えたデバイスの生物学的流体受容領域を、分析物と他の物質とを含有する生物学的流体の試料と接触させることを含む。例えば、生物学的流体は血液または血液製剤でよく、分析物はグルコース、コレステロール、およびウイルスの少なくとも1種でよい。特に、生物学的流体が血漿含有流体であり、分析物がウイルスであってもよく、この生物学的流体は赤血球および/または白血球のような物質を含有しうる。本発明にかかる方法の1好適態様において、血漿が血液から分離される。
【0064】
本発明はまた、1列以上に配置された複数のノズルから溶融樹脂を押し出して軸線が該ノズル列に平行に配置された円筒形捕集部材の表面上に繊維を形成することを含み、個々のノズルが個々の繊維流れをそれぞれ包囲する個々の空気柱を生ずることを特徴とする、メルトブロー法による繊維質不織ウェブの製造方法も提供する。1態様において、この方法は、平行な2列に実質的に等間隔で直線的に配置されたノズルから溶融樹脂を押出して、長軸がノズル列と平行になるように配置された円筒形捕集部材の表面上に繊維を形成することを含む。ここで、ノズルの各列は互いにオフセット状にずれて、かつ互いの方を向くように角度をつけて配置されている。2列のノズル列は、好ましくは各列内のノズル間隔の約1/2だけ互いにずれており、かつ好ましくは実質的に等しいが反対向きの角度で互いの列の方を向くように角度で傾斜させてある。例えば、ノズルの各列は、円筒形捕集部材の中心を起点とする垂直な鉛直線から約25°以下、好ましくは約5〜20°、より好ましくは約10〜16°の角度で傾斜させてある。
【0065】
ノズル列を円筒形捕集部材に平行に整列させることが多くのまたは大部分の用途にとって好ましいが、別のやり方として、ノズル列を円筒形捕集部材の軸に対して、例えば5〜20°の角度をなすように配置することもできる。また、ノズル列はさらに、繊維流の中心線が円筒形捕集部材の外面線と一致するように配置してもよく、或いは繊維流の一部または全部が円筒形捕集部材の前進面に当たるように片寄らせて配置してもよく、或いは繊維流の一部または全部が円筒形捕集部材の後退側と衝突するように片寄らせて配置してもよい。
【0066】
円筒形捕集部材は、一般には少なくとも約20 m/min、好ましくは約600 m/min を超えない任意の適当な表面速度で回転させることができるが、より高速の表面速度 (例、直径35 cm の円筒形捕集部材を約 900〜1000 rpmまたはそれ以上で回転させることにより得ることができる約1000 m/minまたはそれ以上) で、一部の用途に対してより優れた繊維質不織ウェブが製造されることもある。円筒形捕集部材は任意の適当な直径を有するものでよいが、直径は好ましくは約5〜150 cm、より好ましくは約10〜75 cm 、最も好ましくは約10〜44 cm である。
【0067】
ノズルと円筒形捕集部材との間隔、即ち、ダイ/捕集部材間距離 (DCD) は任意の適当な距離でよいが、好ましくは約 1.5〜15 cm 、より好ましくは約2〜12 cm である。態様によっては、DCDは約2〜8cm、または約2〜5cmとすることができる。円筒形捕集部材は好ましくは約2cm/回転以下の速度、より好ましくは約1cm/回転以下の速度、特に好ましくは約0.75cm/回転以下の速度で、並進(translation) させる。各ノズル列内でノズル間隔は任意の適当な距離でよいが、一般には約2cm以下、好ましくは約0.25〜2cm、より好ましくは約 0.1〜1.5 cm、特に好ましくは約0.37〜1.2 cm、例えば約 0.5〜1cmである。平行なノズル列の間の間隔も任意の適当な距離でよいが、好ましくはノズル列間のノズル先端同士の離間距離が約1〜2cmとなる間隔である。さらに、本発明の方法はノズル列の間に負圧を維持しながら実施することが好ましい。
【0068】
繊維質ウェブの製造
ノズルの1列配置
1列に配列した個々の繊維化ノズルから繊維質ウェブを捕集する配置は、図3に斜視図で示されている。各繊維化ノズル301 は二重マニホルド302 に接続され、このマニホルドの一部分は押出機からノズルに溶融樹脂を供給するように、残りの部分は加熱空気を制御された温度および圧力で供給するように配置されている。ノズル301 は1列に配置され、ノズル間相互の離間距離は、好ましくは約 0.4〜1.5 cm、より好ましくは約 0.6〜1.2 cmの範囲内である。このノズル配置は縞模様のある製品を生ずるが、それでもこの製品はより良好な繊維配列に関して現在の方式の製品より実質的に優れた特性を有している。また、この配置は、使用時により小さな粒子を除去し、使用寿命がより長い、より細い繊維を作ることができる。
【0069】
図3の装置により形成されたウェブは、シリンダ303 の外面上に直接ウェブを形成することができるような十分な厚さと凝集性とを有していてもよく、その場合にはシリンダからウェブを米国特許第4,021,281 号の方法で連続的に引き取ることができる。しかし、特にウェブの1平方cm当たりの重量が約3mg以下から10mgまでの場合には、ウェブを支持布帛304 の表面上に捕集するのが好都合となるかもしれない。支持布帛304 は、例えば安価な不織布でよく、製品ウェブの捕集と貯蔵に利用され、後でウェブは布帛と一緒にそのまま使用するか、使用前に布帛から剥がして使用する。
【0070】
繊維化ノズルの複数列配置
縞模様の形成を低減ないし解消する試みで使用した装置が図4Aおよび4Bに示されている。ここで、図4Aは、図3の装置とは繊維化アセンブリを4列配置の繊維化ノズルに置換した点だけで異なる装置の端面図であり、図4Bは図4AのA−A線に沿った上向きの断面図である。図4Bにおいて、401 は捕集面を示し、 402〜403 は1列106 個の直線的に配置された繊維化ノズルの列を示す。各列において繊維化ノズルは0.84 cm づつ離間しており、 402〜403 はこのような4列の1つであり、各列は互いに1.27 cm づつ離間している。図4Aにおいて、404 は回転シリンダであり、その周囲 180°に接して幅110 cmの滑らかな表面を持った不織布405 が走行する。この不織布に、4×106 =424 個の繊維化ノズル 402〜403 からの繊維流406 が、図4Aおよび4Bに示すように衝突し、不織布405 にゆるく結合した多孔質媒体407 を形成する。多孔質媒体407 は不織布405 から剥ぎ取り、別に再巻取りしてもよい。
【0071】
不織布405 が回転シリンダ404 の周囲を走行する際に、424 個の繊維流406 をこれに衝突させたが、各繊維流を発生するノズルはその斜め隣りのノズルと0.25cmの距離だけずらして配置した。各繊維流は、これが不織布405 の表面に衝突する際に約0.5 cm幅の帯状に積み重なることを肉眼で見ることができたこと、およびノズルは中心間距離0.21cmでずらして配置したことから、均一またはほとんど均一な繊維分布が得られ、従って縞模様の形成は減少ないし解消することが予想された。実際はそうではなく、1列のダイで得られたものよりかえって縞模様の形成が目立っていた。この縞模様は間隔が0.84 cm で、より透明性の小さい縞の間に、この縞の約半分の繊維量しか含んでいない透明な部分が介在していた。
【0072】
この装置の作動中に繊維流を注意深く目視観察すると、次の点が明らかとなった。繊維流を衝突させる不織布405 が図4Aおよび4Bに示した矢印の方向にダイの上方で移動するにつれて、第1列の106 個のダイ 402〜403 から生成した繊維流は不織布に衝突して106 個の繊維のウネを形成する。この各ウネにより、その後の3列から生成した各106 個の繊維流は、これを発生させたノズルの垂直方向から向きがそれてしまい、第1の列により形成されたウネの上にそれぞれの繊維の実質部分が堆積し、こうして、新たなウネを形成するのではなく、既に堆積した繊維のウネを拡大するようになる。再び図4Aおよび4Bに戻って説明すると、不織布が矢印の方向に移動するにつれて、ノズル 402〜403 は予想通りの位置に、即ち、ノズルと整列して、ウネを堆積した。しかし、残りの全部のノズルからの繊維流は、第1列のノズル 402〜403 により作られたウネの方に偏向することが肉眼で見られ、4列の最後の列は驚くべきことに完全に0.63 cm も偏向していた。こうして、中心間隔が0.84 cm のはっきりした縞模様の製品が得られた。
【0073】
この予想外な挙動を説明できると思われる空力学による定量的な説明はされていないが、定性的にベルヌーイの原理の結論を適用することができる。即ち、高速移動するガス流は、隣接する固体表面、この場合には先行する列の繊維化ノズルにより形成されたウネ、の方に偏向する。
【0074】
交差繊維流
本発明の交差繊維流メルトブロー方式の配置の端面図を図5に示す。図中、54は回転シリンダであり、その周囲を布帛53、典型的には使い捨ての不織布、が引っ張られて、金属製シリンダ54の周囲を再巻取りステーション (図示せず) の方に反時計方向に移動する。長さがウェブ53の幅より数センチだけ小さい二重マニホルド51から、高温空気と溶融樹脂が1列の繊維化ダイ (ノズル) 列に供給される。各繊維化ノズルは、シリンダ54の中心から引いた垂直鉛直線55に対して右方に傾いていて、59で捕集シリンダに衝突する繊維流を形成する。マニホルド52と繊維化ノズル57とを含む対向するセットが左方に傾くように配置され、58で捕集表面に樹脂を堆積させる。隣接ノズル間の軸方向 (紙に垂直方向) の間隔を距離Dとすると、2列のノズルは互いに0.5 Dの距離だけオフセットして (ずらして) 配置され、こうして繊維流は互いに交差するようにする。衝突位置での繊維流が重なる距離58−59は、本発明の実施では、1cmまたはそれ以上と大きくしてもよい。重なり距離58−59はゼロでもよく、また制限された負の重なり (分離) も状況によっては許容されうる。1cmまたはそれ以上から負の重なりに及ぶ重なり距離の全範囲にわたって、隣接する繊維流間の妨害は肉眼で検出することはできず、複数列のノズルについて上に説明した結果とは非常に大きく異なる観察結果である。その結果、この交差繊維流方式を用いて作製した媒体は、より均質で、縞模様の形成は解消されないが、減少する。
【0075】
重なりの程度はDCDにより部分的に決まる。DCDは、図5の配置では、ノズル先端56または57からシリンダ54の表面までの距離である。直径15 cm の捕集シリンダで、2組のノズル間の傾き角度が26°、ノズル先端56-57 の間の距離を1.4 cmに設定した時、好ましい重なり距離は、約6〜10 cm という比較的大きなDCDに対しては約 0.5〜1.0 cm、約4〜2.8 cmという比較的小さなDCDに対しては約0.23cmないしゼロである。
【0076】
一般に、より高密度で空隙率がより低く、引張強度のより高い多孔質媒体が望ましい場合、DCDはより小さくなる。本発明の方法のDCDは約 2.5〜11 cm の範囲内である。1態様において、DCDの範囲は約 2.7〜7.5 cmである。所望の製品を製造するのに変動させることができるDCD以外のパラメータとしては、ノズルの傾きの角度 (これは、一般には対称的であるのが好ましいが、目的によっては変化させることが有利なこともある) 、ダイ先端56とダイ先端57との間の間隔、捕集シリンダの垂直鉛直線55に対する対向させた繊維化ノズルセットの中心線からのオフセット (片寄り、もしあれば) 、ならびに繊維化する樹脂の温度、流量、および繊維化特性、さらには繊維化ノズルに送給する空気の流量、温度および圧力、が挙げられる。
【0077】
上述した操業条件の多くの変動を通じて、この交差繊維流方式は一貫して隣接する製品流れ間の相互作用を示さず、この方式で形成された繊維は、一定の幾何学形状の方式について予測されたように目標の表面上に集まる。
【0078】
走査方式
図6A〜6Cは、本発明の走査方式を示す。図6Aにおいて、マニホルド61は、図5のマニホルド51および52と同様に配置され、同じ機能を果たす。2つのマニホルドの間の領域は図示のように両端で包囲されて、キャビティ62を形成し、その下端には円筒形開口63が設けてある。図5のシリンダ54はシリンダ64に置き代わっており、布帛53は取り除いた。図6Bは、図6AのA−A線に沿った部分図であり、P−P中心間距離で配置された傾いているノズル65を示す。一方の列のノズルは他方の列のノズルから 0.5Pだけずれるようにオフセットされている。図6Cは、捕集シリンダ64の右端付近に配置した交差した樹脂流れを生ずる繊維化アセンブリ66の立面図を示す。
【0079】
使用時に繊維化アセンブリ66は固定しているが、捕集シリンダ64は、例えば約20〜600 m/min の範囲内の表面速度で回転させると同時に、1回転につき約0.01〜0.1 cmの速度で図6Cの右方に並進させてもよい。この回転および並進速度は、捕集シリンダ64が繊維化アセンブリを横断して破線で示される位置67に移動する間、一定に保持され、その間に繊維質ウェブ68が衝突する繊維により形成される。並進が終了するまでウェブの長さは伸び、捕集シリンダの全表面がウェブで覆われる。その後、得られた多孔質媒体からなるシリンダをその長さ方向に切り開き、その薄くなっている両端はトリミングして除去することができる。こうして形成されたシートをライトボックス (照明箱) 上で検査してもよく、均一で、目視で検出できる縞模様がないことが見られる。
【0080】
本発明の交差繊維流を使用しながら、繊維化ノズル寸法、ノズル配置、DCD、マンドレル直径、マンドレル回転速度、および樹脂組成の所定の組合わせを一定に保持して、1回転当たりの並進速度(以下、T/R) を、約0.04 cm 以下づつ増やしながら0.1 cm/回転以上に増大させ、こうして作製した各標本を次いでライトボックス上で順に検査していくと、製品中に平行な縞模様の存在が容易に見られるようになるT/Rに到達しよう。次いで、そのT/Rから約0.04 cm だけ戻すと、優れた均一性の製品が生成する。かかる製品が本発明に包含される。微かなまたは軽度の縞模様を示す本発明の交差繊維流を使用して作製した製品も、従来のメルトブロー法の製品と比べれば均一性に関してなお優れていることがあり、かかる製品も本発明に包含される。
【0081】
縞模様のない製品を生ずるT/Rの大きさは、ノズル間の間隔 (これは実際上可能な限り小さいほど好ましい) をはじめとする各種の因子により支配される。ノズル中心間の離間距離が0.76 cm の繊維化ダイ (ノズル) アセンブリを使用して本発明の実施例を製造した。これは、ノズル間の離間距離が1.02 cm の同様な装置を用いた先行試験があまりうまくいかなかったためである。しかし、ある種の状況下、例えば、非常に大きなDCDで操業する場合には、1ないし2cmを優に超えるノズル間の離間距離でも、縞模様のない製品を得ることができることがあり、かかる製品の本発明の範囲内に包含される。0.76 cm より小さいノズル間の間隔が望ましいか、可能となることもあるが、このような小さな間隔は空気流と樹脂流の通路の寸法といった設計上の観点から何らかの制約を受けるかも知れない。完全な均一性を達成するための他の基準は、回転と並進の速度であり、樹脂の送給はシート全長の生成の間ずっと一定としなければならない。
【0082】
本発明の実施例の大部分は、縞模様のない製品を生ずる最大T/Rの、例えば、1/4以下から1/2といった分数の大きさの好都合なT/R値を用いて実施した。可能な最大T/Rを調べるために行った実験 (実験条件は、空気ノズル直径が0.17cmと比較的大きく、空気温度は310 ℃であり、305 ℃の樹脂を0.51 g/min/ノズルで送給し、DCDは4.1 cmであった) において、0.12〜0.44 cm のT/R範囲内でライトボックス検査での優れた均一性が得られ、0.63 cm のT/Rまでは均一性はほぼ良好なままであった。0.76 cm のT/Rで目に見える縞模様が現れた。
【0083】
各種の繊維化条件で行った別の実験では、縞模様の状態の始まりはずっと低い値で起こることが認められた。その条件はたまたま次のようであった。縞模様発生がより低い値で現れ、次にT/Rをさらに約0.29 cm (0.76 cmのノズル間隔の0.375 倍) まで増大させると消失し、さらに縞模様が最小限になった「ノード」は0.48cm (0.76 cm のノズル間隔の0.625 倍) で観察された。
【0084】
交差繊維流方式を使って並進するシリンダに繊維を送給するという着想より前に、同じ繊維化ノズルで交互のノズル配置の2列ノズル (交差しない) および1列ノズルを含む他の種類の繊維送給方式に対して並進するシリンダを使用することを試みた。これらのいずれも、はっきりした縞模様のある製品以外のものを生じなかった。
【0085】
他の繊維化方式、例えば、「発明の背景」の欄で説明した方法に基づくものが、縞模様のない製品を生ずる可能性はあるが、かかる製品は繊維径や重量分布の均一性、ショット、ツイン化およびロープ化の発生のない点に関して劣っており、平均繊維径が約3〜5μm以下の媒体を製造することはできない。
【0086】
図6Aを参照すると、繊維化ノズルの配置は、ノズル先端でのノズル間の間隔N−Nが約 0.5〜3cmの範囲内、より好ましくは約1〜2cmの範囲内、さらに一層好ましくは約 1.2〜1.6 cmの範囲内となるような配置が好ましい。また、ノズルと捕集シリンダの中心からの垂直鉛直線との間の角度θは、両方のダイについて約5°以内の範囲で等しいが互いに反対方向の角度であることが好ましい。さらに好ましくは、角度θは約3〜25°の範囲内、より好ましくは約5〜20°の範囲内、さらに一層好ましくは約10〜16°の範囲内である。両側から発生する繊維の量および種類は互いに等しいのが通常は好ましいが、例えば、高い機械的強度を非常に細い線形径と組合わせるために、両側で異なる条件を使用して各側の操作を行うことにより、特殊な用途に有利な製品を製造することもできる。
【0087】
堆積させた多孔質媒体は長さ方向に切り開き、取り出した後、そのまま平らに置いて、例えば、診断デバイスの1要素として、またはフィルターとして使用することができる。或いは、これをカレンダ加工して、例えばその孔径を減少させ、所望の絶対除去等級(absolute removal rating) 、例えば、約1.0 μm以下 (例、約0.5 μm以下) の絶対除去等級を持ったフィルター媒体を得るようにしてもよい。絶対除去等級を決定する方法の例には米国特許第4,340,479 号に記載の方法が含まれる。
【0088】
図6Aおよび6Cの捕集シリンダ64は、適当な離型コーティングにより表面処理したものでもよい。多孔質媒体の厚み、空隙率、および他の特性によっては、円筒状の多孔質媒体をそのまま捕集シリンダから取り出して、例えば、内側から外側への流れを持つフィルターとして使用してもよく、またはプリーツ (折り畳み) 加工して、継ぎ目のないプリーツ加工フィルター要素を形成することもできる。
【0089】
本発明の交差繊維流配置は、繊維形成手段として本発明の走査方式と併用することが好ましい。なぜなら、それにより過剰スプレーによる繊維の損失を最小限にしながら高い繊維堆積速度と一緒に高い並進速度が可能となり、ノズルが平行な配列とは異なり、精確なロット毎の再現性を持つ非常に広範囲の特性を持った非常に均一な繊維質製品を製造するのに使用することができるからである。こうして製造された多孔質媒体は、単位面積当たりの重量、厚み、空隙率、細孔寸法、吸い上げ速度、および粒子除去能力といった特性に関して、適用できる試験の感度の範囲内で均一である。
【0090】
再び図6Aを参照すると、チャンバ62内に0ないし約3インチ水柱の範囲内の負圧を発生させる手段を接続部63に取り付けることにより、有用な操作モードが達成され、それによりより均一な製品 (その一部は実施例44に説明されている) が得られる。さらに、両方のセット (列) の繊維流が捕集シリンダ上で1直線上またはその付近において衝突することで、捕集されない繊維が最小限になるのを助けることが、交差繊維流方式の利点であるが、それでも比較的高い空気流量で操作する場合には、シリンダに達する空気の量が非常に多いため繊維の一部が捕集シリンダからそれて、排気ダクト中に失われてしまうことがある。チャンバ62に負圧を適用すると、繊維がそれるのを防止または軽減して、廃棄所への繊維の損失を0ないし0近くに減少する作用がある。
【0091】
交差流繊維化ノズルの向き、配置および形状を変化させ、樹脂流量、空気流量、および温度を変化させ、また、より大きなもしくは小さなオリフィスを持ったノズルを使用することにより、機械から引き取ったままで1μm未満から約20〜50μm以上までの平均繊維径を持ち、空隙率の範囲が約60%から約94%までで、厚みの範囲が0.008 cm未満から0.5 cmまたはそれ以上の媒体を製造することができる。例えば、良好な引張特性、制御された細孔寸法、厚み、繊維配向、および空隙率を持つかかる媒体を製造することができる。
【0092】
所望により、DCDを調整しながら上記のようにして複数回の通過を行って、所望の組合わせまたは配置の2種またはそれ以上の空隙率を持った単一ウェブを形成してもよい。例を示すと、こうして製造したウェブは第1部分と第2部分とを持ち、第1部分と第2部分とでは空隙率が異なる。例えば、ウェブの第1または上流側の部分は、ウェブの第2または下流側の部分より空隙率を高くすることができる。従って、1態様では、例えば生物学的流体から血漿を分離するデバイスにおいて、生物学的流体はまず例えば約80%以上の範囲内の所定の空隙率を持った部分に流入し、この生物学的流体から分離した血漿は、例えば約70%以下の範囲内の別の所定の空隙率を持った部分に流入する。
【0093】
別の態様において、繊維化ノズルの捕集シリンダに対する角度の配置を、徐々に変化する細孔構造と空隙率を持つウェブを製造するようなものにすることができる。
フィルターとして使用する場合、本発明に従って作製した媒体は、所望の細孔構造および/または濾過効率を与える。例えば、一部の態様では、本発明に従って作製したフィルターは、例えばOSU (オクラホマ州立大学) 試験により測定した粒子除去等級で1μmから200 μmまたはそれ以上を与える。その高い空隙率と、捕集された固体が圧力をフィルターの横断方向に増強することによる圧縮抵抗のため、これらの媒体を使用して長い使用寿命が得られる。
【0094】
本発明に従って、例えば、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート (PET) 、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフェニルスルフィド、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート) 、PETG (過剰のグリコールで重合させたポリエステル) 、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612 、ナイロン11、およびポリアミド−ポリエーテルコポリマー、例えば、ポリアミド/ポリアルキレンオキシドジアミンコポリマー (例、「80%ナイロン6と20%ポリエチレンオキシドジアミン」と表記されるナイロン6コポリマー) を含む多様な合成ポリマー材料からメルトブローウェブを製造することができる。
【0095】
媒体の特性表示に使用した用語と概念
次の各欄には、媒体の特性表示に使用した用語と概念の一部を簡単に説明する。対象となる具体的な用語および概念には、繊維径の評価、均一性の評価、空隙率の評価、診断デバイス、横方向流れ時間 (LFT) 、横方向拡散速度、臨界湿潤表面張力 (CWST) 、および多孔質媒体によるタンパク質結合が含まれる。
【0096】
これらの用語および概念は、実施例において本発明にかかる媒体の製造を説明するのに使用される。
繊維径の評価
繊維径が小さいと、繊維質多孔質媒体の用途の多くが実現可能になるか、又はより良好に機能する。例えば、光学的に透明な流体を得るため、またはマイクロメーター範囲の細菌または粒子を除去するために使用するフィルターは、より細い繊維を使用して作製したなら、圧力低下が低くなり、使用寿命が長くなるであろう。また、輸血される血液または血液製剤を処理するために作製されたフィルター、例えば、米国特許第4,880,548 号および第4,925,572 号の方法で作製されたフィルターは、より小さいサイズに作ることができ、従って同等またはより良好な除去効率を保持しながら内部保留量がより少なくなるので、血液のより大きな割合を患者に供給することができ、或いはフィルター内の血液保留量を増大させずにより効率的に作ることができる。
【0097】
市販のメルトブロー法で形成された多孔質媒体のサンプルを検査したところ、全ての媒体で、繊維の最小径に対する最大径の比が10より大きいというような繊維径分布を持っていた。これらの媒体の平均繊維径を光学顕微鏡または走査式電子顕微鏡を用いて正確に決定するのは、不可能ではないものの極めて困難である。例えば、繊維の最大径が最小径の約2〜4倍未満というように、範囲が小さければ、個々の繊維を識別して繊維本数を計数し、その直径を測定することは容易である。しかし、この範囲が10:1以上と大きい場合には、これは非常に困難である。典型的な市販の多孔質媒体において、同じ繊維が写真から逃げた後、恐らく再び戻ってきたり、或いは光学顕微鏡または走査式電子顕微鏡の焦点深度より下の深さに下がった後、恐らく再び上がってくるという現象が起こる。これらの理由から、従来のメルトブロー法により製造された繊維の繊維径の推定値は、例えば、1〜10μmというように範囲で表していた。かかる報告では、1本の10μm径の繊維には、1μm径の繊維の100 倍の平均化のための重みが与えられるべきであり、従って、1μm径の繊維を1、2本見たというのはほとんど影響力がない。
【0098】
実際、「1μmの繊維を含んでいる」製品を製造するのは容易であったが、繊維全体の平均径は、最小繊維径の何倍も (例、5倍以上も) 大きくなった。本発明の製品は、繊維径の範囲が従来の媒体に比べて1/3以下に狭くなり、100 本の繊維の直径を測定することにより約±5%と推定される精度で平均繊維径を求めることができる。
【0099】
ここに報告した繊維の平均直径 (平均繊維径) の評価は、特に指定しない限り、走査式電子顕微鏡を用いて実施し、それぞれ典型的には約20〜30本の繊維を含んでいるいくつかの視野を用いて、少なくとも100 本の繊維の直径を測定した。写真上で計数した各繊維に番号をつけ、その直径を記録した。最も細い繊維の直径を決めるための必要に応じて、2000×までの倍率を使用した。平均値は、二乗平均 (RMS) として、即ち、次式により算出した。
【0100】
【数1】


【0101】
式中、nは繊維の本数、dは各繊維の直径である。この式は、直径がより大きな繊維による重量と表面積へのより大きな寄与を考慮に入れている。Σnd/Σnで算出される算術平均(これを以下では平均繊維径という) の値は、本発明の製品については、約10%小さくなる。
【0102】
必要な場合、繊維の表面積を次式により算出した。
表面積 (m2/g) =4/(RMS繊維径(μm) ×ρ)
式中、ρは繊維を構成する樹脂の密度 (g/cc) である。
【0103】
この繊維径の評価方法を用いて、実施例3、4、5および7 (後述) に示すように、本発明の方法により、RMS平均繊維径が約1μmまたはそれ以下のPBT (ポリブチレンテレフタレート) およびポリプロピレン媒体を製造することができる。このスケールの対極側 (上限側) では、繊維径が30μmまたはそれ以上の均一な媒体も製造された。
【0104】
米国、ヨーロッパ、アジア、およびアメリカ大陸におけるメルトブロー繊維の製造業者を調査した結果、一般向けにメルトブローウェブを提供している13の製造業者が見つかった。各社に最小繊維径の製品サンプルの提供を求めたところ、9社が要請に応じた。平均繊維径が3μm以下であると説明されていたサンプルについて、80℃でのガス吸着 (BET法) を用いて平均繊維径を算出することにより評価した。平均繊維径が1.8 μmより小さいものはなく、大部分は3μmより大きかった。
【0105】
均一性の評価
本発明の方法は、メルトブロー法でこれまでに達成されたのより良好な均一性を持った製品を可能にする。
【0106】
メルトブロー法の製品の均一性を規定するのに使用できる試験としては、繊維径が均一であること;2本または3本の繊維が互いに撚りあわさっているロープ化がないこと;2本の繊維がその長さ方向にくっつき合っているツイン化がないこと;繊維径の範囲が比較的狭いこと;および最も重要なのは、重量と厚みがウェブの部位ごとに変動せず均一であることが挙げられる。繊維径がより均一に近い製品は、その孔径がより均一で、そのために濾過に使用した時により微細な粒子をより効率的に保持し、濾過された液体をより低い圧力低下で通過させるので、均一性がより小さい製品と比べた時により良好に機能する。
【0107】
ロープ化やツイン化は、繊維径を著しく増大させ、繊維の寸法分布の均一性をより小さくするので、望ましくない。フィルターの一部が他の部分より重いか厚くなっていると、より薄い部分の粒子除去に関する効率が低くなり、より厚い部分はフィルターを液体が通過することにより発生する圧力低下が大きくなるので、フィルターの効率が悪くなる。不均一な媒体は、これを液体の横方向流れ移行に使用する診断デバイスに使用した時にうまく機能しない。
【0108】
空隙率の評価
空隙率の決定に必要なデータとしては、単位面積当たりのシートの重量、繊維の密度、およびシートの厚みである。媒体は圧縮性があり、不適切な器具を使用すると大きな誤差を生ずることがあるので、厚みの測定は容易ではない。本発明においては、7.62 cm 径のアルミニウム脚部が0.0001インチ (0.00025 cm) 刻みのゲージに取付けられている厚み計を使用した。この厚み計をその脚部と一緒にU型フレームに装着する。このフレームはその下側アーム上が平面になっており、その上に厚み計の脚部を載せる。この厚み計の脚部には60gの力のバネによる下向きの力が加えられており、それにより、脚部の80gの重量と一緒に、試験片に 140g、即ち3.1 g/cm2 の圧縮力が加わる。この力は、最も嵩高で圧縮され易い本発明の媒体でも約1%未満しか圧縮を生じない。
【0109】
こうして、空隙率は次式により%として算出した。
空隙率 (%) = (t−W/ρ)t-1×100
式中、t=厚み (cm) 、W=重量 (g/cm2)、ρ=繊維の密度 (g/cc) 。
【0110】
診断デバイスおよび横方向流れ時間 (LFT)
ナイロン膜、特に絶対除去等級5μmのナイロン膜が、特に医学的診断用のデバイスの1要素として、例えば、尿の検体と接触させて妊娠を指示するデバイス、または血中コレステロール濃度を測定するデバイスにおいて、濾過に近年広く使用されるようになってきた。これら及びその他の診断デバイスにおいて、多孔質媒体 (これは基体と呼ばれることもある) がそのデバイスの構造物の一部または全部として作用する必要があることが多い。次の節では、多くの変更例の中の1例だけであるが、多くの商業的に使用されている種類のデバイスの代表例として1つの構造物について説明する。
【0111】
診断デバイスの購入者 (個人、医師、獣医、医学研究所または病院かも知れない) は、例えば、尿、唾液、血液もしくは血漿、または他の体液といった検体を、一般に基体の一端の指定された位置に付着させることによりそのデバイスを一般に使用する。検体はすぐに基体に吸収された後、基体の毛管作用により基体中を拡散または横方向に流れるようになる。基体は、デバイスの製造業者により予め配置された不溶性粒子を含有していることがあり、さらには可溶性の試薬を同様にその試薬を適所に保持するように予め配置して含有することがある。予め配置した粒子は、ショ糖のような不活性結合剤により基体の繊維に結合させることもある。この粒子は、あれば可溶性試薬と一緒に拡散する試験流体により拾われ、可溶性試薬は次いで反応した検体と一緒にさらに横方向に拡散して、この混合物がさらに別の試薬または基体の形状により固定化されうる「捕捉ゾーン」に達する。捕捉ゾーンでは、反応した生成物を、例えば簡単な妊娠試験のように色の変化により肉眼で判定してもよく、或いは可視範囲内または範囲外で分光光度法により評価するか、pHもしくは電気伝導度の変化により評価するといった、各種の手段で評価してもよい。
【0112】
試験流体が基体中をその試験検体を付着させた地点から捕捉ゾーンまで拡散するのに要する時間は、横方向流れ時間またはLFTと呼ばれる。LFTは診断デバイスの機能遂行にとって重要である。例えば、LFTは予め配置した試薬の溶解が不可能となるほど小さくてはいけないが、試験の使用者ができるだけ早く結論に達することができるように、溶解時間等の要件と調和すれば、できるだけ小さい方がよい。
【0113】
例えば米国特許第4,340,479 号に開示されているものを始めとするナイロン膜は、かかる多様なデバイスにおいて横方向流れ用の基体として使用されてきたが、液体をより速く横方向に移行させる多孔質媒体、即ち、ナイロン膜を使用して得られたのより小さいLFTを持つ多孔質媒体が求められてきた。上記のナイロン膜に代わるものとして市販されているニトロセルロース膜は、LFTがいくらか小さいが、まだ多くのまたは大部分の用途にとって高すぎる値である。ニトロセルロース膜は、本来は親水性でないため、製造業者が界面活性剤を含浸させている。この含浸がないと、分析すべき検体により濡れず、従って検体が浸透しない。界面活性剤の存在は、これが試験検体中に溶解してその挙動を変化させる可能性があるため、診断デバイスの製造業者が非常に望ましくないと評価していた。しかし、それにもかかわらず、ニトロセルロース膜はそのLFTが、診断産業に望ましい値よりはなお高いことが多いが、ナイロン膜のLFTより低いため、一部の用途には使用されてきた。
【0114】
多孔質媒体を用いた診断デバイスに使用される構成は、従来は所望の特性を持った多孔質媒体の入手可能性により制限されてきた。本発明の態様は、このようなデバイスに使用するための広範囲の多孔質媒体を提供する。
【0115】
横方向拡散速度の試験
本発明の製品の横方向拡散速度を測定するため、慣用の試験における試験液体の横方向拡散を模倣した下記の試験操作を開発した:「ロイヤルブルーA1 0.303μm径ポリスチレン染色微球体、在庫番号D0003030PB」と表示された青く染色されたポリスチレン球の水中懸濁液を、米国インディアナ州カルメルのBangs Laboratoriesから入手した。試験に使用する前に、この懸濁液1部を水 250部に加えて、微球体の濃度を0.04%に低下させた。
【0116】
試験を行うために、ほぼ図8に従った装置を用意する。図8は、台82、直立柱83、および浅いキャビティ84を備えた透明プラスチック製の試験器具81を示す立面図である。試験懸濁液200 μL をキャビティ84に入れて、プール85を形成する。試験する多孔質媒体から 0.5×7cmの寸法に試験ストリップ86を切り取り、その片側の縁部付近の一端から1、3、および5cmの地点に印 (マーク) をつける。次いで、試験ストリップの印をつけなかった方の端部を柱83の頂部に固定して、印をつけた方の端部を台82の上方で空気中に垂れ下がらせる。ピンセットを用いて、試験ストリップ86の垂れ下がった端部をプール85の中央に漬けると、ストリップは毛管作用によってプール中に保持される。前進する最前線が1cmの印から3cmの印まで2cm移行するのに要する時間と、これが1cmの印から5cmの印まで4cm移行するのに要する時間を測定する。
【0117】
基体の性質に応じて、青い球状粒子は液体の最前線と同時に前進することもあり、または青い球状粒子は遅れることもある。後者の場合には、別個の青い最前線(ビーズ最前線)が観察され、青い最前線と液体の最前線との間にはギャップがある。青い球状粒子が液体と同時に5cmの印に到達した (即ち、両者の前進する最前線が一致した) 場合には、ビーズ最前線の時間差 (遅れ) を0と記録する。青い球状粒子が遅れ、完全には前進しなかった場合には、5cmでの遅れの大きさを記録する。診断試験の適正な機能を果たすには、約1mmより大きいビーズ最前線の遅れは望ましくなく、遅れが0が非常に好ましい。
【0118】
臨界湿潤表面張力 (CWST)
広くは理解されていない多孔質媒体の重要な特性が臨界湿潤表面張力、即ち、CWSTである。CWSTは、例えば、米国特許第4,880,548 号に説明されている。簡単に述べると、多孔質媒体のCWSTは、一方の液体はその1滴を多孔質媒体の表面に落とした時に吸収され、それより表面張力がやや高い (例えば、2ダイン/cmだけ高い) 別の液体の1滴は吸収されないという関係にある、2種類の液体の表面張力の平均値に等しいと、上記米国特許には定義されている。好ましくは、以下により詳しく説明するように、本発明にかかるウェブはCWSTが約65ダイン/cmより大きく、より好ましくは約72ダイン/cmより大きい。
【0119】
多孔質媒体のCWSTは、その多孔質媒体のCWSTより表面張力が低い液体に使用した場合の挙動に著しい影響があることが見出された。本発明の各種製品は、ポリエステル、ポリプロピレン、または他の樹脂のいずれであろうと、製造されたままでは親水性でないことがあるが、診断用基体といった用途に対しては、親水性の状態に変えなければならない。親水性の状態とは、そのCWSTが水の表面張力である73ダイン/cmを超えた状態であると規定される。
【0120】
一部の態様では (例えば、特定の範囲内の横方向流れ時間 (LFT) を得ることが望ましい場合) 、本発明にかかるウェブは所望のLFTを得るために予め設定したCWSTを有するように製造してもよい。2以上の繊維質ウェブを備えた態様によっては、少なくとも2枚のウェブを、異なる所望のLFTを得るように異なるCWSTまたは異なる細孔直径もしくは細孔寸法を持つように製造してもよい。もちろん、少なくとも1枚の繊維質ウェブと少なくとも1枚の非繊維質多孔質媒体とを備えた態様においても、このウェブおよび/または非繊維質多孔質媒体を上記のようにして異なる所望のLFTを得るように製造してもよい。
【0121】
ウェブの表面特性は、例えば、湿式もしくは乾式酸化を含む化学反応、ポリマーによる表面被覆または付着、またはグラフト化反応によって、CWSTを変化させるように変性することができる。グラフト化反応は、ガスプラズマ、熱、バンデグラーフ加速器、紫外線、電子線、コバルト80その他の放射線源または各種の他の形態の放射線といったエネルギー源に露出させるか、或いはガスプラズマ処理を用いた表面エッチングもしくは蒸着により活性化させることができる。ガスプラズマ処理に関しては、典型的な方法は、例えば、少なくとも1種の有機または無機ガスを利用する。例を挙げると、単一のガス (例、酸素プラズマ) 、または2種以上のガスの混合物 (例、アンモニアプラズマとアルゴンのような不活性ガスのプラズマとの混合物) を使用した方法がある。本発明の一部の態様では、CWSTは米国特許第4,880,548 号、第4,925,572 号、第5,152,905 号および第5,258,127 号、ならびに国際公開番号WO 93/04673 に記載のように変性させることができる。
【0122】
例を挙げると、本発明にかかるウェブは、約58ダイン/cm以上、より好ましくは約65ダイン/cm以上の範囲内のCWSTを有する。一部の態様では、CWSTは約74〜78ダイン/cmである。別の態様では、本発明にかかるウェブは約80〜90ダイン/cm、例えば、約82〜88ダイン/cmの範囲内のCWSTを有する。さらに別の態様では、本発明にかかるウェブは約92〜98ダイン/cmのCWSTを有する。別の態様では、ウェブのCWSTは約100 ダイン/cm以上、例えば約 105〜115 ダイン/cmまたはそれ以上の範囲内である。
【0123】
本発明の実施例のいくつかでは、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 媒体を使用前に酸素プラズマへの露出という慣用手段により親水性にした。但し、この酸素プラズマ法は真のグラフトではなく、こうして製造した製品を周囲大気に曝さないように包装しなければ、貯蔵寿命は不十分となることがある。さらに、ある種の酸素プラズマ系は5分以上のグラフト化を必要とすることがある。
【0124】
従って、1態様において、後述するプラズマグラフト化法は、とりわけ、グラフト化に要する全時間が約5分未満 (例、約1分以下) のグラフト化系を与えるという利点がある。全時間は約40秒程度と短くなることがある。この態様において、CWSTは高精度で再現性のあるCWST値に増大し、この増大したCWST値は使用したモノマー種により決まり、時間や温度の変動にはあまり敏感ではない。
【0125】
この態様において、例えばアルゴンまたはヘリウムといった不活性ガスのプラズマに一定時間 (これは約10秒程度の短時間でもよい) 曝すことにより、繊維質媒体のCWSTを約±1ダイン/cmの範囲内の再現性で特定のCWST値に増大させる。次いで、例えば電源を切ることによりこのプラズマを停止し、不飽和モノマーの蒸気を一定時間 (これは20秒程度の短時間でもよい) 導入する。適当なモノマーとしては、ヒドロキシプロピルアクリレート (HPA) 、ヒドロキシブチルアクリレート (HBA)およびメタクリル酸 (MAA) 、ならびに他のアクリレートおよびアリルモノマーが挙げられる。
【0126】
この方法により本発明のPBT媒体を処理することにより得られるCWST値は、HPA、HBA、およびMAAで処理した場合で、それぞれ74、76、および76ダイン/cmであり、全て約±1ダイン/cmの範囲内である。
【0127】
この方法において、第1工程は数分程度と長くなることがあり、第2工程も数分間の持続時間となることもある。この方法はまた、第1工程の後に不活性ガスを約10μm以下の真空度まで除去する中間工程を含んでいてもよい。
【0128】
モノマーは、チャンバ内の蒸発器 (これにはヒーターを取り付けてもよい) を形成している金属表面上に送給してもよく、好ましい金属は高い熱伝導性と必要な耐薬品性とを兼ね備えていることからアルミニウムである。蒸発器は、グラフト化すべき媒体と一緒にガスプラズマチャンバ内に収容してもよく、その場合には蒸発器はプラズマ内に位置させても、或いはプラズマが生成しないチャンバ内の部分に位置させてもよい。第3の配置では、プラズマチャンバに連通させて付設した、通常はより小さい別のチャンバ内に蒸発器を収容してもよい。
【0129】
モノマーが室温で約10μm-Hg以下の範囲内の蒸気圧を有する場合には、蒸発器にヒーターと熱電対制御手段を取り付けることが好ましいが、モノマーの蒸気圧が室温で約10〜20μm-Hg以上であるなら、モノマーの蒸発に必要な熱は、蒸発器の嵩を大きくする、例えば、厚くすることで十分に供給でき、それによりモノマーを蒸発させるのに十分な潜熱が供給される。
【0130】
この方法において、モノマーは蒸発器内の表面に直接適用してもよい。その場合には、モノマー蒸気をプラズマチャンバ中に送給するため加熱する必要があるかも知れない。かかる加熱により液体のモノマーが重合することがあり、その蒸気が該モノマーの二量体または三量体を含有するようになるかも知れない。この望ましくない状態は、本発明においては、モノマーを蒸発器の上方の空間に比較的遅い速度で、好ましくは注射器からキャピラリを経て (例えば、約 0.1〜0.3 mmの内径の皮下注射針を経て) 送給することにより避けられる。かかる器具は、例えば約 0.1〜1.0 cc/minといった範囲内の速度でモノマーを非常に小さな液滴の形態で送給できることが判明した。
【0131】
従って、モノマーの流量は、この流体を液滴の形態で1滴づつ蒸発器に送給するように調整することができる。適当な皮下注射針の選択により、各液滴が蒸発器の表面に到達する前に蒸発するか、或いは許容されうる変更例として、各液滴が蒸発器の表面と接触するが、次の液滴がこの表面に到達する前に表面から蒸発するように操作することができる。後者の場合、蒸発器の表面はきれいなままであるように観察されることがあり、表面での滞留時間は非常に短いので、認めうるほどの重合は起こり得ない。
【0132】
混合モノマーの使用
混合モノマーを使用することが望ましいことがある。本発明により製造された媒体は多様な診断試験に使用でき、そのそれぞれが異なるタンパク質を含んでいることがある。例えば、固定化したいタンパク質の表面が正に帯電した部分を含んでいる場合、繊維質媒体の繊維表面は、固定化を達成するには負に帯電していることが好ましいことなる。これは、例えばモノマーとしてメタクリル酸 (MAA) を使用することにより達成できるが、こうして得られた結合力が望ましいものより強すぎることがある。モノマー混合物を使用して、例えば、タンパク質に対して低い結合力を示すヒドロキシプロピルアクリレート (HPA) をMAAに混合することにより、任意の所望範囲の結合力の程度を得ることが可能になる。
【0133】
好ましくは、各モノマーそれぞれ一定速度で送給する。この2種類のモノマーの混合物を調製し、次いでこの混合物を蒸発器上に注入しても、MAAは蒸気圧がHPAよりずっと高いので、所望の結果を生じないであろう。この場合、MAAがまず留出するので、グラフト化生成物は制御されない方式で変動することになる。この問題は、本発明の1態様に従って1滴づつ送給する方式を使用することにより克服することができる。1滴づつ蒸発するので、2種類の成分が所望の比率で一様かつ再現性ある方式で送給される。
【0134】
上記の2または3工程が終了した後、チャンバを排気し、次いで空気を満たして、グラフト化したポリマーを取り出すことができる。これをさらに処理することなく使用してもよく、或いは結合していない残留物質 (例、モノマー組成物中に存在していた不純物) を除去するために洗浄 (例、水洗) した後、乾燥してもよい。重量増加は多孔質媒体の表面積に依存し、約1%未満から約10%までに及ぶことがある。この操作中の温度は本質的に室温のままでよい。好ましいモノマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリル酸、さらにはアクリレートおよびアリル化合物のような他の類似の官能性のモノマー、およびグラフト化技術を熟知している者に公知の他の不飽和化合物、が挙げられる。
【0135】
上記方法の変形において、不飽和モノマーを不活性ガスの代わりに第1工程においてプラズマの形成に使用してもよく、同様の最終結果が得られる。
本発明のこの態様の顕著な特徴として、当業者に公知の他のグラフト化法とは異なり、広範囲の濃度および露出時間にわたって得られたCWSTが、疎水性のポリエステル基体を例えばMAA、HPA、またはこの両者の混合物で処理した時に約74〜76ダイン/cmの範囲内、HBAで処理した時に得られたCWSTは約72〜74ダイン/cmの範囲内と狭いという点である。
【0136】
永久的なグラフト化を達成する他の手段としては、例えばアリルもしくはアクリル部分をカルボキシル、アミン、アミド、ピリジンおよびピロリジン等の1もしくは2以上の親水性部分と一緒に含有するものといった多様なモノマーによる置換;ならびにコバルト80の照射、UV露光、もしくは電子線 [これはいずれも、その後で適当なモノマー (例えば、アクリル系アルコールでよい) の水溶液に曝した後、洗浄および乾燥しなければならない] が挙げられる。
【0137】
診断デバイスの基体として使用しうる多孔質媒体のCWSTは横方向流れ時間 (LFT) に重要な影響を及ぼすことがある。例えば、ある範囲のCWST値を得るために予め酸素プラズマで処理したPBT媒体のLFTは、CWST値が約100 ダイン/cmより高い時に最短になる傾向があり、他の点では同一であるが、CWSTが70〜80ダイン/cmの範囲の基体ではLFTはより長くなる。より長いLFTが必要な用途では、細孔寸法または空隙率を全く変化させずに基体のCWSTを低下させることにより一定の基体においてこれ (より長いLFT) を得ることができる。しかし、上述したような横方向流れ時間を変化させる他の方法の方が制御がより容易であり、従って好ましいかも知れない。
【0138】
多孔質媒体によるタンパク質結合
本発明の一部の態様では、本発明にかかるデバイスは、ウェブへのタンパク質結合が低減するようにタンパク質含有流体をウェブで濾過することができる。
【0139】
本発明は診断デバイスに使用することができる。診断用途では、試験すべき液体試料 (検体) を多孔質ストリップの一端に置き、液体はこのストリップを横方向に拡散する。診断デバイスを構成する多孔質ストリップは、その中心付近に予め配置した粒子を有していてもよく、この粒子は、流体試料がストリップに沿って拡散する際に流体試料中の特定のタンパク質を結合するように予め被覆された球形のものでよい。ストリップの繊維表面の機能は、使用前に予め配置された粒子を所定位置に保持し、その後の試験中は移動する液体が予め配置された粒子を押し流すようにすることである。この粒子はサブミクロンの大きさのものでよく、酵素、抗原または抗体に予め結合またはこれで予め被覆しておくことができる。この粒子は次いで液体の流れにより運ばれていく。流動する液体の成分は、懸濁液状態の固体粒子であろうと、真の溶液であろうと、これが通過する繊維表面への吸着により除去されるべきではないことが望ましいかもしれない。
【0140】
他の診断用途では、ある程度の接着が好ましい。これは、例えば、タンパク質性の反応成分で被覆された懸濁粒子を、製造および包装中に試験ストリップの所定位置に十分に保持するために繊維表面に接着させるためであるが、液体の試験試料がストリップの長さに沿って横方向に拡散する時に粒子が押し流されるのを妨げるほど強くてはならない。
【0141】
必要な接着の程度は、多孔質媒体の内面の組成や粒子の被覆に用いたタンパク質の特性、ならびに分析すべき検体の性質および対象となる分析物、に応じて異なる。
全部ではないが、多くまたは大部分の場合、溶解させた材料および/または粒子上の被覆は、少なくとも部分的にはタンパク質性である。ウシ血清アルブミン (BSA) および免疫ガンマグロブリン (IgG) の吸着はスクリーニング試験、即ち、ある多孔質媒体が溶液からタンパク質を吸着し易いか、しにくいか、または懸濁粒子を引き止め易いかどうか (粒子表面に結合したタンパク質の吸着により生ずるかもしれないような) を決定する試験、に広く使用されてきた。
【0142】
BSAまたはIgG試験を用いた本発明の媒体のタンパク質結合能力の評価により、ユーザーはその用途に最適の横方向流れ移動媒体の種類を選択することが可能となる。例えば、本発明のHPA処理媒体は、BSAまたはIgG試験で約5μg/cm2 のタンパク質吸着値を示すが、MAA処理媒体では、約5μg/cm2 のBSA吸着値と約40〜50μg/cm2 のIgG吸着値を示す。約5μg/cm2 と約50μg/cm2 の中間のIgG吸着値を持つ媒体が望まれることがあるかもしれないが、そのような媒体は、例えばMAAとHPAの各種割合での混合物を用いて調製することができる。例えば、30重量部のMAAと70重量部のHPAとを使用すると、IgG吸着値が約20μg/cm2 の製品が得られる。他のモノマーはモノマー混合物を使用して、本発明の方法を用いて、より高い、より低い、または中間のタンパク質吸着性を持った製品を得ることもできる。
【0143】
本発明において、例えば下記の実施例34〜36および41に記載したように、pH7の10 mM リン酸塩緩衝液および0.15M NaCl中に合計 250μg のBSA (シグマA2153フラクションV粉末、セントルイス、ミズーリ州) の中で250,000 cpm の 125I BSA(ICN 68031、コスタメサ、カリフォルニア州) を含有するBSA溶液2.5 mlを、試験すべき多孔質媒体の直径13 mm の円板形試験片に0.5 ml/minの流速でポンプ送給して通過させる放射化分析を用いたタンパク質結合性を求めた。この試験片を次いでホルダーから取り出し、吸着紙で吸い取り、ガンマーカウンター (ワラックRIA ガンマ、ゲイザーズバーグ、メリーランド州) で結合放射能について分析し、次いでこれから吸着されたタンパク質の合計量を算出する。
【0144】
タンパク質吸着量を求める別または補助的な方法では、タンパク質の代表的種類として免疫ガンマグロブリン (IgG) を使用した。IgGの放射能分析において、pH7の10 mM リン酸塩緩衝液及び0.15M NaCl中に合計 250μg のIgG (シグマI5256、セントルイス、ミズーリ州) の中で約250,000 cpm の 125I標識IgG (デュポンNEN, NEX-155、ウィルミントン、デラウェア州) を含有するIgG溶液2.5 mlを、試験すべき多孔質媒体の直径13 mm の円板形試験片に0.5 ml/minの流速でポンプ送給して通過させた。この試験片を次いでホルダーから取り出し、吸着紙で吸い取り、ガンマーカウンター (ワラックRIA ガンマ、ゲイザーズバーグ、メリーランド州) で結合放射能について分析し、次いでこれから吸着されたタンパク質の合計量を算出した。
【実施例】
【0145】
実施例1〜6
実施例1の多孔質媒体を製造するために、それぞれ21個の繊維化ノズルを備えた2列の繊維化部材を持つ繊維化アセンブリを用いて本発明の走査方式を実施した。各繊維化ノズルの空気孔の直径は0.13 cm で、これに温度304 ℃、圧力0.39 kg/cm2 の空気が供給された。それぞれ中心間距離0.76 cm の21個のノズルを備えた、2列の繊維化部材は、互いに0.38 cm づつ軸方向にずれるようにオフセットされ、垂直線から13°の傾斜角度で互いの方を向くように傾斜配置され、図6AのN−N距離は1.42 cm にセットされた。
【0146】
2組の交差する繊維流は、1ノズル当たり0.44 g/minの流量で293 ℃のポリブチレンテレフタレート (以下、PBT) 樹脂を送給した。2組の繊維流は、4.1 cmの距離 (即ち、DCD=4.1 cm) で直径15 cm ×長さ137 cmの捕集シリンダに衝突した。このシリンダは、512 rpm で回転させると同時に、124 cmの1行程長さだけ1回転当たり0.2 cmの速度で軸方向に並進させた。それにより、1.2 分で捕集シリンダの表面に0.0043 g/cm2の繊維質多孔質媒体が堆積した。この媒体をその後、長さ方向に切り開き、両端をトリミングして除去し、次いでシリンダから取り外すと、幅47.5 cm ×長さ102 cmのシートが形成された。その後、空気圧力とDCDを変化させてさらに5枚のシートを作製した。
【0147】
その結果を表1に実施例1〜6として示す。こうして形成した全部のシートをライトボックスで検査したが、いずれも縞模様がなく、均一であるように見えた。これらのシートは取扱いが非常に容易で、毛玉の発生やその他の目に見える表面混乱を生じずに積み重ねと取り出しを繰り返すことができた。24枚のシートを混ぜて重ねた状態で3カ月保管したが、その間に著しい寸法変化は起こらなかった。この寸法安定性の程度は、一部のものでは固体含有量が8体積%程度と低く、残りは空気であるプラスチック製品にとっては極めて優れている。
【0148】
【表1】


【0149】
実施例1〜6の全部が本発明の望ましい特徴である小さな横方向流れ時間を示す。実施例3、4および5の二乗平均 (RMS) 平均繊維径は、それぞれ1.0 、0.9 および1.0 μm (算術平均では0.9 、0.8 および0.9 μm) であり、現在または過去の市販のいかなるメルトブロー製品と比べても平均繊維径がより小さいと考えられる。実施例5および6は、これを通過させた懸濁液から非常に微細な粒子を除去することができる。例えば、オクラホマ州立大学 (OSU) で開発され、それ以来、燃料、潤滑油、および液状食品といった液体を扱う広範囲の産業により標準として採用されてきたF−2試験を用いて試験した時に、実施例6の媒体は、1回の通過で直径が1μmより大きな粒子を除去することが示され、その時の圧力低下は低く、使用寿命は長く、粒子除去効率は99.9%を超えた。
【0150】
6例の実施例の全部で、機械直交方向 (即ち、シートの長さ(102 cm)方向に対して垂直な方向、以下CMDという) の引張強度が、機械方向 (MD) の引張強度と比べて実質的に高くなる。例えば、実施例2、3および4では、この引張強度の比はほぼ4:1である。これは、繊維の配向の程度を反映している。本発明の方法を用いて作製したより高い方向性を持つ媒体の例は、図7のSEM写真に見ることができる。
【0151】
表1のデータは、捕集シリンダを1回だけ横断させて得たものである。しかし、捕集シリンダをその行程の最後から逆方向に戻して往復させることにより複数回の横断を採用することもできる。これは、例えば厚いウェブを捕集する時にしばしば有利であり、多数回の通過の採用により捕集された媒体の厚みを見込んでDCDを調整することが可能になる。このようにして、厚みが1cmまたはそれ以上までの均一な構造のウェブ、或いは恐らくより適切には綿状物(batting) を製造することができる。
【0152】
実施例7
実施例7の多孔質媒体を製造するために、それぞれ21個の繊維化ノズルを備えた2列の繊維化部材を持つ繊維化アセンブリを用いて本発明の走査方式を実施した。各繊維化ノズルの空気孔の直径は0.106 cmで、これに温度332 ℃、圧力0.74 kg/cm2 の空気が供給された。それぞれ中心間距離0.76 cm の21個のノズルを備えた、2列の繊維化部材は、互いに0.38 cm づつ軸方向にずれるようにオフセットされ、垂直線から13°の傾斜角度で互いの方を向くように傾斜配置され、図6AのN−N距離は1.42 cm にセットされ、DCD (ダイ/捕集部材間距離) =3.3 cmであった。
【0153】
2組の交差する繊維流は、1ノズル当たり0.134 g/min の流量で、318 ℃のポリプロピレン樹脂を供給した。2組の繊維流は直径15 cm ×長さ137 cmの捕集シリンダに衝突し、このシリンダは、175 rpm で回転させると同時に、125 cmの1行程長さだけ1回転当たり0.11 cm の速度で軸方向に並進させた。それにより、6.5 分で捕集シリンダの表面に0.0054 g/cm2の繊維質多孔質媒体が堆積した。この媒体をその後、長さ方向に切り開き、両端をトリミングして除去し、次いでシリンダから取り外すと、幅47.5 cm ×長さ102 cmのシートが形成された。こうして作製した0.0054 g/cm2のシートは厚みが0.056 cmで、空隙率は89%、直線平均繊維径は0.8 μm、二乗平均繊維径は0.9 μm (以下では平均繊維径は全て二乗平均 (RMS) 直径で報告する) であった。
【0154】
この製品の220 倍での走査式電子顕微鏡写真を図7に示す。この写真で、機械方向は水平方向である。繊維は主に垂直線の左右にほぼ等しく機械直交方向に配向しており、左右それぞれ垂直線に対してほぼ10〜15°の角度をなしている。図7で目についた別の点は、従来のメルトブロー媒体の特徴であった、ロープ化、ツイン化およびショットが相対的に存在しないことである。
【0155】
引張試験を行った結果は次の通りであった。
MD CMD
引張強度, kg/直線cm: 1.67 7.5
伸び, %: 49 12
引張強度についてのCMD/MDの比は4.5 であり、図7に見られた繊維配向を反映している。
【0156】
実施例8
本発明の実施例3と同様にして、PBT樹脂のシートを調製した。このシートから 0.5×7cmの試験片をMDとCMDに各5枚づつ切取った。10個の各試験片の一端を約0.3 cmの深さまで水中に浸漬し、水が2cm上昇するのに要する時間を観察した。機械方向の平均時間は15.9秒で、機械直交方向の平均時間は9.6 秒であった。このデータはシートの繊維配向を反映しており、毛管拡散速度は、主要な繊維配向方向であるCMDの方がより大きい。
【0157】
実施例9〜16
実施例7の装置と実施例7と同様の方法をポリプロピレン樹脂で使用して、実施例9〜16のシートを調製した。機械のセッティングと得られた平均繊維径を表2に示す。シート重量はこれらの全実施例で同じ0.0043 g/cm2であった。繊維径は 1.4μmから15μmまでに及んだ。全部の製品がライトボックスの検査で均一であった。
【0158】
【表2】


【0159】
実施例17〜24
実施例1〜6の媒体を酸素プラズマ処理してその表面を変性させた。この処理後のそれらのCWSTは100 ダイン/cmであった。その後、各サンプルから試験用ストリップを切取り、上述した横方向流れ試験に付した。結果を表3に示す。全試験片が遅れ (時間差) 0であり、その横方向流れ時間は全て診断デバイスに使用するのに要求される範囲の下限付近になる傾向がある。比較のために、細孔寸法12μmのニトロセルロース膜と細孔寸法5μmのナイロン膜の試験片を同様に試験したところ、横方向流れ時間は非常に長くなることが示された。
【0160】
【表3】


【0161】
MDでの横方向流れ時間はCMDでの時間に比べて17〜45%長くなり、繊維の配向を反映している。CMDでの試験では、試験懸濁液は小さな角度で、即ち、繊維方向に対して平行により近い角度で、流れると考えられ、その結果、より速い液体流れが得られ、その際に懸濁液中の微球体の通過の妨害は認められない。MDでの試験では、液体はその流れの方向と垂直に近い角度で配向している繊維を通過して流れなければならないので、液体流れは繊維に妨害され、LFTがより長くなる。
【0162】
液体懸濁液の流体力学によれば、流れが隣接表面に平行または平行に近い時には、粒子は表面から離れて移動する結果、粒子が表面に吸着される可能性は小さくなる。これに対して、繊維配向と垂直方向または垂直に近い方向の流れは、衝突および吸着の可能性が増大する。この理由から、粒子の付着を最小限にしたい場合には、平行に近い配向が好ましい。例えば捕捉ゾーンにおいて、またはサンプルの望ましくない成分を除去するために、吸着させたい場合には、機械方向に流れる基体を用いると、これを達成または助けることができる。このような利点の他に、1つの等級の媒体で2つのLFT時間を自由に使えるいう、ユーザーにとって便利なファクターも得られる。
【0163】
実施例25
空隙率を約60%から約96%まで変化させて本発明の多孔質媒体を作製した。溶融樹脂の供給速度を比較的低くし、DCDを大きくすると、より高い空隙率が得られる。反対に、より低い空隙率 (即ち、より高い密度) を得るには、DCDを小さくし、樹脂の流量を増大させればよい。
【0164】
一定範囲の横方向流れ時間を得るために、全部の試験片について平均繊維径が約6〜10μmの範囲内となるように条件を調整し、シート重量が0.0053 g/cm2と一定のまま、空隙率を65%から93%まで変動させた一連のPBT媒体を調製した。酸素プラズマに露出した後のCWSTは 100〜110 ダイン/cmであった。結果を図9にグラフで示す。この図は、よく制御された2cmおよび4cmのLFTを示しており、2cmのスパン(距離) でのLFTは7秒から64秒まで変化する。4cmおスパンでの対応する値は26秒から約70秒以上までの範囲に及ぶ。全ての測定値が (ビーズ最前線) 遅れ0を示した。
【0165】
実施例26〜30
多孔質媒体のLFTを変化させる別の手段は、例えばカレンダ加工により厚みを減少させ、その空隙率を低下させることである。DCDをより小さくしたことを除いて、実施例26は実施例2の調製に使用したようにして調製した。次いで、実施例26のシートの一部をカレンダ加工して厚みと空隙率を減少させ、その後に酸素プラズマ処理を行って、実施例26〜30のシートを調製した。そのLFTデータを表4に示す。
【0166】
【表4】


【0167】
LFT試験中に遅れは見られなかった。これらのLFT値は、診断デバイスの製造に最も有用であると期待される範囲をカバーしている。カレンダ加工により発現した非常に平滑な表面、増大した強靱さ、および耐摩耗性は、製造の自動化を容易にするのに貢献し、美観面でも好ましいかも知れない。
【0168】
実施例31
機能面で実施例26〜30と同様の1組のシートを、繊維径を変動させ、空隙率とCWSTを一定に保持して調製する。試験片の繊維が細くなるほど、横方向流れ時間は長くなるので、繊維径に対するLFTの変化を示すプロットを作製することが可能である。このプロットは所望のLFT値を持つ媒体を調製するのに有用であろう。
【0169】
実施例32
機能面で実施例26〜30と同様の1組のシートを、単一グレードの多孔質媒体を使用し、各試験片のCWSTを73ダイン/cmから110 ダイン/cmまでの範囲で変化させて調製する。横方向流れ時間は、CWST>100 ダイン/cmでの約10秒から、CWST=73ダイン/cmでの25秒以上までの範囲に及ぶ。得られたLFTデータを次いでCWSTに対してプロットすると、所望のLFT値を持つ媒体の製造が可能となる。
【0170】
実施例33
実施例2のようにして調製した基体を23×25 cm に裁断し、約25 cm の間隔で離間させた2つの27×30 cm の電極を備えた50リットルのチャンバの中心のフッ化炭素棒からぶら下げた。5μm-Hg未満の圧力に排気した後、真空ポンプ吸引を続けながら、チャンバ内の圧力を110 μm-Hgに維持するのに十分な流量で、ヘリウムをチャンバ内に流した。電極に13.56 MHz で500 ワットの電気を30秒間通電してプラズマを発生させた。この後、ヘリウムの流量を0に減らし、電源を切り、その間も真空ポンプ吸引は圧力が3μm-Hgに低下するまで続けた。
【0171】
その後、真空バルブを閉じ、液状のヒドロキシプロピルメタクリレート (HPA) モノマー2ccをチャンバ内に計量して導入した。次いで、チャンバ内の圧力を約200 μm-Hgまで急上昇させ、次の3分間で約450 μm-Hgに上昇させた。3分間の露出が終了したら、チャンバをポンプ吸引して圧力を約20μm-Hg以下に下げ、空気をチャンバ内に流入させて圧力を大気圧に上昇させた。その後、チャンバの扉を開け、試験片を取り出した。グラフト化による重量増加は5.9 %であった。全面積にわたって約4.5 cm間隔で行ったCWST試験では、76ダイン/cmの一様なCWST値を示した。この値はその後も安定に保たれた。LFT試験を試験片について行ったところ、CMDでの時間は2および4cmについてそれぞれ15および48秒であり、MDでの時間は2および4cmについてそれぞれ24および72秒であり、全て遅れは0であった。
【0172】
上記のグラフト化法を、不活性ガスとしてネオンおよびアルゴンの使用、ならびにプラズマ発生のためにHPAそれ自体の使用、圧力を約30〜600 μm-Hgの範囲内で変動、露出時間を不活性ガスプラズマに対しては約10〜120 秒、モノマーに対しては約30秒〜5分の範囲内で広範囲に変動、を含む多くの条件変更を行いながら繰り返した。注目すべきことに、結果が放射線強度、試薬濃度、および露出時間により変動することがあるある種の他のグラフト化法とは異なり、全部のグラフト化生成物が、その全面積にわたって74〜76ダイン/cmの一様な処理後のCWST値を示した。40 KHzの周波数で作動するより大型の装置にスケールアップして45×100 cmのシートを処理したところ、本質的に同じ結果が得られた。
【0173】
例えば、メタクリル酸およびN−ビニルピロリジノンといった他のアクリレートモノマーも、別のCWST値を得るのに有効であることが証明され、化学的に考えると、1または2以上の接近可能な二重結合を含有し、室温で十分な蒸気圧を有する化合物が反応に使用でき、それによりそのCWST値やLFT速度の変化を含む多様な結果を生ずるものと考えられる。CWST値の変化の他の利点として、例えば、異なるCWST値により所望の流体との媒体の適合性が改善されうることがある。例を挙げると、硫酸、フッ化水素酸、および水酸化ナトリウムの水溶液は表面張力が80〜115 ダイン/cmの範囲内であり、高いCWST値を持つ媒体がなければ、これらの液体の濾過媒体への通過が阻害される。
【0174】
実施例34〜35
実施例1および2の方法を用いて本発明のPBT製品を調製し、次いで実施例33のヘリウムプラズマ−HPA上記露出方式を採用して繊維表面を76ダイン/cmのCWSTに変性した。得られた2つの試験片のそれぞれ一部を、直径13 mm の円板形のフィルター・ホルダー中に装着し、放射性標識したウシ血清アルブミン (BSA) の溶液をフィルターに流して通過させた。その後、流出液の放射性濃度を測定し、得られたデータを使用して、吸着されたタンパク質の重量を算出した。2種類の試験片、実施例34および35、について得られたデータを表5に示す。
【0175】
【表5】


【0176】
実施例36
米国特許第4,340,479 号の方法により作製した細孔寸法0.2 μmのナイロン膜のシートを、上記のBSA試験を用いて試験して、そのタンパク質吸着特性を求めた。同じシートから切取った9×10インチの試験片を、実施例33の方法を用いてグラフト化した。グラフト化前および後のBSA吸着量は、それぞれ114 μg/cm2 および3.7 μg/cm2 であった。メタノール洗浄、水洗、および乾燥後に、グラフト化後の試験片のBSAは2.4 μg/cm2 に低下した。
【0177】
実施例37〜40
ナイロン6約80%とポリエチレンオキシド−ジアミン約20%とを含むコポリマーを使用し、実施例1の装置および方法を利用して、ノズル当たり344 ℃の樹脂流量を0.61 g/minにし、361 ℃で空気を供給して、50×100 cmのシートを調製した。DCDは4.1 cmとし、空気圧力は0.56〜1.25 kg/cm2 の範囲にわたって変動させて、平均繊維径が2.5 および5.6 μmの媒体を作製した。同様にして、別に平均繊維径が8.1 および10.2μmの同じ組成の媒体を調製した。これら4枚の各シートの空隙率は約74%であり、CWSTは4枚のシート全てについて92ダイン/cmであった。LFT値を測定した結果を表6に示す。
【0178】
【表6】


【0179】
表6および図10に示したデータが示すように、CMDとMDのどちらも、平均繊維径が増大するほど、図10の平均繊維径に対するLFTのプロット (これは表6のデータを反映している) に示すように、ほぼ直線的にLFTが低下する。
【0180】
実施例41
BSA試験で測定したように、実施例37〜40のナイロンコポリマーはタンパク質吸着量が本来的に少なく、13 mm の円板試験片についての吸着量は、平均繊維径2.5 μmでの約8.3 μgから平均繊維径10.2μmの試験片での1.2 μgまでの範囲内であり、これらの値は多くの用途に有用である。しかし、例えば、診断デバイスの捕捉ゾーンに信号物質を固定する、或いは望ましくない成分を除去する、といった他の用途では、より大きなタンパク質吸着量が好ましい。それらに対しては、実施例33の方法を適用するが、HPAをアンモニアまたはアミン、好ましくは第三アミンに代えて繊維表面にアミン基を存在させるか、或いはメタクリル酸または類似の酸性アクリレートに代えてカルボキシ基を存在させるように変性してもよい。
【0181】
タンパク質吸着量の増大を実証するため、実施例37のナイロンコポリマー製多孔質媒体を実施例33のグラフト化処理法を用いてグラフト化した。この処理では、第1工程にヘリウムを、第2工程にはアンモニアを使用し、処理後の製品についてBSA試験を行った。BSA吸着量は13 mm の円板形試験片当たりで60μgであった。同様の試験で、第2工程にメタクリル酸を使用すると、59μg/13mm円板の吸着量が得られた。これらの変更例から、アルカリ性または酸性基の選択が可能となる。
【0182】
実施例17〜41は平均繊維径が約1〜10.2μmの範囲内でメルトブロー繊維質媒体を調製した。平均繊維径を約20〜25μm程度に大きくして同様の製品を作製したが、比較的空隙率が高い媒体では、毛管力が非常に小さくなって、媒体のストリップを垂直に近い位置にした時には横方向流れ時間が長くなることがある。この理由から、約10〜20μmより上の範囲内の繊維径はあまり望ましくないが、約70〜80%より小さい空隙率と組合わせて使用することはできる。
【0183】
多層製品
本発明によると、多孔質媒体は多層製品として使用してもよい。例えば、使用および/または製造の容易さのために少なくとも1枚の追加の層を設けることが望ましいことがある。この追加の層は、支持もしくは保護を与えるため、ならびに/またはある層から他の層への流体の移行を可能にするために使用できる。
【0184】
例を挙げると、本発明の多孔質シート状媒体は、例えば診断デバイスに使用する場合のように、用途によっては硬さ (剛性) が不十分なことがある。また、製造中の機械的損傷または使用中の乱暴に対して多孔質媒体を保護することが望ましいこともある。さらに、自動化した製造ライン内の移送をより好都合にするために多孔質シートを支持フィルムに接合する、例えば、写真フィルムに使用されているのと同様のスプロケットに一致させた孔を設けてあってもよい帯状のフィルム (例、ポリエステルフィルム) に多孔質シート状媒体を接合させることが望まれることもある。デバイスによっては、2層以上の多孔質媒体の層を、層間の流体の自由な移動を可能にしながら一体に接合することが必要となる。
【0185】
流体の移動に関して、診断デバイス、例えば、血液の検体から血漿を分離するのに用いるデバイス、のような一部のデバイスでは、血漿は膜内に自由に流入および通過させながら、血液中に含まれる赤血球は保持して膜への流入を不可能にするような細孔直径を持つ膜フィルターに、1枚の繊維質材料製多孔質シートを取り付けて使用する。診断デバイスの例は、例えば、米国特許第5,266,219 号に開示されている。
【0186】
血液から血漿を分離するためのデバイスはこれまで完全に満足できるものはなかった。その理由としては2つ考えられる。まず、その上に血液検体を落とす上層を構成する多孔質媒体は、製品に再現性を与えるのに十分な程度の均一性を持ったものが入手不可能であった。入手可能な最良の多孔質媒体でも肉眼で縞模様が見え、縞模様のより暗い部分の材料重量が縞模様のより明るい部分の材料重量の約2倍以上となるような縞模様が肉眼での観察で明らかに認められるように、均一ではなかった。
【0187】
第2の原因は、多孔質媒体と膜との間の結合が弱いことであった。透過性の接着剤が入手できなかったため、2層を単に一緒にプレスしただけであるので、非常に弱い結合しか形成できなかった。か弱い結合を得るのにも多孔質媒体の過大な圧縮を必要としたので、繊維質媒体の空隙率が望ましくない低水準に低下した。上記および類似の用途において、本発明の方法を使用して、最小限の圧縮で2層を一体にしっかり結合することができ、多孔質層内の流体の高い透過性を保持しながら、高強度の結合を発現することができる。
【0188】
結合すべき表面は、本発明の走査方法を利用して、片面または両面に結合剤として繊維形状の低融点樹脂を堆積させることにより、結合のための準備をしておくことができる。好ましい樹脂としては、ガラス転移温度が室温より低く、融点または軟化点が結合すべき両材料より低いものが挙げられる。多様な樹脂が好適である。ポリエチレンおよびPETG (過剰のグリコールを用いて得たポリエステル) が、例えば、PBT、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、およびその他の固体かつ多孔質の材料の結合に使用できる低融点結合用樹脂の例である。
【0189】
例えば、本発明の走査方法を利用して、低融点樹脂を、好ましくは約2〜10μmの繊維径の結合用繊維約1〜20 g/m2 、より好ましくは約3〜7μmの繊維径の結合用繊維約2〜5g/m2、を堆積するように調整した樹脂送給量および走査速度で繊維化する。この結合用繊維は、接合すべき表面の片方または両方に衝突させる。
【0190】
結合用繊維は、2枚の繊維質シート同士の結合にも、また1枚の繊維質シートと1枚の固体シートとの結合にも使用することができる。後者の場合、結合用繊維は繊維質シートと固体シートのいずれに堆積させてもよい。結合を達成するため、一方または両方に結合用繊維を堆積させてある2層を、結合を得るのに十分時間だけ結合用繊維の軟化点より高温に加熱しながら軽い圧力を加える。片方の層が比較的薄い場合、2層の結合を得るのに要する時間は約10秒以下でよく、一般に結合を得るのに必要な時間より長くするべきではない。
【0191】
なぜなら、時間が長くなると、溶融した結合用繊維が毛管作用によって多孔質媒体中に吸収され、結合が弱くなることがあるからである。好ましくは、より薄いか、および/または熱伝導度がより高い側の層を加熱して、結合用繊維の融点より高温に昇温させる。その間、そのウェブともう一方の媒体は軽く圧縮する。加熱を取り除くと、有効な結合が既に生じていよう。2層がいずれも透過性の場合には、得られた結合した2層は、同じ媒体の結合していない2層に比べてごくわずかだけ低い透過性を示すであろう。
【0192】
結合用繊維の繊維径および単位面積当たりの重量は、これが適用 (堆積) される表面の面積の約1〜30%、好ましくは約1〜10%、より好ましくは約2〜5%だけ結合用繊維が覆うようにする。このより好ましい範囲では、結合用繊維を堆積させた表面の約95〜98%は、結合用繊維で覆われずに残る。このようにして、多孔質媒体と膜との間の毛管作用による血漿の移動は阻害されずに素早く進行することができ、同時にこの2層間の十分な接着は確保され、しかも接着時に軽い圧縮しか使用しなかったので、2層の厚みは最初の厚みから大きくは減少させる必要がなく、実際に全く減少していないこともある。
【0193】
1例として、実施例19および20の製品を上層とし、例えば、米国特許第4,340,479 号に従って製造したナイロン膜のようなナイロン膜に結合させた場合、上層に1滴の血液を滴下すると、数秒以内にナイロン膜が赤血球を含まない血液で飽和されよう。上層とナイロン膜を、例えば図19に従って、ナイロン膜の一部が上層からはみ出るように互いに結合させると、ナイロン膜のはみ出し部分は透明な血漿の横方向拡散によりすぐに飽和されるので、この部分をその後で多様な診断試験に利用することができる。
【0194】
2層間の接着が、例えば、輸送、包装からの取り出し、および試験操作の第1段階での使用といった初期期間の間には結合が十分であるが、試験操作の第2段階では容易かつきれいに剥がすことができるようにすることが望ましいこともある。これは、上記の結合方法において、結合用の繊維の使用量をずっと少なくするか、より細い繊維を使用するか、またはこの両者の組合わせによって容易に達成される。
【0195】
2層の結合を達成する好ましい方法においては、図11に示すような配置の装置を使用して、多孔質媒体を形成するのと同じ作業中に結合用繊維を出来上がった多孔質媒体上に堆積させる。図中、2つの繊維化部材1012と1013のうち小さい方が結合用繊維用であって、捕集シリンダ1011上に本発明の多孔質媒体が形成されたすぐ後に、この媒体上に結合用繊維を堆積させていく。繊維化操作は全て、繊維を衝突させる捕集用シリンダ1011が矢印の方向に走行する間のシリンダの1行程の移動中に行う。
【0196】
上記の診断デバイスに使用する製品はまた、本発明の繊維質媒体が入手可能となったことから、これを従来入手可能であった不均一な繊維質媒体の代わりに使用することで著しく有利となる。本発明の方法により、空隙率が非常に均一でより高い (例えば、実施例3の94%の空隙率を持つ) 媒体のより薄い層が提供されるので、例えば10μL の血液といった非常に少量の血液サンプルから高い効率で血漿を得ることが可能となり、それでもなお診断試験を行うのに十分な量の血漿を与える。
【0197】
これらの改善により、米国特許第5,266,219 号に開示されたものを含む上記の診断デバイスは、少量の血液サンプルから血漿を得るための遙かに改善された製品の自動化製造に非常に適している。
【0198】
本発明の結合方式の別の応用において、結合剤は膜または他の多孔質媒体の表面に予め適用しておく。この膜または多孔質媒体は約0.04〜10μmの範囲内の絶対除去等級を持つものでよく、これをその後、同時係属中の米国特許出願連続番号08/038,257号に記載の動的マイクロフィルターに使用するための溝つきプレートに結合させる。
【0199】
実施例42
図6の接続部62に3.2 cm-Hg の真空を適用し、本発明の交差繊維流及び走査方式を採用して、直径0.13 cm の空気ノズルおよび0.5 kg/cm2の空気圧力、302 ℃の樹脂温度でノズル当たり0.51 g/minのPBT樹脂流量、及び4.1 cmのDCDを使用して、45×100 cmの多孔質シートを調製した。得られた製品の厚みは0.020 cm、重量は0.0054 g/cm2であった。このサンプルのSEMを図12に220 倍の倍率で示す。この写真および隣接領域の3枚の写真に現れた全部の繊維の直径を測定した。
【0200】
繊維の95%以上が直径3.5 ないし7.7 μmの範囲内であった。即ち、最小:最大の比は1:2.2 であり、これはメルトブロー製品としては著しく狭い繊維径分布範囲であった。この製品の繊維径範囲が狭いことから、顕微鏡の手法によりRMS平均繊維径を決定することが実際的かつ迅速に可能となり、こうして求めた平均繊維径は5.9 μm、標準偏差は1.4 μmであった。本発明の他の実施例についても同様の手法で評価し、結果を表7にまとめて示す。
【0201】
実施例43
空気ノズルの直径を0.11 cm 、空気圧力を1.4 Kg/cm2、DCDを3.3 cmとした以外は実施例42に記載したようにして、本発明の交差繊維流及び走査方式を用いて、45×100 cmの多孔質繊維質シートを調製した。繊維径特性を表7に示す。
【0202】
実施例44
空気圧力を1.06 Kg/cm2 とした以外は実施例43と同じ方法で多孔質繊維質シートを調製した。繊維径特性を表7に示す。
【0203】
【表7】


【0204】
実施例45
実施例45は、空気ノズル直径を0.17 cm 、空気圧力を0.74 kg/cm2 、そして樹脂温度を304 ℃とした以外は実施例42と同様に調製した。得られた製品のSEM写真を図13に500 倍の倍率で示す。図12と比べると、図13は一見して均一性が低いように見える。分析したところ、数えた100 本の繊維のうち、39%の繊維 (前面に見えるもの) は 2.5〜4.5 μmの直径範囲内にあって、その平均直径は4.2 μmであり、SEMの下側の面に見えている残り61%の繊維は 1.1〜2.3 μmの直径範囲内にあって、その平均直径は1.9 μmであった。 2.3〜2.8 μmの間に見出されたのは、数えた100 本のうち1本の繊維だけであったのに対し、 2.2〜2.3 μmの間には23本の繊維が、 2.8〜3.5 μmの間には27本の繊維が見出された。
【0205】
これは明らかに2モード分布を確立しており、これは、直径の大きい方の繊維が繊維化ノズルから捕集シリンダに直接移行したのに対し、空力学的作用により脇にそれた繊維を表している直径の小さい方の繊維は、捕集シリンダに接触する前により長い距離を移動してきたと考えると、説明がつく。繊維は配向しているのが見られ、その移動および堆積の方向はCMDである。この2種類の繊維はいずれも、最大:最小の比が約2:1の直径範囲内にある。
【0206】
実施例46
実施例42 (図12) を、典型的な市販製品である図14に示す実施例46のSEMと比べることができる。この市販製品は、その繊維の90%が約 0.5〜5μmの直径範囲内にあり、従って最大:最小比は10:1であった。但し、写真の左上1/4の部分に見える奇妙な形状の塊りの繊維は数えなかった。かなりの数のツイン化した繊維と、数は少ないが軽度のロープ化にも注目されたい。
【0207】
実施例47
重量均一性の直接測定を、試験シートから1インチ平方の正方形を多数切り取って行った。かかる1試験では、本発明の方法を用いて作製した0.0064 g/cm2のポリプロピレンシートを、その96 cm 長さに沿って裁断し、91個の2.540 cm平方の正方形を得た。これはシートの長さ、即ち、機械方向を表す。各正方形を秤量し、その直線平均重量を算出したところ、確率誤差0.8 %で0.0410 gであった。シートの46 cm 幅の機械直交方向における重量均一性も、機械直交方向に39個の2.540 cm平方の正方形を切り取って同様に求めたところ、直線平均重量は0.0410 gで、確率誤差は0.7 %であった。これらの確率誤差の推定値のうち 0.2〜0.3 %またはそれ以上は裁断した正方形の寸法の誤差によるものかも知れない。
【0208】
実施例48
重量均一性の別の測定手段が、カリフォルニア州モンロビア、イースト・サイプレス・アベニュー730 のNDCシステムズ社製のβ線後方散乱装置103 型の使用により得られた。この装置に直径0.64 cm のレンズをとりつけ、このレンズに制御されたβ線ビームを通過させる。このレンズを、直径3.5 cmの周辺後方散乱捕集システムで包囲する。放射線の後方散乱量は、平均すると、シートの単位体積当たりの重量に比例する。この装置に、記録システムと、重量測定を行うシートの表面全体に一定の速度 (例、1.3 cm/秒) でレンズアセンブリを走査させる手段とを取り付ける。測定を行うシートは、金属がレンズから約10 cm 以内に近づかないようにして、その縁から吊り下げなければならない。
【0209】
ここに説明したように、走査は、シートの表面と軽く接触させた同軸(concentric)レンズアセンブリを、試験すべきシート上に1方向に1.3 cm/秒の速度で1回通過させることにより行った。記録装置が後方散乱したβ線の数と強度を測定し、10秒間づつそのエネルギーの平均値を算出し、記録装置のチャート上に連続線を描く。このシステムの精度は、センサーを同じサイクルに繰り返し露出した時に記録された信号が平均で約±0.5 %だけ変動しうるという程度である。
【0210】
図15および16は、本発明の代表的な製品をそれぞれ機械直交方向および機械方向に走査した時に得られた記録を示す。図15において、平均重量の最大偏差は、3.94 g/ft2 (42 g/m2)のシート重量で、 (3.96−3.91)/2 、即ち、0.025 g/ft2 (0.27 g/m2) であり、従って、平均値からの最大偏差は0.64%である。機械方向における最大偏差は、図16に0.26%であることが示される。
【0211】
実施例49
空隙率が85%の50×100 cmのシート形態の本発明の典型的な製品を、10 cm 間隔で48カ所の厚みを測定することにより試験した。平均厚みは0.027 cmで、標準偏差は0.7 %、確率誤差は0.4 %であり、厚みは1%以内で均一であることが示された。
【0212】
実施例50〜56
実施例50〜56の製造に使用した装置は、空気孔の直径が0.11 cm で、301 ℃の空気をこれに供給して使用した。DCDと空気圧力を調整して、表8に示した特性を持つ3ロットの媒体を作製した。この媒体を次いで「混合モノマーの使用」の欄で上述した方法を使用してグラフト化処理し、そのBSAおよびIgG吸着量を測定する試験を上述したように行った。表8に示した結果は、混合モノマーの使用により本発明の媒体のタンパク質親和性を調整することが可能であることを実証している。比較のために、HPA100 %を使用して得た製品のIgGタンパク質吸着量は約3μg/cm2 である。
【0213】
表8に示した媒体は、上述の方法を使用してグラフト化処理したが、この場合、MAAとHPAを指定の割合で含有する溶液を調製し、この溶液を装置に接続されているが、装置の外部に配置した蒸発器上に内径0.015 cmの皮下注射針から滴下することにより供給した。蒸発器は室温 (通常の室内、約21〜22℃) に保持した。
【0214】
【表8】


【0215】
デバイスの具体的態様
本発明にかかるデバイスは、各種の分析物および他の物質を含有する生物学的流体を始めとする多様な流体に使用することができる。本発明のデバイスの態様は、血液または他の血漿含有生物学的流体からの血漿の分離、或いは血漿または他の適当な生物学的流体からのウイルスの分離といったように、血液または血液製剤に使用するのに特によく適している。本発明のデバイスはまた、大きなウイルス (有効直径が約0.08μm以上のウイルスを含む) を小さなウイルス (有効直径が約 0.025〜0.028 μmのウイルスを含む) から分離する、または成分の混合物をクロマトグラフィー的に分離するのにも適用できる。本発明のデバイスの下記の具体的態様は、かかる代表的な用途に関して説明する。
【0216】
1態様において、本発明のデバイスは、血漿を含有する生物学的流体 (例、血液) のサンプルを受け入れる第1領域と、血漿が血液から分離されて流入する第2領域とを有する。このデバイスは、血漿を含有する生物学的流体のサンプルを受ける第1領域と、血漿を蓄積するための第2領域とを備えることもできる。血漿と赤血球および/もしくは白血球のような少なくとも1種の血球成分とを含有する生物学的流体を第1領域の上に置くと、本質的に赤血球を含まず、血球を全く含まないこともある血漿の第2領域内の蓄積を生ずることができる。
【0217】
このデバイスは、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブと流体連通した少なくとも1つの追加の多孔質媒体を、血漿が該均一な繊維質ウェブから該追加の多孔質媒体中に流入することができるように、さらに含んでいてもよい。例えば、均一な繊維質ウェブからの血漿は、この繊維質ウェブから吸い込み (ウィッキング) により下流の多孔質媒体中に移行することができる。ウェブまたは媒体中の血漿を適宜分析してもよい。かくして、対象とする少なくとも1種の分析物をウェブ中で検出することができる。これに代えて、又は加えて、対象とする少なくとも1種の分析物を下流の媒体の中または上で検出することができる。一部の態様では、本発明にかかるデバイスは、少なくとも1枚のメルトブロー法により得られた実質的に均一な繊維質ウェブと、このウェブの下流側の少なくとも1枚の多孔質媒体とを含む多孔質複合構造物とから構成することができる。
【0218】
好適態様において、本発明にかかるデバイスは、少なくとも1つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブと、このウェブの下流側の少なくとも1つの追加の多孔質媒体とを備え、この追加の多孔質媒体は微孔質膜を含み、この微孔質膜は血漿を該均一な繊維質ウェブからこの膜中に流入させることができるものである。上述したように、対象とする少なくとも1種の分析物をこの下流の膜の中または上で検出してもよい。一部の態様では、結合剤、例えば繊維質の熱可塑性樹脂を、ウェブと微孔質膜との間に介在させもよい。
【0219】
別の好適態様において、本発明にかかるデバイスは、少なくとも2つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを備え、これらは両ウェブ間に流体連通を生ずるように配置されている。このデバイスの1態様において、一方のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、分析物および他の物質を含有する生物学的流体を受け入れる領域を含み、別のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、該分析物が該他の物質の少なくとも一部を伴わずにその中に流入する領域を含む。
【0220】
この態様によれば、生物学的流体は、第1のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの第1表面に置くことができ、分析物は、他の物質から分離され、或いは他の物質から分離されずに、このウェブの第2表面を通過することができる。このウェブの第2表面は、生物学的流体を受け入れる第1表面と反対側の面でよいが、必ずそうする必要性はない。分析物は別の追加ウェブの第1表面を通過して、この追加ウェブの分析物受容部分に流入する。一部の態様では、生物学的流体の追加ウェブへの流入および/または追加ウェブの通過により、分析物が生物学的流体中の残りの物質から分離される。ウェブの少なくとも1つを通過する流れは、主に垂直方向でも、主に水平方向でもよい。同様に、1つのウェブから別のウェブへの流れも、デバイスを通る主に垂直方向の流れでもよく、またデバイスを通る主に水平方向の流れでもよい。
【0221】
1好適態様において、メルトブロー法で形成された実質的に均一な1つの繊維質ウェブと、このウェブに流体連通した微孔質膜を含んでいる1つの追加の多孔質媒体とを備えたデバイスは、さらに、少なくとも1つの別の多孔質媒体、好ましくは追加のメルトブロー繊維質ウェブ、さらに一層好ましくは第2のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ、を備えており、微孔質膜はこの追加のウェブと第1のウェブとの間に介在している。
【0222】
この態様によれば、血漿は第1の均一ウェブから微孔質膜を通って流れ、第2のウェブに流入することができる。好ましくは、このデバイスは、少なくとも1種の分析物が微孔質膜内または膜上で捕捉または単離されうるように血漿流路を横切って微孔質膜を配置した構造とする。例を挙げると、血漿は第1の繊維質ウェブ内を実質的に横方向に流れ、次いで微孔質膜の分析物捕捉表面を実質的に垂直方向に通過し、この分析物捕捉表面と反対側の膜表面を通過した後、第2の繊維質ウェブ内を実質的に横方向に通過して流れる。
【0223】
好ましくは、このデバイスの2つの繊維質ウェブの間に挟まれた微孔質膜は、分析しうるウイルスまたは細菌といった少なくとも1種の分析物を捕捉または単離しうる。さらに一層好ましくは、この微孔質膜は取り外し可能であって、この膜内または膜上に捕捉されたかもしれない分析物を検出するための分析操作を行うことが可能となる。分析物の分析操作は、分析物の溶解と、例えば分析物の核酸の増幅(好ましくはポリメラーゼ連鎖反応による)とを含むことがある。分析操作は電子顕微鏡による検査を含むこともある。
【0224】
1態様において、デバイスは、必要に応じて第1および第2のウェブからの微孔質膜の分離を適当な時期、例えば、膜内または膜上にウイルス等の分析物を捕捉した後であるが、分析物を必要により溶解し、適切であれば分析物の核酸の一部を増幅する操作の前、に容易に実施できるように配置する。
【0225】
一部の態様では、デバイスは、少なくとも1つの非多孔質または実質的に不透過性の構造物を、例えば、支持、生物学的流体の蒸発の減少、および/または繊維質ウェブと少なくとも1つの追加の多孔質媒体との間の接触の維持、の目的で備えている。これに代えて、又は加えて、少なくとも1つの非多孔質または実質的に不透過性の構造物は、デバイスへの生物学的流体の供給および/またはデバイスからの生物学的流体の抜き取りを助けるものでもよい。
【0226】
図17〜24および26〜32は、少なくとも1つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを備えた本発明にかかる生物学的流体処理デバイスの各種態様を示す。図23は、生物学的流体処理デバイスを容器内に配置した態様を示す。デバイスの共通の要素は同じ参照番号で示す。
【0227】
例えば、図17〜20および26〜32に示した態様において、デバイス100 は少なくとも1つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1を備え、このウェブは好ましくは、ウェブ1の少なくとも第1の表面上に生物学的流体適用部位またはゾーン150 を有する。
【0228】
図19、26、および32に示したデバイスは、少なくとも1つの追加の媒体3をさらに備え、この媒体は好ましくは微孔質膜のような多孔質媒体からなる。このデバイスは複数の微孔質膜を含んでいてもよい。ウェブ1と残りの媒体3 (例、微孔質膜) は一体に結合されていてもよい。例えば、図19および26に示した態様では、繊維質樹脂のような結合剤が、ウェブ1の第2表面44と媒体3の上流側表面45との間の結合を形成しうる。
【0229】
2つの繊維質ウェブ間に結合を形成することもできる。例えば、図20に示した態様では、繊維質樹脂のような結合剤により2つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1および1111の間に結合を形成することができる。これに加えて、または代えて、別の態様では、例えば感圧接着剤 (粘着剤) を用いて結合を形成することもできる。
【0230】
2つのウェブ1と1111との間 (図20) 、ウェブ1と追加媒体3との間 (図19、26、および32) 、ならびに/または媒体3とウェブ1111との間 (図32) に繊維質結合剤を有するものを含む、本発明のデバイスの一部の態様では、ウェブおよび/または媒体を適当な時期、例えば、分析物の存在を検査する前、に分離してもよい。
【0231】
図19および26に示すように、ウェブと膜を結合した態様の一部では、媒体3の第1部分6はウェブ1に結合されるが、媒体3の第2部分5はウェブ1からはみ出て延設されている。図32に示すように、媒体3が2つのウェブ1と1111との間に挟まれている場合にも、媒体3の片面の一部はウェブ1の表面に結合されているが、その表面の別の一部5はウェブ1からはみ出て延設されており、媒体3の別の面の一部もウェブ1111の表面に結合されているが、その表面の別の一部はウェブ1111からはみ出て延設されている。
【0232】
図19および29〜31に示すように、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1は少なくとも1つの圧縮部分10を含んでいてもよい。図19に示した態様では、追加の媒体3は多孔質媒体、好ましくは微孔質膜からなる。
【0233】
図17〜20および26〜32に示したデバイス100 は、少なくとも1つの追加の構造物または部材2、好ましくは実質的に不透過性の構造物、をさらに備える。より好ましくは、構造物2は非多孔質のプラスチックフィルムまたはシートからなる。
【0234】
構造物2は、少なくとも1つの繊維質ウェブおよび/または少なくとも1つの多孔質媒体3に結合させてもよい。例えば、図17、18および28に示すように、構造物2の第1表面4を繊維質ウェブ1の第2表面44に結合することができる。また、図19、20、26、および27に示すように、構造物2を多孔質媒体3 (図19および26) ならびに/または繊維質ウェブ1および/もしくは1111 (図20および27) に結合することができる。2以上の構造物2を、例えば図27および28に示すように、デバイスに結合することもできる。多様な結合が適当である。例えば、繊維質樹脂を使用して結合を形成することができ、および/または構造物2が感圧接着剤のような接着剤を含んでいてもよい。
【0235】
これに代えて、または加えて、一部の態様では、例えば図29〜32に示すように、デバイスは、例えば生物学的流体をデバイスに供給するか、および/または生物学的流体をデバイスから抜き取るために、キャピラリのような実質的に不透過性の少なくとも1つの構造物400 を備えていてもよい。
【0236】
このデバイスは、追加の媒体3および/または構造物2を含み、または含まずに、複数のメルトブロー繊維質ウェブを備えていてもよい。上述したように、かつ図20、27、および32に示すように、デバイス100 は少なくとも1つの追加のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1111を備えていてもよい。ウェブ1と1111は、例えば結合を形成する繊維質樹脂のような結合剤を介して (例えば、図20にかかる態様におけるように) 、互いに結合させてもよい。これに加えて、または代えて、図27に示すように、少なくとも1つの追加の構造物2を利用して2つのウェブ間の接触を維持することもできる。図27に示した態様に関して、典型的には、ウェブ1とウェブ1111は物理的な接触状態にあるが、両者の間に結合はない。
【0237】
別の態様において、例えば、図21、22および24に示すように、デバイス200 は複数のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111a, 111bと、これらの繊維質ウェブ111aと111bとの間に挟まれた、微孔質膜のような別の多孔質媒体33とを備える。デバイス200 は、図24に示すように、ウェブ111aの上流に、少なくとも1つの追加のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111cを備えていてもよい。
【0238】
好ましくは、上流側の均一な繊維質ウェブ111a (図21及び22) または111c (図24) は、生物学的流体適用部位またはゾーン250 を含む。図21、22および24に示した態様に関して、典型的には、ウェブ111a, 111bと媒体33との間には結合剤または結合は存在せず、これらのウェブと媒体33との間の物理的接触で効率的な流体連通を可能にしている。
【0239】
デバイスは、少なくとも1つの追加の媒体、好ましくは少なくとも1つの非多孔質媒体のような少なくとも1つの実質的に不透過性の構造物または部材を備えていてもよい。図21、22、及び24に示すように、デバイス200 は追加の媒体501 および504 を備え、図22および24に示したデバイス200 は、追加の媒体502 および503 もさらに備える。好ましくは、これらの追加の構造物 501〜504 は、非多孔質プラスチックシートまたはフィルムのような非多孔質媒体である。デバイス200 における構造物 501〜504 とデバイス100 における構造物2は同一または類似の媒体からなるものでよい。
【0240】
一部の態様では、非多孔質媒体2および 501〜504 等の追加の媒体は、例えば生物学的流体、より具体的には血漿、がウェブおよび/または他の多孔質媒体を通過する際の蒸発を減少させる作用を果たす。例えば、少なくとも1つの非多孔質媒体 501〜504 は、血漿が均一なウェブ111cおよび/もしくは111a、ならびに多孔質媒体33を通過する際の蒸発を減少させる。同様に、非多孔質媒体2も血漿がウェブ1および/または1111を通過する際の蒸発を減少させることができる。
【0241】
非多孔質媒体は、少なくとも1つの多孔質媒体、例えば、均一なウェブ111a、111b、111cおよび/もしくは多孔質媒体33、を支持する作用を果たすこともでき、および/または複数の媒体の間、例えば、繊維質ウェブ111a、111b、および多孔質媒体33の間および/もしくは繊維質ウェブ1と1111との間、の接触を維持し、効率的な流体連通を可能にする作用も果たすことができる。
【0242】
非多孔質媒体のような少なくとも1つの媒体は、メルトブロー繊維質ウェブを生物学的流体と接触させるための決められた適用ゾーンを形成するようにしてもよい。1態様において、非多孔質媒体を、例えば穴あけにより変質させることができ、この予備成形 (穴) が決められた適用ゾーンとなる。決められた適用ゾーンを形成するために非多孔質媒体を用いる別の利点は、適用したサンプルのより多くがウェブの内部に流入し、ウェブ表面の濡れが最小限に抑えられることにより、ウェブの分離効率が高まることである。
【0243】
一般に、生物学的流体のサンプルを受け入れる領域を含むメルトブロー繊維質不織ウェブは、実質的に均一な構造を有していよう。本発明のデバイスに含まれうる他の繊維質ウェブも、このような実質的に均一な構造のものが好ましいが、これは多くの用途において重要性はより小さい。かくして、例えば、図17〜24および26〜32に示した態様において、不織ウェブ1および111aは、このような実質的に均一な構造を有する。本発明のデバイスは、メルトブロー繊維質不織ウェブでよい他の多孔質媒体を備えることができ、かかる他のメルトブロー繊維質不織ウェブ (例えば、図20〜24および27に示した態様の不織ウェブ1111, 111bおよび111c) は実質的に均一な構造を持つ必要性はないが、かかる他の多孔質媒体も、好ましくは実質的に均一なメルトブロー繊維質不織ウェブであり、特にかかる多孔質媒体が本発明のデバイスの一部を構成する多孔質膜と上流または下流側で流体連通している場合にはそうである。
【0244】
後でより詳しく説明するように、本発明にかかるメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、血液のような生物学的流体から血漿または血清を効率的に分離することができ、また血漿または血清の最前線を繊維質ウェブ中を迅速かつ実質的に一様に通過させることができる。さらに、本発明の各種態様は、例えば、約20μL 以下といった量の血液のサンプルから診断試験に十分な量の血漿を分離することができる。例えば、約10μL 程度の少量の血液のサンプルから診断試験に十分な量の血漿を分離することができる。その上、本発明の各種態様は、広い範囲のヘマトクリット値 (例、約30%以上) を持つ血液サンプルから効率的な血漿分離が可能である。例えば、約34%ないし約58%またはそれ以上の範囲のヘマトクリット値を持つ血液サンプルから効率的な血漿分離を得ることができる。通常は、本発明にかかるデバイスに接触配置する血液サンプルは、約38〜46%の範囲のヘマトクリット値を有する。
【0245】
本発明に従って製造された繊維質ウェブの血漿分離効率を求める試験法にはいろいろあり、多様な種類の血液サンプルをこれらの試験法を行うことにより評価できる。血液サンプルは、例えば、指の穿刺 (プリック) やマイクロヘマトクリットチューブ等のキャピラリにより得てもよく、または注射針により人または人以外から採取してもよく、或いは供血から採取することもできる。このサンプルを繊維質ウェブと接触するように置く (適用する) 。
【0246】
参考のために図17のデバイスの構成を用いて説明すると、サンプルは多孔質ウェブ1の適用部位150 に供給することができる。ウェブに穿刺した指をあてがって血液サンプルをウェブに適用した場合、適用された血液の重量は適用前後のデバイスを秤量することにより求めることができる。別の方法として、血液の体積をピペットを用いて、または他の適当な手段により測定することもできる。適用された血液サンプルは、デバイスの多孔質ウェブに吸収させてもよく、こうして赤血球の最前線がウェブの多孔質ストリップに沿って長さ方向に移動するのを見ることができる。短時間の経過後、赤血球は移行を停止するが、無色の血漿はストリップの長さ方向にさらに移行し続ける。この血漿含有部分は、例えば、血漿に含まれる対象とする成分の割合を決定するため、或いは他の有用な1または2以上の目的で、診断デバイス中に又は診断デバイスとして使用することができる。
【0247】
本発明の血漿分離デバイスについて、集められた透明な血漿の重量または体積と、デバイスによる血漿の分離効率は、次に述べる方法の少なくとも1つにより求められた。
方法No. 1では、デバイスの風袋重量を予め求めておくことができ、その後、血液サンプルを実際上可能な限りストリップの一端の近くに適用する。移行の停止が観察されたら、デバイスを透明な血漿だけを含有する断片を得るように切断その他の手段で分離する。透明な血漿の捕集重量W4 は次のようにして求めることができる。
(A)血漿の捕集重量の算出法
1 =試験ストリップの風袋重量 (g) 。
【0248】
2 =血液サンプルの適用後の試験ストリップの重量。従って、血液の適用重量Wは、W=W2−W1 である。
1 =試験ストリップの長さ (cm) 。
【0249】
2 =透明血漿だけを含有するように切断した断片の長さ。
3 =透明血漿だけを含有するように切断した断片の重量。
その後、透明血漿だけを含有するように切断した断片の風袋重量を次式により求める。
【0250】
【数2】


【0251】
血漿の捕集重量は次式により算出されることになる。
【0252】
【数3】


【0253】
(B)血漿の捕集効率の算出法
ヘマトクリット値H%および重量Wの血液サンプル中の血漿の重量W5 は次式で算出される。
【0254】
【数4】


【0255】
従って、血漿捕集効率は次式で算出される。
【0256】
【数5】


【0257】
方法No. 2では、切断した血漿のみを含有する断片を秤量した後、食塩水、次いで水で洗浄し、乾燥して再秤量することにより、捕集された血漿の重量を算出することができる。
【0258】
方法No. 3では、血漿の捕集効率が、血漿で濡れた試験ストリップの断片の長さを試験ストリップの濡れた全長で割った値にさらに100 を乗じた値として定義され、血漿分離効率が%として求められる。血液サンプルで濡れた全長とは、血漿で濡れた長さと赤血球で濡れた長さの合計である。
【0259】
上記のどの試験法も蒸発に基づく誤差を最小限とするような当然の注意を払って利用すべきであり、試験片を周囲雰囲気に曝す時間を制限して、蒸発に起因する誤差を無視できる水準に低減することができる。蒸発による誤差は、図28に示したような構成において最小限となる。
【0260】
上記のいずれの方法でも、血液のヘマトクリット値 (H%) が求めてあれば、血漿捕集効率を算出することができる。
本発明の一部の態様によれば、本発明に従って製造したウェブは、1層のウェブを用いて効率的な血漿分離を与える。本発明のウェブは、血漿の流れが繊維配向に平行または垂直のいずれの方向でも効率的な血漿分離を与える。試験ストリップの長さが機械直交方向 (CMD) である場合、血漿は繊維配向に対して平行により近い向きで流れる傾向があるので、分離は一般により短時間で完了する。試験ストリップの長さが、繊維の大半の配向方向とは垂直な機械方向 (MD) である場合、分離の完了にはより長い時間がかかる。
【0261】
例を挙げて説明すると、前述したように、繊維の90%が、その最大繊維径が最小繊維径の約3倍以内になるような最小繊維径から最大繊維径までの範囲の直径を持つようにウェブを製造することができる。このウェブの長さは機械方向でも、機械直交方向でもよい。このウェブを、例えばヘマトクリット値が約38〜45%の血液と接触させると、血漿捕集効率は、いずれの種類のウェブを用いても、典型的には約15%以上である。一部の態様では、血漿捕集効率はいずれの種類のウェブを用いても約25%以上にできる。
【0262】
好ましくは、繊維配向に平行な流れの場合には、血漿捕集効率は約30%以上、さらには約40%以上になることがある。繊維配向に垂直な流れの場合には、血漿捕集効率は好ましくは約20%以上にでき、一部の態様では効率は約25%以上になることがある。
【0263】
本発明の1態様において、例えば図17に示したような試験ストリップを使用して、血液からの血漿の分離を、上記のような慣用の診断試験手段と組合わせることができる。例を挙げると、診断機能に使用されるタンパク質被覆粒子を、常法に従って、多孔質ストリップ上の両端より中心に比較的近い位置に、配置することができる。血液サンプルは一端の近くに置くことができ、血漿は赤血球より先に浸透して前進し、予め配置した粒子を拾い上げ、そのまま反対側の端部の方に進む。この反対側の端部では、例えば、分光光度法または色の変化またはその他の診断技術分野で公知の手段により診断を行うことができる。特に、後を追っていく赤血球が、使用中にたとえタンパク質被覆粒子が置かれていた中心部分を超えて進んでしまっても、かかるデバイスは診断デバイスとして十分に機能することが予想されうる。
【0264】
本発明の各種の態様では、可溶性試薬を含む予め配置した1種もしくは2種以上の試薬を含むウェブの領域に血漿を通過させるか、および/または複数の多孔質媒体に流体を通過させることを含みうるので、本発明にかかるメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、所望の態様に最適の横方向流れ時間 (LFT) の範囲を与えるようにする。例を挙げると、血漿は、例えば赤血球より先に繊維質ウェブをすばやく通過するが、ウェブのLFTは、予め配置した試薬を溶解できなくなるか、および/または十分量の血漿を赤血球から分離できなくなるほど小さくすべきではない。また、溶解時間その他の要件と調和すれば、LFTは、試験のユーザーができるだけ早く結論に達することができるようになるべく小さいのがよい。
【0265】
もちろん、本発明にかかるウェブは、その均一な構造により、分離された血漿がすばやく、かつ実質的に一様に繊維質ウェブを通過するので、予め分離された血漿または血清を処理するのにも適している。
【0266】
本発明によれば、メルトブロー繊維質ウェブは、例えば、ウェブの繊維の90%の最小繊維径から最大繊維径までの直径範囲が、その最大繊維径が最小繊維径の約3倍以内になるようなものであるといった、実質的に均一な繊維径を持つ繊維を含んでいる。ウェブの繊維の90%における最大繊維径は、例えば最小繊維径の約2.5 倍以下、さらには約2.2 倍以下でもよい。
【0267】
より好ましい態様において、ウェブの繊維の90%の最小繊維径から最大繊維径までの直径範囲は、その最大繊維径が最小繊維径の約2倍以下、例えば、約1.8 倍以下、さらには約1.6 倍以下となるようなものである。一部の態様では、ウェブの繊維の90%の最小繊維径から最大繊維径までの直径範囲は、その最大繊維径が最小繊維径の約1.5 倍以下となることがある。
【0268】
本発明によれば、ウェブは、選択された実質的に均一な繊維径を持つ繊維を含むように製造することができる。繊維径は先に説明したように求められる。
例えば、約0.5 μmまたはそれ以下から、約20μmまたはそれ以上に及ぶ範囲の平均繊維径を持つ繊維を含むように、本発明に従ってウェブを製造することができる。より好ましくは、平均繊維径は約 0.7〜15μm、さらに一層好ましくは約 0.7〜10μmの範囲内である。一部の態様では、この範囲は約1〜7μm、例えば、約2〜6μmである。1態様において、本発明にかかるウェブは、約2μm以下の平均繊維径を持つ繊維からなる。例えば、本発明にかかるウェブは、約1.9 μm、約1.8 μm、または約1.6 μmの平均繊維径を持つ繊維を含む。
【0269】
別の態様において、繊維の平均繊維径は約1.5 μmまたはそれ以下であり、一部の態様では約1μm以下である。例を挙げると、本発明にかかるウェブは、約1.3 μm、約1.1 μm、または約0.9 μmの平均繊維径を持つ繊維からなる。
【0270】
もちろん、2以上の繊維質ウェブを含む一部の態様において、少なくとも2つのウェブが異なる平均繊維径を持つ繊維を含んでいてもよい。
好適態様において、本発明にかるメルトブローウェブは、例えば、前述したように単位面積当たりの重量分布変動率が約10%以下、さらに一層好ましくは1%未満といった実質的に均一な重量分布を持つ。
【0271】
本発明に従って製造されたウェブは広範囲の基本重量を持つことができる。例えば、基本重量は、約0.001 g/cm2(約1g/ft2)またはそれ以下から、約0.05 g/cm2 (約50 g/ft2) またはそれ以上までの範囲に及ぶことができる。一部の態様では、基本重量は約0.03 g/cm2 (約30 g/ft2) 以下である。より好ましくは、基本重量は約0.02 g/cm2 (約20 g/ft2) 以下、例えば、約 0.002〜0.012 g/cm2(約2〜12 g/ft2) の範囲内である。典型的な基本重量としては、約0.002 g/cm2 、約0.004 g/cm2(約4g/ft2)、約0.005 g/cm2(約5g/ft2)、約0.006 g/cm2(約6g/ft2)、および約0.011 g/cm2(約10 g/ft2) が挙げられる。もちろん、2以上の繊維質ウェブを含む一部の態様において、少なくとも2つのウェブが異なる基本重量を持っていてもよい。
【0272】
本発明のメルトブロー繊維質不織ウェブは、ロープ化、ツイン化、縞模様形成、およびショットが実質的にないことも好ましく、より好ましい態様では、前述したように、第1方向における引張強度が、この第1方向に対して90°の第2方向における引張強度の少なくとも約1.2 倍であるという特徴を持つことができる。
【0273】
本発明のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは、実質的に均一な空隙率を有する。例えば、特定範囲内のLFTを得ることが望ましいといった一部の態様では、本発明にかかるウェブは、所望のLFTを得るように予め定めた実質的に均一な空隙率を持つように製造することができる。本発明のメルトブローウェブの横方向拡散を求める1つのプロトコル (試験法) は、既に説明したように、図8に示したような装置を使用する。
【0274】
本発明によれば、本発明のメルトブローウェブは少なくとも約40%、例えば、約45〜98%の範囲内、の実質的に均一な空隙率を有することが好ましい。空隙率は前述したように求めることができる。一部の態様では、本発明の製品の空隙率は、100 cm2 の面積について測定した時に、シート毎の変動率が約3%以下、例えば、約0.2 %以下である。
【0275】
一部の態様では、本発明のメルトブローウェブは、好ましくは約60〜94%の範囲内、より好ましくは約65〜90%の範囲内、の実質的に均一な空隙率を有する。例を挙げると、本発明にかかるメルトブローウェブは、約70〜85%の範囲内、例えば、約74%、約77%、約78%、約80%、約82%、または約85%、の実質的に均一な空隙率を持つことができる。
【0276】
一部の態様では、本発明にかかるメルトブローウェブは、約75〜85%の範囲内、より好ましくは約77〜83%の範囲内、の実質的に均一な空隙率を有することができる。1態様において、本発明にかかるメルトブローウェブは約78〜81%の範囲内の実質的に均一な空隙率を有する。
【0277】
もちろん、2以上の繊維質ウェブを含む一部の態様において、少なくとも2つのウェブが異なる空隙率を持っていてもよい。
本発明にかかるメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブは実質的に均一な厚みを有する。例を挙げると、本発明にかかるウェブは約0.005 cm以下から約0.5 cm以上に及ぶ範囲内の厚みを持つ。
【0278】
一部の態様において、繊維質ウェブは実質的に均一な空隙率を有するが、ウェブの一部は処理効率を改善するために圧縮されていてもよい。従って、ウェブの1領域または一部は、繊維質ウェブの残りの部分とは異なる空隙率を持つこともある。
【0279】
例えば、図19および29〜31に示すように、ウェブ1は圧縮領域10を含むことができる。図19を例にとって説明すると、例えば、領域10の左側の圧縮されていない部分のウェブは、例えば、約75%または約80%といった実質的に均一な空隙率を持つが、領域10の内部の部分のウェブは、例えば、約60%以下といった、より小さな空隙率を持つ。
【0280】
後でより詳しく説明するように、図19に示したような一部の態様では、微孔質膜のような別の媒体3がウェブの下流側に配置され、媒体3の一部5はウェブ1の縁からはみ出た延長部5を構成している。この場合、生物学的流体のサンプル、例えば、指穿刺による1滴の血液を、繊維質ウェブ1の生物学的流体適用ゾーン150 に接触するように置く。血液サンプルは多孔質媒体1にほとんど瞬間的に吸収され、微孔質膜の小孔を通過することができない赤血球はとどまるが、血漿は繊維質結合部を通過して微孔質膜3に沿って横方向に拡散し、光学的に透明な血漿で飽和した膜を生じ、こうして、例えば赤外分光法により血漿中の分析物を検出および同定することが可能となる。圧縮領域10の機能は、血球がウェブ1から横方向に媒体3の延長部5の上にしみ出てくるのを防ぐことである。一部の態様では、ウェブからの血球物質の横方向のしみ出しを更に最小限にするため、圧縮領域10の一部を疎水性にすることができる。
【0281】
この処置の変更例において、支持構造物2は (図25に示されるように) 、例えばプラスチックシートから裁断された、穴あきの非多孔質ストリップである。血漿が膜3の内部に拡散するにつれて、クロマトグラフィー分離が起こることがある。クロマトグラフィー分離は、例えば、大きさの差異 (例、細菌対ウイルス) または表面親和性の差異が原因で起こりうる。その後、各穴からサンプルを採取し、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) により増幅させることができる。1または2以上の穴について膜内に含まれる血漿画分の分光写真法による分析を実施してもよい。
【0282】
別の態様において、例えば図29〜31に示すように、ウェブ1の圧縮されていない部分 (例、領域10の両側) は、例えば約75%といった実質的に均一な空隙率を有し、ウェブの領域10内の部分は、例えば約60%以下といったより小さい空隙率を有することができる。後でより詳しく説明するように、一部の態様では、生物学的流体のサンプル、例えば、指穿刺した1滴の血液を、繊維質ウェブ1の生物学的流体適用ゾーン150 に接触するように置く。血液が下方および横方向に進むにつれて、血漿の最前線は赤血球より先に進み、分離された血漿はウェブ1を通過して、ウェブの部分20の中に流入する。しかし、圧縮領域10により、血球はウェブ1から横方向にしみ出して部分20に流入することが阻止される。所望により、血漿および/または血漿と共に流れる分析物を部分20において分析してもよい。これに代えて、又は加えて、血漿をその後の使用および/または分析のために部分20から抜き取ることもできる。
【0283】
例えば、図29および30に示すように、キャピラリ400 をデバイス100 と接触するように (矢印で示すように) 配置してもよく、こうして血漿を毛管作用により部分20からキャピラリ400 中に移動させることができる。図30はキャピラリ400 に液面110 まで流入した血漿を示す。
【0284】
別の態様において、図31に示すように、デバイス100 は使用前にデバイス中に挿入したキャピラリ400 を備えている。例えば、デバイス100 は、1滴の血液を適用ゾーン150 に置く前にキャピラリ400 をウェブ1内またはウェブ1と非多孔質媒体2との間に非永久的に挿入した構成とすることができる。ウェブを通って領域20に流入した血漿は、次いでキャピラリ400 を満たすことになる。こうして血漿が充満したキャピラリは、図31に矢印で示すように、デバイスから抜き取ることができる。こうして分離された血漿、および/またはその中に含まれる分析物は、所望に応じて利用 (例、分析) できる。
【0285】
追加の媒体
好ましくは、本発明の各種態様にかかるデバイスは、本発明のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブと組合わせて、少なくとも1つの追加の媒体、より好ましくは2以上の媒体を備えている。例えば、本発明にかかるデバイスは、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1、1111、111a、または111c (例えば、それぞれ図17、20〜22、24、および26〜32に示されているような) の下流側に少なくとも1つの媒体を含むことができる。もちろん、一部の態様では、本発明にかかるデバイスは、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの上流側に1または2以上の媒体を含むこともできる。以下により詳しく説明するように、多様な追加の媒体が本発明に使用するのに適している。
【0286】
本発明にかかるデバイスは、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの下流側に少なくとも1つの多孔質媒体を含んでいてもよく、こうして、血漿または血清を繊維質ウェブから下流側の1または2以上の媒体に流入および時には通過させることができる。同様に、本発明にかかるデバイスは、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの上流側に少なくとも1つの多孔質媒体を含んでいてもよく、こうして、血漿または血清を上流側の1または2以上の媒体から下流側の繊維質ウェブに流入および時には通過させることができる。
【0287】
これに代えて、または加えて、本発明のデバイスは、例えば、蒸発の減少および/または支持の少なくとも1つを付与するため、少なくとも1つの非多孔質媒体を繊維質ウェブの上流側、下流側および/または他の組合わせで含んでいてもよい。一部の態様では、少なくとも1つの非多孔質媒体が複数の媒体間の接触を維持する。非多孔質媒体はメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの生物学的流体との接触のための決められた適用ゾーンを形成するように構成することもできる。
【0288】
少なくとも1つの追加の多孔質媒体の使用を含む態様に関して、適当な媒体としては、膜、好ましくは微孔質膜が挙げられる。一部の態様では、膜は親水性である。
多様な膜が本発明に従って使用するのに適している。適当な膜としては、例えば、グルコース、コレステロール、および血清酵素のような少なくとも1種の分析物の存在を決めるための診断処置法に利用されている慣用の任意の膜が挙げられるが、これに限られるものではない。他の適当な膜としては、これに限られないが、ウイルス除去または分離膜がある。
【0289】
好適な膜としては、ナイロン66膜、特に、米国特許第4,340,479 号に従って製造されたもの;或いはウイルス除去または分離膜、特に英国特許出願公開GB 2 266 851AおよびGB 2,285,010号、並びに係属中の米国特許出願連続番号08/327,622号 (1994年10月24日出願) および係属中の米国特許出願連続番号07/882,473号に従って製造されたものが挙げられる。
【0290】
代表的なウイルス除去膜として、英国特許出願公開GB 2 266 851A号に従って製造された限外濾過/透析濾過膜があり、これは直径0.02μmの単分散ラテックス粒子を排除することができ、かかる限外濾過特性を低下させずに乾燥することができ、湿潤/乾燥サイクルを少なくとも1回繰り返したあと、室温で湿潤液として水を飽和させた1−ブタノールを、置換液として1−ブタノールを飽和させた水を使用した10 psiでのKUF流量が、膜1平方フィート当たり50 cc/min 以下である。適当な限外濾過/透析濾過膜としては、ポリエーテルスルホンもしくはポリフェニルスルホン膜のようなポリスルホン膜、特に分子量カットオフ等級が約1000〜20,000ダルトンであるもの、ならびに分子量カットオフ等級が約20,000〜200,000 ダルトンで、直径約40 nm より大きい単分散ラテックス粒子を排除することができるものが挙げられる。
【0291】
他の代表的なウイルス除去膜としては、等方性、スキンレスのポリフッ化ビニリデン膜、特にかかる多孔質膜で、T1 バクテリオファージに対して少なくとも約108 の力価減少率を示すか、および/または約4ダイン/cmの界面張力を持つ液体対を用いて試験した時に少なくとも約15 psiのKUF値を示すものが挙げられる。KUF試験は、例えば、英国特許出願公開 2 266 851A号に記載されている。このKUF試験法によると、試験すべき膜を、まずこの膜を完全に濡らすことができる湿潤液で十分に濡らす。膜を濡らすのに用いた湿潤液と不混和性であるが、低く安定した界面張力を有する置換液を、濡らした膜の上流側に接触するように置く。次いで、置換液に圧力を少しづつ加え、膜を通過する置換液の流量を、加えた圧力の関数として測定する。2種類の液体間の界面張力は、約10ダイン/cm (10 mN/m)以下とすべきである。膜の単位面積当たりの膜を通過した置換液の流量を、加えた圧力に対してプロットし、回帰分析を利用して、得られた曲線の急傾斜の部分を通る直線を引く。この直線は、ある圧力値で横軸と交差しよう。この交差した点の圧力がKUF値とされ、これは膜の細孔寸法と直接関係する。
【0292】
好適態様においては、少なくとも1つの多孔質媒体をメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの下流に配置し、流体、例えば、血漿が該ウェブから下流側の1または2以上の多孔質媒体に流入できるようにする。
【0293】
例えば、図19、26、および32に関して、追加の媒体3は、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1の下流側に配置された微孔質膜であるのが好ましい。同様に、図21および22に関して、好ましくは微孔質膜である多孔質媒体33は、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111aの下流側に配置される。
【0294】
一部の態様において、追加の媒体は別のメルトブロー法で形成された実質的に均一なウェブである。例えば、図24に示すように、追加のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111aがメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111cの下流側に配置される。同様に、図27に示すように、追加のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1111がメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1の下流側に配置される。
【0295】
後でより詳しく説明するように、下流側の1または2以上の多孔質媒体は、上流側の媒体に比べて、血漿に対する毛管吸引作用がより高いものが好ましい。その結果、図19〜22、24、26、および27に示した態様において、血漿はウェブ1、1111、111a、および111cから効率的に流れることができる。
【0296】
図19、26、および32に示した態様において、媒体3は微孔質膜、より好ましくは親水性の膜、さらに一層好ましくは親水性のナイロン膜 (図19および32) またはPVDF膜 (図26) のような多孔質媒体からなり、この媒体3はメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1の下流側に配置される。図32に示した態様において、媒体3は二つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ1と1111との間に挟まれる。
【0297】
媒体3は好ましくは多孔質媒体からなる。そうすると、この媒体を繊維質ウェブ1を通過してきた血漿で満たすことができるからである。例えば、多孔質媒体3はこの媒体への赤血球の浸透を妨げるような細孔構造を持つことができる。その結果、繊維質ウェブ1と多孔質媒体3との接合部において、多孔質媒体3は赤血球を血漿から分離するフィルターとして作用することができ、血漿は媒体3中にすばやく拡散することができる。
【0298】
ウェブ1の第2の表面44と媒体3の第1の表面45は実質的に重複しうる。一部の態様では、図19、26、および32に示すように、媒体3の一部5がウェブ1からはみ出て延設されていてもよい。
【0299】
例を挙げると、図19に関して、媒体3の長さはウェブ1の長さの少なくとも約2倍、例えば、ウェブ1の長さの約2〜5倍とすることができ、それにより延長部5はウェブ1とほぼ同じ長さになる。これに加えて、または代わりに、媒体3の幅をウェブ1より広くすることにより延長部5を形成することもできる。
【0300】
図26に関して、媒体3はウェブ1の長さおよび/または幅の約2倍以上とすることができる。図26に従った1態様において、ウェブ1は 約5mm×5mmのサンプル適用領域を含み、媒体3はウェブ1の少なくとも約3倍の幅を持ち、血漿は約10秒以内で膜 (媒体3) 中に流入することができる。
【0301】
もちろん、構造物にが非多孔質媒体からなる、例えば、図17、18、および28に関して、血漿が繊維質ウェブ1を横方向に通過した後で分析物を検出することができる。
図19、26、および32に示した態様において、ウェブ1と媒体3、ならびに媒体3とウェブ1111 (図32) は、好ましくは繊維質樹脂結合のような結合剤で一体に結合させる。繊維質結合方式は結合の強度に関して非常にフレキシブルであり、繊維の本数や繊維径を変化させることにより結合の強度を変化させることができる。この繊維は、例えば加熱による軟化によって結合を達成する。かくして、結合は、ウェブ1と媒体3、および/または媒体3とウェブ1111とを、所望の時点で容易に分離 (剥離) することができるように調整することができる。もちろん、分離が終了したら、別のやり方として、血漿含有部分を赤血球含有部分から切り離してもよい。
【0302】
例えば、血漿が媒体3中に流入した後、ウェブ1をこれから分離してもよく、媒体3中の血漿はその後にさらに処理することができる。分離されたウェブは、その後の血漿の試験の前に廃棄することができるので、血液伝染疾患への露出の危険性を減らすことができる。
【0303】
好ましくは、媒体3が多孔質媒体を含む態様では、媒体3の少なくとも一部を、例えば、図19および32に示すように、繊維質ウェブ1の第2の表面44と媒体3の上流側表面45との間に挟んだ、繊維質樹脂結合のような結合剤で、繊維質ウェブ1に結合する。同様に、図20に示した態様に関しても、繊維質ウェブ1と1111を繊維質樹脂結合を介して結合させてもよい。
【0304】
例を挙げると、先に「多層製品」と題する個所で説明したように2以上の繊維化部材を使用する場合、繊維化部材の1つはメルトブローウェブの調製に使用し、別の1つは、このメルトブローウェブが捕集部材上に形成された途端に、形成されたメルトブローウェブ上に結合用樹脂繊維を堆積させるのに使用することができる。
【0305】
こうして、樹脂を繊維化し、ウェブ1の第2の表面44および/または媒体3の上流側表面45の上に堆積させ、短時間の加熱で、この結合用樹脂をウェブおよび媒体3の表面を軟化させずに溶融することができる。ウェブと媒体は軽く圧縮してもよく、熱を取り除くと、有効で透過性の結合ができている。
【0306】
別の態様において、図21および22に示すように、多孔質媒体33、より好ましくは微孔質膜は、ウェブ111aの下流側に配置される。図19および26と共に既に説明した態様の一部と同様に、下流側の多孔質媒体は、赤血球をこれに流入させずに、血漿で満たすことができる。しかし、図19および26に示した態様とは異なり、図21および22に示した態様においては、多孔質媒体33と繊維質ウェブ111a、111bとの間に接着剤または繊維質樹脂結合は存在しなくてもよい。
【0307】
例えば、接着剤を含むプラスチックフィルムのような少なくとも1つの非多孔質媒体501 および/または504 により、ウェブ111aと媒体33との間の結合および媒体33とウェブ111bとの間の結合を行わずに、繊維質ウェブ111aと111bの間の位置に多孔質媒体33を保持している。好適態様にあっては、多孔質媒体33は、媒体33の迂回が抑制ないし防止されるように、繊維質ウェブ111aと111bとの間で所定位置に保持される。多孔質媒体33は、ウェブ111aおよび111bの端部の横方向縁部から横方向にはみ出て延設されていてもよい (図示せず) 。また、繊維質ウェブ111aと111bとの間には、これらのウェブが互いに接触することができないように距離をとるべきであるが、間に介在させた多孔質媒体33を介してこれら相互の流体連通は確保する。
【0308】
同様に、図24に示した態様に関しても、多孔質媒体33は、好ましくは媒体33とウェブ111aおよび111bとの間の樹脂結合を行わずに、繊維質ウェブ111aと111bとの間に介在させることが好ましい。好ましくは、繊維質ウェブ111cと111aとの間にも結合はない。例えば、接着剤を含む少なくとも1つの非多孔質媒体、より好ましくはそれぞれ接着剤を含む2つの非多孔質媒体502 および503 により、ウェブ111cと111aを相互に流体連通状態に保持する。
【0309】
一部の態様では、媒体3 および33が赤血球と白血球の通過を阻止する細孔構造、例えば、約5μm以下、より好ましくは約2μm以下の絶対細孔寸法を持ち、媒体3および33に流入した血漿は本質的に血球を含まない。
【0310】
上記のような細孔寸法を持つ媒体3および33を使用する別の利点は、この媒体が繊維質ウェブより高い血漿に対する毛管吸引作用を与えることである。その結果、このより微細な細孔を持った膜は、繊維質ウェブ1 (図19、26、および32) および111a (図21、22、および24) から血漿を効果的に吸い上げ、または吸い出すことができる。
【0311】
一部の態様では、少なくとも1種の分析物を繊維質ウェブ1または111a中で、例えば、分析物をこのウェブ中で少なくとも1種の試薬に曝した後、検出することができる。しかし、典型的には、少なくとも1種の分析物は血漿と共に下流の1または2以上の媒体中に流入し、この下流の媒体中または媒体上で分析物を検出することができる。
【0312】
例えば、図19および26に示した態様に関して、媒体3は多孔質媒体、より好ましくは親水性ナイロン膜、例えば、米国特許第4,340,479 号に従って製造した膜のような親水性の膜からなり、媒体3中の本質的に血球を含有しない血漿中の少なくとも1種の分析物を、この生物学的流体サンプル中の血球物質による妨害を受けずに、例えば媒体3中に存在させうる少なくとも1種の試薬に曝した後で、分析することができる。もちろん、媒体3の下流に追加の多孔質媒体、例えば、図32に示したような繊維質ウェブ1111、を備えた態様では、ウェブ1111中の本質的に血球を含有しない血漿中の少なくとも1種の分析物を、この生物学的流体サンプル中の血球物質による妨害を受けずに分析することができる。
【0313】
同様に、図26に示した態様に関して、媒体3は、例えば、係属中の米国特許出願連続番号08/327,622号および英国特許出願公開GB 2 266 851A号に記載されているようなウイルス除去性または捕捉性の膜からなり、媒体3中の本質的に血球を含有しない血漿中の少なくとも1種の分析物を、この生物学的流体サンプル中の血球物質による妨害を受けずに分析することができる。
【0314】
典型的には、分析物の存在を評価するための分析法としては、熱量測定法、分光光度法、pH、電気伝導度試験、および/または増幅が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0315】
血漿含有生物学的流体を、上流側の実質的に均一な繊維質ウェブ111aから多孔質媒体33を経て下流側の実質的に均一な繊維質ウェブ111bに通過させる図21、22、および24に示した態様に関して、媒体33は血漿中に存在する少なくとも1種の分析物、特にウイルスを捕捉または単離することができる。1態様において、このウイルス捕捉性の膜は、係属中の米国特許出願連続番号08/327,622号に従って製造されたPVDF膜であり、下流側の実質的に均一なウェブ111bは上記のように製造された繊維質メルトブローウェブである。
【0316】
より好ましい態様において、上流側の繊維質ウェブ111a (図21および22) または111c (図24) と接触するように置いた血漿含有生物学的流体が、分離した血漿ではなく、血球含有生物学的流体、例えば抗凝固剤を添加した全血または指穿刺した血液、からなる場合、上流側の繊維質ウェブ111aまたは111cは、ウェブの血漿含有部分からウェブの血球含有部分を取り除くことために物理的に容易に分離される。
【0317】
参考のために図22のデバイス200 を用いて説明すると、1滴の血液を繊維質ウェブ111aの適用ゾーン250 にウェブと接触するように置くと、血液は該ウェブ中に拡散する。血漿の最前線は赤血球より先にウェブ111a中を通過する。血漿の最前線はこのウェブを十分に通過 (例えば、血漿が多孔質媒体33に到達) したが、赤血球は位置Aに達していない時点で、ウェブ111aを位置Aで切断して血球含有部分を除去する。分離された血漿は、毛管作用によって流れ続け、上流側のウェブ111aを通過し、分析物捕捉媒体33を経て、下流側ウェブ111bに流入する。媒体33により捕捉された分析物 (例、ウイルス) は、その後で、好ましくは分析物を溶解させ、分析物の核酸を増幅させた後に分析することができる。
【0318】
図21、22、および24に示した態様に関して、分析物を分析する方法はさらに、少なくとも1種の洗浄液および/または緩衝液を、好ましくは空気圧または液圧を利用せずに、デバイスに通す工程を含むことが好ましい。従って、好ましくは血漿が媒体33を濡らした後、図23に示すように、デバイス200 を、繊維質ウェブ111a、例えば、赤血球を除去するために位置Aで切断した後に残るウェブの血漿含有部分、が試験管 (容器) の底の方を向き、繊維質ウェブ111bの先端 (媒体33と接していない側の端部) が試験管の上の方を向くように、緩衝液を保持するのに適した容器に入れる。
【0319】
一部の態様 (図示せず) では、ウェブ111bの先端は試験管の上から突き出ていてもよく、これは洗浄液および/または緩衝液のより速い蒸発を与えるかも知れない。液が十分にデバイス200 の中に浸透または拡散したら、デバイスを試験管から取り出し、媒体33を繊維質ウェブ111aおよび111bから分離する。
【0320】
媒体33の中または上に捕捉または単離された分析物は、次いで検出することができる。好ましくは、捕捉された分析物が少なくとも1種のウイルスを含む場合には、ウイルスを溶解させてウイルス性核酸を遊離させ、このウイルス性核酸の少なくとも一部を、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応により増幅させ、検出する。このウイルス性核酸の一部分の存在は、そのウイルスの存在を意味する。溶解、増幅および検出は、当該技術分野で周知のように実施すればよい。
【0321】
一部の態様において、少なくとも1種の洗浄液および/または緩衝液の使用により、分析物の存在を検出する前に望ましくない物質を除去および/または不活化することができる。例えば、ウイルスのような分析物を媒体33の中または上に捕捉した後、洗浄液および/または緩衝液で、洗浄剤、タンパク質複合体、リボヌクレアーゼ(RNase) 、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase) 、または酵素インヒビターの少なくとも1種のような望ましくない物質を分離および/または不活化することができる。例えば、この望ましくない物質はポリメラーゼ連鎖反応を妨害することがあり、それにより結果が不正確になるが、洗浄液および/または緩衝液がこの妨害する物質を除去または不活化することができるので、分析物を増幅して正確に測定することが可能となる。
【0322】
一部の態様では、例えば、洗浄液および/または緩衝液の使用量を増やすことが望ましいことがあり、その場合にウェブ111bの先端を容器500 の上から突き出るようにすると、液をより早く蒸発させることができる。これにより、追加の液体を容器500 に加えて、デバイス200 に浸透させることが可能となる。
【0323】
前述したように、本発明のある種の態様は、少なくとも1つの非多孔質媒体の使用を含む。例えば、構造物2 (図17〜20および26〜32) 、および構造物 501〜504(図21、22、および24) は非多孔質媒体から構成することができる。典型的には、少なくとも1つの非多孔質媒体はプラスチックフィルムまたはシート、例えば、マイラー (Mylar)TMなどのポリエステルフィルムである。一般に、以下により詳しく説明するように、少なくとも1つの非多孔質媒体は、デバイスに対する支持を与え、および/または生物学的流体、特に血漿、がデバイスを通過する際のその蒸発を抑制する機能を果たす。
【0324】
例えば、特に繊維質ウェブおよび/または下流側の膜が、その剛性が不十分であるか、および/または、例えば分析物の分析を行う際に損傷する恐れがある場合、支持の目的で非多孔質媒体を設けることが望ましいことがある。一部の態様では、自動化または半自動化された分析の実施の便宜のために支持体を設けることが望ましいことがある。また、例えば、ユーザーが濡れたまたは濡れていない多孔質媒体に触れずにデバイスを持つことができるようにする、或いはデバイスの製造工程を容易にするか、より効率的にするためといった、デバイスの取扱いの便宜のために、少なくとも1つの非多孔質媒体を設けることもある。
【0325】
図22に示すように、デバイス200 は、支持のために、非多孔質プラスチックフィルム (例、ポリエステルフィルム) のような媒体503 を含む。同様に、構造物2 (図17〜20および26〜32) もデバイスの構造上の支持体となりうる。1態様において、非多孔質媒体503(図22および24) は、繊維質ウェブ111aおよび111b、ならびに非多孔質媒体504 に結合する接着剤を含んでいる。同様に、非多孔質媒体2も、繊維質ウェブ1および1111 (図27) または繊維質ウェブ1 (図28) に結合する接着剤を含んでいる。図22および24に関して、デバイスの構造上の支持を果たすのに加えて、媒体503 が接着剤を含んでいるこの配置は、後でより詳しく説明するように、媒体33を繊維質ウェブ111aおよび111bから容易に分離するのを可能にする。
【0326】
これに代えて、または加えて、図22に関しては、媒体503 が第1の繊維質ウェブ111aからはみ出して、即ち、生物学的流体適用ゾーン250 より先に突き出るように、延設されている。この延長部分により、デバイスの多孔質媒体に触れずにデバイスを取り扱うことが可能となる。例えば、1滴の血液をデバイス200 の適用ゾーン250 に置いた後、濡れたウェブ111aに指を触れることなくデバイスをつかんで持つことができる。一部の態様では、例えば図22に示すように、媒体503 はウェブ111aと111bの両方の先端より先に延設されていて、一方または両方の延長部をツマミとして使用することできる。このような配置は、例えば、デバイス200 を位置Aで切断する場合に有用であり、媒体503 のウェブ111bから突き出た方の延長部もツマミとして使用することができる。
【0327】
同様に、図18、20、および28〜32に関しても、デバイスの取扱いを容易にするため、構造物2の一部をデバイス100 のウェブ1 (図18、20、および28〜31) またはウェブ1111 (図32) から突き出して延設することができる。構造物2は、ウェブ1 または1111から任意の方向に延設することができ、また2以上の方向にウェブ1 または1111から延設することができる。所望により、図19の構造物2は、より良好なツマミを与えるように、1または2以上の方向に媒体3を超えて延設することができる。
【0328】
一部の態様において、好ましくはプラスチックフィルムのような非多孔質媒体からなる媒体501(図21、22、24に示したような) および/または構造物2 (図27および28に示したような)は、生物学的流体またはその一部分 (例、血漿) の蒸発を最小限に抑制する作用も果たす。一部の態様では、これにより、生物学的流体のより多くが、多孔質媒体33 (図21、22、および24) または繊維質ウェブ1 (図27および28) を通過して分離される。さらに一層好ましくは、媒体501 は、媒体501 を繊維質ウェブ111a、111bおよび多孔質媒体33に結合させる接着剤も含んでいる。
【0329】
同様に、構造物2は、例えば図27に示すように、この構造物を繊維質ウェブ1および1111および/または多孔質媒体3に結合させる接着剤を含むことができる。その利点としてはとりわけ、蒸発が減少することに加えて、接着剤つきの非多孔質媒体を使用することで、多孔質媒体33 (図21、22、および24) または繊維質ウェブ1111 (図27) の位置が動く可能性 (これはデバイスの有効性を減ずる) が最小限となることである。さらに、接着剤つきの非多孔質媒体の使用により、多孔質媒体33はデバイスからより容易に分離することが可能となる。一部の態様では、前述した繊維質樹脂結合を使用して少なくとも1つの媒体 501〜504 または構造物2をデバイスに結合させることができる。例えば、媒体504 は媒体33と媒体504 との間に繊維質樹脂結合を含むことができ、その場合、結合用繊維の本数と直径は、媒体33と504 を所望の時点で分離することができるように調整する。
【0330】
図21および22に示した態様では、デバイス200 は媒体504 を備え、これも好ましくはプラスチックフィルムのような非多孔質媒体から構成され、血漿の蒸発を最小限にする作用も果たすことができる。図22の態様に関して、媒体501, 504, および503 は全て非多孔質媒体から構成され、そのうち媒体501 と503 は好ましくは接着剤を含んでいるが、媒体504 は含んでいない。従って、媒体501 は繊維質ウェブ111a、111b、および多孔質媒体33に結合され、媒体503 は繊維質ウェブ111a、111b、および媒体504 に結合される。
【0331】
この配置により、多孔質媒体33を所望の時点でデバイス200 から容易に分離することが可能となる。例えば、媒体33の中または上に捕捉された分析物を分析する前に、非多孔質媒体501 の一部をつかんで引っ張ると、媒体501 と多孔質媒体33は繊維質ウェブ111aおよび111bから引き離される。典型的には、引き離した後、多孔質媒体33は媒体501 と一緒に、捕捉された分析物を最終的に検出することができるように、少なくとも1種の試薬に曝される。
【0332】
媒体501 と504 の少なくとも一方は、デバイス200 の長さ方向にさらに長くして、繊維質ウェブ111aおよび/または111bの表面のより大きな部分を覆うようにしてもよいことは認められよう。それにより、生物学的流体の蒸発をさらに少なくすることができる。構造物2も、図27および28に示すように、デバイス100 のウェブ1および/または1111の被覆に関して同様に利用すすることができる。
【0333】
しかし、デバイス200 に関して、繊維質ウェブ111bより上流側の1または2以上の媒体 (例、媒体111aおよび多孔質媒体33) からの蒸発を減少させることは一般に望ましいが、態様によっては、繊維質ウェブ111bそれ自体からの血漿の蒸発の減少はあまり望ましくないことがある。例えば、繊維質ウェブ111bからの蒸発により、より多くの流体が多孔質媒体33を通って洗い流し、捕捉された分析物を、例えば望ましくない物質の除去のために洗うことができるので、このような蒸発を生じさせるのが望ましいこともある。
【0334】
後でより詳しく説明し、図22および24にも示すように、追加の媒体502 (これもプラスチックフィルムのような非多孔質媒体から構成しうる) も、繊維質ウェブ111bの上流側での蒸発を抑制する作用を果たしうる。図24に関して、追加の媒体502 は繊維質ウェブ111cおよび111aを所定位置に保持して、両ウェブ間に流体連通を与える機能も果たす。
【0335】
一部の態様では、より限定された生物学的流体適用ゾーンをデバイスに設けることが望ましいことがある。例えば、生物学的流体をウェブの特定の領域に適用する確率を増大させたい場合、非多孔質媒体、より好ましくはポリエステルフィルムのような媒体502 を、図22および24に示すように配置することができる。これは、デバイスの使用にあまり慣れていないユーザー (デバイスの間違った方の端部に生物学的流体を適用してしまうかも知れない) にとって特に望ましいかもしれない。加えて、デバイスのユーザーの慣れに関係なく、デバイスの最も上流側のウェブの適用ゾーン以外の部分を覆うことは、これがウェブの表面上でのサンプルの広がりを最小限にすることができるので、望ましいかも知れない。その結果、生物学的流体のより多くがウェブの内部に入り込み、より効率的な血漿分離が可能となる。
【0336】
もちろん、同様の理由から、図17、18、20、および29〜32に示した態様に関しても、生物学的流体適用ゾーンをより制限することが望ましいことがある。一部の態様では、例えば図22に示すように、媒体502 も蒸発の抑制に寄与しうる。
【0337】
より制限された適用ゾーンの設置に関して、別の態様では、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを、図18に示したのと類似の配置で、不透過性構造物2に結合させる。しかし、この変更例の態様では、ウェブ1より先に延設されている構造物2の延長部が、生物学的流体適用ゾーンを構成する。例えば、1滴の血液を構造物2の延長部に繊維質ウェブ1と接触するように置くと、血液はこのウェブ中に横方向に吸い込まれうる。
【0338】
前述したように、本発明の一部の態様は、プラスチックフィルム (例、ポリエステルフィルム) のような少なくとも1つの非多孔質媒体の使用を、例えば、支持、蒸発の抑制、および/または適用ゾーンの区画形成の目的で含んでいる。これに代えて、または加えて、一部の態様では、この非多孔質媒体の形状を、例えば、適用ゾーンを区画する、および/または多孔質媒体中の分析物のサンプル採取または検出を可能にするために、繊維質ウェブ1または膜のような多孔質媒体への接近路を与えるような形状に変形または構成することができる。
【0339】
図19を例にとって説明すると、構造物2が繊維質ウェブ1に結合した非多孔質媒体である本発明の1態様において、この非多孔質媒体は、ウェブ1と接触させて配置する前に、例えば、穴あけにより形状を変更することができる。それにより、ウェブ中に浸透していく少なくとも1種の分析物を検出することができる。例えば、図25に示すように、構造物2がポリエステルフィルムのような非多孔質プラスチックシートから構成される場合、この構造物は1列に配置した穴700 を有していることができる。好ましくは、これらの穴700 は構造物2の長さ方向にやや中心よりに配置する。典型的には、これらの穴の直径は約 0.1〜1mmの範囲内であろう。
【0340】
この場合、穴700 を持つ構造物2を繊維質ウェブ1に結合してしまえば、生物学的流体がこのウェブを濡らした後、分析物を、例えば、大きさまたはその表面特性の相違によりクロマトグラフィー的に分離することができる。分離または捕捉された対象とする分析物 (例、ウイルス、細菌、または核酸) を、続いている穴700 からサンプリングし、同定することができる。一部の態様では、非多孔質媒体は繊維質ウェブ1の両面と接触してもよく、この両側の非多孔質媒体の一方または両方がサンプリング用の穴700 を備えることができる。もちろん、穴700 を持つ少なくとも1つの非多孔質媒体を、本発明の他の態様に従って使用することもできる。例えば、図19〜22および24に示したデバイスは、サンプリングまたは繊維質ウェブおよび/または膜への接近のために、穴を設けた少なくとも1つの非多孔質媒体を含んでいてもよい。
【0341】
多様なその他の態様が本発明に包含される。デバイスは1方向流れ (例えば、生物学的流体をデバイスの一端に適用する場合) 、または2もしくは多方向流れ (例えば、生物学的流体をデバイスのより中心に近い部分に適用する場合) を与えるように構成することができる。例えば、図17に示したデバイス100 に関して、生物学的流体適用ゾーン150 はウェブ1の表面に沿ったどの部分でもよい。
【0342】
デバイスは複数の繊維質ウェブおよび/または他の媒体、特に多孔質媒体 (例、膜) を備えていてもよい。例えば、複数のメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを、例えば、それぞれ図20および27に示すように、縦または横に並べて配置することができる。デバイスは縦または横に並べた複数のウェブを含んでいてもよい。異なるウェブは、例えば、異なる空隙率、繊維径、および/または試薬を有していてもよい。ウェブどうしは結合されていても、結合されていなくてもよい。複数のウェブは、例えばその間に結合剤を使用して直接結合してもよく、または、例えば支持媒体により間接的に結合してもよい。例を挙げると、図20に示すように、繊維質ウェブ1と1111は結合剤により一体に接合してもよく、或いは図24に示すように、繊維質ウェブ111aと111cを少なくとも1つの非多孔質媒体を介して一体に接合してもよい。同様に、図27に示すように、繊維質ウェブ1と1111を少なくとも1つの非多孔質媒体により一体に接合してもよい。
【0343】
追加の繊維質ウェブおよび/または他の多孔質媒体を本発明にかかるデバイスに設けてもよい。デバイスは1または2以上のウェブおよび1または2以上の多孔質膜を含むことができる。異なるウェブは、例えば、空隙率、CWST、ゼータ電位、タンパク質結合特性、繊維径、重量、厚み、および/または試薬の少なくとも1つに関して異なっていてもよい。同様に、1または2以上の他の多孔質媒体 (例、微孔質膜) を含む態様においても、異なる多孔質媒体は、例えば、空隙率、CWST、ゼータ電位、タンパク質結合特性、厚み、気孔率、および/または試薬に関して異なっていてもよい。
【0344】
もちろん、本発明にかかるデバイスは多様な診断用途に適しているので、ウェブおよび/または膜の特性はデバイスごとに相違しうる。例えば、第VIII因子の存在を検出するためのデバイスは、CWSTが約74〜76ダイン/cmのウェブを含むと、適当なタンパク質結合を与えることができる。糖タンパク質 (例、赤血球上の) の存在を検出するための別のデバイスは、CWSTが約80〜90ダイン/cmのウェブを含み、正のゼータ電位を持つと、増大したタンパク質結合を与えることができる。
【0345】
他の態様も本発明の範囲内に包含される。例えば、図21および22に示したのと類似の横方向の配置で少なくとも1つのメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブを使用した1態様において、上流側の繊維質ウェブと多孔質膜はこれらの図に関して説明した通りであるが、最も下流側の多孔質媒体はメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ111bとなしない。この態様では、最も下流側の多孔質媒体は、流体が多孔質膜を経てこの下流側の媒体に吸い込まれるように血漿または血清に対する十分な毛管吸引力を持った第3の多孔質媒体とする。例を挙げると、この下流側の多孔質媒体は、実質的に均一である必要のないメルトブロー繊維質ウェブである。
【0346】
別の態様において、本発明に係るデバイスは、少なくとも1つの上流側の膜と、少なくとも1つの下流側のメルトブロー繊維質不織ウェブとを備える。例えば、血液のような生物学的流体のサンプルを膜と接触するように置き、流体を膜を経て下流側のウェブに毛管作用により吸い込ませることができる。血液が膜に流入する際に血液中の赤血球の溶血を生じさせることが望ましいことがある。例えば約0.65μmの細孔寸法を持つ膜は、流体がこの膜を通ってウェブ中に流れる際に、赤血球の溶血を生じ、グリコシル化 (糖化) したヘモグロビンを遊離させることができる。その後、このヘモグロビンを検出してもよい。
【0347】
例えば、少なくとも1つのウェブおよび/または膜の中に予め配置した不溶性粒子の使用を含む他の態様では、本発明にかかるデバイスは少なくとも1種の分析物の存在を検出するための「捕捉ゾーン」を与える。例えば、1または2以上の多孔質媒体が1種または2種以上の予め配置した不溶性粒子または可溶性試薬を含んでいてもよい。予め配置された粒子は、存在する可溶性試薬と一緒に、拡散する試験流体により拾い上げられた後、反応した分析物と一緒に捕捉ゾーン内まで拡散することができ、そこで該混合物はまた別の試薬により固定化することができる。代わりに、この混合物を多孔質媒体の形状により固定化することもできる。例えば、多孔質媒体の細孔構造 (例、細孔寸法または細孔直径) を、未反応粒子を通過させるには十分大きいが、反応した分析物を含む凝集した粒子を捕捉またはふるい分けするのに十分な小ささとすることができる。固定化手段に関係なく、固定化した混合物は次いで分析物の存在を決めるために検出操作に付すことができる。
【0348】
用途の例示
本発明に従って製造したデバイスは、湿式もしくは乾式分析、熱量測定もしくは分光光度法による分析、pH変化もしくは電気伝導度の測定、ならびに電気化学的分析 (例、シリコン基体およびバイオセンサー) を含む多様な診断試験プロトコルに適合性がある。例えば、メルトブロー繊維質ウェブは、追加の多孔質媒体があってもなくても、電気化学的センサーの電極試験ストリップと共に使用することができる。代表的な電気化学的センサーは電流測定または電位差測定に対して使用できる。バイオセンサーの例は、例えば、米国特許第4,545,382 号および第7,262,067 号;欧州特許第0,127,958 号および第0,351,891 号;ならびに国際公開WO 94/27140 号に開示されている。好適なバイオセンサーの1例はグルコースセンサーである。
【0349】
本発明のデバイスは、バイオテクノロジー関連の分析物検出プロトコル、例えば、イムノアッセイおよび増幅プロトコルにも適合性がある。本発明は医学 (人間) および獣医学のいずれの用途にも適している。
【0350】
本発明のデバイスは、自動化システムに適合性させることができる。例えば、メルトブロー繊維質ウェブは、非多孔質支持媒体および/または追加の多孔質媒体があってもなくても、ウェブおよび/または追加の多孔質媒体の1または2以上の所望領域に1または2以上の試薬を供給する自動化システムを通過させることができる。例えば、プラスチック支持層を1または2以上のメルトブロー繊維質ウェブに取り付けた後、自動化システムはデバイスの向きを決定して、このウェブ/プラスチック複合体を、所望の試薬を供給する噴霧装置の下に送る。所望により、少なくとも1つのプラスチック層を、幅に切断する前に、他の部分、例えば、複合体の上面に適用することもできる。もちろん、本発明のデバイスは、例えば、デバイスに生物学的流体を適用した後の試験結果を読み取るため、自動化分析システムに適合させることもできる。
【0351】
本発明は所望量の処理された流体を与えるのに適している。例えば、一部の態様では、本発明は所望量の分離された血漿を与える。例を挙げると、本発明の一部の態様は、約3μL 以上、例えば約30μL の分離された血漿を与えることができる。所望により、分離された血漿の一部を捕集し、デバイスから取り出すこともできる。例えば、前述した如く、ウェブ1 (図29〜31) またはウェブ1111 (図32) の部分20に浸透した血漿は、キャピラリ400 に流入することができ、キャピラリは後でデバイスとの接触から取り出すことができる。
【0352】
本発明にかかる方法は、血漿含有生物学的流体を、ここに説明したような少なくとも1つのメルトブローウェブと接触させることによりかかる流体を処理することができる。好適態様にあっては、血漿含有生物学的流体は血球含有流体でもあり (例、血液) 、本発明の方法はウェブを血液と接触させ、血液から血漿を分離することを含む。さらに一層好ましくは、分離された血漿は本質的に血球を含有しない。一部の態様では、対象とする少なくとも1つの分析物 (例、血漿中の) をメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブ中で検出する。
【0353】
本発明にかかる方法は、血漿をメルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブから、このウェブの下流側の1もしくは2以上の追加の多孔質媒体に流入させることを含んでいてもよい。例えば、前述したように、血漿を均一な繊維質ウェブから下流側の1または2以上の多孔質媒体に吸い込ませてもよく、この下流側の媒体の中または上で、少なくとも1種の対象とする分析物を検出することができる。好適態様にあっては、本発明の方法は、メルトブロー法で形成された実質的に均一な繊維質ウェブの下流側の微孔質膜の中または上で少なくとも1種の分析物を捕捉または単離することを含む。
【0354】
ウェブ中、および/または下流側の媒体の中もしくは上での分析物の検出に関して、本発明にかかる方法は、分析物の存在の評価のために、熱量測定法、分光光度法、pH、および/または導電度の試験を含むが、これらに限定されるものではない。分析物の存在は、存在する放射性レベルによって検出することもできる。また、後でより詳しく説明するように、本発明の方法は、少なくとも1種の分析物を捕捉および/または単離し、次いで、分析物の存在を指示する分析物の少なくとも一部または1成分を増幅および検出することを含んでいてもよい。典型的には、分析物の一部の増幅を行う本発明の態様は、ウイルスのような少なくとも1種の捕捉された分析物を溶解させて、ウイルス性核酸、即ち、DNAまたはRNA、を遊離させ、次いでこの核酸の少なくとも一部を増幅させることを含む。好ましくは、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応を利用して核酸の一部を増幅させることを含む。
【0355】
下記の実施例は本発明をさらに例示するが、本発明の範囲をいかなる意味でも制限するものと考えるべきでないことは当然である。
実施例57〜62
以下の実施例57〜62では、ほぼ米国特許第5,258,127 号に記載されているようにして、繊維質ウェブを酸素プラズマで処理する。
【0356】
繊維は、約50〜80℃の温度および約135 mtorr のガス圧力で0.5 m3のチャンバ内で2kW、40 kHzの電源により発生させた酸素プラズマに約5〜15分間露出することにより変性させる。繊維の変性により、ウェブの表面はその本来の疎水性の状態から親水性になり、その表面に置いた1滴の水がその細孔内にすばやく吸収されるようになる。変性後のウェブのCWSTは約110 ダイン/cmである。
【0357】
実施例57
図22に示したものにほぼ対応する構成のデバイスを作製する。メルトブロー繊維質ウェブの上流側部分および下流側部分 (それぞれ111aおよび111b) は、本発明に従って製造する。これらのウェブはいずれも平均繊維径約1.1 μmのポリブチレンテレフタレート (PBT) 繊維からなり、どちらも空隙率は約78%である。各ウェブの厚みは約0.018 cmであり、基本重量は約5g/ft2 である。酸素プラズマ処理後、ウェブは約110 ダイン/cmのCWSTを示す。ウェブを約8mm幅に裁断し、ウェブ111aは約20 mm 長さに、ウェブ111bは約30 mm 長さに切る。得られた各ストリップの長さ方向は繊維配向方向と平行である。
【0358】
UFが約17 psiの0.004 cm厚のポリフッ化ビニリデン (PVDF) 膜 (33) を英国特許出願公開GB 2,285,010号に従って製造し、これを後述するようにして、上記2つの繊維質ウェブの端部と端部との間に介在させる。この膜は幅約5mm×長さ約8mmに裁断されている。
【0359】
媒体 501〜504 を形成するため、Adhesive Research Inc. (ペンシルベニア州グレンロック) からアルケア(Arcare)TMなる商品名で市販されている下記製品番号の非多孔質ポリエステルフィルムを使用する。ポリエステル・ストリップ501 および504(製品番号78-15)は、片面に診断級接着剤グレードAS 110を含み、厚みが約2ミル、長さが約10 mm である。ポリエステル・ストリップ503(製品番号78-43)は、やはり片面に診断級接着剤グレードAS 110を含み、厚みが約3ミル、長さが約55 mm である。ポリエステル・ストリップ502(製品番号77-59)は、厚みが約1ミルであり、AS 110グレード接着剤を含んでいる。ポリエステル・ストリップ502 は約14 mm 長さである。これらの媒体の各ストリップは8mm幅に裁断されている。
【0360】
下記のようにして膜を2つの繊維質ウェブの間に挟む。ポリエステル・ストリップ501 を、その接着剤層が繊維質ウェブ111bに接して、上に重なるが、ポリエステル・ストリップ501 の一部がこのウェブの端部からはみ出るようにして置き、このストリップをウェブに結合させる。膜33を、ポリエステル・ストリップ501 の接着剤層および繊維質ウェブ111bと接触させて、この膜の約2.5 mmがウェブ111bの末端と接触し、重なるように置く。
【0361】
繊維質ウェブ111aを、ストリップ501 の接着剤層および膜33と接触させて、この膜の約2.5 mmがウェブ111aの末端と接触し、重なるように置く。膜33をストリップ501 に501 の接着剤層により結合させ、繊維質ウェブ111aと111bをストリップ501 に501 の接着剤層により結合させる。膜33はウェブ111aおよび111bと物理的に接触しているが、膜33とこれら両ウェブとの間には接着剤はない。膜に面している繊維質ウェブ111aと111bの両末端間には約2mmの距離がある。
【0362】
次に、ポリエステル・ストリップ504 をウェブ111aと111bの向かい合った末端と、その間に挟まれている膜33の上にくるように置く。504 の接着剤層は下向きにし、この層がストリップ503 の接着剤層と接触するように配置しうる。ストリップ503 は、その接着剤層がウェブ111aおよび111bとも接触するように配置する。ポリエステル・ストリップ502 を図22に示すように、第1の繊維質ウェブ111aの上に置いて、約3mmの血液滴の適用ゾーンを形成すると共に、蒸発と表面の濡れを最小限にする。
【0363】
全ての媒体を組み立てたら、得られたデバイスを約5mm幅となるように裁断する。
1滴の血液を第1の繊維質ウェブの血液適用ゾーンの上に置くと、この流体は該ウェブにすぐに浸透する。短時間のうちにこの上流側のウェブは完全に濡れ、透明な血漿の最前線は膜に到達し、赤血球最前線は後ろに遅れる。血漿が膜に到達したら、上流側ウェブの赤血球含有部分を切り取って除く。上流側ウェブの残った部分は赤色を呈していない。
【0364】
図23に示すように、このデバイスを、内径約7mm、深さ90mmのプラスチック製試験管500 に入れる。試験管には約40μL の緩衝液 [生理緩衝食塩水 (PBS)]が入れてある。デバイスの試験管への挿入は、ウェブの切断部を下に向けて、この部分が試験管の底と緩衝液に接触するように行う。血漿と緩衝液は繊維質ウェブ111aから膜33を通過してウェブ111b内に吸い上げられる。約4時間後、デバイスを試験管から取り出す。デバイスの両端を曲げ、ピンセットでポリエステル・ストリップ501 の一端をつまみ、ストリップ501 を引っ張って、PVDF膜33を繊維質ウェブ111aおよび111bから取り外す。ストリップ501 は繊維質ウェブ111aおよび111bからは容易に剥がれるが、膜33からはそうではない。ストリップ501 の接着剤層は膜33と接しているが、ストリップ504 の接着剤層の側は膜33と接していないので、ストリップ501 は膜33と一緒にデバイスから引き離される。
【0365】
実施例58
図24に示したものにほぼ対応する構成のデバイスを作製する。このデバイスは実施例57に記載したのと同様にして作製される。ウェブ111aおよび111bは、ほぼ実施例57に記載した通りであるが、但し、繊維質ウェブ111aは長さ約15 mm で、これは実施例57に使用したものより約5mm短い。これらのウェブはいずれも平均繊維径約1.1 μmのポリブチレンテレフタレート (PBT) 繊維からなり、どちらも空隙率が約78%である。各ウェブの厚みは約7.2 ミル (0.018 cm) であり、基本重量は約5g/ft2 である。酸素プラズマ処理後、ウェブは約110 ダイン/cmのCWSTを示す。
【0366】
繊維質ウェブ111cも本発明に従って製造される。このウェブは平均繊維径が約1.2 μmのポリブチレンテレフタレート (PBT) 繊維からなり、空隙率は約80%である。このウェブの厚みは約0.040 cmであり、基本重量は約10 g/ft2である。ウェブのCWSTは約110 ダイン/cmである。このウェブを長さが約8mmとなるように裁断する。
【0367】
PVDF膜およびポリエステル・ストリップ類は実施例57に関して説明した通りである。但し、ポリエステル・ストリップ503 は、繊維質ウェブ111cとも接触できるように、長さ約60 cm とする。各媒体をほぼ実施例57に記載した通りにして互いに接触するように配置する。但し、ウェブ111cはウェブ111aおよびポリエステル・ストリップ502 と接触するように配置してから、ポリエステル・ストリップ503 をウェブ111cと111aの重なっている端部の上にくるように置く。ストリップ503 はウェブ111a、111b、および111cに接着する。ウェブ111cと111aは、これらの間の結合はなく、物理的接触だけである。
【0368】
1滴の指穿刺した血液を第1の繊維質ウェブ111cの血液適用ゾーンの上に置くと、この流体はウェブ中にすばやく浸透する。透明な血漿の最前線は赤血球より先に進み、ウェブ111cおよび111aを通ってPVDF膜33に接触する。血漿がこの膜の到達したら、ウェブ111aの赤血球含有部分を切取り、ウェブ111cとウェブ111aの一部をデバイスから分離する。
【0369】
残ったデバイスは、実施例57に関して説明したようにして、緩衝液と接触させ、膜を取り出す。
実施例59
図19に示したものにほぼ対応する構造のデバイスを作製する。
【0370】
メルトブロー繊維質ウェブ1を本発明の方法に従って調製する。これは直径約3μmのPBT繊維からなり、空隙率が約80%、厚みが約0.020 cm、基本重量が約0.0055 g/cm2であり、片面にはポリエチレン結合用繊維が本発明に記載したように被覆されている。このウェブを次いで、CWSTが約110 ダイン/cmになるように酸素プラズマ処理する。こうして形成したシートを、次いで幅16 mm ×長さ70 cm のストリップになるように裁断する。その後、この繊維質ウェブの両縁部を圧縮して、図19に示すように、繊維質ウェブの各縁部の1mm幅の部分を厚みがその外縁で約50%だけ減少するように圧縮する。
【0371】
別の操作において、米国特許第4,340,479 号に従って調製した、細孔寸法0.65μm、厚み0.005 cmのナイロン膜から、幅50 mm ×長さ70 cm のストリップを切り取る。上記2つのストリップを、次いで組み立てる。まず、幅50 mm のナイロン膜のストリップをホットプレートの表面上に置き、幅16 mm の繊維質ウェブのストリップを、その結合用繊維の面を下に向けて、ナイロン膜のストリップの中心の上にくるように乗せる。次いで、例えば、ウェブの上に厚み5cm×幅2cm×長さ70 cm のアルミニウム棒を置くことにより軽い圧力を加える。その後、膜の下側に熱を加えるが、加熱時間は結合用繊維を融解させるには十分であるが、融解した結合用繊維が媒体の細孔内に毛管作用により拡散するようになるほど長くはしない。より硬い構造とするために、ナイロン膜の下面を、接着剤が塗布されたポリエステルフィルムに接合する。
【0372】
得られたストリップをその後、その長さ方向に二等分するように切断し、二等分した各部分を次いで、各7mm幅の本発明の100 個の診断ストリップを生ずるように裁断する。各診断ストリップは、そのウェブ面 (サンプル適用面) に置いた約15μL の血液を受容することができ、長さ1.7 cmの血漿で飽和したナイロン膜を提供することができる。その時点で、図19の部分150 に含まれている赤血球は遮断 (カットオフ) される。血漿回収率は通常は約30〜40%を超える。
【0373】
使用に際しては、15μL の血液を7mm角の繊維質ウェブからなるサンプル適用部位に置く。血液は吸収され、血漿は約1秒以内にこの繊維質ウェブに直接結合されている膜の7mmの部分に現れ、その後数秒以内に膜の突き出た延長部分の長さ方向沿ってに拡散する。その後、膜内の血漿を透過するように光を照射して、分光写真法による試験を行い、1または2以上の分析物を同定することができる。また、当業者に公知の他の試験を適用してもよい。
【0374】
別の構成において、ポリエステルフィルムは図25に示すように穴をあけておき、その穴のあいていない方の端部がサンプル適用領域の下側にくるように組み立てる。こうすると、その後の診断試験を、ポリエステルフィルムからの妨害のない透過光を用いて行うことができる。さらに、各穴の部分を試験することにより、クロマトグラフィー分析を行うことができ、例えば、血漿が膜内を拡散する際にウイルスから分離された細菌を識別することができよう。
【0375】
実施例60
メルトブロー繊維質ウェブ1と非多孔質ポリエステルフィルム2とを備えた、図28に示したものにほぼ対応する構成をそれぞれが持った、一連のデバイスを作製した。フィルム2は、ウェブ1に結合することができるように、接着剤を含んでいた。
【0376】
本発明に従ってメルトブロー繊維質ウェブ1を製造した。このウェブはポリブチレンテレフタレート (以下、PBTという) の繊維からなる。ウェブの調製は下記操業条件で行った:空気温度は311 ℃、空気圧力は2.25 Kg/cm2 で、空気オリフィスの直径は0.107 cmであった。2組の交差する繊維流から、305 ℃のPBT樹脂が1ノズル当たり0.59 g/minの流量で送給された。各繊維流は3.0 cmの距離で (即ち、DCD=3.0 cm) 直径17.3 cm 、長さ152 cmの捕集シリンダに衝突した。このシリンダは、500 rpm で回転させると同時に、127.4 cmの1行程の長さだけ1回転当たり0.2 cmの速度で軸方向に並進させた。それにより、1.4 分で捕集シリンダの表面に0.0054 g/cm2の繊維質ウェブが堆積した。このウェブをその後、106 cm長さに裁断し、長さ方向に切り開いて、シリンダから取り外すと、幅54 cm ×長さ106 cmのシートが形成された。この製品の特性は、厚み0.0183 cm 、平均繊維径1.3 μm、空隙率78.1%であった。
【0377】
この繊維を酸素プラズマに約7分間露出して変性することにより、CWSTが約110 ダイン/cmのウェブを得た。
この54×106 cmのシートの一部を、Adhesive Research Inc. (ペンシルベニア州グレンロック) からアルケア(Arcare)TMなる商品名で製品番号78-15 として市販されている非多孔質ポリエステルフィルムに貼付した。このフィルムは片面に診断級の接着剤グレードAS 110を有しており、厚みは約0.005 cmであった。この非多孔質ポリエステルフィルムの別のシートを、上記ウェブの反対側の面にも貼付した。但し、図28に示すように、ウェブの片面のシートは、適用ゾーン150 を形成するため、他面側のシートより短くした。短い方の非多孔質フィルムのシートは、ウェブに貼付する前にトリミングし、約3mmの適用ゾーンを形成した。
【0378】
この複合材から、一連の試験片を 0.5×6.0 cmの寸法に切り取った。試験片の長さ方向は機械直交方向 (CMD) であった。即ち、5×60 mm の試験ストリップの長さ方向は、これを切り取った54×106 cmの矩形シートの長さ方向に垂直である。
【0379】
抗凝固剤を添加した採取したばかりの血液各20μL のサンプルを、ピペットで計量し、 0.5×6.0 cmの試験ストリップの末端から約 0.1〜0.2 cmの部分に置いた。血液はその後ウェブの長さに沿って広がるのが観察され、約10秒以内に透明な血漿が赤血球より先に出現した。血漿の最前線はウィッキング (吸い込み) が停止するまで前進し続けた。吸い込み終了時間、即ちサンプルが最初に試験ストリップに接触した時から、サンプルが完全に吸収され、流れが停止した時までの時間を測定した。血漿で濡れた試験ストリップの長さと、赤血球で濡れた試験ストリップの長さも測定し、次いで血漿の捕集または回収効率を先に方法No. 3として説明したようにして算出した。血漿捕集効率の値を表9に示す。
【0380】
【表9】


【0381】
表9に示したように、本発明にかかるデバイスは、広範囲のヘマトクリット値を持つ血液に対して効率的な血漿回収を行う。
【0382】
実施例61
メルトブロー繊維質ウェブ1および1111と非多孔質プラスチックフィルム2とを備えた、図27に示したもの、或いはメルトブロー繊維質ウェブ1と非多孔質プラスチックフィルム2とを備えた、図28に示したもの、のいずれかにほぼ対応する構成を持った一連のデバイスを作製した。ウェブ1および1111の構成の詳細を表10にまとめて示す。表中、媒体1とはウェブ1を意味し、媒体11とはウェブ1111を意味する。
【0383】
【表10】


【0384】
各フィルムは、これをウェブ1および1111 (図27の構成) またはウェブ1 (図28の構成) に結合することができるように、接着剤を含んでいた。図27に示した構成にほぼ対応するデバイスは、血液適用ゾーン150 を区画するために使用したフィルム2がウェブ1111の上面の残りの部分も覆うように長くした点で、図に示したものとは異なっていた。
【0385】
メルトブロー繊維質ウェブ1および1111は、PBT繊維を用いて本発明に従って製造した。媒体構成の詳細は表10にまとめて示したが、繊維化条件は表11にまとめて示す。ウェブは、酸素プラズマにより処理して、CWSTが約110 ダイン/cmのウェブとなるようにした。
【0386】
【表11】


【0387】
図28に示したものに対応する構成を持ったデバイスは、実施例60にほぼ記載したようにして作製した。表10に示したように、ウェブ1111は長さ40 mm であった。上からわかるように、表11は、図27に示した一般構造を持つデバイスに利用した媒体の詳細を含んでいる。
【0388】
図27に示したものに対応する構成を持ったデバイスの作製法は次の通りであった:
ウェブを約75 mm ×約40 mm の断片に裁断した。プラスチックフィルムは、実施例61Gおよび61Iについては約75 mm ×約5mm、実施例61Hおよび61Jについては約75 mm ×約10 mm の寸法に裁断した。フィルムの接着剤保護層または剥離層を取り除き、フィルムの長辺をウェブ1111の片面の上に約2〜3mmだけ重ねて置き、接着剤がこのウェブと接触するようにしてウェブに接触させた。他方のウェブ (ウェブ1) を次いで、ウェブ1と1111が約2〜3mmづつ重なり、フィルム2の接着剤層の少なくとも約2〜3mmがウェブ1の表面と接触するように、ウェブ1111とフィルム2の両方と接触させた。ウェブ1とウェブ1111との間には接着剤は存在せず、各ウェブはフィルム2に接着させた。ウェブ1のフィルム2で被覆されない部分の表面はサンプル適用ゾーン150 とした。
【0389】
別のプラスチックフィルム2を、図27に示すように、ウェブ1および1111の反対側の表面の全面を覆うような寸法に裁断した。このプラスチックフィルム2は、図28に示すように、デバイスのツマミとなるように、最後がウェブ1の端部からはみ出るような寸法にした。この第2のプラスチックフィルム2の接着剤保護層を切って部分的に取り除き、接着剤を繊維質ウェブ1および1111と接触させて配置した。接着剤層カバー (保護層) の一部は、使いやすいツマミとなるように、プラスチックフィルムに付いたままにしておいた。この残りの保護層はウェブ1からはみ出た部分のフィルム2の上面部分を覆っていた。
【0390】
別に上記の54×106 cmのシートの一部を、Adhesive Research Inc. (ペンシルベニア州グレンロック) からアルケア(Arcare)TMなる商品名で製品番号78-15 として市販されている非多孔質ポリエステルフィルムに貼付した。このフィルムは片面に診断級の接着剤グレードAS 110を有しており、厚みは約2ミルであった。この非多孔質ポリエステルフィルムの別のシートを、上記ウェブの反対側の面に貼付した。但し、ウェブの片面のシートは、適用ゾーン150 を形成するため、他面側のシートより短くした。短い方の非多孔質フィルムのシートは、ウェブに貼付する前にトリミングし、約3mmの適用ゾーンを形成した。
【0391】
この複合材から、一連の試験片を 0.5×6.0 cmの寸法に切り取った。試験片の長さ方向は機械直交方向 (CMD) であった。即ち、5×60 mm の試験ストリップの長さ方向は、これを切り取った54×106 cmの矩形シートの長さ方向に垂直である。
【0392】
これらのデバイスの全部を次のようにして試験した:
抗凝固剤を添加した採取したばかりの血液各20μL のサンプルを、ピペットで計量し、ウェブ1の末端から例えば 0.1〜0.2 cmの適用ゾーンの辺りに置いた。
【0393】
図27に従って構成したデバイスに関しては、血液がその後ウェブ1の長さに沿って広がり、ウェブ1111に流れこむのが観察され、約10秒以内に透明な血漿が赤血球より先に出現した。
【0394】
図28に従って構成したデバイスに関しては、血液がその後ウェブ1の長さに沿って広がるのが観察され、約10秒以内に透明な血漿が赤血球より先に出現した。
全試験について、血漿の最前線は、吸い込みが停止するまで前進し続けた。吸い込み終了時間、即ち、サンプルが最初に試験ストリップに接触した時から、サンプルが完全に吸収され、流れが停止した時までの時間を測定した。血漿で濡れた試験ストリップの長さと、赤血球で濡れた試験ストリップの長さも測定し、次いで血漿の捕集または回収効率を先に方法No. 3として説明したようにして算出した。血漿捕集効率の値を表12に示す。
【0395】
【表12】


【0396】
表12に示したように、2種類の異なる種類の繊維質媒体を含むデバイス (図27の構成) の血漿分離効率は、繊維質媒体を1種類しか含まないデバイス (図28の構成) より大きくなる。
【0397】
例えば、媒体1として実施例61Dに記載した10 mm の媒体と、媒体11として実施例61Bに記載した30 mm の媒体とを含んでいる実施例61Hのように構成したデバイスは、実施例61Fのように構成したデバイス (実施例61Bに記載した1種類だけの繊維質媒体を含有) に比べて、血漿回収率が高く (50%以上) 、終了時間がより早くなった。
【0398】
上記のデータはさらに、図27の媒体1の距離 (長さ) の短縮と厚みの減少の効果も示している。距離の短縮は血漿回収率に及ぼす効果は小さかったが (実施例61Hを実施例61Gと、および実施例61Jを実施例61Iとそれぞれ比較されたい)、終了時間にはより大きな効果を及ぼした (やはり、実施例61Hを実施例61Gと、および実施例61Jを実施例61Iと比較されたい)。媒体1の厚みの減少は、終了時間に顕著な効果を及ぼした。例えば、媒体1の厚みを0.0371 (実施例61Hのように) から0.0305 (実施例61Jのように) に減少させると、滴下した血液を吸収して吸い込むのに要する時間は倍になった (143 秒から296 秒に) 。
【0399】
実施例62
図27に示した構成にほぼ対応する一連のデバイスを実施例61に記載したようにして作製した。
【0400】
これらのデバイスを血糖試験に使用する。グルコースオキシダーゼと有機レドックス色素を、それぞれ繊維質ウェブ1111の所定位置に添加し、ウェブ1111に流入してきた透明な血漿がグルコースオキシダーゼ酵素系と有機レドックス色素の両方に接触するようにする。血中グルコースがグルコースオキシダーゼに接触すると、酵素が関与した一連の反応を経て、色素が化学的に変質して色の変化を生ずる。この色の変化を参照標準と比較して、血糖値 (血中グルコース濃度) を測定する。
【0401】
出版物、特許および特許出願を含む本明細書に引用した文献は全てその全体をここに参考のために援用する。
本発明を好適態様に強調をおきながら以上に説明したが、これら好適態様の変更例も採用でき、本発明はここに具体的に説明した以外のやり方でも実施できることは、当業者には自明であろう。従って、本発明は次の請求の範囲に規定される本発明の技術思想および範囲の範囲内に包含されるあらゆる変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0402】
【図1】従来の繊維化オリフィスの断面図である。
【図2】好ましい繊維化ノズルの断面図である。
【図3】1列の繊維化ノズルを備えたメルトブロー装置の斜視図である。
【図4A】4列の繊維化ノズルを備えたメルトブロー装置の端面図である。
【図4B】図4AのA−A線に沿って見た図4Aに示したのと同じ装置の拡大平面図である。
【図5】角度およびオフセットをつけた2列の繊維化ノズルを備えたメルトブロー装置の端面図である。
【図6A】角度およびオフセットをつけた2列の繊維化ノズルを備えた別のメルトブロー装置の端面図である。
【図6B】図6AのA−A線に沿って見た同じ装置の上面図である。
【図6C】捕集用シリンダの並進を示すメルトブロー装置の側面図である。
【図7】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの走査式電子顕微鏡写真(220倍) である。
【図8】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブのような材料の横方向流れ時間を測定するための装置の立面図である。
【図9】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの空隙率 (%) に対する機械直交方向での横方向流れ時間 (秒) を示すグラフである。
【図10】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの平均繊維径に対する機械方向 (MD) および機械直交方向 (CMD) における横方向流れ時間 (秒) を示すグラフである。
【図11】本発明にかかる積層物の製造に有用なメルトブロー装置の側面図である。
【図12】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの走査式電子顕微鏡写真(220倍) である。
【図13】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの走査式電子顕微鏡写真(500倍) である。
【図14】典型的な市販のメルトブロー繊維質不織ウェブの走査式電子顕微鏡写真(220倍) である。
【図15】本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの機械直交方向でのβ線後方散乱記録を示す。
【図16】図15で検査したのと同じ、本発明に従って製造したメルトブロー繊維質不織ウェブの機械方向でのβ線後方散乱記録を示す。
【図17】1枚のウェブと1枚の実質的に不透過性の構造物とを利用した本発明の試験ストリップの1態様の側面図である。
【図18】1枚のウェブと1枚の実質的に不透過性の構造物とを利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図19】1枚のウェブ、1枚の追加の多孔質媒体、および1枚の実質的に不透過性の構造物を利用した本発明の試験ストリップの1好適態様の側面図である。
【図20】2枚のウェブと1枚の実質的に不透過性の構造物とを利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図21】間に膜を介在させた本発明の試験ストリップの1態様の側面図である。
【図22】間に膜を介在させた本発明の試験ストリップのより好ましい態様の側面図である。
【図23】容器内に配置した試験デバイスを示す本発明の1態様である。
【図24】3枚のウェブと、そのウェブの2枚の間に介在させた1枚の膜とを利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図25】内部に接近路を形成する形状にした媒体の底面図である。
【図26】1枚のウェブ、1枚の追加の多孔質媒体、および1枚の実質的に不透過性の構造物を利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図27】2枚のウェブと2枚の実質的に不透過性の構造物とを利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図28】1枚のウェブと2枚の実質的に不透過性の構造物とを利用した本発明の試験ストリップの別の態様の側面図である。
【図29】キャピラリと共に使用するための1枚のウェブと1枚の不透過性の構造物とを利用した本発明の1態様の側面図である。
【図30】図29に示した態様に従ったキャピラリの使用例の1つを示す。
【図31】ウェブから取り出すことができるキャピラリを備えた本発明の1態様の上面図である。
【図32】複数のウェブと取り外し可能なキャピラリとを備えた本発明の1態様の側断面図である。
【出願人】 【識別番号】590000950
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PALL CORPORATION
【出願日】 平成17年9月22日(2005.9.22)
【代理人】 【識別番号】100081352
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 章一

【公開番号】 特開2006−37339(P2006−37339A)
【公開日】 平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願番号】 特願2005−275844(P2005−275844)