トップ :: D 繊維 紙 :: D04 組みひも;レ−ス編み;メリヤス編成;縁とり;不織布

【発明の名称】 多成分スパンボンド不織布、その製造方法およびその使用方法
【発明者】 【氏名】グロテン・ロベルト

【氏名】ヤーン・ウルリッヒ

【氏名】リブレット・ジョルジュ

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の複数の紡糸ノズル開口を有する少なくとも1つの紡糸装置により生成され、流体力学的に延伸され、面状に集積されかつボンディングされている、互いに境界面を形成する少なくとも2種類のポリマーからなる多成分スパンボンド不織布であって、
前記多成分スパンボンド不織布が、前記少なくとも2種類のポリマーを含有する種々異なる多成分フィラメントからなっているか、または該多成分フィラメントと前記ポリマーのうちの1種類のみをそれぞれ含有する単成分フィラメントとの混合物からなっており、当該多成分フィラメントが少なくとも2つの基本フィラメントからなっており、当該多成分フィラメントの個々の基本フィラメントの繊度が、当該多成分フィラメント中に含まれる基本フィラメントの数の相違により種々異なっている、多成分スパンボンド不織布。
【請求項2】
前記多成分フィラメントが、0.05〜4.8dtexの範囲の繊度の2〜64本の基本フィラメントからなっている、請求項1に記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項3】
前記単成分フィラメントおよび前記多成分フィラメントの出発繊度が、近似しかつ1.5〜5dtexの範囲にある、請求項1または2記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項4】
使用される前記ポリマーが、前記多成分フィラメント中でも前記単成分フィラメントの混合物中でも同じ重量比で存在する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項5】
前記単成分フィラメント、および前記多成分フィラメントを分割して形成された基本フィラメントが、面状の前記多成分スパンボンド不織布のZ方向に沿って繊度の勾配を有している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項6】
使用される前記ポリマーが、不溶性の添加剤、例えば顔料、充填剤、光安定剤、ならびに可溶性の添加剤を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項7】
前記多成分フィラメントおよび前記単成分フィラメントが、中実もしくは中空のフィラメントとして、または中実のフィラメントと中空のフィラメントとの混合物として形成されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布を製造する方法であって、少なくとも2つの紡糸位置に同一の複数の紡糸ノズル開口が備えられており、種々異なる基本フィラメント数の多成分フィラメント、または単成分フィラメントとの混合物を共通の紡糸装置および延伸装置で生成し、これらを集積してスパンボンド不織布とし、水流による処理によってボンディングさせ、基本フィラメントに分割する、多成分スパンボンド不織布の製造方法。
【請求項9】
紡糸位置の並びを、集積用ベルトに対して、フィラメントの繊度勾配が多成分スパンボンド不織布の一方の主平面からもう一方の主平面に向かって得られるようにまたは多成分スパンボンド不織布のその厚みに関して中央から多成分スパンボンド不織布の両主平面に向かって得られるように選択する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
紡糸位置の並びを、集積用ベルトに対して、交互に繰り返される繊度勾配が前記不織布の縦方向または横断面方向で得られるように選択する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
繊維製品、人工皮革、研磨布または濾材を製造するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の多成分スパンボンド不織布の使用方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに境界面を形成する少なくとも2種類のポリマーからなる多成分スパンボンド不織布であって、同一の複数の紡糸ノズル開口を備えている少なくとも1つの紡糸装置により生成され、流体力学的に延伸され、面状に集積され、ボンディングされているものに関する。さらに本発明は、このような多成分スパンボンド不織布の製造方法およびこの方法によって得られる製品の使用方法に関する。
【0002】
面状ウェブの繊維物理学的な特性は、これを形成する繊維またはフィラメントの化学的および繊維物理学的な特性によって調整される。この場合、繊維またはフィラメントの原料は、所望の化学的もしくは物理学的な特性に応じて、例えばその繊維またはフィラメントの染色性、耐薬品性、熱成形性または吸着能を考慮して選択される。繊維またはフィラメントの引張応力特性および応力ひずみ特性は、材料特性に依存し、この材料特性は、個々の繊維またはフィラメントの曲げ剛性、力の吸収または比表面積に影響を与えるために、結晶化度および/または配向度ならびに横断面の形状を選択することによって調整することができる。面状繊維形成物を形成する繊維もしくはフィラメントの複数の繊維物理学的な特性を合わせた全体としての性質は、結局は坪量により調整される。面状繊維形成物に対する矛盾する要求の例としては、高強度であり高度に延伸されかつ大きな繊度の三次元的に織られたフィラメントからなるいわゆるジオテキスタイル、セルロース湿式不織布からなる噛み煙草袋またはテクスチャード加工された薄いポリアミド織物からなるナイロンストッキングが挙げられる。
【背景技術】
【0003】
極細のエンドレスフィラメントからなる不織布であって、2成分エンドレスフィラメントから製造され、これらの両成分が、出発フィラメント中で横断面で見てオレンジ様の分割型に(切り分けられたパイ形状となるように)交互に配置されており、面状形成物へと集積した後に液体高圧流によってマイクロ繊維フィラメントに分割され、同時にこのフィラメントストランドを交絡することによってボンディングされるものが公知である(例えば、特許文献1)。このようにして得られる多成分スパンボンド不織布の性質は、その2種類の基本フィラメントの繊維物理学的な特性によって決定され、この場合、これら2種類の基本フィラメントの繊度は互いにわずかしか相違していない。
【0004】
全く反対の性質を互いに調和させて1つの面状形成物にする別の方法は、2つ以上の面状形成物からなる複合体の製造によって可能である。それぞれの性質は、公知の接合方法、例えば縫い合せ、接着、積層によって各面状形成物を結合させることによって組み合わされる。このためには、各面状形成物を別個に製造し、続いて相互に結合しなければならない。このような方法については、多孔サイズが所定の勾配を有している繊維構造を、少なくとも1種のポリマー樹脂から繊維を製造し、平均の多孔サイズを有する不織布へと集積し、続いて熱源を用いた、繊維を収縮させて平均孔サイズを減少させる選択的な処理を行なう不織布の製造方法が公知である(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】欧州特許第0814188号明細書
【特許文献2】米国特許第5679042号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、異なる繊維物理学的な特性が統合された多成分スパンボンド不織布を提供することである。さらに本発明の課題は、このような多成分スパンボンド不織布の製造方法およびこの方法により得られる多成分スパンボンド不織布の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記課題は、互いに境界面を形成している少なくとも2種のポリマーからなる多成分スパンボンド不織布であって、同一の複数のノズル開口を備えている少なくとも1つの紡糸装置により生成され、流体力学的に延伸され、面状に集積され、ボンディングされているものであって、この多成分スパンボンド不織布が、少なくとも2種のポリマーを含有する種々のフィラメントからなっているか、または前記ポリマーのうち1種のみをそれぞれ含有する単成分フィラメントと多成分フィラメントとの混合物からなっており、その場合、この多成分フィラメントが少なくとも2本の基本フィラメントからなっていて、その個々のフィラメントの繊度が、これらのフィラメントに含まれる基本フィラメントの数の相違により異なっている多成分スパンボンド不織布によって解決される。したがって、本発明による多成分スパンボンド不織布は、この不織布が、種々異なるフィラメント、つまりそれを形成するポリマーおよびそのフィラメント繊度が異なるフィラメントを統合して含んでおり、これらのフィラメントが同一の紡糸工程から生成されるという利点を有する。これにより、異なるフィラメント繊度を有する種々異なるフィラメントからなる多成分スパンボンド不織布を得るために、フィラメント繊度の異なるスパンボンド不織布を別々に製造する必要はなく、また後から一体化させる必要もないという、従来技術に対する利点が得られる。
【0007】
本発明によれば、本発明による多成分スパンボンド不織布中に存在する多成分フィラメントは、1〜64本の基本フィラメントからなっており、そのため、この基本フィラメントの繊度は0.05〜4.8dtexの範囲にある。このようにフィラメント繊度が広い範囲にわたっていることによって、一方では繊度が小さいことによって著しく小さな多孔サイズを有する製品が得られ、また他方では多成分スパンボンド不織布における繊維物理学的な特性が、大きな繊度のフィラメントの含有量によって決定されるようになる。
【0008】
多成分スパンボンド不織布の単成分フィラメントおよび多成分フィラメントの出発繊度が、近似しかつ1.5〜5dtexの範囲にあると有利である。1.5〜5dtexの範囲の近似した出発繊度を有する単成分フィラメントおよび多成分フィラメントの製造のために、本発明によって同一の紡糸口金板を使用することは、経済的に有利であって、紡糸条件を考慮した場合にも有効な手段である。
【0009】
本発明による多成分スパンボンド不織布において、使用されているポリマーが、多成分フィラメント中でも単成分フィラメントとの混合物中でも同じ重量比で存在していると有利である。本発明により異なるフィラメント中でも同じ重量比でポリマーを使用することによって、各紡糸位置のための供給システムを効果的に使用することが可能となる、つまり、最も単純な場合には、種々異なる単成分フィラメントおよび多成分フィラメントを平行して生成するために、使用されるポリマーのうちの1種類のためにそれぞれ1つの押出機しか必要でない。さらに別の押出機を使用することによって、これに対応してより多くの種類のポリマー成分を使用することができる。
【0010】
本発明による多成分スパンボンド不織布が、単成分フィラメントと多成分フィラメントの分割後に得られた基本フィラメントとを積層することによって、または異なる基本フィラメント数およびこれにより規定される異なる基本フィラメント繊度の多成分フィラメントを少なくとも2層積層させることによって、この不織布の主平面に対して垂直に、つまりZ方向に繊度の勾配を有していると有利である。この場合、例えば繊度の異なるフィラメントの分布は、本発明による多成分スパンボンド不織布の繊度が、その厚みで見て中央で最も大きくなっていて、外側へ向かって段階的に繊度が小さくなるようにフィラメントが配置されているか、またはフィラメント繊度が、一方の主平面からもう一方の主平面に向かって増大または減少するように分布していることが可能である。
【0011】
本発明による多成分スパンボンド不織布に使用されるポリマーが不溶性の添加剤、例えば顔料、充填剤、光安定剤、ならびに可溶性の添加剤を含有していると有利である。本発明で使用されるポリマーに上記の添加剤を使用することによって、各顧客の個別の要求に応じることが可能となる。本発明による多成分スパンボンド不織布の多成分フィラメントおよび単成分フィラメントは、中実もしくは中空のフィラメントとして、または中実のフィラメントと中空のフィラメントとの混合物として形成されている。これによって、各フィラメントおよびこのフィラメントからなる多成分スパンボンド不織布に対する要求に応じて、繊維物理学的な特性を変化させることができ、場合によっては高価な原料を節約することができる。
【0012】
上記多成分スパンボンド不織布の本発明による製造方法では、少なくとも2列の紡糸ヘッド(もしくは紡糸位置)それぞれに同一の複数の紡糸ノズル開口が備えられており、基本フィラメント数が種々異なる多成分フィラメント、または単成分フィラメントとの混合物を共通の紡糸装置および延伸装置で生成し、集積してスパンボンド不織布とし、さらに水流による処理によってボンディングし、基本フィラメントに分割する。この水流によるボンディング(水流交絡ボンディング)を行う前に、予め機械的もしくは熱的にボンディングプロセスを行うこともできる。本発明による方法によって、種々異なるフィラメント繊度を有する層からなっていて、これにより複数の繊維物理学的な性質を統合している多成分スパンボンド不織布が得られる。このような不織布は、これまでは、別々に各層を製造してそれらを結合することによってしか達成できなかった。
【0013】
本発明による方法の別の態様が、紡糸位置の並びを集積用ベルトに対して、フィラメントの繊度勾配が、多成分スパンボンド不織布の一方の主平面からもう一方の主平面に向かって、または多成分スパンボンド不織布のその厚みに関して中央から多成分スパンボンド不織布の両主平面に向かって得られるように選択することによって得られると有利である。
【0014】
紡糸位置の並びは、上記の趣旨で、繊度が不織布の縦方向または横方向に勾配するように交互に繰り返されて得られるように選択することもできる。
【0015】
このように、本発明による方法によって、多成分スパンボンド不織布を種々の使用目的に合わせて製造することが可能となる。
【0016】
本発明によるスパンボンド不織布が繊維製品、人工皮革、研磨布または濾材の製造に使用されると有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施例につき詳説する。
【0018】
以下に記載の実施例では、2つの押出機を使用し、これらの押出機によって、対称的な形状寸法(長さおよび直径)を有する加熱された管を介して紡糸口金ユニットに前置された紡糸ポンプにポリマーを供給する。この構成によってまず同時に全ての紡糸ポンプに同量のポリマーが供給される。これらのポリマーは全体にわたって同じ体積比で互いに接している(例えばポリエチレンテレフタレート/ポリアミド6 PET/PA6=70/30)。紡糸ポンプによって要求されるポリマーの吐出量および体積比は可変であるが、完全に自由に可変であるというわけではない。それというのも紡糸位置が導管供給部を介して相互に連通しているからである。この構成は必須ではないが、さらなる自由度は紡糸装置における改造によってしか保証され得ず、この改造をした場合には、製品デザインにより大幅な自由がもたらされる。
【0019】
以下の実施例では、PETおよびPA6からなっていて、一定の体積比PET/PA6=70/30、1つの紡糸口金ユニットに対して種々異なるフィラメント数が異なっていて、1つの紡糸口金ユニットに対してかつ1つのフィラメントの種類に対して種々異なるセグメント数を有する二成分フィラメントを使用する。装置の自由度(押出機の数、管の形状寸法等)を上記の趣旨で拡大することおよび別のポリマーの組み合せを用いることによって、以下に記載の実施例を発展させることができる。
【0020】
比較例
繊度がそれぞれ同一の面状形成物を製造した。
【0021】
欧州特許第0814188号明細書に記載のように、ほぼ一定の紡糸および延伸の条件下で、かつ繊度がそれぞれ同一の面状形成物の坪量に関してできるだけ良好な均一性が得られるように適合させた集積条件下で試料を製造し、液体流によるボンディングによって分割してボンディングさせた。
【0022】
面状形成物を比較して、それらの形成物のどの繊維物理学的な特性がどの程度までフィラメントの繊度に依存するかを確認することができた。
【0023】
結果を表1に示す。
【0024】
【表1】


【0025】
この表1のフィラメントに関する項目について以下に説明する。
最終繊度:流体圧によるボンディングを行い、セグメントへ分割した後の繊度
分割前の引張り強度:延伸されたが分割されていない各フィラメントの引張り強度
伸度:延伸されたが分割されていない各フィラメントの伸び
表1の面状製品に関する項目について以下に説明する。
視覚的外観:評点(15=最良点)による評価
触感:評点(15=最良点)による評価
A:A面(一方の主平面)
B:B面(もう一方の主平面)
l:縦方向
q:横方向
WRK:坪量1g/mあたりで標準化された引裂き強度[N]
HZK:坪量1g/mあたりで標準化された破断時の最大引張り強度[N/5cm]
伸度:破断時の伸び((l+q)/2)
引張り応力(5%の特定値):5%の伸び((l+q)/2)での力
耐摩耗性:視覚評価による(内部、1=最良点)。
【0026】
表1(分割後の繊度の大きい方から小さい方に表示)より次のことが分かる。
−未分割のフィラメントの引張り強度および伸度は通常の範囲内で変動し、分割後の繊度への依存は確認できない。
−分割度は、2つの範囲で、つまり0.2dtexより小さい範囲および大きい範囲に区分されると考えられる。
−坪量は100〜117g/mで変動している。よって、関係する値については坪量1gあたりで標準化した。
−標準化された引裂き強度が繊度に直接的に依存していることが明らかである。繊度が増大すると引裂き強度は大きくなるということは定性的には予測されていたが、これを定量的に評価することができない。
−繊度が小さくなると標準化された最大引張り強度が低下する傾向も明らかとなった。このことは予測されていなかったことであり、それというのは、材料およびその特定の伸びでの引張り応力が同一であって、個々のフィラメント横断面積の合計から得られる全横断面積は、同じもしくは標準化された坪量で同一であるからである。
−繊度が小さくなるほど、流体圧によるボンディング/絡合も明らかに良好になる。これは耐摩耗性から明らかである。
−繊度が小さくなるほど耐摩耗性または耐ピリング性が増大する傾向は、着色後の表面粗さからも分かる(図1を参照)。
【0027】
面状形成物は、流体圧によるボンディングだけで、つまり、いかなる化学的な結合も熱的な結合もなしに(不織布に加工するという意味で)ボンディングされる点を述べておく。
【0028】
表1に記載された「最終繊度」(分割後の繊度)は、2つの種類のセグメントの平均の繊度である。2種類のポリマーがほぼ同じ密度(PET 約1.38g/m、PA6 約1.13g/m)であるとすると、PET/PAの体積比が2/3:1/3であるということは、ポリエステルセグメントの繊度がポリアミドセグメントの繊度の約2倍でなければならないということを意味する。
【0029】
このような一連の試験およびこれに類する一連の試験に基づいて、マイクロフィラメントの面状形成物を工業的に製造するために「性質の最適な妥協」が得られるように調整が行われる。この「妥協」とは、できるだけ繊細な視覚的外観、触感および表面強度を可能にするが、このために例えば引裂き強度もしくは最大引張り強度が、例えばヨーロッパ衣料協会委員会(European Clothing Association Committee、ECLA)によって求められる最低限の要求を満たさない可能性のある程に低下してしまうことはない条件のことである。
【0030】
欧州特許第0814188号明細書には、種々異なる構成の多成分フィラメントが記載されてはいるが、面状形成物内で構成が異なっている多成分フィラメントからなる面状形成物の製造は記載されていない。このような、方法の大きな「自由度」によって、多くの使用方法(いくつかはここで例示された使用方法)のための製品上の利点は、以下の実施例により得られる。
【0031】
実施例1
引裂き強度を高めるための、中央で直線的な等方性を有するように面上形成物を補強する。
【0032】
a)中央の2層をPET70%およびPA30%のホモフィラメントとして形成し、この場合、PETの紡糸ノズルの数およびPA6の紡糸ノズルの数は70:30の比率であり、これら2層のモノフィラメントの繊度は、その面状物の中央で2〜2.6dtexであり、同様に70/30のPET/PA6比率を有する別の層、ここではそれぞれ5層の出発繊度は2.4dtexであり、したがって16のセグメントに分割した後には平均繊度は0.15dtexとなる。この構成によって、面状形成物は、典型的なマイクロ繊維の外観および典型的なマイクロ繊維の触感を両面に有している。
【0033】
均一な繊度0.15dtexの面状形成物は、とりわけ引裂き強度に関して、特にシャツ、パジャマ、Tシャツ等に対するECLAの要件を満たしているが、この構成によりさらに、坪量を増加させる必要もなく、引裂き強度のより高い衣料、例えばズボンまたはジャケットに対するECLAの要件、ひいては繊維製の靴甲革部材料に対するECLAの要件も満たすことが可能となっている。
【0034】
b)中央の4層をPIE8(分割型8分割フィラメント)(断面において8つに切り分けることにより形成されるパイ形)から、その他の外側の各4層をPIE16(分割型16分割フィラメント)から、PET70%およびPA30%で形成する。全てのフィラメントの出発繊度は2.4dtexであり、したがって、8ないしは16のセグメントの分割後にはそれぞれ平均繊度0.3dtexないしは0.15dtexが得られる。
【0035】
この構成により面状形成物は両面で、典型的なマイクロ繊維の外観および典型的なマイクロ繊維の触感を示す。この構成によって、製品中に統計的な変動があるために段階的にしか引裂き強度を増大できない箇所で、あるいは例えばマイクロ繊維製品が典型的には高い遮断性を有していることから小さな坪量が所望される衣類(例えば軽量の夏用衣類)のために引裂き強度をわずかにだけ高めることが可能であり、しかも特定の最低限の要求、とりわけ引裂き強度に関する要求を下回ることがないことを明示している。
【0036】
実施例2
皮膚または皮革中ではコラーゲン繊維束は、より深いところにある組織層から上に向かうほど細くなっている。少なくとも若い年齢では、機械的な抵抗力と皮膚の若々しい滑らかさとが同時に得られるように自然に保証されている。このような構成が、一方の面からもう一方の面へと面状形成物の厚みにわたって繊度勾配を設けるという試みによって模倣して得られることが望ましい。
【0037】
a)PIE8からなる4層を用意し、その上にPIE16からなる4層を、さらにその上にPIE32(分割型32分割フィラメント)からなる4層を載置した。分割前の出発繊度はそれぞれ約2.5dtexであり、PET/PA6比は70/30である。両面で対称の流体圧によるボンディングを施した。
【0038】
この構成によって、自動化された研磨のための布地に対する要求を満たすことができる。できるだけ微細な引掻き傷のない研磨を得るためにできるだけ細い繊度が得られるが、その一方で、仕上げ加工に必要な引裂き強度が保証されるように層の一部で繊度を増大させることができた。対称的にではなく所定の繊度勾配を有するように製品を製造することによって、より大きな繊度の側の面を研磨パッドに貼り付けかつ再び取り外すことが可能となり、この場合、マイクロ繊維がこれにより剥がれることなく、これにより、何度も使用可能な貼り付け面が剥がれた繊維によって極度に汚されることない。その上、わずか0.05dtexの著しく小さい繊度の側で最適な研磨結果が得られる(表2)。
【0039】
b)ホモフィラメントからなる2層を準備し、その上にs/s(分割後に繊度が1.25dtexとなるフィラメント)からなる2層、PIE8からなる2層、PIE16からなる2層およびPIE32からなる4層を載置した。分割前の出発繊度はそれぞれ約2.5dtexであり、PET/PA6比は70/30であった。両面で対称の流体圧によるボンディングを施した。
【0040】
続いてこの製品を、溶解したポリウレタンで含浸し、このポリウレタンを凝固させ、製品を着色し、微細な面を研磨し、製品を再度着色し、これにより、価値の高いスエードライクな(バックスキン様の)材料が得られた。
【0041】
この構成は天然皮革を模倣したものである。これにより、片側で、視覚的および触感的に優れた人工皮革品質が得られ、しかもその品質は、型崩れしない支持用織物による今日の通常の裏面補強を必要とせずに、例えば靴甲革部材料、布革張りの家具または自動車の座席にも使用可能な卓越した機械的な特性を同時に示す(表2)。
【0042】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】最終繊度の違いによる着色後の表面粗さの試験結果である。
【出願人】 【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【出願日】 平成17年7月25日(2005.7.25)
【代理人】 【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡

【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦

【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春

【公開番号】 特開2006−37334(P2006−37334A)
【公開日】 平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願番号】 特願2005−214841(P2005−214841)