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【発明の名称】 防護用シート
【発明者】 【氏名】小菅 一彦
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町1丁目1番1号 東レ・デュポン株式会社内

【氏名】小山 英二
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町1丁目1番1号 東レ・デュポン株式会社内

【氏名】山本 勉
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町1丁目1番1号 東レ・デュポン株式会社内

【氏名】高安 彰
【住所又は居所】岐阜県各務原市蘇原村雨町3丁目47番地 高安株式会社内

【要約】 【課題】盗難防止用カバーとして必要な特性を備え、軽量で、カッター等の鋭利な刃物が当接しても切れにくい程度の耐切創性を有し、柔軟で密着性が良く、さらには難燃性もしくは自己消火性を有する防護用シートを提供すること。

【解決手段】アラミド繊維等の高弾性率繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維、又はこれらの混合繊維より構成された不織布からなり、嵩密度が0.013〜0.20g/cm、厚みが1〜20mmの範囲である防護用シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高弾性率繊維及び/又は有機繊維より構成された不織布からなる防護用シートであって、嵩密度が0.013〜0.20g/cm、厚みが1〜20mmであることを特徴とする防護用シート。
【請求項2】
前記有機繊維が、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維及びポリアミド繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維であり、前記高弾性率繊維が、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維及びフッ素繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維である請求項1に記載の防護用シート。
【請求項3】
前記アラミド繊維が、パラ系アラミド繊維である請求項2に記載の防護用シート。
【請求項4】
前記不織布が、ニードルパンチ法又はウォータージェットパンチ法により製造されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の防護用シート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として航空貨物の梱包に使用される防護用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に航空貨物は、汚れ防止用のシュリンクフィルムで梱包され、さらに、貨物表面に付着した結露水や雨水によって包装している商品に染みを付けたり錆を発生させる等の弊害を防止する目的で、結露防止シートで梱包されている。さらにこの結露防止シートの上に編目状ネットを被せ、貨物の転落を防止しているのが通常である。ところが、近年、航空貨物の梱包がカッター等の刃物で切り裂かれ、貨物が盗まれる被害が頻繁に発生していることより、盗難防止用に耐切創性に優れた梱包資材が求められている。
【0003】
従来より、林業従事者等の腕カバー、足カバー、靴、帽子などに使用する目的で、柔軟で、耐切創性に優れた種々の防護用資材が開発されている。例えば、超高分子量ポリエチレンなどの高強度・高弾性率繊維からなる編織物の両面にポリプロピレン不織布層を設け、さらに超高分子量ポリエチレン繊維からなる補強層を設け、全体をナイロン編織物で被覆する提案(特許文献1等)や、高強度・高弾性率繊維を平織りナイロンの表面にパイル糸として植毛することが提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、アラミド繊維に撚りをかけた紡績糸を用いて、耐切創性かつ柔軟性に優れた手袋等を得る提案(特許文献3等)や、アルミナ粒子を固着したパラ系アラミド繊維からなる紡績糸で作成した織物にウレタンをコーティングしたものに、パラ系アラミド繊維からなるニードルパンチ不織布を積層したシートとすることが提案されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開平6−126877号公報
【特許文献2】特開平8−134782号公報
【特許文献3】特開平9−157981号公報
【特許文献4】特開2001−32121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1では、高強度・高弾性率繊維からなる編織物と不織布と平織りクロスとの積層体の全面を編織物で被覆する構造を採用し、特許文献4では、アラミド繊維で作成した織物に硬質無機物材料をコーティングしたシートと、アラミド繊維からなるニードルパンチ不織布とを積層している。これらの提案では、高強度・高弾性率繊維基材に他の基材を積層しているため、耐切創性という点では十分な品質のものが提供されるが、人体に危害を及ぼすことがない程度の高度の耐切創性を訴求しているため、コストを度外視した構成になっており、製造工程も多段階を要し煩雑である。従って、基本的に使い捨てされる盗難防止用の防護用シートとは、その目的が異なっている。
【0006】
また、特許文献2の防護用資材は、ファッション性には優れているが、高強度・高弾性率繊維を植毛しているため高コストであり、また、特許文献3の紡績糸でカバーを作成した場合は、耐切創性に優れた布帛は得られるものの、柔軟性にやや欠けるため航空貨物に密着し難い欠点がある。よって、いずれの防護用資材も、低コスト、かつ、盗難防止用に必要な耐切創性と柔軟性が要求される防護用シートには適していない。
【0007】
本発明は、前記に鑑み、盗難防止用カバーとして必要な特性を備え、軽量で、カッター等の鋭利な刃物が当接しても切れにくい程度の耐切創性を有し、柔軟で密着性(ドレープ性)が良く、さらには難燃性もしくは自己消火性を有する防護用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、嵩密度及び厚みが特定範囲にある不織布が前記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、高弾性率繊維及び/又は有機繊維より構成された不織布からなる防護用シートであって、嵩密度が0.013〜0.20g/cm、厚みが1〜20mmであることを特徴とする防護用シートを提供する。
【0010】
本発明の防護用シートにおいては、前記有機繊維が、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維及びポリアミド繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維であり、前記高弾性率繊維が、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維及びフッ素繊維から選ばれた少なくとも一種の繊維であることが好ましい。また、前記アラミド繊維が、パラ系アラミド繊維であることが好ましい。
【0011】
本発明の防護用シートは、ニードルパンチ法又はウォータージェットパンチ法により製造された不織布が好適に用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軽量で、耐切創性、柔軟性に優れた航空貨物等の盗難防止用の防護用シートを低コストで提供することができる。この防護用シートは、軽量で柔軟性があるため作業性に優れた防護用シートとなり、シート表面が刃物と接触しても切れ難いため盗難事故を未然に防止することができる。また、アラミド繊維等の高弾性率繊維を含む不織布は、万一の火災事故時にも燃え難く自己消火性を有するため、延焼防止効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の防護用シートは、高弾性率繊維及び/又は有機繊維より構成された不織布からなり、嵩密度が0.013〜0.20g/cm、厚みが1〜20mmであることを特徴とする。
【0014】
本発明において、不織布を構成する繊維の断面形状は特に限定されず、真円断面状であってもよいし、異形断面状であってもよい。例えば、楕円状、中空状、X断面状、Y断面状、T断面状、L断面状、星型断面状、葉形断面状(例えば三つ葉形状、四葉形状、五葉形状等)、その他の多角断面状(例えば三角状、四角状、五画状、六角状等)などの異形断面状であってもよい。
【0015】
不織布を構成する有機繊維としては、耐久性の点から合成繊維が好ましい。かかる繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の熱可塑性繊維を挙げることができ、前記繊維素材を例えば湿式紡糸、乾式紡糸又は溶融紡糸等の公知の方法に従って製造したものを使用することができる。中でも、耐久性、耐摩耗性に優れる点から、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維が好ましく、これらの繊維は単独で、又は任意の割合で混合して使用することができる。特に、使用済み不織布の熱溶融により原料ポリエステルを容易にリサイクル使用することが可能で、経済性に優れ、不織布の風合いも良く、成形性に優れる点より、ポリエステル繊維が最も好ましい。
【0016】
上記のポリエステル繊維としては、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするジカルボン酸とグリコールからなるポリエステル繊維、各種生分解性ポリエステル繊維などが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。上記ジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、スルホン酸金属置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部を、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびポリアルキレングリコールなどに置き換えてもよい。生分解性ポリエステル繊維としては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレアジペート、ポリエチレンサクシネート・アジペートコポリマー、ポリ乳酸、あるいはこれらを主成分として他のジカルボン酸及び/又はグリコールを共重合したポリエステル繊維などが挙げられる。
【0017】
前記ポリエステル繊維は、ポリエステル樹脂から溶融紡糸等の公知の紡糸法により製造される。前記ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリトリメチレンナフタレート(PTN)繊維などが挙げられるが、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維が好ましい。
【0018】
前記生分解性ポリエステル繊維としては、ポリ乳酸エステル繊維、生分解性ポリエステル繊維(米国デュポン株式会社製、商品名「バイオマックス」(登録商標))などが挙げられる。
【0019】
これらのポリエステルには、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来からある抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤などが添加されていてもよい。
【0020】
ポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン樹脂からなる繊維であれば特に限定されない。ポリプロピレン樹脂は、繰り返し単位に−(CH)CH−の構造を含んでいる重合体樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレン共重合体樹脂等のプロピレン−オレフィン共重合体樹脂等が含まれる。ポリプロピレン繊維は、前記ポリプロピレン樹脂から溶融紡糸等の公知の紡糸法を用いて製造される。ポリプロピレン繊維には、前記したポリエステル繊維に添加してもよい各種添加剤等が添加されていてもよい。
【0021】
ポリアミド繊維としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリカプロアミド/ポリへキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6T)等のナイロン樹脂およびナイロン共重合体樹脂からなる繊維が挙げられる。ポリアミド繊維はこれらのナイロン樹脂から溶融紡糸等の公知の製造方法により製造される。ポリアミド繊維には、前記したポリエステル繊維に添加してもよい添加剤等が添加されていてもよい。
【0022】
熱可塑性繊維の繊維長及び繊度は、特に限定されず、他の合成繊維との相性や不織布の用途により適宜決定することができるが、繊維長は10mm以上が好ましい。フィラメントでもステープルでもよいが、ステープルの場合は、繊維長10〜100mmが好ましく、特に20〜80mmが好ましい。繊維長10mm以上の短繊維を使用することにより、交絡させた短繊維が不織布から脱落しにくくなる。一方、繊維長が長いとカード通過性が劣る傾向にあることより100mm以下とすることが好ましい。繊度は0.5〜30dtex、特に1.0〜10dtexのものが好適に用いられる。
【0023】
前記熱可塑性繊維は、それぞれ単独で又は二種以上を混合して用いることができる。同種又は異種の繊維で、繊度や繊維長の異なる熱可塑性繊維を混合して用いることもできる。この場合、繊維の混合比は任意であり、不織布の用途や目的に合せて適宜決定することができる。
【0024】
不織布を構成する高弾性率繊維としては、不織布の軽量化と耐切創性の向上を図るために、密度が2.0g/cm以下で、引張強度1.5GPa以上、弾性率30GPa以上の繊維が好ましい。金属繊維やガラス繊維は、密度が2.0g/cmを超えること、及び、柔軟な不織布が得られ難い点で好ましくない。耐熱性あるいは難燃性に優れた防護用シートとするためには、前記の高強度・高弾性率短繊維が、LOI値(限界酸素指数)が25以上であることが好ましい。ここで、LOI値は5cm以上継続して燃えるのに必要な最低酸素濃度を意味するが、LOI値はJIS L−1091法により測定される値である。繊維のLOI値が25以上であれば不織布に難燃性を付与できるが、より難燃性に優れた不織布にするためにはLOI値が28以上であることが望ましい。
【0025】
前記の高強度・高弾性率繊維の具体例としては、例えば、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリベンズチアゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維及びフッ素繊維等を挙げることができる。これらの繊維は、従来公知のものや、公知の方法又はそれに準ずる方法に従って製造したものを全て使用することができる。
【0026】
上記の高強度・高弾性率繊維の中でも、低収縮性及び加工性の点から、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維及びポリアリレート繊維が好ましく、特にアラミド繊維が好ましい。
【0027】
アラミド繊維には、パラ系アラミド繊維とメタ系アラミド繊維とがあるが、加熱収縮が少ない点よりパラ系アラミド繊維が特に好ましい。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(米国デュポン株式会社、東レ・デュポン株式会社製、商品名「KEVLAR」(登録商標))、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「テクノーラ」(登録商標))等の市販品を用いることができる。
【0028】
前記アラミド繊維は、その繊維表面および繊維内部にフィルムフォーマ、シランカップリング剤および界面活性剤が付与されていてもよい。これらの表面処理剤のアラミド繊維に対する固形分付着量は、0.01〜20質量%の範囲であることが望ましい。
【0029】
前記の高弾性率繊維の繊維長及び繊度は、特に限定されず、不織布を構成する他の有機繊維との相性や防護用シートの要求特性に応じて適宜決定することができる。繊度は0.1〜50dtexが好ましく、特に0.3〜30dtexのものが好適に用いられる。繊維長は特に限定されないが、難燃性(自己消火性)、生産性等を考慮すると繊維長20〜100mm、特に40〜80mmの短繊維が好ましい。
【0030】
前記の高弾性率繊維は、それぞれ単独で又は二種以上を混合して用いることができる。同種又は異種の繊維で、繊度や繊維長の異なる繊維を混合して用いることもできる。この場合、繊維の混合比は任意であり、不織布の用途や目的に合せて適宜決定することができる。
【0031】
本発明による不織布は、高弾性率繊維のみ、或いは、有機繊維のみ、或いは、高弾性率繊維と有機繊維とから構成される。自己消火性もしくは難燃性に優れた防護用カバーとするためには、高弾性率繊維同士又は高弾性率繊維と有機繊維とを交絡させて一体化させるのがよい。高弾性率繊維と有機繊維とを併用する場合、併用比は任意であり、不織布の密度及び厚みが上記の範囲を満足していればよい。
【0032】
本発明の不織布には、耐摩耗性などを向上させるために、「サフメット」等の低融点繊維を含有させることができる。低融点繊維を混入して熱処理することにより、繊維同士がバラケにくくなる点で好ましい。低融点繊維としては、前述のポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、線状低密度ポリエチレン繊維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維等から選ばれる一種又は二種以上の繊維を挙げることができる。
【0033】
低融点繊維の繊度は、通常、0.1〜15dtexのものを使用するが、好ましくは0.5〜6.6dtex、特に1.1〜3.3dtexであることが好ましい。繊度が細すぎると加工性が悪くなり、太すぎると所望の効果が得られにくくなる。また、繊維長は特に限定されず、高弾性率短繊維との相性や防護用シートの要求特性により適宜決定することができるが、通常、10〜100mm、特に20〜80mmの短繊維であることが好ましい。
【0034】
ウエブ中に低融点繊維を配合する場合、少なすぎると配合効果が得られず、多すぎると不織布の難燃性を損なうおそれがあるため、不織布全量に対して10〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%とすることが望ましい。
【0035】
本発明の防護用シートは、目付が100〜400g/mの範囲好ましく、より好ましくは150〜350g/mである。目付が小さすぎると耐切創性が不十分となり、一方、目付が大きすぎると不織布が堅くなり密着性が劣る。
【0036】
不織布の製法は特に限定されないが、高弾性率繊維及び/又は有機繊維を混合して得られた繊維ウエブを、従来の方法でニードルパンチング又はウォータージェットパンチング処理を施し交絡させて一体化することにより得られる、ニードルパンチ不織布又はウオータージェットパンチ不織布が好ましく使用される。パンチング処理を施すことにより、ウエブの繊維を交絡させて不織布の耐切創性を向上させることができる。この方法によれば、繊維中のウエブ同士を化学的に接着しないため、使用後の防護用シートを回収し、必要に応じて洗浄等をした後、交絡した繊維を解きほぐすだけで容易にリサイクル使用することができる利点がある。なお、ウエブは、従来と同様のウエブ形成装置を用いて、従来のウエブ形成方法に従って作製することができる。例えば、混綿された高弾性率短繊維と有機短繊維とをカード機を用いて開繊された後に、ウエブに形成される。
【0037】
ニードルパンチング処理は、ウエブの片面又は両面処理のいずれでもよい。パンチング密度は、少なすぎると不織布を構成する繊維がずれてバラケやすくなり、多すぎると不織布の密着性(ドレープ性)が不良になる。パンチング密度は、好ましくは50〜300回/cm、より好ましくは100〜200回/cmであることが望ましい。
【0038】
本発明において、ニードルパンチングは、従来と同様のニードルパンチング装置を用いて、従来のニードルパンチング方法に従って行うことができる。
【0039】
また、ウォータージェットパンチング処理は、例えば孔径が0.05〜2.0mmの噴射孔を、孔間隔0.3〜10mmで一列あるいは複数列に多数配列した装置を用いて、噴射圧力を90〜250kg/cmGとして高圧水流を噴射させるウォータージェットパンチング装置を用いて、従来のウォータージェットパンチング方法に従って行うことができる。噴射孔とウエブとの距離は、1〜10cm程度とするのがよい。
【0040】
ニードルパンチング、ウォータージェットパンチングの後、従来と同様に乾燥し、必要に応じてヒートセットしてもよい。
【0041】
不織布の嵩密度は、0.013〜0.20g/cmの範囲にあることが必要である。好ましくは0.015〜0.15g/cm、より好ましくは0.02〜0.10g/cmである。嵩密度が小さすぎる場合は、不織布の変形(伸び)が大きく、繊維がバラケやすくなる。一方、嵩密度が大きすぎる場合は、不織布がペーパーライク化して繊維が固定されるため耐切創性が低下し、堅くて取扱性も悪くなる。このように、不織布の嵩密度を制御することによって、繊維の交絡度合いや不織布中の空気(酸素)の割合が一定範囲内に制御されるため、不織布の耐切創性が良好となり、さらに不織布に優れた難燃性(自己消火性)および断熱性が付与されるようになる。
【0042】
本発明において防護用シートの厚みは、1〜20mmの範囲にあることが必要である。防護用シートの厚みが1mm未満では耐切創性が不十分となる。一方、カバーの厚みが増すほど耐切創性は向上するが、厚みが20mmを超える場合は、短繊維を十分に交絡させるためのエネルギーが大となり、また、カバーの取扱性や被梱包材との密着性が低下する。経済性、扱い易さ、所望の耐切創性確保等の点から、好ましくは3〜10mm、より好ましくは3〜6mmのものが使用される。
【0043】
また、本発明の防護用シートは、必要に応じて染料や顔料で着色されていてもよい。着色方法として、紡糸前に染料や顔料をポリマーと混合して紡糸した原着糸を使用してもよく、各種方法で着色した繊維を用いてもよい。防護用シートを染料や顔料で着色してもよい。
【0044】
本発明の防護用シートは、繊維中のウエブ同士を化学的に接着しないため、使用後の不織布を回収し、必要に応じて洗浄等をした後、交絡した繊維を解きほぐすだけで容易にリサイクル使用することができる。
【0045】
なお、本発明の不織布には、その難燃性や耐摩耗性を更に向上させるために、必要に応じて、アクリル樹脂エマルジョンや、リン酸エステル系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水和金属化合物などの公知の難燃剤を配合したアクリル樹脂エマルジョンあるいはアクリル樹脂溶液等をコーティング又は含浸させてもよい。
【0046】
本発明の防護用シートは、その目的や用途に合せて公知の方法等を適用して適宜な大きさ、形状等に加工することにより、航空貨物の防護用シートをはじめ、種々の用途に用いることができる。航空貨物の防護用シートとして使用する場合は、シュリンクフィルム、防水フィルム、防護用シート(本発明品)、防護ネットの順で貨物の梱包に使用するのが良い。また、本発明の防護用シートは、耐切創性が求められる用途の全てに用いることができ、例えば、消防用、高温作業用などの防護衣料、防護手袋、防護帽子;溶接現場の防護シート等の各種用途に用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における各特性値の測定方法、評価方法は次の通りである。
【0048】
[耐切創性]
実用新案登録第3030945号記載のセラミックスV字刃物を、実公平07−023729号に示す試験装置に取り付け、試料の不織布の切創試験をした。試験機は(株)島津製作所の引っ張り試験機(オートグラフ)を用い、試料の鋏み板は鉄製で幅10mmのスリットを設けたものである。刃物の下降速度は500mm/分で試験し、最大抵抗値を切創抵抗値とした。値が大きいほど切れにくいことを示す。
【0049】
[柔軟性]
東洋精機(株)製のガーレー式剛軟度試験機を用い、試長2インチで試験した。数値が小さいほど柔軟であることを示す。
【0050】
(実施例1)
東レ株式会社製のポリエステルステープル(1.7dtex×44mm)、同社製ポリエステルステープル(6.6dtex×51mm)および低融点糸“サフメット”(4.4dtex×51mm)を質量比60:20:20で混繊し、ニードルパンチ方式により繊維を交絡させた後、150℃×1分の熱処理を連続的に与えた直後にプレスロールで圧縮して、厚さ10mm、嵩密度0.02g/cm、目付200g/mの不織布を得た。得られたポリエステル不織布を用い、上記の各特性値を評価した。結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
実施例1で得られた不織布を厚さ5mmの鉄板にはさみ、上部鉄板の上に荷重を乗せた状態で熱風式乾燥機で150℃×3分間熱処理し、厚さ3mm、嵩密度0.08g/cm、目付240g/mの不織布を得、実施例1と同じ特性を評価した。結果を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
東レ・デュポン株式会社製のパラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(1.7dtex×51mm)と、東レ株式会社製のポリエステルステープル(1.7dtex×44mm、同社製ポリエステルステープル(3.3dtex×51mm)を質量比70:15:15で混繊し、ニードルパンチ方式により繊維を交絡させて、厚さ6.5mm、嵩密度0.03g/cm、目付195g/mの不織布を得、実施例1と同じ特性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例4)
東レ・デュポン株式会社製のパラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(1.7dtex×51mm)、東レ株式会社製のポリエステルステープル(1.7dtex×44mm)、同社製ポリエステルステープル(3.3dtex×51mm)を質量比50:25:25で混繊し、ニードルパンチ方式により繊維を交絡させて、厚さ3.3mm、嵩密度0.05g/cm、目付165g/mの不織布を得、実施例1と同じ特性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
東レ・デュポン株式会社製のパラ系アラミド繊維「ケブラー(登録商標)」ステープル(1.7dtex×51mm)を用い、カード機でウェブを作成後、孔径0.5mm、孔間隔3mm、で2列の孔管から250Kg/cmで高圧水を噴射させてウォータージェット方式で繊維を交絡させた後、風乾して、厚さ3.0mm、嵩密度0.07g/cm、目付210g/mの不織布を得、実施例1と同じ特性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例6)
不織布の厚み、嵩密度、目付を表1記載のように変更した他は実施例1と同じ処方で不織布を製造し、各特性値を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
(比較例1)
不織布の厚み、嵩密度、目付を表1記載のように変更した他は実施例1と同じ処方で不織布を製造し、各特性値を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
(比較例2)
実施例1で得られた不織布を、温度200℃、速度4m/分、線圧800Kg/cmの条件でカレンダー加工し、厚さ1.5mm、嵩密度0.13g/cm、目付202g/mの不織布を得、実施例1と同じ特性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】


【0059】
表1から明らかなように、本発明の不織布は嵩密度が0.013〜0.20(g/cm)の範囲にあるため、耐切創性及び柔軟性が良好であった。これに対し、嵩密度が小さすぎる場合は不織布の耐切創性が不良となり、嵩密度が大きすぎる場合は柔軟性が不良となった。

【出願人】 【識別番号】000219266
【氏名又は名称】東レ・デュポン株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町一丁目1番1号
【識別番号】593049431
【氏名又は名称】高安株式会社
【住所又は居所】岐阜県各務原市蘇原村雨町三丁目四十七番地
【出願日】 平成16年7月9日(2004.7.9)
【代理人】 【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子

【公開番号】 特開2006−22454(P2006−22454A)
【公開日】 平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願番号】 特願2004−203802(P2004−203802)