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【発明の名称】 スパンボンド不織布
【発明者】 【氏名】田中 茂樹
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【氏名】足立 将孝
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【氏名】山本 俊也
【住所又は居所】山口県岩国市灘町1番1号 東洋紡績株式会社岩国繊維工場内

【要約】 【課題】優れた低モジュラスで、高伸長性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布を提案するものである。

【解決手段】(A)芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃以上である連続繊維からなる不織布において、該不織布の120℃加熱時、伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布であり、(B)芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートである(A)記載のスパンボンド不織布であり、(C)異密度の積層構造を有する(A)〜(B)記載のスパンボンド不織布である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃〜260℃である連続繊維からなる不織布において、該不織布の120℃加熱時の伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布。
【請求項2】
芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートである請求項1記載のスパンボンド不織布。
【請求項3】
異密度の積層構造を有する請求項1又は2記載のスパンボンド不織布。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低モジュラスで、伸長性に優れたポリエステルスパンボンド不織布に関し、更には、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布に関する。さらには、ドアトリム用裏基布に最適なポリエステルスパンボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用内装材の裏基布としてメリヤス、トリコットなどの編物、金巾などの織物、スパンボンドや短繊維不織布などの不織布が公知である。このような自動車内装材用途においては、意匠性、高級な感触が求められるに至っており、そのため、表皮のソフト化が強く要求されている。しかし、表面をソフト化すると、裏基布の伸長性や追随性がクッション層を介して表皮の仕上がりに大きく影響するため、単に表面をソフト化するのみならず、裏基布の機能が極めて重要となる。特に自動車内装材の中でもドアトリム部分は、成形時の変形が大きく、高品位を保つことが困難である一方で、消費者の視界に頻繁に入る箇所であり、かつ直接接触する機会も多いことから、特に高い技術、品位が要求されている。このような要望を満たす裏基布として、低モジュラスで高伸長性のポリアミド長繊維不織布が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような不織布は、比較的低モジュラスで高伸長性を有しているが、成形後の寸法安定性が不十分であるため、形態保持が困難でありで、ダレ(成形後、形態が変化する現象)を生じ、成形後の品位低下の原因を生じる問題がある。
【特許文献1】特開2003−113569号公報
【0003】
このように、低モジュラスで、高伸長性に優れた不織布は開示されているが、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れ、ドアトリム等の自動車内装材裏基布に適した不織布は得られていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の従来技術の課題を背景になされたもので、低モジュラスで、高伸長性を保持し、成型加工性、追随性に特に優れ、更には成形後の寸法安定性にも優れた、ドアトリム等の自動車内装材裏基布に適したスパンボンド不織布を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は、芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃以上である連続繊維からなる不織布において、該不織布の120℃加熱時、伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布を得るものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスパンボンド不織布は、結晶性が高く、融点も220℃以上と熱安定性が良好で、モジュラスがやや低いポリブチレンテレフタレートまたは、ポリトリメチレンテレフタレート等を主成分として、熱成形性を向上させるため、熱変形温度を低く設定することで、優れた低モジュラスで、高伸長性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布でも変形が大となるドアトリムに特に適したポリエステルスパンボンド不織布として安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(A)芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃〜260℃である連続繊維からなる不織布において、該不織布の120℃加熱時、伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布であり、(B)芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートである(A)記載のスパンボンド不織布であり、(C)異密度の積層構造を有する(A)〜(B)いずれかに記載のスパンボンド不織布である。
【0008】
本発明の不織布を構成する繊維の組成は、芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃以上である連続繊維からなる不織布である。
本発明でいう芳香族ポリエステル単位とは、エチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、トリメチレンテレフタレート、トリメチレンナフタレート、ブチレンテレフタレート、ブチレンナフタレート、シクロヘキシレンジメチルテレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸とジオールのポリエステル単位をいう。
【0009】
本発明では、耐熱性を保持する骨格となる芳香族ポリエステル単位を少なくとも80モル%以上含有する必要がある。80モル%未満では、耐熱性が劣るので好ましくない。好ましくは90モル%含有したものであり、最も好ましくは100モル%である。
【0010】
最も好ましい実施形態では、自動車内装用素材として用いる他素材と複合するため、他素材が劣化しない温度の融点を持つのが好ましく、他素材の融点より高すぎると劣化しやすくなる可能性があり好ましくない。また、複合化するのにあまりに低い温度で変形流動する場合、耐熱性の要求を満たさないので好ましくない。すなはち、本発明における最も好ましい実施形態としては、熱成形性が良好で耐熱性も保持できる融点(以下Tmと略す)220℃〜250℃を持ち、モジュラスがやや低い芳香族ポリエステルとして、ポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略す:Tm;221℃)、ポリトリメチレンナフタレート(以下PTNと略す:Tm;238℃)、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す:Tm;228℃)やポリブチレンナフタレート(以下PBNと略す:Tm;243℃)などがあげられる。
【0011】
本発明では、示差走査型熱量計における昇温過程での融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃〜260℃である連続繊維からなる不織布である。吸熱開始温度が160℃未満では、塑性変形によるダレや剥離を生じる場合があり好ましくない。260℃を超えると、成形時のセット性が悪く場合がある。また、不織布製造工程での不織布形成時の加熱処理を高温で行う必要が出てくるので省エネルギー的に不利になる問題がある場合があるので好ましくない。本発明の好ましい吸熱開始温度は、好ましくは170℃〜220℃、より好ましくは180℃〜210℃である。
【0012】
なお、本発明を構成する繊維のTmは特には限定されないが、好ましくは220℃〜250℃とすることで、融解開始温度も低くできるので不織布形成時の加熱処理を低くできるので省エネルギー的に有利になる。
【0013】
本発明では、前記芳香族ポリエステルに示差走査型熱量計における昇温過程での融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃〜260℃となる組成が満足できる範囲で、他の第三成分を共重合して、高融点芳香族ポリエステルのTmを220〜250℃、やや低いモジュラスを付与することもできる。例えば、他の第三成分としては、酸成分では、イソフタール酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸等の第三成分を共重合したものや、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール/エチレングリコール、などのジオール成分を共重合したポリエステルが例示できる。また、共重合した芳香族ポリエステル又は脂肪族ポリエステルを混合して溶融せしめた時点で共重合させてもよい。
なお、本発明では、性能を低下させない範囲で、その他の樹脂成分や防臭抗菌剤、消臭剤、防黴剤、着色剤、芳香剤、難燃剤、可塑剤、相溶剤等の添加により各種機能付与を行うことができる。
【0014】
本発明の不織布は、前記ポリエステルから構成される連続繊維からなる不織布において該不織布の120℃加熱時、伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布である。
本発明の不織布は、ドアトリムなどの裏基布として有用な不織布を提案することを、目的としている。ドアトリムでは、金型にはめられた表皮材、クッション材、接着フィルム/不織布積層体の裏側より、溶融樹脂を注入して射出成形により作成されるのが通常の方法である。このとき、裏基布は溶融樹脂の注入により、形状に沿って変形しつつ、溶融樹脂によるクッション材と表皮への溶融樹脂によるダメージを阻止して金型成形される必要がある。
【0015】
裏基布が、樹脂が圧入された時、金型にそって容易に変形するためには、加熱時の伸長性として、伸びと伸長に対する初期抵抗を低くすることが必須となる。本発明では、伸長性を120℃加熱時の伸度と5%伸長時の荷重で限定することで達成できることを知見した。即ち、本発明では、該不織布の120℃加熱時、縦方向及び横方向の伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の縦方向及び横方向の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることが必須である。120℃加熱時の伸度が40%未満では、金型形状に沿えず、裏基布が破れや浮き、シワを生じる場合があり好ましくない。100%を越える場合は、ダレやタルミ、シワが発生し易いので好ましくない。また、120℃加熱時の5%伸長時の荷重がg/m2付当り0.2N/50mmを越える場合は、金型形状に沿い難くなり、伸度が40%以上でも浮きを発生し易いので好ましくない。本発明の好ましい伸度は45%〜90%、より好ましくは、50%〜80%である。又、本発明の好ましい5%伸長時の目付g/m2当り荷重は、0.10N/50mm〜0.001N/50mm、より好ましくは0.05N/50mm〜0.005N/50mmである。
【0016】
ドアトリム用としては、本発明での最も好ましい実施形態としては、緻密層と粗密層の積層構造体が推奨できる。緻密層は、樹脂の表皮層及びクッション層への不織布側からの圧入溶融樹脂の漏れを阻止し、粗密層は、金型への圧入溶融樹脂の拡散を助けて形状形成性を向上させることができる。本発明での最も好ましい実施形態としては、例えば、緻密層は0.5dtexの扁平断面糸を用いた見掛け密度0.1g/cm3のスパンボンド不織布と、粗密層は3.4dtexの異形断面糸を用いた見掛け密度0.05g/cm3のスパンボンド不織布をウオータージェットで交絡処理したスパンボンド不織布等が例示できる。各層の目付は、特には限定されないが、例えば、緻密層の目付は20g/m2〜80g/m2、粗密層は50g/m2〜100g/m2が好ましい。繊維繊度も特には限定されないが、緻密層では0.5dtex〜3dtex、粗密層は1dtex〜10dtexが好ましい。
【0017】
本発明のスパンボンド不織布を構成する単繊維の繊度は特には限定されないが、自動車内装材用裏基布用途としては、柔軟性と補強機能、又は及び遮蔽機能を効率よく付与するために、好ましくは15dtex以下、より好ましくは、0.5dtex〜8dtexである。
本発明のスパンボンド不織布を構成する単繊維の断面形状は丸断面や異形断面などが使用でき、特には限定されない。が、自動車内装材用裏基布用途としては、柔軟性と補強機能、又は及び遮蔽機能を効率よく付与するためには、扁平断面などが推奨できる。又、嵩高性を要求される場合は、中空断面や異形断面などが推奨できる。
本発明スパンボンド不織布を構成する繊維の接合形態は特には限定されないが、溶融樹脂の浸透を阻止するためには、緻密な構造が好ましく、例えば、エンボス加工が適当である。エンボス加工は、ドット加工、表面平滑を要求される場合は、プレーン加工が好ましい。厚もので嵩高なものが必要な場合は、ニードルパンチ加工が適当である。
【0018】
本発明のスパンボンド不織布の厚みは、特には限定されないが、使用部位で最適なものを選択するのが望ましい。例えば、ドアトリム用には、成形樹脂遮蔽機能と補強機能を保持するため0.3mm〜1mmが好ましい。天井材用途は天井との接着性が重視されるので、0.1mm〜0.3mmが好ましい。トランクの内装材は遮音と振動吸収機能が必要なため3mm〜5mmが好ましい。
本発明のスパンボンド不織布の目付は、特には限定されないが、使用部位で最適なものを選択するのが望ましい。例えば、ドアトリム用には、成形樹脂遮蔽機能と補強機能を保持するため30g/m2〜100g/m2が好ましい。天井材用途は天井との接着性が重視されるので、15g/m2〜30g/m2が好ましい。トランクの内装材は遮音と振動吸収機能が必要なため100g/m2〜300g/m2が好ましい。
【0019】
以下に本発明不織布の製法の一例を示す。
固有粘度1.20〜1.80のポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)又は、固有粘度0.8〜1.6のポリトリメチレンテレフタレートと、ポリエチレンテレフタレートにジオールを例えば30モル%共重合した融点が180℃の芳香族ポリエステル(PET共重合体)を混合しつつ真空乾燥して、少なくとも水分率を0.003重量%以下として紡糸に供することが推奨される。本発明での好ましい水分率は0.002重量%以下である。乾燥工程を省略して、紡糸段階でベントより水分を除去する場合は、押出機で溶融される直前及び直後に高真空で水分を除去する方法が推奨される。
【0020】
ついで、常法により、溶融紡糸を行う。紡糸温度は、ポリブチレンテレフタレートの融点より15℃〜40℃高い温度が推奨される。好ましくは25℃〜35℃高い温度が推奨される。オリフィスから溶融ポリマーを吐出するに際し、本発明では、せん断速度を高く設定できる孔径が推奨できる。剪断速度を高くすることで、擬似シースコア構造化ができるので特に好ましい。好ましい剪断速度は500/秒〜5000/秒であり、より好ましくは1500/秒〜4000/秒である。剪断速度が10000/秒を越えると異常流動を生じ、繊維の強力が低下するので好ましくない。吐出量はせん断速度を高くした構造形成と引取速度に応じて所望の繊度となる最適量とするのが好ましい。
【0021】
本発明では、好ましい繊度が0.5dtexから8dtexであるから、引取速度が4000m/分であれば、単孔あたりの吐出量は0.2g/分〜3.2g/分とするのが好ましい。吐出するノズルは多数列の小さなノズルを必要個数設置しても良いし、多列の孔を有する一枚のノズルを用いてもよい。吐出された溶融線条は、冷却しつつ細化させて引取る。スパンボンド法では、アスピレーター機能をもつエジェクターで引取り、搬送ネット上に振落として繊維配列をランダムな状態に開繊積層したウエッブを形成する。このとき、繊維は弾性回復限界内で遅延回復して不織布の形態保持性が低下して取扱性が悪くなる場合がある。このため、本発明では、開繊積層したウエッブの遅延回復を直ちに抑制してウエッブ形態を固定する方法を強く推奨する。具体的には、引取りネットでの挟み込み固定化する方法や、押さえローラーによる固定化方法が例示できる。このことにより、不織布の形態保持性が著しく向上する。振り落とす繊維量は、所望の目付けになるように引取ネット速度に応じて調整し振り落とす。
【0022】
振り落とし繊維本数が一定の場合では、引取ネット速度を早くしていくと、開繊された繊維は、ネットの進行方向(以下MDと略す)に配列する確率が多くなる傾向を示す。このような場合は振り落とす繊維本数を多くすることでランダムな状態を調整することが可能となり、より生産性も向上する。引取りウエッブ形成の工程では、必要な厚み調整も配慮する必要がある。
【0023】
次いで、積層ウエッブは連続して、又は、非連続でニードルパンチ加工、又は、及び、エンボス加工、又は、及び水流交絡処理等の絡合処理を行う。ニードルパンチ加工では、緻密度と絡合強度に応じて針数密度や針形状を最適化するのが好ましい。エンボス加工では、不織布表面の必要機能に応じて、エンボス形状は所望するドット形状や密度、又はプレーン形状等を最適なものを選択して処理する。本発明では、エンボス加工の温度はPTTやPBTでは180℃〜220℃、線圧は20kN/m〜200kN/mが適当である。水流交絡処理は、必要に応じ、片面又は両面に処理する。水流圧力は2MPa〜10MPaが適当であり、あまり低圧では絡合効果が少なく、高過ぎると繊維の損傷を生じるので好ましくない。本発明では、水流交絡は、緻密層と粗密層の積層構造体を一体化するのに特に好ましい実施形態である。

【0024】
かくして得られた本発明のニードル加工及び、又はエンボス加工及び又は、水流交絡処理したスパンボンド不織布は、そのまま各種自動車内装材用基布として提供できる。
本発明では、性能を低下させない範囲で樹脂製造過程から成形体に加工し、製品化する任意の段階で防臭抗菌、消臭、防黴、着色、芳香、難燃等の機能付与剤等を付与しての加工処理ができる。
なお、本発明における例示は、これらに限定されるものではない。
【0025】
以下に本発明の実施例を示す。本発明は、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、実施例及び比較例中の特性値は以下の方法で測定した。
【0027】
<融点>
示差走査型熱量計にて、20℃から300℃まで、20℃/分にて昇温せしめたときの溶融により生じる吸熱現象の吸熱ピーク温度を融点とする。
<吸熱開始温度>
上記融点測定時に生じる吸熱パターンが開始する温度。吸熱パターンとベースラインとの接線をとり、接線から吸熱パターンが開始する温度とする。
<繊維の繊度>
JIS−L1015(1999)に準拠して測定。
<不織布の目付>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
<不織布の厚さ>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
<不織布の120℃雰囲気中での引張強度及び伸度>
JIS−L1906(2000)に準拠して、120℃加熱雰囲気で測定。
<不織布の120℃雰囲気中での目付当りの5%伸長時荷重>
JIS−L1906(2000)に準拠して、120℃加熱雰囲気で測定したひずみ/荷重曲線より、5%伸長歪付与時の荷重を測定した。
【0028】
(実施例1)
テレフタル酸(以下TPAと略す)100部、エチレングリコ−ル(以下EGと略す)40部、ネオペンチルグリコール(以下NPGと略す)15部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換−重合後ペレタイズして、融点178℃、固有粘度0.780の芳香族共重合ポリエステルA(以下COPES−Aと略す)を得た。
TPA100部、1・4ブタンジオール(以下BGと略す)70部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換−重合後ペレタイズして、融点230℃、固有粘度1.205のPBTを得た。
COPES−A10部、PBT90部をロータリー式真空乾燥機に投入して、混合乾燥(水分率0.002重量%まで乾燥)し、紡糸に供した。紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.23mmのノズルより、単孔吐出量0.7g/分で紡糸し、ノズル下50mmより20℃の空気を風速0.5m/秒にて冷却しつつ、ノズル下0.8mの点に設置したエジェクターで糸速4100m/分の速度で吸引させつつ引取り、ノズル下1.5m点で、50m/分の速度で移動している引取ネット面へ繊維束を開繊させつつ振り落とし積層した。ネット面に積層されたウエッブは直ちに仮押さえローラーでプレ圧縮して引取ローラーに巻き取った。
【0029】
次いで、巻き取った不織布を6mmピッチのドットエンボスローラーにて、210℃で線圧50kN/mにてエンボス加工したスパンボンド不織布を得た。
得られたエンボス加工スパンボンド不織布の厚みは、0.7mm、目付115g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ30N/50mm、伸び率75%、目付当りの5%伸長時荷重0.02N/50mm、横方向(CD)の引張強さ25N/50mm、伸び率81%、目付当りの5%伸長時荷重0.01N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は1.7dtexで、融点226℃、吸熱開始温度189℃、繊維間の絡合はエンボスによるドットで構成されている。得られたスパンボンド不織布の性能評価をドアトリム材に適用して評価した。スパンボンド不織布に接着層/クッション層(発泡ウレタン)/接着層/表皮層を積層して金型に設置し、常法により、200℃のポリプロピレン原着樹脂を注入してドアトリムを作成した。
得られたドアトリムの表皮材部分は、浮き、ダレ、破れ、シワ、凸凹、横漏れがなく、表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しも無く、樹脂層と不織布層は充分に密着接合しており、品位良好なドアトリムであった。すなわち、実施例1は発明要件を全て満たしており、ドアトリムの裏基布として優れた性能を示すものであった。
【0030】
(実施例2)
TPA100部、BG70部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換後、分子量1000のポリテトラメチレングリコール(以下PTMGと略す)0.3部を添加攪拌後、重合してペレット化し、融点226℃、固有粘度1.580の芳香族共重合ポリエステルA(以下COPES−Bと略す)を得た。
得られたCOPES−Bを乾燥後、紡糸に供した。紡糸温度260℃にて、オリフィス形状が幅0.04mm、長さ0.40mmのスリット孔のノズルより、単孔吐出量0.3g/分で紡糸し、ノズル下50mmより20℃の空気を風速0.5m/秒にて冷却しつつ、ノズル下0.8mの点に設置したエジェクターで糸速4000m/分の速度で吸引させつつ引取り、ノズル下1.5m点で、45m/分の速度で移動している引取ネット面へ繊維束を開繊させつつ振り落とし積層した。ネット面に積層されたウエッブは直ちに仮押さえローラーでプレ圧縮して引取ローラーに巻き取った。得られた不織布(B1)の目付は、40g/m2、単繊維の繊度は平均0.75dtexであった。
【0031】
実施例1で得た乾燥したPBTを用い、紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.30mmのノズルより、単孔吐出量1.5g/分で紡糸し、ノズル下50mmより20℃の空気を風速0.5m/秒にて冷却しつつ、ノズル下0.8mの点に設置したエジェクターで糸速4600m/分の速度で吸引させつつ引取り、ノズル下1.5m点で、65m/分の速度で移動している引取ネット面へ繊維束を開繊させつつ振り落とし積層した。ネット面に積層されたウエッブは直ちに仮押さえローラーでプレ圧縮して引取ローラーに巻き取った。得られた不織布(B2)の目付は、80g/m2、単繊維の繊度は3.3dtexであった。
次いで、不織布B1とB2を積層して、速度50m/分のコンベアに乗せ、ノズル孔径0.15mm、孔間ピッチ8mmのジェットノズルより、圧力3MPaで加圧した水流で交絡処理し、乾燥後、プレーンローラーで180℃、線圧20kN/mにてエンボス加工して積層スパンボンド不織布を得た。
得られたスパンボンド不織布は、厚み0.9mm、目付120g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ26N/50mm、伸び率85%、目付当りの5%伸長時荷重0.01N/50mm、横方向(CD)の引張強さ21N/50mm、伸び率92%、目付当りの5%伸長時荷重0.007N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は0.75dtexと3.3dtexで、融点226℃及び226℃、吸熱開始温度181℃及び197℃、繊維間の絡合は水流交絡により接合されている。得られた積層スパンボンド不織布の性能評価をドアトリム材に適用して実施例1と同様にして評価した。
得られたドアトリムの表皮材部分は、浮き、ダレ、破れ、シワ、凸凹、横漏れがなく、表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しも無く、樹脂層と不織布層は充分に密着接合しており、品位良好なドアトリムであった。すなわち、実施例2は発明要件を全て満たしており、ドアトリムの裏基布として優れた性能を示すものであった。
【0032】
(実施例3)
TPA100部、トリメチレングリコール(以下TGと略す)60部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換後、重合してペレット化し、融点221℃、固有粘度1.310のPTTを得た。
得られたPTTを乾燥後、紡糸温度255℃にて、実施例2で用いたスリット孔のノズルより、単孔吐出量0.25g/分で紡糸し、ノズル下50mmより20℃の空気を風速0.5m/秒にて冷却しつつ、ノズル下0.8mの点に設置したエジェクターで糸速4000m/分の速度で吸引させつつ引取り、ノズル下1.5m点で、45m/分の速度で移動している引取ネット面へ繊維束を開繊させつつ振り落とし積層した。ネット面に積層されたウェブは直ちに仮押さえローラーでプレ圧縮して引取ローラーに巻き取った。得られた不織布(C1)の目付は、40g/m2、単繊維の繊度は平均0.65dtexであった。
【0033】
実施例2で得た不織布B2とC1を積層し、実施例2と同様にして水流交絡処理及びエンボス加工して得られた積層スパンボンド不織布は、厚み0.8mm、目付120g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ29N/50mm、伸び率78%、目付当りの5%伸長時荷重0.02N/50mm、横方向(CD)の引張強さ24N/50mm、伸び率87%、目付当りの5%伸長時荷重0.01N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は0.65dtexと3.3dtexで、融点221℃及び226℃、吸熱開始温度182℃及び189℃、繊維間の絡合は水流交絡により接合されている。得られた積層スパンボンド不織布の性能評価をドアトリム材に適用して実施例1と同様にして評価した。
【0034】
得られたドアトリムの表皮材部分は、浮き、ダレ、破れ、シワ、凸凹、横漏れがなく、表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しも無く、樹脂層と不織布層は充分に密着接合しており、品位良好なドアトリムであった。すなわち、実施例2は発明要件を全て満たしており、ドアトリムの裏基布として優れた性能を示すものであった。
【0035】
(比較例1)
固有粘度0.68のPETを用い、紡糸温度285℃にて、孔径0.35mmノズルより単孔吐出量2.5g/分、引取速度4800m/分にて紡糸し、エンボス加工をドット5mm間隔で240℃、線圧50kN/mで行った以外、実施例1と同様にして得られたエンボス加工スパンボンド不織布の厚みは、0.7mm、目付110g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ192N/50mm、伸び率38%、目付当りの5%伸長時荷重0.81N/50mm、横方向(CD)の引張強さ114N/50mm、伸び率67%、目付当りの5%伸長時荷重0.33N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は5.2dtexで、融点256℃、吸熱開始温度237℃、繊維間の絡合はエンボスによるドットで接合されている。得られたエンボス加工スパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様に評価した。
得られたドアトリムの表皮材部分は、浮き、シワ、凸凹が発生しており、表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しも射出部回りで生じていた。樹脂層と不織布層は充分に密着接合しているが、品位は非常に劣るドアトリムであった。すなわち、比較例1は本発明要件を大部分満たさないため、ドアトリムの裏基布として非常に劣る性能を示すものであった。
【0036】
(比較例2)
TPA100部、イソフタル酸30部、EG70部、ジエチレングリコール(以下DEGと省略)5部を少量の触媒と共に仕込み、常法によりエステル交換―重合して、芳香族共重合ポリエステル(COPES−C)を得た。得られたCOPES−Cは、融点が184℃、固有粘度0.61、融解開始温度は137℃であった。
【0037】
COPES−Cを用いた以外は実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚み0.6mm、目付115g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ24N/50mm、伸び率95%、目付当りの5%伸長時荷重0.006N/50mm、横方向(CD)の引張強さ18N/50mm、伸び率101%、目付当りの5%伸長時荷重0.004N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は1.2dtexで、融点184℃、吸熱開始温度137℃、繊維間の絡合はエンボスにより接合されている。得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして行った。得られたドアトリムの表皮材部分は、樹脂洩れが著しく、シワ、凸凹も発生していた。表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しは著しい。樹脂層と不織布層は充分に密着接合していた。が、品位が著しく劣るドアトリムであった。すなわち、比較例2は発明要件から外れる、低い流動開始温度のため樹脂漏れが著しくなり、ドアトリムの裏基布としては使用できないものであった。
【0038】
(比較例3)
実施例1で得たPBTを用いて、単孔吐出量0.30g/分にて引取速度2500m/分で紡糸した以外、実施例1と同様にして得られたプレ圧縮して巻き取ったスパンボンド不織布を、次いで、ペネ60でニードルパンチして、ニードルパンチスパンボンド不織布を得た。
【0039】
得られたエンボス加工スパンボンド不織布の厚みは、0.9mm、目付115g/m2、120℃雰囲気での、縦方向(MD)の引張強さ20N/50mm、伸び率135%、目付当りの5%伸長時荷重0.006N/50mm、横方向(CD)の引張強さ15N/50mm、伸び率151%、目付当りの5%伸長時荷重0.002N/50mmであった。不織布を構成する繊維の繊度は1.2dtexで、融点226℃、吸熱開始温度197℃、繊維間の絡合はニードルパンチによる交絡で固定されている。得られたニードルパンチスパンボンド不織布を実施例1と同様にドアトリム材に適用して評価した。
【0040】
得られたドアトリムの表皮材部分は、浮き、ダレ、シワが発生していた。表皮層とクッション層を剥離して調べた不織布表面への樹脂のしみ出しは無く、樹脂層と不織布層は充分に密着接合しており、品位はやや劣るドアトリムであった。すなわち、比較例3は発明要件の一部を満たさないため、ドアトリムの裏基布としては不適当で劣る性能を示すものであった。
【0041】
実施例1〜3、比較例1〜4により明らかなように、本発明のスパンボンド不織布は、芳香族ポリエステル単位を80モル%以上含有し、示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、160℃以上である連続繊維からなる不織布において、該不織布の120℃加熱時、伸度が40%以上100%以下、5%伸長時の荷重がg/m2目付当り0.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布とすることで、自動車内装材裏基布の中でも変形が大となるドアトリムに最適なポリエステルスパンボンド不織布が提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のスパンボンド不織布は、本発明のスパンボンド不織布は、結晶性が高く、融点も220℃以上と熱安定性が良好で、モジュラスがやや低いポリブチレンテレフタレートまたは、ポリトリメチレンテレフタレートなどを主成分として、熱成形性を向上させるため、熱変形温度を低く設定することで、優れた低モジュラスで、高伸長性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布でも変形が大となるドアトリムに特に適したポリエステルスパンボンド不織布として安価に提供することができる。さらには、目付や厚みを所望のものとすることで、自動車内装材以外の用途にも有用な不織布として提供できるので、産業界に寄与することが大である。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成16年6月29日(2004.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−9215(P2006−9215A)
【公開日】 平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願番号】 特願2004−191059(P2004−191059)