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【発明の名称】 スパンボンド不織布
【発明者】 【氏名】田中 茂樹
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【氏名】足立 将孝
【住所又は居所】滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡績株式会社総合研究所内

【氏名】山本 俊也
【住所又は居所】山口県岩国市灘町1番1号 東洋紡績株式会社岩国繊維工場内

【要約】 【課題】優れた低モジュラスで、高伸張性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布を提案するものである。

【解決手段】(A)芳香族ポリエステル(融点:Tm1)に、芳香族共重合ポリエステル(融点:Tm2=150℃〜(Tm1−20℃))が、1〜15重量%含有した連続繊維からなる不織布において、該不織布の伸度が20%以上100%以下、5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布であり、(B)芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレートである(A)記載のスパンボンド不織布であり、(C)示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が140℃以上である(A)〜(B)記載のスパンボンド不織布である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリエステル(融点:Tm1)と、当該芳香族ポリエステルに対して1〜15重量%の芳香族共重合ポリエステル(融点:Tm2=150℃〜(Tm1−20℃))を含有した連続繊維からなる不織布において、該不織布の伸度が20%以上100%以下、5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布。
【請求項2】
芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレートである請求項1記載のスパンボンド不織布
【請求項3】
示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、140℃以上である請求項1〜2記載のスパンボンド不織布。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低モジュラスで、伸張性に優れたポリエステルスパンボンド不織布に関し、更に詳しくは、成型加工性、追随性に優れ、且つ成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に特に適したポリエステルスパンボンド不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用内装材の裏基布としてメリヤス、トリコットなどの編物、金巾などの織物、スパンボンドや短繊維不織布などの不織布を用いることが知られている。しかして、これらの自動車用内装材は高級感、意匠性等の要望から、表層のソフト化が進んでおり、かかる表層の仕上がり品位を確保するため、裏基布の伸張性や追随性確保の検討がなされている。その対策例として、低モジュラスで高伸張性のポリアミド長繊維不織布を用いることが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、かかるポリアミド長繊維不織布は、比較的低モジュラスで高伸張性を有しているものの、形態保持性が不充分で、例えば天井材で使用した場合、ダレ(成形後、形態が変化する現象)の原因となるという不都合が生じていた。
【特許文献1】特開2003−113569号公報
【0003】
このように、低モジュラスで、高伸張性に優れた不織布は開示されているが、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に適した不織布は得られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来技術の課題を背景になされたもので、低モジュラスで、高伸張性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、且つ成形後の寸法安定性にも優れた、自動車内装材裏基布に特に適したスパンボンド不織布を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。即ち本発明は(A)芳香族ポリエステル(融点:Tm1)と、1〜15重量%の芳香族共重合ポリエステル(融点:Tm2=150℃〜(Tm1−20℃))を含有した連続繊維からなる不織布において、該不織布の伸度が20%以上100%以下、5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布であり、(B)芳香族ポリエステルがポリブチレンテレフタレートである(A)記載のスパンボンド不織布であり、(C)示差走査型熱量計における昇温過程での、融点を示す吸熱ピークの吸熱開始温度が、140℃以上である(A)又は(B)記載のスパンボンド不織布である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のスパンボンド不織布は、低モジュラスで、高伸張性を保持して、成型加工性、追随性に優れ、且つ成形後の寸法安定性にも優れた、特に自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布を安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明の不織布を構成する繊維の組成は、芳香族ポリエステル(融点:Tm1)に、芳香族共重合ポリエステル(融点:Tm2=150℃〜(Tm1−20℃))が、1〜15重量%含有するものである。
【0009】
本発明でいう芳香族ポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸とジオールのポリエステルであることが好ましい。
【0010】
自動車内装用素材として用いる他素材と複合するため、他素材が劣化しない温度の融点を持つのが好ましく、他素材の融点より高すぎると劣化しやすくなる可能性があり好ましくない。また、複合化するのにあまりに低い温度で変形流動する場合、耐熱性の要求を満たさないので好ましくない。これらの点を考慮して、本発明における最も好ましい実施形態としては、熱成形性が良好で耐熱性も保持できる融点(以下Tmと略す)220℃〜250℃であるポリエステルを挙げることができる。
【0011】
更に、本願発明の目的を達成するためには結晶性が高く、モジュラスがやや低いことが望まれるが、これらの要件を全て満たす素材として、ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す:Tm1;228℃)やポリブチレンナフタレート(以下PBNと略す:Tm1;243℃)などが推奨される。
【0012】
本発明で用いる芳香族共重合ポリエステルの融点(以下Tm2と略す)は、150℃〜(Tm1−20℃)であることが好ましい。Tm2が150℃未満では、不織布としたときの耐熱性が劣るので好ましくなく、(Tm1−20℃)を超えると、繊維間の接着性を向上し難いので好ましくない。特に好ましくは155℃〜(Tm1−30℃)、更に好ましくは160℃〜(Tm1−40℃)である。
【0013】
本発明でいう芳香族共重合ポリエステルは、上述の通り例示した芳香族ポリエステルに他の第三成分を共重合したポリエステルをいい、例えば、他の第三成分としては、酸成分では、イソフタール酸、アジピン酸、セバチン酸、グルタル酸等の第三成分を共重合したものや、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール/エチレングリコール、などのジオール成分を共重合したポリエステルが挙げられる。これらの共重合成分を用いれば、柔軟性を有し、かつ下記理由により強力な接合力を有するポリエステルスパンボンド不織布を得ることが可能である。
【0014】
本発明において、上記の融点Tm2の共重合芳香族ポリエステルを融点Tm1の芳香族ポリエステルに含有させる理由は以下の通りである。すなわち、溶融した芳香族ポリエステルのマトリックス中に共重合芳香族ポリエステルが良好に分散した状態で紡糸オリフィスを通過することになるが、紡出前の溶融状態の接触界面では、共重合ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合が進み、添加量が少ないと比較的短時間で共重合は完結してマトリックス中に分散している。次いで、紡糸オリフィスで大きなせん断力を受けると、溶融粘度の低い共重合体はオリフィス壁面へと弾き出されてシースコア構造を形成すると推測される。
【0015】
このような理由から、芳香族ポリエステルと共重合芳香族ポリエステルは、レジンブレンド(2種以上のポリマーをレジンで投入し、エクストルーダー内で混合して、溶融押し出しして紡糸する)であってもよいし、混練り等により前もってレジン投入前から共重合ポリエステルと芳香族ポリエステルが共重合されていてもよい。
【0016】
かくして紡糸された繊維は、固化点付近まで冷却しつつネット上にウエッブ状に引き取られるが、このとき、共重合ポリエステルを含有させたものは、接触する繊維間の界面の接合力が高くなり、次いで、エンボス加工等をおこなっても、不織布強力は非常に向上してくる。この結果から、シースコア構造化して、熱接着繊維のような効果が発現している可能性が考えられる。
【0017】
このときの繊維を構成する樹脂の平均的特性である融点及び流動開始温度はわずかに低下するに留まる。すなはち、主成分である芳香族ポリエステルの特性をほとんど損なわない挙動を示す。このような効果が発現できる芳香族共重合ポリエステルの含有量は1〜15重量%である。1%未満では効果がほとんど認められない。15重量%を超える含有量では、主成分である芳香族ポリエステルの特性がやや低下する場合があるので好ましくない。
【0018】
かくして、共重合したポリエステルの融点及び流動開始温度は低下する。耐熱性(流動開始温度及び融点は高いほうがよい)及び形状形成性(流動開始温度は使用用途の温度+20℃以上で低いほうがよい)を同時に満たすため、流動開始温度は、好ましくは140℃〜240℃、より好ましくは160℃〜230℃、最も好ましくは190℃〜220℃である。流動開始温度は、本発明では、示差走査型熱量計にて測定した吸熱開始温度で代替することができる。140℃以下では、耐熱性が劣るので好ましくない。240℃を超えると、成形時のセット性が悪くなるので好ましくない。また、不織布製造工程での不織布形成時の加熱処理を高温で行う必要が出てくるので省エネルギー的に不利になる問題がある。
【0019】
本発明の不織布は、前記ポリエステルから構成される連続繊維からなる不織布において、該不織布の5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下であることを特徴とするスパンボンド不織布であることが好ましい。
本発明の不織布は、低目付においても、充分な強力が要求される部材であり、長繊維から構成される。短繊維不織布では、低目付では充分な強力を付与できない問題がある。本発明の長繊維不織布はスパンボンド不織布であるので、低目付でも充分な強力を付与することが可能である。
【0020】
本発明のスパンボンド不織布は、縦方向及び横方向の伸度が20%以上100%以下である。伸度が20%未満では、裏基布として用いた場合、伸張し難いので型形状に対する追随性が劣り、所望の形状が出せなかったり、破損したりする場合があり好ましくない。伸度が100%を超えると、均一な裏基布の補強機能が低減して形状にダレを生じる場合があり好ましくない。好ましい伸度は、25%〜80%、より好ましくは30%〜60%である。
【0021】
本発明のスパンボンド不織布は、5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下と伸張時の初期抵抗を低くして型形状への追随性を確保する必要がある。伸張に対する初期抵抗が大きいと、型形状への追随性が劣り、仕上がり形状が悪くなる。又、破損する場合があるので好ましくない。このましくは、1.0N/50mm〜0.4N/50mm、より好ましくは0.8N/50mm〜0.4N/50mmである。
【0022】
本発明のスパンボンド不織布を構成する単繊維の繊度は特には限定されないが、自動車内装材用裏基布用途としては、柔軟性と補強機能、又は及び遮蔽機能を効率よく付与するために、好ましくは15dtex以下、より好ましくは、1dtex〜8dtexである。
本発明スパンボンド不織布を構成する繊維の接合形態は特には限定されないが、薄物で強力が必要なものは、エンボス加工が適当である。エンボス加工は、ドット加工、表面平滑を要求される場合は、プレーン加工が好ましい。厚もので嵩高なものが必要な場合は、ニードルパンチ加工が適当である。
【0023】
本発明のスパンボンド不織布の厚みは、特には限定されないが、使用部位で最適なものを選択するのが望ましい。例えば、シートの裏打ち材としては、耐磨耗性と形状追随性から0.2mm〜0.5mmが好ましい。ドアトリム用には、成形樹脂遮蔽機能と補強機能を保持するため0.3mm〜1mmが好ましい。天井材用途は天井との接着性が重視されるので、0.1mm〜0.3mmが好ましい。トランクの内装材は遮音と振動吸収機能が必要なため3mm〜5mmが好ましい。
【0024】
以下に本発明不織布の製法の一例を示す。
固有粘度1.20以上、1.80以下のポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)とポリエチレンテレフタレートにジオールを例えば30モル%共重合した融点が180℃の芳香族ポリエステル(PET共重合体)を混合しつつ真空乾燥して、少なくとも水分率を0.003重量%以下として紡糸に供することが推奨される。本発明での好ましい水分率は0.002重量%以下である。乾燥工程を省略して、紡糸段階でベントより水分を除去する場合は、押出機で溶融される直前及び直後に高真空で水分を除去する方法が推奨される。
【0025】
ついで、常法により、溶融紡糸を行う。紡糸温度は、ポリブチレンテレフタレートの融点より15℃〜40℃高い温度が推奨される。好ましくは25℃〜35℃高い温度が推奨される。オリフィスから溶融ポリマーを吐出するに際し、本発明では、せん断速度を高く設定できる孔径が推奨できる。吐出量はせん断速度を高くした構造形成と引取速度に応じて所望の繊度となる最適量とするのが好ましい。本発明では、好ましい繊度が1dtexから8dtexであるから、引取速度が4000m/分であれば、単孔あたりの吐出量は0.4g/分〜3.2g/分とするのが好ましい。吐出するノズルは多数列の小さなノズルを必要個数設置しても良いし、多列の孔を有する一枚のノズルを用いてもよい。吐出された溶融線条は、冷却しつつ細化させて引取る。スパンボンド法では、アスピレーター機能をもつエジェクターで引取り、搬送ネット上に振落として繊維配列をランダムな状態に開繊積層したウエッブを形成する。
【0026】
このとき、繊維は弾性回復限界内で遅延回復して力学特性が低下する場合がある。このため、本発明では、開繊積層したウエッブの遅延回復を直ちに抑制してウエッブ形態を固定する方法を強く推奨する。具体的には、引取りネットでの挟み込み固定化する方法や、押さえローラーによる固定化方法が例示できる。振り落とす繊維量は、所望の目付けになるように引取ネット速度に応じて調整し振り落とす。振り落とし繊維本数が一定の場合では、引取ネット速度を早くしていくと、開繊された繊維は、ネットの進行方向(以下MDと略す)に配列する確率が多くなる傾向を示す。このような場合は振り落とす繊維本数を多くすることでランダムな状態を調整することが可能となり、より生産性も向上する。引取りウエッブ形成の工程では、必要な厚み調整も配慮する必要がある。
【0027】
次いで、積層ウエッブは連続して、又は、非連続でエンボス加工を施される。エンボス形状は所望する不織布表面の必要機能に応じてドット形状や密度、又はプレーン形状等を最適なものを選択して処理する。本発明では、エンボス加工の温度はPBTでは180℃〜220℃、線圧は20kN/m〜200kN/mが適当である。
かくして得られた本発明のエンボス加工したスパンボンド不織布は、そのまま各種自動車内装材用基布として提供できる。
なお、本発明における例示は、これらに限定されるものではない。
【0028】
以下に本発明の実施例を示す。本発明は、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、実施例及び比較例中の特性値は以下の方法で測定した。
【0030】
<融点>
示差走査型熱量計にて、20℃から300℃まで、20℃/分にて昇温せしめたときの溶融により生じる吸熱現象の吸熱ピーク温度を融点とする。
<吸熱開始温度>
上記融点測定時に生じる吸熱パターンが開始する温度。吸熱パターンとベースラインとの接線をとり、接線から吸熱パターンが開始する温度とする。
<繊維の繊度>
JIS−L1015(1999)に準拠して測定。
<不織布の目付>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
<厚さ>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
<不織布の引張強度及び伸度>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定。
<不織布の目付当りの5%伸張時荷重>
JIS−L1906(2000)に準拠して測定したひずみ/荷重曲線より、5%伸張歪付与時の荷重を測定した。
【0031】
(実施例1)
テレフタル酸(以下TPAと略す)100部、エチレングリコ−ル(以下EGと略す)40部、ネオペンチルグリコール(以下NPGと略す)15部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換−重合後ペレタイズして、融点178℃、固有粘度0.780の芳香族共重合ポリエステルA(以下COPES−Aと略す)を得た。
TPA100部、1・4ブタンジオール(以下BGと略す)70部を少量の触媒と仕込み、常法にてエステル交換−重合後ペレタイズして、融点230℃、固有粘度1.205のPBT−Aを得た。
【0032】
COPES−A10部、PBT−A90部をロータリー式真空乾燥機に投入して、混合乾燥(水分率0.002重量%まで乾燥)し、紡糸に供した。紡糸温度260℃にて、オリフィス径φ0.20mmのノズルより、単孔吐出量0.7g/分で紡糸し、ノズル下50mmより20℃の空気を風速0.5m/秒にて冷却しつつ、ノズル下0.8mの点に設置したエジェクターで糸速4100m/分の速度で吸引させつつ引取り、ノズル下1.5m点で、50m/分の速度で移動している引取ネット面へ繊維束を開繊させつつ振り落とし積層した。ネット面に積層されたウエッブは直ちに仮押さえローラーでプレ圧縮して引取ローラーに巻き取った。次いで、巻き取った不織布を4mmピッチのドットエンボスローラーにて、210℃で線圧50kN/mにてエンボス加工したスパンボンド不織布を得た。
【0033】
得られたエンボス加工スパンボンド不織布の厚みは、0.17mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.5N/5cm、引張強さ40N/5cm、伸び率25%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.4N/5cm、引張強さ30N/5cm、伸び率28%であった。不織布を構成する繊維の繊度は1.7dtexで、融点226℃、流動開始温度198℃、繊維間の接触点の大部分は接合している。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を天井材に適用して評価した。スパンボンド不織布に接着層/オレフィン層/接着層/ガラス繊維層/断熱遮音層/ガラス繊維層/接着層/表皮層を積層して金型に設置し、130℃にて熱成形した天井材を車体の天井に接合した。得られた天井材は、浮き、ダレ、破れ、樹脂のしみ出し、凸凹がなく、天井形状に添い、品位も良好な天井であった。すなわち、実施例1は発明要件を全て満たしており、天井材での裏基布として優れた性能を示すものであった。
【0034】
(実施例2)
COPES−Aを5部、PBTを95部用いた以外は実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚みは、0.17mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.6N/5cm、引張強さ39N/5cm、伸び率24%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.3N/5cm、引張強さ26N/5cm、伸び率27%であった。不織布を構成する繊維の繊度は1.7dtexで、融点229℃、流動開始温度204℃、繊維間の接触点の大部分は接合している。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして行った。得られた天井材は、浮き、ダレ、破れ、樹脂のしみ出し、凸凹がなく、天井形状に添い、品位も良好な天井であった。即ち、実施例2は発明要件を全て満たしており、天井材での裏基布として優れた性能を示すものであった。
【0035】
(比較例1)
PBTを100部用いた以外は実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚みは、0.17mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.4N/5cm、引張強さ27N/5cm、伸び率20%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.2N/5cm、引張強さ19N/5cm、伸び率25%であった。不織布を構成する繊維の繊度は1.7dtexで、融点230℃、流動開始温度213℃、繊維間の接触点の半分以上は接合している。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして天井材で行った。得られた天井材は、浮き、ダレ、破れ、樹脂のしみ出し、凸凹がなかったが、角の一箇所で不織布の裏添いが悪い部分が出た。天井形状への添いは若干劣り、品位は許容範囲の天井であった。即ち、比較例1は繊維の組成が異なる以外は、本発明不織布の強伸度特性は満たしているが、天井材での裏基布としての性能は、本発明不織布より性能がやや劣るものであった。
【0036】
(比較例2)
ナイロン6を95部、ナイロン610を5部用いた以外、実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚みは、0.15mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.4N/5cm、引張強さ37N/5cm、伸び率92%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.2N/5cm、引張強さ24N/5cm、伸び率100%であった。不織布を構成する繊維の繊度は1.7dtexであった。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして天井材で行った。得られた天井材は、浮き、破れ、樹脂のしみ出し、凸凹がなかったが、一部にダレが出た。天井形状への添いは若干劣り、品位は許容範囲をやや外れる天井であった。即ち、比較例2は繊維の組成が異なる以外は、本発明不織布の強伸度特性は満たしているが、天井材での裏基布としての性能は、本発明不織布より性能が劣るものであった。
【0037】
(比較例3)
TPA70部、イソフタル酸(以下IPAと略す)30部、EG65部を少量の触媒とともに仕込み、常法によりエステル交換及び重合して、融点152℃の共重合ポリエステル(以下COPES−Bと略す)を得た。
COPES−Bを25部、PBTを75部用いた以外、実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚みは、0.15mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.8N/5cm、引張強さ46N/5cm、伸び率12%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.6N/5cm、引張強さ37N/5cm、伸び率18%であった。なお、繊維の流動開始温度は137℃で変形開始温度も低くなった。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして天井材で行った。得られた天井材は、コーナーの浮きと凹凸、裏基布の破れが発生した。天井形状への添いも劣り、品位は許容範囲を外れる天井であった。即ち、比較例3は、天井材用の裏基布性能が、本発明不織布より性能が劣るものであった。
【0038】
(比較例4)
固有粘度0.63のPETを97部、COPES−B3部を用いた以外、実施例1と同様にして得られたエンボス加工したスパンボンド不織布は、厚みは、0.14mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重1.4N/5cm、引張強さ58N/5cm、伸び率12%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重1.2N/5cm、引張強さ44N/5cm、伸び率16%であった。なお、繊維の流動開始温度は149℃で変形開始温度は問題のない温度であった。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして天井材で行った。得られた天井材は、コーナーの浮きと凹凸が発生し、裏基布の伸びも不充分な状態になっていた。天井形状への添いも劣り、品位は許容範囲を外れる天井であった。即ち、比較例4は、天井材用の裏基布性能が、本発明不織布より性能が劣るものであった。
【0039】
(比較例5)
エンボス加工をプレエンボスのみとした以外、比較例4と同様にして得られたスパンボンド不織布は、厚みは、0.9mm、目付25g/m2、縦方向(MD)の目付当りの5%伸張時荷重0.05N/5cm、引張強さ11N/5cm、伸び率143%、横方向(CD)の目付当りの5%伸張時荷重0.04N/5cm、引張強さ8N/5cm、伸び率165%であった。なお、繊維の流動開始温度は149℃で変形開始温度は問題のない温度であった。
得られたスパンボンド不織布の性能評価を実施例1と同様にして天井材で行った。得られた天井材は、コーナーの浮きと凹凸、ダレ、及び裏基布の破れと裏基布への接着剤のしみ出しが発生した。天井形状への添いも劣り、品位は許容範囲を外れる天井であった。即ち、比較例5は、裏基布の伸びを高くしても天井材用の裏基布性能が、本発明不織布より性能が劣るものであった。
【0040】
実施例1〜2、比較例1〜5により明らかなように、本発明のスパンボンド不織布は、芳香族ポリエステル(融点:Tm1)に、芳香族共重合ポリエステル(融点:Tm2=150℃〜(Tm1−20℃))が、1〜15重量%含有した連続繊維からなる不織布において、該不織布の伸度が20%以上100%以下、5%伸張時の荷重がg/m2目付当り1.2N/50mm以下でという構成にすることにより、優れた低モジュラスで、高伸張性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた、特に自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のスパンボンド不織布は、本発明のスパンボンド不織布は、結晶性が高く、融点も220℃以上と熱安定性が良好で、モジュラスがやや低いポリブチレンテレフタレートを主成分として、熱成形性を向上させるため、熱変形温度を低く設定することで、優れた低モジュラスで、高伸張性を保持して、成型加工性、追随性に特に優れ、成形後の寸法安定性にも優れた自動車内装材裏基布に適したポリエステルスパンボンド不織布として安価に提供することができる。さらには、目付や厚みを所望のものとすることで、自動車内装材以外の用途にも有用な不織布として提供できるので、産業界に寄与することが大である。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜2丁目2番8号
【出願日】 平成16年6月29日(2004.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−9214(P2006−9214A)
【公開日】 平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願番号】 特願2004−191058(P2004−191058)