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【発明の名称】 カートリッジフィルター用スプリットヤーン及びその製造方法
【発明者】 【氏名】細田 常正
【住所又は居所】岡山県倉敷市水島中通1丁目4番地 萩原工業株式会社内

【要約】 【課題】繊維油剤や低温揮発性液体等の集束剤を使用することなく、カートリッジフイルター用のポリオレフィン繊維糸を提供する。

【解決手段】ポリオレフィンからなるフイルムをスリットし、得られたフラットヤーンを割繊処理し、次いで、捲縮付与処理することにより、繊維油剤や低温揮発性液体等の集束剤を全く使用せずに、各工程でのトラブルがなく、効率よくスプリットヤーン製造することができ、集束剤の除去処理が不要であり、そのまま直接カートリッジフイルター用に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンからなるフイルムをスリットし、得られたフラットヤーンを割繊処理し、次いで、捲縮付与されたスプリットヤーンからなることを特徴とするカートリッジフィルター用スプリットヤーン。
【請求項2】
スプリットヤーンがポリエチレンからなるスプリットヤーンである請求項1に記載のカートリッジフィルター用スプリットヤーン。
【請求項3】
フラットヤーンの繊度が1000〜20000dtの範囲のものを割繊幅0.1〜1mmの範囲で割繊処理したものである請求項1に記載のカートリッジフィルター用スプリットヤーン。
【請求項4】
ポリエチレンを押出成形して得たフイルムをスリットして得られるフラットヤーンを割繊処理してスプリットヤーンを成形し、これにジェットノズルから加熱圧縮流体を連続的に吹き付け、スプリットヤーンに捲縮付与処理を施した後、巻取ることを特徴とするカートリッジフィルター用スプリットヤーンの製造方法。
【請求項5】
ポリオレフィンからなるフイルムをスリットし、得られたその繊度が1000〜20000dtの範囲のフラットヤーンを割繊幅0.1〜1mmの範囲で割繊処理し、次いで、捲縮付与されたスプリットヤーンを多孔性芯筒上に巻回されて筒状の濾過層が形成されなることを特徴とするカートリッジフィルター。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジフィルター用スプリットヤーンに関する。詳しくは、本発明は、繊維油剤が全く付着しておらず、特に製薬工業、食品工業、電子工業などの分野で使用される糸巻き型カートリッジフィルター用として好適なポリオレフィン製スプリットヤーン、及びその製造方法、並びに該スプリットヤーンを用いて得られる糸巻型カートリッジフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体を浄化するため、さまざまなフィルターが提案され、中でも、濾材の交換が容易である円筒状カートリッジ型のフィルター(以下、カートリッジフィルターと称す)は、工業用液体原料中の懸濁粒子の除去、ケーク濾過装置から流出したケークの除去、工業用水の浄化など産業上の幅広い分野で使用されている。カートリッジフィルターとしては、有孔芯材に紡績糸やマルチフィラメントを巻き付けた糸巻型のものが知られている。
【0003】
マルチフィラメントを巻き付けた糸巻型カートリッジフィルターとしては、例えば、単糸直径が100μm以下の熱可塑性樹脂繊維のマルチフィラメント糸からなる実質的に無撚の長繊維捲縮糸を巻糸として、有孔ボビンに巻き付けてなるカートリッジフイルターが提案され(特許文献1)、また、特定の繊維繊度を有する立体捲縮を有したマルチフィラメントが無撚の扁平なテープ状をなして多孔性芯筒上に巻回されて筒状の濾過層が形成され、その濾過層における立体捲縮数及び繊維密度を特定範囲にしたカートリッジフィルターも提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、上記提案方法のものは、マルチフィラメントの熱可塑性樹脂繊維を紡糸し、次いで、延伸処理後に捲縮付与処理してマルチフィラメント捲縮糸を製造する際、通常集束剤として油剤が付与され、その結果、マルチフィラメント捲縮糸をカートリッジフィルターに巻き付け加工した際に、そのろ過層には上記油剤成分が残留するため、このカートリッジフィルターを液体のろ過に供した場合、ろ過液に油剤が溶け出すおそれがある。このカートリッジフィルター製品中の繊維油剤を除去するには、上記フィルター製品として出荷する前に、予め水などを循環させて水洗処理などを行って、油剤成分を除去する方法が採られいるが、このような方法においては、油剤成分の除去処理に新たなコストがかかると共に、水などの循環処理を行うことにより、巻き付けたフィラメントの目ズレなどが生じ、当初の設定した仕様と同じでなくなり、所望のろ過性能が得られなくなるなど、好ましくない事態を招来する傾向があった。
【0005】
これらの問題を改善する方法として、集束剤の繊維油剤のかわりに水、アルコール、ケトンなどのその沸点が70〜100℃の範囲の低温揮発性液体を使用して、例えば、表面に針布状部材を装着したドラム上に、ジェットノズルから加熱圧縮流体と共に、ポリオレフィン製マルチフィラメントを連続的に吹き付け、該マルチフィラメントに捲縮付与処理したのち、低温揮発性液体を付与すると共に、上記ドラムから捲縮が付与されたマルチフィラメントを巻出す前に、さらに低温揮発性液体を付与し、次いで、該マルチフィラメントを巻取ることにより、所望のマルチフィラメント糸巻型カートリッジフィルターが効率よく得られる方法が提案されている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、上記マルチフィラメントを針布ドラム上で低温揮発性液体を付与した後、巻取り機により巻取ったマルチフィラメントに付着した低温揮発性液体を乾燥することにより、繊維油剤が実質上付着していない流体捲縮付与マルチフィラメントが得られるが、低温揮発性液体を乾燥するために乾燥装置を設置しなければならないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】実開昭60−79521号公報(2頁)
【特許文献2】特開平7−299867号公報(2頁)
【特許文献3】特開2002−180035公報(2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来のマルチフィラメン糸巻型カートリッジフィルターの問題点を解消するためになされたものであって、繊維油剤や低温揮発性液体等の集束剤を使用することなく、カートリッジフイルター用のポリオレフィン繊維糸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨は、ポリオレフィンからなるフイルムをスリットし、得られたフラットヤーンを割繊処理し、次いで、捲縮付与されたスプリットヤーンからなることを特徴とするカートリッジフィルター用スプリットヤーン、に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ポリオレフィンからなるフイルムをスリットし、得られたフラットヤーンを割繊処理し、次いで、捲縮付与処理することにより、繊維油剤や低温揮発性液体等の集束剤を全く使用せずに、各工程でのトラブルがなく、効率よくスプリットヤーン製造することができ、集束剤の除去処理が不要であり、そのまま直接カートリッジフイルター用に使用することができる。それ故、製薬工業、食品工業、電子工業などの分野で使用される糸巻き型カートリッジフィルターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリオレフィンスプリットヤーンは、ポリオレフィンを用いて形成されたフラットヤーンを割繊してスプリットヤーンを得たものである。
ポリオレフィンとしては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体などのポリエチレン、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体やランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン化合物共重合体などのポリプロピレン等が挙げられる。これらのうちでは、延伸糸状の形成性が容易で、機械的特性に優れた高密度ポリエチレン、ポリプロピレンを用いるのが好ましい。また、高密度ポリエチレンを中間層とし、直鎖状低密度ポリエチレンまたは分岐状低密度ポリエチレンを両外層に積層した並列型複合フラットヤーンを割繊処理して得た複合スプリットヤーンを用いることもできる。
【0012】
上記フラットヤーンを形成する方法としては、原料高密度ポリエチレンを単層フィルムの場合は1台の押出機、複合フィルムの場合には2台の押出機にてそれぞれ溶融混練し、単層ダイまたは複合ダイを用いてTダイ法またはインフレーション法にてフィルムを成形する。フィルム冷却法には水冷式、ロール冷却式、空気冷却式等があるが、冷却効率の点から水冷式が好ましい。これらの方法のうちでは、水冷式Tダイ法が最も好ましい。冷却固化したフィルムは、約10〜100mm幅にスリットした後延伸し、次いで熱処理してフラットヤーンを形成する。
【0013】
延伸処理は高密度ポリエチレンの融点以下、軟化点以上の温度下に行われるが、加熱法としては、熱ロール式、熱板式、熱風式等いずれの方法も採用でき、これらの内では熱ロール式が延伸効率、高速生産性、安定性の上で好ましい。
スリットされた上記ポリエチレンフィルムは加熱され、前後ロールの周速度差により延伸を行う。延伸倍率は通常3〜15倍、好ましくは5〜10倍である。
得られるフラットヤーンの繊度は、1000〜20000デシテクス(dtと略す)の範囲、好ましく3000〜15000dtの範囲である。
【0014】
次いで、このフラットヤーンに割繊処理を施してスプリットヤーンを形成する。割繊処理方法は公知の方法が採用できるが、割繊処理工程中の強力劣化の少ない傾斜カッタを使用するのが好ましい。
【0015】
このようにして得られたスプリットヤーンの割繊幅は0.1〜1mmの範囲、好ましくは、0.15〜0.5mmの範囲である。スプリットヤーンの割繊幅が0.1mm未満では、多孔性の円筒芯材への巻き密度が大きくなり空隙が少なくなって濾過ライフが短くなり、また1.0mmを越えた場合には、スプリットヤーン間の空隙に斑が生じ、精度の低下がみられる。
上記スプリットヤーンの引張強力は、1.5cN/dt以上であり、好ましくは、2.0cN/dt以上が好ましい。
【0016】
次いで、上記スプリットヤーンに捲縮加工処理を施こし、捲縮性を付与する。捲縮加工処理は、例えば、特開平10−265246号公報等に記載されて装置及び方法が採用できる。この捲縮加工処理においては、上記スプリットヤーンをジェットノズルから加熱圧縮流体、例えば、空気または水蒸気と共に、針布ドラム上に吹き付け、該スプリットヤーンに捲縮付与処理を施し、巻取り機に巻取ることにより、捲縮付与されたスプリットヤーンが得られる。この際用いられる加熱圧縮流体としては、例えば温度が、好ましくは120〜210℃、圧力0.2〜2.0MPaの範囲とするのが好ましい。
【0017】
巻取り機に巻取られた捲縮付与されたスプリットヤーンは、集束剤の油剤や低温揮発性液体を全く使用していないので、集束剤の除去処理をすることなく、そのまま直接カートリッジフィルターの原糸として使用することができる。
この捲縮付与されたスプリットヤーンを原糸として、有孔芯材に巻き付けることにより、集束剤が全く付着していない糸巻型カートリッジフィルターを得ることができる。なお、上記巻取り機として、カートリッジフィルター用の有孔芯材を用い、これに直接該スプリットヤーンを巻取り、カートリッジフィルター形状にしてもよい。
【0018】
本発明に用いられるポリオレフィンには、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、分散剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、発泡剤、核剤等の通常用いられる添加剤を配合してもよい。
【0019】
実施例1:
高密度ポリエチレン(MFR=1.0g/10分、密度=0.957g/cm3、Tm=129℃)を用いて、インフレーション法によりフィルムに押出し、空冷式で冷却してフィルムを形成した。このフィルムを100mm幅にスリットした後、熱板接触延伸法で延伸倍率7.5倍で延伸し、得られた繊度9000dtのフラットヤーンに幅37mmの割繊処理を施してスプリットヤーンを形成した。得られたスプリットヤーンに155℃、0.59MPaの条件で加圧水蒸気を吹き付けて捲縮加工処理を行い、捲縮性を付与させた。このスプリットヤーンの引張強力は平均2cN/dtであった。なお、引張強度は、JIS L 1013に準拠して測定した。
次いで、この捲縮付与されたスプリットヤーンを乾燥処理することなく、そのまま直接クロスワインダーを用いて内径32mm、外径35mm、長さ250mmのポリプロピレン製多孔性芯筒にワインド角45度でもって外径が65mmとなるまで巻き付け、カートリッジフィルターとして良好に使用できた。
【0020】
比較例1
ポリプロピレン(MFR=7g/10分、Tm=160℃)を用いて、紡糸ノズルから紡出して、単糸繊度22dt、フィラメント数120本、トータル繊度2640dtのマルチフィラメントを得た。次いで、このマルチフィラメントを、148℃に加熱されたローラーにて2倍延伸処理した。
次に、この延伸処理されたマルチフィラメントを、エアー温度260℃、エアー圧力1.9MPaジェットノズルにて、針布ドラム上に噴射し、該マルチフィラメントに流体捲縮を付与した。上記針布ドラム上において、上記噴射位置から20cm進行した位置で、2流体微噴射ノズルを用いて、圧縮エアー圧7.8N/cm2、供給量30ミリリットル/分で集束剤としてイオン交換水を付与し、その後冷却エアーで針布ドラムごと冷却した。この冷却直後の水分付着率は3.0質量%であった。
続いて、上記マルチフィラメントを針布ドラムから引き剥がし、巻取った状態における流体捲縮付与ポリプロピレン製マルチフィラメントの水分付着率は4.9質量%であった。このようにして、トータル繊度1320dt(フィラメント数120本)の流体捲縮付与ポリプロピレン製マルチフィラメントが得られた。
上記流体捲縮付与マルチフィラメントに付着する水分を除去するのに、常温下、48時間乾燥処理が必要であった。
【出願人】 【識別番号】000234122
【氏名又は名称】萩原工業株式会社
【住所又は居所】岡山県倉敷市水島中通1丁目4番地
【出願日】 平成16年6月29日(2004.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−9213(P2006−9213A)
【公開日】 平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願番号】 特願2004−190743(P2004−190743)