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【発明の名称】 グラスウールボード及び真空断熱材
【発明者】 【氏名】勝部 毅
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】真空断熱材の生産性向上、および経時的な断熱性能の劣化を改善することを目的に、芯材には結合材が不要であることに加え、製造時の必要熱エネルギーの大幅な低減を可能とするガラス繊維成形体からなる芯材を適用した真空断熱材を提供する。

【解決手段】ガラス繊維2の集合体4からなり、ガラス繊維2相互間の接触点の一部には、ガラス繊維2の構成材料からなる結合部3を有し、結合部3の成分がガラス繊維2と略同一であるものであり、ガラスの線膨張係数が50℃から300℃の範囲において、30×10-7/℃以上であることを特徴とするグラスウールボードを芯材として用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維の集合体からなり、前記ガラス繊維相互間の接触点の一部には、前記ガラス繊維構成材料からなる結合部を有し、前記結合部の成分が前記ガラス繊維と略同一であるものであり、前記ガラスの線膨張係数が50℃から300℃の範囲において、30×10-7/℃以上であるグラスウールボード。
【請求項2】
ガラス繊維のガラス成分はAl23を含まない請求項1に記載のグラスウールボード。
【請求項3】
ガラス繊維のガラス成分はAl23を10重量%以下の範囲で含む請求項1に記載のグラスウールボード。
【請求項4】
ガラス繊維のガラス成分は少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を含む請求項1から3のいずれか一項に記載のグラスウールボード。
【請求項5】
ガラス繊維のガラス成分は少なくとも一種類以上のアルカリ土類金属酸化物を含む請求項1から4に記載のグラスウールボード。
【請求項6】
ガラス繊維のガラス成分はPbOを含む請求項1から5のいずれか一項に記載のグラスウールボード。
【請求項7】
ガラス繊維のガラス成分はB23及び、GeO2を含まない請求項4または5に記載のグラスウールボード。
【請求項8】
ガラスの1000℃における表面張力が300mN/m以下である請求項1から7のいずれか一項に記載のグラスウールボード。
【請求項9】
ガラス繊維中に含まれる不純物OHの量が10ppm以上である請求項1から8のいずれか一項に記載のグラスウールボード。
【請求項10】
ガラスの徐冷点の温度が歪点よりも10℃以上高い請求項1から9のいずれか一項に記載のグラスウールボード。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のグラスウールボードからなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉された真空断熱材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はグラスウールボード及び真空断熱材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題である温暖化を防止することの重要性から、省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギーの推進が行われている。特に、冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する断熱材が求められている。
【0003】
一般的な断熱材としては、グラスウールなどの繊維体やウレタンフォームなどの発泡体が用いられている。しかし、これらの断熱材の断熱性を向上するためには断熱材の厚みを増大して適用する必要がある。よって、断熱材を設置できる空間に制限がある場合や、省スペースや空間の有効利用が必要な場合には従来断熱材の適用は望ましくない。
【0004】
このような課題を解決する一手段として、バインダーを用いてグラスウールをボード化した省スペース型の断熱ボードや、多孔体からなる芯材と、芯材を外包材によって覆い内部を減圧密閉して構成した真空断熱材がある。
【0005】
真空断熱材の芯材としては、一般に、粉体材料、繊維材料、および連通化した発泡体などが使用され、近年では、省エネ競争が激化するなか、より一層、断熱性能の優れた真空断熱材が求められている。
【0006】
一般に、断熱材の伝熱機構は、固体および気体成分の熱伝導、輻射、対流により引き起こされる。一方、外包材内部を減圧にしてなる真空断熱材は、気体成分の熱伝導と対流に関してはその影響は小さい。また、常温以下の温度領域での使用においては、輻射の寄与もほとんどない。
【0007】
よって、常温以下の冷凍冷蔵庫に適用する真空断熱材においては、固体成分の熱伝導を抑制することが重要となる。そこで、断熱性能に優れる真空断熱用芯材として、種々の繊維材料が報告されている。
【0008】
例えば、繊維性材料全体にわたって低溶融ガラス組成物やホウ酸のような熱可塑性の性質を有する無機バインダー材料を分散させた芯材を用いた真空断熱材が提案されている。これは、図4のように、2本の隣接したガラス繊維102とガラス繊維104が無機バインダー材料により、接触点110で結合部108を形成することを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
これにより、繊維集合物の個々の繊維を一体化させることが可能である。このような製品の一例としては、絶縁材料のブランケット、マット、および断熱材がある。
【0010】
さらに、汎用的な樹脂バインダーのように、外包材中の真空条件下においてバインダーから発生するガス成分が殆どなく、経時的な断熱性能の劣化が小さいことが提案されている。
【0011】
また、平均繊維径2μm以下、好ましくは1μm以下の無機質繊維に酸性水溶液処理、および圧縮脱水処理を施し、無機質繊維の溶出成分を無機質繊維の接触点に集め、結合材として作用させ、無機繊維に一体性を持たせたものを芯材とする真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
本構成の効果としては、繊維同士を結着させる結合材を含まないため、外包材中の真空条件下で結合材から発生するガス成分が少なく、経時的な断熱性能の劣化がないため、断熱性能に優れていることが報告されている。
【0013】
また、平均繊維径2μm以下、好ましくは1μm以下の無機質繊維を酸性抄造して得られたガラスペーパーを酸性雰囲気下で複数枚積層した後、圧縮処理を施し、無機質繊維同士をそれら繊維より溶出した成分により各接触点で結着した芯材を用いた真空断熱材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0014】
本構成では、経時的な断熱性能の劣化が小さいことに加え、繊維の方向が伝熱方向に垂直に配向していることから、固体成分の熱伝導が低減し、優れた断熱性能を有する真空断熱材を提供できることが提案されている。
【特許文献1】特表平11−506708号公報
【特許文献2】特開平7−167376号公報
【特許文献3】特開平7−139691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の構成では、真空断熱材の芯材において、無機質繊維体の結合材として用いるバインダーを添加する工程が必須であることに加え、通常、バインダーを水溶液として塗布するため、成形時に水分を蒸発させるための膨大な熱エネルギーが必要となり、生産性の低下を招くという大きな課題を有していた。
【0016】
また、芯材成形後もバインダーからのガス発生により、内圧が増加することで経時的な断熱性能の劣化を招く。さらに、バインダーを用いた無機質繊維体を単体でグラスウールボードとして用いる場合には、異臭やガス発生による問題だけでなく、バインダーの種類に応じて適用雰囲気温度の範囲も制限されていた。
【0017】
また、バインダーを添加することなく、無機質繊維体の溶出成分を結合材として用いる場合にも、酸処理等による特殊工程が必要となるために、この方法においても生産性の低下を招くという課題を有していた。
【0018】
一方、バインダーや溶出成分による結着部位のない従来構成の無機質繊維体は、嵩高い綿状であり、そのまま真空断熱材の芯材として用いることは非常に取り扱いが困難である上に、大気圧縮により真空断熱材の外観表面性が損なわれる等の課題を有していた。
【0019】
また、バインダーや溶出成分による結着部位のない従来構成の無機質繊維体は、繊維の種類により使用広い温度範囲における適用が可能であるために、単体で断熱熱ボードとして用いることができるものの、嵩高い綿状であり、非常に取り扱いが困難である上に、設置するためのスペースを大きく確保する必要があることや、筐体自体の十分な強度を要するという課題を有していた。
【0020】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、芯材成形時にバインダー成分を添加する必要がなく、繊維からの溶出成分を抽出するような酸処理等の特殊加工を行わなくてもグラスウールを所定形状に保持することができ、工数削減が可能となり効率的な芯材成形が可能で、製造時に必要な熱エネルギーを低減することができる、真空断熱材の芯材に適したグラスウールボードを提供することを目的とする。
【0021】
また、結合材から生じるガス成分による内圧増加で断熱性能の劣化を招くことがなく、従来の硬質ウレタンフォームの10倍以上の優れた断熱性能を長期に渡って維持することが可能な真空断熱材を提供することを目的とする。
【0022】
また、本発明は、従来のバインダーを用いることなくボード化でき、異臭やガス発生による問題がなく、ガラス繊維の耐熱温度である約400℃前後まで使用でき、形状もバインダーを用いたもの同様のボード形状を保持でき、取り扱い性や省スペース化に優れたグラスウールボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記従来の課題を解決するために、本発明のグラスウールボードは、ガラス繊維の集合体からなり、前記ガラス繊維相互間の接触点の一部には、前記ガラス繊維構成材料からなる結合部を有し、前記結合部の成分が前記ガラス繊維と略同一であるものであり、前記ガラスの線膨張係数が50℃から300℃の範囲において、30×10-7/℃以上であることを特徴とするものである。
【0024】
これは、表面に凹凸部を有するガラス繊維の集合体において、加圧した状態を保持しながらガラス繊維相互の接触点の凹凸部を、ガラス自体が埋め始める粘性状態に達する温度まで加熱することにより、ガラス繊維は相互の接触点において凹凸部が係合し、結着する。
【0025】
これによりガラス繊維相互間における繊維表面のアンカー効果を得ることができ、その機械的要素からガラス繊維の集合体を所定形状としつつ一体性が発現される。その後、加熱温度を低下させるとガラス繊維からなる集合体は、加圧成形時の状態で形状が保持される。
【0026】
よって、ガラス表面の凹凸部をガラス自体が埋め始める粘度になる温度まで加熱することにより、結合材がなくとも、十分に剛性を備えたグラスウールボードが得られる。
【0027】
さらに、線膨張係数が50℃から300℃の範囲において、30×10-7/℃以上であることで、このグラスウールボードの剛性をより一層高めることが可能となる。これは、ガラス表面の凹凸部が係合された際、凹部に入り込んだガラスが膨張することで、得られるアンカー効果がより強化されるためと考えられる。
【0028】
また、ガラス繊維表面に凹凸部が見られない場合には、さらに粘性が低下する温度まで加熱することにより、ガラス繊維表面を融合させることで同様に加圧成形時の状態を保持することも可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明におけるグラスウールボードは、ガラス繊維相互間に、バインダー成分や繊維からの溶出成分による結合材を用いることなくボード形状を形成している。
【0030】
その結果、ボード成形における工数削減が可能となり、効率的なボード成形が可能となることに加え、グラスウールボード単体で、バインダーによる異臭やガス発生問題により適用が困難であった高温領域への断熱材として、適用範囲も拡大するという効果がある。
【0031】
さらに、ガラス物性を改善することにより、剛性を高めたボードが得られるために取り扱い性、適用時の筐体表面性の向上、及び補強材としての機能性を備えるとともに、低温領域でボード化した場合においても、ボードとしての取り扱いに十分な剛性を確保できるためにより生産性を向上させる効果がある。
【0032】
本発明における真空断熱材は、芯材として用いるガラス繊維の集合体において、ガラス繊維相互間におけるバインダー成分や繊維からの溶出成分による結合材を用いずに芯材を形成している。
【0033】
その結果、芯材成形における工数削減が可能となり、効率的な真空断熱材の製造が可能となる。また、バインダー成分からの発生ガスも問題にならず、経時的に断熱性能の劣化が小さい真空断熱材を提供することができる。
【0034】
さらに、真空断熱材の芯材としては、剛性が高まることで製品としての表面性が向上しするとともに、取り扱い性が向上することで外包材への挿入が容易であるために、生産性がより向上する。
【0035】
また、大気や水蒸気にさらされるといった状況がなく、特に耐水性についての機能性が不要であるために、ガラスの等温粘度をより一層低下させた場合でも侵食劣化の問題がなく、さらなる低温でのボード化により製造時の熱エネルギーを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
請求項1に記載の発明は、ガラス繊維の集合体からなり、前記ガラス繊維相互間の接触点の一部には、前記ガラス繊維構成材料からなる結合部を有し、前記結合部の成分が前記ガラス繊維と略同一であるものであり、前記ガラスの線膨張係数が50℃から300℃の範囲において、30×10-7/℃以上であることを特徴とするグラスウールボードである。
【0037】
よって、結合材がなくとも、ガラス繊維結合部の結着性が強化され、より剛性の高いグラスウールボードを得ることができる。
【0038】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは、取り扱い性や省スペース化に優れ、添加物がないことで耐熱性の高い断熱ボードに用いることができる。さらに、より粘度の高い低温領域でも十分な剛性を備えたグラスウールボードが得られるために、熱エネルギーの低減により生産性が向上する。
【0039】
請求項2に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分がAl23を含まないことを特徴とする請求項1に記載のグラスウールボードである。
【0040】
Al23はガラスの一部網目構造を形成する中間酸化物であり、かつ、網目構造における結合力が強いために、このガラスは構造上安定性が高い。そのため、等温粘度が上昇することで、成形時の必要熱エネルギーが増大する。
【0041】
よって、温度上昇に伴う粘性の低下を妨げるAl23を含まないガラスとすることで、等温粘度を低下させる効果が得られるため、低温領域でのグラスウールボードの成形が可能となる。
【0042】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは生産性が向上する。
【0043】
請求項3に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分がAl23を10重量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項1に記載のグラスウールボードである。
【0044】
Al23はガラスの一部網目構造を形成する中間酸化物であり、かつ、網目構造における結合力が強いために、構造上安定性の高いガラス繊維が得られる。
【0045】
よって、ガラス構造における結合力を高めることにより、ガラス繊維集合体としての強度がより大きくなるとともに、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性の機能を高めることができる。また、Al23成分はわずか数重量%の添加で耐久性を高める機能があり、成分比率を10重量%以下にすることで、成形温度を低い温度領域に維持することができる。
【0046】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは取り扱い性が改善し、低密度化も容易になることに加え、長期に渡って侵食劣化を抑制できる。
【0047】
請求項4に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分が少なくとも一種類以上のアルカリ金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のグラスウールボードである。
【0048】
アルカリ金属酸化物はガラスの網目構造を特に壊し易く、非架橋酸素を多く作ってガラスの結合力を極端に弱める働きがある。これはアルカリ金属に電気的引力が特に強く、ガラスの網目構造における共有結合部分をアルカリ金属とのイオン結合への置換が起こり、網目構造としての結合力が低下するためと考えられる。
【0049】
よって、ガラス成分にアルカリ金属酸化物を添加することでガラスの網目構造を簡単に壊すことができ、ガラスの粘性低下の効果が大きいために、より一層低温領域でグラスウールボードの成形が可能となる。さらに、非架橋酸素の増大により線膨張係数も極端に大きくなるため、繊維接触点でのアンカー効果が高まり、グラスウールボードの剛性がより一層増す。
【0050】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは生産性がより一層改善するとともに、取り扱い性もより一層向上する。
【0051】
請求項5に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分が少なくとも一種類以上のアルカリ土類金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1から4に記載のグラスウールボードである。
【0052】
アルカリ土類金属酸化物はガラスの網目構造を切り、非架橋酸素を作ってガラスの結合力を弱める働きがある。これはアルカリ土類金属の電気的な特性により、ガラスの網目構造における共有結合部分をアルカリ土類金属とのイオン結合への置換が起こり、網目構造としての結合力が弱まるためと考えられる。
【0053】
よって、ガラス成分にアルカリ土類金属酸化物を添加することでガラスの粘性低下が起こり、より低温領域でグラスウールボードの成形が可能となる。さらに、非架橋酸素の増大により線膨張係数も大きくなるため、繊維接触点でのアンカー効果が高まり、グラスウールボードの剛性が増す。また、アルカリ土塁金属酸化物を添加することにより、化学的耐久性も向上する。
【0054】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは生産性が一層改善するとともに、取り扱い性も向上する。さらに、長期に渡って侵食劣化が少ない。
【0055】
請求項6に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分がPbOを含むことを特徴とする請求項1から5に記載のグラスウールボードである。
【0056】
PbOによるガラスの網目構造は酸素との結合力が極端に弱く、温度上昇に伴う粘性低下が特に起こり易い。
【0057】
よって、ガラス成分にPbOを添加することで、昇温時におけるガラスの粘性低下を起こし易く、低温領域でのグラスウールボードが得られる。さらに、温度上昇に伴う酸素イオンとの離脱により線膨張係数も増大するため、アンカー効果が高まり、より剛性が増す。
【0058】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは生産性が一層改善する。
【0059】
請求項7に記載の発明は、ガラス繊維のガラス成分がB23及び、GeO2を含まないことを特徴とする請求項4または5に記載のグラスウールボードである。
【0060】
23及び、GeO2を含むガラスにおいて、これらは網目形成酸化物として、網目構造を形成するが、その結合力は弱く、ガラス繊維の成形に必要な高温領域では低粘度特性を示す。さらに、B23は同時に耐水性が増す。しかし、ガラス成分にアルカリを添加している場合、常温程度ではアルカリによって非架橋となった酸素イオンが、逆に温度上昇に伴ってホウ素、或いはGeに引き付けられ、特に本発明のグラスウールボード成形温度領域付近では、ホウ素が[BO3]三角形として存在していたものから[BO4]四面体へ、ゲルマニウムは[GeO4]から[GeO6]へと変化する。これによって、非架橋酸素は減少し、ガラスの網目構造はアルカリの増加に伴ってより結合力の強い方向へと移行することで、温度上昇時の粘性低下を妨げる。
【0061】
よって、アルカリ土類金属酸化物、またはアルカリ金属酸化物を含むガラスにおいては、B23及び、GeO2を含まないことにより、温度上昇による粘性低下が起こり易い。さらに、従来、溶融温度を下げる上に耐水性が増すという点で、ガラス組成中にB23が添加されることが多いが、これらは材料コストの増大を招く。
【0062】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは生産性が向上する。
【0063】
請求項8に記載の発明は、ガラスの1000℃における表面張力が300mN/m以下である請求項1から7のいずれか一項に記載のグラスウールボードである。
【0064】
よって、ガラス繊維相互の接触点における親和性が高まることで係合性が改善される。その結果、一定の粘度における結着を促進させることで、より低温でグラスウールボードの成形が可能となる。また、1000℃における表面張力が300mN/m以下であることでその作用を得ることができるが、300mN/mを超えると極端にその係合性は悪化し、結合作用を得難くなる。これは、凹部へのガラス侵入が起こり難くなったためと考えられる。
【0065】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードはより生産性が向上することに加え、耐水性が必要な場合に等温粘度が高いガラスを用いた場合でも、低温でグラスウールボードの成形が可能となる。
【0066】
請求項9に記載の発明は、ガラス繊維中に含まれる不純物OHの量が10ppm以上である請求項1から8のいずれか一項に記載のグラスウールボードである。
【0067】
よって、ガラス網目構造にOH不純物が取り込まれ、ガラス繊維内部での結合力が弱まるため、低温でのボード化が可能であることに加えてガラス繊維表面部分の耐水性は確保できる。
【0068】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは耐水性を維持しつつ、生産性が向上する。
【0069】
請求項10に記載の発明は、ガラスの徐冷点の温度が歪点よりも10℃以上高いことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のグラスウールボードである。
【0070】
よって、成形温度付近での粘度曲線は温度上昇に対して緩やかとなるため、より低温側でも粘度が低く、低温領域でグラスウールボードの成形が可能となる。また、歪点と徐冷点が接近している場合には、加熱時の粘性制御が困難となりために結合部が大きくなり過ぎる可能性がある。その結果、固体伝熱成分が増加し、断熱性能が悪くなるという問題が起こる。そのため、徐冷点が歪点よりも10℃以上高いガラス繊維を用いることで、加熱しても結合部が大きくなり過ぎることを抑制し、断熱性能の劣化を招くことを防止できる。
【0071】
以上の作用により、本発明のグラスウールボードは低温でのボード成形が可能であり、かつ、高い断熱性能を有する。
【0072】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載のグラスウールボードからなる芯材と、前記芯材を被覆するガスバリア性を有する外包材とを備え、前記外包材の内部が減圧して密閉された真空断熱材である。
【0073】
等温粘度を極端に低下させたガラスは、構造的に結合力が弱いため、特にガラス繊維として用いる場合には水分等の浸食を受け易く、耐水性を維持できない。そのため、グラスウールボード単体として用いる場合には等温粘度の低下には制限がある。
【0074】
しかし、真空断熱材の芯材として適用する場合には侵食を起こす外的因子がほとんど存在せず、耐水性の低下が問題とならないために、極端に分子間の結合力が弱く、低粘度特性を有するガラスからなるグラスウールボードを芯材として用いることができる。
【0075】
よって、芯材成形時にバインダー成分を使用する必要がないため、工数削減が可能となり効率的な芯材成形が可能となるだけでなく、芯材に用いるガラスの等温粘度特性を極端に低下させることができ、低温での芯材成形が可能となる。また、芯材に用いるグラスウールボードは結合材を含まないため、芯材からのガス発生による経時的な内圧上昇がほとんどない。
【0076】
以上の作用から、本発明の真空断熱材は生産性が格段に向上し、ガス発生による経時的な劣化を抑制することができる。
【0077】
なお、本発明で使用できるガラス繊維は特に限定するものではなく、厚み方向に積層配列されたものが好適である。汎用的な工業製品としてはグラスウールが安価、かつ取り扱い性の観点からもより望ましい。
【0078】
また、本発明で使用できるガラスは、ガラス状態になり得るガラス形成酸化物からなる繊維が望ましいが、ガラス化が可能なものでであればよく、等温粘度の低い特性を持つフッ化物ガラスやカルコゲナイドガラス、カルコハライドガラス、ハロゲン化物ガラス等も適用可能である。さらに、耐水性を向上させるために少量のB23を添加してもよい。
【0079】
また、ガラス材料は天然材料を主原料とすることが好ましく、ガラス成分には不純物が多く混入する場合が多いため、ここでのガラス成分に含むという意味は意識的に投入してなるもので、1重量%以上のことを指し、それ未満を含まないと表現している。
【0080】
また、繊維径は、特に指定するものではないが、繊維径が微細なものがより優れた断熱性能が得られることは既に公知である。しかしながら、無機繊維の接触点で結着部位を有する従来真空断熱材の芯材においては、2μm以下の微細繊維径のものでしか得られなかった断熱性能が、本構成においては3μm以上の繊維径のガラス繊維にて実現可能であることから、グラスウールの汎用品を使用した場合にも優れた断熱性能が確保できる。
【0081】
また、本発明における結合部とは、図2に示すようなガラス繊維間の架橋となる部分を指し、繊維同士が単に点接触しているだけではなく、視覚的に明らかに繊維同士がある範囲を持った部分において繋がった個所を指している。
【0082】
また、この結合部は全ての繊維間の接触点において生じる必要はなく、繊維集合体の中の一部に形成されることで加圧時の形状が保持できているものであればよい。さらに、この結合部はガラス構成材料であることから、X線的に見た原子配列が不規則構造となっているものであり、結合部以外のガラス繊維部分と同じ構造かつ、成分比率が略同一であるものを指す。
【0083】
この結合部と結合部以外の繊維部分とに電子線を照射し、光電効果を起こした時の発生電子の差を分析することにより結合部と結合部以外の繊維の成分比率が同等であることが確かめることも可能である。
【0084】
また、本発明における結合材とは、ガラス繊維以外の添加物、またはガラス繊維からの溶出成分等のガラス繊維を結合させているものを示しており、ガラス繊維自体は結合材として含まない。
【0085】
また、本発明における真空断熱材の外包材は、ガスバリア性を有するものが利用できるが、表面保護層、ガスバリア層、および熱溶着層を含むことで構成されるラミネートフィルムであることが好ましい。
【0086】
また、本発明の真空断熱材には、各種ガス吸着剤が適用できる。一例としては、合成ゼオライト、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ドーソナイト、ハイドロタルサイトなどの物理吸着剤、アルカリ金属やアルカリ土類金属単体やその酸化物および水酸化物などの化学吸着剤、あるいは空気成分が吸着できるゲッター剤等がある。
【0087】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0088】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるグラスウールボードの斜視図を示す。
【0089】
図1において、グラスウールボード1は、ガラス繊維集合体を加圧した状態で加熱し、形状を保持しているものである。
【0090】
グラスウールを構成するガラスの線膨張係数は、再溶融後に試験片を作製し、TMA法を用いて測定すると、50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃であった。
【0091】
また、ガラス組成は蛍光X線分析によると、B23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りは1%未満の多数不純物からなるものを用いた。
【0092】
また、1000℃における表面張力を測定した結果、100mN/mであった。また、不純物OH濃度は50ppmであるものを用いた。また、ビームベンディング法により求めたガラスの歪点温度が525℃、徐冷点温度が550℃であった。
【0093】
以上のようなガラスからなるガラス繊維の集合体として、平均繊維径3.5μmのグラスウールを用いたグラスウールボード1の作製は、グラスウールを所定密度になるまで積層し、嵩100mm程度にしたものを用いる。
【0094】
これを、面間隔約15mm程度でプレスしながら、用いたガラスの粘度が1020P以下となる温度にて5分間の加熱して成形している。また、この時のガラスの粘度は1020Pから103Pとすることで成形が可能であるが、好ましくは1018Pから105Pの範囲である。さらに、ガラスの粘度を1016P以下になる温度まで加熱することでガラス繊維を融合させて成形しても良い。
【0095】
また、図2は、本発明の実施の形態1におけるガラス繊維の集合体の拡大図である。
【0096】
図2において、ガラス繊維2は繊維相互間の接触点においてガラス構成材料による結合部3を形成していることが確認できる。この結合部3は、加圧したガラス繊維を加熱することにより粘性が低下した際、接点において生じたものである。
【0097】
この接触点部分に生じた結合部3の結着により、プレス解放後にも、加圧時の形状を保持し、初期には嵩100mm程度あったガラス繊維の集合体から厚さ14mm程度のグラスウールボードが得られる。
【0098】
よって、ガラス繊維の集合体4からなるグラスウールボード1は、繊維相互における結合材がなくても、グラスウールボード1を所定形状に保持することができる。
【0099】
以上の方法でグラスウールボード1の嵩密度が220kg/m3となるように成形し、取り扱い上問題がない剛性を有するグラスウールボードの成形は450℃以上で可能であった。
【0100】
これを40℃、湿度95%の条件下で60日間放置後の表面硬度を測定し、侵食劣化による剛性をもって耐水性の評価を行ったところ、硬度60であった。この値は、従来のグラスウールボードが結合材となるものを用いて成形されていたものに対して同等レベルの剛性を有しており、結合材がない場合にはなし得なかったものである。
【0101】
なお、グラスウールに用いるガラスの線膨張係数が30×10-7/℃より小さい場合には、同条件における成形性は不十分となり、取り扱いが困難であるため好ましくない。
【0102】
また、ここではB23が5%とAl23が5%含まれるものを用いており、耐水性や取り扱い性の機能性が付与されているが、これらを添加しない場合には400℃での成形が可能であった。
【0103】
よって、耐水性をあまり必要としない場合、或いは、別の手段での解決が可能である場合にはB23が5%とAl23を含まないことが好ましい。
【0104】
一方、アルカリ土塁金属酸化物であるCaOや、アルカリ金属酸化物であるNa2Oの成分比率が減少すると成形下限温度は高くなる傾向を示し、成形に要する熱エネルギーが大きく増大した。
【0105】
よって、アルカリ土類金属酸化物及び、アルカリ金属酸化物の添加は成形性の面で好ましいが、耐水性を考慮する場合には50%以下の範囲とすることがより好ましい。
【0106】
また、不純物OH濃度は増大すると成形温度は低減が可能であり、3ppmの時には成形下限温度が550℃となった。さらに10ppmを下回ると極端に成形性が悪化した。よって、不純物濃度は10ppm以上が好ましい。
【0107】
また、このグラスウールボードの熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。結果、熱伝導率は平均温度24℃にて、0.032W/mKから0.033W/mKであり、結合材を用いたガラス繊維の集合体によるグラスウールボードが同様の測定において0.035W/mKから0.037W/mKであったことと比較して、良好な断熱性能を有していた。
【0108】
しかし、歪点温度540℃、徐冷点温度545℃の粘度における温度依存性が高いものを用いた場合に同様の方法で熱伝導率測定を行ったところ、0.037W/mKから0.045W/mKであり、断熱性能の悪化が見られた。
【0109】
これは、歪点温度と徐冷点温度が近づいたことで、わずかな温度差により粘度制御が困難となることで、結合部が大きくなり、熱伝導率の増大を招いたと考えられる。さらに、歪点温度と徐冷点温度の温度差が10℃程度の場合には、低温側での十分な係合性が得られないために、ボードの剛性にもばらつきが多く、成形条件が安定的に確保できない。
【0110】
以上のことから、歪点温度と徐冷点温度は差が大きいことが好ましく、その差が10℃以上であることがより好ましい。
【0111】
このように、本構成により作製したグラスウールボード1は、ボード成形時にバインダー成分を使用する必要がないため、工数削減が可能となり効率的なボード成形が可能となる。
【0112】
また、バインダーからの異臭やガス発生問題により適用が困難であった高温領域への適用範囲も拡大する。
【0113】
さらに、本構成により作製したグラスウールボード1は剛性が高まることにより、適用時にも、省スペース化かつ取り扱い性のよい断熱材とすることができる。また、低温領域での成形時にも十分な剛性を確保することで、製造における熱エネルギーを大幅に低減できる。
【0114】
また、本構成により作製したグラスウールボード1は、優れた断熱性能を有している。これは、ガラス繊維の集合体において、バインダー成分や繊維からの溶出成分による結合材が存在しない。よって、従来、伝熱要素として作用していた繊維表面の付着物質が存在しないことから、ガラス繊維2表面の熱伝導が低減し、断熱性能が改善したと考えられる。
【0115】
また、加熱プレス時におけるガラス繊維の集合体4の熱変形により、繊維が延伸する効果も期待できるため、ガラス繊維の積層配列がより一層改善されることで、繊維相互の熱抵抗が増大し、断熱性能が改善することも要因と考える。
【0116】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図を示す。
【0117】
図3において、真空断熱材5は、芯材6と吸着剤8とを外包材7に挿入し、内部を減圧して構成している
真空断熱材5の作製は、芯材6を140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、ラミネートフィルムの三方を熱溶着によりシールして袋状に成形した外包材7に挿入し、減圧チャンバー内で、外包材内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止している。
【0118】
この時、外包材7は、表面保護層としてポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にはアルミ箔(6μm)、熱溶着層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)からなるラミネートフィルムにより構成している。
【0119】
また、吸着剤8は、水分吸着剤として酸化カルシウムを適用している。
【0120】
一方、芯材6は、本発明における実施の形態1におけるグラスウールボード1を用いた。
【0121】
このように、本構成により作製した真空断熱材5は、芯材6成形時にバインダー成分を使用する必要がないため、工数削減が可能となり効率的な真空断熱材の作製が可能となる。
【0122】
以上の方法で形成した真空断熱材1の熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。結果、熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0018W/mKから0.0020W/mKであり、汎用的な硬質ウレタンフォームの10倍以上の断熱性能を有していた。
【0123】
このように、本構成により作製した真空断熱材は、優れた断熱性能を有している。これは、芯材に用いたガラス繊維集合体において、バインダー成分や繊維からの溶出成分による結合材が存在しない。
【0124】
よって、従来、伝熱要素として作用していた繊維表面の付着物質が存在しないことから、ガラス繊維表面の伝熱量が低下する。そのため、芯材6厚み方向の熱伝導が低減し、断熱性能が改善するものと考えられる。
【0125】
更には、芯材成形の加熱プレス時におけるガラス繊維集合体の熱変形により、繊維が延伸する効果も期待できるため、ガラス繊維の積層配列がより一層改善されることで、繊維相互の熱抵抗が増大し、断熱性能が改善することも要因と考える。
【0126】
加えて、バインダー成分を使用していないため、バインダー成分からの発生ガスも問題にならず、経時的に断熱性能の劣化が小さい真空断熱材5を提供することができる。
【0127】
また、本構成の芯材はガラス繊維相互の係合性がよく、ボードとしての剛性が高いために、大気圧縮後の真空断熱材としても表面性が極めて良好なものが得られる上に、外包材への芯材挿入が容易となることで生産性も高まる。
【0128】
また、本発明により作製したグラスウールボードは剛性が高く、外包材への挿入が容易であるとともに、大気圧縮時真空断熱材の表面性が良好であるという特徴がある。
【0129】
また、ここで用いる芯材としてのグラスウールボードは、大気や水蒸気中にさらされることがなく、耐水性を有する必要がないために、よりガラス構造の弱い、等温粘度特性が低いものが適用可能であることで、成形温度領域の低減が実現でき、生産性が高まるという効果もある。
【実施例】
【0130】
以下、実施例、および比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
【0131】
(実施例1)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0132】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形した。なお、この時、バインダーとなる結合材は適用していない。
【0133】
結果、このグラスウールボードの熱伝導率は、平均温度24℃にて0.032W/mK〜0.033W/mKであった。また、この構成のガラス繊維とすることで、450℃での成形が可能であった。
【0134】
(実施例2)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成はAl23を含まず重量比で、B23が5%、Na2Oが17%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が65%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃であるガラス構成からなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0135】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形した。なお、この時、バインダーとなる結合材は適用していない。
【0136】
結果、このグラスウールボードは、430℃での成形が可能であった。また、40℃、湿度95%の条件下で60日間放置後にも十分な剛性を保持しており、高い耐水性を有していた。
【0137】
(実施例3)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成はAl23とB23を含まず重量比で、Na2Oが17%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が70%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃であるガラス構成からなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0138】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を400℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形した。なお、この時、バインダーとなる結合材は適用していない。
【0139】
結果、このグラスウールボードは、400℃での成形が可能であった。また、40℃、湿度95%の条件下で60日間放置後にはやや剛性は劣るものの、低湿度下での適用には全く問題ないものが得られた。
【0140】
よって、これを芯材として、140℃の乾燥炉で30分間乾燥した後、予め製袋したプラスチックラミネートフィルムからなる外包材に挿入し、減圧チャンバー内で、外包材内部が10Pa以下になるように減圧し、開口部を熱溶着により密閉封止して真空断熱材を成形した。
【0141】
この時、外包材は、最外層にポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にはアルミ箔(6μm)、熱溶着層として直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)から構成している。
【0142】
結果、この真空断熱材の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0018W/mKであった。
【0143】
(比較例1)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において30×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0144】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、500℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0145】
(比較例2)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において10×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0146】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、ほぼもとの嵩高いグラスウール状態のままであり、620℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0147】
(比較例3)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において90×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が6%、Na2Oが16%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が300mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0148】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、500℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0149】
(比較例4)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において80×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が8%、Na2Oが14%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が500mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0150】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、550℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0151】
(比較例5)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が10ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0152】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、500℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0153】
(比較例6)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が3ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0154】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、550℃まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0155】
(比較例7)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において97×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が60%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が100mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度540℃、徐冷点温度545℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0156】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、550〜600℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であり、得られたグラスウールボードの剛性にばらつきが大きかった。さらに、熱伝導率の値は、平均温度24℃にて0.037W/mK〜0.045W/mKとやや悪化が見られるとともに、ばらつきも大きかった。
【0157】
(比較例8)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において70×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が10%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が55%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が550mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0158】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、540℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0159】
(比較例9)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において50×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が20%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が45%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が600mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0160】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、600℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0161】
(比較例10)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において90×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが5%、SiO2が65%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が300mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0162】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、500℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0163】
(比較例11)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において85×10-7/℃、ガラス組成はCaOを含まず重量比で、B23が5%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、SiO2が70%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が300mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度540℃、徐冷点温度545℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0164】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、550℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0165】
(比較例12)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において80×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が5%、Na2Oが5%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が72%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が500mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0166】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、530℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0167】
(比較例13)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において65×10-7/℃、ガラス組成はNa2Oを含まず重量比で、B23が5%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が77%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が500mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0168】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、600℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0169】
(比較例14)
ガラス繊維は、線膨張係数が50℃〜300℃の範囲において65×10-7/℃、ガラス組成は重量比でB23が10%、Na2Oが17%、Al23が5%、K2Oが1%、CaOが10%、SiO2が55%、残りが1%未満の多数不純物からなるもの、1000℃における表面張力が500mN/m、不純物OH濃度が50ppm、歪点温度525℃、徐冷点温度550℃の物性であるガラスからなり、平均繊維径3.5μmのものを用いた。
【0170】
また、嵩密度が220kg/m3となるようにグラスウールを積層した集合体を形成し、前記集合体を450℃の温度をかけながら圧縮成形することで成形を試みたが、取り扱いに十分な剛性が得られず、550℃程度まで温度を上昇させることで成形が可能であった。
【0171】
なお、実施例1〜3及び比較例1〜14の結果について(表1)、(表2)にまとめた。
【0172】
【表1】


【0173】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0174】
以上のように、本発明にかかるグラスウールボード及び真空断熱材は、ガラス繊維の集合体の固体熱伝導を著しく低減し、従来の断熱材よりも優れた断熱性能を有するものであるとともに、製造時の熱エネルギーを大幅に低減するものである。
【0175】
その結果、冷凍冷蔵庫および冷凍機器をはじめとする断熱を要する機器に利用することが可能となり、建材等の熱や冷熱から保護すべき物象などのあらゆる断熱、遮熱用途や、熱害対策用途等に適用することで省エネルギー化に貢献できる。
【0176】
なお、本発明におけるグラスウールボードまたは真空断熱材はあらゆる機器への適用が可能であり、冷凍冷蔵庫、冷凍機器、野菜保冷庫、および米保冷庫等の作動温度帯である−30℃から常温、更には自動販売機、給湯タンク等のより高温までの範囲で温冷熱を利用した電気、ガス機器や一般住宅等の建材など、断熱を要する部分を含むものに適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の実施の形態1におけるグラスウールボードの斜視図
【図2】本発明の実施の形態1におけるガラス繊維の集合体の拡大図
【図3】本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図
【図4】特許文献1における芯材の接触点の概略図
【符号の説明】
【0178】
1 グラスウールボード
2 ガラス繊維
3 結合部
4 ガラス繊維の集合体
5 真空断熱材
6 芯材
7 外包材
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成16年6月21日(2004.6.21)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2006−2314(P2006−2314A)
【公開日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願番号】 特願2004−182560(P2004−182560)