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【発明の名称】 炭素繊維積層クロス
【発明者】 【氏名】林 正昭
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区本町2丁目5番7号 丸紅インテックス株式会社内

【氏名】国分 洋一
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区本町2丁目5番7号 丸紅インテックス株式会社内

【要約】 【課題】表面が従来の織物よりも平滑であり、施工性・樹脂含浸性に優れ、かつ軽くて安価な炭素繊維積層クロスの提供。

【解決手段】斜め方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した下層部、及び斜め方向であって該下層部の炭素繊維糸条とは異なる方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した上層部を、互いに上下に交錯させることなく積層して形成した炭素繊維積層クロスにおいて、炭素繊維目付を100g/m2以下とする。また、炭素繊維糸条を互いに4mm〜25mmの間隔をあけて配列して、メッシュ部を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜め方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した下層部、及び斜め方向であって該下層部の炭素繊維糸条とは異なる方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した上層部を、互いに上下に交錯させることなく積層して形成したことを特徴とする炭素繊維積層クロス。
【請求項2】
炭素繊維目付を100g/m2以下としたことを特徴とする請求項1記載の炭素繊維積層クロス。
【請求項3】
炭素繊維糸条を互いに4mm〜25mmの間隔をあけて配列して、
メッシュ部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素繊維積層クロス。
【請求項4】
下層部及び上層部の炭素繊維糸条を、斜め±45°の方向に配列したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の炭素繊維積層クロス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の炭素繊維積層クロスにおいて、炭素繊維に替えてガラス繊維を用いたことを特徴とするガラス繊維積層クロス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、強化繊維を積層して形成した強化繊維積層クロスに関し、特に炭素繊維積層クロスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、劣化したコンクリート構造物を補強したり、プラスチック成形板等を補強するための方法として、炭素繊維シートに樹脂を含浸させながら硬化させた、いわゆる炭素繊維強化プラスチックを用いて補強する方法が知られている。
補強用の炭素繊維シートとしては、繊維糸条を一方向に並べて一層からなるシート状のものや、縦方向の繊維糸条と横方向の繊維糸条を1本交互に交錯させて織物(二軸、三軸、四軸)を形成したもの、あるいは丸編、縦編み、横編み等で編物(二次元、三次元)を形成したものなどが用いられていた。
このような補強用の炭素繊維シートの施工性、樹脂含浸性等を向上させる炭素繊維織物を提供するものとして、例えば特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】特開平10−102792号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1によれば、炭素繊維目付けが200〜400g/m2なる織物として形成されており、重くて表面が平滑に仕上がりにくく、シートを複数枚重ねて用いることが難しかった。また、製造コストもかかり、安価に手に入れることができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、表面が従来の織物よりも平滑であり、施工性・樹脂含浸性に優れ、かつ軽くて安価な炭素繊維積層クロスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の炭素繊維積層クロスは、斜め方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した下層部、及び斜め方向であって該下層部の炭素繊維糸条とは異なる方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した上層部を、互いに上下に交錯させることなく積層して形成したことを要旨とする。
【0007】
また、請求項2記載の炭素繊維積層クロスは、請求項1記載の構成において、炭素繊維目付を100g/m2以下としたことを要旨とする。
【0008】
また、請求項3記載の炭素繊維積層クロスは、請求項1又は2に記載の構成において、炭素繊維糸条を互いに4mm〜25mmの間隔をあけて配列して、メッシュ部を形成したことを要旨とする。
【0009】
また、請求項4記載の炭素繊維積層クロスは、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、下層部及び上層部の炭素繊維糸条を、斜め±45°の方向に配列したことを要旨とする。
【0010】
また、請求項5記載のガラス繊維積層クロスは、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、炭素繊維に替えてガラス繊維を用いたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、斜め方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した下層部、及び斜め方向であって該下層部の炭素繊維糸条とは異なる方向に炭素繊維糸条を多数本並行に配列して構成した上層部を、互いに上下に交錯させることなく積層して炭素繊維積層クロスを形成したため、クロス表面が従来の織物と比較して平滑であり、積層クロスを何層にも重ねて用いることが容易となる。
また、本発明によれば、炭素繊維目付を100g/m2以下としたため、軽くて樹脂含浸性がきわめて高く、施工性がよい。
さらに、製造も容易であるため、製造コストを抑えることができ、安価な積層クロスを提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、炭素繊維糸条を互いに4mm〜25mmの間隔をあけて配列してメッシュ部を形成したため、ドレープ性に優れ、円筒状や曲面に用いることが容易な積層クロスを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る炭素繊維積層クロスは、炭素繊維糸条をそれぞれ多数本並行に配列することによって構成した下層部及び上層部を、互いに上下に交錯させることなく積層して形成したものである。
下層部及び上層部の炭素繊維糸条は、積層クロスの長さ方向に対してそれぞれ斜め方向に配列され、下層部の炭素繊維糸条と上層部の炭素繊維糸条とは互いに異なる方向となるように配列される。
このように本発明は、炭素繊維糸条を斜め二方向に配列したものであるため、縦方向、横方向に配列したものに比べて、樹脂含浸後の成形物において斜め方向の捩れに強いという特徴を有している。
【0014】
炭素繊維糸条の、積層クロスの長さ方向に対する配置角度は、特に限定されるものではないが、±45°方向に配列すると、斜め二方向に対して均等な強度や弾性率を発揮することができるため好ましい。
【0015】
また、各層部の炭素繊維糸条を、互いに一定の間隔を設けて配列することとしてもよい。この場合、積層クロスには炭素繊維糸条が配置されていない穴明き部、すなわちメッシュ部が形成されることとなる。メッシュ部が大きくなりすぎると、ドレープ性が過大となり使用勝手や施工性がかえって悪くなるため、上記間隔は4mm〜25mmとすることが好ましい。
【0016】
下層部及び上層部は、積層状態のままステッチ糸によって一体的に縫合される。ステッチ糸は、例えば積層クロスの長さ方向に並行に、互いに一定の間隔をあけて設けられる。ステッチ糸は、樹脂が硬化するまでの間、下層部及び上層部の積層状態を保ち、繊維糸条の所定の配向を乱さないために用いられるものである。
従って、このような機能を発揮する限り、ステッチ糸としてはどのようなものを用いてもよいが、表面の平滑さを出すために、なるべく細いものを用いることが好ましい。ステッチ糸としては、例えばポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維などを用いることができるが、特にポリエステル長繊維が適している。
また、ステッチ糸による縫合方法は、チェーン編みが適している。
【0017】
本発明は、炭素繊維目付けを100g/m2以下とすることにより、樹脂含浸性を高め、軽量化・積層容易化等を図ったものである。特に本発明では、その製造過程において、炭素繊維に繊維方向に沿って引張応力を与えつつ、炭素繊維糸条を配列・積層させていくものであるため、炭素繊維断面の上下が押し潰されるように変形して扁平化し、その結果、単位面積あたりの炭素繊維の量を減らすことが可能となったものである。
また、積層クロス全体の厚みは積層性を考慮し、0.1mm〜0.4mmとすることが好ましい。
炭素繊維糸条は、炭素繊維を並行に配列することによって構成されるが、本発明で用いる炭素繊維はマルチフィラメントを用いる。補強効果を高めるためには、高強度で高弾性率の炭素繊維を用いることが好ましいが、特に引張強度3700Mpa以上、引張弾性率230Gpa以上が好ましい。
【0018】
本発明に係る積層クロスは、樹脂を含浸させて用いるものである。本発明は、炭素繊維目付けを100g/m2以下としているので、樹脂の含浸性が非常によいのが特徴である。
樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ナイロン樹脂、PBT樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0019】
本発明に係る積層クロスの用途としては、土木・建築のコンクリート構造物の補強用の他に、船体、飛行機の機体、輸送用車輌の車体、ゴルフシャフト、釣竿などの補強用として用いることができる。
本発明に係る積層クロスをメッシュ状に形成した場合には、ドレープ性が一層向上するため、特に円筒面や曲面などへの使用に適している他、何層にも積層させての使用に適したものとなる。
【0020】
炭素繊維は、引張強度や引張弾性率が高い上、樹脂との接着性もよいという特性を有しており、本発明では特に炭素繊維に着目したものであるが、炭素繊維に替えて、その他の強化繊維、例えばガラス繊維やポリアミド繊維などを用いて、本発明に係る積層クロスを形成することとしてもよい。特にガラス繊維は、比較的引張強度が高く、樹脂との接着性もよいため好ましい。
【実施例1】
【0021】
本発明の第1の実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例は、炭素繊維積層クロスに関する。
【0022】
図1は第1の実施例に係る積層クロスの平面図、図2は図1のX〜X’における第1の実施例に係る積層クロスの拡大断面図、図5は本発明の積層クロス製造機を示す平面図、図6は搬送チェーン上部の横断面拡大図である。
また、(1)(2)は炭素繊維糸条、(3)はステッチ糸、(4)は炭素繊維、(5)は下層部、(6)は上層部、(10)は積層クロス製造機、(11)は下層部製造装置、(12)は上層部製造装置、(13)(13’)はクリールスタンド、(14)(14’)は挿入装置、(15)(15’)はグリッパー、(16)(16)’はグリッパー ガイド、(17)はステッチ装置、(18)は搬送チェーン、(19)は搬送ローラー、(20)は巻き取りローラー、(21)は制御装置、(22)は架台フレーム、(23)はカッター、(24)はバキュームホース、(25)は集塵装置、(26)はピン、(27)は支持片、(28)は抑え片を示す。
【0023】
本実施例に係る炭素繊維積層クロスは、図1及び図2に示すように、多数本の炭素繊維糸条(1)及び(2)をそれぞれ斜め方向に並行に配置して形成した下層部(5)及び上層部(6)の2層を積層することによって構成されている。図1に示すように、下層部(5)及び上層部(6)の炭素繊維糸条(1)及び(2)は、積層クロスの長さ方向に対してそれぞれ+45°、−45°の角度で配列されている。下層部(5)及び上層部(6)の各層内においては、それぞれ炭素繊維(4)が並行に配列されている。
図2に示すように、下層部(5)及び上層部(6)は互いに上下に交錯することなく積層され、図1に示すステッチ糸(3)によって下層部と上層部が一体的に縫合されている。ステッチ糸(3)としては合繊長繊維糸が使用されており、チェーン編みによって縫合されている。合繊長繊維糸は、一定程度の強度、伸度を有するといった特徴を有しており、ステッチ糸(3)としての使用に適したものである。
そして、本実施例に係る炭素繊維積層クロスは、クロス全体の厚みが0.2mm、目付けが100g/m2となるように構成されている。
【0024】
次に、本実施例に係る炭素繊維積層クロスの製造工程について、図5及び図6に基づいて説明する。図5に示す積層クロス製造機(10)は、進行方向に沿って順次、積層クロスを製造するものである。
最初に、下層部製造装置(11)によって本実施例に係る積層クロスの下層部(5)が形成される。下層部製造装置(11)は、クリールスタンド(13)、挿入装置(14)、グリッパー(15)、グリッパーガイド(16)を備えており、まずは糸掛け装置であるクリールスタンド(11)から、数本の炭素繊維糸が炭素繊維糸条(1)を形成して挿入装置(14)に入れられる。そして、糸掴み装置であるグリッパー(15)が挿入装置(14)に入れられた該炭素繊維糸条(1)を掴んで、対角方向まで運ぶ。運ばれた炭素繊維糸条(1)は、機上に降ろされると同時にピン(26)に引っ掛けて固定される。
図6に示すように、ピン(26)は支持片(27)の上に設けられており、機上に降ろされた炭素繊維糸条(1)を挿入貫通し、その端部を支持片(27)と抑え片(28)とで挟み込んで固定するようになっている。これらのピン(26)、支持片(27)、抑え片(28)は搬送チェーン(18)と一体的に設置され、かつ搬送チェーン(18)の進行方向に沿って同様のピン(26)、支持片(27)、抑え片(28)が連続的に複数設置されている。さらに抑え片(28)は、図6に示すように、搬送チェーン(18)上で進行方向に対して垂直方向に往復直線運動するようになっている。
このようにして一端を固定される炭素繊維糸条(1)は、同時に挿入装置(14)部分においてカッター切断され、挿入装置(14)側の搬送チェーン(18)上に設けられた上記同様の構成のピン(26)、支持片(27)、抑え片(28)によって他端も固定される。このとき、炭素繊維糸条(1)は、炭素繊維の繊維方向に沿って両端から引張応力が与えられた状態で固定されつつ、搬送チェーン(18)によって進行方向に運ばれていくこととなる。以上のような工程で、下層部(5)を形成する炭素繊維糸条(1)が配列されていく。
空になったグリッパー(15)は、挿入装置(14)の位置まで戻り、再び上記工程を繰り返して下層部(5)を形成していく。このとき、グリッパー(15)は定置されたグリッパーガイド(16)に沿って対角方向に往復運動を行っており、炭素繊維糸条(1)が配列されるごとに搬送チェーン(18)によって進行方向に運ばれて、炭素繊維糸条(1)が連続して配列されるようになっている。グリッパー(15)は、進行方向に対して+45°の角度で往復運動を行うようになされている。
【0025】
形成された下層部(5)が搬送チェーン(18)によって上層部製造装置(12)のところまで運ばれると、同様の手順で上層部(6)が形成される。上層部製造装置(12)においては、グリッパー(15’)が進行方向に対して−45°の角度で往復運動を行い、また、上層部(6)は下層部(5)の上に積層するように形成されていく。
このようにして、図2に示すごとく下層部(5)と上層部(6)が積層形成されると、さらに搬送チェーン(18)によって進行方向に運ばれ、ステッチ装置(17)によって、積層状態にある下層部(5)と上層部(6)が、図1に示すようにステッチ糸(3)を用いて一体的に縫合されて積層クロスが完成する。出来上がった積層クロスは、カッター(23)によってクロス端部がピン(26)の内側で切り落とされるとともに、バキュームホース(24)、集塵装置(25)によって切れ端、切り屑が吸い取られた後、巻き取りローラー(20)によって巻き取られる。
積層クロス製造機(10)は、制御装置(21)によってコンピュータ制御されており、クロス全体の厚みや目付け等を所定の数値に保つように制御されている。また、制御装置(21)においてグリッパー(15)(15’)の進行方向に対する角度を設定変更することで、炭素繊維糸条(1)(2)の進行方向(長さ方向)に対する配置角度を±45°以外の任意の数値に設定することもできる。
【0026】
以上、本実施例に係る炭素繊維積層クロスによれば、下層部(5)及び上層部(6)の炭素繊維糸条(1)及び(2)が斜め±45°方向に配列されているため、斜めに対して均等な引張強度を得ることができる。特に繊維方向となる斜め±45°の方向に対しては、きわめて大きな強度を発揮する。
【0027】
また、本実施例に係る積層クロスは、図3に示したごとくの製造機(10)によって、進行方向に沿って、下層部(5)及び上層部(6)が順次積層形成されるものであるため、あらかじめ裁断によって所定の方向に配列するといった面倒な準備作業が不要であり、製造が非常に容易である。従って、製造コストの大幅な削減ができ、安価なクロスを提供することが可能となる。
【0028】
さらに、本実施例に係る積層クロスは、炭素繊維目付けが100g/m2以下であり、非常に軽いため、自動車の車体や飛行機の機体等の補強用として用いる場合には、燃費を抑制する効果もあり、COガスの削減にも寄与することとなる。
【実施例2】
【0029】
本発明に係る第2の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、メッシュ状に形成した炭素繊維積層クロスに関するものである。
【0030】
図3は第2の実施例に係る積層クロスの平面図、図4は図3のY〜Y’における第2の実施例に係る積層クロスの拡大断面図である。
また、(1)(2)は炭素繊維糸条、(3)はステッチ糸、(4)は炭素繊維、(5)は下層部、(6)は上層部、(7)はメッシュ部を示す。
【0031】
本実施例に係る炭素繊維積層クロスは、図3及び図4に示すように、多数本の炭素繊維糸条(1)及び(2)をそれぞれ斜め方向に並行に配置して形成した下層部(5)及び上層部(6)を積層することによって構成されるが、炭素繊維糸条同士を一定の間隔(d)を設けて配置することにより、積層クロスをメッシュ状に形成したものである。
図3に示すように、下層部(5)及び上層部(6)の炭素繊維糸条(1)及び(2)は、積層クロスの長さ方向に対してそれぞれ+45°、−45°の角度で配列され、さらに炭素繊維糸条同士の間隔(d)が10mmとなるようになされている。これにより、積層クロスに一辺が10mmの正方形状のメッシュ部(7)が形成されることとなる。
下層部(5)と上層部(6)は、実施例1と同様に、ステッチ糸(3)によって一体的に縫合されている。
さらに、本実施例においては、クロス全体の厚みが0.3mm、目付けが98g/m2となるように構成されている。
【0032】
本実施例に係る炭素繊維積層クロスの製造工程については、基本的には実施例1と同様であるが、図3に示すごとくのメッシュ部(7)を形成するように製造される。
すなわち、下層部(5)又は上層部(6)において1本の炭素繊維糸条(1)又は(2)が配列されると、所定の間隔(d=10mm)をあけて次の炭素繊維糸条(1)又は(2)が配列されることとなる。
このようなメッシュ部(7)の形成は、図5で示した制御装置(21)によりコンピュータ制御が可能であり、設定変更により10mm以外の間隔(d)とすることもできる。
【0033】
本実施例に係る積層クロスを、土木・建築のコンクリート構造物、特に丸みを帯びた橋脚や円柱を補強するために用いる場合について説明する。補強にあたっては、コンクリート表面の汚れの除去、クラックのパテ埋め、モルタルやパテによる下地処理等を行った上で、補強箇所にプライマーを塗布しておく。
プライマー乾燥後、補強箇所に樹脂を塗布して本実施例に係る積層クロスをあてがい、含浸ローラ等で上から押さえて、樹脂を十分に含浸させる。積層クロスを複数枚積層させる場合には、その上にさらに樹脂を塗布して、上記作業を繰り返せばよい。
【0034】
本実施例に係る炭素繊維積層クロスは、上記のようにメッシュ部(7)を有しメッシュ状に形成されているため、実施例1と比較してドレープ性が一層優れている。従って、丸みを帯びた橋脚や円柱を補強する場合であっても、容易に下地の形状になじむため施工性がよく、積層も容易である。
さらに、土木・建築のコンクリート建造物の他にも、ゴルフシャフトや釣竿など非常に細いものを対象とする場合であっても、積層クロスが嵩張ることがなく作業効率が良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、従来の補強用炭素繊維シートに比べて、施工性・樹脂含浸性に優れ、かつ軽くて安価な炭素繊維積層クロスを提供するものであり、産業上利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1の実施例に係る積層クロスの平面図である。
【図2】第1の実施例に係る積層クロスの拡大断面図(X〜X’)である。
【図3】第2の実施例に係る積層クロスの平面図である。
【図4】第2の実施例に係る積層クロスの拡大断面図(Y〜Y’)である。
【図5】本発明の積層クロス製造機を示す平面図である。
【図6】搬送チェーン上部の横断面拡大図である。
【符号の説明】
【0037】
1 炭素繊維糸条
2 炭素繊維糸条
3 ステッチ糸
4 炭素繊維
5 下層部
6 上層部
7 メッシュ部
10 積層クロス製造機
11 下層部製造装置
12 上層部製造装置
13 クリールスタンド
13’ クリールスタンド
14 挿入装置
14’ 挿入装置
15 グリッパー
15’ グリッパー
16 グリッパーガイド
16’ グリッパーガイド
17 ステッチ装置
18 搬送チェーン
19 搬送ローラー
20 巻き取りローラー
21 制御装置
22 架台フレーム
23 カッター
24 バキュームホース
25 集塵装置
26 ピン
27 支持片
28 抑え片
【出願人】 【識別番号】501014991
【氏名又は名称】丸紅インテックス株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区本町二丁目5番7号
【出願日】 平成16年6月18日(2004.6.18)
【代理人】 【識別番号】100081581
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 美奈子

【公開番号】 特開2006−2302(P2006−2302A)
【公開日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願番号】 特願2004−181744(P2004−181744)