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【発明の名称】 生分解性不織布およびそれを用いてなる衛生材料
【発明者】 【氏名】高野 伸幸
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】羽根 亮一
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【氏名】西村 誠
【住所又は居所】滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株式会社滋賀事業場内

【要約】 【課題】良好な機械的強度と柔軟性を有し、さらに耐水性に優れ、衛生材料に好適に用いられる生分解性不織布を提供する。

【解決手段】単繊維繊度0.8〜10デシテックスの生分解性繊維からなる不織布であって、該不織布が撥水剤を含み、かつ該不織布の目付が5〜100g/m、耐水圧が60〜200mmAqである生分解性不織布およびその不織布を用いてなる衛生材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単繊維繊度0.8〜10デシテックスの生分解性繊維からなる不織布であって、該不織布が撥水剤を含み、かつ該不織布の目付が5〜100g/m、耐水圧が60〜200mmAqであることを特徴とする生分解性不織布。
【請求項2】
前記撥水剤が、フッ素系化合物、ポリオレフィン系化合物およびシリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする請求項1記載の生分解性不織布。
【請求項3】
前記生分解性繊維がポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解性不織布。
【請求項4】
前記不織布が部分的に熱接着されて一体化してなり、かつ、該熱接着の接着面積が該不織布全面積に対して5〜50%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性不織布。
【請求項5】
前記不織布が長繊維不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生分解性不織布。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性不織布を用いてなることを特徴とする衛生材料。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性不織布を、バックシートおよび/またはサイドギャザーに用いてなることを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性不織布を、バックシートおよび/またはサイドギャザーに用いてなることを特徴とする生理用品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は撥水剤を付与されてなる不織布に関するものであり、さらに詳しくは、良好な機械的強度と耐水性、撥水性を有して衛生材料として好適に用いられ、さらに生分解性を有し、使用後の廃棄が容易である不織布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから生分解性を有する種々の不織布が提案されている。生分解性を有する不織布は、自然環境下で、日光、紫外線、熱、水、酵素、微生物等の作用により化学的に分解され、さらには形態的に崩壊するため、焼却処理の必要がなく、埋め立て処理や屋外への放置により処分が可能である。仮に焼却処理をした場合でも、生分解性樹脂は従来の不織布に使用されているポリエステルやポリプロピレン、ナイロン等の樹脂に比べ、一般的に燃焼熱量が低いため、焼却時に焼却炉を傷めないというメリットがある。特に使い捨ておむつや生理用品等の衛生材料は、1回の使用で廃棄されること、さらにその廃棄量が膨大であることから生分解性材料を用いた製品の開発が望まれている。
【0003】
しかしながら、従来の生分解性不織布では使用するに十分な機械的強度や柔軟性を有するものはなかった。特に使い捨ておむつや生理用品等のバックシート、サイドギャザーとして使用する場合、これらの部材は水分の洩れを防ぐため耐水性、撥水性が必要とされているが、一般的な生分解性樹脂は親水性のものが多く、このため従来の生分解性不織布で要求性能を満足するものはなかった。
【0004】
例えば特許文献1には、生分解性熱可塑性重合体からなる柔軟性や機械的特性に優れた生分解性複合短繊維不織布に関する技術が開示されている。
【0005】
さらに特許文献2には、生分解性樹脂であるポリ乳酸を主成分とする、強度や柔軟性に優れた長繊維不織布からなる衛生用品用不織布に関する技術が開示されている。
【0006】
しかしながらこれらの特許文献には不織布の耐水性、撥水性を向上させる技術はなんら示されておらず、特に使い捨ておむつや生理用品のバックシート、サイドギャザーとして使用するには困難であった。
【0007】
またさらに特許文献3には、ポリ乳酸系長繊維からなる透水性、柔軟性に優れた衛生材用不織布に関する技術が開示されているが、該衛生材用不織布は主に使い捨ておむつや生理用品等のトップシートのように透水性が求められる部分に使用されるものであり、使い捨ておむつや生理用品等のバックシート、サイドギャザーのように耐水性、撥水性を求められる部分に使用できるものではなかった。
【0008】
また特許文献4には、実用的な耐水性を持つセルロース系繊維と生分解性樹脂からなる生分解性成型物に関する技術が開示されているが、該生分解性成型物の耐水性とは、水中に浸漬した際の形態安定性に関するものであり、使い捨ておむつや生理用品等のバックシート、サイドギャザーに求められる耐水性、撥水性を達成するものではない。さらに該生分解性成型物は主に育苗ポットや食品用トレー、包装用トレーとして使用されるものであり、柔軟性は劣るものである。
【0009】
さらに特許文献5には、生分解性不織布に撥水剤を施してなる農園芸用シート状素材に関する技術が開示されているが、該生分解性不織布は農園芸用素材に関するものであり、柔軟性や機械的強度には劣るものである。さらに該生分解性不織布に付与された撥水剤は、徐々に消失するため、撥水性、耐水性も徐々に失われていくものである。よって使い捨ておむつや生理用品等のバックシート、サイドギャザーに好適に用いられるものではなかった。
【特許文献1】特開平8−260320号公報
【特許文献2】特開2000−234254号公報
【特許文献3】特開2002−242068号公報
【特許文献4】特開平9−272760号公報
【特許文献5】特開2000−342077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、耐水性、撥水性に優れ、かつ良好な機械的特性および柔軟性を有し、特に衛生材料、とりわけ使い捨ておむつや生理用品のバックシート、サイドギャザーとして好ましく使用できる生分解性不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用するものである。
【0012】
すなわち、
(1)単繊維繊度0.8〜10デシテックスの生分解性繊維からなる不織布であって、該不織布が撥水剤を含み、かつ該不織布の目付が5〜100g/m、耐水圧が60〜200mmAqであることを特徴とする生分解性不織布。
【0013】
(2)前記撥水剤が、フッ素系化合物、ポリオレフィン系化合物およびシリコーン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなることを特徴とする前記(1)に記載の生分解性不織布。
【0014】
(3)前記生分解性繊維がポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の生分解性不織布。
【0015】
(4)前記不織布が部分的に熱接着されて一体化してなり、かつ、該熱接着の接着面積が該不織布全面積に対して5〜50%の範囲内であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の生分解性不織布。
【0016】
(5)前記不織布が長繊維不織布であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の生分解性不織布。
【0017】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の生分解性不織布を用いてなることを特徴とする衛生材料。
【0018】
(7)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の生分解性不織布を、バックシートおよび/またはサイドギャザーに用いてなることを特徴とする使い捨ておむつ。
【0019】
(8)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の生分解性不織布を、バックシートおよび/またはサイドギャザーに用いてなることを特徴とする生理用品。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、良好な耐水性、撥水性を有し、かつ機械的特性や柔軟性に優れた、特に衛生材料、とりわけ使い捨ておむつや生理用品のバックシート、サイドギャザーとして好ましく使用できる生分解性不織布を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明における不織布を構成する繊維の単繊維繊度は0.8〜10デシテックスである。好ましくは0.9〜8デシテックス、より好ましくは1.0〜6デシテックスの範囲である。単繊維繊度が0.8デシテックスより細い場合、紡糸性が悪化する。また、単繊維繊度が10デシテックスを超える場合、繊維の冷却を十分に行えず紡糸性が悪化する。異なる単繊維繊度の繊維を複数種類混合することも何ら問題はない。また繊維の断面形状は何ら制限されるものではなく、丸形、中空丸形、あるいはX形、Y形等の異形、等が好ましく使用されるが、製造の簡便な点から丸形形状が最も好ましいものである。
【0022】
本発明において、生分解性繊維の原料として使用する生分解性樹脂としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリヒドロキシブチレート系樹脂等が好適に用いられる。またこれらの樹脂を複数種類複合して用いてもよい。また樹脂の複合の方法としては、溶融した複数種類の樹脂を混合する方法や、2種類の樹脂を芯鞘型、あるいはサイドバイサイド型に複合する方法が好ましい方法である。
【0023】
生分解性を有する樹脂のうち、ポリ乳酸系樹脂は熱安定性や強度の面から最も好ましいものである。ポリ乳酸系樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
【0024】
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は5万〜30万が好ましく、より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量が5万を下回る場合は、繊維の強力が低くなり好ましくない。重量平均分子量が30万を越える場合、粘度が高いためノズルから押し出したポリマーの曳糸性が乏しく、高速延伸ができず、未延伸状態になり、十分な繊維強度を得ることができないため好ましくない方向である。またさらに生分解性樹脂に結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、等を本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
【0025】
本発明の不織布の目付は5〜100g/mである。目付が5g/mを下回ると不織布の強度が不十分となる。目付が100g/mを越えると強度的には十分であるが、単位面積あたりのコストが高くなり、さらには柔軟性が失われる。好ましい目付の範囲は7〜90g/mであり、より好ましい範囲は、10〜70g/mである。
【0026】
さらに本発明の不織布の柔軟性は、45°カンチレバー法の測定値が10〜150mmの範囲であることが好ましい。45°カンチレバー法の測定値が10mmを下回る場合は、実用的な機械的強度を達成できない場合があり好ましくない方向である。また測定値が150mmを越える場合には柔軟性が劣るため、特に衛生材料向けには好ましくない方向である。より好ましい柔軟性の範囲は15〜120mm、さらに好ましくは20〜100mmである。
【0027】
本発明の生分解性不織布の製造方法は特に限定されるものではないが、製造方法が簡便であり、生産能力に優れる点からスパンボンド不織布、あるいは短繊維不織布からなることが好ましい形態である。特に好ましい製造方法は機械的強度の点からスパンボンド不織布である。
【0028】
本発明にて使用されるスパンボンド不織布は、特に限定されるものではないが、溶融したポリマーをノズルより押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸した後、移動コンベア上に繊維を捕集してウェブとし、さらに連続的に熱接着、絡合等を施すことにより一体化されたシートとする、いわゆるスパンボンド法により製造されたものが好ましい。
【0029】
また、本発明にて使用される短繊維不織布は、溶融したポリマーをノズルより押し出し、冷却した後、一旦巻き取って未延伸糸条とし、あるいは一旦巻き取ることなく連続して、これに1段または2段以上で冷延伸または熱延伸した後カットして短繊維とし、ランダムウェッバー、パラレルウェッバー等の乾式法、または抄紙法により得られたウェブを熱接着、絡合等を施すことにより一体化されたシートとする短繊維不織布が好ましい。
【0030】
また、短繊維はカットする前にスタフィングボックス法や押し込み加熱ギア法により、所定の捲縮加工を加えることができる。乾式法にて短繊維不織布を製造する場合には、短繊維の捲縮数は5〜50個/25mmが好ましく、より好ましくは10〜30個/25mmであり、また短繊維のカット長は10〜80mmが好ましく、より好ましくは20〜60mmである。捲縮数が5個/25mm未満の場合、開繊時に未開繊が生じやすく好ましくない方向である。また捲縮数が50個/25mmを越えると、均一な開繊が得られない場合があり、好ましくない方向である。
【0031】
抄紙法にて短繊維不織布を製造する場合には、短繊維のカット長は1〜25mmが好ましく、より好ましくは3〜15mmである。カット長が1mmを下回る場合は、抄紙が困難となる場合があり好ましくない。またカット長が25mmを越えると抄紙により均一な不織布を得ることが困難となる場合があり、好ましくない方向である。
【0032】
本発明における不織布は、部分的に熱接着されて一体化していることが好ましい。熱接着の面積は不織布の全面積の5〜50%が好ましい。さらに好ましくは8〜45%、より好ましくは10〜30%である。熱接着の面積が5%を下回る場合は、不織布の強度が弱くなる傾向であり好ましくない方向である。また熱接着の面積が50%を超える場合は、不織布の機械的強度には優れるものの柔軟性が損なわれる方向であり、好ましくない。
【0033】
部分的熱接着の方法は特に限定されるものではないが、一対の熱エンボスロールによる接着、あるいは超音波発振装置とエンボスロールによる接着が好ましい方法であるが、強度的には一対の熱エンボスロールによる接着がより好ましいものである。熱エンボスロールによる熱接着の温度は、繊維表面に存在する樹脂の融点より5〜50℃低いことが好ましく、より好ましくは10〜40℃低い温度条件である。熱エンボスロールによる熱接着の温度が、繊維表面に存在する樹脂の融点より5℃未満低い温度であった場合、樹脂の溶融が激しく、エンボスロールへのシート取られ、ロール汚れが発生、シートが硬くなるばかりかロール巻付きも頻発するなど安定生産も不可能となる。また、繊維表面に存在する樹脂の融点より50℃を超えて低い温度であった場合、樹脂の融着が不十分であり、物性的に弱いものとなる傾向であり好ましくない。
【0034】
本発明の生分解性不織布は耐水圧が60〜200mmAqであることが必要である。耐水圧が60mmAq未満の場合は、撥水性、耐水性を求められる用途への使用は困難である。また耐水圧が200mmAqを超える場合は、不織布の目付を必要以上に高くすること、さらに不織布に含まれる撥水剤量を必要以上に多くしなければならず、コストが高くなるばかりでなく、柔軟性が失われる。好ましい耐水圧は70〜180mmAq、より好ましくは80〜170mmAqである。
【0035】
また本発明に用いられる撥水剤は、フッ素系化合物、ポリオレフィン化合物、シリコーン化合物のうちの少なくとも1種を含んでなるものが好ましい。最も好ましい撥水剤は、撥水性能に優れる点からフッ素系化合物である。撥水剤量は、不織布に対して0.05〜5重量%が好ましい範囲である。撥水剤の付与量が不織布に対して0.05重量%未満の場合は、撥水性、耐水性が不十分となりやすく好ましくない方向である。撥水剤の付与量が不織布に対して5重量%を超える場合には、コストが高くなるばかりでなく、不織布の通気性が失われる場合があり好ましくない。
【0036】
撥水剤を不織布に含ませる方法とはなんら限定されるものではない。例えば、エアドクタコート、ブレードコート、ロッドコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、泡沫コートまたは押出コート法が好ましいものとして挙げられる。特に好ましい方法としては、エマルジョン化した撥水剤に不織布を含浸し、所定量の撥水剤を付与する含浸コート法、あるいは、エマルジョン化した撥水剤を所定量キスロールにて不織布に転写するキスロールコート法である。
【0037】
また撥水剤が付与された不織布を乾燥する温度は、特に制限されるものではないが、撥水性、耐水性を高めるために60〜160℃であることが好ましい。乾燥温度が60℃を下回る場合には、撥水性が不十分となる場合があり好ましくない方向である。また乾燥温度が160℃を超える場合には、一般的な生分解性樹脂は融点、軟化点が低いために、不織布の収縮や劣化が起きやすいので、好ましくない方向である。より好ましい乾燥温度は70〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。またさらに乾燥時間は1〜600秒が好ましい範囲である。乾燥時間が1秒より短い場合は、乾燥が不十分となり、撥水性が不十分となる場合があり好ましくない方向である。また乾燥時間が600秒を超える場合には、生産性が落ちるばかりでなく、不織布の収縮や劣化が起きやすいので好ましくない方向である。
【0038】
また本発明の生分解性不織布は、温度50℃、湿度80%の条件下で、168時間処理した後の引張強度が、処理前の引張強度と比較して0〜35%しか低下しないことが好ましい。より好ましい引張強度の低下の範囲は0〜25%である。条件下での引張強度の低下が35%を超える場合には、製品を保管している最中に機械的強度が低下し、使用できなくなる場合があり好ましくない。
【0039】
本発明の生分解性不織布は、いかなる用途にも用いることができるが、機械的強度や柔軟性に優れ、かつ良好な耐水性を持つことから衛生材料に好ましく用いられる。ここでいう衛生材料の具体例としては、保護着、下着等の1回程度の使用で使い捨てる使い捨て衣料、あるいは、サニタリーナプキン、パンティーシールド等の生理用品、あるいは成人用紙おむつ、ベビー用紙おむつ、失禁者パッド等の使い捨ておむつ、シーツ、ベッドカバー、枕カバー等の寝具、エプロン、手袋等のキッチン用品であるが、特にこれらに制限されるものではない。本発明の生分解性不織布の最も好ましい使用用途は、使い捨ておむつや生理用品のバックシート、サイドギャザーである。
【実施例】
【0040】
以下、実施例に基づき本発明につき具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。なお、下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)重量平均分子量
試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。測定は各試料につき3点行い、その平均値をそれぞれの重量平均分子量とした。
(2)融点(℃):
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温温度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。測定は各試料につき3点行い、その平均値をそれぞれの融点とした。
(3)繊度(dtex):
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維直径を測定し、平均値から繊維径を算出、これをポリマーの密度で補正し、繊度を算出した。
(4)目付(g/m):
JIS L1906の4.2に準じて、縦方向50cm×横方向50cmの試料を3点採取、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、不織布の目付(g/m)とした。
(5)引張強力
JIS L1906の4.3.1に準じ、サンプルサイズ5×30cm、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、シート縦方向、横方向とも3点を測定、それぞれの平均値を100g/m当たりの強力に換算し、縦方向、横方向ともに30N/5cm以上のものを合格(○)、それ以外のものは不合格(×)とした。
(6)柔軟性
JIS L1096の6.19.1A法(45°カンチレバー法)に準じて測定を実施した。サンプルサイズは2×15cmとし、シートの縦方向、横方向とも表裏5点測定、縦横それぞれの平均値を算出し、縦方向、横方向とも10〜150mmの範囲にある場合を合格(○)、それ以外は不合格(×)とした。
(7)耐水圧(撥水性)
JIS L1092の6.1耐水度試験(静水圧法)A法(低水圧法)に準じ、サンプルサイズ15×15cmで5点測定し、平均値を不織布の耐水性とした。
【0041】
実施例1
重量平均分子量が15万でQ値(Mw/Mn)が1.78、融点が168℃であるポリ乳酸樹脂を原料とし、210℃で溶融した後、口金温度220℃で細孔より紡出した後、エジェクターにより紡糸速度4000m/分で紡糸し、移動するネットコンベアー上に捕集し得られたウェブを、凸部の面積が15%のエンボスロールとフラットロールで、温度140℃、圧力50kg/cmの条件で熱圧着し、単繊維繊度1.5デシテックス(dtex)、目付20g/mのスパンボンド不織布を製造した。
【0042】
得られた不織布にフッ素化合物系エマルジョンからなる撥水剤を、含浸コート法にて1.0重量%付与し、100℃で100秒間乾燥し、撥水加工を施した。
【0043】
実施例2
実施例1と同様の方法で単繊維繊度2.0デシテックス(dtex)、目付30g/mのスパンボンド不織布を製造した。
【0044】
得られた不織布にフッ素化合物系エマルジョンからなる撥水剤を、含浸コート法にて1.5重量%付与し、110℃で30秒間乾燥し、撥水加工を施した。
【0045】
実施例3
実施例1と同様の原料を210℃で溶融した後、口金温度220℃で細孔より紡出し、油剤を付与した後、紡糸速度500m/minで紡糸し、未延伸糸を一旦巻き取った。これを60℃の加熱ロールで3.8倍に熱延伸し、得られた延伸糸条にスタフィングボックスを用いて17個/25mmの機械捲縮を付与し、長さ51mmに切断して単繊維繊度2.0デシテックス(dtex)の短繊維を得た。この短繊維を原綿としランダムウェッバーにより目付20g/mのウェブを作成し、凸部の面積が16%のエンボスローラとフラットロールで140℃、圧力50kg/cmの条件で熱圧着し短繊維不織布を製造した。
【0046】
得られた不織布に実施例1と同様の方法でフッ素化合物系エマルジョンからなる撥水剤を付与、乾燥を実施、撥水加工を施した。
【0047】
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、実施例1〜3の不織布はいずれも良好な引張強度、柔軟性を有していた。さらに耐水圧はいずれも60mmAq以上で良好な耐水性を示した。
【0048】
比較例1
実施例1と同様の方法で単繊維繊度1.5デシテックス(dtex)、目付20g/mのスパンボンド不織布を製造し、撥水剤の付与を実施しなかった。
【0049】
比較例2
ポリプロピレンを原料とし、目付20g/mで部分的熱接着面積が12%であるSMS不織布(スパンボンド−メルトブロー−スパンボンドの3層積層不織布)を製造した。スパンボンド部分の目付と単繊維繊度は、いずれも9g/m、2.2デシテックスであり、メルトブロー部分の目付は2g/m、単繊維繊度は0.04デシテックスとした。
【0050】
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、比較例1の不織布は引張強力、柔軟性に優れていたが、耐水圧が低く、使用には耐えないものであった。また比較例2の不織布は、引張強力、柔軟性に優れ、耐水圧も良好であったが、生分解性がなく、使用後の廃棄に問題のあるものであった。
【0051】
【表1】


【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の不織布は、衛生材料に利用できる。特には使い捨ておむつや生理用品のバックシート、サイドギャザーとして利用できる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号
【出願日】 平成16年6月17日(2004.6.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−2282(P2006−2282A)
【公開日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願番号】 特願2004−179313(P2004−179313)