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【発明の名称】 |
電磁鋼板製造ラインの張力制御方法 |
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【氏名】小池 健英 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 JFEスチール株式会社内 |
【課題】電磁鋼板製造ラインの張力制御方法に関し、鋼板の磁気特性の劣化を最小限としつつ、板厚の大きく異なる鋼板を連続して通板する場合においても、ブライドルロールでのスリップを防止する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼板に付加するユニット張力の異なるセクション間を、鋼板サイズの異なる電磁鋼板を接続して連続的に通板させる場合の電磁鋼板製造ラインの張力制御方法であって、 前記鋼板サイズの異なる電磁鋼板同士の接続点の位置に基づいて、連続するセクションにおけるセクション内の鋼板張力を、以下のように設定することを特徴とする電磁鋼板製造ラインの張力制御方法。 (a)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションに進入する際に、該進入するセクション内の鋼板張力を後行材の設定張力に設定する。 (b)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションを通過完了した際に、該通過完了したセクション内の鋼板張力を後行材の設定張力に設定する。 【請求項2】 セクション内の鋼板張力を設定する際に、連続するセクション間での張力比が、前記セクション間に設けられる張力調節用ロールの限界張力比を超える場合には、鋼板張力を変更するセクション内における鋼板張力を、以下のように設定することを特徴とする電磁鋼板製造ラインの張力制御方法。 (c)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、接続点が進入するセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその1.1倍の範囲の値に設定する。 (d)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、接続点が通過完了したセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその0.9倍の範囲の値に設定する。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電磁鋼板の連続製造ラインにおける、サイズの異なる鋼板を接続して連続的に通板する際の張力制御方法に関する。 【背景技術】 【0002】 電磁鋼板はJIS規格において、板厚が0.35mm、0.50mm、0.65mmの鋼板が定められている。例えば、板厚の異なる鋼板を接続して連続製造ラインで焼鈍を行う場合は、焼鈍工程での各セクションでは、鋼板に最適なユニット張力(単位断面積当りの張力)を付加するため、それぞれのセクションの入側及び出側に設けられたブライドルロールなどで張力の調整を行い、鋼板のサイズに応じた張力を通板する鋼板に付加するようにしている。 【0003】 近年、高速回転用途のモーターなどの需要が高まり、高周波での鉄損が低い電磁鋼板のニーズが高まって来ている。高周波で低鉄損を確保する方法の一つとして、鋼板の厚みを0.20mmや0.15mmに極薄化することが挙げられる。 【0004】 しかし、このような極薄化された電磁鋼板は、前記従来のJIS規格の鋼板と比較して板厚が大きく異なり、JIS規格の鋼板と併せて製造する際は、各セクションで付加すべき張力が大きく異なる。そのため、これらの鋼板を連続して通板する場合に、鋼板の接続点がユニット張力の異なる製造ラインのセクション間を通過する際には、前記接続点が次のセクションに進入する前後で、各セクション間に付加される張力の大きさが大きく異なることとなる。ここで、各セクション間での張力差がある限界を超えた場合には、前記ブライドルロールと鋼板との間でスリップが生じるという不具合がある。 【0005】 このブライドルロールでのスリップ防止対策としては、接続する鋼板の間にダミーコイルを挿入して、板厚が徐々に変更されるようにして通板を行う方法が一般に取られているが、この方法では、生産能力を著しく阻害するという問題があった。 【0006】 このような問題に対して、サイズの異なる鋼板の連続通板時における張力の制御方法として、特許文献1(特開平4−285131号公報)に記載された方法がある。この方法は、サイズの異なる鋼板を接続して通板する際に、ユニット張力の異なる製造ラインの各セクションに鋼板の接続点が進入した時に、接続点前後の鋼板に付加する張力の中間の張力を接続点が進入したセクションに付加することで、連続するセクション間で大きく張力が変動することを防止してスリップを防止する方法である。 【特許文献1】特開平4−285131号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 一方、電磁鋼板においては、その磁気特性の劣化を防止するために、鋼板に付加する張力は極力低くすることが好ましい。しかし、上記特許文献1の方法では、一律に接続点前後の鋼板に付加する張力の中間の張力を付加するため、張力を低くすべき鋼板に対して大きな張力が付加される場合があり、鋼板の磁気特性を劣化させるおそれがある。しかし、ブライドルロールでのスリップを防止するという観点からは必要以上に大きな張力となっている場合が多い。 【0008】 そこで、本発明は、鋼板の磁気特性の劣化を最小限としつつ、板厚の大きく異なる鋼板を連続して通板する場合においても、ブライドルロールでのスリップを防止することが可能な電磁鋼板製造ラインの張力制御方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有する。 [1]鋼板に付加するユニット張力の異なるセクション間を、鋼板サイズの異なる電磁鋼板を接続して連続的に通板させる場合の電磁鋼板製造ラインの張力制御方法であって、 前記鋼板サイズの異なる電磁鋼板同士の接続点の位置に基づいて、連続するセクションにおけるセクション内の鋼板張力を、以下のように設定することを特徴とする電磁鋼板製造ラインの張力制御方法。 (a)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションに進入する際に、該進入するセクション内の鋼板張力を後行材の設定張力に設定する。 (b)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションを通過完了した際に、該通過完了したセクション内の鋼板張力を後行材の設定張力に設定する。 [2]上記[1]において、セクション内の鋼板張力を設定する際に、連続するセクション間での張力比が、前記セクション間に設けられる張力調節用ロールの限界張力比を超える場合には、鋼板張力を変更するセクション内における鋼板張力を、以下のように設定することを特徴とする電磁鋼板製造ラインの張力制御方法。 (c)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、接続点が進入するセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその1.1倍の範囲の値に設定する。 (d)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、接続点が通過完了したセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその0.9倍の範囲の値に設定する。 【0010】 ここで、上記限界張力比とは、セクション内の張力を調整するブライドルロールの前後で張力が異なる場合に、ブライドルロールと鋼板との間でスリップが起こらない最大の張力比のことである。この限界張力比を超えてブライドルロールの前後に張力がかかった場合には、ブライドルロールと鋼板との間でスリップが起こることを意味する。なお、張力比とは、ブライドルロール前後での張力の値をそれぞれT1,T2(T1>T2)とした場合に、T1/T2の値をいう。 【発明の効果】 【0011】 本発明によれば、鋼板の磁気特性の劣化を最小限としつつ、板厚の大きく異なる鋼板を連続して通板する場合においても、ブライドルロールでのスリップを防止することが可能な電磁鋼板製造ラインの張力制御方法が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0012】 以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。 【0013】 図1は、本発明にかかる張力制御方法が適用される電磁鋼板の連続製造ラインにおける焼鈍工程での設備構成の一例を示す概略構成図であり、電磁鋼板1が、焼鈍工程内のブライドルロール2及び3に挟まれるセクションA、及び、ブライドルロール3及び4に挟まれるセクションBを通過する場合を示している。ここで、セクションA及びBを通過する鋼板には、張力調節用ロールであるブライドルロール2,3,4の回転を制御することで、所定の張力が付加される。 【0014】 このような装置構成において、本発明にかかる張力制御方法は、鋼板サイズの異なる電磁鋼板同士の接続点の位置に基づいて、連続するセクションA及びBにおけるセクション内の張力を、以下のように設定することを特徴とするものである。 【0015】 (a)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションに進入する際に、該進入するセクション内の鋼板張力を後行材の設定張力に設定する。つまり、図1において、前記接続点がセクションAに進入する際、例えば、前記接続点がブライドルロール2の位置に達した際にセクションAの張力を後行材の設定張力に設定する。 【0016】 (b)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、前記先行材と後行材の接続点が各セクションを通過完了した際に、該通過完了したセクション内の張力を後行材の設定張力に設定する。つまり、図1において、前記接続点がセクションAを通過完了した際、例えば、前記接続点がブライドルロール3の位置に達した際にセクションAの張力を後行材の設定張力に設定する。 【0017】 上記(a),(b)のように制御することで、鋼板サイズの異なる電磁鋼板同士の接続点が各セクションを通過する際に、鋼板断面積の小さい方の鋼板(鋼板幅が同一の場合には板厚の薄い方の鋼板)に必要以上の大きな張力が付加されることがなくなり、鋼板の磁気特性の劣化を最小限に抑えることが可能となる。 【0018】 また、本発明にかかる張力制御方法は、上記(a),(b)に基づきセクション内の張力を設定する際に、連続するセクションA及びB間での張力比が、前記セクション間に設けられるブライドルロール3の限界張力比を超える場合には、張力を変更するセクション内における張力の値を、以下のように設定するものである。 【0019】 (c)後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合には、接続点が進入するセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその1.1倍の範囲の値に設定する。 【0020】 (d)後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合には、接続点が通過完了したセクション内の鋼板張力を、限界張力比となる張力値からその0.9倍の範囲の値に設定する。 【0021】 このように、限界張力比となる張力値から1割の範囲内に張力を設定することにより、鋼板の磁気特性の劣化を最小限に抑えることが可能となる。 【0022】 以下、上記(c),(d)の制御方法について、下記設定条件により具体的に説明する。 [設定条件1] ブライドルロール3の限界張力比:3.2 セクションAのユニット張力設定値:0.5kg/mm2 セクションBのユニット張力設定値:1.0kg/mm2 先行材:板厚0.35mm、板幅1000mm、セクションAでの設定張力TA1=175kg、セクションBでの設定張力TB1=350kg 後行材:板厚0.20mm、板幅1000mm、セクションAでの設定張力TA2=100kg、セクションBでの設定張力TB2=200kg この場合、後行材の断面積が先行材の断面積より小さい場合であるので、上記(a)及び(c)の制御となる。 【0023】 前記先行材がセクションA及びBを通過中には、セクションAの張力は設定張力TA1の175kg、セクションBの張力は設定張力TB1の350kgであるので、前記ブライドルロール3の張力比TB1/TA1は、350/175=2となり、限界張力比の3.2以下である。 【0024】 先行材と後行材の接続点がセクションAに進入する際、つまり、前記接続点がブライドルロール2の位置に達した時点で、セクションAの設定張力TA1が後行材の設定張力TA2の100kgに変更される。この場合、セクションBの張力TBは先行材の設定張力TB1の350kgであるので、前記ブライドルロール3の張力比TB1/TA2は、350/100=3.5となり、限界張力比の3.2を超え、前記ブライドルロール3でスリップが発生する。 【0025】 このスリップを防止するため、本発明においては、接続点が進入するセクションA内の張力TAを、限界張力比となる張力値からその1.1倍の範囲の値、つまり、109kg(=350/3.2)から120kg(=109×1.1)の範囲に設定する。 【0026】 なお、前記接続点が、セクションBに進入する際、つまり、前記接続点がブライドルロール3の位置に達した時点で、セクションBの張力TBが後行材の設定張力TB2の200kgに変更されると同時に、セクションAの張力TAが後行材の設定張力TA2の100kgに変更される。 【0027】 これにより、ブライドルロール3でのスリップを防止しつつ、断面積の小さい、つまり、板厚の薄い鋼板への設定値以上の張力の付加量を極力小さくでき、鋼板の磁気特性の劣化を最小限に抑えることが可能となる。 [設定条件2] ブライドルロール3の限界張力比:3.2 セクションAのユニット張力設定値:1.0kg/mm2 セクションBのユニット張力設定値:0.5kg/mm2 先行材:板厚0.20mm、板幅1000mm、セクションAでの設定張力TA1=200kg、セクションBでの設定張力TB1=100kg 後行材:板厚0.35mm、板幅1000mm、セクションAでの設定張力TA2=350kg、セクションBでの設定張力TB2=175kg この場合、後行材の断面積が先行材の断面積より大きい場合であるので、上記(b)及び(d)の制御となる。 【0028】 前記先行材がセクションA及びBを通過中には、セクションAの張力は設定張力TA1の200kg、セクションBの張力は設定張力TB1の100kgであるので、前記ブライドルロール3の張力比TB1/TA1は、200/100=2となり、限界張力比の3.2以下である。 【0029】 先行材と後行材の接続点がセクションAを通過完了した際、つまり、前記接続点がブライドルロール3の位置に達した時点で、セクションAの張力TAが後行材の設定張力TA2の350kgに変更される。この場合、セクションBの張力TBは先行材の設定張力TB1の100kgであるので、前記ブライドルロール3の張力比TA2/TB1は、350/100=3.5となり、限界張力比の3.2を超え、前記ブライドルロール3でスリップが発生する。 【0030】 このスリップを防止するため、本発明においては、接続点が通過完了したセクションA内の張力TAを、限界張力比となる張力値からその0.9倍の範囲の値、つまり、320kg(=100×3.2)から288kg(=320×0.9)の範囲に設定する。 【0031】 なお、前記接続点が、セクションBを通過完了した際、つまり、前記接続点がブライドルロール4の位置に達した時点で、セクションBの張力TBが後行材の設定張力TB2の175kgに変更されると同時に、セクションAの張力TAが後行材の設定張力TA2の350kgに変更される。 【0032】 これにより、ブライドルロール3でのスリップを防止しつつ、断面積の小さい、つまり、板厚の薄い鋼板への設定値以上の張力の付加を防止でき、鋼板の磁気特性の劣化を最小限に抑えることが可能となる。 【実施例1】 【0033】 上記の[設定条件1]において、先行材と後行材の接続点がセクションAに進入する際、つまり、前記接続点がブライドルロール2の位置に達した時点で変更するセクションAの張力を種々の値に設定して、ブライドルロール3でのスリップ発生の有無、鉄損値W10/400(W/kg)の値を調べた結果を下表1に示す。 【0034】 ここで、前記鉄損値W10/400(W/kg)とは、周波数400Hzの交流で、磁束密度が1.0T(テスラー)になるように磁化させた際に、鋼板中で消費されるエネルギー損失を単位質量当たりの数字で示したものである。 【0035】 【表1】
【0036】 また、図2に、上記表1に示すセクションAでの張力に対する鉄損値W10/400(W/kg)の変化の様子を示す。 【0037】 上記表1及び図2に示すセクションAの張力と鉄損値W10/400(W/kg)の関係を見ると、本発明の範囲である本発明例の値を超えてセクションAに張力を付加することにより、スリップの発生は防止できても、鉄損値が著しく(9%以上)上昇し、磁気特性を劣化させていることがわかる。なお、本発明例の範囲では、鉄損値の上昇は2%未満であり、十分許容範囲に入っており磁気特性の劣化は問題とはならない。 【0038】 このように、本発明例においては、良好な磁気特性を維持しつつ、スリップ防止を図ることが可能であることが確認できた。 【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】本発明にかかる張力制御方法が適用される電磁鋼板の連続製造ラインにおける焼鈍工程での設備構成の一例を示す概略構成図である。 【図2】表1に示すセクションAでの張力に対する鉄損値の変化の様子を示す図である。 【符号の説明】 【0040】 1 電磁鋼板 2,3,4 ブライドルロール(張力調節用ロール)
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】JFEスチール株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
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| 【出願日】 |
平成17年3月28日(2005.3.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100116230 【弁理士】 【氏名又は名称】中濱 泰光
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| 【公開番号】 |
特開2006−274283(P2006−274283A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月12日(2006.10.12) |
| 【出願番号】 |
特願2005−90310(P2005−90310) |
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