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【発明の名称】 伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備
【発明者】 【氏名】谷口 裕一
【住所又は居所】愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内

【氏名】野中 俊樹
【住所又は居所】愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内

【氏名】村山 弘樹
【住所又は居所】愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内

【氏名】簗場 康司
【住所又は居所】愛知県東海市東海町5−3 新日本製鐵株式会社名古屋製鐵所内

【氏名】加藤 敏
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2−6−3 新日本製鐵株式会社内

【要約】 【課題】焼入れ設備と焼戻設備を連続処理設備とすることで焼戻しによる材質の向上が単に穴拡げ性を向上させるだけでなく、伸びの向上も可能な高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造することができる設備を提供する。

【解決手段】連続焼鈍設備や連続溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備の内に、もしくはそれらに連続的に併設して、再結晶後、または再結晶後かつ溶融亜鉛めっき処理後の鋼板を、マルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却可能な焼入れ設備と、当該鋼板を焼戻し保温する焼戻設備と、当該鋼板を100 ℃以下まで冷却する再冷却設備を配列することを特徴とする、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続焼鈍設備や連続溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備の内に、もしくはそれらに連続的に併設して、再結晶後、または再結晶後かつ溶融亜鉛めっき処理後の鋼板を、マルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却可能な焼入れ設備と、当該鋼板を焼戻し保温する焼戻設備と、当該鋼板を100 ℃以下まで冷却する再冷却設備を配列することを特徴とする、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【請求項2】
焼入れ設備と焼戻設備の間の焼戻昇温量ΔTが、焼戻後の引張強さTSと穴拡げ率λから求められる下記の(A)式の範囲に入り、焼戻前温度T(℃)が、焼戻後の引張強さTSと穴拡げ率λから求められる下記の(B)式の範囲に入ることを特徴とする、請求項1に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【数1】


λ:穴拡げ率(%) TS:焼戻後の引張強さ(MPa) T:焼戻前温度T(℃)
ΔT :焼戻昇温量(℃)
【請求項3】
焼入れ設備の冷却方式が気水冷却、ミスト冷却、水スプレー冷却、ディップ水冷の何れかであることを特徴とする、請求項1または2に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【請求項4】
焼戻設備の加熱方式が誘導加熱であることを特徴とする、請求項1または2または3に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃費向上、車体軽量化がより一層要求され、軽量化のために高強度鋼板のニーズが高まっている。しかし、強度が上がるほど成形性が困難となり、特に鋼材の伸びが低下する。さらに、 部材によっては加工穴部を拡張してフランジを形成させるバーリング加工が行われる部品も少なくなく、穴拡げ性も重要な特性として併せ持つことが要求され始めた。
【0003】
このため特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8によって焼戻マルテンサイト活用、2回の焼鈍熱処理を実施する技術で、TRIP鋼や複合組織鋼板で穴拡げ性を向上しようとする出願がなされている。
このように、穴拡げ性を要求された高強度鋼板が、しかも溶融亜鉛めっき処理されたものが増加しつつある一方、溶融亜鉛めっき処理なしの穴拡げ性の高い高強度鋼板の要求もあり、加えて従来からの自動車の外板パネルに使用されるような比較的軟質な鋼板や、オイルパンなどに使用される極めて深絞り性が大きい鋼板も定常的に生産する必要がある。 これら多種多様な鋼板を安定的に効率よく生産するためには、従来の単一目的型の、鋼板を連続的に焼鈍処理する連続焼鈍設備や、焼鈍から溶融亜鉛めっき処理を一連の設備列で連続的に処理することが可能な連続焼鈍溶融亜鉛めっき設備では、これらの複数の設備を組み合わせて通板しなければならず、設備の追加建設や製造工期の延長、製造コストの増大といった問題が発生する。
【特許文献1】特開平2001−192768号公報
【特許文献2】特開平2001−200338号公報
【特許文献3】特開平2001− 3150号公報
【特許文献4】特開平2001−207235号公報
【特許文献5】特開平2001−207236号公報
【特許文献6】特開平2002− 38248号公報
【特許文献7】特開平2002−309334号公報
【特許文献8】特開平2002−302734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板をコスト的にも工期的にも効率よく製造できる設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する設備を検討した結果、連続焼鈍設備や溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備の内または連続的に併設して、焼鈍済み鋼板をマルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却可能な焼入れ設備と、当該鋼板を焼戻し保温する焼戻設備を配列することが、焼戻マルテンサイト量を任意に制御でき、伸びおよび穴拡げ性を確保、向上させる上で極めて重要であることが判明した。即ち本発明では、焼入れ設備と焼戻設備が別々の製造ラインにあり、焼入れ〜焼戻の間で一旦は常温まで冷却される場合とは異なり、一連の連続処理設備とすることで、焼入れ/焼戻温度を任意に制御でき、伸びおよび穴拡げ率の確保および向上に大きな役割を果たす焼戻マルテンサイトの量と引張強さを任意に制御できることを突き止めた。
【0006】
本発明の要旨は、 (1)連続焼鈍設備や連続溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備の内に、もしくはそれらに連続的に併設して、再結晶後、または再結晶後かつ溶融亜鉛めっき処理後の鋼板を、マルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却可能な焼入れ設備と、当該鋼板を焼戻し保温する焼戻設備と、当該鋼板を100 ℃以下まで冷却する再冷却設備を配列することを特徴とする、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【0007】
(2)前記焼入れ設備と前記焼戻設備の間の焼戻昇温量ΔTが、焼戻後の引張強さTSと穴拡げ率λから求められる下記の(A)式の範囲に入り、焼戻前温度T(℃)が、焼戻後の引張強さTSと穴拡げ率λから求められる下記の(B)式の範囲に入ることを特徴とする、(1)に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた複合高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【数1】


λ:穴拡げ率(%) TS:焼戻後の引張強さ(MPa) T:焼戻前温度T(℃)
ΔT :焼戻昇温量(℃)
【0008】
(3)焼入れ設備の冷却方式が気水冷却、ミスト冷却、水スプレー冷却、ディップ水冷の何れかであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備。
【0009】
(4)焼戻設備の加熱方式が誘導加熱であることを特徴とする、(1)または(2)または(3)に記載の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、 自動車部品などに使用される、 伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を、コスト的にも工期的にも効率よく製造できる設備を提供することができるものであり、工業的に極めて価値の高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明にかかる伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する設備を実施例により説明する。
【実施例】
【0012】
図1は本発明の一実施例である、伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する設備として、冷延鋼板もしくは熱延鋼板の焼鈍と、溶融亜鉛めっき鋼板の製造との兼用製造設備の概念を示す概略図である。
【0013】
(実施例1) 熱延または冷延高強度鋼板を製造する場合
熱延または冷延鋼板で、特に伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板を製造する場合には、例えば、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:0.005 〜2%、Mn:0.1 〜3.3 %、P:0.001 〜0.06%、S:0.001 〜0.01%、Al:0.01〜1.8 %、N:0.0005〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる熱延または冷延鋼板を、焼鈍加熱設備1にてAc1 〜Ac3 + 100℃の温度で30秒〜30分加熱し、次いで焼鈍冷却設備2にて1℃/s以上の冷却速度で450 〜600 ℃の温度に冷却する。次いで必要に応じ保温設備3にて150 〜500 ℃の温度で10秒〜30分保持した後、図1の「めっき無パス」の場合には、ルートaを通ることにより溶融亜鉛めっき処理設備4をバイパスし、次いでルートbの如く合金化設備5を通り抜ける。尚、合金化設備も含めてルートcの如くバイパスしても構わない。次いで焼入れ設備6にて1℃/s以上の冷却速度でマルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却した後、焼戻設備7にて200 ℃以上500 ℃以下の温度に昇温し1s〜5分保持し、再冷却設備8にて5℃/s以上の冷速で100 ℃以下まで冷却する。尚、前記成分範囲および温度条件等は好ましい範囲であり、特にこれに限定しないものである。
【0014】
(実施例2) 溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する場合/溶融亜鉛めっき後に焼入れ・焼戻
熱延または冷延の溶融亜鉛めっき高強度鋼板で、特に伸びおよび穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板をする場合には、例えば、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:0.005 〜2%、Mn:0.1 〜3.3 %、P:0.001 〜0.06%、S:0.001 〜0.01%、Al:0.01〜1.8 %、N:0.0005〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるめっき原板を、焼鈍加熱設備1にてAc1 〜Ac3 + 100℃の温度で30秒〜30分加熱し、次いで焼鈍冷却設備2にて1℃/s以上の冷却速度で450 〜600 ℃の温度に冷却する。次いで必要に応じ保温設備3にて150 〜500 ℃の温度で10秒〜30分保持した後、図1の「めっき有パス」にて溶融亜鉛めっき処理設備4を通板して所定の目付け量の溶融亜鉛めっきを施す。さらに必要に応じて合金化設備5にて合金化処理を施す。次いで焼入れ設備6にて1℃/s以上の冷却速度でマルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却した後、焼戻設備7にて200 ℃以上500 ℃以下の温度に昇温し、1s〜5分保持し、再冷却設備8にて5℃/s以上の冷速で100 ℃以下まで冷却する。尚、前記成分範囲および温度条件等は好ましい範囲であり、特にこれに限定しない。
【0015】
(実施例3) 溶融亜鉛めっき高強度鋼板を製造する場合/溶融亜鉛めっき前に焼入れ・焼戻)
熱延または冷延の溶融亜鉛めっき高強度鋼板で、特に伸びおよび穴拡げ性に優れた溶融亜鉛めっき高強度鋼板をする場合には、例えば、質量%で、C:0.01〜0.3 %、Si:0.005 〜2%、Mn:0.1 〜3.3 %、P:0.001 〜0.06%、S:0.001 〜0.01%、Al:0.01〜1.8 %、N:0.0005〜0.01%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるめっき原板を、焼鈍加熱設備1にてAc1 〜Ac3 + 100℃の温度で30秒〜30分加熱し、次いで焼鈍冷却設備2を、実施例2の焼入れ設備6と同様に焼入れ設備として使用して1℃/s以上の冷却速度でマルテンサイト変態点以下の温度域まで冷却した後、保温設備3を実施例2の焼戻設備7と同様に焼戻設備として使用して200 ℃以上500 ℃以下の温度に昇温し1s〜5分保持する。さらに図1の「めっき有パス」にて溶融亜鉛めっき処理設備を通板して所定の目付け量の溶融亜鉛めっきを施し、必要に応じて合金化設備5にて合金化処理を施す。次いで焼入れ設備6または再冷却設備8にて5℃/s以上の冷速で100 ℃以下まで冷却する。焼入れ設備6で5℃/s以上の冷速で100 ℃以下まで冷却する場合は、焼戻設備7は空通板で加熱は行わない。再冷却設備8で5℃/s以上の冷速で100 ℃以下まで冷却する場合は、焼入れ設備6と焼戻設備7は空通板で冷却や加熱は行わないか、積極的な冷却または加熱はせずに保温程度で留める等、溶融亜鉛めっき層の造りこみに応じて適時使い分ける。尚、前記成分範囲および温度条件等は好ましい範囲であり、特にこれに限定しない。
【0016】
実施例1〜3のように、焼入れ/焼戻設備の配列は連続焼鈍設備や連続溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備内、またはそれらに連続的に併設することが好ましい。さらに好ましい配置としては、連続焼鈍設備の場合では、焼鈍冷却設備2の出側もしくは保温設備3の出側に続いて焼入れ/焼戻設備を配列することが好ましく、連続溶融亜鉛めっき処理設備の場合では、溶融亜鉛めっき処理設備4または合金化処理設備5に続いて焼入れ/焼戻設備を配列することが好ましい。連続焼鈍設備と連続溶融亜鉛めっき処理設備の兼用設備の場合はそれぞれ単独の場合の焼入れ/焼戻設備の配列を採用しても、組み合わせて採用しても構わない。兼用設備の場合、図1のような焼入れ/焼戻設備の配列とすることが、めっきの有無とめっき前後の焼入れ/焼戻処理を選択、造り分けが可能で設備コストも少なくて済み好ましい。
【0017】
焼入れ/焼戻設備の配列は連続焼鈍設備や溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備内、またはそれらに連続的に併設することが好ましい理由として、発明者は焼戻条件と穴拡げ率についての関係を調査したところ、焼戻前温度、焼戻昇温量、焼戻後の引張強さ、穴拡げ率には図2〜4のような関係があることが判明した。
そこで、これらの関係を整理し、焼戻前温度、焼戻昇温量、焼戻後の引張強さ、穴拡げ率が(A)式および(B)式を満たす時に必要な焼戻マルテンサイトを確保でき、優れた成形性および穴拡げ性を確保できることを知見した。
【数2】


λ:穴拡げ率(%) TS:焼戻後の引張強さ(MPa) T:焼戻前温度T(℃)
ΔT :焼戻昇温量(℃)
上記の(A)式および(B)式の範囲に入れば、あるいは範囲の中で必要に応じて制御すれば、ユーザーの要求に応じた引張強さと穴拡げ率のバランスを持つ高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板を得ることができる。
尚、上記の穴拡げ率λは、150mm 角の試験片を、打ち抜き穴Φ10mm、クリアランス12%、頂角60°の円錐ポンチを打ち抜き穴のバリが外側になる方向に押し広げ成形速度0.5mm/sec.で成形する。
【0018】
本発明にて得られる高強度鋼板の焼戻マルテンサイトの量は、面積率で0.5 〜60%の範囲が特性上好ましい。焼戻マルテンサイトの評価方法は、光学顕微鏡での観察及びマルテンサイトはレペラーエッチングで観察、定量化はレペラーエッチングで、試料を研磨(アルミナ仕上)し、腐食液(純水、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチルアルコール、ピクリン酸の混合液)に10秒間浸した後、再度研磨を実施し、水洗い後試料を冷風にて乾燥させる。乾燥後試料の組織を1000倍にて100 μm ×100 μm のエリアをルーゼックス装置により面積測定して焼戻マルテンサイトの面積%を決定した。尚、引張強さや伸びについては、JIS5号引張試験片の圧延方向と直角方向の引張試験を実施し評価した。
【0019】
本件の焼入れ設備の仕様については、マルテンサイト変態点以下まである程度急冷が必要なことから、気水冷却、ミスト冷却、水スプレー冷却、ディップ水冷が好ましいが、ガス冷却でも気水冷却、ミスト冷却、水スプレー冷却、ディップ水冷と同等以上の冷却速度が得られるのならば使用して差し支えない。
また、本件の焼戻設備の仕様については、設備のコンパクト化や短時間で確実な焼戻効果を得るために、加熱方式は誘導加熱であることが好ましいが、ガスバーナー、ラジアントチューブ炉、電気ヒーター炉による焼戻でも、誘導加熱と同程度のコンパクト化、短時間での焼戻効果が得られるのならば差し支えない。
【0020】
本件の再冷却設備の冷却方式は不問だが、亜鉛めっきの不必要な酸化、変色を考慮するとガス冷却が好ましい。
本件の焼入れ/焼戻設備を設置する連続焼鈍設備や溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備には、めっき密着性を向上させるプレメッキ設備があっても差し支えない。また、表面の潤滑性、耐食性、化成処理性を付加するために、連続焼鈍設備や溶融亜鉛めっき処理設備またはそれらの兼用設備の出側に各種の後処理設備が設置されても差し支えない。
【0021】
次に、本発明の設備を用いて高強度鋼板の伸びおよび穴拡げ姓に有利であることを述べる。
【0022】
【表1】


【0023】
例えば、表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉にて製造し、 冷却凝固後1200〜1240℃まで再加熱し、880 〜920 ℃にて仕上圧延を行い(板厚2.3mm)、冷却後600 ℃で1時間保持することで熱延の巻取熱処理を再現した。得られた熱延板を研削によりスケール除去し、7冷間圧延(1.2mm) を施し、その後連続焼鈍シミュレーターを用い、750 〜880 ℃×75sの焼鈍を行い、490 ℃で溶融亜鉛めっきを実施、510 ℃で合金化処理を行った。その後表2の条件で造り分け、本発明による設備の効果を確認した。
[1] 〜[3] は比較例としての従来例で、[1] は焼入れのまま焼戻なしの場合、[2][3]従来の連続溶融亜鉛めっき処理設備を通板し常温まで冷却(焼入れ)された後、別ラインで焼戻される場合、[4] 〜[7] は本発明による設備により処理される場合をしめす。
【0024】
【表2】


【0025】
以上のように、本発明の設備により焼戻による材質の向上が単に穴拡げ姓を向上させるだけでなく、任意の焼入れ/焼戻温度条件に制御できることにより、伸びの向上も含めた幅広い材質の改善効果が得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の伸びおよび穴拡げ性に優れた高強度鋼板または溶融亜鉛めっき高強度鋼板の製造設備を示す説明図である。
【図2】最終穴拡げ値45%レベルにおける焼戻し前温度とTSとの関係を示す説明図である。
【図3】最終穴拡げ値55%レベルにおける焼戻し前温度とTSとの関係を示す説明図である。
【図4】最終穴拡げ値65%レベルにおける焼戻し前温度とTSとの関係を示す説明図である。
【図5】本発明と従来法との伸びと穴拡げ率との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 焼鈍加熱設備
2 焼鈍冷却設備
3 保温設備
4 溶融亜鉛めっき処理設備
5 合金化設備
6 焼入れ設備
7 焼戻設備
8 再冷却設備
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
【出願日】 平成16年11月19日(2004.11.19)
【代理人】 【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄

【識別番号】100059096
【弁理士】
【氏名又は名称】名嶋 明郎

【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫

【公開番号】 特開2006−144075(P2006−144075A)
【公開日】 平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願番号】 特願2004−335598(P2004−335598)