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【発明の名称】 金属加熱炉
【発明者】 【氏名】坪井 成明
【住所又は居所】愛知県東海市元浜町39番地 大同特殊鋼株式会社知多工場内

【氏名】石川 浩義
【住所又は居所】愛知県東海市元浜町39番地 大同特殊鋼株式会社知多工場内

【氏名】中野 康治
【住所又は居所】愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号 東邦瓦斯株式会社内

【氏名】川瀬 和孝
【住所又は居所】愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号 東邦瓦斯株式会社内

【氏名】藤木 淳宏
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区野中北1丁目3番38号 ボルカノ株式会社内

【氏名】伊藤 博一
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区野中北1丁目3番38号 ボルカノ株式会社内

【氏名】土肥 正徳
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区野中北1丁目3番38号 ボルカノ株式会社内

【要約】 【課題】油の霧化エネルギーにガス体燃料の供給圧力を利用することにより、霧化用蒸気や蒸気を発生させるボイラーを不要とし、少ない取り付けバーナ数で、しかも良好な炉中雰囲気を確保してスケールの発生を減少し、良好でかつ均一な加熱状態を実現して、省エネルギーを達成することができる金属加熱炉を提供すること。

【解決手段】液体燃料の霧化媒体としてガス体燃料を導入するガスアトマイズバーナ1を、被加熱材料13に向けて火炎が形成されるように配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料を霧化して噴射するバーナを備えた金属加熱炉において、液体燃料の霧化媒体としてガス体燃料を導入するガスアトマイズバーナを、被加熱材料に向けて火炎が形成されるように配設したことを特徴とする金属加熱炉。
【請求項2】
燃焼ガスが、炉の上部を通って炉の先端まで達した後、被加熱材料を加熱しながら、炉の下部を2手に分かれて反転し、ガスアトマイズバーナの下方の煙道から排気されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の金属加熱炉。
【請求項3】
ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料と液体燃料の熱量比を一定の値に維持し、入熱量を変化させて炉の温度を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の金属加熱炉。
【請求項4】
ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料の供給量を一定に維持し、液体燃料の供給量を変化させて炉の温度を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の金属加熱炉。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加熱炉に関し、特に、液体燃料を可燃性ガスの供給圧力を利用して霧化し燃焼させる比較的大容量のガスアトマイズバーナを備えた金属加熱炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄鋼等の金属を加熱するための加熱炉は、一般的に油等の液体燃料又は都市ガスやLPG等のガス体燃料が使用されているが、両燃料とも加熱炉用燃料として長所と短所がある。
ガス体燃料は、火炎の輝度は低いが、霧化媒体は不要であり、火炎形状も比較的自由に形成でき、低空気比運転も可能であるという特性を有している。
【0003】
一方、液体燃料は、液体を霧化するための霧化媒体が必須である。霧化媒体としては、空気又は蒸気が一般的に利用されるが、金属加熱炉のような比較的大容量のバーナには蒸気が使用されているケースが多い。
したがって、霧化用蒸気が炉中に流入することにより燃焼ガス中(炉雰囲気中)の水分比率は大きくなり、鋼材はより酸化しやすい雰囲気になっている。しかし、高温域においては火炎の輝度が高く、伝熱面から見ると有利に働いているといえ、一方、火炎温度の均一性についてはやや劣る傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の金属加熱炉の有する問題点に鑑み、油の霧化エネルギーにガス体燃料の供給圧力を利用することにより、霧化用蒸気や該蒸気を発生させるボイラーを不要とし、少ない取り付けバーナ数で、しかも良好な炉中雰囲気を確保してスケールの発生を減少し、良好でかつ均一な加熱状態を実現して、省エネルギーを達成することができる金属加熱炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の金属加熱炉は、液体燃料を霧化して噴射するバーナを備えた金属加熱炉において、液体燃料の霧化媒体としてガス体燃料を導入するガスアトマイズバーナを、被加熱材料に向けて火炎が形成されるように配設したことを特徴とする。
【0006】
この場合において、燃焼ガスが、炉の上部を通って炉の先端まで達した後、被加熱材料を加熱しながら、炉の下部を2手に分かれて反転し、ガスアトマイズバーナの下方の煙道から排気されるようにすることができる。
【0007】
また、ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料と液体燃料の熱量比を一定の値に維持し、入熱量を変化させて炉の温度を制御することができる。
【0008】
また、ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料の供給量を一定に維持し、液体燃料の供給量を変化させて炉の温度を制御することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属加熱炉によれば、液体燃料を霧化して噴射するバーナを備えた金属加熱炉において、液体燃料の霧化媒体としてガス体燃料を導入するガスアトマイズバーナを、被加熱材料に向けて火炎が形成されるように配設することから、炉内で輝度の高い、長尺の火炎を形成し、炉温の均一化を図った加熱炉を形成することができ、また、ガスアトマイズ燃焼を行うことにより、蒸気アトマイズ燃焼に比べて、低NOxであり、炉内雰囲気が水分比率の少なく、そのため、鋼材表面に発生するスケールを抑制した運転が可能であり、さらに、余分な蒸気が炉内に噴霧されないため、炉の昇温時間も大幅に短縮し、良好でかつ均一な加熱状態を実現して、大幅な省エネルギーを安価に達成することができる。
【0010】
また、燃焼ガスが、炉の上部を通って炉の先端まで達した後、被加熱材料を加熱しながら、炉の下部を2手に分かれて反転し、ガスアトマイズバーナの下方の煙道から排気されるようにすることにより、炉内の温度分布を一層均一にできる。
【0011】
また、ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料と液体燃料の熱量比を一定の値に維持し、入熱量を変化させて炉の温度を制御することにより、液体燃料のみの増減で炉温を制御することができる。
【0012】
また、ガスアトマイズバーナが、前記ガス体燃料の供給量を一定に維持し、液体燃料の供給量を変化させて炉の温度を制御することにより、例えば、液体燃料の供給量がほぼゼロになってもガス体燃料によりバーナの燃焼が可能であり、その結果、バーナとして大きなターンダウン比が採れるという大きなメリットを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の金属加熱炉の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1〜図2に、本発明の金属加熱炉を均熱炉を例に説明する。
この均熱炉は、液体燃料を霧化して噴射するバーナを備えた均熱炉において、液体燃料の霧化媒体としてガス体燃料を導入するガスアトマイズバーナ1を、被加熱材料13に向けて火炎が形成されるように、炉本体2の一端に配設している。
【0015】
ガスアトマイズバーナ1のアトマイザーチップ3は、図1(a)、(b)に示すように、中心の霧化媒体入口4から油(C重油)の霧化用のガス体燃料(都市ガス又はLPG等)を圧力0.05MPa〜0.2MPaで供給する。
一方、油入口5から供給された油は、圧力0.01MPa〜0.3MPaで複数箇所の油連通管7を通して混合室6に供給される。
連通管7を複数に分割することにより、霧化媒体の圧力を0.1MPa程度に設定するだけで、良好な油の霧化状態が得られる。なお、このアトマイザーチップ3は2分割で製作し、最後に溶接で一体化することにより簡単に製作することが可能である。
【0016】
混合室6で油とガス体燃料が混合されると、細かい粒子に霧化された油が、霧化媒体であるガス体燃料と一緒に混合室6から噴出され、この霧化された油は、バーナに供給された空気出口8からの燃焼用空気によって継続的に燃焼する。
この霧化された油は、従来のような蒸気を含んでいないので、より高い火炎温度が得られる。すなわち、余分な水蒸気を炎温度(1500℃程度)の高温域まで加熱する必要がなくなることから、大幅な加熱時間の短縮が実現した。
なお、図1(c)において、9は霧化媒体接続口、10は油接続口、11は燃焼空気接続口、12はバーナタイルをそれぞれ示している。
【0017】
また、混合室6から霧化された油と霧化媒体のガス体燃料が同時に噴出され、最初に燃焼しやすいガス体燃料が燃焼するので、その後で燃焼する霧化油は、一種の自己排ガス循環と同等の効果を発揮して低NOxが実現できる。
【0018】
さらに、ガス体燃料を霧化媒体とすることにより、蒸気噴霧バーナに比較して、均一な温度分布を持ちながら火炎長を長く形成することが容易であるので、従来のように、温度分布を確保するために1つの炉に対して多数のバーナを取り付ける必要もなく、均一な温度分布の確保を容易にすることができた。
また、均一な温度分布が実現したために、被加熱材料全体が所定の温度になるための加熱時間(1サイクルの処理時間)の短縮が可能になり、省エネルギーを実現するとともに、一日あたりの処理量の増加も可能になった。
【0019】
本実施例の均熱炉では、図2に示すように、このバーナ1を1台(又は必要に応じて複数台)、噴射方向が炉の長手方向となるように取り付ける。この場合、炉の長手方向の良好な温度分布を得るためには、長炎を形成できるバーナが必要である。
図2(a)、(b)に示すように、炉の上部を通って炉の先端まで届いた燃焼ガスは、被加熱材料13を加熱しながら、炉の下部を2手に分かれて反転し、バーナ1下方の煙道14から排気される。この流れを形成することにより、より均一な温度分布が得られることになる。なお、燃焼用空気は排ガス熱交換器(図示省略)で熱回収され、バーナ1に戻すことにより省エネルギーを図っている。
【0020】
次に、均熱炉の温度制御方式について図3に示す。
図3(a)は、ガス体燃料・油比例制御の制御例を示し、油の供給量に比例して霧化媒体のガス体燃料の供給量を変化させる方法であり、比較的ターンダウン比が小さくてよい場合に適用する手法である。
なぜならば、霧化媒体自身がある供給量以下になれば、油の霧化が不可能になるからであり、勿論、霧化媒体であるガス体燃料の供給量の比率を大きく取れば、ターンダウン比は大きく採れることとなる。
【0021】
図3(b)は、ガス体燃料の供給量を、投入熱量に対して5%〜15%と一定に維持し、油の圧力(油の供給量)を増減して制御する例である。負荷b点以上では霧化媒体のガス体燃料の供給量は一定値に維持しており、バーナ負荷対応は油の供給量の変化で対応する方式である。
この場合、霧化媒体の供給量は、油の最大量であるc点で良好な噴霧の得られる量が必要である。
なお、b点以下でのターンダウンが必要とされる場合は、霧化媒体であるガス体燃料のみを変化させて対応することにより、炉の温度制御に対応できる。
したがって、この制御方法を採用すれば、従来蒸気噴霧方式で燃焼されたバーナに比較して格段に大きいターンダウンが得られることになり、より精密な温度制御に追従することが可能になる。
【0022】
以上、本発明の金属加熱炉について、均熱炉を例に説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の金属加熱炉は、油の霧化エネルギーにガス体燃料の供給圧力を利用することにより、霧化用蒸気や蒸気を発生させるボイラーを不要とし、少ない取り付けバーナ数で、しかも良好な炉中雰囲気を確保してスケールの発生を減少し、良好でかつ均一な加熱状態を実現して、省エネルギーを達成することができるものであることから、均熱炉を始めとする鉄鋼等の金属加熱炉、例えば、鉄鋼材料の圧延に先立って行われる加熱に用いられる金属加熱炉の用途等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の金属加熱炉の一実施例を示し、(a)はバーナチップの正面図、(b)は同断面側面図、(c)はバーナの断面側面図である。
【図2】同実施例を示し、(a)は断面側面図、(b)は断面平面図、(c)は断面正面図である。
【図3】同実施例の温度制御方法を示し、(a)はガスと油を比例して投入した場合のグラフ、(b)はガス供給量を一定にして、油の供給量を変化させた場合のグラフである。
【符号の説明】
【0025】
1 ガスアトマイズバーナ
2 炉本体
3 アトマイザーチップ
4 霧化媒体(ガス体燃料)入口
5 油入口
6 混合室
7 油連通管
8 空気出口
9 霧化媒体(ガス体燃料)接続口
10 油接続口
11 燃焼空気接続口
12 バーナタイル
13 被加熱材料
14 煙道
【出願人】 【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市東区東桜一丁目1番10号
【識別番号】000221834
【氏名又は名称】東邦瓦斯株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市熱田区桜田町19番18号
【識別番号】593196849
【氏名又は名称】ボルカノ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区野中北1丁目3番38号
【出願日】 平成16年11月10日(2004.11.10)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治

【公開番号】 特開2006−137965(P2006−137965A)
【公開日】 平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願番号】 特願2004−325926(P2004−325926)