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【発明の名称】 |
中空状動力伝達シャフトの熱処理方法 |
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【氏名】中川 亮 【氏名】櫻井 勝弘 【氏名】網中 達良 【氏名】清澤 裕 【氏名】吉川 毅 |
【課題】内周表面部の焼き割れ検査を簡略化できる中空状動力伝達シャフトの熱処理方法を提供する。
【解決手段】中空状シャフト素材1’の外周表面1gの側に高周波誘導加熱コイル10を配置して、軸方向域Lに対して外周表面1gの側から高周波焼入れを行なう。その際、中空状シャフト素材1’の両端に配管部材11を接続し、配管部材11を介して、中空状シャフト素材1’の内周部に冷却水を流通させる。高周波焼入れ時に、中空状シャフト素材1’の内周表面1iが冷却水の流れと接触することにより、内周表面1iから所定の深さ領域に未硬化層S0が形成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸方向中間部が大径部に形成されると共に、該大径部よりも軸方向両側部がそれぞれ小径部に形成された中空状動力伝達シャフトの熱処理方法であって、 パイプ素材に塑性加工を施して、前記大径部と小径部を有する中空状シャフト素材を成形し、 前記中空状シャフト素材の内周部に冷却材を流通させつつ、該中空状シャフト素材の外周側から焼入れ処理を施す中空状動力伝達シャフトの熱処理方法。 【請求項2】 前記焼入れ処理により、外周表面から所定の深さ領域に硬化層を形成すると共に、内周表面部に前記焼入れ処理により硬化しない未硬化層を形成する請求項1に記載の中空状動力伝達シャフトの熱処理方法。 【請求項3】 前記焼入れ処理が高周波焼入れである請求項1に記載の中空状動力伝達シャフトの熱処理方法。 【請求項4】 前記冷却材が冷却水である請求項1に記載の中空状動力伝達シャフトの熱処理方法。 【請求項5】 前記冷却水の流量が10L/min以上である請求項4に記載の中空状動力伝達シャフトの熱処理方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、等速自在継手等の継手に連結される中空状動力伝達シャフトの熱処理方法に関し、この中空状動力伝達シャフトは、例えば、自動車の動力伝達系を構成するドライブシャフト(駆動軸)やプロペラシャフト(推進軸)に適用することができる。 【背景技術】 【0002】 例えば、自動車の動力伝達系において、減速装置(ディファレンシャル)から駆動輪に動力を伝達する動力伝達シャフトは、ドライブシャフト(駆動軸)と呼ばれることがある。特に、FF車に使用されるドライブシャフトでは、前輪操舵時に大きな作動角と等速性が要求され、また、懸架装置との関係で軸方向の変位を吸収する機能が要求されるので、その一端部をダブルオフセット型等速自在継手やトリポード型等速自在継手等の摺動型等速自在継手を介して減速装置側に連結し、その他端部をバーフィールド型等速自在継手(ゼッパジョイントと呼ばれることもある。)等の固定側等速自在継手を介して駆動輪側に連結する機構が多く採用されている。 【0003】 上記のようなドライブシャフトとしては、従来、また現在においても、中実シャフトが多く使用されているが、自動車の軽量化、ドライブシャフトの剛性増大による機能向上、曲げ一次固有振動数のチューニング最適化による車室内の静粛性向上等の観点から、近時では、ドライブシャフトを中空シャフト化する要求が増えてきている。 【0004】 ドライブシャフト等に適用される中空状動力伝達シャフトとしては、例えば、下記の特許文献1〜3に記載されたものが知られている。 【0005】 特許文献1では、中空シャフトの内周表面を軸方向のほぼ全域に亘って熱硬化処理している。この熱硬化処理は、例えば、中空シャフトの外周表面側から高周波焼入れ・焼戻しを行なうことにより、外周表面から内周表面に至る全深さ領域に対して施している(同文献の段落番号0012参照)。 【0006】 特許文献2では、例えば、高周波焼入れ・焼戻しにより、中空シャフトの軸方向のほぼ全域に亘って、外周表面から内周表面に至る全深さ領域に熱硬化処理を施している(同文献の段落番号0012参照)。 【0007】 特許文献3では、中空シャフトの静的強度とねじり疲労強度を中実シャフト以上にするために、中空シャフトを0.7〜0.9の焼入れ率で表面焼入れしている。ここで、焼入れ率は、硬度がHV400以上に焼入れされている外周表面からの焼入れ深さhとシャフトの肉厚tとの比h/t、と定義されている(同文献の段落番号0014参照)。 【特許文献1】特開2002―349538号公報 【特許文献2】特開2002―356742号公報 【特許文献3】特開2003―90325号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 一般に、この種の中空状動力伝達シャフトにおいて、静的ねじり強度等の静的強度を高めるためには、熱処理硬化層の外周表面からの深さを大きくすることが有効である。この点、特許文献1〜2では、中空シャフトの軸方向両側域あるいは軸方向ほぼ全域について、外周表面から内周表面に至る全深さ領域を熱処理硬化させることで(以下、このような熱硬化処理を「全硬化」という。)、中空シャフトの静的強度を最大限に確保している。 【0009】 ところで、この種の中空状動力伝達シャフトは、熱硬化処理時の焼き割れに対する品質管理が厳しく要求される場合が多く、通常、熱硬化処理後に焼き割れ検査を行っている。 【0010】 一般に、外周表面部の焼き割れ検査は比較的容易であるが、内径表面部の焼き割れ検査は技術的に困難であり、通常、超音波探傷等による非破壊検査が主流になる。そのため、検査に多大な費用と工数を要する。 【0011】 一方、特許文献3では、中空シャフトを上記の焼入れ率0.7〜0.9で表面焼入れしており、特許文献1〜2のような全硬化の場合に比べて、内周表面部の硬化硬度が低くなるので、内周表面部における焼き割れ発生の可能性は幾分低減する。すなわち、同文献では、焼入れ時に内周表面の近傍まで加熱しているが、この加熱された内周表面近傍は、シャフト内部の空気層が加熱時に加熱され、かつ、内周表面から空気層への熱伝達率が金属内部の熱伝達効率よりも低いことから、急冷されない、としている(同文献の段落番号0014参照)。しかしながら、焼入れ率が0.7以上であると、加熱された内周表面近傍の熱影響を、シャフト内部の空気層により完全に無くすことは困難である。 【0012】 本発明の課題は、内周表面部の焼き割れ検査を簡略化できる中空状動力伝達シャフトの熱処理方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0013】 上記課題を解決するため、本発明は、軸方向中間部が大径部に形成されると共に、大径部よりも軸方向両側部がそれぞれ小径部に形成された中空状動力伝達シャフトの熱処理方法であって、パイプ素材に塑性加工を施して、大径部と小径部を有する中空状シャフト素材を成形し、中空状シャフト素材の内周部に冷却材を流通させつつ、中空状シャフト素材の外周側から焼入れ処理を施す構成を提供する。 【0014】 上記の塑性加工としては、スウェージング加工やプレス加工等が採用される。前者のスウェージング加工には、ロータリースウェージングとリンクタイプスウェージングがあり、その何れも採用することができる。例えば、ロータリースウェージングは、機内の主軸に組込まれた一対又は複数対のダイスとバッカーとが回転運動を行なうと共に、外周ローラとバッカー上の突起により一定ストロークの上下運動を行なって、挿入されるパイプ素材に打撃を加えて絞り加工を行なう加工法である。また、プレス加工は、パイプ素材をダイスに軸方向に押し込んで絞り加工を行なう加工法である。 【0015】 パイプ素材の材質としては、例えば、STKMやSTMA等の機械構造用炭素鋼、または、それらをベースに加工性や焼入れ性等の改善のために合金元素を添加した合金鋼、あるいは、SCr、SCM、SNCM等のはだ焼鋼を用いることができる。 【0016】 上記の焼入れ処理としては、パイプ素材の材質や動力伝達シャフトに要求される特性等に応じて、高周波焼入れ、浸炭焼入れ、浸炭窒化焼入れ等の種々の手段を採用することができるが、硬化層の範囲や深さを自由に選択でき、また、表面に残留圧縮応力が生成されることによる耐疲れ疲労性の改善等の点から、高周波焼入れを採用するのが好ましい。尚、本明細書において、「焼入れ処理」は、焼入れ後に焼戻しを行なう処理と、焼入れ後に焼戻しを行なわない処理の双方を含む。処理工程の簡素化の観点からは、焼入れのみを行ない、焼戻しは行なわないようにするのが好ましい。 【0017】 所定形状に成形した中空状シャフト素材に対して外周側から焼入れ処理を施すが、その際、中空状シャフト素材の内周部に冷却材を流通させる。冷却材としては、例えば、冷却水を用いることができる。ここでの冷却水には、高周波焼入れ等に用いる焼入冷却水(水溶液等)も含まれる。焼入れ処理時に、中空状シャフト素材の内周表面が冷却材の流れと接触することにより、中空状シャフト素材の内周表面から所定の深さ領域が、未加熱、または、オーステナイト化温度未満の温度で加熱され、あるいは、焼きなましの状態となる。そのため、中空状シャフト素材の外周表面から所定の深さ領域に焼入れ処理による硬化層が形成されると共に、内周表面から所定の深さ領域の内周表面部に焼入れ処理により硬化しない未硬化層が形成される。一般に、焼き割れは、加熱によってオーステナイト化された鋼組織がMs点を通過してマルテンサイトに変態するときに発生するが、未加熱、または、オーステナイト化温度未満の温度で加熱されることによって形成された未硬化層では、マルテンサイト変態が起こらないので、焼き割れが発生しない。この場合、未硬化層の硬度は、焼き入れ処理前の中空状シャフト素材の内周表面部における硬度が同程度に維持された状態になる。また、焼きなましの状態となって形成された未硬化層では、軟化が起こるため、焼き割れが発生しない。この場合、未硬化層の硬度は、熱処理前の中空状シャフト素材の内周表面部における硬度よりも小さくなることがある。 【0018】 この種の中空状動力伝達シャフトは、静的ねじり強度等の静的強度とねじり疲労強度等の動的強度のバランスを確保することが重要である。静的強度を高める観点からは焼入れ深さはできるだけ大きくするのが好ましいが、全硬化にすると、内周表面部の焼き割れの原因となる可能性があり、また、内周表面部の靭性が小さくなることにより動的強度が低下する傾向がある。本発明では、上述のように、焼入れ処理時に、中空状シャフト素材の内周部に冷却材を流通させるので、焼入れ率αを、例えば、0.7以上(α≧0.7)、最大0.9程度と大きくしても、内周面部に上記の未硬化層を形成することが可能である。したがって、本発明によれば、内周面部の焼き割れを防止しつつ、焼入れ率αを可及的に大きくして、動力伝達シャフトの静的強度と動的強度の強度バランスを高めることができる。ここで、焼入れ率αは、HRC40以上の硬度を有する硬化層の外周表面からの深さ(h)と肉厚(t)との比(h/t)である。 【0019】 中空状シャフト素材の内周部に流通させる冷却材の種類、温度、流量は、焼入れ処理の条件や必要とする焼入れ率α等に応じて決めれば良いが、冷却材として冷却水を用いる場合、冷却水の流量を10L/min以上にしたときに好ましい結果が得られることが実験により確認されている。 【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、内周表面部の焼き割れ検査を簡略化できる中空状動力伝達シャフトの熱処理方法を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。 【0022】 図1は、中空状の動力伝達シャフト1と、動力伝達シャフト1の一端部に連結された摺動型等速自在継手2と、動力伝達シャフト1の他端部に連結された固定型等速自在継手3とを備えた自動車の動力伝達機構を示している。この実施形態の動力伝達機構において、摺動型等速自在継手2は減速装置(ディファレンシャル)に連結され、固定型等速自在継手3は駆動輪側に連結される。動力伝達シャフト1の一端部は摺動型等速自在継手2のトリポード部材2aにスプライン連結され、摺動型等速自在継手2の外輪2bの端部外周と動力伝達シャフト1の外周にブーツ2cがそれぞれ固定されている。また、動力伝達シャフト1の他端部は固定型等速自在継手3の内輪3aにスプライン連結され、固定型等速自在継手3の外輪3bの端部外周と動力伝達シャフト1の外周にブーツ3cがそれぞれ固定されている。尚、同図には、摺動型等速自在継手2としてトリポード型等速自在継手が例示され、固定型等速自在継手3としてバーフィールド型等速自在継手が例示されているが、他の型式の等速自在継手が用いられる場合もある。 【0023】 図2は、動力伝達シャフト(ドライブシャフト)1を示している。この動力伝達シャフト1は、軸方向の全域に亘って中空状をなし、軸方向中間部に大径部1a、大径部1aよりも軸方向両側部にそれぞれ小径部1bを有している。大径部1aと小径部1bとは、軸端側に向かって漸次縮径したテーパ部1cを介して連続している。小径部1bは、等速自在継手(2、3)との連結に供される端部側の連結部1dと、ブーツ(2c、3c)が固定される軸方向中間部側のブーツ固定部1eと、連結部1dとブーツ固定部1eとの間の最小径部1fとを有している。連結部1dには、等速自在継手(2、3)にスプライン連結されるスプライン1d1と、等速自在継手(2、3)に対する軸方向抜け止め用の止め輪を装着するための止め輪溝1d2が形成されている。ブーツ固定部1eには、ブーツ(2c、3c)の小径端部の内周を嵌合するための嵌合溝1e1が形成されている。最小径部1fは、内径及び外径が軸方向にほぼ一定であり、軸方向にほぼ均一な形状を有している。 【0024】 また、同図にハッチングを付して示しているように、この動力伝達シャフト1は、止め輪溝1d2の近傍から軸端に至る一部領域を除く、軸方向のほぼ全域Lに亘って、焼入れ処理による硬化層Sを有している。軸方向域Lにおいて、硬化層Sは、外周表面1gから所定深さh0の領域に形成され、硬化層Sから内周表面1iに至る領域は焼入れ処理により硬化していない未硬化層S0になっている。尚、止め輪溝1d2の近傍から軸端に至る一部領域は、焼入れ処理が施されておらず、外周表面1gから内周表面1iに至る全領域が焼入れ処理前の状態のまま残されている。 【0025】 上記構成の動力伝達シャフト1は、例えば、つぎのような態様で製造することができる。まず、機械構造用炭素鋼管(STKM)等のパイプ素材に軸方向全域に亘ってロータリースウェージング加工を施して、軸方向中間部に大径部1a、軸方向両側部に小径部1bを有する中空状シャフト素材を成形する。このようにして成形された中空状シャフト素材には、軸方向全域に亘って、ロータリースウェージング加工による加工硬化と縮径による増肉が認められる。そして、この中空状シャフト素材の小径部1bの端部に転造加工等によってスプライン1d1を成形して連結部1dを形成すると共に、連結部1dに転造加工や切削加工等によって止め輪溝1d2を形成する。また、ブーツ固定部1eとなる部位に転造加工や切削加工等によってブーツ固定溝1e1を形成する。 【0026】 その後、図3に示すように、上記の中空状シャフト素材1’の外周表面1gの側に、例えば移動式の高周波誘導加熱コイル10を配置して、軸方向域Lに対して外周表面1gの側から高周波焼入れを行なう。その際、中空状シャフト素材1’の両端に配管部材11を接続し、配管部材11を介して、中空状シャフト素材1’の内周部に冷却水を流通させる。尚、高周波焼入れは、定置式焼入れの方式で行なっても良い。 【0027】 上記の高周波焼入れにより、中空状シャフト素材1’の外周表面1gから所定深さh0の領域に硬化層Sが形成される。また、上記の高周波焼入れ時に、中空状シャフト素材1’の内周表面1iが冷却水の流れと接触することにより、内周表面1iから所定の深さ領域が、例えば、未加熱又はオーステナイト化温度未満の温度で加熱され、未硬化層S0が形成される。この未硬化層S0の硬度は、例えば、高周波焼入れ前における中空状シャフト素材1’の内周面部の硬度と同程度に維持されている。すなわち、この未硬化層S0は、焼き割れの原因となるマルテンサイトが生成されない組織となる。 【0028】 このようにして製造された動力伝達シャフト1は、外周表面1gから所定の深さ領域h0に高周波焼入れによる硬化層Sを有すると共に、内周表面1iを含む内周面部に高周波焼入れより硬化しない未硬化層S0を有するので、内周面部の焼き割れがなく、内周面部の焼き割れ検査を簡略化できる。また、静的強度と動的強度の強度バランスに優れたものとなる。 【実施例1】 【0029】 機械構造用炭素鋼(STKM)からなるパイプ素材に対してロータリースウェージング加工とその後の機械加工を施して、図3に示す中空状パイプ素材1’と同一形態の中空状パイプ素材を製作し、この中空状パイプ素材に高周波焼入れ(焼入れ率α≧0.7)を施して、実施例と比較例の動力伝達シャフトをそれぞれ作製した。実施例に係る中空状パイプ素材に対しては、高周波焼入れ時に内周部に温度管理された(外周冷却水と同レベルに温度管理された)冷却水を10L/min以上の流量で流通させた。比較例に係る中空状パイプ素材に対しては、通常の高周波焼入れを行ない、内周部への冷却水の流通は行なわなかった。高周波焼入れの条件は、実施例、比較例とも同一条件とした。 【0030】 上記のようにして作製した実施例及び比較例の動力伝達シャフトの最小径部(1f)を切断し、該切断面の硬度分布を測定した。その結果を図4に示す。同図において、横軸は外周表面からの深さと肉厚tとの比率(以下、「深さ比」という。深さ比0は外周表面、深さ比1は内周表面である。)、縦軸はビッカース硬さ(Hv)を表している。焼入れ率αは、ロックウェル硬さHRC40(Hv391)以上の硬度を有する硬化層の深さhと肉厚tとの比率(h/t)で定義され、実施例の動力伝達シャフトではα=0.81(≧0.7)、比較例の動力伝達シャフトではα=0.87(≧0.7)であった。同図に示すように、比較例の動力伝達シャフトでは、所定の深さ比の領域で硬度がほぼ一定の比率で漸減する傾向がみられた。そして、内周表面の近傍の位置では硬度が焼入れ前よりも高くなっており、内周面部に高周波焼入れによる熱硬化の影響がみられた。これに対して、実施例の動力伝達シャフトでは、所定の深さ比の領域で硬度が比較的大きな傾斜で低下し、所定の深さ比の位置から内周表面にかけて硬度がほぼ一定の低い値で推移する傾向がみられた。そして、内周表面の近傍の位置では硬度が焼入れ前と同程度であり、内周面部に高周波焼入れによる硬化の影響がみられなかった。 【実施例2】 【0031】 実施例1と同じ中空状パイプ素材に対して、内周部に冷却水を流通させつつ、高周波焼入れを行なった。高周波焼入れは、高周波焼入れ装置の出力を基準値、基準値−10KW、基準値+10KW、基準値+20KWに設定し、また、冷却水の流量を種々の値に設定して行なった。そして、高周波焼入れ後の動力伝達シャフトの最小径部(1f)を切断し、該切断面の硬度分布を測定して焼入れ率αを求めた。その結果を図5に示す。同図に示すように、冷却水の流量が10L/min未満の場合、出力値によっては、焼入れ率αが1.0(全硬化)になるものがみられたが、10L/min以上の場合は、上記の何れの出力値においても、焼入れ率αが0.8の付近に落ち着くことが確認された。 【図面の簡単な説明】 【0032】 【図1】自動車の動力伝達機構を示す図である。 【図2】実施形態に係る動力伝達シャフトを示す一部断面図である。 【図3】他の実施形態に係る動力伝達シャフトを示す一部断面図である。 【図4】硬度分布を示す図である。 【図5】高周波焼入れ時の出力、冷却水の流量と焼入れ率αとの関係を示す図である。 【符号の説明】 【0033】 1 動力伝達シャフト 1’ 中空状パイプ素材 1a 大径部 1b 小径部 1i 内周表面 1g 外周表面 S 硬化層 S0 未硬化層
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】NTN株式会社 【識別番号】390029089 【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年6月15日(2004.6.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064584 【弁理士】 【氏名又は名称】江原 省吾
【識別番号】100093997 【弁理士】 【氏名又は名称】田中 秀佳
【識別番号】100101616 【弁理士】 【氏名又は名称】白石 吉之
【識別番号】100107423 【弁理士】 【氏名又は名称】城村 邦彦
【識別番号】100120949 【弁理士】 【氏名又は名称】熊野 剛
【識別番号】100121186 【弁理士】 【氏名又は名称】山根 広昭
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| 【公開番号】 |
特開2006−2185(P2006−2185A) |
| 【公開日】 |
平成18年1月5日(2006.1.5) |
| 【出願番号】 |
特願2004−177433(P2004−177433) |
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