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【発明の名称】 |
厚鋼板の熱処理方法および装置 |
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【氏名】日野 善道 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 JFEスチール株式会社内 【氏名】杉岡 正敏 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 JFEスチール株式会社内 【氏名】中野 聖 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 JFEスチール株式会社内 【氏名】竹波 生雄 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 JFEスチール株式会社内 |
【課題】誘導加熱層の損傷を防止するとともに、誘導加熱による厚鋼板の長手方向の弾性変形を低減することができる厚鋼板の熱処理方法および装置を提供する。
【解決手段】熱間圧延された厚鋼板又はそれに引き続いて水冷処理された厚鋼板を誘導加熱装置を用いて加熱することによって熱処理する厚鋼板の熱処理方法において、前記誘導加熱装置2の入側において押えロール3により厚鋼板1を幅方向に部分的又は全体的に押さえて厚鋼板1を弾性変形させた状態で該誘導加熱装置2に装入し加熱する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱間圧延された厚鋼板又はそれに引き続いて水冷処理された厚鋼板を誘導加熱装置を用いて加熱することによって熱処理する厚鋼板の熱処理方法において、 前記誘導加熱装置の入側において押えロールにより厚鋼板を幅方向に部分的又は全体的に押さえて厚鋼板を弾性変形させた状態で該誘導加熱装置に装入し加熱することを特徴とする厚鋼板の熱処理方法。 【請求項2】 厚鋼板の搬送ライン上に少なくとも1台の誘導加熱装置を設置し、該誘導加熱装置の入側に搬送ロールとピンチロールを構成する押えロールを設け、該押えロールの長さを板幅よりも小さくしたことを特徴とする厚鋼板の熱処理装置。 【請求項3】 前記押えロールの形状を中央で太く、両端で小径としたことを特徴とする請求項2記載の厚鋼板の熱処理装置。 【請求項4】 前記押えロールを厚鋼板の幅方向中央部に配置したことを特徴とする請求項2又は3記載の厚鋼板の熱処理装置。 【請求項5】 前記押えロールを厚鋼板の幅方向に複数配置したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の厚鋼板の熱処理装置。 【請求項6】 厚鋼板の搬送ライン上に少なくとも1台の誘導加熱装置を設置し、該誘導加熱装置の入側に搬送ロールとピンチロールを構成する押えロールを設け、該押えロールは、板幅より長く、かつ板幅+4m未満の長さであり、直径が300mm以下であることを特徴とする厚鋼板の熱処理装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、熱間圧延された鋼板、あるいはそれに引き続いて水冷等を施した鋼板、特に厚鋼板の材質調整を行うための熱処理方法および装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、厚鋼板の材質調整は、一般には最高で650℃程度の温度まで加熱することにより行われている。具体的には、圧延された厚鋼板、あるいは圧延に引き続いて水冷を施した厚鋼板を熱処理用の炉に入れることで行われている。しかし、この方法では熱処理炉がバッチ式であるため、生産性が劣ることになる。 これに対して、熱間圧延機の下流側に誘導加熱装置を設置してオンラインで熱間圧延後の厚鋼板を誘導加熱により熱処理することにより生産性を上げる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。 【0003】 【特許文献1】特開昭48−25239号公報 【特許文献2】特開2003−13133号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、生産性を上げるということは、温度の変化が激しくなるため、板の長手方向の温度変化が急峻になり、熱膨張によって板の変形が生じるという問題がある。これは、近年の誘導加熱技術の発展に伴って、板の発熱量、すなわち電力密度が300W/cm2にも達するようになり、長さ方向で1m程度の加熱長で、温度差が200℃も発生するようになったからである。 【0005】 板の変形は、加熱前の板が初期の幅を保とうとするのに対して、加熱後の板が熱膨張で9mm近く広がろうとし、その結果板の内部に圧縮と引張の応力が及ぼし合うために起きる。厚板は一般に4m程度の製品幅を持つため、長手方向1mで10mmを超える寸法差が表裏面に生じると、幅方向にC反りとなって応力が面外変形の形で解放される。このような反りは、数十mm程度の高さになり、例えばソレノイド型の誘導加熱装置の場合には、厚鋼板が誘導加熱装置で加熱中に大きく反ると誘導加熱装置を破損することになる。 これに対しては、誘導加熱装置に近接してピンチロールを設け、このピンチロールで機械的に板を押さえつける方法が考えられる。しかし、ピンチロールで完全に板を平坦に押さえつける方法では、極めて大きな力でピンチロールを押し下げなければならず、機械設備が大型化するだけでなく、加熱によって板の長手方向に温度差による大きな弾性変形が生じて均一加熱ができないという問題がある。 【0006】 本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、誘導加熱層の損傷を防止するとともに、誘導加熱による厚鋼板の長手方向の弾性変形を低減することができる厚鋼板の熱処理方法および装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明に係る厚鋼板の熱処理方法は、熱間圧延された厚鋼板又はそれに引き続いて水冷処理された厚鋼板を誘導加熱装置を用いて加熱することによって熱処理する厚鋼板の熱処理方法において、前記誘導加熱装置の入側において押えロールにより厚鋼板を幅方向に部分的又は全体的に押さえて厚鋼板を弾性変形させた状態で該誘導加熱装置に装入し加熱することを特徴とする。 【0008】 また、本発明に係る厚鋼板の熱処理装置は、厚鋼板の搬送ライン上に少なくとも1台の誘導加熱装置を設置し、該誘導加熱装置の入側に搬送ロールとピンチロールを構成する押えロールを設け、該押えロールの長さを板幅よりも小さくしたことを特徴とする。 【0009】 また、本発明の厚鋼板の熱処理装置において、前記押えロールの形状を中央で太く、両端で小径とするものである。 【0010】 また、本発明の厚鋼板の熱処理装置において、前記押えロールを厚鋼板の幅方向中央部に配置する。 【0011】 また、本発明の厚鋼板の熱処理装置において、前記押えロールを厚鋼板の幅方向に複数配置する。 【0012】 また、本発明の厚鋼板の熱処理装置は、厚鋼板の搬送ライン上に少なくとも1台の誘導加熱装置を設置し、該誘導加熱装置の入側に搬送ロールとピンチロールを構成する押えロールを設け、該押えロールは、板幅より長く、かつ板幅+4m未満の長さであり、直径が300mm以下であることを特徴とする。 【発明の効果】 【0013】 本発明によれば、誘導加熱装置の入側において押えロールにより厚鋼板を幅方向に部分的又は全体的に押さえて厚鋼板を弾性変形させた状態で該誘導加熱装置に装入し加熱することにしたので、誘導加熱装置を損傷させることはない。また、押えロールにより厚鋼板を弾性変形させる程度の押さえ方であるため、押えロールの構造が簡単であるうえに、誘導加熱装置内での反りが小さく、均一な加熱が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。 【0015】 実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1による厚鋼板の熱処理装置の概略側面図である。この熱処理装置は、厚鋼板1の搬送ライン上に1台もしくは複数台の誘導加熱装置2を設置し、各々の誘導加熱装置2の入側、あるいは少なくとも最上流の誘導加熱装置2の入側に、厚鋼板1の幅方向中央部を押さえるロール長の短い押えロール3を搬送ロール4上に設け、この押えロール3と搬送ロール4とでピンチロールを構成するものである。すなわち、押えロール3はロール長を板幅よりも短くし、圧延鋼板1を部分的に押さえ弾性変形させるものである。なお、誘導加熱装置2はソレノイド型のものが用いられる。また、ピンチロールの一方を構成する押えロール3は自由回転するロールであり、他方の搬送ロール4は自由回転ロールでもよく、または駆動ロールでもよい。 【0016】 この実施の形態1では、厚鋼板1は熱間圧延後、あるいはそれに引き続いて水冷を施した後、誘導加熱装置2の入側に設けられた押えロール3により厚鋼板1の幅方向中央部を押さえ、厚鋼板1を弾性変形させた状態で誘導加熱装置2に装入し加熱する。 図2は厚鋼板の変形状態の一例を示す正面図であり、図2(A)のようにピンチロール(押えロール)が無く、厚鋼板1が例えば上に凸状に反った状態で誘導加熱装置2に装入されると、誘導加熱装置2の入口部等に接触し該誘導加熱装置2を損傷させる場合があるが、図2(B)に示す本実施の形態1のようにロール長の短い押えロール3で厚鋼板1の幅方向中央部を押さえ弾性変形させた状態で装入することにより誘導加熱装置2の損傷を防止することができる。さらに、押えロール3はロール長が板幅よりも短く、また軽圧下により厚鋼板1の弾性限度内で幅方向中央部に弾性変形を与えるだけであるから、押えロール3の構造が簡単になるとともに、誘導加熱による長手方向の温度差を小さくすることができるため長手方向の弾性変形が小さくなり、したがって均一な加熱を行うことが可能となる。 【0017】 実施の形態2. 図3は厚鋼板の変形状態の別の例を示す正面図である。厚鋼板1が図3(A)のように下に凸状に反っている場合には、(B)のように誘導加熱装置の入側において搬送ロール4の直上に複数の押えロール3を幅方向に設けるものである。各押えロール3はそれぞれ独立に昇降可能に構成される。昇降手段は図示していないが、公知のものであり、例えばシリンダを用いればよい。 各押えロール3によって厚鋼板1の幅方向を複数箇所で押さえることにより、下に凸状に反った厚鋼板1をほぼ平坦にすることができ、この状態で誘導加熱装置2(図1参照)に装入し加熱することができる。したがって、本実施の形態2でも押えロール3の構造は多少複雑になるものの実施の形態1と同様の効果が得られる。 また、このように独立に昇降可能な押えロール3を複数設けることにより、厚鋼板1が上に凸または下に凸にどのように反っても対応することができる。 【0018】 実施の形態3. 図4は本発明の実施の形態3を示す正面図である。本実施の形態3は押えロール3の形状に関するものであり、熱処理装置の構成としては図1と同様である。実施の形態1及び2では押えロール3として円筒状ロールを用いたが、本実施の形態3では中央部が端部に比べて大径とした中太状ロールを用いたものである。 厚鋼板を押えロール3で押さえる際には、弾性変形範囲内で厚鋼板が誘導加熱装置2を損傷しない程度に平坦に、望ましくは幅方向に均一に近い平坦度として、搬送ロール4と接することによる冷却が幅方向に均一に発生するような力で押さえることが望ましい。このような望ましい力で押さえた場合には、本発明の板幅より狭い押えロール3ではロールの端が厚鋼板に疵を付ける場合がある。このため、押えロール3の端が厚鋼板に疵を発生しないように、中央部を太くしてロール3と厚鋼板1との面圧が局所的に大きくならないように中太形状のロールとしている。したがって、このような中太形状の押えロール3とすることにより、厚鋼板に疵を発生させることはない。 【0019】 実施の形態4. 図5は本発明の実施の形態4における押えロールの作用説明図である。熱処理装置の構成としては図1と同様である。本実施の形態4では押えロール3を板幅よりも長くしたものである。ただし、ロール径を細くしてロールの撓みを利用して厚鋼板1の幅方向を全体的に押さえるものである。図5(A)は比較例であり、押えロール3を径が太く剛性の高いロールとしたものである。このような径が太く剛性の高い押えロール3で厚鋼板1の全幅を押さえ、平坦化させるには大きな力が必要であるが、図5(B)の本実施の形態4のように径の細い剛性の低い押えロール3を用いて厚鋼板1を押さえることにすると、押さえ力は小さな力ですむことになる。厚鋼板1はその全幅を押さえられ、完全に平坦化するのではなく弾性変形させた状態(歪を残した状態)で誘導加熱装置2に装入し加熱される。この細径の押えロール3の直径は300mm以下で、ロール長さは板幅+4m(片側では2m)未満が望ましい。 これは、ピンチロールで厚鋼板を押さえた際に、押えロールが300mmを超えて太く剛性が大きい場合には、押えロールの変形が不足して、元の板の変形が左右で対称でない場合に板を蛇行させてしまうためである。 また、押えロール径を300mm以下にして、板とロールの変形を十分にした場合に、板幅よりもロールが長すぎる場合には、ピンチロールの変形が過大になり、対になる搬送ロールと接触して平坦化が不十分になることによる。 【実施例】 【0020】 次に、本発明の実施例について説明する。 表1に実施例1〜4及び比較例(従来例)で使用した押えロールの寸法、本数、押え力、押えロール部の反り高さ、誘導加熱装置内の反り高さを示す。 【0021】 【表1】
【0022】 熱処理材としての厚鋼板は板厚30mm、幅2.5mで、この板を20mpmで送り、出力約20MW、長さ約1mの誘導加熱装置で加熱した。この誘導加熱装置での温度の上昇量は約160℃であった。 【0023】 押えロールとして、実施例1では長さ500mm、直径300mmの3本の円筒形ロールを用い、実施例2では長さは同じ500mmであるが、直径が中央で300mm、端で260mmと滑らかに径を変化させた中太のロールを用いた。これらの円筒形ロール、中太ロールを実施の形態3に示したように幅方向に3本配置して厚鋼板を押さえることとした。 実施例3と4は、実施の形態4に示したように長さが5000mmと板幅よりも長くしたもので、直径のみ300mmと250mmに変えたもの(1本ロール)を使用した。 また、比較例(従来例)として、比較例1は長さ6500mm、直径250mmの1本ロール、比較例2は長さ3000mm、直径350mmの1本ロールを用いた。 【0024】 表1中の加熱装置内反り高さは、誘導加熱装置の中で、搬送ロールのパスラインから、厚鋼板の最も大きく反り上がった位置を測定した結果を示すものである。 また、押えロール部反り高さは、同様に、押えロールで押さえている位置での最大の反り高さを示す。 実施例1〜4では、押え力を小さなものとすることができている。これは、押えロールの押し付け位置で板が若干の変形を残していれば、押し付け力が小さくてすむということを利用しているからである。 【0025】 しかしながら、実施例1のように押えロールの形状が円筒形である場合には、押えロールの角の跡が板の表面に残る場合が散見された。 そのため、実施例2のように押えロールの形状を、中央で直径300mm、端で260mmとし、滑らかに径を変えるような中太ロールにすることで、ロール跡(表面疵)は発生しなくなった。 【0026】 また、実施例3のように、押えロールを長くし、直径を300mmにし、ロールの変形を利用して押さえることにしても、実施例1、2と同様の効果が得られた。 特に、実施例4のように、直径を250mmまで細くした場合は、ロールの長さが板幅よりも3m長い場合までは加熱装置内の反り高さを小さくできたが、板幅よりも4m長い比較例1では、押えロールが搬送ロールに接触し十分に押さえることができなかった。 ロール径を350mmとした比較例2では反りは十分に押さえることができた。しかし、比較例2で8枚の板を押さえた際に1枚の板の左右が対称でなく蛇行した。同じ形状の板を実施例1で処理したところ、反りは表の通りで、蛇行も発生せず問題はなかった。 【0027】 また、表には示していないが、板の反りが上に凸になる場合には押えロールが1本でも同様の効果があったが、下に凸になる場合は効果がなかった。このような場合には、圧延や冷却、レベラーの方法などにより、予め反りの方向を上に向けて凸であるようにできるので、このような板の予形状を与えておくことで対処できる。 【図面の簡単な説明】 【0028】 【図1】本発明の実施の形態1による厚鋼板の熱処理装置の概略側面図。 【図2】厚鋼板の変形状態の一例を示す正面図。 【図3】本発明の実施の形態2における厚鋼板の変形状態の別の例を示す正面図。 【図4】本発明の実施の形態3を示す正面図。 【図5】本発明の実施の形態4における押えロールの作用説明図。 【符号の説明】 【0029】 1 厚鋼板、2 誘導加熱装置、3 押えロール、4 搬送ロール。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001258 【氏名又は名称】JFEスチール株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
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| 【出願日】 |
平成16年6月15日(2004.6.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085198 【弁理士】 【氏名又は名称】小林 久夫
【識別番号】100098604 【弁理士】 【氏名又は名称】安島 清
【識別番号】100061273 【弁理士】 【氏名又は名称】佐々木 宗治
【識別番号】100070563 【弁理士】 【氏名又は名称】大村 昇
【識別番号】100087620 【弁理士】 【氏名又は名称】高梨 範夫
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| 【公開番号】 |
特開2006−2183(P2006−2183A) |
| 【公開日】 |
平成18年1月5日(2006.1.5) |
| 【出願番号】 |
特願2004−177393(P2004−177393) |
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