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【発明の名称】 廃発泡スチロールの処理方法および装置
【発明者】 【氏名】猪野 栄一
【住所又は居所】神奈川県横浜市南区宿町2−39−2 株式会社オプテイ内

【要約】 【課題】1台の装置で、溶剤と樹脂とポリスチレン樹脂由来の油とをそれぞれ回収することができ、しかも、溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される加熱用釜に過熱水蒸気を吹き込むことにより、釜内を無酸素状態に維持することによって、窒素ガス等の不活性ガスを使用することなく、釜内での溶剤や樹脂の酸化による劣化を防止することができる。

【解決手段】溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲルを加熱用釜1内に投入し、先ず、釜1内においてゲルを溶剤の沸点温度に加熱し、凝縮器18により蒸留して、溶剤を回収し、この後、釜1内のポリスチレン樹脂をその熱分解温度に加熱し、凝縮器18により油化してポリスチレン樹脂由来の油を回収する際に、蒸留工程および油化工程において、釜1内に第1過熱水蒸気発生器11からの過熱水蒸気を吹き込むことにより、釜1内の雰囲気を無酸素状態に維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲルを加熱用釜内に投入し、先ず、前記釜内において前記ゲルを前記溶剤の沸点温度に加熱し、蒸留して、前記溶剤を回収し、この後、前記釜内のポリスチレン樹脂をその熱分解温度に加熱し、油化して前記ポリスチレン樹脂由来の油を回収する際に、前記蒸留工程および前記油化工程において、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込むことにより、前記釜内の雰囲気を無酸素状態に維持することを特徴とする、廃発泡スチロールの処理方法。
【請求項2】
溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲルを加熱用釜内に投入し、先ず、前記釜内において前記ゲルを前記溶剤の沸点温度に加熱し、蒸留して、前記溶剤を回収し、この後、前記釜内からポリスチレン樹脂を排出して回収する際に、前記蒸留工程において、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込むことにより、前記釜内の雰囲気を無酸素状態に維持することを特徴とする、廃発泡スチロールの処理方法。
【請求項3】
前記過熱水蒸気は、前記釜を加熱する際の廃熱を利用して発生させることを特徴とする、請求項1または2記載の、廃発泡スチロールの処理方法。
【請求項4】
前記溶剤は、灯油と工業用キシレンとの混合物からなっていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の、廃発泡スチロールの処理方法。
【請求項5】
溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される加熱用釜と、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込む過熱水蒸気発生器とを備え、前記過熱水蒸気発生器の熱源は、前記釜を加熱する際の廃熱であることを特徴とする、廃発泡スチロールの処理装置。
【請求項6】
前記釜は、底部に付着した残渣を掻き取る攪拌兼用スクレーパーを備え、前記スクレーパーにより掻き取られた残渣は、前記釜の底部の取出口から排出されることを特徴とする、請求項5記載の、廃発泡スチロールの処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
この発明は、廃発泡スチロールの処理方法および装置、特に、溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される加熱用釜に過熱水蒸気を吹き込んで、釜内を無酸素状態に維持することによって、釜内での溶剤や樹脂の酸化による劣化を防止すると共に、気化した溶剤の蒸留および熱分解した樹脂の油化を行う凝縮器内を低圧状態に維持することによって、凝縮器用の吸引ブロワー等の装置を小型化あるいは不要にすることができる、廃発泡スチロールの処理方法および装置に関するものである。
【背景技術】
近年、廃棄物の内、使用済みプラスチック製品の占める割合が大幅に高くなっていることから、使用済みプラスチック製品が焼却設備の劣化やダイオキシン類の発生といった問題の発生原因となっている。また、廃棄物量の増加に伴う廃棄物処分場の確保の問題や、廃棄物処分場に投棄されないプラスチック製品の放置による環境に及ぼす影響の問題がある。
特に、ポリスチレンを発泡剤により発泡させたものからなる発泡スチロールは、軽量で優れた成形性および断熱性を有し、しかも、高い緩衝効果を有していること等から、各種収容箱、食品用トレー、緩衝材等に広く使用されている。従って、再利用が特に要望される廃プラスチックの1つである。
このために、従来から廃発泡スチロールをポリスチレンとして再利用することについての種々の提案がなされている。例えば、特許文献1(特開平8−85735号公報)には、溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲル状発泡スチロールに窒素ガスを混合し、窒素ガス中においてゲル状発泡スチロールを加熱して、ポリスチレンと溶剤とに分離する方法が開示されている。以下、この方法を従来技術1という。
また、特許文献2(特開平11−5865号公報)には、溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、減圧蒸留および薄膜蒸発器を用いて、ポリスチレンと溶剤とに分離する方法が開示されている。以下、この方法を従来技術2という。
【特許文献1】 特開平8−85735号公報
【特許文献2】 特開平11−5865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術1は、窒素ガスを供給する必要があるので、費用がかかる。また、従来技術2は、減圧設備を必要とするので、設備費が高くなる。
従って、この発明の目的は、1台の装置で、溶剤と樹脂とポリスチレン樹脂由来の油とをそれぞれ回収することができ、しかも、窒素ガス等の不活性ガスを使用することなく、釜内での溶剤や樹脂の酸化による劣化を防止することができ、さらに、減圧装置を必要とせず、また、凝縮器用の吸引ブロワー等の装置を小型化あるいは不要にすることによって、設備費を削減することができる、廃発泡スチロールの処理方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲルを加熱用釜内に投入し、先ず、前記釜内において前記ゲルを前記溶剤の沸点温度に加熱し、蒸留して、前記溶剤を回収し、この後、前記釜内のポリスチレン樹脂をその熱分解温度に加熱し、油化して前記ポリスチレン樹脂由来の油を回収する際に、前記蒸留工程および前記油化工程において、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込むことにより、前記釜内の雰囲気を無酸素状態に維持することに特徴を有するものである。
請求項2記載の発明は、溶剤により廃発泡スチロールをゲル化し、このゲルを加熱用釜内に投入し、先ず、前記釜内において前記ゲルを前記溶剤の沸点温度に加熱し、蒸留して、前記溶剤を回収し、この後、前記釜内からポリスチレン樹脂を排出して回収する際に、前記蒸留工程において、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込むことにより、前記釜内の雰囲気を無酸素状態に維持することに特徴を有するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、過熱水蒸気は、加熱用釜を加熱する際の廃熱を利用して発生させることに特徴を有するものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、溶剤は、灯油と工業用キシレンとの混合物からなっていることに特徴を有するものである。
請求項5記載の発明は、溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される加熱用釜と、前記釜内に過熱水蒸気を吹き込む過熱水蒸気発生器とを備え、前記過熱水蒸気発生器の熱源は、前記釜を加熱する際の廃熱であることに特徴を有するものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、加熱用釜は、底部に付着した残渣を掻き取る攪拌兼用スクレーパーを備え、前記スクレーパーにより掻き取られた残渣は、釜の底部の取出口から排出されることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
この発明によれば、1台の装置で、溶剤と樹脂とポリスチレン樹脂由来の油とをそれぞれ回収することができ、しかも、溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される加熱用釜に過熱水蒸気を吹き込むことにより、釜内を無酸素状態に維持することによって、窒素ガス等の不活性ガスを使用することなく、釜内での溶剤や樹脂の酸化による劣化を防止することができる。
また、釜に過熱水蒸気を吹き込むことにより、気化した溶剤の蒸留および熱分解した樹脂の油化を行う凝縮器内を低圧状態に維持することによって、凝縮器用の吸引ブロワー等の装置を小型化あるいは不要にすることができ、かくして、設備費を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
この発明の横架材の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の廃発泡スチロールの処理装置を示す工程図、図2は、この発明の廃発泡スチロールの処理装置における加熱用釜を示す断面図である。
図1および図2において、1は、加熱用釜であり、投入口2から灯油と工業用キシレンとの混合物からなる溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入される。釜1は、耐火材により構成される炉3内に設置され、燃料タンク25からの重油を燃料させるバーナー4によって溶剤の回収工程では約260℃に、そして、ポリスチレン樹脂の熱分解工程では、約450℃にそれぞれ加熱される。
釜1内には攪拌器5が設けられ、溶剤によりゲル化した釜1内の廃発泡スチロールを攪拌する。攪拌器5は、モーター6により回転する垂直回転軸7と、垂直回転軸7の途中に固定された攪拌翼8と垂直回転軸7の下部に固定された攪拌兼用スクレーパー9とからなっている。スクレーパー9は、攪拌器能を有していると共に、逆回転させることによって、釜1の底部に付着した残渣を掻き取る。掻き取られた残渣は、釜1の底部の残渣取出口10から釜1外に排出される。
11は、第1過熱水蒸気発生器である。第1過熱水蒸気発生11は、冷却水入口から供給される冷却水を水管12内に流し、この水管12を炉3の排気管13からの廃熱により加熱して、過熱水蒸気を発生させる。第1過熱水蒸気発生11からの約260℃の過熱水蒸気は、釜1内に吹き込まれて、ゲル化した廃発泡スチロールを加熱に寄与すると共に、釜1内を無酸素状態に維持して、火災の発生および溶剤や樹脂の酸化による劣化を防止する。
14は、第2過熱水蒸気発生器である。第2過熱水蒸気発生器14は、冷却水入口から供給される冷却水を水管15内に流し、この水管15を煙突16から外気に放出される第1過熱水蒸気発生器11からの廃熱により加熱して、過熱水蒸気を発生させる。第2過熱水蒸気発生器14からの約150℃の過熱水蒸気は、攪拌器5における垂直回転軸7の軸受部に送られ、高熱に晒される攪拌器5の軸受部を保護する。
17は、ダストキャッチャーであり、釜1からの蒸気中に含まれているダストを除去する。
18は、凝縮器であり、冷却水入口19から供給される冷却水により、気化した溶剤を蒸留し、この後、熱分解したポリスチレン樹脂を油化する。凝縮器18において熱交換した後の冷却水は、冷却水出口20から排水される。釜1内からの過熱水蒸気が凝縮器18内に入り、冷却され、凝縮すると、凝縮器18内は、低圧状態となるので、釜1内からの過熱水蒸気の吸引作用が生じる。この結果、凝縮器18内に過熱水蒸気を送り込むための吸引ブロワー等の装置を小型化あるいは不要にすることができる。
21は、水分分離器であり、凝縮器18から回収される溶剤と水とを比重差により分離し、この後、凝縮器18から回収される油化したポリスチレン樹脂と水とを比重差により分離する。分離された水は、受水槽22内に送られる。
23は、水分分離器21により分離された溶剤を貯留する溶剤貯留槽であり、24は、水分分離器21により分離されたポリスチレン樹脂由来の油を貯留する溶剤貯留槽である。
このように構成されている、この発明の廃発泡スチロールの処理装置によれば、以下のようにして、廃発泡スチロールが処理される。
投入口2から灯油と工業用キシレンとの混合物からなる溶剤によりゲル化した廃発泡スチロールが投入されると、ゲルは、攪拌器5により攪拌されると共に、バーナー4からの火炎によって約260℃に加熱される。ゲルがこの温度に加熱されると、ゲル中の溶剤が気化し、気化した溶剤は、ダストキャッチャー17を介して過熱水蒸気と共に凝縮器18に送られ蒸留される。このようにして回収された溶剤は、水分分離器21に送られて、水と分離され、溶剤貯留槽23に貯留される。分離水は、受水槽22に送られる。
以上のようにして溶剤の回収が終了したら、釜1を約450℃に加熱して、ゲルを構成するポリスチレン樹脂を熱分解させる。熱分解したポリスチレン樹脂は、ダストキャッチャー17を介して過熱水蒸気と共に凝縮器18に送られ油化される。このようにして回収されたポリスチレン樹脂由来の油は、水分分離器21に送られて、水と分離され、溶剤貯留槽23に貯留される。分離水は、受水槽22に送られる。
過熱水蒸気は、炉3からの廃熱により加熱される第1過熱水蒸気発生器11により発生させるので、省エネルギー化が図られる。第1過熱水蒸気発生器11からの過熱水蒸気より低温の第2過熱水蒸気発生器14からの過熱水蒸気は、攪拌器5の軸受部に送られて、軸受部の熱損傷を防止する。
過熱水蒸気が釜1内に吹き込まれると、釜1内は、無酸素状態に維持されるので、火災の発生および溶剤や樹脂の酸化による劣化が防止される。なお、金1内の圧力は、常圧に維持されている。また、釜1からの過熱水蒸気が凝縮器18内に入り、冷却され、凝縮すると、凝縮器18内は、低圧状態となるので、釜1内からの過熱水蒸気の吸引作用が生じる。この結果、凝縮器18内に過熱水蒸気を送り込むための吸引ブロワー等の装置を小型化あるいは不要にすることができる。
このようにして回収された溶剤は、リサイクル溶剤として、そのまま発泡スチロールをゲル化して減容化する溶剤として使用される。一方、回収された油は、スチレンモノマーおよびダイマー、トリマー等のオリゴマーであり、スチレンモノマーは、ポリスチレン樹脂の原料やFRP樹脂加工用の溶剤として使用され、オリゴマーは、バーナー用燃料として使用される。
なお、油の回収が終了した後は、攪拌器5のスクレーパー9を逆回転させて、釜1の底部に付着した残渣を掻き取り、残渣取出口10から排出する。残渣を掻き取ることによって、釜1の熱伝導率の低下が防止でき、省エネルギー化が図れる。
以上は、溶剤によって減容化したゲル状廃発泡スチロールから溶剤とポリスチレン樹脂由来の油とを回収する場合であるが、溶剤と樹脂と回収する場合には、溶剤を回収した後、釜1内の樹脂を残渣取出口10から取り出す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の廃発泡スチロールの処理装置を示す工程図である。
【図2】 この発明の廃発泡スチロールの処理装置における加熱用釜を示す断面図である。
【符号の説明】
1:加熱用釜
2:投入口
3:炉
4:バーナー
5:攪拌器
6:モーター
7:垂直回転軸
8:攪拌翼
9:攪拌兼用スクレーパー
10:残渣取出口
11:第1過熱水蒸気発生器
12:水管
13:排気管
14:第2過熱水蒸気発生器
15:水管
16:煙突
17:ダストキャッチャー
18:凝縮器
19:冷却水入口
20:冷却水出口
21:水分分離器
22:受水槽
23:溶剤貯留槽
24:油貯留槽
25:燃料タンク
【出願人】 【識別番号】501351151
【氏名又は名称】株式会社オプティ
【住所又は居所】神奈川県横浜市南区宿町2−39−2
【出願日】 平成16年7月2日(2004.7.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−16584(P2006−16584A)
【公開日】 平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願番号】 特願2004−225003(P2004−225003)