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【発明の名称】 抗8−ニトロサイクリックグアノシン3’,5’−一リン酸抗体
【発明者】 【氏名】赤池孝章

【氏名】有本博一

【氏名】芥 照夫

【氏名】佐々本一美

【要約】 【課題】8-ニトロcGMPを高感度に検出するための手段を提供する。

【解決手段】下記の式で表される8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体、及び8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸の糖部分の水酸基と血清蛋白質とが炭素鎖を介して結合した抗原。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式で表される8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体。
【化1】


【請求項2】
ポリクローナル抗体である請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
モノクローナル抗体である請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗体を用いて試料に含まれる8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を酵素免疫学的に測定する方法。
【請求項5】
8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸の糖部分の水酸基と血清蛋白質とが炭素鎖を介して結合した抗原。
【請求項6】
血清蛋白質がアルブミンである請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
血清蛋白質がウシ血清アルブミンである請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の抗原を用いて哺乳類動物を免疫する工程を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の抗体を製造する方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'−一リン酸を認識することができる抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイクリックグアノシン3',5'−一リン酸(以下、「cGMP」と略記する)は、一酸化窒素(NO)やnatiuretic peptidesなどの細胞外からのシグナルを細胞内に伝える細胞内情報伝達分子である。cGMPのレセプター蛋白質としては、これまでcGMP依存的蛋白質リン酸化酵素(プロテインキナーゼG)、cGMP制御チャンネル、cGMP分解酵素(ホスホジエステラーゼ)の存在が解明されており、特にcGMPの情報伝達の初発反応がプロテインキナーゼGの活性化であると考えられている。
【0003】
プロテインキナーゼGは、セリン/スレオニンリン酸化酵素であり、マイクロモル程度のcGMP濃度で活性化される。血管平滑筋細胞においては、プロテインキナーゼGがMLCP (myosin light chain phosphatase) を構成するMBS(myosin-binding subunit)のSer695を含む数箇所をリン酸化し、それにより血管平滑筋細胞が弛緩するものと考えられている。また、プロテインキナーゼGは、小胞体に存在するIP3 receptor-associated cGKI substrate (IRAG)のSer683とSer696(ウシ型)をリン酸化し、IP3で誘導されるCaの小胞体からの放出を阻害する。この他に、Ca依存性Kチャンネル、ATP感受性Kチャンネル、L-, N-, T-型チャンネルがリン酸化により活性化されることが知られており、神経終末におけるCaチャンネルのリン酸化は神経伝達物質の遊離を促進するものと考えられる。ホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)もプロテインキナーゼGによって活性が調節されており、Ser92(ヒト型)がリン酸化されることでcGMPをGMP (グアノシン一リン酸)に分解する。
【0004】
このようにcGMPは情報伝達物質として生体内で重要な役割を担っている。さらに可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化させるニトログリセリンなどのニトロ化剤も細胞内cGMP濃度を上昇させる。これは、ニトロ化剤から発生した一酸化窒素と活性酸素が反応して生じる活性酸化窒素種によって修飾される8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'−一リン酸(以下、「8-ニトロcGMP」と略記する場合がある。)も、細胞膜を通過し細胞内のプロテインキナーゼGを活性化し、細胞内情報伝達機能を担っていると考えられる。さらに炎症部位では誘導型一酸化窒素合成酵素によって、大量の一酸化窒素が発生し、侵入した細菌など異物の排除を行っているが、この際に情報伝達物質であるcGMPも一酸化窒素と活性酸素によって生じた過酸化亜硝酸(パーオキシナイトライト)によってニトロ化反応を受け、8-ニトロcGMPへと変化するものと考えられる。このように、8-ニトロcGMPは炎症性疾患のバイオマーカーとして役割のみならず、cGMPと同様か全く未知の新しい情報伝達物質としての機能を担っていると考えられる。
【0005】
培養細胞や組織試料中に遊離した8-ニトロcGMPを検出する場合には、細胞や蛋白質を加水分解して逆相HPLCで分析することが有効な方法であると考えられるが、実際の生体試料で8-ニトロcGMP検出した報告はない。これは、HPLCで分析するためには、煩雑な蛋白質加水分解処理や夾雑物の除去などの問題点があり、さらにHPLC分析では1検体ごとの分析であるために多検体処理に不向きであるという問題点があるためと考えられる。一方、血中や尿中に生じた8-ニトロcGMPを迅速に多検体処理によって分析定量するためには8-ニトロcGMPに対する抗体を利用した酵素免疫測定法(ELISA法)が有利であると考えられ、ELISA法によって各種組織や細胞中に存在する炎症性バイオマーカーである8-ニトロcGMPを解析することができることが期待される。抗8-ニトロcGMP抗体を用いて組織や培養細胞を免疫組織化学的染色を行うことによって、組織や細胞中に生じた8-ニトロcGMPの局在を染色画像として可視化することができ、炎症性疾患の発症機構の解明のみならず、8-ニトロcGMPの情報伝達機構の解明に役立つと期待される。
【0006】
もっとも、従来、8-ニトロcGMPを認識する抗体は提供されておらず、ELISA法による8-ニトロcGMPの測定方法は利用できない。これは、8-ニトロcGMP自体には抗原性がないことが原因である。このように抗原性のない物質を抗原として利用して抗体を製造する手段として、該物質を血清蛋白質に結合させて抗原として利用する方法が知られている。しかしながら、8-ニトロcGMPにはアミノ基やカルボキシル基などの反応性官能基がないため、この物質を血清蛋白質に結合することはできないという問題がある。
なお、8ーニトログアニンを認識する抗体及びその製造方法が知られているが(WO 03/99869)、この抗体は8-ニトロcGMPを認識するものではない。
【特許文献1】国際公開WO 03/99869
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は8-ニトロcGMPを高感度に検出するための手段を提供することにある。より具体的には、8-ニトロcGMPを簡便かつ確実に測定することができ、生体内における8-ニトロcGMPの局在性を明らかにするための手段として、及びELISA法によって同時に多数の試料中の8-ニトロcGMP量を測定する手段として8-ニトロcGMPを認識する抗体を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、8-ニトロcGMPを含む特定の抗原蛋白を用いることにより8-ニトロcGMPを認識する抗体を製造できることを見出し、同抗原蛋白を用いて8-ニトロcGMPを特異的に認識するポリクローナル及びモノクローナル抗体を製造することに成功し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明により、下記の式で表される8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体が提供される。
【化1】


上記発明の好ましい態様によれば、ポリクローナル抗体である上記抗体、及びモノクローナル抗体である上記抗体が提供される。さらに本発明により、上記の抗体を用いて生体試料又は細胞培養試料に含まれる8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を測定する方法が提供される。
【0010】
また、本発明により、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸を認識する抗体の製造のために用いる抗原であって、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸が結合した血清蛋白質を含み、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸の糖部分が炭素鎖を介して血清蛋白質に結合した抗原が提供される。上記発明の好ましい態様によれば、8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸の糖部分の水酸基と血清蛋白質とが炭素鎖を介して結合した上記抗原、血清蛋白質がアルブミン、より好ましくはウシ血清アルブミンである上記の抗原が提供される。
さらに、上記抗原を用いて哺乳類動物を免疫する工程を含む上記抗体の製造方法が本発明により提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により提供される8-ニトロcGMPを認識する抗体を用いることにより、生体試料や細胞培養試料中に含まれる8-ニトロcGMPを簡便かつ確実に測定することができる。この抗体を用いることにより、生体内における8-ニトロcGMPの局在性を明らかにすることができ、ELISA法によって同時に多数の試料中の8-ニトロcGMP量を測定することができる。また、本発明により提供される抗原により、8-ニトロcGMPを認識する抗体を簡便に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の抗体の製造方法は特に限定されないが、例えば8-ニトロcGMPが結合した血清蛋白質、好ましくは8-ニトロcGMPが結合した血清アルブミンを含む抗原を用いることが望ましい。この抗原の製造方法は特に限定されないが、水溶液中でコハク酸無水物及びトリエチルアミンのような塩基性物質を添加することで容易に製造できる。
【0013】
8-ニトロcGMPを結合する蛋白質としては、一般的に抗原性のない血清蛋白質であればいかなるものを用いてもよい。例えばヒト血清アルブミン(HSA)のほか、ウシ血清アルブミン(BSA)やウサギ血清アルブミン(RSA)など他の哺乳動物の血清アルブミン、卵白アルブミン(OVA)、キーホールリムペットヘモシアニン(KLH)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。これらのうちBSAがもっとも好ましい。
【0014】
核酸塩基である8-ニトロcGMPはその構造上化学修飾ができる部位が限られている。容易に反応できる3位のアミノ基は水素結合によって核酸塩基の認識部位としての重要な役割を担っていると考えられるため、8-ニトロcGMPのグアニンの3位のアミノ基を介して血清アルブミンに結合させた抗原を用いても、8-ニトロcGMPを認識する抗体を製造するのは困難である。一方、8-ニトロcGMPの糖部分を血清蛋白質に結合させることにより、8-ニトロcGMPの核酸塩基である8-ニトログアノシンと糖部分の重要な構造である環状リン酸部位がそのまま保存された抗原を得ることができ、これを用いて哺乳類動物を免疫することにより、抗8-ニトロcGMP抗体を効率よく得ることができる。
【0015】
8-ニトロcGMPの糖部分を血清蛋白質に結合させる手段は特に限定されないが、糖部分が炭素鎖を介して血清蛋白質に結合していることが望ましい。リンカーとして作用する炭素鎖の導入のためには、例えば、糖部分に存在する遊離の水酸基(2'-位水酸基)をサクシニル化する方法などが挙げられるが、この方法に限定されることはない。炭素鎖としては、無置換又は置換のアルキレン基、無置換又は置換のアルケニレン基などを挙げることができ、炭素鎖は直鎖状又は分枝鎖状のいずれであってもよく、不飽和結合を1個又は2個以上含んでいてもよい。炭素鎖の直鎖部分(上記水酸基と血清蛋白質の反応性官能基とを最小個数で結ぶ炭素鎖のことである)を構成する炭素原子の個数は特に限定されないが、例えば1〜20個程度、好ましくは2〜10個程度、さらに好ましくは3〜6個程度である。特に好ましくは4個である。
【0016】
炭素鎖中には1個又は2個以上のヘテロ原子(酸素原子、窒素原子、硫黄原子など)が存在していてもよい。炭素鎖上に存在可能な置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、オキソ基、水酸基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。血清蛋白質との反応のために、炭素鎖の末端には反応性官能基が存在する必要があるが、例えば、反応性官能基としてはアミノ基又はカルボキシル基などを利用できる。例えば、炭素鎖末端の反応性官能基がカルボキシル基である場合には、血清蛋白質に存在するカルボキシル基やアミノ基との結合を形成することにより、該炭素鎖を介して8-ニトロcGMPの糖部分を血清蛋白質に結合させることができる。上記の結合は、例えば、脱水縮合剤などを用いることにより効率的に行なうことが可能であるが、蛋白質の化学修飾のために用いられる脱水縮合剤が多数知られているので(例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド:WSCなど)、当業者は血清蛋白質の種類、反応性官能基、又は反応条件などの種々の要因に応じて適宜の試薬を選択することが可能である。
【0017】
本発明の抗体は前記の抗原をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの溶媒に溶解し、この溶液を動物に投与して免疫することにより容易に製造できる。必要に応じて上記溶液に適宜アジュバントを添加した後、エマルジョンを用いて免疫を行ってもよい。アジュバントとしては、油中水型乳剤、水中油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、又は水酸化アルミニウムゲルなどのアジュバントの他、生体成分由来の蛋白質やペプチド性物質などを用いてもよい。例えば、フロイントの不完全アジュバント又はフロイントの完全アジュバントなどを好適に用いることができる。アジュバントの投与経路、投与量、又は投与時期は特に限定されないが、所望の免疫応答を増強できるように適宜選択することが望ましい。
【0018】
免疫に用いる動物の種類も特に限定されず、例えばマウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどを用いることができるが、好ましくは日本白色種ウサギ(Japanese White Rabbit)を用いることができ、この他にもNZWウサギ(New Zealand White Rabbit)など抗体作製用に用いられているウサギなど種々の動物を用いることが可能である。動物の免疫は当業界で利用可能な方法に従って行えばよく、例えば抗原溶液、好ましくはアジュバントとの混合物を哺乳動物の皮下、皮内、静脈、又は腹腔内に注射することにより免疫を行うことができる。免疫応答は一般的に免疫される哺乳動物の種類及び系統によって異なるので免疫スケジュールは使用される動物に応じて適宜設定することが望ましい。抗原投与は最初の免疫後に何回か繰り返し行うことが好ましい。
【0019】
例えば、初回免疫として前記抗原をPBSに溶解させた溶液とフロイント完全アジュバントとによって得られたエマルジョンを用いて行い、2回目以降の免疫は、前記抗原をPBSに溶解させたものとフロイント不完全アジュバントとを混合することによって得られたエマルジョンを用いて行うことが望ましい。初回免疫では、免疫反応を誘発させるため、菌体が含まれているフロイント完全アジュバントを用いることが有利であり、2回目以降の追加免疫は、新たに抗体を作るのではなく、初回免疫の時にすでに発現し、B細胞に記憶されている抗体を増やすことを目的とするものであるためフロイント不完全アジュバントを用いることが有利である。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫と追加免疫との間隔も特に限定されない。例えば、初回免疫は抗体を産出させるためのものであり、通常最初に抗原を注射してから4〜5日で抗体が血中に現れ、次第に量が増大して10日前後にピークとなることから初回免疫から最初の追加免疫までは2週間以上おくことが好ましい。
【0020】
免疫された動物の血清から本発明の抗体を取得することができるが、その方法は特に限定されず、当業者に利用可能な方法であればいかなる方法を用いてもよい。抗体の精製は例えばDEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画法、PEG分画法、エタノール分画法などを適宜組み合わせて行うことができる。抗体が8-ニトロcGMPを認識するか否か、あるいはその反応が特異的であるか否かについても当業者に周知の方法を利用して容易に確認することが可能である。本明細書の実施例には本発明のポリクローナル抗体の製造方法について、動物の免疫方法、抗体の精製方法及び抗体の特性の確認方法が具体的に説明されているので当業者は上記の一般的説明及び実施例の具体的方法を参照しつつ、必要に応じて該方法に適宜の修飾ないし改変を加えることにより、本発明の抗体を容易に製造することが可能である。
【0021】
本発明の抗体としては、8-ニトロcGMP及びこれを結合した蛋白質に反応し、グアニン、グアノシン、サイクリックグアノシン3',5'−一リン酸(cGMP)、グアノシン二リン酸(GDP)、グアノシン三リン酸(GTP)やその他の核酸塩基、及びその誘導体、並びにそれらを結合した蛋白質に反応しない抗体や、例えばニトロ基の置換位置の異なるニトログアニンの異性体及びその3',5'-サイクリック一リン酸誘導体と8-ニトロcGMPとを識別できる抗体を好ましく用いることができる。本発明の抗体が8-ニトロcGMPを特異的に認識するとは、上記に一例を示したように抗体が他の物質に比べて8-ニトロcGMPに対して部分的ないし完全な選択性を有することを意味しているが、この語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならない。本発明の抗体としては、免疫した動物のリンパ球を用いて製造したハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を本発明の抗体として用いてもよい。本発明の抗体としては上記の性質を有するポリクローナル抗体を好適に用いることができるが、上記の性質を有するモノクローナル抗体も好ましい。
【0022】
モノクローナル抗体の製造方法については当業界で周知であり、かつ汎用されているので、当業者は上記の抗原を用いることによって8-ニトロcGMPを認識するモノクローナル抗体を容易に製造することが可能である。(例えばAntibodies, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988) 第6章などを参照のこと)。抗体産生細胞の調製に用いる哺乳動物の種類は特に限定されないが、例えばマウス、ラット、ウシ、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどが挙げられ、好ましくはマウス、ラット、ウサギのげっ歯類であり、より好ましくはマウスを用いることができる。例えばBALB/c系統のマウスはハイブリドーマ作製時に同系統で確立された骨髄腫由来細胞株を用いることができるので好ましい。
【0023】
最終免疫後、免疫した哺乳動物から脾臓細胞を摘出し、骨髄腫由来の細胞株と細胞融合することによりハイブリドーマを産生することができる。細胞融合には増殖能力の高い免疫産生細胞株を用いることが好ましく、また骨髄腫由来の細胞株は融合する免疫産生細胞に由来する哺乳動物と適合性があることが好ましい。細胞融合は当該分野で公知の方法に従って行うことができるが、例えばポリエチレングリコール法、センダイウイルスを用いた方法、電流を利用する方法などを採用することができる。得られたハイブリドーマは当業界で汎用の条件にしたがって増殖させることができ、産生される抗体の性質を確認しつつ所望のハイブリドーマを選択することができる。ハイブリドーマのクローニングは例えば限界希釈法や軟寒天法など周知の方法により行うことができる。
【0024】
所望の性能を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、産生される抗体と8-ニトロcGMPの結合能をELISA法、RIA法、蛍光抗体法などの方法でアッセイすることにより確認することができる。上記のようにして選別されたハイブリドーマを大量培養することにより、8-ニトロcGMPに対して特異的に反応するモノクローナル抗体を製造することができる。大量培養の方法は特に限定されないが、例えばハイブリドーマを適宜の培地中で培養してモノクローナル抗体を培地中に産生させる方法や、哺乳動物の腹腔内にハイブリドーマを注射して増殖させ、腹水中に抗体を産生させる方法などを挙げることができる。モノクローナル抗体の精製はDEAE陰イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、硫酸アンモニウム分画法、PEG法、エタノール分画法などを適宜組み合わせて行うことができる。
【0025】
本発明の抗体としては抗体のフラグメントやキメラ抗体を用いることも可能である。抗体の断片としては機能性の断片であることが好ましく、例えばF(ab')2、Fab'などが挙げられる。このような断片は8-ニトロcGMPを認識する抗体を蛋白質分解酵素(例えばペプシン又はパパイン等)で処理することにより製造できる。また本発明のモノクローナル抗体は、固相担体などの不溶性担体上に固定された固定化抗体として、あるいは標識物質で標識した標識抗体としても使用することができる。このような固定化抗体や標識抗体はいずれも本発明の範囲に包含される。
【0026】
例えば、不溶性担体にモノクローナル抗体を物理的に吸着させ、あるいは化学的に結合させることにより固定化抗体を製造することができる。不溶性担体としてはポリスチレン樹脂などの高分子基材、ガラスなどの無機基材、セルロースやアガロースなどの多糖類基材などからなる不溶性担体を用いることができる。不溶性担体の形状は特に限定されず、板状、ビーズ状など任意の形状を選択できる。
【0027】
標識抗体を製造するための標識物質としては、例えば酵素、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、又は放射性同位体などが挙げられる。標識物質と抗体との結合法としては、当業者に利用可能なグルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジンジスルフィド法、コハク酸活性エステル法などの方法を用いることができる。もっとも、固定化抗体や標識抗体の種類、及びそれらの製造方法は上記の例に限定されることはない。例えば、標識抗体の検出のために酵素、化学発光物質、ビオチン、及びアビジンをさらに1種以上の他の物質と反応させることにより生じるシグナルを検出する方法は当業者に周知であり、本発明の抗体の検出のために好ましく用いられる。例えば、酵素の場合には基質を用いて酵素活性を測定する方法を用いることができ、ビオチンの場合は少なくともアビジンあるいは酵素修飾アビジンを反応させるのが一般的である。
【0028】
本発明の抗体を用いて8-ニトロcGMPを測定することができる。例えば、本発明の抗体を用いて生体組織中に生成した8-ニトロcGMPを測定することができ、8-ニトロcGMPが存在している生体内で血管の弛緩、情報伝達に関与している部位を容易に特定することが可能になる。本明細書において「測定」という用語は検出及び定量などを含めて最も広義に解釈する必要があり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
【0029】
例えば、本発明の抗体を用いてヒトから分離・採取した生体試料に含まれる8-ニトロcGMPを測定することができる。ヒトから分離した生体試料の種類は特に限定されないが、例えば、血液、血清、血漿、リンパ球培養上清、尿、髄液、唾液、汗、腹水、羊水、又は細胞若しくは臓器の抽出液などの液体試料のほか、手術により除去された組織や細胞などを測定対象とすることができる。測定は公知の方法(例えば、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイー技術と応用―」、臨床病理刊行会、1983年、石川榮治ら編「酵素免疫測定法」、第3版、医学書院、1987年、北川常廣ら編「蛋白質酵素核酸別冊No.31酵素免疫測定法」、共立出版、1987年などに記載の方法)により行うことができる。また、本発明の抗体を用いて、培養細胞を含む試料から8-ニトロcGMPを測定することもできる。もっとも、本発明の抗体を用いた8-ニトロcGMPの測定法及び測定対象物は上記に例示したものに限定されることはなく、当業者が目的に応じて適宜選択可であることは言うまでもない。本明細書の実施例には具体的測定方法が示されているので、当業者は実施例の方法を参照しつつ、必要に応じて該方法に適宜の修飾ないし改変を加えることにより、生体試料に含まれる8-ニトロcGMPを簡便かつ確実に測定することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1:8-ニトロcGMPのサクシニル化
【化2】


8-ニトロcGMP(15.7 mg, 0.04 mmol )水溶液(1.5 ml)に室温でトリエチルアミン(0.177 ml, 1.28 mmol)、無水コハク酸(64.0 mg, 0.644 mmol) を順に加えて、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、凍結乾燥した。得られた黄色の粗生成物を水に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(Develosil RP AQUEOUS (野村化学), φ20 mm× 250 mm, メタノール:水 (0.1% TFA)=30:70) により精製し、11.5 mg(収率59%)の2'-サクシニル-8-ニトロサイクリックグアノシン3',5'-一リン酸(2'-サクシニル-8-ニトロcGMP)を黄色固体として得た。
MS (ESI, negative):計算値 C14H15N6O12P([M-H]-): 489.04、実測値489.74
1H-NMR (400MHz, DMSO-d6): δ: 2.50-2.67 (4H, m), 4.09 (1H, ddd, J= 4.6, 9.5 Hz), 4.27 (1H, t, J= 9.5 Hz), 4.49 (1H, m), 5.21 (1H, dd, J= 5.9, 9.5 Hz), 5.93 (1H, d, J= 5.9 Hz), 6.49(1H, s), 7.11(2H, br s), 11.4(1H,s)
【0031】
例2:8-ニトロcGMP結合ウシ血清アルブミン(8-ニトロcGMP-BSA)の作製
0.1 M 2-(n-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES;同仁化学製)(pH 5.5)に溶解した 10 mg/ml ウシ血清アルブミン(BSA, Sigma社)及び4.7 mg/mlの2'-サクシニル-8-ニトロcGMPをそれぞれ300μl混合した溶液に10 mg/mlの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(WSC;同仁化学製) 150μlを添加し、遮光して攪拌しながら室温で16時間反応後、15,000 ×g、4℃、10分間遠心し上清を回収した。回収した上清をPBSにて4℃で一晩透析を行った。得られた8-ニトロcGMP-BSAをBCA 法にて蛋白定量し、抗原とした。
【0032】
例3:ウサギポリクローナル抗体の作製
8-ニトロcGMP-BSAを蛋白濃度として1 mg/mlなるようにPBSに溶解した。この溶液1 mlを注射器にとり、フロイント完全アジュバント 1mlを更にとり、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として日本白色種ウサギ2羽を採用し、当該ウサギの背部皮下に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。2週間後、同じく前記例1の抗原を1mg/mlとなるようにPBSに溶解させたもの1mlとフロイント不完全アジュバント 1 mlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによってエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を2週間ごとに繰り返した。2回免疫及び3回免疫の各1週間後に少量採血し、抗体の産生を8-ニトロcGMP-BSAに対して抗体が反応するかをドットブロッティング法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫と追加免疫との間隔は、この実施例においては共に2週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。ただし、初回免疫は、抗体を産出させるためのものであり、通常、最初に抗原を注射してから4から5日で抗体が血中に現れ、次第に量が増大して10日前後にピークとなることから、初回免疫から最初の追加免疫までは2週間以上おくことが好ましい。また、追加免疫は、前記抗体をたくさん作らせるために行うものであるが、追加免疫後、すぐには抗体は増加しないので、追加免疫後1週間おいてから採血し、採血後1週間おいてから次回の追加免疫を行うこととした。
【0033】
前記の確認によってポリクローナル抗体の産出が一定になったところで(2週間前と比較してポリクローナル抗体の産出に変動が生じなくなったところで、すなわち、ある追加免疫の1週間後に確認された抗体の産出と、当該追加免疫の2週間後に行われた次の追加免疫の1週間後に確認された抗体の産出が同一になったところで)、該当ウサギ2羽から採血し、この血液より血清を得た後、当該血清より本発明のポリクローナル抗体を得た。
前記のように免疫した日本白色種ウサギの血液から本発明のポリクローナル抗体を得る工程は以下のように行った。まず日本白色種ウサギの心臓より大量採血を行い、37℃で1時間保温した後、4℃で一晩静置した。これを毎分3,000回転で10分間遠心し、上清を得た。その後以下に述べるアフィニティカラムを用いて抗体を精製した。
【0034】
まず、抗体を飽和硫酸アンモニウム溶液で分画をおこなった。硫安沈殿後の抗体溶液を 10mM Tris-HCl(pH 7.0), 10 mM NaClに溶解し、さらに同緩衝液にて一晩透析をおこなった。この血清溶液2mlをmelon gel kit (PIERCE社製)を用いて抗体蛋白を精製した。具体的にはゲル500μlに対して抗体溶液100μlをスピンカラムに分注し、遠心にて素通り画分を回収し、5.4 mg/mlのIgG画分を1.6 ml回収した。さらに、HiTrap NHS-activated HP (Amersham Biosciences社製 )(1 ml容量)にウシ血清アルブミン(BSA)を結合したBSA結合カラムを同社のプロトコールに従って作製し、これに前記のIgG画分1 mlを通して、ポリクローナル抗体中に混在する抗BSA抗体を吸着除去した。また、cGMP-BSAを結合したカラムをActivated Thiol Sepharose 4B (Amersham Biosciences社) を用いて、BSAのSH基を利用して同社のプロトコールに従って作製し、これに前記のIgG画分を通して、ポリクローナル抗体中に混在する抗cGMP-BSA抗体を吸着除去した。
【0035】
なお、本発明の8-ニトロcGMPを検出するポリクローナル抗体は、前記の免疫した日本白色種ウサギの血液を凝固させた血清の中に含まれているので、この血清の中から本発明のポリクローナル抗体を得る工程は、前述したものに限られない。ただし、前記方法のようにアフィニティ精製を行うと、種々の特性を有する抗体の中から特に8-ニトロcGMPを強く認識する抗体を選択することができ、より付加価値を高めることができるという利点がある。また、抗体以外の血清中に含まれているアルブミンなどの種々の成分を取り除くことができ、バックグラウンドの低い実験結果が得られるという利点もある。
【0036】
例4:ドットブロッティング
8-ニトロcGMPを認識する抗体(以下、「抗8-ニトロcGMP抗体」と呼ぶことがある。)が生成していることの証明としてcGMP-BSA、8-ニトロcGMP-BSAを抗原としたドットブロッティングを行った。すなわち、抗原タンパク質としてcGMP-BSA 0.3μg/drop もしくは8-ニトロcGMP-BSA 0.3μg/dropをポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜(Millipore社製)に吸着させ、5% スキムミルク(Becton Dickinson社)、0.1% Tween20、 0.9% NaCl、100 mM Tris-HCl(pH 7.5)(以下ブロッキングバッファー)を用いて室温で1時間ブロッキングを行った。続いて、ブロッキングバッファーで1μg/mlに希釈した抗8-ニトロcGMP抗体1mlと4℃で一晩反応した。反応後、ブロッキングバッファーで3回洗浄し、同バッファーで3,000倍希釈したHRP標識抗ウサギヤギ抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)と室温で1時間反応した後、膜をブロッキングバッファーで2回、さらに0.1% Tween20、 0.9% NaCl、100 mM Tris-HCl(pH 7.5)で回洗浄した。検出はECL plus Western Blotting Detection System(Amersham Biosciences社製)を用いた化学発光法により行い、Hyperfilm ECL(Amersham Biosciences社製)に2秒間露光した。フィルムはFPM800A(FUJI FILM社製)にて現像した。結果を図1に示す。精製した抗体が8-ニトロcGMPのみを特異的に認識する抗体であることが確認できた。
【0037】
例5:マウスモノクローナル抗体の作製
例1で得た抗原を1mg/mlとなるようにPBSに溶解させた。この溶液150μlと生理食塩水350μlを注射器にとり、フロイント完全アジュバント 500μlを更にとり、別の注射器と連結させ、これを交互に動かすことによりエマルジョンを作製した。抗体作製用の動物として雌5週齢BALB/cマウス3匹を採用し、当該マウスの背部皮内に数カ所、このエマルジョンを注射した(初回免疫)。3週間後、同抗原を1mg/ml、90μl、生理食塩水410μlとフロイント不完全アジュバント 500μlとを用い、前記のように注射器を交互に動かすことによってエマルジョンを作製し、これを注射し、追加免疫とした。この追加免疫を1週間ごとに繰り返した。初回免疫から7週間後にマウス尾部より少量採血し、抗体の産生を8-ニトロcGMP-BSAに対するELISA法によって確認した。初回免疫から追加免疫までの間隔、追加免疫と追加免疫との間隔は、この実施例においては、2週間、1週間としたが、このような間隔で追加免疫を行うことに限定されるものではない。
【0038】
前記の確認によってモノクローナル抗体の産出が一定になったところで、50μg/匹の8-ニトロcGMP-BSAを腹腔内に注射した。3日後、該当マウスの脾臓を摘出した。脾臓細胞をマウスミエローマ細胞P3U1と混合しポリエチレングリコールによって細胞融合を行い、ハイブリドーマを作製した。得られたハイブリドーマをアミノプテリン、ヒポキサンチン、チミジンを含む10%ウシ胎児血清含有RPMI培地(HAT培地)中で培養した。7日後に培養上清を用いてスクリーニングを行った。スクリーニングの方法は8-ニトロcGMP-BSAに陽性でcGMP-BSA及びBSAに陰性な細胞24株を選択した。さらにRPMI培地中で10日培養してスクリーニングを繰り返し、限界希釈法でサブクローニングすることでモノクローナル抗体産生細胞系を樹立した。これらの抗体産生細胞をあらかじめプリスタンを投与して免疫抑制したBALB/cマウスの腹腔に移植した。得られた腹水をジエチルアミノエチルセルロースイオン交換樹脂を用いて、50〜100 mMの塩化ナトリウムを含む10 mM Tris-HCl (pH 8.0)で分画して精製し、本発明のモノクローナル抗体を得た。
【0039】
例6:モノクローナル抗体を用いた直接法ELISA
8-ニトロcGMP-BSA、cGMP-BSA又は8-ニトログアノシン-BSAをそれぞれ50 mM 炭酸塩緩衝液(pH 9.7)に溶解して各5μg/mlとし、これらの溶液を0.1 mlずつ96穴マイクロタイタープレートの各ウェルに入れ、室温で1時間静置して固相化した。0.05% Tween 20を含むPBS(PBS-T)0.4 mlで3回洗浄した後、各ウェルに0.5% gelatinを含む50 mM 炭酸塩緩衝液(pH 9.7)0.2 mlを加え室温で1時間静置し、以後の非特異的な吸着を防ぐためにブロックした。各ウェルをPBS-Tで3回洗浄後、抗8-ニトロcGMP抗体産生細胞培養上清0.1 mlを加え室温で1時間インキュベートした。PBS-Tで3回洗浄し、HRP標識抗マウスヤギIgG抗体をPBS-Tで5,000倍希釈したもの0.1 mlを加えてさらに1時間静置した後、ウェルをPBS-Tで4回洗浄し、過酸化水素水0.6μlを含む1,2-フェニレンジアミン(0.55 mg/ml) 0.1 mlで発色させた。0.1 mlの1 mol/l 硫酸で発色を停止し、490 nmの吸光度をELISAプレートリーダーで測定した。
【0040】
結果を図2に表す。本発明のモノクローナル抗体は8-ニトロcGMPと強く反応し、8-ニトログアノシン及びcGMPとは全く反応しなかった。この試験によって、本発明のモノクローナル抗体は8-ニトロcGMPとのみ反応し、cGMPなどの正常な核酸塩基とは反応せず、さらに8-ニトロcGMPの核酸塩基部位のみである8-ニトログアノシンとも反応しないことが示された。また、本発明のモノクローナル抗体は、8-ニトログアノシンに環状リン酸構造が結合した8-ニトロcGMPとのみ反応することから8-ニトログアノシン部位と環状リン酸構造の両方を同時に認識していることが確認された。
【0041】
例7:モノクローナル抗体を用いた競合ELISA法
次に競合ELISA法を用いて本抗体の認識構造(エピトープ)が8-ニトロcGMPであることを8-ニトロcGMPの類縁体との交差反応により検討した。競合ELISA法では被検物質を蛋白質に固相化する必要がなく、低分子の被検物質をそのままELISA系に添加することで抗原抗体反応の有無を検出できため、通常は蛋白質に結合することが難しい核酸塩基構造だけでも検討することができ、より詳細な類似構造への交差反応の有無が検出できる。被検物質としては8-ニトロcGMPのほか、cAMP、ニトロキサンチン、グアノシン、8-ニトログアノシンを競合物質として用いた。
【0042】
実施例6で述べた方法と同様に8-ニトロcGMP-BSA 1μg/mlとした溶液100μlずつをELISAプレートに添加し室温で2時間静置して固相化した。0.05% Tween 20を含むPBS(PBS-T)0.4 mlで3回洗浄した後、各ウェルに0.5% gelatinを含む50mM 炭酸塩緩衝液(pH 9.7) 200μlを加え室温で1時間静置し、以後の非特異的な抗体の吸着を防ぐためにブロックした。各ウェルをPBS-Tで3回洗浄後、予め抗8-ニトロcGMP抗体産生細胞の培養上清0.05 mlと競合物質を100μMから順次種々の濃度でPBS-Tに溶解したもの0.05 mlを混合して室温で1時間攪拌したもの各100μlを加え室温で1時間静置した。ウェルを同様にPBS-Tで3回洗浄し、HRP標識抗マウスヤギIgG抗体をPBS-Tで5,000倍希釈したもの100μlを加えてさらに1時間静置した後、過酸化水素水0.6μlを含む1,2-フェニレンジアミン0.55 mg/ml クエン酸−リン酸カリウム緩衝液(pH 5.0)100μlで発色させた。100μlの1 mol/l 硫酸を加えて発色を停止し、490 nmの吸光度をELISAプレートリーダーで測定した。この結果、本発明のモノクローナル抗体はcAMP、グアノシン、ニトロキサンチン、8-ニトログアノシンとは全く反応しなかった。この試験によって、本発明のモノクローナル抗体は、8-ニトロcGMPとのみ反応し、既存の核酸であるグアノシン、cAMPとは反応せず、さらに構造的に8-ニトロcGMPと化学構造が一部類似している類似したニトロキサンチンや8-ニトログアノシンとも交差反応を示さないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ポリクローナル抗8-ニトロcGMP抗体を用いたドットブロッティングの結果を示した図である。PVDF膜に(A)cGMP-BSA又は(B)8-ニトロcGMP-BSA を0.3μg/dropで固定化し、ポリクローナル抗8-ニトロcGMP抗体(1μg/ml)を用いて反応性を確認した。
【図2】モノクローナル抗8-ニトロcGMP抗体の反応性を示した図である。96穴マイクロタイタープレートに8-ニトロcGMP-BSA 、cGMP-BSA又は8-ニトログアノシン-BSAを固定化し、モノクローナル抗8-ニトロcGMP抗体産生細胞の培養上清を用いて反応性を確認した結果を示した。
【出願人】 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
【識別番号】590005081
【氏名又は名称】株式会社同仁化学研究所
【出願日】 平成17年4月25日(2005.4.25)
【代理人】 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス

【公開番号】 特開2006−298869(P2006−298869A)
【公開日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願番号】 特願2005−125838(P2005−125838)