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【発明の名称】 電解水生成装置の電解槽
【発明者】 【氏名】宮下 公一
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】武藤 剛
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】膜−電極構造体の電極に対して確実に十分な電力を供給できる電解水生成装置の電解槽を提供する。

【解決手段】イオン透過性の隔膜2を介して対向配置された1対の電解室3,4と、電解室3,4に原水を供給する原水供給手段5,6と、隔膜2を挟んで電解室3,4に設けられた1対の電極14a,14bと、電解により得られた電解水を電解室3,4から取り出す電解水取出手段7,8とを備える。電極14a,14bが隔膜13の両表面に密着して形成された膜−電極構造体2と、電極14a,14bに対向配置された網目状集電体9,10と、電解室3,4の内壁に設けられ、集電体9,10を該電極14a,14bに圧接する複数の突出部11,12とを備える。電解室3,4は、互いに対向する位置に突出部11,12を備える。集電体9,10は、耐腐食性導電材料からなる。電極14a,14bは、導電性粉体を含む多孔質体からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン透過性の隔膜を介して対向配置された1対の電解室と、各電解室に原水を供給する原水供給手段と、該隔膜を挟んで各電解室に設けられた1対の電極と、両電極に電圧を印加して該原水供給手段により各電解室に供給された原水を電解することにより得られた電解水を各電解室から取り出す電解水取出手段とを備える電解水生成装置の電解槽において、
各電極が該隔膜の両表面に密着して形成された膜−電極構造体と、該膜−電極構造体の各電極に対向配置された網目状集電体と、各電解室の内壁に設けられ、該網目状集電体を該電極方向に押圧して、該電極に圧接する複数の突出部とを備えることを特徴とする電解水生成装置の電解槽。
【請求項2】
前記各電解室は、前記膜−電極構造体の両側の互いに対向する位置に前記突出部を備えることを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置の電解槽。
【請求項3】
前記集電体は、耐腐食性導電材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電解水生成装置の電解槽。
【請求項4】
前記電極は、導電性粉体を含む多孔質体からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電解水生成装置の電解槽。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン透過性の隔膜を介して対向配置された1対の電解室に供給される原水を、該隔膜を挟んで各電解室に設けられた1対の電極に電圧を印加して電解することにより、酸性及びアルカリ性の電解水を生成させる電解水生成装置の電解槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イオン透過性の隔膜を介して対向配置された1対の電解室と、該隔膜を挟んで各電解室に設けられた1対の電極とを備える電解槽を用いて電解水を生成させる電解水生成装置が知られている。前記電解水生成装置では、前記各電解室に電解質を含む原水を供給し、前記1対の電極に電圧を印加して該原水を電解することにより、陽極側の電解室に酸性の電解水、陰極側の電解室にアルカリ性の電解水を生成させることができる。
【0003】
前記電解水生成装置の電解槽では、通常、前記電極は前記隔膜から離間して設けられている。ところが、前記構成では、前記隔膜を挟んで配設される両電極の間隔が広いために電極間の電気抵抗が大きく、印加される電力に対する電解効率が低いという問題がある。
【0004】
前記問題を解決するために、例えば、平織金網からなる多孔質電極素材とパンチドメタルとを重ね合わせた電極を隔膜に当接させることにより両電極の間隔を狭めると共に、該多孔質電極素材の内部に原水を流通させることにより該原水と電極との接触面積を大きくした電解槽が提案されている(例えば特許文献1参照)。前記電解槽によれば、印加される電力に対する電解効率はある程度向上させることができるが、前記原水は前記多孔質電極素材の内部に流通されるために流通抵抗が大きく、単位時間当たりの電解水の生成量を多くしようとすると装置の大型化が避けられない。
【0005】
そこで、本発明者らは、前記1対の電極がイオン透過性の隔膜の両表面に密着して形成されており、前記電極自体がイオン透過性を備える膜−電極構造体を用いた電解槽を提案している(特願2003−381741、特願2003−381742参照)。前記膜−電極構造体によれば、両電極間には前記隔膜が介在するだけであるので、印加される電力に対する電解効率を高くすることができ、しかも装置を小型化することができる。
【0006】
しかしながら、前記膜−電極構造体では、前記電極にリード線を接続しにくく、該リード線を介して電力を供給することが難しい。前記リード線に代えて、前記電極の表面に集電体を当接することも考えられるが、該電極が微細な細孔を備える多孔質体、所謂マイクロポーラス状であるときには、該電極の表面抵抗が大きくなるため、該集電体から該電極に十分な電力を供給しにくく、さらに改良が望まれる。
【特許文献1】特開2001−73177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、膜−電極構造体の電極に対して確実に十分な電力を供給することができる電解水生成装置の電解槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、イオン透過性の隔膜を介して対向配置された1対の電解室と、各電解室に原水を供給する原水供給手段と、該隔膜を挟んで各電解室に設けられた1対の電極と、両電極に電圧を印加して該原水供給手段により各電解室に供給された原水を電解することにより得られた電解水を各電解室から取り出す電解水取出手段とを備える電解水生成装置の電解槽において、各電極が該隔膜の両表面に密着して形成された膜−電極構造体と、該膜−電極構造体の各電極に対向配置された網目状集電体と、各電解室の内壁に設けられ、該網目状集電体を該電極方向に押圧して、該電極に圧接する複数の突出部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の電解槽では、前記集電体を各電極に当接することにより、該集電体から各電極に電力が供給される。前記集電体は網目状であることにより原水を透過させて前記電極に接触させることができるので、前記電解の障害となることがない。
【0010】
このとき、本発明の電解槽では、前記電解室の内壁に設けられた前記複数の突出部が、前記網目状集電体を前記電極方向に押圧して、該電極に圧接する。従って、本発明の電解槽によれば、膜−電極構造体の電極に対する前記網目状集電体の接触面積が大きくなり、該電極に対して電力が均一に供給されるので、該集電体から該電極に確実に十分な電力を供給することができる。
【0011】
また、前記電解室の内壁に設けられた前記突出部は、該電解室内に流路を形成したり、あるいは流路中に島状に形成することにより、電解水中のイオンを拡散する効果を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の電解槽において、前記各電解室は、前記膜−電極構造体の両側の互いに対向する位置に前記突出部を備えることを特徴とする。前記突出部が、前記膜−電極構造体の両側の互いに対向する位置に備えられていることにより、前記集電体は一方の側だけに局部的な圧力が加わることを避けることができ、両側から均等な圧力で押圧されて、該膜−電極構造体に確実に圧接される。従って、前記集電体から前記電極に、さらに確実に電力を供給することができる。
【0013】
また、本発明の電解槽において、前記集電体は、耐腐食性導電材料からなることを特徴とする。前記耐腐食性導電材料としては、例えばチタン等を挙げることができる。前記集電体は、耐腐食性導電材料からなることにより、該集電体自体の長寿命化を図ることができると共に、該集電体の劣化に伴う電圧上昇等の電解に対する悪影響を避けることができる。
【0014】
さらに、本発明の電解槽において、前記電極は、導電性粉体を含む多孔質体からなることを特徴とする。前記電極は前記多孔質体であることにより、前記隔膜の表面全体を被覆した場合にも前記原水を透過させて該隔膜に接触させることができるので、該隔膜の機能を阻害することなく、十分なイオン交換能を得ることができる。
【0015】
また、前記電極は前記多孔質体であることにより、前記原水との接触面積が大きくなり、電解効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の電解槽の構成を示す説明的断面図、図2は図1の要部拡大図、図3は図1に示す膜−電極構造体の側から見た電解室の平面図である。
【0017】
本実施形態の電解槽1は電解水生成装置に用いられるものであり、図1に示すように、膜−電極構造体2を介して対向配置された電解室3,4と、各電解室3,4に原水を供給する原水供給口5,6と、各電解室3,4から電解水を取り出す電解水取出口7,8と、膜−電極構造体2の表面に対して対向配置された集電体9,10と、各電解室3,4の内壁に形成された突出部11,12とを備えている。原水供給口5,6は図示しない原水タンク等の原水供給手段に接続されており、電解水取出口7,8は図示しない貯水タンク等に接続されている。
【0018】
ここで、膜−電極構造体2は、図2に示すように、陰イオン交換膜13の両表面に膜状の電極14a,14bが形成されている。陰イオン交換膜13としては、例えば、旭化成工業株式会社製アシプレックス(登録商標)、旭硝子株式会社製セレミオン(登録商標)等の炭化水素系ポリマーからなる陰イオン交換膜あるいは旭硝子株式会社製フレミオン(登録商標)等のフッ素系陰イオン交換膜を用いることができる。また、電極14a,14bは、カーボンブラック等の導電性粉体に、白金、イリジウム等の金属粉末を例えば前記導電体粉末に対して5重量%の割合で混合し、さらにポリビニルアルコールを水とアルコールとの混合液に溶解した混合物を加えたペースト状体を、陰イオン交換膜13の両表面に所定の形状に塗布し、加熱、加圧することにより、陰イオン交換膜13に密着し、陰イオン交換膜13と一体に形成されている。電極14a,14bは、前記導電性粉体、金属粉末から形成されるので、直径数μmの細孔を備える多孔質体、所謂マイクロポーラス状体となっている。尚、前記ペースト状体において、ポリビニルアルコールは結着剤として使用される。
【0019】
膜−電極構造体2では、陰イオン交換膜13は50〜200μmの膜厚を備えている。また、電極14a,14bは、前述の方法により乾燥膜厚が30〜200μmとなるように形成されている。
【0020】
図1に示す集電体9,10は、前述のように膜−電極構造体2に対向配置されているが、膜−電極構造体2は陰イオン交換膜13の両表面に膜状の電極14a,14bが形成された構成を備えている。従って、集電体9,10は、それぞれ電極14a,14bに対向配置されていることに他ならない。集電体9,10は、チタン等の耐腐食性導電材料により網目状に形成された、例えばチタンメッシュからなり、電解室3,4に供給された原水を透過させて該原水が電極14a,14bに接触できるようにされている。
【0021】
前記突出部11,12は平坦な先端部を備え、それぞれ該先端部で集電体9,10に当接している。また、突出部11,12は、各電解室3,4にそれぞれ複数設けられており、膜−電極構造体2の両側に互いに対向する位置に備えられている。
【0022】
電解槽1において、各電解室3,4は、スペーサ15、パッキン16を介して膜−電極構造体2に圧接されており、この結果、各電解室3,4に設けられた突出部11,12が、集電体9,10をそれぞれ電極14a,14b方向に押圧し、電極14a,14bに圧接している。尚、各集電体9,10は、電解室3,4の外壁を貫通して設けられたターミナル17,18に接続されており、ターミナル17,18は図示しない電源装置に接続されて、集電体9,10に電力を供給できるようになっている。
【0023】
本実施形態の電解槽1では、例えば電極14aを陽極、電極14bを陰極とする場合、原水供給口5を介して電解室3にほとんど電解質を含まない水を原水として供給し、原水供給口6を介して電解室4に電解質を含む原水として食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を供給しながら、集電体9,10を介して電極14a,14bに通電する。この結果、電解室3には次亜塩素酸を含む酸性電解水が得られ、該酸性電解水は電解水取出口7を介して取り出される。一方、電解室4にはアルカリ性電解水が得られ、該アルカリ性電解水は電解水取出口8を介して取り出される。
【0024】
このとき、電極14a,14bは、陰イオン交換膜13の両表面に密着して陰イオン交換膜13と一体に形成されており両電極間の間隔が非常に狭いので、電極間抵抗が小さく、低電圧で効率よく電解を行うことができる。
【0025】
また、集電体9,10は、各電解室3,4の内壁に設けられた突出部11,12により電極14a,14bに圧着されている。従って、前記チタンメッシュからなる集電体9,10の、電極14a,14bに対する接触面積が大きくなり、電極14a,14bに対して電力が均一に供給されることとなり、集電体9,10から電極14a,14bに確実に十分な電力を供給することができる。
【0026】
尚、本実施形態の電解槽1において、突出部11,12は、膜−電極構造体2の両側に互いに対向する位置に設けられているが、突出部11,12は、それぞれ集電体9,10を電極14a,14bに圧着することができればよく、必ずしも対向する位置に設けられていなくてもよい。
【0027】
また、本実施形態の電解槽1において、突出部11,12は、図3に突出部11を例として示すように、電解室3の長さ方向に沿って平行に複数設けられ、突出部11,11間に流路19を形成しているが、図3に仮想線111で示すように流路19の中に島状に設けられていてもよい。電解室3は、外周部に設けられたボルト孔20に挿通されるボルトと該ボルトに螺着されるナットとにより、電解室4と共にスペーサ15、パッキン16を介して膜−電極構造体2に圧接される。
【0028】
また、本実施形態の電解槽1においては、イオン透過性の隔膜として陰イオン交換膜13を使用しているが、これに代えて陽イオン交換膜を使用しても同様に実施することができる。
【0029】
本実施形態の電解槽1は、電極14a,14bに電力を供給する電源装置や前記原水供給手段等の作動を制御する制御装置等の周辺装置を備えることにより、電解水生成装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の電解槽の一実施形態を示す説明的断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】図1に示す膜−電極構造体の側から見た電解室の平面図。
【符号の説明】
【0031】
1…電解槽、 2…膜−電極構造体、 3,4…電解室、 5,6…原水供給手段、 7,8…電解水取出手段、 9,10…集電体、 11,12…突出部、 13…隔膜、 14a,14b…電極。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成16年11月25日(2004.11.25)
【代理人】 【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦

【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【公開番号】 特開2006−150151(P2006−150151A)
【公開日】 平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願番号】 特願2004−339889(P2004−339889)