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【発明の名称】 有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置
【発明者】 【氏名】西 正成

【要約】 【課題】有機廃棄物を炭化処理して大幅に減容量すると共に、有機廃棄物中の重金属類を効率良く不溶化する有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置を提供する。

【解決手段】有機廃棄物と超好熱菌を混合したものを、加熱手段により超好熱菌の活性温度まで加熱して有機廃棄物を発酵分解させる発酵工程と、発酵工程において発生した硫化水素を用いて有機廃棄物に含有する重金属を硫化物として不溶化する不溶化工程と、超好熱菌の発熱により有機廃棄物を加熱して炭化させる炭化工程とにより、有機廃棄物から重金属を分離する。分離装置は、有機廃棄物と超好熱菌を収納する処理槽1と、処理槽内に加熱した空気を供給する空気供給部2とから構成し、発酵工程、不溶化工程および炭化工程を行う。空気供給部から処理槽内に供給される空気にはイオン化した酸素を含有させてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物と超好熱菌を混合したものを、加熱手段により超好熱菌の活性温度まで加熱して有機廃棄物を発酵分解させる発酵工程と、
前記発酵工程において発生した硫化水素を用いて有機廃棄物に含有する重金属を硫化物として不溶化する不溶化工程と、
超好熱菌の発熱により有機廃棄物を加熱して炭化させる炭化工程と、
からなることを特徴とする有機廃棄物からの重金属の分離方法。
【請求項2】
有機廃棄物と超好熱菌を収納する処理槽(1)と、
前記処理槽(1)内に加熱した空気を供給する空気供給部(2)と、からなり、
前記空気供給部(2)からの加熱した空気の供給により前記処理槽(1)内の有機廃棄物と超好熱菌の混合物を加熱すると共に、超好熱菌の活性化に必要な空気を供給して、活性状態とした超好熱菌を用いて有機廃棄物を発酵分解させ、かつ、有機廃棄物の発酵分解に伴って発生した硫化水素を用いて有機廃棄物に含有する重金属を硫化物として不溶化した後、超好熱菌の発熱により有機廃棄物を炭化させることを特徴とする有機廃棄物からの重金属の分離装置。
【請求項3】
空気供給部(2)から処理槽(1)内に供給される空気を、
イオン化させた酸素を含有する空気としたことを特徴とする請求項2記載の有機廃棄物からの重金属の分離装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、超好熱菌を利用して下水道汚泥脱水ケーキ等を発酵分解させ、かつ、発酵分解に伴って発生した硫化水素を用いて重金属を硫化物として不溶化した後、超好熱菌の発熱により炭化させる有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、下水道汚泥脱水ケーキ等の有機廃棄物は、焼却、埋立て、溶融等により処分しており、処分後における廃棄場所の確保が問題となっている。本願発明者らは、好熱菌により有機廃棄物を発酵処理して水分を蒸発させると共に、発熱した好熱菌により有機廃棄物を炭化させて大幅な減量を可能とした有機廃棄物炭化処理方法およびその装置を、特許第2736750号において開示している。
【0003】
また、有機廃棄物には、生物に有害な重金属類を含んでいることが多く重金属類を不溶化あるいは除去する必要がある。重金属類を不溶化する方法としては、硫化水素と反応させて硫化物とすることが知られている。特許文献1には、硫酸還元細菌により硫化水素を発生させて廃棄物中の重金属を硫化物として不溶化する処理方法が開示されている。また、特許文献2には、有機物と硫酸イオンを含む廃棄物を硫酸還元菌によって処理して硫化水素を発生させ、発生させた硫化水素は重金属を含む廃棄物に接触させて、重金属を硫化物として不溶化する廃棄物の処理方法が開示されている。
【特許文献1】特開平8−66698、段落番号0010〜0011等。
【特許文献2】特開2002−210436、段落番号0005〜0007等。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に示す技術では、重金属の不溶化はなされるが発酵処理に時間がかかり、発酵処理後における有機廃棄物の減容量が少ないという問題があった。上記問題に鑑み、本願発明では、有機廃棄物を炭化処理して大幅に減容量すると共に、有機廃棄物中の重金属類を効率良く不溶化することを目的とした、新規な、有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本願発明に係る有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置は以下のように構成している。すなわち、有機廃棄物と超好熱菌を混合したものを、加熱手段により超好熱菌の活性温度まで加熱して有機廃棄物を発酵分解させる発酵工程と、前記発酵工程において発生した硫化水素を用いて有機廃棄物に含有する重金属を硫化物として不溶化する不溶化工程と、超好熱菌の発熱により有機廃棄物を加熱して炭化させる炭化工程と、からなることを特徴とする。
【0006】
また、有機廃棄物と超好熱菌を収納する処理槽(1)と、前記処理槽(1)内に加熱した空気を供給する空気供給部(2)と、からなり、前記空気供給部(2)により前記処理槽(1)内の有機廃棄物と超好熱菌の混合物を加熱すると共に、超好熱菌の活性化に必要な空気を供給して、活性状態とした超好熱菌を用いて有機廃棄物を発酵分解させ、かつ、有機廃棄物の発酵分解に伴って発生した硫化水素を用いて有機廃棄物に含有する重金属を硫化物として不溶化した後、超好熱菌の発熱により有機廃棄物を炭化させることを特徴とする。さらに、空気供給部(2)から処理槽(1)内に供給される空気を、イオン化させた酸素を含有する空気とすることもできる。
【0007】
上記構成を有する本願発明では、超好熱菌による有機廃棄物の発酵処理に伴って発生する硫化水素を有機廃棄物中の重金属の不溶化に使用するため、硫化水素の発生装置は不要となる。また、有機廃棄物の炭化による大幅な減容積と重金属の不溶化が同時進行的に行われることとなる。さらに、イオン化した酸素を含有する空気を供給することで、超好熱菌の活動が活発となる。なお、請求の範囲、明細書および図面で用いた符合は、発明の理解のために付したものであり、これにより本願発明を限定して解釈してはならない。
【発明の効果】
【0008】
本願発明による有機廃棄物からの重金属の分離方法およびその装置によれば、有機廃棄物の炭化による大幅な減容積と重金属の不溶化を同時進行的に行うことができる。特に、下水道汚泥脱水ケーキ等の炭化物は特殊肥料、農業用資材として有用であり、化学肥料や化学薬品により退化した土壌の炭素率の向上に利用できる。
また、有機廃棄物中の重金属の不溶化に使用する硫化水素は、超好熱菌による有機廃棄物の発酵処理に伴って発生させることができ硫化水素の発生装置は不要である等、本願発明の産業的効果は顕著である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本願発明について図面に基づき詳細に説明する。図1は本実施例における有機廃棄物の分離装置の概略説明図である。
【実施例1】
【0010】
本実施例における有機廃棄物からの重金属の分離装置S(以下、「分離装置」と省略。)は、耐腐食性の金属からなる縦筒型の処理槽1およびその付帯設備から構成している。処理槽1の上面10は上方凸状の円錐形に形成しており、開閉自在な投入口13を配置している。また、上面10の最上部には処理槽1の内外空間を連通する排気管14を取り付けている。処理槽1の側面11の底面12側には開閉自在な排出口15を配置している。
【0011】
処理槽1の外部には、ブロア20、イオン発生装置21およびヒータ22からなる空気供給部2を配置している。ブロア20は、処理槽1内に送気する空気供給管23の終端側に接続している。空気供給管23の先端側は、処理槽1の底面12側の内部空間16において吹出口24を開口している。ブロア20よりも処理槽1側の空気供給管23にはイオン発生装置21を直列接続している。イオン発生装置21よりも処理槽1側の空気供給管23の内部にはヒータ22を配置している。
処理槽1の内部空間16には、垂直な回転軸30から放射方向に延出した攪拌翼3を所定間隔で配置しており、回転軸30の下端側は処理槽1外に配置したモータ31に接続している。
[実施例の作用]
【0012】
上記構成の分離装置Sを用いた有機廃棄物からの重金属の分離方法は、発酵工程、不溶化工程、炭化工程の順に進行する。まず、処理槽1の投入口13から超好熱菌と有機廃棄物Wを投入し、モータ31の回転軸30の軸回転により攪拌翼3を旋回させて超好熱菌と有機廃棄物Wを攪拌して混合する。
発酵工程では、超好熱菌と有機廃棄物Wの混合と並行して空気供給部2を作動させる。すなわち、ブロア20に取り込んだ空気中の酸素をイオン発生装置21によりイオン化し、空気供給管23内のヒータ22で加熱して温風とした後、吹出口24から処理槽1の内部空間16に供給する。
超好熱菌と有機廃棄物Wの攪拌を継続しながら、イオン化した酸素を含む温風を処理槽1に供給すると、超好熱菌の活動が活発となり超好熱菌が発熱して高温の環境となる。さらに攪拌を続けると、処理槽1内の水分が気体となって蒸発し排気管14から排出される。有機廃棄物Wの投入時に80%程度であった水分が、超好熱菌の活性を維持できる55%から60%となるまで好気性発酵分解を進行させる。
【0013】
不溶化工程では、上記した好気性の発酵工程の進行後に、空気供給部2からの温風の供給を停止すると共に、必要によりイオン化した酸素を含む空気を送風して攪拌を停止する。処理槽1内の有機廃棄物Wが嫌気性雰囲気となった状態では、超好熱菌による有機廃棄物Wの発酵分解に伴って硫化水素が発生するので、必要に応じて硫化水素を排気管14から排気せずに冷却して処理槽1内に循環させる。有機廃棄物W中に含有する重金属は処理槽1内で発生した硫化水素と反応して硫化物となり不溶化することとなる。
【0014】
炭化工程では、上記した不溶化工程の進行に伴い、超好熱菌による有機廃棄物Wの発酵分解により有機廃棄物Wの温度をさらに上昇させることで炭化して、有用な有機廃棄物Wの炭化物を得る。炭化後の有機廃棄物Wは排出口15から排出する。
また、有機廃棄物Wの炭化を必要としない場合、有機廃棄物Wの温度を制御して不溶化工程の状態を維持することで、有機廃棄物Wを大幅に減容積させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例における有機廃棄物の分離装置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0016】
S 分離装置
1 処理槽
10 上面
11 側面
12 底面
13 投入口
14 排気管
15 排出口
16 内部空間
2 空気供給部
20 ブロア
21 イオン発生装置
22 ヒータ
23 空気供給管
24 吹出口
3 攪拌翼
30 回転軸
31 モータ
W 有機廃棄物
【出願人】 【識別番号】591117158
【氏名又は名称】西 正成
【識別番号】396017589
【氏名又は名称】神谷 成章
【識別番号】592025395
【氏名又は名称】伊藤 トミ
【出願日】 平成16年8月20日(2004.8.20)
【代理人】 【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文

【公開番号】 特開2006−55761(P2006−55761A)
【公開日】 平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願番号】 特願2004−240749(P2004−240749)