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【発明の名称】 クレーンによる吊下げ安定補助装置
【発明者】 【氏名】上甲 孝幸
【住所又は居所】愛知県海部郡甚目寺町大字中萱津字足川53 有限会社宇和内
【氏名】平松 伸政
【住所又は居所】愛知県海部郡甚目寺町大字中萱津字足川53 有限会社宇和内
【課題】クレーンで吊下げる資材等の被吊下げ物を自動的に水平保持する。

【解決手段】クレーンCで吊下げられる吊下げ補助体1の後方の左右側の夫々に制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンで吊下げられる吊下げ補助体の後方の左右側の夫々に制御装置にて個別に作動
する巻上げ機を設けると共に、吊下げ補助体の前方中央に定滑車とこれに巻付けた吊下げ
材から成る平衡吊下げ具を設け、制御装置は、吊下げ補助体の左右のいずれかが下向きに
傾いたことを検出する傾き側検出装置と、吊下げ補助体が水平になったことを検出する水
平検出装置を有し、傾き側検出装置からの検出信号により下向き側に位置する巻上げ機を
巻上げ作動させ、反対側に位置する巻上げ機を巻下げ作動させる様に設定すると共に、各
巻上げ機の作動後、水平検出装置からの検出信号により各巻上げ機を停止させる様に設定
したことを特徴とするクレーンによる吊下げ安定補助装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン等で資材等の被吊下げ物を吊下げる際に用いる吊下げ安定補助装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建築資材や既製部屋単位等の重量物を吊下げ移動する場合は、クレーンを用い
てワイヤーやチェーン等の吊下げ材に吊下げて行っていた。
しかしながら、被吊下げ物は大きく且つ重量物であるため、偏心して吊下げられること
が多くて降下設置する際に危険であった。
特に、ボルト結合させるため等で降下位置が決っている場合は水平に降ろすことが難し
く、余分な時間と人手を要していたのである。
このため特許文献1に開示される様な吊下げ安定補助装置が開発された。
この吊下げ安定補助装置は、クレーンにおける吊下げ具のフックに吊して用いるもので
あり、発電機を取付けた吊下げ補助体の上部に吊下げ用係止部を形成し、吊下げ補助体の
両側に発電機で駆動する電動チェーンブロック等の可動吊下げ具を備えると共に、自由回
転する滑車に吊下げ材を巻付けた平衡吊下げ具を吊下げ補助体に備え、可動吊下げ具を作
動してその吊下げ材を夫々個別に伸縮調整する遠隔操作具を備えている。
そして、クレーンに吊下げられた吊下げ補助体における可動吊下げ具と平衡吊下げ具の
夫々の吊下げ材にて被吊下げ物を吊下げ、遠隔操作器の操作にて左右の可動吊下げ具の吊
下げ材の長さを調整し、この調整に追従して滑車の吊下げ材の左右長さが自動調整される
ことにより、偏心荷重のかかる被吊下げ物を水平状態で吊下げられる様にしている。
【特許文献1】実公平6−25484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記吊下げ安定補助装置は、遠隔操作器により可動吊下げ具を離れたこ
ところから操作せねばならないため、吊下げ補助体の左右のつりあいをとってこれに吊下
げられた被吊下げ物を安定した水平状態に保持する操作は熟練者でなければ容易ではなか
った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、クレーンで吊下げられる吊下げ補助体の後方の左右側の夫
々に制御装置にて個別に作動する巻上げ機を設けると共に、吊下げ補助体の前方中央に定
滑車とこれに巻付けた吊下げ材から成る平衡吊下げ具を設け、制御装置は、吊下げ補助体
の左右のいずれかが下向きに傾いたことを検出する傾き側検出装置と、吊下げ補助体が水
平になったことを検出する水平検出装置を有し、傾き側検出装置からの検出信号により下
向き側に位置する巻上げ機を巻上げ作動させ、反対側に位置する巻上げ機を巻下げ作動さ
せる様に設定すると共に、各巻上げ機の作動後、水平検出装置からの検出信号により各巻
上げ機を停止させる様に設定することにより、クレーンに吊下げ補助体を介して吊るされ
た被吊下げ物の左右のつりあいを自動的に調整し、被吊下げ物を安定した水平状態に保持
する。
【発明の効果】
【0005】
要するに本発明では、クレーンに吊下げられた吊下げ補助体における後方左右側の各巻
上げ機から伸ばした吊下げ材に被吊下げ物の後方左右を係止すると共に、吊下げ補助体の
前方中央の定滑車に巻付けた吊下げ材の左右の夫々に被吊下げ物の前方左右を係止するこ
とにより、被吊下げ物の四方を安定的に吊下げ保持できる。
そして、偏荷重で被吊下げ物が傾いた場合、傾き側検出装置が吊下げ補助体の左右のい
ずれかが下向きに傾いたことを検出し、その検出信号が制御装置に入力されることでその
傾きの下向き側に位置する巻上げ機を巻上げ作動させ、反対側に位置する巻上げ機を巻下
げ作動させることができ、この各巻上げ機の作動による夫々の吊下げ材の長さの自動調整
に応じて定滑車の左右の吊下げ材の長さも追従して自動調整されるので、被吊下げ物は自
動的に水平に変位でき、この時点で吊下げ補助体も水平に変位し、その水平状態を水平検
出装置が検出してその検出信号が制御装置へ入力されることで各巻上げ機を停止できるた
め、被吊下げ物を水平姿勢に安定保持でき、しかも精度の高い水平度が維持できる。
よって本発明によれば、吊下げ補助体の左右両側の巻上げ機における夫々の吊下げ材の
長さが自動調整されることで、被吊下げ物を高精度の水平状態に安定保持できるので、従
来の様な熟練者による遠隔操作を要せず、被吊下げ物の所定位置への降下等の作業を容易
に行うことができる。
しかも、左右両側の巻上げ機が同時に反転動作、即ち一方が巻上げ動作、他方が巻下げ
動作するため、巻上げ機にかかる負荷を軽減しながら迅速に被吊下げ物を水平状態へ変位
させることができる等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明の実施の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
図1に本発明に係る吊下げ安定補助装置の斜視図、図2に吊下げ安定補助装置の使用状
態図を示す。
この吊下げ安定補助装置は、クレーンCのフックFに吊下げて用いるものであり、上方
が開口された横長な箱型形状の吊下げ補助体1を設け、該吊下げ補助体1内の底板1a上の
右側に発電機2を載置固定している。
又、吊下げ補助体1の四隅上端の夫々には、吊下げ用係止部3を溶接固定しており、該
吊下げ用係止部3は、先端が外側斜め上方へ指向する方形状の取付板から成り、該取付板
3の先端上下には係止孔3a、3bを貫設している。
そして、吊下げ補助体1の前方左右側の取付板3の係止孔3aの夫々には、所定長さを有
するワイヤーWの端部に設けたフックWaが係止され、又吊下げ補助体1の後方左右側の取
付板3の係止孔3aの夫々には、ワイヤーWと同長のワイヤーW1の端部に設けたフックWbが
係止され、各ワイヤーW、W1がクレーンCのフックFに係止されることで吊下げ補助体1
はクレーンCに吊下げられる様に成している(図2参照)。
【0007】
吊下げ補助体1の後方左右側の取付板3の係止孔3bには、長円状の連結環4を係合する
と共に、該連結環4には電動チェーンブロックから成る巻上げ機5を吊下げており、各巻
上げ機5は、吊下げ補助体1内に設置した制御装置6を介して発電機2に接続されている

又、吊下げ補助体1の前方中央の上部にはブラケット7が溶接され、該ブラケット7に
設けた係止孔7aに長円状の連結環8を係合すると共に、該連結環8には自由回転する定滑
車9をこれに設けたフック9aを介して吊下げている。
そして、定滑車9には、両端にフック10aを設けたワイヤー又はチェーン等から成る吊
下げ材10を巻付けて平衡吊下げ具11を構成している。
【0008】
制御装置6は、吊下げ補助体1内の中央上部において前後に架設した梁材1bの左側に固
定されており、クレーンCに吊下げられた吊下げ補助体1の左右のいずれかが下向きに傾
いたことを検出する傾き側検出装置12と、吊下げ補助体1が水平になったことを検出する
水平検出装置13を有している。
傾き側検出装置12は、吊下げ補助体1の左右側縁の各上端に設置した傾斜センサーであ
り、吊下げ補助体1が傾く時に、下向きに傾く側の傾斜センサー12が先にその傾きを検出
し、その傾斜センサー12からの検出信号が制御装置6に入力されると、傾きの下向き側に
位置する巻上げ機5を巻上げ作動させると共に、反対側(傾きの上向き側)に位置する巻
上げ機5を巻下げ作動させる様に設定している。
【0009】
水平検出装置13は、投光器14と受光器15とから成る光センサーであり、吊下げ補助体1
内の前方又は後方(図示例では前方)の左右隅角部の夫々に投光器14と受光器15を設置し
ている。
投光器14には、受光器15の受光部15aへ向かって赤外線を照射する投光部14aを設けて
いる。
受光器15は、投光器14からの赤外線が入射する透孔16aを設けた箱状のケーシング16で
外装されると共に、該ケーシング16内において、受光器15の上部が吊下げ補助体1の左右
方向に揺動する様に振り子状に枢支されている。
そして、受光器15は吊下げ補助体1の水平状態で垂下状態となり、かかる状態において
受光器15の受光部15aが透孔16aを通過する赤外線の照射経路線上に位置する様に設定さ
れ、この時に受光部15aが赤外線を検出し、その検出信号が制御装置6に入力されると、
各巻上げ器5の作動を停止する様に設定している(図3、4参照)。
尚、投光器14と受光器15との間には何等の障害物を有せず、図3、4に示す様に、吊下
げ補助体1内の左右隅角部において、梁材1bとその下方に平行配置した別途梁材1cの間の
空域に投光器14からの赤外線が受光器15へ照射される様に成している。
【0010】
制御装置6は、リモートコントローラー17からの送信信号を受信するアンテナ18を備え
、リモートコントローラー17によっても各巻上げ機5を個別に作動させる様に設定してい
る。
又、吊下げ補助体1は、これ自体がクレーンCに吊下げられた状態で水平保持される様
に左右の重量バランスが図示しない重り等により調整されている。
【0011】
上記の様に構成した吊下げ補助体1は、図2に示す様に、その吊下げ補助体1の四隅の
各取付板3の係止孔3aにワイヤーW、W1のフックWa、Wbを係止すると共に、ワイヤーW、
W1をクレーンCのフックFに係止する。
そして、各巻上げ機5に巻付けられたワイヤー又はチェーン等の吊下げ材5a下端に設け
たフック5b、及び定滑車9に巻付けた吊下げ材10のフック10aの夫々を被吊下げ物Kの上
端四隅部の係止フックKaに係止する。
これにより、クレーンCの吊下げによって吊下げ補助体1が吊下げられ、この吊下げ補
助体1に被吊下げ物Kが吊下げられる。
【0012】
本例によると、巾のある吊下げ補助体1を介してその隅部四点で吊下げているため、ク
レーンCのフックFだけからの一点の吊下げと比べて被吊下げ物Kが安定するのである。
又、偏荷重で被吊下げ物Kが傾いた場合、クレーンCに吊下げられた吊下げ補助体1も
同様に傾くが、その傾く時に、吊下げ補助体1の左右側縁に設置された傾斜センサー12の
うち、下向きに傾く側の傾斜センサー12が先にその傾きを検出、即ち吊下げ補助体1が右
下がりに傾く場合には、右側の傾斜センサー12がその傾きを先に検出し、逆に吊下げ補助
体1が左下がりに傾く場合には、左側の傾斜センサー12がその傾きを先に検出する。
そして、吊下げ補助体1の傾きを先に検出した傾斜センサー12からの検出信号が制御装
置6に入力されると、吊下げ補助体1が右下がりに傾いた場合であれば、右側の巻上げ機
5がその吊下げ材5aを巻上げると共に、左側の巻上げ機5がその吊下げ材5aを巻下げ、又
逆に吊下げ補助体1が左下がりに傾いた場合であれば、左側の巻上げ機5がその吊下げ材
5aを巻上げると共に、右側の巻上げ機5がその吊下げ材5aを巻下げ、各巻上げ機5の吊下
げ材5aの長さが自動調整される。
又、各巻上げ機5の上記作動中、平衡吊下げ具11にて吊下げられた被吊下げ物Kの前方
では、各巻上げ機5の反転作動による夫々の吊下げ材5aの自動長さ調整に応じて定滑車9
の左右の吊下げ材10の長さが追従して自動調整される。
【0013】
上記の様な両巻上げ機5の吊下げ材5aと平衡吊下げ具11の吊下げ材10の自動長さ調整に
より、被吊下げ物Kが水平に変位すると、吊下げ補助体1も同様に水平に変位する。
吊下げ補助体1が水平でない時には、ケーシング16内で受光器15は適宜傾斜状態にある
ため、その受光部15aは投光部14aから照射されている赤外線を受光できていないが、吊
下げ補助体1が上記の様に水平に変位した時点では、受光部15aが赤外線の照射経路線上
に位置して赤外線を受光し、その受光により制御装置6へ発信される検出信号にて制御装
置6は各巻上げ機5の作動を停止する。
この様にクレーンCに吊下げ補助体1を介して吊るされた被吊下げ物Kの左右のつりあ
いを自動的に調整し、被吊下げ物Kは常に安定した水平状態に保持されるため、その降下
設置が安全にでき、設置の際に被吊下げ物Kの適所をボルトに挿通させる場合でも簡単に
所定位置に降下させられる。
【0014】
尚、必要に応じてリモートコントローラー17による切換操作にて各巻上げ機5の吊下げ
材5の長さ調整することにより被吊下げ物Kを水平状態に保持することも可能である。
本例は上記の様に構成したが本発明においてはこれに限定されない。
例えば、吊下げ補助体1及びその上部に設ける吊下げ用係止部3の形状、構成は問わな
い。
又、巻上げ機5、傾き側検出装置12及び水平検出装置13の構成も適宜であり、その取付
数も限定されない。
更に、定滑車9に吊下げ材10を巻付けた平衡吊下げ具11の構成及び取付位置も任意であ
る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】吊下げ安定補助装置の斜視図である。
【図2】同上使用状態を示す斜視図である。
【図3】同上平面図である。
【図4】水平検出装置の配置例を示す簡略図である。
【符号の説明】
【0016】
1 吊下げ補助体
5 巻上げ機
6 制御装置
9 定滑車
10 吊下げ材
11 平衡吊下げ具
12 傾き側検出装置
13 水平検出装置
C クレーン
【出願人】 【識別番号】504230626
【氏名又は名称】有限会社宇和
【住所又は居所】愛知県海部郡甚目寺町大字中萱津字足川53番地
【出願日】 平成16年6月15日(2004.6.15)
【代理人】 【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一

【公開番号】 特開2006−1652(P2006−1652A)
【公開日】 平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願番号】 特願2004−176358(P2004−176358)