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【発明の名称】 車輪軸受装置
【発明者】 【氏名】重岡 和寿
【住所又は居所】静岡県磐田市東貝塚1578番地 NTN株式会社内

【氏名】宝田 実
【住所又は居所】静岡県磐田市東貝塚1578番地 NTN株式会社内

【要約】 【課題】車輪の回転速度の検出が不能になるのを防止することができるようにした車輪軸受装置を提供することである。

【解決手段】外輪1の内側に組込まれた回転可能な内方部材6のインナー側端部の外周にセンサロータ14を取付ける。外輪1のインナー側端部の外周にセンサ支持リング17の外周に設けられた筒体17dを圧入し、そのセンサ支持リング17に支持された回転センサ19をセンサロータ14に微小な間隔をおいて軸方向で対向する。外輪1が取付けられるナックル4に抜け止め部材20を取付け、その抜け止め部材20によりセンサ支持リング17を抜け止めして、センサロータ14と回転センサ19による車輪の回転速度の検出が不能になるのを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナックルに取付けられた外方部材の内側に車輪が取付けられる内方部材を回転自在に設け、前記外方部材のインナー側端部の外周にセンサ支持リングの外周に設けられた筒体を圧入し、そのセンサ支持リングにセンサホルダを固定し、そのセンサホルダに支持された回転センサを前記内方部材のインナー側端部の外周に取付けられたセンサロータと軸方向で対向させて車輪の回転速度を検出するようにした車輪軸受装置において、前記ナックルに、センサ支持リングの軸方向への移動を制限してセンサ支持リングを抜け止めする抜け止め部材を取付けたことを特徴とする車輪軸受装置。
【請求項2】
前記抜け止め部材をリング状とし、その抜け止め部材の内周にセンサ支持リングの表面外周部に弾性接触する弾性体を固着した請求項1に記載の車輪軸受装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、主として、自動車の駆動側車輪を回転自在に支持する車輪軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)を採用した自動車においては、回転速度検出装置によって車輪の回転速度を検出するようにしている。
【0003】
ここで、上記回転速度検出装置が外部に露出する取付けであると、泥水等の付着によって検出精度が低下し、あるいは回転速度を検出し得ない場合が生じる。
【0004】
そのような不都合を解消するため、特許文献1では、車輪を支持する軸受装置内に回転速度検出装置を組込んだ回転速度検出装置付き車輪軸受装置が提案されている。
【0005】
上記車輪軸受装置においては、ナックルに取付けられる外輪内に複列の転動体を組込んで車輪を支持する内輪相当部材を回転自在に支持し、外輪のインナー側端部の外周にセンサ支持リングの外周に設けられた筒体を圧入し、そのセンサ支持リングにセンサホルダを固定し、そのセンサホルダに支持された回転センサを内輪相当部材のインナー側端部の外周に取付けられたセンサロータと軸方向で対向させ、車輪と共に回転するセンサロータの回転により回転センサの出力を変化させ、その出力変化から車輪の回転速度を検出するようにしている。
【特許文献1】特開2003−254985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された車輪軸受装置においては、車両の走行時に、外部から様々な荷重が負荷されて楕円変形を繰り返す外輪に回転センサを支持するセンサ支持リングの外周の筒体を圧入する取付けであるため、上記外輪の楕円変形の繰り返しによってセンサ支持リングが外輪から抜け落ち、検出不能におちいる可能性があった。
【0007】
この発明の課題は、回転センサを支持するセンサ支持リングが外輪から抜け落ちるのを防止し、車輪の回転速度の検出が不能になるのを防止することができるようにした車輪軸受装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明においては、ナックルに取付けられた外方部材の内側に車輪が取付けられる内方部材を回転自在に設け、前記外方部材のインナー側端部の外周にセンサ支持リングの外周に設けられた筒体を圧入し、そのセンサ支持リングにセンサホルダを固定し、そのセンサホルダに支持された回転センサを前記内方部材のインナー側端部の外周に取付けられたセンサロータと軸方向で対向させて車輪の回転速度を検出するようにした車輪軸受装置において、前記ナックルに、センサ支持リングの軸方向への移動を制限してセンサ支持リングを抜け止めする抜け止め部材を取付けた構成を採用したのである。
【0009】
なお、インナー側端部とは、車体に対する車輪軸受装置の組付け状態において、車体の幅方向内方をいう。
【0010】
ここで、抜け止め部材をリング状とし、その抜け止め部材の内周にセンサ支持リングの表面外周部に弾性接触する弾性体を固着することにより、センサ支持リングの軸方向の移動を防止し、センサロータと回転センサの対向間隔を一定に保持することができるため、車輪の回転速度を常に精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記のように、ナックルに抜け止め部材を取付けたことにより、回転センサを支持するセンサ支持リングが外方部材のインナー側端部から抜け落ちるのを防止することができ、回転速度の検出が不能になるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、外方部材としての外輪1は車体取付け用のフランジ2を外周に有し、そのフランジ2がボルト3の締付けによってナックル4に取付けられている。また、外輪1の内周には複列の軌道5が形成されている。
【0013】
外輪1の内側に組込まれた内方部材6は、ハブ7と、そのハブ7の小径端部に圧入された軸受内輪8とから成り、上記ハブ6の外周には車輪取付け用のフランジ9が設けられている。また、ハブ7および軸受内輪8の外周には外輪1の軌道5と半径方向で対向する軌道10が形成され、その半径方向で対向する軌道5、10間に内方部材6を回転自在に支持する転動体11が組込まれている。
【0014】
ハブ7の中心孔12には図示省略した等速ジョイントの外輪ステムが挿入され、その外輪ステムとハブ7は中心孔12の内周に形成されたセレーション歯13により回り止めされる。
【0015】
図2に示すように、内輪8の端部外周にはセンサロータ14を支持する断面L形のロータリング15が圧入されている。センサロータ14は、例えばフエライト粉末を混入したゴムをSPCC等の磁性金属板から成るロータリング15の軸方向表面に焼付き等により固着して、円周方向にN極とS極とを交互に着磁した構成とされている。
【0016】
上記ロータリング15から軸受内部側に片寄った位置にはシール部材16が設けられている。シール部材16は外輪1のインナー側端部の内周に圧入されるシール芯金16aと、そのシール芯金16aの表面に焼付け等により固着した弾性体16bとから成り、上記弾性体16bには複数のシールリップ16cが設けられ、各シールリップ16cはロータリング15の内表面に弾性接触して、外輪1のインナー側端部と軸受内輪8間をシールしている。
【0017】
外輪1のインナー側端部にはセンサ支持リング17が取付けられている。センサ支持リング17は円筒部17aの一端に内向きフランジ17bを設け、かつ他端に外輪1の端面に衝合される外向きフランジ17cを形成し、その外向きフランジ17cの外周に外輪1のインナー側端部の外周に圧入される筒体17dを設けた構成とされている。
【0018】
センサ支持リング17の内向きフランジ17bに成形品から成るセンサホルダ18が取付けられ、そのセンサホルダ18にモールドされた回転センサ19がセンサロータ14と軸方向で対向し、その対向部間に微小な間隔が設けられている。
【0019】
ここで、センサロータ14が回転すると、磁束密度の変化によって抵抗値あるいは出力電圧の周波数が変化し、その変化は車輪の回転速度と比例関係にあるため、回転センサ19からの出力信号を制御部に入力することにより、車輪の回転速度を検出することができる。
【0020】
センサ支持リング17の外周囲には抜け止め部材20が設けられている。抜け止め部材20はリング状をなし、その外周部がナックル4にねじ止めされ、内周部はセンサ支持リング17の外向きフランジ17cと微小な間隔をおいて軸方向で対向している。
【0021】
上記のように、ナックル4に抜け止め部材20をねじ止めすることにより、その抜け止め部材20によってセンサ支持リング17の軸方向の移動を制限して抜け止めすることができる。
【0022】
このため、車両の走行時に、外輪1が楕円変形を繰り返しても、センサ支持リング17が外輪1端部から脱落することはなく、回転センサ19とセンサロータ14による車輪回転速度の検出が不能になるのを防止することができる。
【0023】
実施の形態のでは、抜け止め部材20としてリング状のものを示したが、抜け止め部材20の形状はリング状に限定されるものではなく、板片状のものであってもよい。
【0024】
図3は、この発明に係る車輪軸受装置の他の実施形態を示す。この実施形態では、リング状の抜け止め部材20の内周部にセンサ支持リング17の外向きフランジ17cに弾性接触する弾性体21を設けている点でのみ図2に示す実施形態と相違している。このため、図2に示す実施形態と同一の部品には同じ符号を付して説明を省略する。
【0025】
図3に示す実施形態のように、抜け止め部材20の内周部にセンサ支持リング17の外向きフランジ17cに弾性接触する弾性体21を設けることにより、センサ支持リング17の軸方向の移動を防止することができる。このため、センサロータ14と回転センサ19の軸方向の相対的な位置関係を常に一定に保持することができ、車輪の回転速度を常に精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明に係る車輪軸受装置の実施形態を示す縦断正面図
【図2】図1のセンサ支持リングの取付け部を拡大して示す断面図
【図3】この発明に係る車輪軸受装置の他の実施形態を示す断面図
【符号の説明】
【0027】
1 外輪(外方部材)
4 ナックル
6 内方部材
14 センサロータ
17 センサ支持リング
19 回転センサ
20 抜け止め部材
21 弾性体
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号
【出願日】 平成17年5月9日(2005.5.9)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博

【公開番号】 特開2006−312382(P2006−312382A)
【公開日】 平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願番号】 特願2005−135812(P2005−135812)