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【発明の名称】 ブリスター用フィルム及びブリスター用包装容器
【発明者】 【氏名】小川 達也
【住所又は居所】東京都文京区小石川四丁目14番12号 共同印刷株式会社内

【氏名】小泉 真一
【住所又は居所】東京都文京区小石川四丁目14番12号 共同印刷株式会社内

【氏名】高橋 抄織
【住所又は居所】東京都文京区小石川四丁目14番12号 共同印刷株式会社内

【氏名】中川 順平
【住所又は居所】東京都文京区小石川四丁目14番12号 共同印刷株式会社内

【要約】 【課題】最外層のバリアー層と吸臭剤を含有する吸着層の熱収縮率をほぼ同等にし、また、PTPフィルム基材に吸臭機能を持たせることで、内容物の変質を感じさせないPTPブリスター用フィルム及びその包装容器を提供することである。

【解決手段】吸臭剤を含有する吸着層の上に、最外層となるバリアー層とを順に積層されたPTPブリスター用フィルムであって、該吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有していることを特徴とするPTPブリスター用フィルム及びその包装容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸臭剤を含有する吸着層の上に、最外層となるバリアー層とを順に積層されたPTPブリスター用フィルムであって、該吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有していることを特徴とするPTPブリスター用フィルム。
【請求項2】
前記疎水性ゼオライトを5〜70重量%含有している請求項1に記載のPTPブリスター用フィルム。
【請求項3】
前記吸着層が、更に総顔料成分として30〜70重量%含有している請求項1又は2に記載のPTPブリスター用フィルム。
【請求項4】
前記顔料成分が合成ゼオライトである請求項1〜3のいずれかに記載のPTPブリスター用フィルム。
【請求項5】
前記PTPブリスター用フィルムがインフレーションダイ法又はTダイ法により成形された請求項1〜4のいずれかに記載のPTPブリスター用フィルム。
【請求項6】
前記吸着層に用いられる樹脂の少なくとも1種はメルトフローレートが10以上である請求項1〜5のいずれかに記載のPTPブリスター用フィルム。
【請求項7】
吸臭剤を含有する吸着層の上に、最外層となるバリアー層とを順に積層されたPTPブリスター用包装容器であって、該吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有していることを特徴とするPTPブリスター用包装容器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品包装のPTPブリスター用フィルム及びその包装容器に関し、より詳しくは、臭い成分を吸着する機能を備えたPTPブリスター用フィルム及びその包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品梱包において、PTPと言われるブリスター包装が広く使われている。臭いが強い薬剤を包装する場合、医薬品の薬効優先の結果、そのまま市場に投入されることが多数あった。このに対して、PTPの外袋としてアルミニウム箔ピロー袋を使用して、吸臭剤を同梱する等の対策が採られていたが、煩雑であり、また充分な脱臭能力を有した吸着剤がなかったため、効率良く臭い成分を吸着できる包装形態が望まれていた。また、吸臭剤同梱では、吸臭剤の袋を薬の袋と間違え誤飲する恐れもあった。
【0003】
包装用フィルムに吸臭剤を混練したフィルムを使用する場合、疎水性ゼオライトを含有する紙からなる包装材料が開示され(例えば、特許文献1及び2参照)、また、材料に合成ゼオライトや活性炭を練り込んで含有させた容器等が開示されているが(例えば、特許文献3〜6参照)、先に空気中の水分を吸着してしまい、臭いを吸着することはできないという課題があった。また、バリアー層の樹脂と吸着層の樹脂の耐熱性の違いにより加熱成形する際に収縮率に差が出るなどの課題が生じていた。
【特許文献1】特許第2538487号公報
【特許文献2】特許第2994921号公報
【特許文献3】特開平11−35077号公報
【特許文献4】特開平10−16092号公報
【特許文献5】特開平7−22790号公報
【特許文献6】登録実用新案第3063963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、最外層のバリアー層と吸臭剤を含有する吸着層の熱収縮率をほぼ同等にしたPTPブリスター用フィルムを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、PTPフィルム基材に吸臭機能を持たせることで、内容物の変質を感じさせないPTPブリスター用フィルム及びその包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従って、吸臭剤を含有する吸着層の上に、最外層となるバリアー層とを順に積層されたPTPブリスター用フィルムであって、該吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有していることを特徴とするPTPブリスター用フィルム及びその包装容器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、PTPフィルム基材に吸臭機能を持たせることで、誤飲事故を防ぐ包材であるPTPブリスター用フィルム及びその包装容器を提供することが可能となった。
【0008】
更に、内容物保存中に、内容物から発生する異臭を吸臭し、内容物の変質を感じさせないフィルムを市場に流通させることができるようになった。これにより、製剤の費用を削減するPTPブリスター用フィルム及びその包装容器を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に本発明のPTPブリスター用フィルムの概略断面図を示す。本発明のPTPブリスター用フィルム1は、最内層として吸臭剤を含有する吸着層2、最外層として外気から水分や酸素等の浸入を防ぐバリアー層3から構成されている。吸着層は更に、図2に示すように臭いの吸着は補助的に行う副吸着層2b、吸臭剤の含有割合が副吸着層2bより多く、臭いの吸着を主に担う主吸着層2aとしてもよい。
【0011】
PTPブリスター用包装容器は、薬剤等の内容物5等を中心に包装した時、図3のように一方の側をアルミニウム箔とし、そしてPTPブリスター用フィルムを貼り合わせる。
【0012】
本発明にかかる吸着層は、吸臭剤として疎水性ゼオライトを含有する。疎水性ゼオライトは、ゼオライトの結晶骨格内のアルミニウム原子を脱アルミニウム処理して減少させ、シリカアルミナ比を高めて、いわゆるハイシリカゼオライトとすると、水等の極性物質に対する親和性を失い、臭い成分等の非極性物質をより強く吸着するゼオライトである。
【0013】
本発明にかかるPTPブリスター用フィルムの吸着層において、吸臭剤である疎水性ゼオライトの含有率は5〜70重量%であることが好ましく、特に好ましくは10〜70重量%である。含有率が5重量%未満であると、成形品が十分な吸着性能を得ることは困難であり、70重量%超とすると、成形が困難となる。臭いの吸着を補助的に行う副吸着層の吸臭剤の含有割合は、臭いの吸着を主に担う主吸着層より少なくてよく、5〜50重量%が好ましい。
【0014】
本発明にかかる吸着層は、吸臭剤である疎水性ゼオライトを含む総顔料成分を30〜70重量%含有することが好ましく、より好ましくは45〜65重量%である。含有率が30重量%未満であると、吸着層の熱収縮率の差違がバリアー層と大きくなり加熱成型時にしわ等が発生し易い、70重量%超とすると、成形が困難となる。前記吸臭剤以外の顔料成分としては、吸湿性能やガス吸着性能等の機能性を特に持たない顔料を用いてもよいし、機能を有する顔料を含有させれば様々な複合的な効果が得られる。このような顔料としては、合成ゼオライト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アルミナ、シリカ、マイカ、タルク、カーボン及び活性炭が挙げられる。
【0015】
合成ゼオライトは、吸着速度が速いため水分を素速く吸着することができる。合成ゼオライトであるモレキュラーシーブは、分子の大きさの違いによって物質を分離するのに用いられる多孔質の粒状物質であり、均一な細孔をもつ構造であって、細孔の空洞に入る小さな分子を吸着して一種のふるいの作用をする。本発明において吸着口径は0.3nm〜1nmが好ましい。通常、細孔径が0.3nm、0.4nm、0.5nm、1nmのモレキュラーシーブを、それぞれモレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13Xと称する。また、モレキュラーシーブの平均粒子径は、例えば10μm前後のものが用いられる。
【0016】
なお、モレキュラーシーブの吸着特性は、細孔径が関与しており、水分の吸着特性を高めるには、モレキュラーシーブの粉末をより細かくすることで、実質的に表面積を広くし、細孔の数を増やすことで対応することができる。
【0017】
主吸着層の樹脂成分は、少なくとも1種類のメルトフローレートが10以上であり、かつ低融点(低軟化点)、低温ドローダウン性に優れた樹脂であることが好ましい。メルトフローレートが10以上の樹脂であれば、吸臭剤を添加することでメルトフローレートが低下しても、ある程度の流れ特性を確保することができる。また、低融点であれば、樹脂が低温で軟化することで、低温押出が可能となり、発泡のおそれを回避できる。低温ドローダウン性に優れた樹脂であれば、吸臭剤を添加したとしても押出成形機による押出成形が容易である。
【0018】
このような観点から主吸着層の樹脂としては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、各種共重合体(コポリマー)として、アイオノマー(例えば、エチレンアクリル酸共重合体の塩)、EAA(エチレンアクリル酸共重合体)、EMAA(エチレンメタクリル酸共重合体)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、EEA(エチレンエチレンアクリレート共重合体)、EMA(エチレンメチルアクリレート共重合体)及びEMMA(エチレンメチルメタクリレート共重合体)等が挙げられ、前記顔料を高含有率で含むことで熱収縮率をポリプロピレンと同等とするためには本発明でバリアー層に好ましく用いられるポリプロピレン、該ポリプロピレンの熱収縮率に近いLDPE及びLLDPEが好ましい。
【0019】
副吸着層の樹脂材料は、主吸着層が本発明でバリアー層に好ましく用いられるポリプロピレンと熱収縮率を同等とするため、該主吸着層を挟み込む副吸着層も熱収縮率を同等とするため、LDPE、LLDPE及びポリプロピレンが好ましい。
【0020】
吸着層は、樹脂と吸着剤をインフレーション法、Tダイ法、共押出等の押出成型又は射出成型することによりフィルム状又はシート状に形成され、特にはインフレーション法又はTダイ法による多層フィルムが好ましい。多層のインフレーション法は、複数の押出し機で溶融した樹脂をチューブ状に押出しし、この中に空気を送って膨らませ、多層フィルムを製造する方法である。吸着層の構造としては、2種3層又は3種3層が好ましい。
【0021】
本発明における吸着層の膜厚は30μm〜200μmが好ましい。主吸着層の膜厚は10μm〜190μmが好ましく、副吸着層は5μm〜190μmが好ましい。
【0022】
バリアー層に用いられる樹脂としては、外部からの水分や酸素等の浸入を防ぎ、防湿性に優れているものがよく、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル及びポリエチレンテレフタレート等が挙げられる、特にはポリプロピレンが好ましい。
【0023】
吸着層とバリアー層とを貼り合わせる方法としては、ドライラミネート、サンドラミネーション及び押出しラミネート等が挙げられる。ドライラミネートは接着剤を塗布し乾燥させた後、加圧し、接着剤を硬化させて貼り合わせる方法で、押出しラミネートは複数の押出し機で溶融した接着層用樹脂を押出し貼り合わせる方法で、サンドラミネーションは接着剤で塗布した基材と貼り合わせる側のフィルムとの間に溶融した吸着層用樹脂を押出し貼り合わせる方法である。
【0024】
貼り合わせることにより得られたPTPブリスター用フィルムの膜厚は、50μm〜500μmが好ましく、より好ましくは100μm〜400μmである。50μm未満ではバリアー性と強度が不足し、500μmを超えると硬過ぎて薬剤等のPTP内容物を押す際に変形しづらくなり内容物の取り出しが困難になる。
【実施例】
【0025】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
マスターバッチ1(MB1)として、疎水性ゼオライト(商品名:ABSCENTS3000)が50重量部に対して、LDPE(商品名:ペトロセン204、東ソー社製)50重量部を混練してペレット状の粒状樹脂を形成した。
【0027】
マスターバッチ2(MB2)として、モレキュラーシーブ3Aが75重量部に対して、LDPE(商品名:ペトロセン204)25重量部を混練してペレット状の粒状樹脂を形成した。
【0028】
マスターバッチ3(MB3)として、モレキュラーシーブ13Xが50重量部に対して、LDPE(商品名:ペトロセン204)75重量部を混練してペレット状の粒状樹脂を形成した。
【0029】
マスターバッチ4(MB4)として、疎水性ゼオライトが10重量部に対して、LDPE(商品名:ペトロセン204)90重量部を混練してペレット状の粒状樹脂を形成した。
【0030】
(実施例1−1)
吸着層の樹脂として、主吸着層にマスターバッチ1のみ、副吸着層にマスターバッチ4のみ、を用いて多層インフレーション法により2種3層フィルムを作製した。2種3層フィルムの膜厚は、副吸着層/主吸着層/副吸着層=10μm/50μm/10μmである。
【0031】
得られた2種3層フィルムの一方のポリプロピレン10μm側の接着性を向上させるためにコロナ処理を行った。このポリプロピレン10μm側に熱収縮履歴を追い焼きにより解除した膜厚250μmのPTP用ポリプロピレンフィルム(商品名:CPPE0025NA、三菱樹脂社製)を、ドライラミネート法により貼り合わせてPTPブリスター用フィルムを形成した。
【0032】
(実施例1−2)
実施例1−1において、主吸着層でマスターバッチ1を80重量部とLLDPE(商品名:エボリーSP2020)20重量部に変更した以外は、同様にしてPTPブリスター用フィルムを作製した。
【0033】
(実施例1−3〜1−6)
実施例1−2において、主吸着層のマスターバッチ1とLLDPEとの混合比率を表1に示した様に変更した以外は、同様にして吸着フィルムを作製した。
【0034】
(比較例1−1)
実施例1−1において、主吸着層のマスターバッチ1をマスターバッチ2に変更した以外は、同様にしてPTPブリスター用フィルムを作製した。
【0035】
(比較例1−2〜1−6)
実施例1−2において、主吸着層のマスターバッチ1とLLDPEとの混合比率を表2に示した様に変更した以外は、同様にして吸着フィルムを作製した。
【0036】
(実施例2−1)
実施例1−1において、主吸着層でマスターバッチ1を90重量部とマスターバッチ3を10重量部に変更した以外は、同様にして吸着フィルムを作製した。
【0037】
(実施例2−2〜2−6)
実施例2−1において、主吸着層のマスターバッチ1とマスターバッチ3との混合比率を表3に示した様に変更した以外は、同様にして吸着フィルムを作製した。
【0038】
上記の作製方法により得られたPTPブリスター用フィルムを、ブリスターパック成形機(CKD(株)製)にてPTP成形を行い、成形性を次の様に評価した。結果を表1〜表3に示す。
成形性の評価方法は、
○:PTP成形時にしわ等がよらず良好
△:PTP成形時に一部にしわの発生が見られる
×:PTP成形時にしわが発生し不良
【0039】
また、2本のバイアル瓶にトリエチルアミン又はトルエンを滴下し、一方にはPTPブリスター用フィルムを入れ、密栓する。バイアル瓶を40℃の恒温槽中に24時間置く。その後開封した時の臭いを嗅ぎ(官能試験)、吸臭性を○:臭いが減少した、×:変化なしと評価した。結果を表1〜表3に示す。
【0040】
【表1】


【0041】
【表2】


【0042】
【表3】


【0043】
表1〜表3の結果から、アルミニウムピロー袋に吸臭剤を同梱しなくても、吸臭効果を維持することのできるPTPブリスター用フィルム及びその包装容器を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のPTPブリスター用フィルムの概略断面図である。
【図2】本発明のPTPブリスター用フィルムの別の概略断面図である。
【図3】本発明のPTPブリスター用包装容器の概略断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 吸着フィルム
2 吸着層
2a 主吸着層
2b 副吸着層
3 バリアー層
4 アルミニウム箔
5 内容物
【出願人】 【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
【住所又は居所】東京都文京区小石川4丁目14番12号
【出願日】 平成17年5月31日(2005.5.31)
【代理人】 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平

【識別番号】100122921
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 博

【識別番号】100130029
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道雄

【公開番号】 特開2006−334819(P2006−334819A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−159353(P2005−159353)