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【発明の名称】 ワーククランプ装置
【発明者】 【氏名】鈴木 政治
【住所又は居所】神奈川県愛甲郡愛川町中津4007番地 マキノジェイ株式会社内

【要約】 【課題】ワークの固定によるワーク保持位置の狂いやワークの歪みを生じさせることのないワーククランプ装置を提供する。

【解決手段】クランプアーム13の第1端部15には略半球面状の受容孔すなわち凹部27が形成され、さらにクランプヘッド19には略半球面状の受容孔すなわち凹部29が形成される。一方連結部材23は、クランプアーム13の凹部27と相補的な球面形状を備えて凹部27に枢支される凸部すなわちアーム側端部31と、クランプヘッド19の凹部29と相補的な球面形状を備えて凹部29に枢支される凸部すなわちヘッド側端部33とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械のワーク取付部に加工すべき被加工物を押圧して固定するワーククランプ装置において、
前記被加工物に当接し押圧するためのクランプヘッドと、
前記クランプヘッドを前記被加工物に対して押圧及び押圧解除可能に設けたクランプアームと、
前記クランプアームと前記クランプヘッドとの間に設けられ、前記クランプアーム及び前記クランプヘッドの双方に対して任意の方向に旋回可能に連結される連結部材と、
を具備することを特徴としたワーククランプ装置。
【請求項2】
前記連結部材を前記クランプアーム及び前記クランプヘッドの適所に保持するための線状部材をさらに有し、前記線状部材は前記連結部材に設けられた貫通孔を通って延び、前記線状部材の両端は前記クランプアーム及び前記クランプヘッドに固定される請求項1に記載のワーククランプ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のテーブル、パレット、イケール、治具プレート等のワーク取付部に加工すべき被加工物を押圧して固定するワーククランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において加工すべき被加工物すなわちワークを所定位置に固定するワーククランプ装置には種々のものがあるが、例えば図4に示すような、アーム駆動機構53、該駆動機構に一端が取付けられたクランプアーム55、及びクランプアーム55の他端に取付けられたクランプ棒57を有するスイング式ワーククランプ装置51が知られている。
【0003】
また特許文献1には、クランプアームの傾斜の影響を排除することを目的としたワーククランプ装置が開示されている。この装置は、クランプアーム下部に球面状の凹面及び凸面をそれぞれ備えた2つの部材を設けることにより、アームの傾斜を吸収してクランプパッドの軸線にずれが生じないようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2564230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に誇張して示すように、従来のワーククランプ装置を用いてワークWを押圧して固定する場合、クランプ力によってクランプアーム55に僅かではあるが撓みが生じる。このため、アーム55の先端にあるクランプ棒57は図面右側に僅かに変位しようとする。従ってワークWは、クランプ棒57によってその変位方向に引き摺られることになり、ワークWの保持位置の狂いや、さらに図示しないが2つのクランプ棒を例えばワークWの互いに反対側で用いる場合はワークWに引張り応力又は圧縮応力による歪みが生じ、加工精度の低下につながる虞がある。
【0006】
また、特許文献1に記載のワーククランプ装置は、アームの傾斜によるクランプパッドの軸線の傾斜を防止することができるので、アームとパッドとの接触部位の位置が変わらずにアームの傾斜だけが変化する場合には有効であると考えられる。しかし、図4及び図5に示すようなワーククランプ装置の場合は、アームの撓みによってアームとパッド又は連結棒との接続部位がアーム駆動機構側に変位してパッド自体を変位させようとする力が働くので、アームとパッドとの間だけを摺動可能にしただけでは、上述のワークに対する連結棒の「引き摺り作用」を完全には排除できない。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークの押圧固定によるワーク保持位置の狂いやワークの歪みを生じさせることのないワーククランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、工作機械のワーク取付部に加工すべき被加工物を押圧して固定するワーククランプ装置において、前記被加工物に当接し押圧するためのクランプヘッドと、前記クランプヘッドを前記被加工物に対して押圧及び押圧解除可能に設けたクランプアームと、前記クランプアームと前記クランプヘッドとの間に設けられ、前記クランプアーム及び前記クランプヘッドの双方に対して任意の方向に旋回可能に連結される連結部材と、を具備するワーククランプ装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のワーククランプ装置において、前記連結部材を前記クランプアーム及び前記クランプヘッドの適所に保持するための線状部材をさらに有し、前記線状部材は前記連結部材に設けられた貫通孔を通って延び、前記線状部材の両端は前記クランプアーム及び前記クランプヘッドに固定されるワーククランプ装置を提供する。
【0010】
連結部材がクランプアーム及びクランプヘッドの双方に対して任意の方向に旋回可能に連結されているので、クランプアームによりクランプヘッドを押圧したとき、クランプアームが変形しても、連結部材が前後左右、回転方向の変位を吸収し、クランプヘッドが変位することなくワークに対して所定のクランプ力を付与することができる。そして、連結部材の貫通孔を通って線状部材が設けられ、その線状部材の両端はクランプアーム及びクランプヘッドに固定されているので、ワークを垂直面や傾斜面に固定するためワーククランプ装置を傾けて使用する場合、この線状部材によって連結部材及びクランプヘッドの重力による傾斜あるいは脱落を防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るワーククランプ装置によれば、クランプによってワークに歪みを生じさせずにワークを所定位置に、所定のクランプ力で固定することができる。また、クランプ力不足で加工中にワークの位置が変位することもない。従って、ワークの加工精度が向上する。特に剛性の低いワークでも所定のクランプ力で確実に固定することができ、精度良く加工ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図3(a)〜(c)は、本発明に係るスイングクランプ式のワーククランプ装置11の概略図である。ワーククランプ装置11は、第1端部15及び第2端部17を備えたクランプアーム13と、クランプ座すなわちクランプヘッド19と、被加工物すなわちワークWを載置する治具プレート21と、クランプアーム13の第1端部15とクランプヘッド19とを連結する連結部材23とを有する。クランプアーム13の第2端部17は、アーム駆動機構25に接続される。アーム駆動機構25は、図3(a)〜(c)における上下方向にクランプアーム13を上下動させることができるとともに、その上下動方向に沿う直線を中心としてクランプアーム13を旋回させることもできる。従って、ワークWを加工するときは、先ず図3(a)の状態(すなわちクランプアーム13がワークWからいくらか離れた位置に旋回している状態)でワークWを治具プレート21上の所定位置に配置し、次にアーム駆動機構25が、クランプヘッド19がワークW上の所定位置に達するまでクランプアーム13を旋回させ(図3(b))、最後にアーム駆動機構25がクランプアーム13の第2端部17を下方に引き下げて、それによりクランプヘッド19がワークWに当接して所定のクランプ力を生じさせてワークWを固定する(図3(c))。
【0013】
図1は、図3における連結部材23付近の拡大断面図である。図示するように、連結部材23の両端部は、それぞれクランプアーム13及びクランプヘッド19に枢結される。より詳細には、クランプアーム13の第1端部15には略半球面状の受容孔すなわち凹部27が形成され、さらにクランプヘッド19には略半球面状の受容孔すなわち凹部29が形成される。一方連結部材23は、クランプアーム13の凹部27と相補的な球面形状を備えて凹部27に枢支される凸部すなわちアーム側端部31と、クランプヘッド19の凹部29と相補的な球面形状を備えて凹部29に枢支される凸部すなわちヘッド側端部33とを有する。従って、連結部材23は、クランプアーム13及びクランプヘッド19の双方に対して任意の方向に旋回可能である。このような構造によれば、図2に示すように、クランプアーム13がクランプ力によって撓みを生じた場合に、クランプアーム13の第1端部15が図面右側すなわちアーム駆動機構側に変位することによって連結部材23のアーム側端部31も図面右側に変位させられても、生じる変化は連結部材23がいくらか傾斜することだけであり、ワークWに当接するクランプヘッド19の位置及び傾きは変化しない。従ってクランプヘッド19は、ワークWに対してワークWが治具プレート21上を摺動するような力を加えることはなく、ワークWの安定した固定状態を維持することができる。
【0014】
また図1に示すように、好ましくは、連結部材23は線状部材35によってクランプアーム13及びクランプヘッド19に接続される。連結部材23は、アーム側端部31の先端からヘッド側端部33の先端まで略直線状に連結部材23を貫通する貫通孔37を有し、線状部材35は貫通孔37を通り、線状部材35の両端はクランプアーム13及びクランプヘッド19の凹部27及び29にそれぞれ接続される。線状部材35により、連結部材23はクランプアーム13及びクランプヘッド19に対して適所に維持される。また線状部材35を用いたこのような構成は、垂直な治具プレートに対してワークを把持する場合(すなわち図3を90°回転させた状態)において特に有効であり、すなわち連結部材23が下方に垂れることを防止し、連結部材23を常に最適な状態に維持することができる。
【0015】
線状部材35の両端の各凹部27及び29への接続は、クランプアーム13及びクランプヘッド19に対する連結部材23の旋回を妨げない限りにおいてどのような方法であってもよい。例えば図示するように、線状部材35の直径よりいくらか大きい直径の穴39及び41を凹部27及び29にそれぞれ設けて、穴39及び41に適合する形状のブッシュ43及び45に線状部材35の両端を予め固定しておき、ブッシュ43及び45をそれぞれ穴39及び41内に挿入し固定してもよい。
【0016】
上述のように、連結部材23の端部31及び33はそれぞれクランプアーム13及びクランプヘッド19の凹部27及び29に対してアームの撓みに応じて摺動可能でなければならないので、連結部材23の貫通孔37は、上記摺動による連結部材23の傾斜によって線状部材35にせん断力が作用しないように、全体的に大きい直径を有するように形成されるか、あるいは図1に示すように両端においてラッパ状に拡径していることが好ましい。貫通孔37の両端をどの程度拡径させればよいかは、実際のクランプアーム13の撓みによる連結部材23の傾斜の程度に基づいて定める。
【0017】
線状部材35は、クランプアーム13の撓みによって連結部材23が傾斜したときに弾性変形域内で変形する限りにおいて、いかなる材質及び構成であってもよく、例えば、ピアノ線のような弾性のある鋼線が好ましい。
【0018】
本実施形態は、スイングクランプ式の装置として説明されているが、トークランプ装置等の他の方式のクランプ装置であってもよい。また本実施形態は、クランプアーム側及びクランプヘッド側に凹部を形成し、連結部材側にそれらに対応する凸部を形成する構造を有するが、その逆、すなわちクランプアーム側及びクランプヘッド側に凸部を形成し、連結部材側にそれらに対応する凹部を形成する構造であってもよいし、連結部材のいずれか一方が凸部を有し他方が凹部を有する構造であっても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のワーククランプ装置の連結部材付近の拡大断面図である。
【図2】図1において、クランプアームに撓みが生じたときの状態を示す断面図である。
【図3】(a)本発明に係るワーククランプ装置の概略図であって、クランプアームがワークから離れた位置に旋回している状態を示す図であり、(b)クランプアームがワーク側に旋回した状態を示す図であり、(c)クランプアームが下方に引き下げられて、クランプヘッドがワークに当接した状態を示す図である。
【図4】従来のワーククランプ装置の概略図である。
【図5】図4において、クランプアームに撓みが生じたときの概略図である。
【符号の説明】
【0020】
11 ワーククランプ装置
13 クランプアーム
19 クランプヘッド
23 連結部材
35 線状部材
W ワーク
【出願人】 【識別番号】594190068
【氏名又は名称】マキノジェイ株式会社
【住所又は居所】神奈川県愛甲郡愛川町中津4007番地
【出願日】 平成16年9月24日(2004.9.24)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100082898
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 雅也

【公開番号】 特開2006−88269(P2006−88269A)
【公開日】 平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願番号】 特願2004−276753(P2004−276753)