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【発明の名称】 高反射率と高伝導率を有する金属の溶接方法と金属製部材
【発明者】 【氏名】草野 勝彦
【住所又は居所】新潟県西蒲原郡吉田町大字法花堂1974番地1 カットウエル株式会社内

【要約】 【課題】ヤグレーザ溶接は、様々な金属の中でも厚さ1mm程度以下の金属の溶接に優れているが、高反射率と高伝導率を有し厚さが1.5mm以上の金属を溶接すると、溶接した個所が大きく歪み、様々な弊害を引き起こすため使用に耐えなかった。

【解決手段】高反射率と高熱伝導率を有する厚さ1.5mm以上の金銀銅等の複数の金属1,4を当接して溶接するヤグレーザ溶接方法において、前記複数の金属1,4を当接し、該当接した複数の金属1,4の当接部に段差を設け、該段差と段差に添えた溶接棒にヤグレーザYAGを照射し溶融して溶接することを特徴とする高反射率と高伝導率を有する金属の溶接方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高反射率と高熱伝導率を有し、厚さが1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属を当接させて溶接する溶接方法であって、
前記複数の金属を当接させ、該当接した複数の金属の当接部に設けた段差近傍と該段差に添えた溶接棒の先端部にヤグレーザを照射し、該段差近傍と段差に添えた溶接棒の先端部を溶融させて溶接することを特徴とする高反射率と高伝導率を有する金属の溶接方法。
【請求項2】
高反射率と高熱伝導率を有し、厚さが1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属を当接させて溶接する金属製部材であって、
前記当接させた複数の金属と、
該当接させた複数の金属の当接部に設けた段差と、
該段差に添える溶接棒と、
を備え、
前記当接させた複数の金属の段差近傍と段差に添えた溶接棒の先端部とにヤグレーザを照射して溶融し、該段差にビードを形成しながら溶接することを特徴とする金属製部材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、高反射率と高伝導率を有する金属の溶接方法と金属製部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ヤグレーザは、ビーム品質と高出力に優れ、光ファイバーを利用して任意の方向に送れるため、金属加工の自由度が大きいレーザであり、様々な金属の溶接に多様され、中でも厚さ1mm程度以下の薄い金属の溶接に優れている。
【0003】
従来、ヤグレーザ溶接により厚さが1.5mm以上(3mmや10mm・・・等)の高反射率と高伝導率を備えた金、銀、銅等の金属を溶接するには溶け込みを深くする必要から長時間加熱が必要であり、その長時間加熱した熱が溶接部の周囲に広がり、溶接部近傍が歪みやすかった。
【0004】
又、前記のような厚い金属を溶接する際に多用される溶接方法としてロウ付け溶接がある。ロウ付け溶接によるときは、図3に示すように例えば、高反射率と高熱伝導率を有し厚さ12mmの銅板Xを用意し、この銅板Xに水を流通させる流通溝X1を形成する(流通溝X1のない場合も同様である)。流通溝X1は、銅板Xの外周と連通孔X2により連通している。別途厚さ3mmの銅板Yを用意する。銅板Xと銅板Yとは同形状である。銅板Xの流通溝X1を覆うように銅板Yを銅板Xに重ねたときの銅板Xと銅板Yの対向する少なくとも接触面の間にロウ材を挟み、用意した真空チャンバー内で加熱溶接する。
【0005】
上記のようなロウ付け溶接は、高価な真空チャンバーが必要であり、溶接用ワークを真空チャンバー内に移動するまでの準備作業も必要であり、更に真空チャンバー内で溶接する場合、真空チャンバーの外から遠隔操作するため常温下の作業とは異なり作業性が劣る。又、電子ビーム溶接の場合もロウ付け溶接の場合と同様真空チャンバー内で溶接する必要がある。従って、ロウ付け溶接もロウ付け溶接も溶接作業の作業性が劣る上に高価な真空チャンバーの設置が必要であり、溶接コストを高くしていた。
【0006】
ヤグレーザ溶接の従来例として、特許文献1として特開2002−207141号や特許文献2として特開2003−1456号等の出願がある。これらの出願に使われている金属は、何れも鉄やステンレスなど低反射率と低伝導率の金属であり、ヤグレーザの優れた特徴を最大限活かせる物性を備えた金属であるが、前述の高低反射率と高伝導率の金属をヤグレーザにより溶接する技術はなかった。
【特許文献1】特開2002−207141号文献
【特許文献2】特開2003−1456号文献
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようにヤグレーザ溶接により高反射率と高伝導率を有し厚さが1.5mm以上の金属を溶接すると、溶接した個所が大きく歪み、前述したように様々な弊害を引き起こすため使用に耐えなかった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み、高反射率と高伝導率を有し厚さが1.5mm以上の金属をヤグレーザ溶接により殆ど歪まずに溶接できる方法と歪みの殆どない金属製部材を提供するとともにヤグレーザ溶接により前記金属を歪みも少なく高精度に溶接し且つ低コストで溶接しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1の金属の溶接方法は、高反射率と高熱伝導率を有する厚さ1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属を当接させてヤグレーザ溶接方法により溶接するものであり、前記複数の金属を当接させ、該当接した複数の金属の当接部に設けた段差と段差に添えた溶接棒の先端部にヤグレーザを照射し溶融させて溶接することを特徴とする。
【0010】
請求項2の金属製部材は、高反射率と高熱伝導率を有し、厚さ1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属を当接させてヤグレーザにより溶接する金属製部材であって、前記当接させた複数の金属と、該当接させた複数の金属の当接部に設けた段差と、該段差に添える溶接棒と、を備え、前記当接させた複数の金属の段差近傍と該段差に添えた溶接棒の先端部とにヤグレーザを照射して溶融し、該段差にビードを形成しながら溶接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載の金属の溶接方法によれば、高反射率と高熱伝導率を有する厚さ1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属の溶接部に段差を設け、該段差近傍と段差に添えた溶接棒の先端部にヤグレーザを照射し溶融して溶接すると、これらの複数の金属が殆ど歪みもなく溶接できるという優れた効果を奏する。この溶接方法は、ロウ付け溶接や電子ビーム溶接とは異なり真空チャンバーが無用で設備費が安く且つ作業性が高いから前記金属製部材を低コストで溶接できる。
【0012】
請求項2記載の金属製部材は、前記請求項1の優れた効果を有する溶接方法により溶接することにより、高反射率と高熱伝導率を有する厚さ1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属の当接部に段差を設け、この段差に溶接棒に添え、ヤグレーザを照射し溶融して該段差にビードを形成しながら溶接したので、これらの複数の金属が殆ど歪みもなく部品の精度の劣化もなく溶接でき、且つ低コストで提供できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面を参照して説明する。図1は、本発明の金属製部材の実施例を示す分解斜視図であり、図2は、同金属製部材の溶接時の拡大縦断面図である。図示したように高反射率と高熱伝導率を有し厚さ12mmの銅板1を用意し、この銅板1に水を流通させる流通溝2を形成する。流通溝2は、銅板1の外周と連通孔3により連通している。別途厚さ3mmの銅板4を用意し、流通溝2を覆うように銅板1に重ねる。重ねた銅板1と銅板4の両者の外周には互いに段差が生ずるように重なっている。
【0014】
この階段状に重ねられた銅板1と銅板4の段差のL型の角に溶接棒(図示せず)を添え、添えた溶接棒と溶接棒近傍の銅板1と銅板4のL型の角にヤグレーザを照射し、溶接棒の先端と溶接棒近傍の銅板1と銅板4の3者を順次溶融しながらビード5を形成して溶接する。
【0015】
上記のようなヤグレーザ溶接は、ロウ付け溶接や電子ビーム溶接とは異なり、高価な真空チャンバーなしの常温下で溶接できる。真空チャンバー内のような遠隔操作を必要としないから溶接作業の作業性も高く、且つ、溶接による歪みも殆ど生ぜず、溶接した金属製部材を高精度且つ低コストで提供できる。
【0016】
尚、前記実施例は、内部に水を流通させる水流通溝を有する銅製部材を示しているが、高反射率と高熱伝導率を有し厚さが1.5mm以上の金、銀、銅等の複数の金属を当接させ段差を形成しヤグレーザ溶接法により溶接する諸々の金属製部材に施すことができる。又、例示した実施例の寸法等、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の高反射率と高伝導率を有する金属の溶接方法と金属製部材は、高反射率と高伝導率を有する金属を使用した金属製部材の溶接に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の金属製部材の一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】図2の金属製部材の溶接状態を示す拡大縦断面図である。
【図3】従来のロウ付け溶接による金属製部材の実施の形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 銅板
2 流通溝
3 連通孔
4 銅板
5 ビード
【出願人】 【識別番号】592042624
【氏名又は名称】カットウエル株式会社
【住所又は居所】新潟県西蒲原郡吉田町大字法花堂1974番地1
【出願日】 平成16年10月18日(2004.10.18)
【代理人】 【識別番号】100099863
【弁理士】
【氏名又は名称】中倉 和彦

【公開番号】 特開2006−110608(P2006−110608A)
【公開日】 平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願番号】 特願2004−302552(P2004−302552)