| 【発明の名称】 |
割れ目模様の被膜の作製方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大野 佐市 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町13635−1 有限会社八光鈑金塗装工業所内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の(1)から(4)の工程を少なくとも有し、中塗り塗膜に亀裂が生じ、該亀裂によって割れ目模様が形成されることを特徴とする割れ目模様の被膜の作製方法。 (1)被塗物表面に、二液性塗料を除いた下地塗料であってシンナーで希釈したものを塗布して下地塗膜を形成させる下地塗膜形成工程 (2)前記下地塗膜を形成した被塗物を所定の時間、常温で放置することにより乾燥させる下地塗膜乾燥工程 (3)次いで、前記下地塗膜上に、前記下地塗料よりも乾燥時に収縮率が高い材質の中塗り塗料であってシンナーで希釈したものを塗布して中塗り塗膜を形成させる中塗り塗膜形成工程 (4)前記中塗り塗膜を形成した被塗物を所定の時間、常温で放置し又は乾燥機で加温保持することにより乾燥させる中塗り塗膜乾燥工程 【請求項2】 前記請求項1に記載の割れ目模様の被膜の作製方法において、前記中塗り塗膜乾燥工程後、さらに、該中塗り塗膜上に、クリア塗料を少なくとも1回塗布する工程(クリア塗装工程)を有すること。 【請求項3】 前記請求項2に記載の割れ目模様の被膜の作製方法において、クリア塗装工程後少なくとも1時間以上常温放置し、又は少なくとも10分間以上乾燥機内で加温保持し、その後研磨加工工程を少なくとも1回以上を有し、さらに、最後にクリア塗装工程を有すること。 【請求項4】 前記請求項1乃至3に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法において、中塗り塗料の色彩を下地塗料と異なる色彩とすること。 【請求項5】 前記請求項1乃至3に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法において、下地塗料及び/又は中塗り塗料の色彩を少なくとも2色以上塗り重ねること。 【請求項6】 前記請求項1乃至3に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法において、下地塗膜形成工程中、被塗物表面の一部をマスキングすることにより、形成する下地塗膜の膜厚を制御すること。 【請求項7】 前記請求項1乃至6に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法において、下地塗料の膜厚を20μm乃至50μmとし、かつ、中塗り塗料の膜厚を20μm乃至50μmに塗布すること。 【請求項8】 前記請求項1乃至6に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法において、下地塗膜乾燥工程が、少なくとも20分間常温放置し、かつ、中塗り塗膜乾燥工程が、少なくとも3時間常温放置又は少なくとも30分乾燥機内で加温保持すること。 【請求項9】 前記請求項1乃至8に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法で形成された割れ目模様の被膜を有する花器。 【請求項10】 前記請求項1乃至8に記載のいずれかの割れ目模様の被膜の作製方法で形成された割れ目模様の被膜を有する置物。 【請求項11】 前記請求項1乃至8に記載のいずれかの割れ目模様の作製方法で形成された割れ目模様の被膜を有する宝飾品。 【請求項12】 前記請求項1乃至8に記載のいずれかの割れ目模様の作製方法で形成された割れ目模様の被膜を有するフィルムシート。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、乾燥時に収縮率の異なる材質の塗料を重ねて塗布することにより、意匠的効果の高い割れ目模様の作製方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 工業製品の付加価値を向上させ、国際競争力を高めるためにデザイン力の強化が求められており、塗装に関しても、意匠的効果の高い模様のニーズが高まっている。従来から意匠的効果の高い模様について広く研究されており、例えば模様塗装による、皮シボ(コーラーベース、レザートーン)、石目模様、木目模様など様々な色調、風合いの塗装がなされていたが、いずれも人工的な印象を免れないものが多い。 【0003】 また、塗料を塗り重ねて多彩模様を形成する方法も提唱されているが、下地塗料とは異なる色の塗料を単に部分的に重ねたり、重ねた後にふき取ったりしたものが多く、自然感がなく、変化に乏しいものが多かった。 【0004】 下地塗料を上塗り塗料に滲ませて自然な風合いを出そうとしたものもあるが(特許文献1)、ぼかし効果はあるものの、下地塗料と上塗り塗料で自然に構成された意匠的効果の高い模様を形成するものではなかった。 【0005】 一方、透明感のある下地塗料に高粘度の上塗り塗料を塗布し、不規則な模様を形成するものもあるが(特許文献2)、下地塗料と上塗り塗料の相互作用によって意匠的効果の高い模様を形成するものではなかった。 【0006】 【特許文献1】特開平5−237444 【特許文献2】特開2002−45787 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明はこれらの問題を解決し、下地塗料と中塗り塗料の相互作用により、亀裂によって割れ目模様が形成される意匠的効果の高い模様を有する被膜を製造することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明の発明者は、長年の塗装に関する経験と工夫により、下地塗料と中塗り塗料の性質の相違に着目して課題解決の知見を得たものである。 【0009】 上記目的を達成するため、本発明の第1の観点によれば、 (1)被塗物表面に、二液性塗料を除いた下地塗料であってシンナーで希釈したものを塗布して下地塗膜を形成させ(下地塗膜形成工程)、 (2)前記下地塗膜を形成した被塗物を所定の時間、常温で放置することにより乾燥させ(下地塗膜乾燥工程)、 (3)次いで、前記下地塗膜上に、前記下地塗料よりも乾燥時に収縮率が高い材質の中塗り塗料であってシンナーで希釈したものを塗布して中塗り塗膜を形成させ(中塗り塗膜形成工程)、 (4)前記中塗り塗膜を形成した被塗物を所定の時間、常温で放置し又は乾燥機で加温保持することにより乾燥させることで(中塗り塗膜乾燥工程)、 該中塗り塗膜に亀裂が生じ、該亀裂によって割れ目模様が形成されることを特徴とする割れ目模様の被膜の作製方法が提供される。 割れ目模様が形成されるのは、下地塗料と中塗り塗料の乾燥後の収縮率の相違により、亀裂が生じるためである。 【0010】 また、好ましくは、中塗り塗膜を形成させ乾燥させた後、さらに、クリア塗料を塗布する(クリア塗装工程)。クリア塗料を塗布することにより光沢と滑らかな表面を有した被膜ができるのである。 【0011】 また、さらに、好ましくは、クリア塗料の塗布後少なくとも1時間以上常温放置し、又は少なくとも10分間以上乾燥機内で加温保持し、その後研磨加工を行う工程(研磨加工工程)を少なくとも1回以上行い、最後にクリア塗装工程を行う。 【0012】 また、本発明の第2の観点によれば、中塗り塗料の色彩を下地塗料と異なる色彩にすることにより、亀裂によって形成される割れ目模様をより際立たせる割れ目模様を有する被膜の作製方法が提供される。また、下地塗料及び/又は中塗り塗料の色彩を少なくとも2色以上塗り重ねることで、色彩に富んだ割れ目模様を有する被膜を形成することができる。 【0013】 また、本発明の第3の観点によれば、下地塗膜を形成させる工程中、被塗物表面の一部をマスキングすることにより、形成される下地塗膜の膜厚を制御することを特徴とする亀裂によって形成される割れ目模様を有する被膜の作製方法が提供される。 【0014】 また、本発明の第4の観点によれば、下地塗料の膜厚を20μm乃至50μmとし、中塗り塗料の膜厚を20μm乃至50μmに塗布することを特徴とする意匠的模様を有する被膜を製造する方法が提供される。下地塗料の膜厚と中塗り塗料の膜厚を限定することにより、亀裂によって形成される割れ目模様を有する被膜がさらに確実に作製される。 【0015】 また、本発明の第5の観点によれば、下地塗料を塗布した後に少なくとも20分間常温放置し、かつ中塗り塗料を塗布した後に少なくとも3時間常温放置又は少なくとも30分乾燥機内で加温保持することを特徴とする亀裂によって形成される割れ目模様を有する被膜の作製方法が提供される。 塗料塗布後の時間を限定することにより、意匠的模様が形成される確度を一段と向上させることができる。 【0016】 本発明の第6の観点によれば、本発明の第1の観点乃至第5の観点おける製造方法で亀裂によって形成される割れ目模様が付加された花器、置物、宝飾品、或いはフィルムシートが提供される。 【発明の効果】 【0017】 本発明の第1の観点からは、下地塗料と中塗り塗料の性質の相違に基づき、自然に意匠的効果の高い亀裂模様が形成される。亀裂の幅や深さ、一定面積中の亀裂の形成頻度は下地塗料の膜厚、中塗り塗料の膜厚により変動する。中塗り塗料塗装後にクリア塗装をするのは仕上がりの美麗性、製品の耐久性を確保するためである。被塗材としては、鉄、アルミ二ウム、ステンレス等の金属、木材、プラスチック等大部分の素材が可能であり、本件発明の意匠的効果の高い亀裂模様を有した塗膜の形成が可能である。又、塗膜自体を装飾シートとして適用し、工業製品、建築製品等のデザイン性を向上させることができる。 また、研磨工程を挟みながら、クリア塗料の塗装を複数回行うことにより、塗装膜表面が段差なく、より滑らかな仕上がり状態となる。又、形成された模様に艶が生じ、高級感を醸成できる。 【0018】 本発明の第2の観点からは、下地塗料の色彩と中塗り塗料の色彩を異なるものとすることにより、コントラスト鮮やかな意匠的効果の高い亀裂模様が形成される。下地塗料又は中塗り塗料を2色とすることも可能であり、例えば下地塗料を2色にし、中塗り塗料を当該2色以外の色と異なる色にした場合には、全体として3色の鮮やかな亀裂模様を形成できることとなる。 【0019】 本発明の第3の観点からは、下地塗膜を形成させる工程中、被塗物表面の一部をマスキングすることにより、形成される下地塗膜の膜厚を制御することにより、割れ目模様全体の中に、マスキングした部分のみ細かい割れ目の模様を形成できる効果がある。 【0020】 本発明の第4の観点からは、下地塗料の膜厚を20μm乃至50μmの範囲に設定し、かつ中塗り塗料の膜厚20μm乃至50μmの範囲に設定することにより、より高い確度で意匠的効果の高い模様を形成することができる。当該範囲の中で、中塗り塗料及び下地塗料の膜厚を厚くすれば、大きな亀裂によって割れ目の太い模様が形成され、薄くすれば小さな亀裂によって割れ目の細い模様が形成される。 【0021】 本発明の第5の観点からは、上塗り塗料塗布後少なくとも常温で20分間放置し、かつ中塗り塗料塗布後に少なくとも常温で3時間又は乾燥機内で30分加温保持することにより、更に高い確度で意匠的効果の高い割れ目模様の形成を実現できる。 【0022】 本発明の第6の観点からは、意匠的効果の高い亀裂によって形成された割れ目模様を付加した、デザイン性の高い花器などを作り出すことができる。例えば、本発明に係る割れ目模様を有する被膜の作製方法をひょうたんに施したものを花器として使用する場合、中に活けられる花と容器であるひょうたんがいずれも植物であるという、珍しい効果をもたらすもので、非価格競争力を有し、市場で高い評価を得る可能性が高い。 【0023】 また、意匠的効果の高い亀裂によって形成された割れ目模様を付加した置物や宝飾品などは、斬新かつ自然なデザインを有し、需要者にアピールする効果があり、また、自然発生的デザインが飽きの来ない高級感をもたらす。 【0024】 さらに意匠的効果の高い亀裂によって形成された割れ目模様を付加されたフィルムシートは、様々な物に貼り付けることで、その物に高級感をもたらすことができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0025】 以下、本発明に係る割れ目模様の被膜の作製方法の実施の形態を以下に説明する。 【実施例1】 【0026】 本実施例1では、ひょうたんを被塗物として本発明に係る割れ目模様の被膜の作製方法を実施した例を示す。ここで、使用した下塗り塗料、中塗り塗料、クリア塗料の材質、商品名を下記に示す。 【0027】 (下塗り塗料) 下塗り塗料は、シンナーで20%希釈したラッカーを使用した。なお、下塗り塗料はラッカーに限らないが、二液性でない塗料(硬化剤の含まれていない塗料)に限定される。ラッカーの色彩は金色とした。他の色でも構わないことは勿論であり、2色のラッカーを塗り重ねても良い。 【0028】 (中塗り塗料) 中塗り塗料は、有限会社シマモト製の塗料(商品名「模様塗料」)をシンナーで20%希釈して使用した。色彩は黒色とした。他の色でも構わないことは勿論であり、2色を塗り重ねても良い。 【0029】 (クリア塗料) クリア塗料は、デュポン社製の塗料「ウルトラプロダクティブクリア676S」を使用した。なお、クリア塗料は、仕上がりの美麗性、耐久性の観点から二液性のものが好ましい。 【0030】 以下に、図1に示す手順フローに従って、本発明に係る割れ目模様の被膜の作製方法の手順を詳細に説明する。 【0031】 (下地塗膜形成工程) 先ず、下地塗膜形成工程について説明する。下地塗膜形成工程とは、下塗り塗料としてシンナーで希釈したラッカーを、被塗物に塗装する工程である。具体的には、被塗物であるひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり回転させながら、スプレーガンを用いて、均一に吹き付ける。ここで、回転数は3乃至6回転が好ましい。形成する下地塗膜の膜厚は約40μmである。 【0032】 (下地塗膜乾燥工程) 下地塗膜形成後、常温で少なくとも30分以上放置し乾燥させる。 【0033】 (中塗り塗膜形成工程) 次に、中塗り塗料としてシンナーで希釈した模様塗料を、スプレーガンを用いてひょうたんに塗装する。ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり2回転させてスプレーガンの操作により塗膜厚さに変化をもたせつつ吹き付ける。塗膜の膜厚は薄いところ(図2のA領域)で約20μm、厚いところ(図2のB領域)で約40μmにする。ここで、中塗りの塗料は1色に限られるものではなく、複数色を塗り重ねることも可能である。 【0034】 (中塗り塗膜乾燥工程) 中塗り塗膜形成後、常温で約5時間放置する。なお、常温で放置する代わりに乾燥機で約60℃の条件下で1時間程度加温乾燥してもいい。常温で放置後1時間程度経過すると中塗り塗料に亀裂が生じると共に下地塗料が表出しだし、放置後3時間程度経過すると亀裂模様の形成が完了する。中塗り塗料の塗膜厚が小さい部分(図2のA領域)は亀裂による割れ目模様の開裂幅が小さくなり、塗膜厚が大きい部分(図2のB領域点)は亀裂による割れ目模様の開裂幅が大きくなって、全体としては割れ目模様の幅が小さな部分と大きい部分が自然に配され、模様のバランスと色彩のコントラストが巧みに組み合わされた意匠性の高い模様が形成される。 スプレーガンのエアー噴出量を変えてみたり、トリガーの引き具合を変えてみたりすることでさらに多彩な模様を形成することも可能である。 【0035】 ここで、亀裂によって割れ目模様が作られる原理について図3を用いて説明する。図3で、塗膜厚が小さな部分(a点:図2でA領域の細い割れ目の箇所)では亀裂が浅く、塗膜厚が大きい部分(b点:図2でA領域の太い割れ目の箇所)では亀裂が深くなっている。これは、中塗り塗料に含まれるシンナーが下地塗料に浸透し、下地塗料を浸食するものによると考えられる。 【0036】 つまり、中塗り塗料の膜厚が大きい部分は乾燥に時間がかかり、より多量のシンナーが下地塗料に浸透し、下地塗料の亀裂深さも大きくなり割れ目模様の割れ目が太くなるのである。逆に、中塗り塗料の膜厚が小さい部分は乾燥に時間がかからず、少量のシンナーしか下地塗料に浸透せず、下地塗料の亀裂深さが小さくなり割れ目模様の割れ目が細くなるのである。 【0037】 (クリア塗装工程1) 中塗り塗膜乾燥後、光沢と滑らかな表面を有した被膜を形成するために、スプレーガンを用いてクリア塗装を行う。ここで、クリア塗膜の厚みは約20μmである。 【0038】 (研磨加工工程1) クリア塗装の後、320番手以上のペーパーで研磨する。 【0039】 (クリア塗装工程2) その後、再度クリア塗装を行う。クリア塗膜の厚みは約20μmである。 【0040】 (研磨加工工程2) 再度320番手以上のペーパーで研磨する。 【0041】 (クリア塗装工程3) その後、更にクリア塗装を行う。クリア塗膜の厚みは約20μmである。3度目のクリア塗装後の被膜全体の膜厚は合計で少なくとも60μm以上となっている。 【0042】 (乾燥工程) その後一日以上常温で放置するか、又は乾燥機内で約60℃の条件下で30分間程度乾燥させて完成である。 【実施例2】 【0043】 本実施例2では上部が大きく傾斜しているひょうたんを被塗物として本発明に係る割れ目模様の被膜の作製方法を実施した。 図4に、本実施例2の割れ目模様を有するひょうたんの外観写真を示す。なお、実施例2で使用した下塗り塗料、中塗り塗料、クリア塗料の材質、商品名等は実施例1と同じである。本実施例2の手順も、図1に示した実施例1の手順フローと同様であるが、一部の工程(下地塗膜形成工程と中塗り塗膜形成工程)が異なり、以下に説明する。 【0044】 (下地塗膜形成工程) 下塗り塗料としてラッカー(金色)を、スプレーガンを用いて塗装する。ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり回転させながら均一に吹き付ける。ここで、回転数は3乃至6回転が好ましい。吹き付けるラッカーの膜厚は実施例1より厚めの約50μmである。 【0045】 (下地塗膜乾燥工程) 下地塗膜形成後、常温で少なくとも30分以上放置する。 【0046】 (中塗り塗膜形成工程) 次に、中塗り塗料として模様塗料(黒色)を、スプレーガンを用いて塗装する。ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり2回転させてスプレーガンの操作により塗膜厚さに変化をもたせつつ吹き付ける。塗膜厚さは薄いところ(図4のC領域)で20μm、厚いところ(図4のD領域)で50μmと、全体に薄厚の差を実施例1よりも大きくした。なお、中塗りの塗料は1色に限られるものではなく、複数色を塗り重ねることも可能である。 【0047】 (中塗り塗膜乾燥工程) 中塗り塗膜形成後、常温で5時間程度放置する。なお、常温で放置する代わりに乾燥機内で、約60℃で1時間程度加温乾燥してもいい。 常温で放置後、図4の外観写真に示されるような、亀裂によって形成された割れ目模様の幅が大きな部分と小さな部分が対照的な、実施例1とは異なった印象の意匠性の高い割れ目模様が形成されるのである。 【0048】 ここで、実施例2で実施例1よりも割れ目模様の割れ目の太さの差が大きな模様が現れる原理について図5を用いて説明する。図5で、塗膜厚が実施例1と同程度に小さな部分(c点:図4でC領域の細い割れ目の箇所)では亀裂が実施例1と同程度に浅く、塗膜厚が実施例1よりも大きい部分(d点:図4でD領域の太い割れ目の箇所)では亀裂が実施例1よりも深くなっている。これは、実施例2の場合、実施例1よりも中塗り塗料に含まれるシンナーが下地塗料に浸透し、下地塗料を実施例1よりもより多く浸食するものによると考えられる。 【0049】 つまり、実施例2の場合は、実施例1よりも中塗り塗料の膜厚が大きい分、乾燥により多くの時間がかかり、実施例1よりも多量のシンナーが下地塗料に浸透し、実施例1よりも下地塗料の亀裂深さも大きくなり、割れ目模様の割れ目が太くなっているのである。 【0050】 その後、実施例1と同様、実施例1に示したクリア塗装工程、研磨加工工程などを実施し、被膜の仕上げを行って完成する。 【実施例3】 【0051】 本実施例3は、ひょうたんを被塗物として下地塗料を2色(例えば、金色と赤色の2色)の重ね塗りとして本発明に係る割れ目模様の被膜の作製方法を実施した。なお、使用した下塗り塗料、中塗り塗料、クリア塗料の材質、商品名等は実施例1と同じである。本実施例3の手順も、図1に示した実施例1の手順フローと同様であるが、一部の工程(下地塗膜形成工程と中塗り塗膜形成工程)が異なり、以下に説明する。 【0052】 (下地塗膜形成工程) 先ず、金色のラッカーを、スプレーガンを用いて均一にひょうたんに吹き付け塗装する。具体的には、ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり回転させながら、金色のラッカーをスプレーガンを用いて均一に吹き付ける。ここで、回転数は3乃至6回転が好ましい。形成するラッカー(金色)の膜厚は30μm程度である。 次に、赤色のラッカーを、金色のラッカーの塗膜上に、スプレーガンを用いて均一にひょうたんに吹き付け塗装する。ここで、回転数は2乃至3回転が好ましい。形成するラッカー(赤色)の膜厚は10μm程度である。 【0053】 (下地塗膜乾燥工程) 下地塗膜形成後、常温で約30分放置する。 【0054】 (中塗り塗膜形成工程) 次に、中塗り塗料として模様塗料(例えば、緑色)を、スプレーガンを用いて塗装する。ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり2回転させてスプレーガンの操作により塗膜厚さに変化をもたせつつ吹き付ける。塗膜厚さは薄いところで20μm、厚いところで40μm程度である。なお、中塗りの塗料は1色に限られるものではなく、複数色を塗り重ねることも可能である。 【0055】 (中塗り塗膜乾燥工程) 中塗り塗膜形成後、常温で5時間程度放置する。なお、常温で放置する代わりに乾燥機で、約60℃で1時間程度加温乾燥してもいい。常温で放置後、金色と赤色の2色の割れ目模様が形成される。この金色と赤色の2色の割れ目模様は、観る者により色鮮やかな意匠性の高い模様を感じさせることができる。 【0056】 ここで、亀裂によって色彩の異なる割れ目模様が作られる原理について図6を用いて説明する。図6で、塗膜厚が小さな部分(e点)では亀裂が浅く、塗膜厚が大きい部分(f点)では亀裂が深くなっている。これにより、e点では赤色が表出しているのに対し、f点では金色が表出し、金色と赤色の2色の割れ目模様が形成されるのである。 【0057】 なお、実施例1に示したクリア塗装工程、研磨加工工程などを実施し、被膜の仕上げを行い完成させる。 【実施例4】 【0058】 本実施例4は、ひょうたんを被塗物として下地塗料の膜厚を部分によって極端に変化させて割れ目模様を形成するものである。なお、使用した下塗り塗料、中塗り塗料、クリア塗料の材質、商品名等は実施例1と同じである。図7は、本実施例4で作製した割れ目模様の被膜を有するひょうたんの外観写真である。本実施例4の手順も、図1に示した実施例1の手順フローと同様であるが、一部の工程(下地塗膜形成工程と中塗り塗膜形成工程)が異なり、以下に説明する。 【0059】 (下地塗膜形成工程) 実施例1と同様に、被塗物であるひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり回転させながら、ラッカーをスプレーガンを用いて均一に塗装する。先ず、金色のラッカーを均一に約20μmの厚さで吹き付ける。回転数は2回転程度が好ましい。次に、中央部を環状にマスキングし、同色の金色のラッカーを約30μmの厚さで均一に吹き付ける。回転数は2回転程度が好ましい。この結果、マスキングで被覆した部分(図7のG領域)の塗膜厚は約20μm、それ以外の部分(図7のH領域)の塗膜厚は約50μmとなる。 【0060】 (下地塗膜乾燥工程) 下地塗膜形成後、常温で約30分放置する。 【0061】 (中塗り塗膜形成工程) 次に、中塗り塗料として模様塗料(黒色)を、スプレーガンを用いて塗装する。ひょうたんを回転テーブルに載せ、ゆっくり2回転させてスプレーガンの操作により塗膜厚さに変化をもたせつつ吹き付ける。塗膜厚さはほぼ均一に約40μmとする。ここで、中塗りの塗料は1色に限られるものではなく、複数色を塗り重ねることも可能である。 【0062】 (中塗り塗膜乾燥工程) 中塗り塗膜形成後、常温で5時間程度放置する。なお、常温で放置する代わりに乾燥機内で、約60℃で1時間程度加温乾燥してもいい。 常温で放置後、図7に外観写真に示すような、中央部にアクセントを有した意匠性の高い模様が形成される。 【0063】 その後、実施例1に示したクリア塗装工程、研磨加工工程などを実施し、被膜の仕上げを行い完成する。 【産業上の利用可能性】 【0064】 本発明は意匠的模様を有する被膜を提供し、花器、置物、宝飾品、電気製品、建材等幅広い分野において製品の魅力を向上させ需要喚起に資するものである。 【図面の簡単な説明】 【0065】 【図1】本発明に係る作製方法の手順フロー 【図2】実施例1で作製した割れ目模様の被膜を有するひょうたんの外観写真 【図3】実施例1の実施形態の被膜の断面イメージを表す模式図 【図4】実施例2で作製した割れ目模様の被膜を有するひょうたんの外観写真 【図5】実施例2の実施形態の被膜の断面イメージを表す模式図 【図6】実施例3の実施形態の被膜の断面イメージを表す模式図 【図7】本実施例4で作製した割れ目模様の被膜を有するひょうたんの外観写真 【符号の説明】 【0066】 A 実施例1における中塗り塗料の塗膜厚20μmの領域 B 実施例1における中塗り塗料の塗膜厚40μmの領域 C 実施例2における中塗り塗料の塗膜厚20μmの領域 D 実施例2における中塗り塗料の塗膜厚50μmの領域 G 実施例4における下塗り塗料の塗膜厚20μmの領域 H 実施例4における下塗り塗料の塗膜厚50μmの領域 a 実施例1における割れ目模様の割れ目の細い部分 b 実施例1における割れ目模様の割れ目の太い部分 c 実施例2における割れ目模様の割れ目の細い部分 d 実施例2における割れ目模様の割れ目の太い部分 e 実施例3における割れ目模様の割れ目の細い部分 f 実施例3における割れ目模様の割れ目の太い部分
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| 【出願人】 |
【識別番号】505009461 【氏名又は名称】有限会社八光鈑金塗装工業所 【住所又は居所】奈良県生駒市高山町13635−1
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| 【出願日】 |
平成17年1月6日(2005.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100123504 【弁理士】 【氏名又は名称】小倉 啓七
【識別番号】100127166 【弁理士】 【氏名又は名称】本間 政憲
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| 【公開番号】 |
特開2006−187729(P2006−187729A) |
| 【公開日】 |
平成18年7月20日(2006.7.20) |
| 【出願番号】 |
特願2005−1413(P2005−1413) |
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