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【発明の名称】 乾式電気分解による二酸化炭素分解装置および分解方法
【発明者】 【氏名】伊藤 鉱一
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】油井 雅之
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】山口 剛史
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】手塚 裕子
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内

【要約】 【課題】簡易な構成により低エネルギーで二酸化炭素を還元する、乾式電気分解による二酸化炭素分解装置および分解方法を提供すること。

【解決手段】二酸化炭素を含む気体が存在する反応槽11内に配置される陽陰の電極12と、前記電極間に電圧を印加する電圧発生装置13と、前記気体中の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素濃度調整手段14を備えたことを特徴とする二酸化炭素分解装置。二酸化炭素濃度を調整した雰囲気に、酸化されやすい金属からなる陰極と陽極を設置し、電極間に高電界を与えることで、陰極の金属の酸化反応により、二酸化炭素を還元し、もってより少ないエネルギーで二酸化炭素の分解を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を含む気体が存在する反応槽内に配置される陽陰の電極と、前記電極間に電圧を印加する電圧発生装置と、必要に応じて設けられる前記気体中の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素濃度調整手段と、を備えたことを特徴とする二酸化炭素分解装置。
【請求項2】
前記二酸化炭素濃度調整手段は、二酸化炭素の吸脱着が可能で且つ二酸化炭素透過機能を有する、媒体内蔵装置であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項3】
前記二酸化炭素濃度調整手段は、ガス供給手段であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項4】
前記陰極は、アルミニウム、亜鉛およびニッケルから選ばれる少なくとも一種の金属もしくはそれを含む合金からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項5】
前記電圧発生装置は、前記電極間に200V/mmから1500V/mmの電界が発生するように制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項6】
火力発電所の排ガス排気通路に設置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項7】
二酸化炭素を含む気体を陽陰の電極が配置された反応槽内に導入し、前記電極間に200V/mmから1500V/mmの電界を加え、前記反応槽内の二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素分解方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電所、製鉄分野、石油化学産業分野、一般化学工業分野等において利用できる乾式電気分解による二酸化炭素(CO)の分解装置および分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所、工場、自動車等の人間の社会的活動に伴って大気中に排出される二酸化炭素は地球温暖化の主たる原因であることが知られており、近年、この二酸化炭素の排出量を削減することが地球環境の保護の大きな課題となっている。これに対し、従来より、発電所等の排煙や大気中の二酸化炭素を処理するためのシステムが種々提案されている。
【0003】
二酸化炭素の処理方法としては、概ね生物的方法、海洋貯留や地中貯留といった隔離、および化学的方法が挙げられる。光合成を利用する生物的方法はかなりの量のCOの処理が期待でき、しかも熱帯林の保護や砂漠化防止にも役立つので、現在広範な植樹と微細藻類の多量かつ連続的な培養、増殖を行う研究開発が行われている。しかし、微細藻類による処理反応は、微細藻類の表面で進行するため、微細藻類でCOを処理するためには広大な面積の微細藻類が必要となる問題がある。また、植樹・植林も広大な土地が必要であり、成長するまでに何年にも亘る時間が必要となる。
【0004】
COの海洋貯留、地中貯留等、隔離によるものは、圧入時に圧縮や液化のエネルギーが必要なこと、長期的にCOが安定して隔離されているかまだ不明な点も多いこと、生物への影響など環境への悪影響が未知であること、といった課題がある。
【0005】
化学的反応による還元は、触媒反応を利用する方法や、電気化学的還元、光化学的還元に分けられる。電気化学的還元は、特殊な電極を使用して電解溶液中のCOを分解し、ギ酸、メタン等を常温で生成する方法等が知られているが、大規模な反応槽が必要であり、反応を促進させるためには大量の電気エネルギーを供給する必要がある。
【0006】
光化学的還元は、半導体を利用した光電極反応による還元であり、還元に必要なエネルギーを太陽光から得る。これはCOを溶かした水溶液中に光電極を入れ、光を当てることによって一方の電極で水を酸化して酸素を得、他方の電極でCOを還元してCOを得るものが知られている。しかし、光電極の性能が十分でなく、反応の安定性に課題がある。
【0007】
また、電気化学方のうち、乾式の電気分解を利用した処理方法としては、特許文献1に固体電解質を用いて二酸化炭素を還元、処理する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平9−85044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の二酸化炭素の処理方法は、二酸化炭素を一酸化炭素へ還元する際に反応部分を250〜650℃まで加熱する必要があるため、COの分解にエネルギーを必要とするので、このエネルギー源として化石燃料を使用すれば、二酸化炭素の排出量を低減したことにはならなくなる。
【0009】
従って、できるだけ低エネルギーで、二酸化炭素を分解できることが、実用化可否を決定する重要な要素であるといえる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、簡易な構成により低エネルギーで二酸化炭素を還元する、乾式電気分解による二酸化炭素分解装置および分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、乾式電気分解において、陰極を酸化されやすい金属とし、電極間に200V/mmから1500V/mmという高い電界を加えることにより、より少ないエネルギーで二酸化炭素の分解反応を実現できることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)二酸化炭素を含む気体が存在する反応槽内に配置される陽陰の電極と、前記電極間に電圧を印加する電圧発生装置と、必要に応じて設けられる前記気体中の二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素濃度調整手段と、を備えたことを特徴とする二酸化炭素分解装置、
(2)前記二酸化炭素濃度調整手段は、二酸化炭素の吸脱着が可能で且つ二酸化炭素透過機能を有する、媒体内蔵装置であることを特徴とする前記(1)に記載の二酸化炭素分解装置、
(3)前記二酸化炭素濃度調整手段は、ガス供給手段であることを特徴とする前記(1)に記載の二酸化炭素分解装置、
(4)前記陰極は、アルミニウム、亜鉛およびニッケルから選ばれる少なくとも一種の金属もしくはそれを含む合金からなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置、
(5)前記電圧発生装置は、前記電極間に200V/mmから1500V/mmの電界が発生するように制御されることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置、
(6)火力発電所の排ガス排気通路に設置されることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の二酸化炭素分解装置、および、
(7)二酸化炭素を含む気体を陽陰の電極が配置された反応槽内に導入し、前記電極間に200V/mmから1500V/mmの電界を加え、前記反応槽内の二酸化炭素を分解することを特徴とする二酸化炭素分解方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二酸化炭素分解装置および分解方法によれば、二酸化炭素濃度を調整した雰囲気に、酸化されやすい金属からなる陰極と陽極を設置し、電極間に高電界を与えることで、陰極の金属の酸化反応により二酸化炭素を還元するため、より少ないエネルギーで二酸化炭素の分解を実現できる。従って、火力発電所の燃焼排ガスの排気通路等に備え付けることにより、排出されるCO量が削減されるため、その実用的価値は極めて大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る二酸化炭素分解装置および分解方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の二酸化炭素分解装置の一例を示す概略構成図である。図1において、10は二酸化炭素分解装置、11は反応槽、12は陰陽電極を有する電極部、13は電圧発生装置であり、14は二酸化炭素濃度調整手段である。図1において、二酸化炭素を含む被処理気体X1は、配管16を通って、二酸化炭素濃度調整手段14に入り、そこで、後記の分解に適した二酸化炭素濃度に調整される。二酸化炭素濃度調整手段14は、被処理気体X1に含まれる二酸化炭素濃度を上昇または低下させる機能を有しており、本発明の装置では必要に応じて配置されるものである。従って、供給される被処理気体中の二酸化炭素濃度が分解に適した濃度である場合は、二酸化炭素濃度調整手段を設ける必要は無い。また、多種多様の被処理気体に含まれる二酸化炭素を分解するために、二酸化炭素調整手段を設けておき、これを介さずに図示しないバイパスなどを通して、被処理気体を反応槽に導入することもできる。
【0016】
次に、二酸化炭素濃度調整手段14を出た被処理気体X1は、反応槽11に入り、反応槽11内に備えられた電極部12において、被処理気体X1に含まれるに二酸化炭素が還元される。この際、還元によって生じる一酸化炭素の濃度は、反応槽11内に備えられた一酸化炭素濃度計15によって計測される。連続式のガスモニターを用いてCO、O、CO濃度を計測しても良い。
【0017】
電極部12へ印加する電圧は、電圧発生装置13によって供給される。電圧発生装置13は、商用電圧を10〜30kVまで昇圧して電極間に電圧を発生させる。電圧発生装置13は商用電源で動作するが、電極間に所望の電界を生じさせるために、出力電圧又は電流を制御することができる。
【0018】
反応槽11内には、気体循環用のファン19が備えられていることが好ましい。単位時間当たりに電極と接する二酸化炭素が増え、反応が促進されるからである。
【0019】
上記の配管16は、被処理気体X1の入口弁17a、および処理後の気体の出口弁17bを備えることが好ましい。反応槽11内に一定時間気体を封じ込めて反応させることができるからである。また、配管16は反応槽の前後に逆止弁18a、18bを備えることが好ましい。被処理気体の逆流を防止することができるからである。
【0020】
図2は、本発明の二酸化炭素分解装置における電極部の説明図であり、図2(a)は電極部12を被処理気体X1の進入方向(図1のA方向)から見た図であり、図2(b)は電圧制御装置側から見た図である。陰極12aは金属板で構成され、陽極12bはワイヤーで構成されている。12cは、ワイヤーを固定する支持棒である。両電極の配置は特に限定されないが、図2に示すように、陽極と陰極がかみ合うように配置されることが好ましい。これにより、電極部をコンパクトに形成しつつ反応面積を大きく確保することができる。
【0021】
陰極12aは、アルミニウム、亜鉛およびニッケルから選ばれる少なくとも一種の金属もしくはそれを含む合金から構成されることが好ましい。具体例としては、アルミニウム板、亜鉛板、ニッケル板、およびステンレン板(SUS304、SUS310など)などが挙げられる。これらの金属を陰極として用いることにより、二酸化炭素の還元反応を促進することができる。電極板の厚さは特に限定されないが、0.5mm以上が好ましい。厚さが0.5mm未満の場合は1万V荷電したときに電極が引っ張られて歪み、放電して電流が流れ、荷電できなくなる。一方、電極板が厚すぎる場合は抵抗値が上がり無駄なエネルギーを消費することになり、また材料の量が多くなることにより材料費が割高になる。
【0022】
一方、陽極12bは、タングステンワイヤーなどが一般に使用される。
【0023】
また、電極間に印加する電圧を電極間隔で除したものである電界は、200V/mmから1500V/mmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは500V/mmから1000V/mmとする。電界がこれよりも小さいと二酸化炭素の分解反応が十分に行われず、また、これよりも大きいと電極間の気体が絶縁破壊する恐れがある。
【0024】
本発明において、陰極に生じる二酸化炭素の還元反応は以下の式で示される。
CO+2e → CO+1/2O
【0025】
上記の還元の際に生じた酸素は、陰極の金属元素を酸化させる。例えば、陰極が亜鉛を含んでいた場合には、以下の反応が生じる。
Zn+1/2O→ ZnO
【0026】
本発明において、二酸化炭素調整手段14は、被処理気体X1に含まれる二酸化炭素濃度を上昇または低下させる機能を有している。図3から図5は本発明に係る二酸化炭素濃度調整手段の詳細を示す図であるが、図3および図4は二酸化炭素濃度を低減又は増大させる手段の一例を、また、図5は二酸化炭素濃度を低減させる手段の一例を示している。
【0027】
図3は、二酸化炭素の吸脱着が可能で且つ二酸化炭素透過機能を有する、媒体内蔵装置を用いた二酸化炭素濃度調整手段を説明する図である。14aはゼオライト(媒体)槽、14bは圧力制御手段、14cは供給弁、14dは放出弁である。圧力や温度など物理状態を調整するための圧力制御装置14bにより、二酸化炭素吸脱着・透過媒体であるゼオライト槽14aの圧力を上下させ、ゼオライトによる二酸化炭素の吸着、脱着を利用して二酸化炭素の濃度を調整する。
【0028】
被処理気体X1に含まれる二酸化炭素濃度を低減させる場合には、圧力制御装置14bを操作して、ゼオライト槽14aを、ゼオライトが二酸化炭素を吸着する状態(0.1MPa程度)にした上で、被処理気体X1を通過させる。この際に、供給弁14cを開き、放出弁14dを閉じることで、ゼオライト槽14aを通過した被処理気体X1が、反応槽11を通過するようにする。これにより、被処理気体X1に含まれる二酸化炭素は還元される。
【0029】
一方、被処理気体X1中の二酸化炭素濃度を増加させる場合には、例えば、図4に示されるフロー図に従い、操作を行うのが良い。まず、図4(a)に示される二酸化炭素吸着フローに従い、圧力制御手段14bを操作して、ゼオライト槽14aを、ゼオライトが二酸化炭素を吸着できる状態にした上で、被処理気体X1を通過させる。これにより、被処理気体X1に含まれる二酸化炭素は、ここでゼオライトに吸着され、二酸化炭素が除かれた被処理気体X1は、排気通路へ戻される。この際に、上記の被処理気体X1は、二酸化炭素分解装置10の上流側、下流側のいずれに戻しても良い。
【0030】
続いて、図4(b)に示される二酸化炭素脱着フローに従い、ゼオライト槽14aを圧力制御手段14bで減圧(0.0009MPa程度)し、ゼオライトが二酸化炭素を脱着する状態にした上で、被処理気体X1を通過させる。これにより、ゼオライトに吸着されていた二酸化炭素が脱着され、被処理気体X1と混合される。このようにして、二酸化炭素濃度が増加した被処理気体X1は、反応槽11に導かれ、ここで二酸化炭素が還元される。
【0031】
なお、本実施例は圧力を制御してゼオライトの吸脱着を制御したが、これに限られず、圧力と温度をあわせて制御する方法や、温度のみで制御する方法もある。また、吸着剤として活性炭や、木炭、竹炭などの炭化物も適用できる。
【0032】
また、本調整手段には、ゼオライトや活性炭等の吸着剤を用いた物理吸着法以外にも、アミン系化合物を用いた化学吸収法、高分子膜や液膜を用いた膜分離法が適用できる。
【0033】
上記のアミン系化合物を用いた化学吸収法においては、例えば、アミン系化合物の温度を40〜50℃程度に制御して二酸化炭素を吸着させ、110〜130℃程度まで加熱して二酸化炭素を脱着させるという工程により、二酸化炭素濃度を調整する。
【0034】
上記の高分子膜や液膜による膜分離法は、中空糸膜等で隔てられた気室の圧力差により透過する気体分子と透過しない気体分子に分離できることを利用し、気室の圧力を制御することで、二酸化炭素の濃度を調整する。
【0035】
さらに、被処理気体X1に含まれる二酸化炭素の濃度を低減させる方法としては、例えば、図5に示すように、ガス供給手段14eにより、窒素などの不活性ガスや空気のような混合気体を配管16に導入し、被処理気体X1と混合させる方法などを適用することができる。図5において、14eはガス供給手段であり、14fはガス貯蔵手段(ガス貯蔵槽)、14gはガス用圧力調整弁、14hは被処理気体用圧力調整弁である。
【0036】
本発明において、被処理気体X1における二酸化炭素の濃度は、10容量%から50容量%(以下、「%」)が好ましい。これよりも濃度が高いと、気体の絶縁破壊により還元反応に適した電界を与えることが困難になり、排ガスを濃縮するために必要なエネルギーが大きくなる。また、100%近くなると絶縁破壊が起こりやすくなると共に、火力発電所の排ガス中の二酸化炭素濃度(〜15%)を100%近くまで濃縮するためのエネルギーが大きくなる。また、これよりも低い濃度で分解を行うことは効率的でない。二酸化炭素の濃度は、図示していないが、二酸化炭素濃度計あるいは上記のガスモニターを反応槽や配管に備えることで計測することができる。
【0037】
図6は本発明に係る二酸化炭素分解装置の適用設備である、石炭火力発電所の排気設備の概略を示す構成図の好ましい一例である。図中、27は吸水管、28は蒸気管、29は給炭機である。上記の排気設備20において、ボイラ21から排出された排気ガスは排煙脱硝装置22を通過したあと、排気通路26を介して、電気集塵装置23、排煙脱硫装置24を通り、煙突25から排出される。この排気通路26の任意の場所に二酸化炭素分解装置を設置する。図6の例では、本発明の二酸化炭素分解装置を電気集塵装置23の後流に設けているが、これを排煙脱硝装置22の後流あるいは排煙脱硫装置24の後流に設けることもできる。また、二酸化炭素分解装置は単数設けても良いし、複数設けても良い。
【0038】
また、本発明に係る二酸化炭素分解装置は電気集塵機能も有しているため、電気集塵装置23を兼ねることもできるとともに、既設の電気集塵装置に二酸化炭素濃度調節手段を付加することにより、二酸化炭素分解装置とすることもできる。
【0039】
図6に示す実施形態は、石炭火力発電所への適用例を示すものであるが、本発明に係る二酸化炭素分解装置はこれに限られず、広く火力発電所の排気設備に好適に適用することができる。さらに、本発明に係る二酸化炭素分解装置は、二酸化炭素含有気体を排出する製鉄、石油化学産業、一般化学産業など各種分野の設備にも適用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下において示す%はことわりのない限り容量%である。
【0041】
(実施例1)
二酸化炭素濃度調整手段を設けない以外は、図1に示す構成の装置を用いて二酸化炭素を含有する被処理気体の還元を行った。不活性ガスとして、窒素を付加した、二酸化炭素12%、窒素88%からなる被処理気体を使用し、反応槽11(内容積:30×30×30cm)の入口弁17aと出口弁17bを閉じた状態で還元を行った。陽極として直径0.1mmのタングステンワイヤーを使用し、陰極としてステンレス板(SUS304、厚み0.8mm)を5枚使用し、反応槽内の電極(陰極)間を12.5mmに設定し、図2に示す構成の電極部を作製した。反応槽内のファン19を起動させながら、電圧発生装置13より電圧10kVを15分間印加した。反応槽内で発生した一酸化炭素濃度を、CO濃度計15(BW Technologies製,GA−M)により測定した。その結果、一酸化炭素が464ppm発生していた。
【0042】
(実施例2)
陰極としてアルミ板を使用した以外は、実施例1と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。その結果、印加時間15分で、一酸化炭素が529ppm発生していた。
【0043】
(実施例3)
陰極として亜鉛板を使用した以外は、実施例1と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。その結果、印加時間15分で、一酸化炭素が580ppm発生していた。
【0044】
(実施例4)
陰極としてニッケル板を使用した以外は、実施例1と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。その結果、印加時間15分で、一酸化炭素が480ppm発生していた。
【0045】
実施例1〜4の結果を表1にまとめて示した。表1の結果から、本発明の二酸化炭素分解装置を使用することにより、二酸化炭素が分解されて一酸化炭素が生成していることがわかる。
【0046】
【表1】


【0047】
(実施例5)
二酸化炭素濃度調整手段を設けない以外は、図1に示す構成の装置を用いて二酸化炭素を含有する被処理気体の還元を行った。二酸化炭素15%、酸素1%、窒素84%からなる被処理気体を使用し、反応槽11(内容積:98L)の入口弁17aと出口弁17bを閉じた状態で還元を行った。陽極として直径0.1mmのタングステンワイヤーを使用し、陰極としてステンレス板(SUS304、サイズ20mm×250mm、厚み1.0mm)を24枚使用し、反応槽内の電極(陰極)間を20mmに設定し、図2に示す構成に準じて1セル8枚×3セルの電極部を作製した。反応槽内のファン19を起動させながら、電圧発生装置13より電圧約12kVを60分間印加した。反応槽内で発生した一酸化炭素濃度を、CO濃度計15(横河電機製、ガスモニターIR−400)により測定した。
【0048】
(実施例6)
被処理気体として二酸化炭素15%、酸素3%、窒素82%からなる混合気体を使用した以外は、実施例5と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。
【0049】
(実施例7)
被処理気体として二酸化炭素15%、酸素5%、窒素80%からなる混合気体を使用した以外は、実施例5と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。
【0050】
(実施例8〜10)
被処理気体として酸素1%、二酸化炭素5%、30%、45%、窒素残量からなる混合気体を使用した以外は、実施例5と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。
【0051】
実施例5〜10の結果を表2にまとめて示した。表2の結果から、酸素含有量が高くなるほど一酸化炭素生成量が少なくなり、二酸化炭素濃度が高くなるほど一酸化炭素生成量が増加することがわかる。
【0052】
【表2】


【0053】
(実施例11〜17)
被処理気体として二酸化炭素30%、酸素1%、窒素69%からなる混合気体を使用した以外は、実施例5と同様な方法により、二酸化炭素の還元を行った。反応槽内のファン19を起動させながら、電圧発生装置13より電圧約12kVを10〜70分間印加した。反応槽内で発生した一酸化炭素濃度を、CO濃度計15(横河電機製、ガスモニターIR−400)により測定した。その結果を表3に示した。表3の結果から、印加時間が長くなるにつれて一酸化炭素生成量が増加することがわかる。
【0054】
【表3】


【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る二酸化炭素分解装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る二酸化炭素分解装置における電極部の説明図である。
【図3】本発明に係る二酸化炭素濃度調整手段(二酸化炭素吸脱着・透過媒体内蔵装置)を説明する構成図である。
【図4】二酸化炭素濃度調整手段により二酸化炭素濃度を増大させる手順を示すフロー図である。
【図5】本発明に係る二酸化炭素濃度調整手段(ガス供給手段)を説明する構成図である。
【図6】本発明に係る二酸化炭素分解装置の適用設備である石炭火力発電所の排気通路を説明する構成図である。
【符号の説明】
【0056】
X1 被処理気体
10 二酸化炭素分解装置
11 反応槽
12 電極部
12a 陰極
12b 陽極
12c 支持棒
13 電圧発生装置
14 二酸化炭素濃度調整手段
14a ゼオライト槽
14b 圧力制御手段
14c 供給弁
14d 放出弁
14e ガス供給手段
14f ガス貯蔵手段
14g ガス用圧力調整弁
14h 被処理気体用圧力調整弁
15 一酸化炭素濃度検出手段(一酸化炭素濃度計)
16 配管
17a 入口弁
17b 出口弁
18a,18b 逆止弁
19 循環用ファン
20 石炭火力発電所の排気設備
21 ボイラ
22 排煙脱硝装置
23 電気集塵装置
24 排煙脱硫装置
25 煙突
26 排気通路
27 給水管
28 蒸気管
29 給炭機
【出願人】 【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
【出願日】 平成17年12月23日(2005.12.23)
【代理人】 【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子

【公開番号】 特開2006−205153(P2006−205153A)
【公開日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願番号】 特願2005−371152(P2005−371152)