トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 翼付湾曲針
【発明者】 【氏名】小野 誠一
【住所又は居所】大分県大野郡三重町大字玉田7番地の1 川澄化学工業株式会社三重工場内

【要約】 【課題】必要な長さの湾曲針を選択できることで治療の用途を拡大することができるとともに、操作性が良く、また湾曲針をポートから抜くと同時に誤刺防止を行なうことができる翼付湾曲針を提供すること。

【解決手段】針基(3)に湾曲針(2)を植設し、当該針基(3)の側部に翼部(4)を装着した翼付湾曲針(1)において、前記湾曲針(2)に固定部(5)を装着し、前記針基(3)と前記固定部(5)の間に、伸縮可能な湾曲針保護部(6)を配置し、当該保護部(6)は、湾曲針(2)の基端部から鋭利な先端部方向に伸び、湾曲針(2)の鋭利な先端を当該保護部(6)内に収納することができる翼付湾曲針(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針基(3)に湾曲針(2)を植設し、当該針基(3)の側部に翼部(4)を装着した翼付湾曲針(1)において、
前記湾曲針(2)に固定部(5)を装着し、前記針基(3)と前記固定部(5)の間に、伸縮可能な湾曲針保護部(6)を配置し、
当該保護部(6)は、湾曲針(2)の基端部から鋭利な先端部方向に伸び、湾曲針(2)の鋭利な先端を当該保護部(6)内に収納することができることを特徴とする翼付湾曲針(1)。
【請求項2】
前記固定部(5)の略中央には、湾曲針(2)の挿入孔(9)を形成し、
当該挿入孔(9)に湾曲針(2)を挿入し、湾曲針(2)は基部から鋭利な先端部を経て、挿入孔(9)から引き抜くことができる、ことを特徴とする請求項1に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項3】
前記保護部(6)に係止部(8、11、12)を装着したことを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項4】
前記固定部(5)の挿入孔(9)近傍に、湾曲針(2)の露出防止部(10)を装着したことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項5】
前記保護部(6)の係止部(8、11、12)は、
(1)前記保護部(6)に対向して装着された係止部(8)、または
(2)前記保護部(6)に対向して装着された嵌合(緊合、係合)部(11、12)であることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項6】
前記湾曲針(2)の露出防止部(10)は、前記挿入孔(9)の外周に装着された環(管)状部材(10)であることを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項7】
前記保護部(6)の上部は前記針基(3)に装着し、当該保護部(6)の下部は、前記固定部(5)に装着したことを特徴とする請求項1ないし請求項6に記載の翼付湾曲針(1)。
【請求項8】
前記湾曲針(2)は、金属製であることを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の翼付湾曲針(1)。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポート アクセス インフュージョン セット(PORT ACCESS
INFUSION SET、PAISと称される)を構成する翼付湾曲針(針基に対して90度曲がった形状をしている)関するもので、特に湾曲針の保護部の形態を改良した翼付湾曲針の改良に関する。前記ポートとは患者の体内に埋め込まれたものであり、抗癌剤等の薬液を注入するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、針基に湾曲針を植設し、当該針基の側部に翼部を装着した翼付湾曲針において、前記針基に、両側部と底部の三箇所の切欠き折れ線を形成した折りたたみ可能な翼部を装着した翼付湾曲針の発明が開示されている。
当該発明は、設置位置(ポートに湾曲針を穿刺して、抗癌剤等の薬液を注入する状態)では、(針基に対して90度湾曲した)湾曲針に対して、翼部が垂直に折りたたまれ、湾曲針が露出した状態となる。
また保護位置(ポートに湾曲針を穿刺する前、薬液注入後、ポートから湾曲針を引き抜いて、廃棄する状態)では、湾曲針に対して、翼部が平行して伸び、湾曲針が当該翼部内に収納された状態となる。
しかしながら、当該発明では(1)当該翼部の大きさに湾曲針の長さが限定される。患者により、皮膚下にポートを埋設する深さが異なるので、湾曲針の長さが限定されてしまうと、種々の患者に適用できなくなり、治療の用途も限定されてしまう。(2)湾曲針を抜く際は当該翼部を人差し指または中指と親指で摘まむ(閉じる)ことによって湾曲針をポートから抜くと同時に誤刺防止を行なうようにしているが、当該翼部を摘まむ(閉じる)には湾曲針がポートに隙間なくきつく挿入されている場合(湾曲針の外周壁面がポートの内壁面を外側に押し広げるように強く圧入されている場合)はかなりの力が必要で片手だけの人差し指または中指と親指で摘まむ(閉じる)ようにすることは操作しにくい。また作業者が操作に手間どると患者の苦痛も大きくなる。
【0003】
また特許文献2には、針基に湾曲針を植設し、当該針基の側部に翼部を装着した翼付湾曲針において、翼部に湾曲針の収納溝を形成し、翼部を内側に折りたたむことにより湾曲針を翼部内に収納できるようにした発明が開示されている。
しかしながら、当該発明では湾曲針をポートから抜くと同時に誤刺防止を行なうことが出来ない。最近の翼付湾曲針では、針をポートから抜く操作で誤刺防止ができる部材を備えていることが、必要不可欠とされており、当核発明では誤刺防止ができない。
また特許文献3には、針基に湾曲針[柔軟性のあるカニューレ(テフロン(登録商標)チューブ)]を植設し、当該針基の側部に翼部を装着した翼付湾曲針において、湾曲針とは別に、湾曲針をポートに誘導するための蛇腹付のインジェクター[金属針(挿入針)を配置]を装着した発明が開示されている。
しかしながら、当該発明では(1)ポートに挿入するのは柔軟性のあるカニューレで、当該カニューレは、ポートに挿入する時に金属針とともに挿入される。すなわち縫い針(金属針)に糸(カニューレ)を通す要領で、ポートにカニューレを挿入して埋め込み、金属針だけを抜き抜いて、蛇腹付のインジェクターに納めた状態で廃棄する。
しかし、当該発明では、金属針とともにカニューレをポート内に差し込む際にカニューレに傷等が付きピンホールする危険性がある。またカニューレがスムーズに金属針に設けた穴を滑ってポート内まで挿入しずらい。
(2)カニューレ(テフロン(登録商標)チューブ)の場合、極端に湾曲させるとキンクし易く薬液注入を阻害する。
(3)カニューレ(テフロン(登録商標)チューブ)の場合、ポートのシリコーンゴムの反発圧により圧縮され内径が狭められて薬液注入を阻害する。
(4)蛇腹付のインジェクターに納めた金属針はインジェクターにストッパーがないので蛇腹が縮んだ場合に針先が露出して危険である。
【0004】
【特許文献1】アメリカ特許5951522(特表2002−529156号公報)
【特許文献2】アメリカ特許6500155
【特許文献3】アメリカ特許5584813
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、翼部の大きさに湾曲針の長さが限定されるので、治療の用途も限定される点及び針がポートに強く圧入されている場合は操作しにくい点、柔軟性のある湾曲針では、極端に湾曲させるとキンクし易く、また薬液注入を阻害する。ポートのシリコーンゴムの反発圧により圧縮され内径が狭められて薬液注入を阻害する点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は以上の課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果次の発明に到達した。
[1]本発明は、針基(3)に湾曲針(2)を植設し、当該針基(3)の側部に翼部(4)を装着した翼付湾曲針(1)において、
前記湾曲針(2)に固定部(5)を装着し、前記針基(3)と前記固定部(5)の間に、伸縮可能な湾曲針保護部(6)を配置し、
当該保護部(6)は、湾曲針(2)の基端部から鋭利な先端部方向に伸び、湾曲針(2)の鋭利な先端を当該保護部(6)内に収納することができる翼付湾曲針(1)を提供する。
[2]本発明は、前記固定部(5)の略中央には、湾曲針(2)の挿入孔(9)を形成し、
当該挿入孔(9)に湾曲針(2)を挿入し、湾曲針(2)は基部から鋭利な先端部を経て、挿入孔(9)から引き抜くことができる[1]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[3]本発明は、前記保護部(6)に係止部(8、11、12)を装着した[1]ないし[2]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[4]本発明は、前記固定部(5)の挿入孔(9)近傍に、湾曲針(2)の露出防止部(10)を装着した[1]ないし[3]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[5]本発明は、前記保護部(6)の係止部(8、11、12)は、
(1)前記保護部(6)に対向して装着された係止部(8)、または
(2)前記保護部(6)に対向して装着された嵌合(緊合、係合)部(11、12)である[1]ないし[3]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[6]本発明は、前記湾曲針(2)の露出防止部(10)は、前記挿入孔(9)の外周に装着された環(管)状部材(10)である[1]ないし[5]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[7]本発明は、前記保護部(6)の上部は前記針基(3)に装着し、当該保護部(6)の下部は、前記固定部(5)に装着した[1]ないし[6]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
[8]本発明は、前記湾曲針(2)は、金属製である[1]ないし[7]に記載の翼付湾曲針(1)を提供する。
【発明の効果】
【0007】
(1)翼部の大きさと関係なく必要な長さの湾曲針を選択できるので、治療の用途を拡大することができる。
(2)湾曲針を抜く際は、針がポートに強く圧入されていても簡単に抜針できるので、操作性が良い。このため患者の精神的負担も少ない。
(3)湾曲針をポートから抜くと同時に誤刺防止を行なうことが出来る。
(4)保護部に係止部を装着しているので、保護部に一度収納した針が露出する心配がない。
(5)ポートに穿刺する湾曲針は、金属性であるから、特許文献3のカニューレ(テフロン(登録商標)チューブ)で問題となる、キンクやポートのシリコーンゴム圧による流量阻害等の心配が全く無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[翼付湾曲針1の概要]
図1から図9は本発明の翼付湾曲針の概略図である。[(A)は正面図、(B)、(C)は斜視図]
本発明の翼付湾曲針1は、針基3に湾曲針2の基端部(針基3と平行な部分)を植設し、当該針基3の両側部に翼部4を装着し、前記湾曲針2に、固定部5を装着している。
前記針基3と前記固定部5の間に、伸縮可能な湾曲針保護部6(以下、保護部6という)を配置している。
さらに詳述すれば針基3(の翼部4より下部の位置)に保護部6の上部を装着し、当該保護部6の下部を固定部5に装着している。
保護部6は、湾曲針2の基端部から鋭利な先端部方向に伸び(完全に伸びきった状態で、湾曲針2と平行になる)、湾曲針2の鋭利な先端を当該保護部6内に収納することができる。
【0009】
[翼部4]
図1から9に例示するように、二つの翼部4のそれぞれの天面ないし端部には、相互に緊合可能な、突部と溝からなる緊合部7(嵌合、係止構造を含む)が形成され、二つの翼部4を上方に持ち上げて、一つに重ね合わせることができる。また翼部4は上方に持ち上げやすいように、針基3に隣接する部分は肉薄に形成されている。翼部4の形状は図1から9に例示では、矩形状の形成されているが、半円、半楕円等の形状でも良い。
[固定部5]
また図1から9に例示するように、固定部5は、板状(例えば矩形、円形、楕円形等何でも良い)で、例えば硬質プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)、硬質の紙(例えばダンボール)等で形成され、固定部5の略中央には、湾曲針2の挿入孔(穴)9が形成されている。
当該挿入孔9の近傍(例えば周囲(外周))に、露出防止部10(例えば当該穴より突出した環(管)状部材10)を装着(配置)することにより、湾曲針2が挿入孔(穴)9から保護部6側に抜けて、保護部6内に一度収納された後、再び挿入孔(穴)9を通過して、湾曲針2の鋭利な先端部が保護部6より露出するのを防ぐことができる。
固定部5を湾曲針2に装着するとは、固定部5の挿入孔に、湾曲針2を挿入することであり、湾曲針2は基部から鋭利な先端部を経て、当該挿入孔から引き抜くことができる。
固定部5は、翼付湾曲針1をポートに安定して固定するために必要な部材であり、また湾曲針2をポートから引き抜くときの支えとしての役割を果たすので、操作性が良くなる。
[保護部6]
また図1から9に例示するように、保護部6は、伸縮しやすいように蛇腹状に形成され、当該保護部6に湾曲針の露出を防止するための係止部を装着している。係止部は、図1から9に例示するように、保護部6の両側(底面)に相互に対向して装着された二個の係止部8や図11に例示するように、保護部6の両側(底面)に相互に対向して装着された凹(溝)部11と凸(突)部12よりなる嵌合(緊合、係合)部でも良い。
保護部6は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のヒンジ性に優れた材料で形成され、針基3と固定部5には、例えば嵌合、係合、緊合圧入等のように機械的にはめ込んで、装着しても良いし、一体成形して装着するようにしても良い。また溶剤または接着剤等による接着、または熱もしくは高周波等による溶着により装着するようにしても良い。
【0010】
[湾曲針2、翼部4、保護部6の相互の位置関係]
保護部6は、使用前の保護位置(ポートに湾曲針2を穿刺する前)と設置位置(湾曲針2をポートに穿刺した状態)では、収縮して、湾曲針2を露出し(使用前の保護位置では、湾曲針2には、カバーが装着されている)、使用後の保護位置(薬液注入後、ポートから湾曲針2を引き抜いて、廃棄する状態)では、湾曲針2の基端部から鋭利な先端部方向に平行して伸び、湾曲針2が当該保護部6内に収納された状態となる。
翼部4は、使用前の保護位置と湾曲針2の穿刺後薬液投与中は、湾曲針2と垂直位置にあり、設置位置及び使用後の保護位置では、湾曲針2と平行位置となる。
【0011】
[使用方法]
次に本発明の翼付湾曲針1の使用(操作)方法の一例について説明する。
(1)図1(使用前)の状態から、湾曲針2に装着されたカバー[使用前、湾曲針2には管状のカバー13(図1(B)参照)またはT字状カバー13T(図1(C)参照)が装着されている]を取り外し、翼部4の両端部を掴んで、図2のように上方に持ち上げ、図3から図4のように突部と溝からなる緊合部7を相互に緊合する。
(2)図1の状態で、湾曲針2をポート(患者の体内に埋め込まれている、図示せず)に穿刺し、固定部5をテープ等で、ポートの天面に固定する。さらに翼部4も固定部5と同様にテープ等で患者の皮膚と平行に固定し、薬液投与中は翼付湾曲針1が動かないように固定する。
(3)薬液注入等が終了したら、左右の翼部4を折りたたみ図5から図7のように、翼部4を掴んで、上に持ち上げると、保護部6が湾曲針2の基端部から鋭利な先端部方向に平行して伸び、図8から9のように、湾曲針2の鋭利な先端を当該保護部6内に収納することができる。保護部6には、湾曲針の露出防止部(二個の係止部8、環(管)状部材10、嵌合(緊合、係合)部(凹(溝)部または凸(突)部11、12)が装着されており、湾曲針2の鋭利な先端が当該保護部6内に収納されると同時に、保護部6を外から係止するので、湾曲針2の鋭利な先端は、二度と外に露出することはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)、(C)は斜視図]
【図2】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図3】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図4】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図5】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図6】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図7】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図8】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図9】本発明の翼付湾曲針の概略図[(A)は正面図、(B)は斜視図]
【図10】本発明の翼付湾曲針のその他の実施例を示す概略図(斜視図)
【図11】本発明の翼付湾曲針のその他の実施例を示す概略図(斜視図)[(A)は図1の位置、(B)は図4の位置、(C)は図6の位置、(D)は図9の位置に対応]
【符号の説明】
【0013】
1 翼付湾曲針
2 湾曲針
3 針基
4 翼
5 固定部
6 (伸縮可能な湾曲針の)保護部
7 緊合部(嵌合、係止構造を含む、突部、溝)
8 係止部(フック)
9 挿入孔
10 湾曲針の露出防止部(例えば環(管)状部材)
11 係止部[嵌合(緊合、係合)部(凹(溝)部または凸(突)部)]
12 係止部[嵌合(緊合、係合)部(凹(溝)部または凸(突)部)]
13 (湾曲針の管状)カバー
13T (湾曲針のT字状)カバー
【出願人】 【識別番号】000200035
【氏名又は名称】川澄化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都品川区南大井3丁目28番15号
【出願日】 平成16年8月26日(2004.8.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−61379(P2006−61379A)
【公開日】 平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願番号】 特願2004−246994(P2004−246994)