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【発明の名称】 遠心分離器および血液成分採取回路
【発明者】 【氏名】田口 昇
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

【要約】 【課題】ローターの回転停止時に、遠心分離器内の圧力変動を抑制・緩和することができる。

【解決手段】遠心分離器4は、液体の流入口43および流出口44を有するステーター40と、ステーター40に対し回転可能なローター50と、ステーター40に対する液密性を保持するシール機構48とで構成されている。ローター50は、釣り鐘状の容器本体51と、容器本体51の下端開口を遮蔽する底板52と、容器本体51内に設置された筒状の外核53および内核54とで構成され、これらにより、貯血空間S1と、圧力変動緩和空間S2と、中心部空間S3と、流路56、57とが形成されている。内核54の内周面の上部には、内核54を貫通し、圧力変動緩和空間S2と中心部空間S3とを連通する連通口541が形成され、該連通口541は、気体は透過するが液体は通過し得ない膜部材(疎水性膜)55により塞がれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に血液または血液成分の流入口および流出口が設けられたステーターと、
前記ステーターに対し回転可能に設置されたローターと、
前記ローターの回転時に前記ステーターに対する液密性を保持するシール機構とを有する遠心分離器であって、
前記ローターは、その内部に、血液または血液成分を貯留する第1の空間と、前記第1の空間に隔壁を介して形成された第2の空間とを有し、
前記第1の空間と前記第2の空間とを連通する連通口を設けたことを特徴とする遠心分離器。
【請求項2】
前記ローターは、容器本体と、前記容器本体の下端開口を遮蔽する底板と、前記容器本体内に設置された筒状の外核と、前記外核の内側に設置された筒状の内核とを備え、前記連通口は、前記内核に形成されている請求項1に記載の遠心分離器。
【請求項3】
前記連通口は、前記ローターの回転停止時において前記第1の空間内に貯留された血液または血液成分の液面より上部に設けられている請求項1または2に記載の遠心分離器。
【請求項4】
前記連通口に、気体は透過するが液体は通過し得ない部材が設置されている請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心分離器。
【請求項5】
前記連通口の近傍でかつ前記第2の空間側に、液体を一時的に貯留し得る液溜めを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の遠心分離器。
【請求項6】
前記液溜めの上端開口に、気体は透過するが液体は通過し得ない部材が設置されている請求項5に記載の遠心分離器。
【請求項7】
前記連通口は、前記ローターの回転停止時において前記第1の空間内に貯留された血液または血液成分の液面より下部に設けられている請求項1または2に記載の遠心分離器。
【請求項8】
前記連通口は、前記第2の空間の最下部付近に設けられている請求項7に記載の遠心分離器。
【請求項9】
前記第2の空間の底部内面は、前記連通口に向かって下方に傾斜する傾斜面で構成されている請求項7または8に記載の遠心分離器。
【請求項10】
血液から目的とする血液成分を採取するための血液成分採取回路であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載の遠心分離器と、
前記遠心分離器に血液を導入する第1のラインと、
前記遠心分離器にて分離された所定の血液成分を回収する第2のラインとを有することを特徴とする血液成分採取回路。
【請求項11】
さらに、採血および/または返血を行う第3のラインを有する請求項10に記載の血液成分採取回路。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心分離器およびこれを備える血液成分採取回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
採血を行う場合、現在では、血液の有効利用および供血者の負担軽減などの理由から、採血血液を遠心分離などにより各血液成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを採取し、その他の成分は供血者に返還する成分採血が行われている。
【0003】
このような成分採血において、例えば血小板製剤を得る場合、供血者から採血した血液を血液成分分離回路に導入し、該血液成分分離回路に設置された遠心ボウルと呼ばれる遠心分離器により、血漿、白血球、血小板および赤血球の4成分に分離し、そのうちの血小板をバッグに回収して血小板製剤とし、残りの血漿、白血球および赤血球は、供血者に返血することが行われる。そして、目標とする血小板数を確保するために、上記採血、採血血液の遠心分離、血小板の回収および返血よりなる一連の血液処理工程が複数回行われる。
【0004】
遠心ボウル(遠心分離器)は、血液の流入口と血液成分の排出口とを有するステーターと、該ステーターに対し回転可能に支持されたローターとで構成されている。そして、ローターは、釣り鐘状の容器本体と、容器本体内に配置された筒状の外核と、外核の内側に配置された筒状の内核とで構成され、容器本体と外核との間に円環状の貯血空間が形成されている。前記血液の流入口より前記貯血空間内へ血液を導入しつつ、ローターを高速回転させることにより、貯血空間内の血液が遠心分離され、回転中心に近い側から血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
遠心ボウルのローターは、通常、硬質の樹脂で構成されており、ローターの高速回転時(遠心分離時)には、内溶液の遠心力により容器本体が膨張し、貯血空間の容積はローターの回転停止状態のときよりも大きくなる。このため、ローターの高速回転状態から停止状態に至る間、貯血空間の容積が減少するので、この減少分に相当する貯血空間内の血液成分を外部に逃がす(排出する)必要がある。この方法は、通常、ローターの回転停止時に前記血液成分の排出口側の流路を開放しておき、回転停止に伴い遠心ボウルから血液成分が溢れ出ること許容している。
【0006】
しかしながら、この方法では、溢れ出る血液成分の量が特定できず、バラツキがあることから、回収する血小板に白血球や赤血球が混入するおそれがある。
【0007】
そのため、採取した血漿等を前記排出口から遠心ボウル内に導入し、流路内を洗浄することが考えられるが、採取した血漿を再び戻すのに時間を要するという欠点がある。
【0008】
また、ローターの回転停止時に液の流れを止めるために、前記流入口および排出口にそれぞれ接続された送液チューブを閉鎖した状態で回転を停止する方法も考えられるが、この場合には、回転停止時に貯血空間内の圧力が急激(過大)に上昇し、ステーターに対するローターの回転シール部の液密性(気密性)が維持できなくなるおそれがある。そのため、回転シール部から遠心ボウル内の液が漏れ出すこともあり得る。
【0009】
【特許文献1】特開平9−108594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ローターの回転停止時に、遠心分離器内の圧力変動を抑制または緩和することができる遠心分離器およびこれを備える血液成分採取回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 上部に血液または血液成分の流入口および流出口が設けられたステーターと、
前記ステーターに対し回転可能に設置されたローターと、
前記ローターの回転時に前記ステーターに対する液密性を保持するシール機構とを有する遠心分離器であって、
前記ローターは、その内部に、血液または血液成分を貯留する第1の空間と、前記第1の空間に隔壁を介して形成された第2の空間とを有し、
前記第1の空間と前記第2の空間とを連通する連通口を設けたことを特徴とする遠心分離器。
【0012】
(2) 前記ローターは、容器本体と、前記容器本体の下端開口を遮蔽する底板と、前記容器本体内に設置された筒状の外核と、前記外核の内側に設置された筒状の内核とを備え、前記連通口は、前記内核に形成されている上記(1)に記載の遠心分離器。
【0013】
(3) 前記連通口は、前記ローターの回転停止時において前記第1の空間内に貯留された血液または血液成分の液面より上部に設けられている上記(1)または(2)に記載の遠心分離器。
【0014】
(4) 前記連通口に、気体は透過するが液体は通過し得ない部材が設置されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の遠心分離器。
【0015】
(5) 前記連通口の近傍でかつ前記第2の空間側に、液体を一時的に貯留し得る液溜めを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の遠心分離器。
【0016】
(6) 前記液溜めの上端開口に、気体は透過するが液体は通過し得ない部材が設置されている上記(5)に記載の遠心分離器。
【0017】
(7) 前記連通口は、前記ローターの回転停止時において前記第1の空間内に貯留された血液または血液成分の液面より下部に設けられている上記(1)または(2)に記載の遠心分離器。
【0018】
(8) 前記連通口は、前記第2の空間の最下部付近に設けられている上記(7)に記載の遠心分離器。
【0019】
(9) 前記第2の空間の底部内面は、前記連通口に向かって下方に傾斜する傾斜面で構成されている上記(7)または(8)に記載の遠心分離器。
【0020】
(10) 血液から目的とする血液成分を採取するための血液成分採取回路であって、
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の遠心分離器と、
前記遠心分離器に血液を導入する第1のラインと、
前記遠心分離器にて分離された所定の血液成分を回収する第2のラインとを有することを特徴とする血液成分採取回路。
【0021】
(11) さらに、採血および/または返血を行う第3のラインを有する上記(10)に記載の血液成分採取回路。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、遠心分離器において、流入口および排出口にそれぞれ接続された流路を閉鎖した状態(遠心分離器を密閉した状態)でローターの回転を停止しても、第1の空間の圧力の過大な上昇を防止することができる。そのため、ステーターに対するローターのシール機構の液密性を十分に維持することができる。
【0023】
また、血液成分が連通口を越えて第2の空間内に流入するのを防止するように構成した場合には、血液成分を無駄なく利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の遠心分離器および血液成分採取回路を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の遠心分離器(遠心ボウル)の第1実施形態を示す縦断面図である。まず、図1に基づき、本発明の遠心分離器の構成について説明する。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、「上部」または「上端」、下側を「下」、「下部」または「下端」と言う。
【0026】
遠心分離器(遠心ボウル)4は、血液を複数の血液成分に分離する機能を有するものであり、ステーター40と、ステーター40に対し回転可能なローター50とで構成されている。ステーター40の上部には、ボウルヘッド41が設けられ、該ボウルヘッド41には、互いに反対方向へ向けて突出する流入口43および流出口44が形成されている。ボウルヘッド41の長手方向中央部付近には、後述するシール機構48を収納するスカート状のカバー42が形成されている。
【0027】
ボウルヘッド41の下端部には、下方へ向けて拡開する上部流出管45が液密に嵌入されている。また、ボウルヘッド41の内腔および上部流出管45の内腔には、下部流入管46が挿入されており、これらにより2重管構造をなしている。
【0028】
下部流入管46の上端461は、流出口44より上方へ突出し、流入口43に連通している。また、下部流入管46の途中には、上部流出管45の下面に対面する形状のフランジ部462が形成されている。
【0029】
上部流出管45とフランジ部462との間には、幅狭の流路463が形成され、この流路463は、ボウルヘッド41の内面と下部流入管46の外面との間に形成される流路464を介して、流出口44に連通している。
【0030】
下部流入管46の下端には、鉛直方向に延出する直管状の流入管47が接続されている。流入管47の下端は、ローター50内の底部付近に位置している。この流入管47は、後述するローター50の回転中心軸500と同軸で設置されている。
【0031】
シール機構48は、ローター50の上端部を液密にシールし、ローター50の回転時にステーター40に対する液密性を保持するものであり、リング481と、内周縁部がボウルヘッド41に固着されたシール部材482と、シール部材482の外周縁部をリング481との間で挟持固定する押え部材483とで構成されている。
【0032】
リング481は、ローター50の回転時に、ローター50側に固定された摺動部材58と接触して摺動する凸部484を有している。シール部材482は、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム等の各種ゴムや各種熱可塑性エラストマー等の弾性材料よりなる膜で構成されている。
【0033】
一方、ローター50は、釣り鐘状をなす容器本体(ボウル本体)51と、容器本体51の下端開口を遮蔽する底板52と、容器本体51内に位置する筒状の外核53と、外核53の内側に嵌合された筒状の内核54とで構成され、これらを組み立てたものである。容器本体51および底板52は、いずれも回転体形状をなしており、底板52は、その外周部において、容器本体51の下端部に対し接着または融着により液密に固着されている。
【0034】
外核53は、釣り鐘状(ベル状)をなしており、外核53およびその内側に設置された内核54は、それぞれ、容器本体51と同心的に設置されている。また、内核54の内側の中心部空間S3には、前記流入管47が挿通され、ローター50は、流入管47の管軸(回転中心軸500)を中心として回転する。
【0035】
容器本体51の側壁511の内周面と、外核53の外周面との間には、血液または血液成分を貯留する第1の空間として、円環状の貯血空間(血液貯留空間)S1が形成されている。また、容器本体51の肩部内面と、外核53の上部外面との間には、貯血空間S1の上部に連通し、そこからローター50の回転中心軸500方向に向かう幅狭の流路56が形成されている。また、外核53の内周面と内核54の外周面との間には、第2の空間として、圧力変動緩和空間S2が形成されている。
【0036】
底板52は、ほぼ円板状の部材であり、その中心部には、流入管47を流下した血液を受ける凹部521が形成されている。また、内核54の下面と底板52の上面(内面)との間には、ほぼ円盤状の流路57が形成されている。この流路57の内周側は、凹部521および流入管47内に連通し、外周側は、貯血空間S1の下部に連通している。
【0037】
これにより、貯血空間S1の下部は、流路57、流入管47の内腔および下部流入管46の内腔を介して、流入口43に連通し、貯血空間S1の上部は、流路56、流路463および流路464を介して、流出口44に連通している。また、貯血空間S1は、流路56および57を介して中心部空間S3とも連通している。
【0038】
容器本体51の上部には、縮径部515が形成されており、該縮径部515内に、前記上部流出管45およびフランジ部462が収納されている。また、縮径部515の上端部には、例えばセラミックスで構成されたリング状の摺動部材58が嵌入固定されている。
【0039】
貯血空間S1は、図1中上方へ向かってその内外径が漸減するような形状(テーパ状)をなしている。特に、貯血空間S1の上部は、ローター50の回転中心軸500へ向かって湾曲し、幅狭の流路56に至っている。この湾曲部分を肩部59といい、流路56の最内周の部分をダム部60という。ダム部60は、遠心分離操作時に血液成分がこれを越える(回転中心軸500側へ移行する)と、縮径部515の内面に沿って流れ、さらに流路463、464を経て流出口44より流出し、これを越えなければローター50の回転数を下げること等により血液成分を貯血空間S1内に戻すことが可能な境界部である。
【0040】
また、このローター50において、貯血空間S1の容積Vは、特に限定されないが、通常、50〜1000[ml]程度とするのが好ましく、100〜300[ml]程度とするのがより好ましい。
【0041】
容器本体51、底板52、外核53および内核54は、それぞれ、硬質の樹脂材料で構成されている。この硬質の樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレンが挙げられる。これらを硬質材料で構成することにより、貯血空間S1等の容積の変動を抑制することができる。
【0042】
また、容器本体51、底板52、外核53および内核54のうちの少なくとも容器本体51は、貯血空間S1の視認性を確保するために、実質的に透明な材料で構成されているのが好ましい。特に、容器本体51と底板52とは、それらの融着部の融着強度を高めるために、同一または同種の材料、あるいは相溶性に優れる材料であるのが好ましい。
【0043】
内核54の内周面の上部には、内核54を貫通する連通口541が形成されている。この連通口541により、圧力変動緩和空間S2と中心部空間S3とが連通する。すなわち、貯血空間S1は、流路57、中心部空間S3および連通口541を介して圧力変動緩和空間S2と連通している。
【0044】
この連通口541は、ローター50の回転停止時において、貯血空間S1および中心部空間S3内に貯留された血液成分(懸濁液)の液面より上部に設けられている。これにより、ローター50の回転停止時に、貯血空間S1および中心部空間S3内に貯留された血液成分の液面が連通口541を越えることが防止される。
【0045】
このような連通口541は、複数個(複数箇所)設けられていてもよい。
連通口541の開口面積(連通口541が複数個の場合は、全連通口の開口面積の総和)は、特に限定されないが、0.0078cm以上であるのが好ましい。これにより、連通口541は、十分な通気性を得ることができ、貯血空間S1およびこれに連通する部位の圧力変動への通従性(応答性)を十分に確保することができる。
【0046】
また、連通口541には、気体は透過するが液体は通過し得ない部材(膜部材55)が設置されている。本実施例においては、この膜部材55は、疎水性膜で構成されており、連通口541は、この疎水性膜により塞がれた状態となっている。このような膜部材55を設置することにより、中心部空間S3内に貯留された血液成分の液面が連通口541を越えて上昇したとしても、その血液成分が連通口541を越えて圧力変動緩和空間S2内に流れ込むことが防止される。すなわち、圧力変動緩和空間(第2の空間)S2は、ローター50の回転時・停止時にかかわらず、血液成分は貯留されない。
【0047】
膜部材55を構成する疎水性膜としては、例えば、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0048】
なお、気体は透過するが液体は通過し得ない部材としては、膜状をなすものに限定されず、例えばブロック状等、いかなる形状のものでもよい。また、気体は透過するが液体は通過し得ない部材(膜部材55)の形態としては、例えば、織布、不織布、多孔質体等、いかなる形態のものでもよい。
【0049】
また、膜部材55の連通口541に対する固定方法は、例えば接着剤による接着、融着、挟持による固定等、いかなる方法であってもよい。
【0050】
次に、連通口541を設けたことによる作用について説明する。
ローター50を構成する各部は、前述したように硬質の樹脂で構成されており、ローター50の高速回転時(遠心分離時)には、遠心力により容器本体51が膨張し、貯血空間S1の容積はローター50の回転停止状態のときに比べ大きくなる。このため、ローター50の高速回転状態から減速し停止状態に至るまでの間、貯血空間S1の容積は減少することとなる。ここで、後述する工程[9]で述べられているように、ローター50が高速回転している状態からこの回転を停止する際には、全てのバルブ83〜86を閉じるので、ローター50内は密閉状態となるが、この密閉状態で貯血空間S1の容積が減少すると、貯血空間S1およびこれに連通する流路56、57および中心部空間S3の圧力(以下「ローター内圧」と言う)が上昇する。そこで、このようなローター内圧の上昇が生じた際に、空気を連通口541より圧力変動緩和空間S2内に逃がすことにより、ローター内圧の上昇を抑制(緩和)することができる。すなわち、圧力変動緩和空間S2は、本来、血液の遠心分離には利用されない空間(デッドスペース)であるが、この空間をローター内圧の変動を抑制(緩和)する空間として利用したものである。
【0051】
このように、ローター内圧の上昇が抑制(緩和)されることで、シール機構48に過大な圧力が作用することを防止し、ステーター40に対するローター50の液密性(気密性)をより確実に保持することができる。
【0052】
以上のようなローター50は、後述する回転駆動装置7により予め設定された所定の遠心条件(回転速度および回転時間)で回転される。この遠心条件により、ローター50内の血液の分離パターン(例えば、分離する血液成分数)を設定することができる。本実施形態では、血液が貯血空間S1内で内層より血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離されるように遠心条件を設定することができる。バフィーコート層は、血小板と白血球とを含んでいる。このバフィーコート層は、血漿層および赤血球層に比べて少量であるが、ローター50が前述したような寸法条件を満たすことにより、バフィーコート層が貯血空間S1から流路56内へ移行したとき、十分に広げられるので、血小板と白血球とをより明確に分離することができる。
【0053】
図2は、本発明の遠心分離器(遠心ボウル)の第2実施形態を示す縦断面図である。以下、この第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態と同様の事項についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0054】
図2に示す遠心分離器(遠心ボウル)4は、内核54に前記と同様の連通口541が形成されているが、この連通口541付近の構造が異なり、その他は前記第1実施形態と同様である。すなわち、内核54には、ローター50の回転停止時において貯血空間S1および中心部空間S3内に貯留された血液成分の液面より上部の位置に連通口541が設けられているが、前述した膜部材55は設けられていない。
【0055】
そして、連通口541の圧力変動緩和空間S2側近傍には、血液成分を一時的に貯留し得る液溜め542が設けられている。この液溜め542は、その底部543が連通口541の下端縁部に連結または一体形成されたカップ状(正確には半カップ状)をなす部材で構成されている。液溜め542の内部は、連通口541に連通し、液溜め542の上端開口544は、圧力変動緩和空間S2に開放している。
【0056】
このような液溜め542を設けたことにより、万一、血液成分の液面が連通口541を越えて上昇し、連通口541内に流入したとしても、液溜め542により一時的に貯留されるので、血液成分が圧力変動緩和空間S2内に流下することが防止される。
【0057】
なお、この効果をさらに確実にするために、液溜め542の上端開口544を前記膜部材55と同様の膜部材で覆うような構成としてもよい。
【0058】
また、液溜め542の底部543は、回転中心軸500側が下方となるようなテーパ状をなしており、これにより、液溜め542に一旦貯留された血液成分は、中心部空間S3内の液面が連通口541より下方へ下降すると、それに伴って中心部空間S3へ戻されることとなり、血液成分を無駄なく利用することができる。
【0059】
このように、本実施形態の遠心分離器4では、ローター50の回転時、停止時のそれぞれにおいて、圧力変動緩和空間(第2の空間)S2に血液成分は貯留されないこととなる。
【0060】
図3は、本発明の遠心分離器(遠心ボウル)の第3実施形態を示す縦断面図である。以下、この第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態と同様の事項についてはその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0061】
図3に示す遠心分離器(遠心ボウル)4は、内核54に前記と同様の連通口541が形成されているが、この連通口541の形成位置が異なる。すなわち、連通口541は、ローター50の回転停止時において、貯血空間S1および中心部空間S3内に貯留された血液成分の液面より下部に設けられている。特に、本実施形態では、連通口541は、圧力変動緩和空間S2の最下部付近に、周方向に沿って複数設けられている。これら連通口541は、できるだけローター50の回転中心に近い位置に形成されているのが好ましい。そして、前述したような膜部材55は設けられていない。
【0062】
また、圧力変動緩和空間S2の底部内面545は、連通口541に向かって(ローター50の回転中心に向かって)下方に傾斜する傾斜面で構成されている。これは、圧力変動緩和空間S2内に入った液体の排出性を向上するためである。
【0063】
このような構成の遠心分離器4では、ローター50の回転時には、流入口43から流入した血液は、遠心力によりローター50の外周側にある貯血空間S1に集められるが、連通口541は、その血液より回転中心軸500側に位置しているので、連通口541から圧力変動緩和空間S2内へは血液(血液成分)はほとんど入らず、また少量が入ったとしても、貯留されるには至らない。
【0064】
また、ローター50の回転停止時には、貯血空間S1および中心部空間S3内に血液または血液成分が貯留され、その液面はほぼ同一レベルとなるが、連通口541は、液面下に位置することとなるので、血液または血液成分は、連通口541を通って圧力変動緩和空間S2内に入る。
【0065】
これにより、ローター50の回転停止の際に、血液または血液成分を連通口541より圧力変動緩和空間S2内に逃がすことにより、ローター内圧の上昇を抑制(緩和)することができる。
【0066】
また、圧力変動緩和空間S2の底部内面545は、連通口541に向かって下方に傾斜する傾斜面で構成されているため、血液成分を遠心分離器4外に排出する際などに、圧力変動緩和空間S2内に入った血液成分は、底部内面545に沿って連通口541へ導かれ、容易かつ迅速に排出することができる。これにより、血液成分を無駄なく利用することができる。
【0067】
図4は、本発明の遠心分離器を備えた血液成分採取回路の実施形態を示す構成図である。以下、この血液成分採取回路の構成について、図4を参照しつつ説明する。
【0068】
血液成分採取回路1は、血液成分採取装置に装着されて、血液(全血)から血小板(目的とする血液成分)を採取(回収)するための回路であって、図1、図2または図3に示す遠心分離器(遠心ボウル)4と、該遠心分離器4に血液または血液成分を導入する第1のライン(血液導入ライン)2と、遠心分離器4にて分離された血液成分を回収する第2のライン(血液成分回収ライン)3と、第3のライン(採血・返血ライン)10とを備えてなるものである。
【0069】
血液成分採取装置は、遠心分離器4のローター50を回転する回転駆動装置7と、光学センサー61、62と、第1のライン2に設置されるポンプ9と、第3のライン10に設置されるポンプ107と、バルブ83、84、85、86と、光学センサー61、62からの検出信号等に基づいてポンプ9、回転駆動装置7および各バルブ83〜86の作動を制御する制御手段(図示せず)とを有する。
【0070】
図4に示すように、第3のライン10は、主に、チューブ101と、チューブ101の先端に接続された採血針104と、チューブ101の途中にY字状の分岐コネクタ102を介して接続されたチューブ103と、チューブ103の先端に接続された瓶針108と、チューブ103の途中に接続された点滴筒105および除菌フィルター106とで構成されている。チューブ103の途中には、ローラポンプよりなる送液用のポンプ107が設置されている。
【0071】
チューブ101の基端は、T字状の分岐コネクタ12を介してチューブ13および20の一端と接続されている。チューブ101の途中には、チューブ101の内部流路を遮断・解放し得る流路開閉手段であるバルブ83が設置されている。
【0072】
第1のライン2は、チューブ13およびその一端に接続された分岐コネクタ12により構成されている。チューブ13の他端は、遠心分離器4の流入口43に接続され、チューブ13の途中には、例えばローラポンプよりなる送血用のポンプ9が設置されている。
【0073】
遠心分離器4の流出口44には、チューブ14の一端が接続され、チューブ14の他端は、T字状の分岐コネクタ15を介してチューブ16および18の一端と接続されている。
【0074】
チューブ16の他端は、血小板を貯留する血小板バッグ17に接続され、チューブ16の途中には、チューブ16内の流路を開閉するバルブ85が設置されている。
【0075】
また、チューブ18の他端は、血漿バッグ21に接続され、チューブ18の途中には、チューブ18内の流路を開閉するバルブ86が設置されている。
【0076】
一端が分岐コネクタ12に接続されているチューブ20の他端は、血漿バッグ21に接続され、チューブ20の途中には、チューブ20内の流路を開閉するバルブ84が設置されている。
【0077】
このような構成において、チューブ14、16、18、20、分岐コネクタ15、血小板バッグ17および血漿バッグ21により、第2のライン3が構成されている。このうち、チューブ14、18および血漿バッグ21は、血漿を回収するための血漿回収用分岐ラインを構成し、チューブ14、16および血小板バッグ17は、血小板を回収するための血小板回収用分岐ラインを構成する。
【0078】
回転駆動装置7は、例えば、遠心分離器4を収納するハウジングと、遠心分離器4のローター50を保持する円盤状の固定台と、この固定台を回転駆動するモータ(いずれも図示せず)とで構成されている。
【0079】
光学センサー61は、ローター50内の分離された血液成分の界面、すなわち、バフィーコート層と赤血球(濃厚赤血球)層との界面の位置を光学的に検出するもので、ローター50の外周面に対面するように設置されている。
【0080】
この光学センサー61は、LEDのような発光素子とフォトダイオードのような受光素子とを有し、発光素子から発っせられた光の血液成分での反射光を受光素子により受光し、その受光光量を光電変換するように構成されている。分離されたバフィーコート層と赤血球層とで反射光の強度が異なるため、受光光量すなわち出力電圧が変化した受光素子に対応する位置が、界面の位置として検出される。
【0081】
チューブ14の流出口44と分岐コネクタ15との間には、チューブ14内を流れる血液成分中の血小板の濃度を検出し得る光学センサー62が設置されている。この光学センサー62は、チューブ14を介して対向配置された投光部(光源)63および受光部(フォトダイオード)64で構成されている。投光部63から発せられた光(例えばレーザ光)は、チューブ14を透過して受光部64で受光され、その受光光量に応じた電気信号に変換されるが、チューブ14内を流れる血液成分中の血小板濃度に応じて透過率が変化し、受光部64での受光光量が変動するため、この変動を受光部64からの出力電圧の変化として検出することができる。
【0082】
前記各バルブ83〜86は、例えば、ソレノイド、電動モータ、またはシリンダ(油圧または空気圧)等の駆動源で作動し、該駆動源は、後述する制御手段からの信号に基づいて作動する。各バルブ83〜86を例えばピンチバルブで構成する場合、それらが設置されているチューブを挟持して内部流路を圧閉し、液の流通を遮断する。
【0083】
なお、血液成分採取回路1は、図4に示す構成のものに限定されないことは、言うまでもない。
【0084】
次に、図4に示す血液成分採取回路1の作用の好適例について説明する。
[1] 血液成分採取回路1を血液成分採取装置に装着する。そして、ドナー(供血者)の血管に採血針104を穿刺し、チューブ103をクレンメで閉塞し、バルブ83、85を開、その他のバルブを閉とした状態で、ポンプ9を作動(正転)する。これにより、ドナーからの血液は、チューブ101および13を介して移送され、遠心ボウル4の流入口43より流入し、流入管47および流路57を経て貯血空間S1内に導入される。なお、ポンプ9の回転速度は、血液吐出量(血液供給速度)が例えば20〜100mL/min程度となるように設定される。
【0085】
[2] また、前記工程[1]の血液移送と同時に、ポンプ107を作動して瓶針108を介して抗凝固剤(例えばACD−A液)を添加するとともに回転駆動装置7を作動して、ローター50を好ましくは3000〜6000rpm(例えば、4800rpm)で回転する。流入管47の下端開口より流出した血液は、一旦凹部521で受けられ、ローター50の回転による遠心力により、流路57を外周方向へ向けて放射状に流れ、貯血空間S1に集められ、該貯血空間S1において回転中心軸500側より血漿層、バフィーコート層および赤血球層に分離される。
【0086】
なお、このローター50の回転時には、図1および図2に示す遠心分離器4はもちろんのこと、図3に示す遠心分離器4においても、圧力変動緩和空間(第2の空間)S2に血液や血液成分は貯留されないこととなる。
【0087】
[3] 前記工程[1]、[2]を継続し、貯血空間S1の容量を超える血液(約270mL)が貯血空間S1内に導入されると、貯血空間S1内は完全に血液により満たされ、遠心ボウル4の流出口44から血漿がオーバーフローする。
【0088】
このとき、第2のライン3に設置された光学センサー62は、チューブ14中を流れる流体が、空気から血漿に変わったことを検出し、制御手段は、バルブ85を閉塞し、バルブ86を開放するよう制御する。これにより、チューブ14、18を介して血漿を血漿バッグ21内に導入、採取する。
【0089】
またこれに伴い、貯血空間S1内の赤血球量が増加し、バフィーコート層と赤血球層との界面も徐々に回転中心軸側に移動する。この界面は、光学センサー61により随時検出されている。
【0090】
[4] 制御手段は、光学センサー61からの検出信号(界面位置検出情報)に基づき、界面が所定レベルに到達したことを検出すると、バルブ83を閉塞し、バルブ84を開放するとともに、ポンプ107を停止し、ポンプ9の回転速度を所定の加速度(例えば、初速:60mL/min、加速度:3〜6mL/min/sec)で段階的または連続的に増加(増大)するように作動(正転)する。
【0091】
これにより、採血を一時中断するとともに、血漿バッグ21内の血漿をチューブ20および第1のライン2を介して貯血空間S1内に導入し、遠心ボウル4の流出口44から流出してきた血漿をチューブ14、18を介して血漿バッグ21内に回収する。すなわち、血漿バッグ21内の血漿を貯血空間S1内に循環させる。
【0092】
[5] 制御手段は、血漿の貯血空間S1内への循環速度が最高速度、すなわち、ポンプ9の回転速度が最高速度(例えば、130〜250mL/min程度)に到達すると、バルブ84を閉塞し、バルブ83を開放するとともに、ポンプ9の回転速度を例えば20〜100mL/min程度とし、ポンプ107を作動させる。
【0093】
これにより、再び、ドナーからの血液を第3のライン10および第1のライン2を介して遠心ボウル4の貯血空間S1内に流入し、オーバーフローした血漿をチューブ14、18を介して血漿バッグ21に採取する。
【0094】
[6] 次に、制御手段は、血漿バッグ21内に所定量の血漿が採取されると、バルブ83、85を閉塞し、バルブ84、86を開放するとともに、ポンプ107を停止し、ポンプ9の回転速度を所定の加速度(例えば、初速:40〜150mL/min程度、加速度:3〜20mL/min/sec程度)にて増加(増大)するよう作動(正転)する。
【0095】
これにより、採血を中断するとともに、血漿バッグ21内の血漿をチューブ20および第1のライン2を介して貯血空間S1内に所定の加速度にて加速させながら導入し、遠心ボウル4の流出口44から流出してきた血漿をチューブ14、16を介して血漿バッグ21内に回収する。
【0096】
このとき、貯血空間S1内に血漿を所定の加速度にて加速させながら循環すると、赤血球層の拡散(層厚の増大)が生じて、バフィーコート層と赤血球層の界面も徐々に回転中心軸500側に移動するとともに、バフィーコート層中の血小板が遠心力に抗して浮上し(舞い上がり)、ローター50の流出口44へ向かって移動する。
【0097】
[7] 制御手段は、血漿の貯血空間S1内への循環速度が最高速度に到達すると、すなわち、ポンプ9の回転速度が最高速度に到達すると、その回転速度を維持(保持)するように制御する。これにより、血漿の貯血空間S1内への循環速度は、好ましくは120〜300mL/min程度(例えば、200mL/min)とされる。
【0098】
[8] 前記工程[6]、[7]と並行して、光学センサー62からの出力電圧(PC濃度電圧)が所定値(例えば、2.5〜3.5V程度)以下に低下した場合には、すなわち、ローター50の流出口44から血小板が流出するのに伴い、第2のライン3中を流れる血漿中の血小板濃度が所定値以上に到達した場合には、制御手段は、バルブ86を閉塞し、バルブ85を開放するよう制御する。これにより、チューブ14,16を介して濃厚血小板血漿(PC)を血小板バッグ17内へ導入し、採取(貯留)する。
【0099】
なお、この血小板濃度は、PC採取を開始してから上昇を続け、一旦、最高濃度に到達した後、下降に転じる。
【0100】
[9] 光学センサー62により検出される血小板濃度が予め設定された基準値以下となったら、血小板バッグ17への血小板の回収が終了したものとみなし、制御手段の制御により、ポンプ9を停止してローター50内への血漿の供給を停止し、さらに回転駆動装置7を停止してローター50の回転を停止する。これにより、血小板の回収が終了する。
【0101】
なお、このローター50の回転を停止する際には、全てのバルブ83〜86を一旦閉じ、ローター50内から血液成分が流出しないようにする。
【0102】
[10] バルブ83、85を開、その他のバルブを閉とし、ポンプ9を逆回転する。これにより、遠心ボウル4内に残った赤血球、白血球および少量の血漿が、流入管47、流入口43、チューブ13、101を介して、ドナーに返血される。
【0103】
また、本工程の後またはその途中で、バルブ84、86を開、その他のバルブを閉としてポンプ9を作動(正転)し、血漿バッグ21内の血漿をチューブ20、13、流入口43、流入管47を介してローター50内に入れ、続いて、バルブ83、85を開、その他のバルブを閉としてポンプ9を逆回転し、血漿バッグ21から移したローター50内の血漿を、流入管47、流入口43、チューブ13、101を介して、ドナーに返血してもよい。
【0104】
[11] ポンプ9を作動(正転)して、前記工程[1]を行い、さらに前記工程[2]〜[10]を行う。これにより、採血血液に対し、血小板バッグ17への血小板の回収およびその他の血液成分のドナーへの返血がなされる。
【0105】
[12] 血小板バッグ17付近のチューブ16を例えば融着により封止し、さらにこの封止部を切断、分離することにより、血小板製剤入りの血小板バッグ17が得られる。
【0106】
以上のように、本実施形態の血液成分採取回路1では、血漿等の血液成分や血液を貯血空間S1に下方より供給して、分離された血液成分の界面を緩徐に移動させるので、界面を乱すことなく、バフィーコート層中からの血小板の取り出しを確実に行うことができ、血小板の収率および回収された血小板中の白血球の除去率が向上する。
【0107】
特に、血小板排出時における血液成分の供給速度の設定により、血小板の排出条件が最適に調整され、よって、白血球の除去率が極めて高い高品質の血小板製剤が得られる。しかも、光学センサー61や62による検出値に基づいて、装置の諸動作、特に血液成分の供給開始のタイミングや供給速度等を制御するため、自動化とともにより高精度の制御が可能となり、血小板の回収率および回収された血小板中の白血球の除去率がさらに向上する。このようなことから、該血小板製剤を用いた場合、発熱等の副作用をより高い確率で防止することができ、安全性が高い。
【0108】
以上、本発明を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明の遠心分離器は、図示のものに限定されないことは言うまでもない。上述した遠心分離器の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができ、また任意の構成を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の遠心分離器の第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】本発明の遠心分離器の第2実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の遠心分離器の第3実施形態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の遠心分離器を備える血液成分採取回路の実施形態を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
【0110】
1 血液成分採取回路
2 第1のライン
3 第2のライン
4 遠心分離器(遠心ボウル)
40 ステーター
41 ボウルヘッド
42 カバー
43 流入口
44 流出口
45 上部流出管
46 下部流入管
461 上端
462 フランジ部
463、464 流路
47 流入管
48 シール機構
481 リング
482 シール部材
483 押え部材
484 凸部
50 ローター
500 回転中心軸
51 容器本体
511 側壁
515 縮径部
52 底板
521 凹部
53 外核
54 内核
541 連通口
542 液溜め
543 底部
544 上端開口
545 底部内面
55 膜部材(疎水性膜)
56、57 流路
58 摺動部材
59 肩部
60 ダム部
61、62 光学センサー
63 投光部
64 受光部
7 回転駆動装置
83〜86 バルブ
9 ポンプ
10 第3のライン
101 チューブ
102 分岐コネクタ
103 チューブ
104 採血針
105 点滴筒
106 除菌フィルター
107 ポンプ
108 瓶針
12 分岐コネクタ
13、14 チューブ
15 分岐コネクタ
16 チューブ
17 血小板バッグ
18 チューブ
20 チューブ
21 血漿バッグ
S1 貯血空間(第1の空間)
S2 圧力変動緩和空間(第2の空間)
S3 中心部空間
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目44番1号
【出願日】 平成16年7月7日(2004.7.7)
【代理人】 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉

【公開番号】 特開2006−20756(P2006−20756A)
【公開日】 平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願番号】 特願2004−200402(P2004−200402)