| 【発明の名称】 |
マルチルーメンカテーテル |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 陽介
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| 【要約】 |
【課題】カテーテルに必要とされる刺入部感染の管理がし易く、皮下および体外部でキンクし難い、挿入留置が低侵襲で容易に行えるなどの基本要件を損なうことなく、脱血口の閉塞を抑制、解消するカテーテルを提供すること。
【解決手段】先端部が開口してエンドホール26を形成している脱血用ルーメン12と、脱血用ルーメン12に沿って設けられている返血用ルーメン14とを備え、返血用ルーメン14の先端部が脱血用ルーメン12の先端部より前方に位置し、脱血用ルーメン12の先端部から所定の長さ範囲の部分が返血用ルーメン14と略平行且つ一体的になっており、脱血用ルーメン12の先端部のエンドホール26の内外径が脱血用ルーメン12の中間部の内外径より大きくなっている。脱血用ルーメン12の先端部及び先端部近傍は拡張部20を形成しており、拡張部20は軟質の合成樹脂又は吸水膨潤性樹脂で形成されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端部が開口してエンドホールを形成している脱血用ルーメンと、該脱血用ルーメンに沿って設けられている返血用ルーメンとを備え、該返血用ルーメンの先端部が該脱血用ルーメンの先端部より前方に位置し、該脱血用ルーメンの先端部から所定の長さ範囲の部分が該返血用ルーメンと略平行且つ一体的になっており、該脱血用ルーメンの先端部のエンドホールの内外径が該脱血用ルーメンの中間部の内外径より大きくなっていることを特徴とするマルチルーメンカテーテル。 【請求項2】 前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が前記中間部の内外径より大きい内外径を有する拡張部を有しており、該拡張部が、略同一内外径の平坦部と、該平坦部から内外径が徐々に縮小して前記中間部の内外径と略同一の内外径に至る遷移部とからなることを特徴とする請求項1に記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項3】 前記脱血用ルーメンのエンドホールの内外径が、前記脱血用ルーメンと前記返血用ルーメンとの間を仕切る隔壁と離間する一方向に大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項4】 前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が軟質の合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項5】 前記返血用ルーメンの先端部が軟質の合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項4に記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項6】 前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が吸水膨潤性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項7】 前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分が吸水膨潤性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項6に記載のマルチルーメンカテーテル。 【請求項8】 先端部が開口してエンドホールを形成している脱血用ルーメンと、該脱血用ルーメンに沿って設けられている返血用ルーメンとを備え、該返血用ルーメンの先端部が該脱血用ルーメンの先端部より前方に位置し、該脱血用ルーメンの先端部から所定の長さ範囲の部分が該返血用ルーメンと略平行且つ一体的になっており、該脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍の内外径は該脱血用ルーメンの中間部の内外径と略同じになっており、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が吸水膨潤性樹脂で形成され、前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分が吸水膨潤性樹脂で形成されていることを特徴とするマルチルーメンカテーテル。 【請求項9】 前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分、の内外径が、吸水膨潤したときに中間部の内外径と略同じになるように該中間部の内外径より小さく形成されていることを特徴とする請求項8に記載のマルチルーメンカテーテル。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、血液透析治療などをおこなうために、血管に挿入し、留置される多重腔カテーテル(マルチルーメンカテーテル)に係わり、さらに詳しくは、皮膚刺入部での管理の容易さを損なうことなく、血液透析時において脱血が円滑に行えるようにしたマルチルーメンカテーテルに関する。 【背景技術】 【0002】 カテーテル留置による透析治療は、通常、脱血用ルーメンと返血用ルーメンを有するカテーテルを、内頚静脈や大腿静脈などに留置し、脱血用ルーメンを通して血液を体外に抜き出し、抜き出した血液を透析装置で浄化し、返血用ルーメンを通して体内に戻すようにして行われている。 【0003】 2つのルーメンは、それぞれカテーテル手元側に設けられた延長チューブに連通し、透析装置の入口、出口に連結されている。カテーテル先端側においては、それぞれの先端あるいはその近傍に開口が設けられ、この開口を介して外部と連通し、血液の出し入れが行われている。 【0004】 透析治療に際し、カテーテルは血管の末梢側から中心に向けて挿入、留置され、通常、手元寄りの開口(脱血口)から血液が体外に取り出され、透析装置で浄化された後、先端寄りの開口(返血口)から体内に戻されている。 【0005】 また、この2つのルーメンに、小さな横断面を有する第3のルーメンを付加したトリプルルーメンカテーテルも多用されており、この第3のルーメン(サブルーメン)は、透析時、非透析時を問わず微量の薬液注入や血液のサンプリングあるいは血圧の測定などに利用されている。 【0006】 カテーテル留置による透析治療では、2乃至3日毎に数時間の透析が通常数週間にわたって繰り返しなされ、透析を行わない間もカテーテルは血管に留置されている。 【0007】 留置中にカテーテルのルーメン内で血液が凝固し、ルーメンが閉塞することを防止するため、透析終了の度に、カテーテルのルーメン内にヘパリン等の充填がなされている。 【0008】 カテーテルチューブの形状に関しては、外周横断面が略円形で、平坦な隔壁により2つの略D字状横断面のルーメンを形成してなるダブルD型と称されるものと、円形の大きいチューブに小さいチューブを内挿し、両チューブの間に形成される隙間を脱血用ルーメンとし、小さいチューブの中の空腔を返血用ルーメンとして用いるコアクシャル型と称されるものが多用されている。 【0009】 また、外周断面が、長円形や瓢箪形のダブルルーメンカテーテルも、安定した血流量が得られるとの市場の評価もあり、一部に使用されている。 【0010】 ルーメンの開口の形式については、側壁に孔をあけて開口を形成したサイドホールタイプのものと、ルーメンの先端で、前方に向かって開放するエンドホールタイプのものがある。 【0011】 ダブルルーメンカテーテルでは、返血口はカテーテル先端に設けられ、エンドホールあるいは、これにサイドホールを併用したものが多く用いられている。 【0012】 脱血口は、サイドホールが多く用いられているが、エンドホールあるいは、これにサイドホールを併用したものも一部に採用されている。 【0013】 トリプルルーメン以上のカテーテルの場合には、サブルーメン開口をカテーテル先端に配することが多く、脱血口、返血口とも、サイドホールとすることが一般的である。 【0014】 エンドホールの形状については、たとえばUSP5053023に示されるような、ルーメンを隔壁およびカテーテル長手方向に対して直角に切り下ろしたもの、あるいは、特開2001−104486に示されるような、隔壁に直角で、長手方向に対しては斜交するように切り下ろしたもの、あるいはUSP4808155に示されるような、隔壁に斜交して切り下ろしてU字型の開口としたもの等がある。 【0015】 カテーテルの素材に関しては、ポリウレタン、ナイロンエラストマー、シリコンゴムおよびそれらに硫酸バリウムや酸化ビスマスなどレントゲン造影性のフィラーを混入させたものが用いられている。 【0016】 特に優れた機械的強度を有しかつ、軟らかいものから高硬度のものまで幅広い硬さのものが得られ、成形加工も経済的に行えるポリウレタンが多用されており、これらは一般的に疎水性のものである。 【0017】 カテーテル用の吸水膨潤性の材料としては、USP4454309,USP4911691など多くの先行例があるが、カテーテル本体を、脂環式イソシアネ―トをベースとする疎水性ポリウレタンで形成する場合は、特に相溶性の観点から、脂環式イソシアネ―トをベースとする米国Noveon社製の親水性ポリウレタン「テコフィリック(Tecophilic)」が好適である。 【0018】 チューブが外周横断面が円形のダブルD型で、脱血口がサイドホールタイプであるダブルルーメンカテーテルが、挿入留置が比較的容易で、刺入部の出血トラブルも少ないため、広く使われている。 【0019】 トリプルルーメンカテーテルも、また同様の理由で特開平2−209159に開示されるような脱血口、送血口がともにサイドホールタイプのものが広く使用されている。 【0020】 しかしながら、サイドホールタイプの脱血口は、側方に向かって開放しているため、血管壁に引き寄せられる方向に吸引圧が働き、脱血口が血管壁に貼り付き易く、血流不全になり易い。 【0021】 また、血管内に留置されたカテーテルは、生体にとって異物であり、個人差、体調による程度の違いはあるものの、殆どのケースにおいて、これを取り囲むかたちでフィブリンシースが形成されてきて、脱血口もこれに包み込まれる。 【0022】 特に、サイドホールタイプの脱血口では、突起も無いため、容易にこのフィブリンシースによって被覆されて閉塞し、血流不全に陥ってしまうことが多い。 【0023】 また、USP5961485に開示されるような、チューブをコアクシャル型とし、小さな脱血口を全周方向に配することで、血管壁への貼り付きの抑制を図るものも販売されている。 【0024】 これにより、血管壁への貼り付きは改善されるものの、フィブリンシーズによる被覆は抑制できず、さらに脱血の開口が小さくなった分、閉塞し易くなる。 【0025】 このような脱血口の血管壁への貼り付きや、フィブリンシースによる閉塞を少なくするため、USP4808155に開示されるような、カテーテル外周断面が円形で、脱血口がエンドホールタイプのダブルルーメンカテーテルが提案されている。 【0026】 エンドホールのため脱血口により段差が形成され、この段差のため脱血口に血管壁がぴったりと貼り付き難くなる。またフィブリンシースもこの部分で連続した膜が形成され難くなるものと推定されている。 【0027】 しかしながら、サイドホールタイプのものに比して、顕著な改善はみられず、確実にトラブルを解消するには至らない。 【0028】 脱血口部の段差のさらに大きいものとして、外周横断面を長円形でエンドホール脱血口を有するものが、特開平8−206216に、外周横断面を瓢箪形でエンドホール脱血口を有するものが、特表平8−510935に開示されている。 【0029】 このように段差を大きくすることで、脱血口の閉塞は改善されるが、その分、挿入留置がし難くなる。 【0030】 さらに、体外部および皮下挿通部において外圧を受けてキンクし、血流不良を起し易いこと、またカテーテル皮膚刺入部で、外周横断面長円形カテーテルの場合は外周の短径側、また瓢箪形カテーテルの場合は外周の中央の窪み部には、皮下組織から小さい締め付け圧しか受けないので、微量出血が持続し易く、またこの部位からの逆行感染が起こり易くなるなどの問題点を伴う。 【特許文献1】USP5053023 【特許文献2】特開2001−104486 【特許文献3】USP4808155 【特許文献4】USP4454309 【特許文献5】USP4911691 【特許文献6】USP5961485 【特許文献7】USP4808155 【特許文献8】特開平8−206216号 【特許文献9】特表平8−510935号 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0031】 カテーテル留置による透析治療において、厄介で発生頻度の高いトラブルは、血流不良であり、その大多数は脱血口の閉塞に起因するものである。上述の如くさまざまの工夫を施したカテーテルが用いられているが、この問題を解消するに至っていない。 【0032】 本発明の目的は、カテーテルに必要とされる刺入部感染の管理がし易く、皮下および体外部でキンクし難い、挿入留置が低侵襲で容易に行えるなどの基本要件を損なうことなく、脱血口の閉塞を抑制、解消するカテーテルを提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0033】 この発明に係るマルチルーメンカテーテルは、先端部が開口してエンドホールを形成している脱血用ルーメンと、該脱血用ルーメンに沿って設けられている返血用ルーメンとを備え、該返血用ルーメンの先端部が該脱血用ルーメンの先端部より前方に位置し、該脱血用ルーメンの先端部から所定の長さ範囲の部分が該返血用ルーメンと略平行且つ一体的になっており、該脱血用ルーメンの先端部のエンドホールの内外径が該脱血用ルーメンの中間部の内外径より大きくなっていることを特徴とするものである。 【0034】 ここで、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍を前記中間部の内外径より大きく形成させて拡張部とし、該拡張部を、略同一内外径の平坦部と、該平坦部から内外径が徐々に縮小して前記中間部の内外径と略同一の内外径に至る遷移部とで構成させるようにしてもよい。 【0035】 また、前記脱血用ルーメンのエンドホールの内外径を、前記脱血用ルーメンと前記返血用ルーメンとの間を仕切る隔壁と離間する一方向に大きく形成させるようにしてもよい。 【0036】 また、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍を軟質の合成樹脂で形成させるようにしてもよい。また、前記返血用ルーメンの先端部を軟質の合成樹脂で形成させるようにしてもよい。軟質の合成樹脂とは、血管に挿入させる際に、挿入路に沿って変形しながら進み、血管の内壁を無用に損傷させないような合成樹脂をいい、例えば、Noveon社製の疎水性ポリウレタン、商品名:テコフレックス(Tecoflex)EG−93A等を挙げることができる。 【0037】 また、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍を吸水膨潤性樹脂で形成させるようにしてもよい。また、前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分を吸水膨潤性樹脂で形成させるようにしてもよい。吸水膨潤性樹脂とは、血液中の水によって膨潤する合成樹脂をいい、例えば、Noveon社製の吸水膨潤性ポリウレタン、商品名:テコフィリック(Tecophlic)HP−93A−100等を挙げることができる。 【0038】 また、この発明に係る別のマルチルーメンカテーテルは、先端部が開口してエンドホールを形成している脱血用ルーメンと、該脱血用ルーメンに沿って設けられている返血用ルーメンとを備え、該返血用ルーメンの先端部が該脱血用ルーメンの先端部より前方に位置し、該脱血用ルーメンの先端部から所定の長さ範囲の部分が該返血用ルーメンと略平行且つ一体的になっており、該脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍の内外径は該脱血用ルーメンの中間部の内外径と略同じになっており、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が吸水膨潤性樹脂で形成され、前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分が吸水膨潤性樹脂で形成されていることを特徴とするものである。 【0039】 ここで、前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分、の内外径を、吸水膨潤したときに中間部の内外径と略同じになるように該中間部の内外径より小さく形成させるようにしてもよい。 【0040】 なお、軟質の樹脂材料や吸水膨潤性樹脂をカテーテルの一部に形成させる方法としては、例えば、チューブルーメンに芯金を挿通して、2つのチューブを突き合わせるようにし、これに熱収縮チューブを被せ、外部から熱風、輻射熱あるいは、レーザービームなどで加熱し、融着接合する方法がある。また、外部からの加熱に代えて、高周波電流を芯金に印加してこれを加熱する方法或いは両方の併用なども行われる。また、外周形状を規制するために、熱収縮チューブに代えて、金属等の型を用い、これを室温または加熱しておいたチューブを押し込み加圧賦形する方法も行われる。更に、バリエーションとして特開平5−337187、特開平11−19216、特開2003−19205などで開示されている方法も利用できる。 【発明の効果】 【0041】 本発明は、脱血用ルーメンの先端部のエンドホールの内外径を該脱血用ルーメンの中間部の内外径より大きくしたので、脱血用ルーメンの先端部が形成する段差が大きくなり、血管の内壁が貼り付くことによってエンドホールが閉塞させられるような事態が生じ難くなり、また、エンドホールがフィブリンシースによって閉塞させられるような事態が生じ難くなり、エンドホールの閉塞による血流不全が生じ難くなるという効果がある。 【0042】 また、本発明は、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が拡張部を形成し、該拡張部が、略同一内外径の平坦部と、該平坦部から内外径が徐々に縮小して前記中間部の内外径と略同一の内外径に至る遷移部とからなる場合、脱血用ルーメン内の血液が乱流を起こすことなく流れるので、血栓が形成され難くなり、脱血用ルーメンの内外面にフィブリンシースが形成され難くなるという効果がある。 【0043】 また、本発明は、前記脱血用ルーメンのエンドホールの内外径が、前記脱血用ルーメンと前記返血用ルーメンとの間を仕切る隔壁と離間する方向に大きく形成されている場合、脱血用ルーメンの先端部が形成する段差が更に大きくなるので、血管の内壁が貼り付くことによってエンドホールが閉塞させられるような事態が更に生じ難くなり、また、エンドホールがフィブリンシースによって閉塞させられるような事態が更に生じ難くなり、エンドホールの閉塞による血流不全が更に生じ難くなるという効果がある。 【0044】 また、本発明は、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が軟質の合成樹脂で形成されている場合、血管への挿入時に狭い挿入路に沿って変形しながら体内に侵入するので、血管へのカテーテルの挿入抵抗が小さくなり、血管へのカテーテルの挿入がし易くなるという効果がある。 【0045】 また、本発明は、脱血ルーメンの先端部及び先端部近傍が軟質の合成樹脂で形成されている場合、血管の内壁に対する脱血ルーメンの先端部の当たりがソフトになるので、血管の内壁に与える刺激や、損傷が小さくなるという効果がある。 【0046】 また、本発明は、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が吸水膨潤性樹脂で形成され、脱血ルーメンの先端部近傍の内外径が中間部の内外径より大きい場合、脱血用ルーメンの先端部が形成する段差が更に大きくなるので、血管の内壁が貼り付くことによってエンドホールが閉塞させられるような事態が更に生じ難くなり、また、エンドホールがフィブリンシースによって閉塞させられるような事態が更に生じ難くなり、エンドホールの閉塞による血流不全が更に生じ難くなるという効果がある。 【0047】 また、本発明は、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍が吸水膨潤性樹脂で形成されている場合、血管内へカテーテルを滑らかに押し込むことができ、留置後は吸水膨潤して脱血ルーメンのエンドホールの内外径が大きくなるので、血管の内壁が貼り付くことによってエンドホールが閉塞させられるような事態が生じ難くなり、また、エンドホールがフィブリンシースによって閉塞させられるような事態が生じ難くなり、エンドホールの閉塞による血流不全が更に生じ難くなるという効果がある。 【0048】 また、本発明は、前記返血用ルーメンの一部で、前記脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分、の内外径が、吸水膨潤したときに中間部の内外径と略同じになるように該中間部の内外径より小さく形成されている場合、所定の流量を確保しつつ、不要な外径の増大を避けることができるという効果がある。 【0049】 なお、本発明は、カテーテルの手元側部が通常の硬質材料で形成されているので、血管への挿入の際に押込み易く、また留置後皮下および体外部においてカテーテルが変形し難く、キンクし難いし、カテーテルの中間部の外形が略円形になっているので、刺入部の感染管理がし易く、皮下および体外部でキンクし難いのはもちろんである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0050】 (実施例1) 図1は本発明の実施例1に係るマルチルーメンカテーテルの斜視図、図2は本発明の実施例2に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図、図3は図2のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【0051】 これらの図において、10はマルチルーメンカテーテルであり、マルチルーメンカテーテル10は、脱血用ルーメン12と、脱血用ルーメン12と略平行に一体的に設けられている返血用ルーメン14とからなる。返血用ルーメン14の先端部は脱血用ルーメン12の先端部より前方に有る。 【0052】 脱血用ルーメン12と返血用ルーメン14は先端側では一体的に設けられているが、途中から基端側にかけて分岐している。分岐部分には脱血用ルーメン12と返血用ルーメン14が裂けないように分岐部材16が設けられている。そして、脱血用ルーメン12の基端部及び返血用ルーメン14の基端部には延長チューブ(図示せず)を連結するためのコネクタ18,18が各々取り付けられている。 【0053】 脱血用ルーメン12の先端部及び先端部近傍には脱血用ルーメン12の中間部Aの内外径より大きく形成された拡張部20が設けられている。拡張部20は、略同一内外径の平坦部22と、平坦部22から内外径が徐々に縮小して中間部Aの内外径と略同一の内外径に至る遷移部24とからなる。 【0054】 脱血用ルーメン12の先端部は開口してエンドホール26を形成している。エンドホール26の内外径は脱血用ルーメン12の中間部Aの内外径より大きい。脱血用ルーメン12のエンドホール26の内外径は、図4に示すように、脱血用ルーメン12と返血用ルーメン14との間を仕切る隔壁28と離間する一方向に大きく形成させるようにしてもよい。 【0055】 脱血用ルーメン12の先端部及び先端部近傍と、返血用ルーメン14の先端部は、図5、図6に示すように、軟質の合成樹脂で形成させるようにしてもよい。同図中、ハッチングで示した部分が軟質の合成樹脂で形成させた部分である。 【0056】 実験例1:硫酸バリウム粉末20%を含むポリウレタンからなるチューブを用いて、外径12Fr.(4.0mm)、全長250mm、断面がダブルD型、脱血口がエンドホールタイプのマルチルーメンカテーテルを作製した。ここで、脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍には拡張部を形成した。拡張部の大きさは、4.0mm(短径)×5.5mm(長径)、平坦部の長さ:25mm、遷移部の長さ:15mmとした。 【0057】 また、脱血用ルーメンの拡張部と、返血用ルーメンの先端部は軟質の疎水性ポリウレタン{Noveon社製テコフレックス(Tecoflex)EG−93A、ショアーA硬度87}で作り、その他の部分は硬質のポリウレタン{Noveon社製テコフレックス(Tecoflex)EG−65D、ショアーD硬度60}で作った。 【0058】 次に、このマルチルーメンカテーテルを血管内に挿入し、挿入の難易、血流の状況、フィブリンシースの形成状況等を調べたところ、このマルチルーメンカテーテルは血管壁への損傷もなく血管内に容易に挿入され、毎分300mlの血流量が安定して得られ、フィブリンシースの形成も殆ど認められなかった。 【0059】 (実施例2) 図7は本発明の実施例2に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図、図8は図7のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【0060】 これらの図に示すように、実施例2のマルチルーメンカテーテルの基本構成は実施例1のマルチルーメンカテーテルと略同じであるが、脱血用ルーメン12の先端部及び先端部近傍と、返血用ルーメン14の一部で、脱血用ルーメン12の先端部及び先端部近傍に接している部分は、図7に示すように、吸水膨潤性樹脂で形成されている。同図中、ハッチングで示した部分が吸水膨潤性樹脂で形成されている部分である。 【0061】 なお、脱血用ルーメン12のエンドホール26の内外径は、図8のB−Bに示すようにしてもよいし、図9に示すように、脱血用ルーメン12と返血用ルーメン14との間を仕切る隔壁28と離間する一方向に大きく形成させるようにしてもよい。 【0062】 実験例2:硫酸バリウム粉末20%を含むポリウレタンからなるチューブを用いて、外径12Fr.(4.0mm)、全長250mm、断面がダブルD型、脱血口がエンドホールタイプのトリプルルーメンカテーテルを形成した。ここで、脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍には拡張部を形成した。拡張部の大きさは、脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に拡張部を形成した。拡張部の大きさは、外径:4.0mm(短径)×4.6mm(長径)、平坦部の長さ:25mm、遷移部の長さ:15mm、先端チップの長さ:7mmとした。 【0063】 また、脱血用ルーメンの拡張部と、返血用ルーメンの先端部は吸水膨潤性ポリウレタン{Noveon社製テコフィリック(Tecophlic)HP−93A−100、ショアーA硬度83}で作り、その他の部分は硬質のポリウレタン{Noveon社製テコフレックス(Tecoflex)EG−65D、ショアーD硬度60}で作った。 【0064】 次に、このトリプルルーメンカテーテルを血管内に挿入し、挿入の難易、血流の状況、フィブリンシースの形成状況等を調べたところ、このトリプルルーメンカテーテルは血管壁への損傷もなく血管内に容易に挿入され、吸水膨潤後の拡張部の長径は約12%膨張して5.5mmとなり、毎分270mlの血流量が安定して得られ、フィブリンシースの形成も殆ど認められなかった。 【0065】 (実施例3) 図10は本発明の実施例3に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図、図11は図10のマルチルーメンカテーテルの吸水膨潤後の状態を示す説明図、図12は図10のタイプのマルチルーメンカテーテルの変形例を示す説明図、図13は図12のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【0066】 実施例3のマルチルーメンカテーテルの基本構成は実施例2のマルチルーメンカテーテルと略同じであるが、脱血ルーメンの先端部及び先端部近傍に実施例2のマルチルーメンカテーテルの拡張部に相当するものは設けられていない。 【0067】 また、実施例3において、返血用ルーメンの内外径はどこも全て同じにしてもよいし、脱血用ルーメンの先端部及び先端部近傍に接している部分を、吸水膨潤したときに中間部の内外径と略同じになるように中間部の内外径より小さく形成させてもよい。後者のようにすると、所定の流量を確保しつつ、不要な外径の増大を避けることができる。 【図面の簡単な説明】 【0068】 【図1】本発明の実施例1に係るマルチルーメンカテーテルの斜視図である。 【図2】本発明の実施例1に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図である。 【図3】図2のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【図4】図2のマルチルーメンカテーテルの拡張部の変形例を断面で示す説明図である。 【図5】脱血ルーメンの拡張部及び返血用ルーメンの先端部を軟質の合成樹脂で形成させた例を示す説明図である。 【図6】図5のマルチルーメンカテーテルの拡張部の断面図である。 【図7】本発明の実施例2に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図である。 【図8】図7のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【図9】本発明の実施例2に係るマルチルーメンカテーテルの拡張部の変形例を断面で示す説明図である。 【図10】図10は本発明の実施例3に係るマルチルーメンカテーテルの前方部分の平断面を示す断面図 【図11】図10のマルチルーメンカテーテルの吸水膨潤後の状態を示す説明図である。 【図12】図10のタイプのマルチルーメンカテーテルの変形例を示す説明図である。 【図13】図12のマルチルーメンカテーテルの各部の横断面を示す断面図である。 【符号の説明】 【0069】 10 マルチルーメンカテーテル 12 脱血用ルーメン 14 返血用ルーメン 16 分岐部材 18 コネクタ 20 拡張部 22 平坦部 24 遷移部 26 エンドホール 28 隔壁 A 中間部
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| 【出願人】 |
【識別番号】303004691 【氏名又は名称】有限会社オーキッド
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| 【出願日】 |
平成16年7月5日(2004.7.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090402 【弁理士】 【氏名又は名称】窪田 法明
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| 【公開番号】 |
特開2006−15058(P2006−15058A) |
| 【公開日】 |
平成18年1月19日(2006.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願2004−198055(P2004−198055) |
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