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【発明の名称】 空気殺菌脱臭装置
【発明者】 【氏名】大見 忠弘

【氏名】白井 泰雪

【氏名】神戸 正純

【氏名】三浦 邦夫

【氏名】稲毛 亮太

【氏名】高塚 威

【氏名】阿部 信志

【氏名】藤山 寛

【氏名】青山 健治

【要約】 【課題】殺菌と共に脱臭を効率よく行うことができるとともに、殺菌脱臭された処理空気中の二酸化塩素濃度を許容値以下に維持可能とした空気殺菌脱臭装置を提供する。

【解決手段】空気殺菌脱臭装置4、5は、斜行ハニカム6と、この斜行ハニカム6の上面に二酸化塩素水を散水する散水手段7と、前記斜行ハニカム6の下面より排出される二酸化塩素水を貯水する受水タンク9と、この受水タンク9に貯留された二酸化塩素水を前記散水手段に供給し循環させるための循環路11及び送水ポンプ10と、前記受水タンク9に二酸化塩素水を供給する二酸化塩素水補給手段8とから構成され、前記処理空気を前記斜行ハニカム6を通過させる過程で、殺菌及び脱臭処理を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の空気流通路を有する気液接触構造体と、この気液接触構造体に対する殺菌脱臭剤の供給手段とを備え、処理空気を前記気液接触構造体を通過させる過程で殺菌及び脱臭処理を行うことを特徴とする空気殺菌脱臭装置。
【請求項2】
多数の空気流通路を有する気液接触構造体と、この気液接触構造体の上面に殺菌脱臭剤を供給する散水/噴霧手段と、前記気液接触構造体の下面より排出される殺菌脱臭剤を貯留する受水タンクと、この受水タンクに貯留された殺菌脱臭剤を前記散水/噴霧手段に供給し循環させるための循環路及び送水ポンプと、前記受水タンクに殺菌脱臭剤を供給する殺菌脱臭剤補給手段とから構成され、処理空気を前記気液接触構造体を通過させる過程で殺菌及び脱臭処理を行うことを特徴とする空気殺菌脱臭装置。
【請求項3】
前記気液接触構造体は、処理空気の絶対湿度を増加させる部位と、その後段で絶対湿度を下げる部位とを含むことを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項4】
前記空気殺菌脱臭装置において、殺菌脱臭剤の循環路中に、殺菌脱臭剤の温度制御を行う熱交換器を設けてある請求項2記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項5】
前記空気殺菌脱臭装置の下流側に、前記空気殺菌脱臭装置を通過した処理済み空気から殺菌脱臭ガスを捕集、分解/除去する殺菌脱臭剤捕集装置を設けた請求項1、2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項6】
前記空気殺菌脱臭装置において、気液接触構造体に散水/噴霧する殺菌処理水の濃度を検出する殺菌脱臭剤濃度センサーを設け、及び/又は前記空気殺菌脱臭装置の下流側に処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度を測定する殺菌脱臭剤濃度センサーを設け、処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度が所定値以下となるように、前記殺菌脱臭剤補給手段からの殺菌脱臭剤の導入量を制御する請求項1、2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項7】
前記気液接触構造体は、波形方向を異ならせた波板を交互に積層させ、前後両面及び上下両面を夫々開口させるとともに、前面開口部から処理空気を導入し、後面開口部から処理済み空気を排出するようにした斜行ハニカム構造の気液接触構造体とされる請求項1〜6いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項8】
前記殺菌脱臭剤は二酸化塩素水とする請求項1〜7いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【請求項9】
前記気液接触構造体の下流に高性能除塵フィルタを設置し、気液接触構造体で捕集されない微生物を捕集し、フィルタの表面上において処理空気中の殺菌脱臭ガスで殺菌することを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、事務所ビル、学校、病院、医療施設、食品工場、医薬品工場、化粧品工場などにおける外気処理や循環系空調設備、さらに化学工場、焼却炉、厨房等の排気系の空調設備等において、空気中の細菌及び真菌を殺菌、或いはウィルスを不活性化するとともに、臭気原因物質や有害ガス成分を除去するための空気殺菌脱臭装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調設備の基本機能は温度及び湿度制御にあるが、近年は温湿度管理のみならず、シックハウス・シックスクール症候群や化学物質過敏症の原因となるホルムアルデヒド、トルエン等の揮発性有機化合物を主とする室内空気質や、臭気を主とする知覚性空気質の管理が求められるようになってきた。
【0003】
例えば、住宅、事務所ビル、学校等における室内空気質に関しては、シックハウス・シックスクール症候群や化学物質過敏症の原因となる揮発性有機化合物の放散の少ない建材や施工材を選定したり、十分な換気設計やベークアウト技術等によって室内空気質の改善策が実施されている。しかしながら、竣工直後には揮発性有機化合物濃度がWHOの基準値を超えたり、身体の不調を訴える居住者があらわれるなど、社会問題となっている。
【0004】
また、知覚性空気質(臭気)の管理については、発生源がまちまちであり、これを特定することも難しいため根本的解決法は確立されていない。一部、光触媒、イオン分解、オゾン分解、吸着技術などが提案されているが、効果、安全性において課題があり、大規模事務所ビルにおいて使用するレベルに達していない。
【0005】
また、化学工場や厨房からの排気による悪臭に対する苦情がここ数年増加する傾向にあり、悪臭防止のための対策が一層必要な状況となっている。
【0006】
一方、空気質汚染の一種である微生物汚染は、感染症・疾病・アレルギー疾患等健康への悪影響が大きく、院内感染をはじめとした様々な病気の集団発生や食中毒の原因として問題になっている。また、食品工場、医薬品工場、化粧品工場等では、空気中の微生物が製品に混入することにより集団中毒や健康への悪影響を及ぼすことが懸念される。さらに、近年では、ダクトや空調機内に存在する微生物由来の揮発性化合物(MVOC:Microbial Volatile Organic Compounds)の中に、臭気成分、人体の皮膚や目、喉を刺激する成分が含まれていることが解明され、微生物対策が臭気や居住者の健康保全の観点でも重要となっている。
【0007】
従来、殺菌方法としては、次亜塩素酸ナトリウムの噴霧による殺菌、オゾンによる殺菌、紫外線による殺菌等があり、例えば上水道における殺菌のように大掛かりな殺菌処理を行うケースでは、次亜塩素酸ナトリウム殺菌がわが国においては主流となっている。例えば、下記特許文献1においては、空調システムにおいて、塩素を含有する殺菌水をフィルタに噴霧若しくは湿潤させることにより、空調システムの室内供給風を殺菌する殺菌方法が開示されている。前記殺菌水としては、有効塩素濃度が0.2〜1000ppmで、かつpHが酸の添加により2.0〜8.0に調整された次塩素酸含有水溶液が使用される。
【0008】
また、下記特許文献2では、空気を機内に吸入するファンが備えられ、機内にヒノキチオールや安定化二酸化塩素などの薬液が貯留されるとともに、該薬液が毛管現象により浸透せしめられるフィルタが配設され、前記フィルタにより機内に吸入された空気を前記薬液及びフィルタに接触させた後、外部に導出するようにした空気清浄機が開示されている。
【0009】
一方、脱臭方法としては、従来より洗浄方法、吸着方法、燃焼方法、生物脱臭法など様々な方法が提案されている。これらの中でも、水や薬液による洗浄法は、設備費や運転費が比較的安価で済むとともに、ミストやダストも除去できることから多用されている。この洗浄法には、臭気成分を水に溶解・吸収させる水洗法(下記特許文献3参照)、臭気物質を薬液(酸またはアルカリ)に吸収させ化学的に中和して液側に固定する薬液中和洗浄法、臭気物質を酸化剤(NaClO、塩素など)の水溶液と気液接触させ酸化反応により無臭化する薬液酸化洗浄法(下記特許文献4参照)などがある。これらの中でも、前記薬液酸化洗浄法は広範囲の臭気に効果があることから様々な分野で適用されている。前記薬液酸化洗浄法における酸化剤には多くの種類があるが、比較的安価に入手できる酸化剤で、使用実績が多く、後処理や二次公害の心配が少ない点で、次亜塩素酸ソーダ(NaClO)が最も広く使用されている。
【0010】
前記各洗浄操作を行うための洗浄塔は、その原理と構造より多くの種類が存在するが、脱臭に多く用いられる洗浄塔は充填塔とスプレー塔である。前記充填塔は、空塔に充填物(ラッシヒリングなど)を規則的または不規則に充填し、吸収液を塔頂で分散流下させ、ガスを塔底から向流、または塔頂から並流に流し気液接触させるものであり、前記スプレー塔は、塔内に設置したノズルから液を噴霧し、この中でガスを低速度で接触させるものである。
【特許文献1】特開2003−199812号公報
【特許文献2】特開平9−225017号公報
【特許文献3】特開2004−89967号公報
【特許文献4】特開平5−161818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前述した各種殺菌方法の内、次亜塩素酸ナトリウムを用いる殺菌法は、レジオネラ菌対策として使用する場合、十分な殺菌効果が得られず生物膜の除去作業を必要とする等、殺菌力の向上が求められている。また、クロラミンやトリハロメタン等の猛毒物質が発生するなどの問題があった。
【0012】
前記オゾン殺菌では、オゾンが強い酸化力を持つことから、許容濃度は0.1ppmとされている。しかし、十分な殺菌効果を得るためには数10ppm程度の高濃度にする必要があり、直吹きを行うと人体に悪影響を及ぼす虞があるため、無人の時間帯に薫蒸として実施する必要があった。
【0013】
前記紫外線殺菌は、菌体のDNAに紫外線を吸収させて殺すものであり、有害な副生成物を作らない、及び薬剤管理が不要等のメリットがあるが、菌に紫外線が照射されなければ効果が得られず、完全な殺菌を行うことは困難であった。また、水処理に適用する場合は、水によって吸収され減衰するため、届く距離に限界があった。
【0014】
更に、前記特許文献1記載の殺菌方法の場合には、濡らしたフィルターにより空気の殺菌を行うものであり、通気抵抗が増加するため圧力損失が大きくなってしまうなどの問題があるとともに、二酸化塩素ガスのように揮発性のガスが溶解している殺菌液の濃度が高いと、処理する空気中に二酸化塩素が放散する。また、処理空気中の二酸化塩素濃度を制御するような特別な方策を講じていないため、溶解二酸化塩素濃度が高い時、処理空気量が少ない時或いは処理空気温度が高い時などには、空気中の二酸化塩素濃度が許容濃度の0.1ppm以上に達してしまう。また、負荷に応じて殺菌液の噴霧量を変化させるなどの制御を行っていないため、一定の殺菌効果を得がたいなどの問題があった。
【0015】
前記特許文献2記載の殺菌方法の場合も、濡らしたフィルタにより空気の殺菌を行うものであり、通気抵抗が増加するため圧力損失が大きくなってしまうなどの問題がある。また、二酸化塩素ガスの濃度を制御していないため、二酸化塩素ガス濃度が許容濃度以上に達する危険性が高いとともに、薬液の供給装置を具備しておらず、処理時間と共に空気洗浄効果が減衰してしまうなどの問題があった。
【0016】
一方、前述した各種脱臭方法のうち、前記水洗法は、臭気成分の水溶性が除去効率に大きな影響を与え、難溶性の有機ガス等では除去効率が低くなる問題があるとともに、多量の水を消費し、処理水から悪臭が発生することもあり、別途廃水処理が必要なこともある。
【0017】
前記薬液中和洗浄法は、中和できる特定のガスのみしか処理できず、pH調整、計器点検等の維持管理が必要となっていた。また、薬液を使用するので安全対策や装置の腐食防止対策が必要となる。さらに、水中の有機物と反応して発ガン性物質であるトリハロメタンを発生するなどの問題があった。
【0018】
前記次亜塩素酸ナトリウムを用いた薬液酸化洗浄法は、酸化剤の供給量が過剰になると出口ガスに薬品臭が残存する。また、水中のアンモニアと反応し、著しく塩素を消耗するとともに、生成物のクロラミンが塩素臭を発生する。さらに、水中の有機物と反応して発がん性物質であるトリハロメタンを発生するという問題があった。
【0019】
一方、洗浄操作を行う洗浄塔として、充填塔で向流式を用いた場合は、ガス速度を増加させるとフラッディングという液が塔内を流下しない現象を起こすためガス速度に上限があった。また、並流式のものは除去効率を十分に確保することが困難であった。また、充填物の表面を薬液が滴下していく際に、充填物の接触間隙に液膜を形成することで圧力損失が大きくなりやすい特性を持っているなどの問題があった。
【0020】
また、スプレー塔では、薬液を微粒化するために噴霧圧を確保する必要があるとともに、水滴が装置口から飛沫しないようにエリミネータ等の除去用の部材を設ける必要があり、圧力損失が増大する問題があった。
【0021】
そこで本発明の第1の課題は、殺菌と共に脱臭を効率よく行うことができるとともに、従来の洗浄式やスプレー方式に比べて、気液接触効率が良い、液ガス比が低い、エリミネータ等の設備が不要で圧力損失が低い、さらに所要動力が少なくて済むなどの種々の効果を奏することができ、省スペース及び省エネルギー化を達成できる空気殺菌脱臭装置を提供することにある。
【0022】
また第2の課題は、上記課題に加えて、殺菌脱臭された処理空気中の殺菌脱臭剤濃度を許容値以下に維持可能とした空気殺菌脱臭装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、多数の空気流通路を有する気液接触構造体と、この気液接触構造体に対する殺菌脱臭剤の供給手段とを備え、処理空気を前記気液接触構造体を通過させる過程で殺菌及び脱臭処理を行うことを特徴とする空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0024】
請求項2に係る本発明として、多数の空気流通路を有する気液接触構造体と、この気液接触構造体の上面に殺菌脱臭剤を供給する散水/噴霧手段と、前記気液接触構造体の下面より排出される殺菌脱臭剤を貯留する受水タンクと、この受水タンクに貯留された殺菌脱臭剤を前記散水/噴霧手段に供給し循環させるための循環路及び送水ポンプと、前記受水タンクに殺菌脱臭剤を供給する殺菌脱臭剤補給手段とから構成され、処理空気を前記気液接触構造体を通過させる過程で殺菌及び脱臭処理を行うことを特徴とする空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0025】
請求項3に係る本発明として、前記気液接触構造体は、処理空気の絶対湿度を増加させる部位と、その後段で絶対湿度を下げる部位とを含むことを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0026】
請求項4記載の本発明として、前記空気殺菌脱臭装置において、殺菌脱臭剤の循環路中に、殺菌脱臭剤の温度制御を行う熱交換器を設けてある請求項2記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0027】
請求項5記載の本発明として、前記空気殺菌脱臭装置の下流側に、前記空気殺菌脱臭装置を通過した処理済み空気から殺菌脱臭ガスを捕集、分解/除去する殺菌脱臭剤捕集装置を設けた請求項1、2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0028】
以上の請求項1〜5記載の発明の内、請求項1、2記載の本発明では、多数の空気流通路を有する気液接触構造体を用い、これに殺菌脱臭剤を供給し、処理空気と気液接触を行わしめることにより処理空気の殺菌と脱臭を行うようにした。従って、従来の洗浄式やスプレー方式に比べて、気液接触効率が良い、液ガス比が低い、エリミネータ等の設備が不要で圧力損失が低い、さらに所要動力が少なくて済むなどの種々の効果を奏することができ、省スペース及び省エネルギー化を達成できるようになる。
【0029】
気液接触構造体としては、通気抵抗が過度に上昇しないように多数の空気流通路を有する構造体であれば良く、例えばシート状部材をハニカム状に成形したものや、プリーツ加工したものなどを好適に使用することができる。
【0030】
上記請求項3記載の本発明では、処理空気の絶対湿度を増加させる部位、つまり加湿部を設け、微生物が付着した浮遊塵埃成分や臭気原因ガスを含む空気中の水分量を増加させる。その後段に絶対湿度を下げる部位、つまり除湿部を設けることにより、水分除去と同時に空気中の微生物が付着した浮遊塵埃成分や臭気原因ガスを空気中から効率よく除去することが可能となる。
【0031】
上記請求項4記載の本発明においては、処理空気の水蒸気が飽和蒸気圧で無い限り、流下水の蒸発潜熱で処理空気の冷却効果が得られることになる。しかし、水の蒸発量は処理空気の温湿度に依存するため、出口空気の温度は成り行きとなってしまう。そこで、殺菌脱臭剤の循環路中に、殺菌脱臭剤の温度制御を行う熱交換器を設け、散水温度を制御することで、所定の出口温度とすることが可能となる。
【0032】
さらに、前記空気殺菌脱臭装置の絶対湿度を増加、または低下させる方法として、受水タンクに貯留された殺菌脱臭剤を散水/噴霧手段に供給し循環させるための循環路に、殺菌脱臭剤の温度制御を行う熱交換器を設けることができる。熱交換器としては、伝熱効率やスペースの観点から、プレート式熱交換器などが好適である。加湿部においては散水する殺菌脱臭剤の温度を上げ、除湿部においては低下させることで、処理する空気の絶対湿度を任意に制御することが可能となる。
【0033】
また、上記請求項5記載の本発明では、前記空気殺菌脱臭装置のみでは、下流側に許容濃度(0.1ppm)以上の殺菌脱臭ガスが放散される可能性があるため、この殺菌脱臭ガスを処理済み空気中から捕集するために、前記空気殺菌脱臭装置を通過した処理済み空気から更に殺菌脱臭ガスを捕集する殺菌脱臭剤捕集装置を設けるようにした。この殺菌脱臭剤捕集装置としては、二酸化塩素に対して吸着性あるいは分解性のある吸着剤や触媒を担持したフィルタや、プラズマ放電など利用した分解装置などが使用される。逆の視点から言えば、上記請求項1、2記載の空気殺菌脱臭装置の場合には、処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度を許容濃度以下とするためには、循環させる殺菌脱臭剤の濃度を低く設定せざるを得ないが、本請求項5記載の装置の場合は、空気殺菌脱臭装置の下流側において殺菌脱臭ガスを捕集する殺菌脱臭剤捕集装置を別途設けるようにしたため、空気殺菌脱臭装置の殺菌脱臭剤濃度を高めに設定することが可能となり、殺菌脱臭効果の向上が可能となる。
【0034】
請求項6記載の本発明として、前記空気殺菌脱臭装置において、気液接触構造体に散水/噴霧する殺菌処理水の濃度を検出する殺菌脱臭剤濃度センサーを設け、及び/又は前記空気殺菌脱臭装置の下流側に処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度を測定する殺菌脱臭剤濃度センサーを設け、処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度が所定値以下となるように、前記殺菌脱臭剤補給手段からの殺菌脱臭剤の導入量を制御する請求項1,2いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0035】
上記請求項6記載の本発明では、処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度を所定値以下とするための手段として、殺菌脱臭剤を貯留する受水タンクから散水/噴霧手段にいたる循環路に殺菌脱臭剤濃度センサーを設けるか、前記空気殺菌脱臭装置の下流側に処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度を測定する殺菌脱臭剤濃度センサーを設けておき、処理済み空気の殺菌脱臭剤濃度が所定値以下となるように、前記殺菌脱臭剤補給手段からの殺菌脱臭剤の導入量を制御するものである。
【0036】
請求項7に係る本発明として、前記気液接触構造体は、波形方向を異ならせた波板を交互に積層させ、前後両面及び上下両面を夫々開口させるとともに、前面開口部から処理空気を導入し、後面開口部から処理済み空気を排出するようにした斜行ハニカム構造の気液接触構造体とされる請求項1〜6いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0037】
上記請求項7記載の本発明においては、特に、特開2003−202174号公報、特開2003−202191号公報等に記載される空気冷却用の斜行ハニカムを本発明の気液接触構造体として用いるものである。この気液接触構造体は、波形方向を異ならせた波板を交互に積層させ、前後両面及び上下両面を夫々開口させるとともに、前面開口部から処理空気を導入し、後面開口部から処理済み空気を排出するようにした斜行ハニカム構造のものである。この斜行ハニカムを用いることにより、格段に気液接触効率を向上させることが可能となる。
【0038】
請求項8に係る本発明として、前記殺菌脱臭剤は二酸化塩素水とする請求項1〜7いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。
【0039】
本請求項8記載の本発明においては、二酸化塩素水を殺菌脱臭液として用いるようにする。従来は一般的に、水中菌の殺菌剤として安価で安全性の高い次亜塩素酸ナトリウムが使用されている。二酸化塩素の殺菌力は次亜塩素酸ナトリウムの3倍と言われているが、価格は10倍と高く、次亜塩素酸ナトリウムの使用で問題が無い場合は、二酸化塩素の需要は少ない。しかしながら、前記次亜塩素酸ナトリウムは、塩素による殺菌のため分解効果がないのに対して、二酸化塩素は活性酸素の発生による殺菌のため、併せて有機物の分解、すなわち脱臭効果を見込むことができるため、本殺菌脱臭装置の殺菌剤として好適に使用することができる。
【0040】
本請求項9記載の本発明においては、気液接触構造体の下流に中性能フィルタあるいはHEPAフィルタなどの高性能除塵フィルタを設置することで、気液接触構造体で捕集されない微生物を捕集し、フィルタの表面上において処理空気中の殺菌脱臭ガスで殺菌することを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の空気殺菌脱臭装置が提供される。空気中の微生物の捕集には、中性能フィルタやHEPAフィルタが一般的に使用され、その除去効率は極めて高いものである。しかしながら、フィルタ表面に捕集された微生物は、ダスト等を栄養源として増殖し、空気の流れに乗って下流側に移動し、いわゆる微生物二次汚染が発生し、その対策が求められている。本発明においては、気液接触構造体で放散される殺菌脱臭ガスを高性能除塵フィルタに流通させることで、捕集された微生物の殺菌を行うことができ、微生物二次汚染を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
以上詳説のとおり、本請求項1〜8いずれかに記載の発明によれば、殺菌と共に脱臭を効率よく行うことができるとともに、従来の洗浄式やスプレー方式に比べて、気液接触効率が良い、液ガス比が低い、エリミネータ等の設備が不要で圧力損失が低い、さらに所要動力が少なくて済むなどの種々の効果を奏することができ、省スペース及び省エネルギー化を達成できるようになる。
【0042】
また、請求項5、6記載の発明によれば、殺菌脱臭された処理空気中の殺菌脱臭剤濃度を許容値以下に維持可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0044】
〔第1形態例〕
図1は本発明に係る空気殺菌脱臭装置4、5が設置された空調ユニット1部分の構造図であり、図2は気液接触構造体6の部分斜視図である。
【0045】
図1に示される空気殺菌脱臭システムは、空調ユニット1内に、送風機2と、前記処理空気の除塵を行う除塵フィルタ3と、本発明に係る空気殺菌脱臭装置4、5と、殺菌脱臭ガスを処理済の空気中から捕集するための殺菌脱臭剤捕集装置16と、塵埃成分を高効率で除去する高性能除塵フィルタ17を備え、前記送風機2により処理空気を送り込み、前記除塵フィルタ3により除塵した後、空気殺菌脱臭装置4、5に導入し、空気の殺菌及び脱臭を行うようになっている。
【0046】
前記空気殺菌脱臭装置4と、空気殺菌脱臭装置5とは同一の構造とされ、上流に設置される空気殺菌脱臭装置4にて加湿の機能を、空気殺菌脱臭装置5にて除湿の機能を担うものである。なお、処理空気に塵埃が存在していると、空気殺菌脱臭装置4、5の気液接触構造体6の表面に付着し、処理空気と二酸化塩素水との気液接触効率が低下するため、本形態例に示すように、上流側に防塵フィルタ3を設け、空気中の塵埃を除去した上で、空気殺菌脱臭装置4、5に導入することが望ましい。
【0047】
前記空気殺菌脱臭装置4、5は、波形方向を異ならせた波板を交互に積層させ、前後両面及び上下両面を夫々開口させるとともに、前面開口部から処理空気を導入し、後面開口部から処理済み空気を排出するようにした斜行ハニカム構造の気液接触構造体6と、この気液接触構造体6の上面に二酸化塩素水を散水する散水手段7と、前記気液接触構造体6の下面より排出される二酸化塩素水を貯留する受水タンク9と、この受水タンク9に貯留された二酸化塩素水を前記散水手段7に供給し循環させるための循環路11及び送水ポンプ10と、前記受水タンク9に二酸化塩素水を補給する二酸化塩素水補給手段8とから構成され、前記処理空気を前記気液接触構造体6を通過させる過程で、殺菌及び脱臭処理を同時的に行うものである。
【0048】
前記気液接触構造体6としては、特開2003−202174号公報、特開2003−202191号公報等に記載される空気冷却装置において使用される気液接触構造体(以下、斜行ハニカムという)がそのまま使用される。以下、前記斜行ハニカム6について、同公報の記載を引用することにより説明すると、斜行ハニカム6は、図2及び図3に示されるように、一方向に向かって伝播する波形形状を有する波形シート6A、6B(以下、「コルゲート状シート」ともいう。)が複数積層されてハニカム形状を呈するものであって、積層されるコルゲート状シート6A、6Bは波の伝播方向が一枚おきに斜めに交差するように積層され、且つ、二層おきのシートの波の伝播方向がそれぞれ略同一方向になるように配置されたハニカム状構造体である。
【0049】
該斜行ハニカム6は、コルゲート状シート6A、6Bに平行な面に対して垂直な4面6a〜6dで切断して直方体を形成し、且つ、該切断面がコルゲート状シートの波の伝播方向と平行でなく、且つ、垂直でもないようにした場合、該直方体を切断面の1つ6dを下面にし、且つ、コルゲート状シートの最外層6b,6cをそれぞれ左右面にして載置すると、切断面である前後両面6b,6c及び上下両面6a、6dの4面は全てハニカムセルが開口し、左右面6e、6fはコルゲート状シートで閉じられた構造を有する。すなわち、斜行ハニカム6は、前後両面6b、6cと、上下両面6a、6dとが開口する構造を有するものである。また、該切断面の、例えば前後両面6b、6cは、斜め上方向に延設されるセルと斜め下方向に延設されるセルとが一層おきに形成される。斜め方向に延設されるセルの前後両面からみた場合の空気の流入、流出方向(水平方向)に対する斜め角度(図中、符号X)は、通常15〜45度、好ましくは25〜35度の範囲内にする。上記斜め角度が該範囲内にあると、流下速度が適度の範囲となり接触効率が向上するため好ましい。
【0050】
上記斜行ハニカム6において、積層されたコルゲート状シートの一層おきの波の伝播方向が互いに交差する角度(図中、符号Y)は、通常30〜90度、好ましくは50〜70度である。このようにコルゲート状シートを上記角度範囲内で交差するように積層すると、上記のように斜め角度(X)を上記の15〜45度とした場合に、処理空気及び二酸化塩素水がハニカムセルと実質的に接触する面積が大きくなるため、処理空気と二酸化塩素水との接触が高くなるため好ましい。すなわち、後述のように、処理空気は斜行ハニカム6の前面開口部6bから導入され、また、二酸化塩素水は上面開口部6aから散水手段7により供給され、斜行ハニカムのコルゲート状シートに浸透し、且つ、該コルゲート状シートの極く表面をゆっくりと下方に流下するため、処理空気の通気方向と浸透壁面の二酸化塩素水の流下方向とが適度の角度を保持し、接触効率が高くなる。
【0051】
前記斜行ハニカム6のセルの高さ、すなわち、波形の山と谷間の寸法を示すセルの山高寸法は、通常2.5〜8.0mm、好ましくは3〜5mmである。セルの山高寸法が2.5mm未満であると製造が困難であり、圧力損失が大きくなるため好ましくない。また、セルの山高寸法が8.0mmを越えると接触効率が低下するため好ましくない。
【0052】
斜行ハニカム6のコルゲート状シートの状態におけるセルの幅、すなわち、セルピッチは、通常6〜16mm、好ましくは7〜10mmである。また、斜行ハニカム6の前面開口部6bと後面開口部6cとの間の寸法、すなわち、斜行ハニカムの厚さ(t)は、通常100〜1000mm、好ましくは200〜800mmである。該厚さが100mm未満であると、接触効率が低下するため好ましくなく、該厚さが1000mmを越えると接触効率がこれ以上向上せず、圧力損失が大きくなるため好ましくない。なお、斜行ハニカム6の厚さは、斜行ハニカムを複数枚使用する場合には、この合計の厚さが上記範囲内のものであればよい。例えば、厚さが300mmの斜行ハニカムを用いる場合には、厚さが100mmの斜行ハニカムを3枚厚さ方向に重ねて合計の厚さを300mmとしてもよい。なお、気液接触構造体として前記斜行ハニカム6を用いると、体積当りの接触効率が高いため、斜行ハニカムの厚さを小さくすることができ、装置の設置スペースを小さくすることができる。さらに、二酸化塩素水の循環量も少なくて済み、大幅な省エネルギー化をも図ることができる。
【0053】
前記斜行ハニカム6を構成するシート状部材は、表面に凹凸があり、内部が多孔質であるものであることが、エレメントの表面積を大きく取れ、エレメントに浸透して流下する二酸化塩素水と空気との接触面積が高まる点で好ましい。このようなシート状部材としては、例えば、アルミナ、シリカ及びチタニアからなる群より選択される1又は2以上の充填材又は結合材と、ガラス繊維、セラミック繊維又はアルミナ繊維等の繊維基材とからなるものが挙げられる。この内、チタニアを配合したものは酸性の化学汚染物質の除去効率が向上するため好ましい。また、シート状部材は、通常、充填材又は結合材を60〜93重量%、繊維基材を7〜40重量%含み、好ましくは充填材又は結合材を70〜88重量%、繊維基材を12〜30重量%含む。シート状部材の配合比率が該範囲内にあると、シート状部材の水浸透性及び強度が高いため好ましい。
【0054】
上記シート状部材は、公知の方法で作製でき、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維又はアルミナ繊維で作製されたペーパーを、アルミナゾル等の結合材とアルミナ水和物等の充填材を混合したスラリーに浸漬した後、乾燥し、コルゲート加工し、その後、乾燥処理と熱処理を行い、水分と有機分を除去すれば得ることができる。アルミナ以外にシリカやチタニアを含有する場合、例えば、シリカ及びチタニアの配合量は、アルミナ100重量部に対してそれぞれ、通常5〜40重量部である。
【0055】
また、斜行ハニカム6は、シート状部材の厚さが通常200〜1000μm 、好ましくは300〜800μm である。また、斜行ハニカム6の空隙率は、通常50〜80%、好ましくは60〜75%である。空隙率を該範囲内とすることにより、ほどよい浸透性を実現でき、空気と二酸化塩素水との接触効率を高めることができる。該シート状部材が、上記厚さと空隙率を有すると、液ガス比及び水の浸透速度が適度な範囲となり、二酸化塩素水と空気の接触効率を高めると共に、強度的にも十分となる。斜行ハニカム6の高さは、200〜800mm、好ましくは400〜600mmであることが望ましい。
【0056】
上記シート状部材をコルゲート状シートに成形する方法としては、径方向に振幅する波形の凹凸が表面に形成された複数の幅広の歯車間に平板状シートを通すような公知のコルゲーターを用いる方法が挙げられる。得られたコルゲート状シートから上記斜行ハニカム6を成形する方法としては、例えば、まず、上記コルゲート状シートを縦100mm(斜行ハニカム成形後の厚み寸法)×横800mm(斜行ハニカム成形後の幅方向又は高さ方向の寸法)程度の矩形の裁断型に対し、波の伝播方向が矩形型の一辺に対して15〜45度になるように配置して裁断して矩形のコルゲート状シートを作製し、次いで、得られた矩形のコルゲート状シートを1枚おきの波の伝播方向が斜交するように配置し、これらを接着して積層する方法が挙げられる。なお、このようにして製造した場合、斜行ハニカム1枚の厚さは上記裁断型の縦の長さとなる。このため、例えば、空気殺菌脱臭装置4に組込まれる斜行ハニカム6の厚さ、すなわち、斜行ハニカム6の前面開口部6bと後面開口部6cとの間の寸法が300mm必要である場合に、縦100mmの裁断型で作製した厚さ100mmの斜行ハニカムを用いるときは、斜行ハニカムを厚さ方向に3枚重ねて使用すればよい。また、高さ方向又は幅方向に1個の斜行ハニカム6では寸法が不足するときは、斜行ハニカム6を高さ方向に複数個重ねて又は幅方向に複数個並べて使用してもよい。なお、このように複数個重ねて又は並べて使用する場合、斜行ハニカム6同士は、接着しても接着しなくてもどちらでもよい。接着しない場合には、複数個の斜行ハニカム6を重ねて又は並べて配置するだけでよい。
【0057】
前記散水手段7は、液体を均等に散水又は滴下可能なものであれば、どのようなものを用いてもよい。例えば滴下孔が多数形成された給水ダクトを用いても良いし、給水管にスプレーノズルを取り付けて散水するようにしたもの、或いはタンク下面を多孔板とし散水するようにしたものであってもよい。なお、散水液として二酸化塩素水が使用されることから、耐薬品性の高い部材によって製作するのが望ましい。また、散水手段7は、斜行ハニカム6に必要最低量の二酸化塩素水が供給されるように、水量調整が可能なものであることが好ましい。また、前記散水手段7に代えて、噴霧手段により二酸化塩素水を斜行ハニカム6に供給するようにしてもよい。
【0058】
前記受水タンク9は、斜行ハニカム6の下面開口部6dから排出される二酸化塩素水を受け止め貯留するものである。受水タンク9の形態としては特に限定されないが、例えば、上面が開口した函体形状の受水パン等が挙げられる。
【0059】
前記受水タンク9に貯留された二酸化塩素水を前記散水手段7に供給するために前記受水タンク9と散水手段7とを繋ぐ循環路11が形成され、この循環路11の途中に送水ポンプ10が配設され、二酸化塩素水が連続的に前記斜行ハニカム6に供給されるようになっている。
【0060】
一方、二酸化塩素はオゾンのように自己分解性があり、時間とともに減衰する。また、微生物量や臭気原因物質量に応じて反応消費量も変化するため、一定の殺菌、脱臭効果を維持するためには二酸化塩素濃度を一定に管理する必要がある。そこで、二酸化塩素水を受水タンク9へ補給するために、二酸化塩素水補給手段8を設ける。二酸化塩素水の投入量は、受水タンク9から散水/噴霧手段にいたる循環路11内に二酸化塩素濃度センサー13Aを設けるか、及び/又は斜行ハニカム6の出口部に処理済み空気中の二酸化塩素ガス濃度を測定する濃度センサー13Bを設け、この測定値に基づき二酸化塩素水の濃度が常時一定になるように制御する。制御は、前記濃度センサ13A/13B及び二酸化塩素水補給手段8からの供給路中に設けてある定量ポンプ15と、制御器14とを信号ケーブル線で接続し、前記濃度センサ13Aの測定値に基づいて定量ポンプ15の吐出量を制御することにより、受水タンク9内の二酸化塩素水濃度を一定値に制御する。
【0061】
前記二酸化塩素水補給手段8における二酸化塩素の発生方法は、公知の方法として、(1)塩酸や硫酸などの無機酸と亜塩素酸ナトリウムを用いた方法、(2)塩素と亜塩素酸ナトリウムを用いた方法、(3)塩酸と次亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムを用いた方法などが存在するが、ランニングコスト、設備コストおよび運転管理の点から、上記(1)塩酸と亜塩素酸ナトリウムを用いる方法が好ましい。この反応では、高濃度の二酸化塩素水溶液が生成されるため、目標濃度となるよう水で希釈し受水タンク9に投入する。
【0062】
以上の空気殺菌脱臭装置4、5においては、受水タンク9に貯留されている二酸化塩素水を散水手段7に送り、斜行ハニカム6の上面6a全体に均一に散水し、斜行ハニカム6の表面を二酸化塩素水によって湿潤状態とする。そして、送風機2により処理空気を空気殺菌脱臭装置4に導入すると、処理空気が斜行ハニカム6表面を濡らしている二酸化塩素水と接触し、処理空気の殺菌と共に脱臭が行われる。殺菌脱臭効率を向上させるためには、空気殺菌脱臭装置4において処理空気の絶対湿度を増加させ、つまり加湿し、微生物が付着した浮遊塵埃成分や臭気原因ガスを含む空気中の水分量を増加させる。そして、空気殺菌脱臭装置5において絶対湿度を下げる、つまり除湿することで、水分除去と同時に空気中の微生物が付着した浮遊塵埃成分や臭気原因ガスを空気中から効率よく除去することが可能となる。
【0063】
空気殺菌脱臭装置の絶対湿度を増加、または低下させる方法として、受水タンクに貯留された殺菌脱臭剤を散水/噴霧手段に供給し循環させるための循環路に、殺菌脱臭剤の温度制御を行う熱交換器12を設ける。加湿を行う空気殺菌脱臭装置4では、熱交換器12Aの一次側を温水とすることで、加湿が行える。また、除湿を行う空気殺菌脱臭装置5では、熱交換器12Bの一次側を冷水とすることで、減湿が行える。この空気殺菌脱臭装置4、5の絶対湿度の差が大きいほど、殺菌脱臭効果が大きくなる。熱交換器12Bの一次側冷水の温度を、出口空気の絶対湿度を所定の値に制御できるため、本装置は調湿機能も備えている。熱交換器としては、伝熱効率やスペースの観点から、プレート式熱交換器などが好適である。
【0064】
前記空気殺菌脱臭装置4、5において、殺菌と脱臭処理が成され、斜行ハニカム6の後面6cから処理済み空気が排出されるが、処理空気中の二酸化塩素ガスの分圧が低い場合、二酸化塩素は気相側に放散されるため、処理済み空気中に二酸化塩素ガスが混入され、許容濃度(0.1ppm)以上となることがある。
【0065】
そこで、本装置では、図1に示されるように、前記空気殺菌脱臭装置5の下流側に、前記空気殺菌脱臭装置を通過した処理済み空気から二酸化塩素ガスを捕集する二酸化塩素捕集装置16を設けるようにする。この殺菌脱臭剤捕集装置16としては、二酸化塩素に対して吸着性あるいは分解性のある吸着剤や触媒を担持したフィルタや、プラズマ放電など利用した分解装置などが使用される。
【0066】
本空気殺菌脱臭装置4,5を、外気処理などのワンパス処理に摘要する場合などは、処理空気の微生物は可能な限り低減することが好ましい。そのような場合は、殺菌脱臭装置5と、二酸化塩素捕集装置16の間に、中性能フィルタあるいはHEPAフィルタなどの高性能除塵フィルタ17を設置することで、気液接触構造体で捕集されない微生物を捕集し、フィルタの表面上において処理空気中の殺菌脱臭ガスで殺菌することが可能となり、装置出口空気中の微生物をほぼ完全に除去できる。
【0067】
〔第2形態例〕
次いで、図4に示される第2形態例に係る空気殺菌脱臭装置4’は、該空気殺菌脱臭装置4’の下流側に0.1ppm以上の二酸化塩素ガスを含んだ処理済み空気を流さないための他の形態例を示すものである。
【0068】
同図に示されるように、本例においても、空気殺菌脱臭装置としては、上記第1形態例と同様に、波形方向を異ならせた波板を交互に積層させ、前後両面及び上下両面を夫々開口させるとともに、前面開口部から処理空気を導入し、後面開口部から処理済み空気を排出するようにした斜行ハニカム構造の気液接触構造体6と、この気液接触構造体6の上面に二酸化塩素水を散水する散水手段7と、前記気液接触構造体6の下面より排出される二酸化塩素水を貯留する受水タンク9と、この受水タンク9に貯留された二酸化塩素水を前記散水手段7に供給し循環させるための循環路11及び送水ポンプ10と、前記受水タンク9に二酸化塩素水を供給する二酸化塩素水補給手段8とから構成される装置が使用される。
【0069】
そして、二酸化塩素水を貯留する受水タンク9内に二酸化塩素濃度センサー13Aを設け、処理済み空気の二酸化塩素濃度が所定値以下となるように、前記二酸化塩素水補給手段8からの二酸化塩素水の導入量を制御するようにする。制御は、前記濃度センサ13A及び二酸化塩素水補給手段8からの供給路中に設けてある定量ポンプ15と、制御器14とを信号ケーブル線で接続し、前記濃度センサ13Aの測定値に基づいて定量ポンプ15の吐出量を制御することにより、受水タンク9内の二酸化塩素水濃度を所定値以下に制御する。この場合、前記斜行ハニカム6の規模にもよるが、概ね二酸化塩素水の二酸化塩素濃度を0.7ppm以下に制御することにより、処理済み空気の二酸化塩素濃度を0.1ppm以下とすることができる。
【0070】
ところで、上記例では受水タンク9内に二酸化塩素濃度センサー13Aを設けるようにしたが、前記空気殺菌脱臭装置4’の下流側に、被処理空気の二酸化塩素濃度を測定する二酸化塩素濃度センサーを設け、処理済み空気の二酸化塩素濃度が所定値以下(0.1ppm以下)となるように、前記二酸化塩素水補給手段8からの二酸化塩素水の導入量を制御するようにしてもよい。
【0071】
さらに、循環空調系に本装置を摘要するときは、空調対象の居室内に二酸化塩素濃度センサーを設置し、居室内の二酸化塩素を一定に保持する運転方法が好ましい。
【0072】
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、殺菌脱臭剤として二酸化塩素水を用いたが、他には、オゾン水、二酸化塩素をアルカリ性水溶液に溶存させて安定化させた安定化二酸化塩素、クロロフィルクロロフィル(葉緑素)、少量の食塩と塩酸を含む水を電気分解したハイクロソフト水〔商標名〕などの殺菌脱臭剤を用いるようにしてもよい。
(2)上記形態例においては、斜行ハニカム6の材質として、ガラス繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、シリカ、チタニアなどの無機系素材としたが、強度並びに循環水に対する化学的安定性等の条件を満たすものであれば、どのような材質であってもよい。例えば、ステンレス、アルミニウム、銅などの金属を用いてもよい。
(3)上記形態例では、気液接触構造体として、4面の開口面をもつ斜行ハニカム6を用いることにより、処理空気の流通方向と二酸化塩素水の供給方向とが交差する交流接触方式のものを用いたが、2面の開口面をもつ向流接触方式の気液接触構造体とすることも可能である。この場合は、気液接触構造体の上部開口から二酸化塩素水を供給する一方で、下部開口から処理空気を導入し上部開口から処理済空気を排出するようにする。
(4)上記形態例においては、空気殺菌脱臭装置4、5を、空調ユニット1内に設けた構成例としたが、本空気殺菌脱臭装置4、5は単独の装置とすることも可能である。
【実施例】
【0073】
(実施例1〜3、比較例1〜3)
親水性のある多孔質セラミックにより、空気の通気方向に対して巾300mm、高さ300mm、奥行き100mmの寸法で前記斜行ハニカム6を作成し、これを図1に示されるように、流下方向に二つ重ね合わせて奥行き200mmとしてダクト系に組み込み、さらにこの空気殺菌脱臭装置4の下流側に、同一サイズ、同一構造の斜行ハニカムによる空気殺菌脱臭装置5を配設した。二酸化塩素発生装置8で発生させた二酸化塩素水溶液を殺菌脱臭水として循環路に注入し、斜行ハニカム6に散水した。注入量は循環路に設置した二酸化塩素濃度センサー13A,13Bにより検出し、散水位置で一定濃度となるよう、注入量を制御した。散水量は一定として、循環路に設置したプレート式熱交換器12A,12Bで散水温度を一定とした。処理空気は、外気を外調機にて温湿度一定として、空気殺菌脱臭装置4,5に供給し、その下流に二酸化塩素分解ユニットを設置した。
【0074】
外気には一般細菌、ならびに真菌類が空中浮遊菌として多量に存在するため、外気の殺菌処理を行った。空気殺菌装置の前後にて一般細菌と真菌の空中浮遊菌量を測定することで、本装置の殺菌性能の評価した。また、二酸化塩素の気中濃度はガス検知管を用いて分析した。また、比較のために加湿冷却のみを行った例を比較例1,2とし、実施例1の二酸化塩素分解ユニットを使用しない条件を比較例3とした。運転条件と空中浮遊菌の測定結果を表1に示す。
【0075】
【表1】


【0076】
表1に示されるように、加湿冷却のみの比較例1,2に比較して、実施例1,2の場合は、加湿後に除湿を行うことで、空中浮遊菌が大幅に低減している。また、実施例1の二酸化塩素分解ユニットを使用しない条件である比較例3では、出口空気中の二酸化塩素濃度が許容濃度を超えている。
【0077】
また、実施例1と同一の運転条件で、空気殺菌脱臭装置の下流にHEPAフィルタ(0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を示す)を設置した条件の微生物測定結果を実施例3として示した。HEPAを用いることで装置出口の空中浮遊菌は検出されていない。
【0078】
(実施例4、比較例4)
上記空気殺菌脱臭装置の入り口部に、臭気ガスとしてトリメチルアミン(刺激臭のある魚臭)を注入し、脱臭処理を行った。運転条件、および入口、出口の臭気ガス濃度の分析結果を実施例4に示す。分析は、ガス検知管を用いた。さらに、実施例4と同一の運転条件で二酸化塩素を注入しない条件における結果を比較例4として示す。
上記運転条件を下表2に示し、試験結果を図5及び図6に示す。その結果、二酸化塩素を注入することで、高い脱臭効果が得られることが分かる。
【0079】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本第1形態例に係る空気殺菌脱臭装置4、5が設置された空調ユニット1部分の構造図である。
【図2】気液接触構造体6の部分斜視図である。
【図3】気液接触構造体6の部分分解図である
【図4】本第2形態例に係る空気殺菌脱臭装置4’が設置された空調ユニット1部分の構造図である。
【図5】実施例4におけるトリメチルアミンの経時変化図(ClO有り)である。
【図6】比較例4におけるトリメチルアミンの経時変化図(ClO無し)である。
【符号の説明】
【0081】
1…空調ユニット、2…送風機、3…除塵フィルタ、4…空気殺菌脱臭装置、5…二酸化塩素捕集装置、6…斜行ハニカム(気液接触構造体)、7…散水手段、8…二酸化塩素水補給手段、9…受水タンク、10…送水ポンプ、11…循環路、12…熱交換器、13A・13B…二酸化塩素濃度センサ、14…制御器、15…定量ポンプ、16…二酸化塩素捕集装置、17…高性能除塵フィルタ
【出願人】 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
【識別番号】390018474
【氏名又は名称】新日本空調株式会社
【識別番号】000222071
【氏名又は名称】東北発電工業株式会社
【出願日】 平成17年1月14日(2005.1.14)
【代理人】 【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志

【公開番号】 特開2006−192097(P2006−192097A)
【公開日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願番号】 特願2005−7038(P2005−7038)