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【発明の名称】 揮発性物質の蒸発装置
【発明者】 【氏名】濱田 直孝
【住所又は居所】愛知県豊田市下市場町3丁目30番地 小島プレス工業株式会社内

【要約】 【課題】室内の温度変化に対応して揮発性物質の揮発量を自動的かつ正確に調節可能な揮発性物質の蒸発装置を提供する。

【解決手段】蒸発装置10は、多孔質材料16の蒸発部16bを覆うための蓋22を有する。蓋22は、プレート18から上方に延びる支持部材又は支柱24の上端付近に設けられるヒンジ又は枢軸26によって回動可能に取付けられるステー28の一端すなわち第1端部28aに設けられる。ステー28の他端すなわち第2端部28bは、プレート18又は容器14の端部付近から上方に延びる板状又は棒状の開口面積調節部材32に当接し又は接続される。調節部材32は、支柱24よりも熱膨張係数が大きい材料から作製されるので、雰囲気温度の変化に応じて開口部30の面積すなわち芳香・消臭剤の蒸発量を調節することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を収容する容器及び該容器内の前記揮発性物質を蒸発させる開口部を有する、揮発性物質の蒸発装置であって、
前記開口部の面積を調節する開口面積調節部をさらに有し、該開口面積調節部は、支点、力点及び作用点を備えた梃子構造を形成し、前記作用点には前記開口部を開閉可能な蓋が設けられ、前記力点には該力点を雰囲気温度の変化に応じて変位させる、雰囲気温度の変化に応じて伸縮可能な調節部材が当接し又は接続され、該調節部材の伸縮による前記力点の変位により、雰囲気温度が上昇したときは前記蓋が前記開口部の面積を減少させる方向に移動し、雰囲気温度が下降したときは前記蓋が前記開口部の面積を増加させる方向に移動することを特徴とする、揮発性物質の蒸発装置。
【請求項2】
前記開口面積調節部は、一方の端部に前記作用点、他方の端部に前記力点、さらに前記支点と前記力点との間に前記支点を備えたステーと、前記ステーを前記支点にて回動可能に支持する支持部材とを有し、前記調節部材は前記支持部材より大きい熱膨張係数を有する、請求項1に記載の揮発性物質の蒸発装置。
【請求項3】
前記支持部材は金属から作製され、前記調節部材は樹脂から作製される、請求項2に記載の揮発性物質の蒸発装置。
【請求項4】
揮発性物質を収容する容器及び該容器内の前記揮発性物質を蒸発させる蒸発部を有する、揮発性物質の蒸発装置であって、
前記蒸発部の面積を調節するように構成された蒸発面積調節部材をさらに有し、該蒸発面積調節部材は、雰囲気温度の変化に応じて伸縮可能であるとともに、雰囲気温度が上昇したときは伸長して前記蒸発部の面積を減少させ、雰囲気温度が下降したときは収縮して前記蒸発部の面積を増加させることを特徴とする、揮発性物質の蒸発装置。
【請求項5】
前記蒸発面積調節部材はダイヤフラムを有する、請求項4に記載の揮発性物質の蒸発装置。
【請求項6】
揮発性物質を収容する容器と、
前記容器内の前記揮発性物質を蒸発させる蒸発器と、
雰囲気温度を測定する温度センサと、
前記温度センサの測定結果に基づいて前記蒸発器の蒸発量を制御する制御装置と、
を備える、揮発性物質の蒸発装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車の室内で使用される、芳香剤、消臭剤等の揮発性物質の蒸発装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の室内等にて使用される芳香剤、消臭剤(以降、芳香・消臭剤と称する)等の揮発性物質の蒸発装置は、一般に液状、ゲル状又は固体の芳香・消臭剤を有し、その芳香・消臭成分を車内に蒸発させる機能を有する。このときの蒸発量を適量に制御するための方法としては、以下のものが公知である。
芳香・消臭剤を含む容器の蓋をスライド又は回転させて、容器の開口面積を制御する。
芳香・消臭剤を含む缶詰形の容器を有し、その缶詰の平面状の両端の少なくとも一方の一部又は全部を開口し、その開口面積を制御する。
芳香・消臭剤が液状の場合、液を吸上げる毛細管現象を生じさせることのできる多孔質材料を容器内に有し、その材料の一部を蒸発部として液中から空気中に引上げ、蒸発部が外気に触れる表面積を調節する。
【0003】
また上述の蒸発装置においては、容器の開口面積が一定であっても室温が上昇すれば芳香・消臭剤の蒸発量も増加する。そこで、室温が上昇したときに必要以上の芳香・消臭剤の蒸発を抑制する蒸発装置がいくつか開発されている。例えば特許文献1には、形状記憶効果を有する第1コイルばね、形状記憶コイルばねより温度による弾性変化の少ない第2コイルばね及びそれらの間の可動シャッターを有する揮散性薬剤徐放装置が開示されている。この装置は、所定の温度を境に第1コイルばねと第2コイルばねとの間のばね力の大小関係が逆転することを利用して、外気温が上昇して所定温度に達したときに可動シャッターを閉じて薬剤の放出を抑制するものである。また特許文献2には、容器の蓋を収縮変形可能な駆動部材によって開閉する揮散物収納装置が開示されている。この装置は、容器内の液体に浸漬された駆動部材すなわち高分子ゲルが低温時は膨潤状態、高温時は収縮状態になることにより、駆動部材に接続された蓋の開閉を行うものである。
【特許文献1】特開2002−110176号公報
【特許文献2】特開平7−187267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の3つの制御方法はいずれも、車両の運転者等が手操作で行わなければならない。従って芳香・消臭剤が蒸発する開口部の面積を最適にするための微妙な調節が困難であり、故に芳香・消臭剤の蒸発不足又は蒸発過多の原因となる。また車内は、夏冬の季節間差はもちろん、1日の中でも昼夜間差、天候の変化による差、運転中及び駐車中の車外環境の差等により、車内の温湿度条件は様々に変化する。このような条件の変化に合わせていちいち開口部の面積を調節するのは非常に面倒である。
【0005】
また自動車においては、炎天下にて窓を閉め切って長時間駐車する場合も少なくなく、その場合車内温度は部分的に80℃以上に達することもある。このような状況下では芳香・消臭剤が必要以上に多く蒸発し、頻繁に芳香・消臭剤の蒸発装置を交換し又は芳香・消臭剤を補充する必要が生じるために不経済であるだけでなく、さらに自動車のドアを開放したときに芳香剤の香りが強く感じられ過ぎて不快感を与える。このような不具合を避けるためには、駐車前又は降車時に蒸発装置の開口部を閉じ、乗車時に再び開口部を適度な開度に開くという面倒な作業を行わなければならない。
【0006】
一方特許文献1に記載の発明は、温度上昇に応じて薬剤の放出を自動的に抑制することができるが、形状記憶効果を有するコイルばねと通常のコイルばねとを組み合わせて使用するため、やや構造が複雑となり、コストアップの要因となる。また自動車の室内で使用する場合は、走行中の振動によりばねが伸縮して所定のシャッター開度が得られにくくなる虞がある。また特許文献2に記載の装置は、蓋を動かす部材が高分子ゲル等の弾性体であるため、正確な蓋の開度が得られにくい。またこの装置も、自動車で使用するときは振動により蓋の開度が一定しない虞がある。
【0007】
そこで本発明は、室内の温度変化に対応して揮発性物質の揮発量を自動的かつ正確に調節可能な揮発性物質の蒸発装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、揮発性物質を収容する容器及び該容器内の前記揮発性物質を蒸発させる開口部を有する、揮発性物質の蒸発装置であって、前記開口部の面積を調節する開口面積調節部をさらに有し、該開口面積調節部は、支点、力点及び作用点を備えた梃子構造を形成し、前記作用点には前記開口部を開閉可能な蓋が設けられ、前記力点には該力点を雰囲気温度の変化に応じて変位させる、雰囲気温度の変化に応じて伸縮可能な調節部材が当接し又は接続され、該調節部材の伸縮による前記力点の変位により、雰囲気温度が上昇したときは前記蓋が前記開口部の面積を減少させる方向に移動し、雰囲気温度が下降したときは前記蓋が前記開口部の面積を増加させる方向に移動することを特徴とする、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の揮発性物質の蒸発装置において、前記開口面積調節部は、一方の端部に前記作用点、他方の端部に前記力点、さらに前記支点と前記力点との間に前記支点を備えたステーと、前記ステーを前記支点にて回動可能に支持する支持部材とを有し、前記調節部材は前記支持部材より大きい熱膨張係数を有する、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の揮発性物質の蒸発装置において、前記支持部材は金属から作製され、前記調節部材は樹脂から作製される、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、揮発性物質を収容する容器及び該容器内の前記揮発性物質を蒸発させる蒸発部を有する、揮発性物質の蒸発装置であって、前記蒸発部の面積を調節するように構成された蒸発面積調節部材をさらに有し、該蒸発面積調節部材は、雰囲気温度の変化に応じて伸縮可能であるとともに、雰囲気温度が上昇したときは伸長して前記蒸発部の面積を減少させ、雰囲気温度が下降したときは収縮して前記蒸発部の面積を増加させることを特徴とする、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の揮発性物質の蒸発装置において、前記蒸発面積調節部材はダイヤフラムを有する、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、揮発性物質を収容する容器と、前記容器内の前記揮発性物質を蒸発させる蒸発器と、雰囲気温度を測定する温度センサと、前記温度センサの測定結果に基づいて前記蒸発器の蒸発量を制御する制御装置と、を備える、揮発性物質の蒸発装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る揮発性物質の蒸発装置によれば、芳香・消臭剤の容器の開口面積又は蒸発部の面積を自動的に、高温時は小さくし、逆に低温時は大きくすることができる。従って、室内の温度変化に応じて揮発性物質の蒸発量を常に最適に調節することができる。また蒸発量の制御は、温度センサによって行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明に係る芳香・消臭剤蒸発装置10の概略の平面図及び側断面図である。蒸発装置10は、芳香・消臭剤等の常温で蒸発可能な液体12を含む容器14を有し、さらに容器14内に、液体12を毛細管現象を利用して吸上げて蒸発させる多孔質材料16を有する。容器14の上部はプレート18で覆われ、さらにプレート18は多孔質材料16の一部が挿通される穴20を有する。穴20と多孔質材料16は緊密に係合するため、芳香・消臭剤12は、多孔質材料16のうち液体12に浸漬されている浸漬部16aに吸収されて毛細管現象により多孔質材料内を移動し、穴20より外側の多孔質材料の一部すなわち蒸発部16bに達したときに、外部に蒸発することができる。また芳香・消臭剤12は固体又はゲル状であってもよく、その場合は多孔質材料16は不要であり、その代わり容器14は、固体又はゲルの芳香又は消臭成分の外部への蒸発又は揮発を可能にする通気性を有する。
【0016】
芳香・消臭剤蒸発装置10はさらに、プレート部18の穴20から外部に延びる多孔質材料16の蒸発部16bを覆うための蓋22を有する。蓋22は、プレート18から上方に延びる支持部材又は支柱24の上端付近に設けられるヒンジ又は枢軸26によって回動可能に取付けられるステー28の一端すなわち第1端部28aに設けられる。従って蓋22は、ステー28をヒンジ26を中心にして回動させることにより、多孔質材料16の蒸発部16bと大気とを接触させたり遮断したりすることができ、さらに蓋22とプレート18との間の隙間すなわち開口部30の面積を調節することによって多孔質材料16の蒸発部16bからの芳香・消臭剤12の蒸発量を調節することができる。
【0017】
一方、ステー28の他端すなわち第2端部28bは、プレート18又は容器14の端部付近から上方に延びる板状又は棒状の開口面積調節部材32に当接し又は接続される。調節部材32は、支柱24よりも熱膨張係数が大きい材料から作製される。従って例えば、調節部材32は樹脂製であり、支柱24は金属又はセラミック製である。その他、熱膨張係数の差が比較的大きい組み合わせであれば、調節部材32及び支柱24はどのような材料であってもよい。また調節部材32は、温度変化によって所定の寸法及び形状に変形する形状記憶材料であってもよい。このような構成によれば、外気温度が変化したときの開口部30の面積、故に芳香・消臭剤12の蒸発量を自動的に調節することができる。このことについて、図1(b)、図2(a)及び(b)を参照して以下に説明する。
【0018】
図1(b)は、常温、例えば室温が約20〜30℃であるときの蒸発装置10の状態を示す図でもある。同図のように、支柱24及び調節部材32は、常温において蓋22がプレート18から適度に浮いた状態、すなわち室温及び開口部30の開口面積によって定まる芳香・消臭剤12の蒸発量が適量となるように構成される。
【0019】
一方、炎天下での駐車時のように室温が例えば約80℃まで上昇した場合は、図2(a)に示すように、支柱24及び調節部材32が他部材も含め熱によって膨張する。ここで上述のように支柱24より調節部材32の方が熱膨張係数が大きいので、調節部材32に当接し又は接続されるステー28の第2端部28bは、ステー28がヒンジ26に接続されている部分より大きく上方に変位する。従ってステー28の第1端部28aは、相対的に下方すなわち容器14側に変位し、蓋22は開口部30を閉鎖する方向に移動する。故にこの場合は常温時に比べ開口部30の開口面積を小さく又は実質的にゼロにすることができ、芳香・消臭剤12が不必要に蒸発してしまうことが防止される。また蓋22も調節部材32と同様に熱膨張係数が大きい材料から作製されることが好ましく、その場合は開口部30の閉鎖をより確実に行うことができる。
【0020】
図2(b)は、図2(a)とは反対に、冬場又は夜間等のように室温が例えば10℃以下である蒸発装置10の状態を示す図である。この場合は、支柱24より調節部材32の方が常温時に対する収縮量が大きいので、ステー28の第2端部28bはステー28がヒンジ26に接続されている部分より大きく下方すなわち容器14側に変位する。従ってステー28の第1端部28aは上方に変位し、蓋22は開口部30を大きく開口する方向に移動する。従ってこの場合は、低温であることにより減少する芳香・消臭剤12の蒸発量を開口部30の開口面積を大きくすることによって補うことができ、適量の蒸発量が得られる。
【0021】
また蒸発装置10は、自動車の室内で使用する場合に走行中の振動による蓋22のばたつきを抑制するために、ばね等の弾性体34をさらに有してもよい。ばね34は例えば、図1(b)に示すように、蓋22とヒンジ26との間のステー28の一部を上方に付勢するように構成され配置される。ばね34の付勢効果により、図1(b)及び図2(b)に示すような常温及び低温時であっても、蓋22は振動によって暴れることなく常に所定の開口面積を維持することができる。また、ばね34は図1(b)に示す位置でなく、ヒンジ26と調節部材32との間のステー28の一部を下方に付勢するように構成され配置されてももちろんよい。
【0022】
蒸発装置10においては、蓋22、ステー28、支柱24、ヒンジ26及び調節部材32が開口面積調節部を構成し、その構造は極めて単純であり作製が容易である。開口面積調節部は一種の梃子と考えることができ、その支点が支柱24のヒンジ26、力点が調節部材32、さらに作用点が蓋22にそれぞれ相当する。また容器14に対する蓋22の位置、換言すれば開口部30の開口面積の温度変化は、支柱24、調節部材32、ステー28及び蓋22等の各部材の寸法、形状及び熱膨張係数から正確に求めることができる。これらの条件は全て既知であるので、本発明の蒸発装置は、想定されるほぼ全ての温度において最適の開口面積をほぼ正確に実現する構造を有することができる。
【0023】
図3(a)及び(b)は、本発明に係る好適な第2の実施形態の芳香・消臭剤蒸発装置110を示す図である。蒸発装置110が上述の蒸発装置10と異なる主な点は、金属製支柱及び樹脂製調節部材の代わりに蒸発面積調節部材すなわちダイヤフラムを用いる点である。
【0024】
図3(a)及び(b)に示すように蒸発装置110は、芳香・消臭剤等の揮発性液体112を収容する容器114を有し、さらに容器114内に、液体112を毛細管現象を利用して吸上げて蒸発させる多孔質材料116を有する。容器114の上部はプレート118で覆われ、さらにプレート118は多孔質材料116が通って延びる穴120を有する。穴120と多孔質材料116は緊密に係合するため、芳香・消臭剤112は、多孔質材料116のうち液体112に浸漬されている浸漬部116aに吸収されて毛細管現象により多孔質材料内を移動し、穴120より外側の多孔質材料の一部すなわち蒸発部116bに達したときに、外部に蒸発することができる。多孔質材料116は、穴120から容器114の外側に突出する部分すなわち蒸発部116bの長さ又は面積が後述するように可変であり、また容器114内の底部付近の液を十分に吸上げられる構造を有し、例えば図示するようなロープ状であることが好ましい。
【0025】
ダイヤフラム122は、その上端122aがプレート118の下面に当接又は取付けられ、その下端122bがフランジ124の上面に取付けられる。フランジ124は、ダイヤフラム122の下端122bに当接するとともに、穴120より下方すなわち容器114側の多孔質材料116の一部に固定される。ダイヤフラム122は、温度変化に応じて伸縮可能な材料から形成されるか、あるいはその内部に空気等の熱膨張性流体を有し、高温時は伸び低温時は縮むことができる。従って、高温時にダイヤフラム122が伸長したときは、フランジ124が下方に押し下げられ、多孔質材料116の蒸発部116bが容器内に引込まれてその面積が減少し、芳香・消臭剤の過度の蒸発が自動的に抑制される。一方低温時は、ダイヤフラム122が収縮するので、フランジ124は上方に引上げられ、それに伴って蒸発部116bが容器内から押し出されてその面積が増加し、芳香・消臭剤の蒸発不足を自動的に補うことができる。また好ましくは、図示するように、ダイヤフラム122の外形に略等しい内部形状を有するスリーブ119がプレート118上に形成され、ダイヤフラム122はその中に配置される。
【0026】
また蒸発装置110は、図3(b)及び(c)に示すように、蒸発部116bを密閉する蓋126を有することもできる。蓋126は、例えば適当なヒンジ128により蒸発装置に可動に取付けられる。蓋126は、室温がある温度以上すなわちダイヤフラム122が所定長さ以上であるとき(図3(b))は、蒸発部116bを密閉し、芳香・消臭剤の揮発を防止することができるとともに、蒸発部116bを保護する役割も果たす。逆に室温がある温度以下すなわちダイヤフラム122が所定長さ以下であるとき(図3(c))は、蓋126は蒸発部116bによって押し上げられ、芳香・消臭剤が外部に揮発することができる。なおダイヤフラム122も、調節部材32と同様に、温度変化によって所定の寸法及び形状に変形する形状記憶合金であってもよい。
【0027】
図4は、蒸発装置110の好適な変形例を示す。本変形例においては、ダイヤフラム122の下端122bが多孔質材料116の上部すなわち蒸発部116bに取付けられ、一方ダイヤフラム122の上端122aは、容器114に取付けられる固定板130に取付けられる。固定板130は、好ましくは容器114の上端部から上方に延びる部材130aと、130aの上端からダイヤフラム122の上端122aに向けて略水平に延びる部材130bとを有し、少なくともダイヤフラム122の熱膨張係数より低い熱膨張係数を有する材料(金属等)から作製される。このような構成によれば、室温が常温より高いときはダイヤフラム122は伸長するが、上端122aが固定板130によって抑えられるので下端122bが下方に移動して蒸発部116bを押し下げて蒸発部116bの面積を小さくする。逆に室温が常温より低いときはダイヤフラム122は収縮するが、上端122aが固定板130に固定されているので下端122bが上方に移動して蒸発部116bを引上げて蒸発部116bの面積を大きくする。なおダイヤフラム122の代わりに、固定板130より熱膨張係数の大きい樹脂等の材料を使用することもできる。さらに、ダイヤフラム122を直接蒸発部116bに取付けるのではなく、蒸発装置10は有する蓋26のような蓋をダイヤフラム122と蒸発部116bとの間に配置してダイヤフラム122の下端122bに接続し、蓋とプレート118との間の開口部の面積調節によって蒸発量を制御することも可能である。
【0028】
図5は、本発明に係る好適な第3の実施形態の芳香・消臭剤蒸発装置210を示す図である。蒸発装置210は、室温変化により寸法が変化する部材を有する代わりに、蒸発装置210の雰囲気温度を測定する温度センサ212を有する点で上述の蒸発装置10及び110とは異なる。換言すれば、上述の蒸発装置10及び110は電気等の用役を使用しない装置であるのに対し、蒸発装置210は電気を使用する。蒸発装置210は、芳香・消臭剤を収容するタンク214、タンク214に接続されてタンク214内の芳香・消臭剤を空気中に蒸発又は噴霧し揮発させる蒸発器又は霧化器216、温度センサ212からの温度データに基づいて蒸発器又は霧化器216の蒸発量又は噴霧量を調節するリレー、トランジスタ等を備えた制御装置218を有する。制御装置218及び蒸発器216は、制御用信号回路又は出力を備えたハーネス220によって互いに接続される。
【0029】
室温が常温より高い場合は、好ましくは蒸発器216の付近に設置された温度センサ212が雰囲気温度を感知することにより、制御装置218が蒸発器216を制御して不必要な芳香・消臭剤の蒸散を防止する。具体的には、制御装置218は蒸発器216の停止、断続運転等を行う。逆に雰囲気温度が常温より低い場合は、センサ212がその室温を感知することにより、制御装置218が蒸発器216を制御して必要な芳香・消臭剤の蒸散を確保する。具体的には、制御装置218は蒸発器216の連続運転等を行う。しかし低温時でも人が乗っていない場合は、蒸発器を停止することもできる。
【0030】
温度センサ212は、蒸発装置210のために別途設けられてもよいし、エアコンの温度センサを利用してもよい。また蒸発装置210の電源は、シガレットライタープラグ等の車両電源を用いてもよいし、太陽電池等の他の電源であってもよい。また蒸発器又は霧化器216としては、マイクロモータ、熱ヒータ又はセラミック振動板等の汎用のものが使用可能である。
【0031】
本発明に係る揮発性物質の蒸発装置は、常温を基準として、直射日光下での駐車時のような高温条件のときは芳香・消臭剤の蒸発を停止させ、逆に低温条件のときは蒸発効果を向上させる装置であり、芳香・消臭剤の浪費を防止してVOC濃度を不必要に高めることなく、その効果を平均化することができる。
【0032】
以上、本発明を自動車等の車両内で使用する芳香・消臭剤の蒸発装置として説明したが、本発明は車両室内だけでなく、家庭、事務所、工場又は店舗の居室、作業場又はトイレ等のための芳香・消臭剤蒸発装置としても使用可能であり、室温の日間差が大きい場合には特に有効である。また本発明に係る蒸発装置により蒸発させられるものは芳香剤又は消臭剤に限られず、殺菌剤等の常温で蒸発すなわち揮発可能な他の物質を含む物質であってももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)本発明に係る芳香・消臭剤の蒸発装置の第1の実施形態を示す概略の平面図であり、(b)(a)のb−b線における側断面図である。
【図2】(a)本発明に係る芳香・消臭剤の蒸発装置の第1の実施形態の、高温時の状態を示す側断面図であり、(b)低温時の状態を示す側断面図である。
【図3】(a)本発明に係る芳香・消臭剤の蒸発装置の第2の実施形態を示す概略の平面図であり、(b)(a)のb−b線における側断面図であり、(c)(b)において蓋が開いている状態を示す図である。
【図4】第2の実施形態の芳香・消臭剤の蒸発装置の変形例を示す概略の側断面図である。
【図5】本発明に係る芳香・消臭剤の蒸発装置の第3の実施形態の概略の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0034】
10、110、210 蒸発装置
14、114、214 容器
16、116 多孔質材料
22、126 蓋
24 支柱
28 ステー
32 調節部材
122 ダイヤフラム
212 温度センサ
216 蒸発器
218 制御装置
【出願人】 【識別番号】000185617
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市下市場町3丁目30番地
【出願日】 平成16年10月19日(2004.10.19)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100082898
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 雅也

【公開番号】 特開2006−115882(P2006−115882A)
【公開日】 平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願番号】 特願2004−304036(P2004−304036)