トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 しわ予防のためのマッサージ料
【発明者】 【氏名】大場 愛
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内

【氏名】高橋 きよみ
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内

【氏名】佐藤 千尋
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内

【氏名】二川 朝世
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社横浜研究所内

【氏名】山本 美恵子
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560番地 ポーラ化成工業株式会社戸塚研究所内

【氏名】神保 和子
【住所又は居所】東京都品川区西五反田2丁目2番3号 株式会社ポーラ化粧品本舗ポーラ五反田ビル内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔面のシワを予防、及び/又は改善させるためのマッサージ料であって、
体幹部に塗布され、体幹部のマッサージ施術に使用されるべきマッサージ料であって、1気圧25℃で流動性を有する油脂を少なくとも50質量%含有することを特徴とする、マッサージ料。
【請求項2】
施術に於ける擦過行為に於いて、転相をしない剤型であることを特徴とする、請求項1に記載のマッサージ料。
【請求項3】
タオルの使用によって摩擦係数の変化の少ないものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマッサージ料。
【請求項4】
体幹部及び/又は顔面の筋緊張を緩和する作用を有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載のマッサージ料。
【請求項5】
体幹の筋緊張度が筋硬度であることを特徴とする、請求項4に記載のマッサージ料。
【請求項6】
顔面の筋緊張度が表面筋電位であることを特徴とする、請求項4に記載のマッサージ料。
【請求項7】
顔面が前額であることを特徴とする、請求項6に記載のマッサージ料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ料に関する。さらに詳しくは、顔面のシワを予防する及び/又は改善させるために、肩及び/又は背中へのマッサージのために好適に使用されるマッサージ料に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージという行為は、皮膚の血行を促進し、皮膚の新陳代謝を促し皮膚の状態を改善するようなフェイシャルマッサージやエステティックマッサージ、筋肉・筋・関節に直接或いは間接に作用させ、その血行状態の改善や疲労の回復を促すことを目的とするスポーツマッサージのような生理的な効果にのみとどまらず、例えば、心身をリラックスさせるとか心地よくさせるなどの様々な効果があることが長い間示唆されている。しかしながら、マッサージが人体に与える影響は極めて緩和で、また人体そのものが微妙に変化することから、その短期的或いは持続的な効果を提示することが難しく、実際に生体に有用な作用を発揮しうるマッサージ料が望まれていた。
【0003】
このため、マッサージ料の開発に際して、かような有効な作用を測定・評価可能な非侵襲的な生体指標についての技術開発も不可欠で重要な課題であると認識されている。かような有効な指標として、例えば、特許文献1では唾液中の免疫グロブリン濃度、特許文献2では皮膚表面温度等の自律神経系バランス、特許文献3では唾液中の副腎皮質ホルモン濃度、特許文献4では脳波のアルファ波、特許文献5では対象部位の立体形状変化の度合い、特許文献6では血中ヘモグロビンの酸素飽和度、また特許文献7では血中酸素濃度や筋硬度等の複合的な指標とする評価方法、等が開示されており、施術の目的に応じて適切な指標の選択が為され、より効果的なマッサージ料の開発に使用されている。一方、筋電位(筋電図)は、筋肉の緊張度の変化を示す数値であり、この測定法は既に確立している。かかる数値は、筋ジストロフィーの診断や電位依存性カルシウムチャネル作用薬のスクリーニングの指標に用いられている(例えば、特許文献8を参照)。その他、筋肉の緊張度の変化の指標として、数多くの研究・発表が行われ、医療やスポーツ領域への応用が盛んであるが、美容や化粧分野域でのメリットが明らかでないことから、その利用は殆ど為されていない状況である。
【0004】
一方、マッサージ方法もマッサージ料と表裏一体の関係にあり、心身へのより高い効果を提供するため、マッサージの装置や道具の検討を初めとして、マッサージ施術の技術やその対象部位についての技術開発が行われている。例えば、特許文献9では非施術者の呼吸リズムに同調させた施術によってリラクゼーションを高める方法、特許文献10では非施術者の心身の症状に対応したツボに対する施術によって症状の改善を図る方法、特許文献11では皮膚構造に基づいて真皮線維や動静脈血流の方向への施術によって美容効果を高める方法等が開示されており、心身生理機能の利用が重要であることが示唆されてきている。これらのことからも、マッサージ方法を的確に評価する技術が重要であることが明らかである。
【0005】
多くの女性にとって、美の要素として重要なシワや皮膚のハリに代表される皮膚の形態変化は、容貌に及ぼすマイナスの影響が非常に大きいことから、特に深刻な問題である。この為、各種のシワ予防用のための手術方法、化粧料、道具、食品等の技術が開示され、また、シワの形成や抑制のための研究等が行われている。例えば、特許文献12のボツリヌス菌の神経毒を利用した美容治療方法や特許文献13の筋電図を用いた表情ジワ抑制のための筋肉弛緩用化粧料の開示、非特許文献1のシワについての分類、発生機序及び評価技術の総説等が提示されている。このようなシワに対して手術や道具ではなく、より手軽で安全で、且つ確実な効果のあるマッサージ料が強く望まれていた。しかし、マッサージ料によるシワ抑制効果は期待されるにも拘わらず、単に化粧料やマッサージ料自身の保湿効果や血行促進効果に誘起される体液循環改善に基づくシワ軽減効果に止まっている状況にあった。即ち、シワが、体幹への施術に起因する生理機能の変化に関連することは知られておらず、特に、シワの形成部から遠隔部に存する、体幹の筋肉の緊張度を改善するマッサージによって、顔面筋の緊張が緩和し、顔面のシワを改善できることは今まで全く知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】特許第3499293号公報
【特許文献2】特開平09−047480号公報
【特許文献3】特開平11−023579号公報
【特許文献4】特開平05−300926号広報
【特許文献5】特開2004−113527号公報
【特許文献6】特開2004−129705号公報
【特許文献7】特開2002−224182号公報
【特許文献8】特開2004−125786号公報
【特許文献9】特開2002−126024号公報
【特許文献10】特開2004−188010号公報
【特許文献11】特開2004−195255号公報
【特許文献12】特表2003−505343号公報
【特許文献13】特開2004−277407号公報
【非特許文献1】薬事日報社,化粧品の有用性,2001,p162−177
【非特許文献2】J.Soc.Cosmet.Chem.Japan.Vol15,No1 1981,p32−38
【非特許文献3】フレグランス ジャーナル 臨時増刊 No.5,1984,p376−379
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような状況下で為されたものであり、体幹部に塗布され、体幹部のマッサージ施術に使用されるべきマッサージ料によって、筋緊張度を低下させ顔面のシワを予防、又は改善させる様な効果を適切に発現させるための製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況を鑑みて、本発明者らは、体幹部へのマッサージによって、筋緊張度を低下させ顔面のシワを予防、及び/又は改善できる評価技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、体幹部に塗布され、体幹部のマッサージ施術に使用されるべきマッサージ料であって、1気圧25℃で流動性を有する油脂を少なくとも50質量%含有することを特徴とするマッサージ料がそのような特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)顔面のシワを予防、及び/又は改善させるためのマッサージ料であって、体幹部に塗布され、体幹部のマッサージ施術に使用されるべきマッサージ料であって、1気圧25℃で流動性を有する油脂を少なくとも50質量%含有することを特徴とする、マッサージ料。
(2)施術に於ける擦過行為に於いて、転相をしない剤型であることを特徴とする、(1)に記載のマッサージ料。
(3)タオルの使用によって摩擦係数の変化の少ないものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のマッサージ料。
(4)体幹部及び/又は顔面の筋緊張を緩和する作用を有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載のマッサージ料。
(5)体幹の筋緊張度が筋硬度であることを特徴とする、(4)に記載のマッサージ料。
(6)顔面の筋緊張度が表面筋電位であることを特徴とする、(4)に記載のマッサージ料。
(7)顔面が前額であることを特徴とする、(6)に記載のマッサージ料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、体幹部に塗布され、体幹部のマッサージ施術に使用されるべきマッサージ料によって、筋緊張度を低下させ顔面のシワを予防、又は改善させる効果を適切に発現させるための製剤を提供することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のマッサージ用の化粧料は、1気圧25℃で液体の油脂を少なくとも50重量%含有することを特徴とする。ここで、油脂とは、動植物乃至は鉱物を基源とする原料であって、水とは任意の割合で混合しないものであり、更に好ましくは、水と殆ど相溶しないものである。化学的な性格から分類すれば、スクワラン、流動パラフィン、重質イソパラフィン、軽質イソパラフィン等の炭化水素類、架橋されていてもよいジメチコン、フェメチコン、ジメチコンコポリオール、アモジメチコン、シクロメチコン等のシリコーン類、ホホバ油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタネート、オレイン酸オクチルドデシル等の炭素数8〜30のカルボン酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル類、アジピン酸ジエチル、コハク酸ジエチルなどのような二塩基酸エステル類、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデシルアルコール等の高級アルコール類、オリーブ油、ひまし油、グリセリルトリオレート、ジグリセリルテトラオレート、グリセリルトリイソステアレート、ジグリセリルテトライソステアレート、デカグリセリルドデカオレート等の(ポリ)グリセリンの脂肪酸エステル類、POE(8)ジオレート等のポリエチレングリコールのジエステル類、プロピレングリコールジオレート等のプロピレングリコールのジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸モノイソステアリル等のリンゴ酸のモノエステル或いはジエステル等が好適に例示できる。中でも、炭化水素類乃至はシリコーン類等のように鉱物を基源とするものや、ホホバ油、オリーブ油、ひまし油等の植物を基源とするものが特に好ましく例示できる。本発明の化粧料に於いては、かかる成分は唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有することもできる。これら1気圧25℃で液体の油脂は、化粧料全量に対して、総量で50重量%以上含有させることが必須であり、更に好ましくは60重量%以上含有することが例示できる。これらの油脂を50重量%以上含有することにより、マッサージ施術時にマッサージの擦過強度の変化を少なくさせ、心地よさと、筋緊張緩和をより効果的に具現化させることができる。ここで、本発明における体幹部とは、手、足、頭を除いたからだの部位の総称を意味し、マッサージを受けるべき体幹としては、体幹背部が好ましく、背中、肩乃至は首の側面及び背面が好ましく例示できる。体幹部に施術されるマッサージとしては、背中、肩や頚部に対する軽擦、圧迫及び指圧等を行う、図1に示すような手技が好ましい。
【0011】
本発明の化粧料の剤型は、オイルのような単相系であっても良いし、油中水、水中油乃至は多相の乳化系であっても良いし、オイルゲル等の複相系であっても良い。より好ましい形態は、乳化層の変化による摩擦係数の変化がない、単相系乃至はオイルゲルなどの複相系である。
【0012】
本発明の化粧料に於いては、前記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィンなどの1気圧25℃で液体ではない炭化水素類、高重合度ジメチコン、架橋型メチルポリシロキサンであって1気圧25℃で液体ではないシリコーン類、カルナウバワックス、モクロウ、ミツロウ、ゲイロウ、等の1気圧25℃で液体ではないエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、ベヘン酸などの1気圧25℃で液体ではない脂肪酸類、ベヘニルアルコール、セタノールなどの1気圧25℃で液体ではない高級アルコール類、水添椰子油、グリセリルトリステアレート等のトリグリセライド類、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、イソプレングリコールなどの多価アルコール、ソルビタンセスキオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリエキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ソジウムラウリルステアレート、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホコハク酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、4級アルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、アルキルベタイン等の両性界面活性剤類、結晶セルロースや架橋型メチルポリシロキサン、ポリエチレン粉末、アクリル樹脂粉体等の有機粉体類、タルク、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、紺青、群青、チタンマイカ、チタンセリサイト、シリカ等の表面処理されていても良い粉体類、キサンタンガムやヒドロキシプロピルセルロースなどの増粘剤、レチノール、レチノイン酸、トコフェロール、リボフラビン、ピリドキシン、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル塩などのビタミンやグリチルリチン酸塩、グリチルレチン、ウルソール酸、オレアノール酸などのテルペン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エストリオールなどのステロイド類などの有効成分、フェノキシエタノール、パラベン類、ヒビテングルコネート、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤、ジメチルアミノ安息香酸エステル類、桂皮酸エステル類、ベンゾフェノン類などの紫外線吸収剤などが好ましく例示できる。ここで、「本発明の効果を損なわない限り」とは、均一の摩擦係数でマッサージ施術をできることを意味し、具体的な性状としては、体温付近の温度で、具体的には、35℃に於いて、化粧料の性状が液体乃至は半固体の状態であることが好ましく例示できる。
【0013】
本発明の化粧料は、マッサージ施術時に使用されるものであって、背、肩や頚部の体幹部のマッサージに供されるとき、体幹部において転相しない剤型であることによって、体幹部及び顔面の筋緊張をより緩和させることができる。また、その際、タオルやスポンジ等を使用するときは摩擦係数の変化が少ないものである方が、筋緊張を緩和する上でより好ましい。皮膚との摩擦が大きい場合、不快感や緊張感を増加させるだけでなく、皮膚角層細胞の剥離等の皮膚へのダメージを与えることにもなり、生体皮膚の摩擦計測は重要な要素である。このような皮膚との摩擦を測定する方法としては、例えば、生体皮膚の持つ柔軟性を考慮し、皮膚表面を指先で往復させてすべり感測定する官能動作をシミュレートして、湾曲した指先状の金属板を先端にもったピックアップを往復させて、その時の摩擦力を測定する装置等、各種の装置が開発・実用化されている(非特許文献3参照)。かような装置として非特許文献2及び3に記載の「肌すべり抵抗測定装置」を用いた場合、接触加重40grに対して、前腕内側部のすべり抵抗値は約37gr(摩擦係数では0.93)を示すが、マッサージオイル等を適用することで、すべり抵抗値は16〜28gr(摩擦係数は0.40〜0.70)まで減少させることができる。
【0014】
ここで筋緊張とは、精神的なストレスや肉体の酷使、内臓の疾患、姿勢の悪さ等の外的要因、或いは食生活の乱れや睡眠不足等によって筋肉の緊張状態が持続し、血液循環やリンパの流れが悪くなり、筋肉、血液、リンパ内に老廃物が蓄積された状態で、そのような状態がさらに神経系を刺激し、筋肉の緊張を促進し、首や肩のこり、頭痛等の身体の変調を引き起こしていると考えられている。筋肉の緊張度合である筋緊張度の客観的に計測方法としては、非侵襲的な方法が望ましく、一般的に身体の部位や症状に対応した計測方法が用いられている。このような計測方法として、例えば、顔面や体幹部位に対しては、多くの筋繊維や筋肉の筋緊張情報を表す表面筋電位計測が例示でき、一方、肩こり等の体幹部の筋肉の状態に対しては、その筋硬度を計測する筋硬度計が例示できる。表面筋電位計としては、例えば、ハラダ・ハイパープレシジョン株式会社の筋電位計測器、日本GEマルケットメディカルシステム(株)のデジタル脳波計アライアンスワークスが例示できる。表面筋電位法によって筋緊張度を求めるには、前額部等に電極を装着し、座位閉眼での安静時及び眉引き上げ状態での緊張時における筋電図を用い、その筋電図を積分した筋電図積分値(μV)を用いて前頭筋の安静時筋緊張度を算出する。「前頭筋の安静時筋緊張度」=「安静時5秒間筋電図積分値(μV)」/「眉引き上げ状態の5秒間筋電図積分値(μV)」、として定義される。安静時筋緊張度は眉引き上げ状態の筋電図積分値で除することによって個人差が排除され、被験者固有の日常的な筋緊張度が反映されるものと考えられる。
【0015】
前記筋硬度は筋硬度計によって計測でき、株式会社井元製作所又はヘンリージャパン(株)の生体組織硬度計PEK−1、有限会社トライオールの組織硬度計ニュートン等が例示できる。筋硬度計PEK−1を用いて肩こり部位の筋硬度を計測するには、解剖学的特徴部位である経穴(ツボ)や頸椎を基準に、肩こり位置を選定することが再現性上が好ましい。得られた筋硬度計の値の平均値で以て、体幹の筋緊張度として定義できる。
【0016】
本発明のマッサージ料を評価するには、同一のマッサージ施術で、介在するマッサージ料のみを変えて、マッサージ施術を行い、筋緊張の緩和の度合いを求め、これを比較することにより、マッサージ料の評価、より詳細には、顔面のシワを改善或いは予防するための体幹部に行うマッサージ用のマッサージ料の評価ができる。その際、評価の蓋然性を担保するために、複数の被験者を用いて評価を行い、有意差検定などの統計学的な解析を行うことが好ましい。この時被験者数は、統計的な処理に耐える程度の例数を用いれば良く、具体的には少なくとも10例、より好ましくは50例以上である。この様な評価は、次に示す手順によって行われる。
(1)パネラーを選別し、安静時筋緊張度(筋電図)などの基礎生理機能を予め測定しておく。
(2)前記基礎生理機能を指標に、評価すべきマッサージ料の種類の数と同数の群に、基礎生理機能の分散が偏らないように群分けを行う。この時、1群あたりの例数はマッサージ方法の評価と同様に、統計的な処理に耐える程度の例数を用いれば良く、具体的には少なくとも10例、より好ましくは50例以上である。
(3)施術前に、安静時筋緊張度(筋電図)を計測しておく。
(4)施術者の習熟度の差が無いように、群毎にマッサージ料を変え、マッサージの施術は変えずに、体幹部にマッサージを行い、しかる後に再び安静時筋緊張度(筋電図)の計測を行う。
(5)(3)と(4)との計測値の比較を行い、施術による、群ごとの安静時筋緊張度の平均緩和の度合いを求める。これを統計学的に比較し、安静時筋緊張の緩和の度合いの高いものほど、シワ改善により好適なマッサージ料であると判別する。
【0017】
顔面のシワの予防及び/又は改善の評価は、安静状態において前額部等からレプリカを採取した後、そのレプリカに対してシワのレプリカ画像解析を行うことによって客観的に計測できる。レプリカ剤としては、有限会社アサヒバイオメッドの反射型シリコンASB−01−WW等が例示できる。シワのレプリカ画像解析は、一般的な画像解析ソフトウェアを用いて、日本化粧品工業連合会(http://www.jcia.org/)のガイドラインに従って、シワ画像解析パラメータである、面積比率(%)、総シワ平均深さ(mm)、最大シワ平均深さ(mm)、及び最大シワ最大深さ(mm)を求めることができる。このような画像解析ソフトウェアとしては、例えば、三谷商事(株)のWinROOF(登録商標)、有限会社アサヒバイオメッドの反射用レプリカ解析システムASA−03−Rが例示できる。
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0019】
本発明に係る顔面のシワと顔面部の前頭筋緊張度とが関係することを確認した。無作為に選抜した健常な女性被験者85名(21〜57才)を対象に、洗顔20分後に有限会社アサヒバイオメッドの反射型シリコンを用いて前額部中央よりレプリカを採取した。採取したレプリカを日本化粧品工業連合会のガイドラインに従い、画像解析ソフトウェアを用いてシワ画像解析パラメータである面積比率(%)、総シワ平均深さ(mm)、最大シワ平均深さ(mm)、及び最大シワ最大深さ(mm)を求めた。
【0020】
レプリカを採取した後シールドルームにて、前額部等に皿電極を縦方向1cm間隔で1対の左右2箇所に装着した後、座位閉眼での安静時と眉引き上げ状態での緊張時の2条件の筋電位計測を行い、筋電図積分値(μV)から前頭筋の安静時筋緊張度を算出した。
【0021】
前額部の筋電位計測から得られた前頭筋の安静時筋緊張度と、前額部のレプリカから得られたシワ画像解析パラメータとの関係について相関解析を行い、その結果を表1(シワスコアはSpearman相関係数、画像解析パラメータはPearsonの相関係数)に示す。表1から、安静時筋緊張度と、シワの指標であるシワスコア及びシワ画像解析パラメータとの間には、有意で、且つ高い正の相関関係が認められ、安静時に前頭筋(表情筋)の緊張レベルが高い人ではシワが多いことが分かる。即ち、シワの指標として顔面の筋緊張度や表面筋電位が有効であり、安静時の前頭筋の筋緊張度を低下させる手段を講じることでシワの予防や改善ができることが分かる。
【0022】
【表1】


【実施例2】
【0023】
本発明に係る顔面のシワと体幹部の筋緊張度とが関係することも確認した。実施例1の被験者において、肩こりの自覚度を調べるアンケートであるVAS用紙(Visual Analogue Scale、図2参照)を用いて、現在の肩こり度(VAS値、単位cm)を記入させた後、肩部位で肩こりが起こり易い肩峰と第七頸椎の中点部位の筋硬度を生体組織硬度計PEK−1を用いて計測した。
【0024】
肩こりが起こりやすい肩部の筋硬度と、シワ画像解析パラメータ、肩こりの自覚度であるVAS値(cm)及び前額部の筋電位計測から得られた前頭筋の安静時筋緊張度との関係について相関解析を行い、その結果を表2(Pearsonの相関係数)に示す。表2から、肩部の筋硬度と、シワ画像解析パラメータ、肩こりの自覚度の指標であるVAS値及び前頭筋の安静時筋緊張度との間には、有意で、且つ高い正の相関関係が認められ、肩部の筋硬度が高い人では、シワが多く、肩がこり易いことを自覚し、且つ前頭筋の安静時筋緊張度が高いことが分かる。即ち、筋硬度が肩こりの指標として有効であり、筋硬度の低下、即ち肩こりを低下させる手段を講じることでシワの予防や改善ができることが分かる。
【0025】
【表2】


【実施例3】
【0026】
本発明の下記に示すマッサージ用の化粧料1(オイルタイプ)を用いて、体幹部へのマッサージ施術による顔面のシワと、体幹部及び顔面の筋緊張度への影響を検討した。実施例1及び2と同様の計測手段にて、肩こりに悩んでいる女性被験者11名(41〜53才)を対象に、洗顔20分おいて、前額部よりレプリカ採取、前額部の表面筋電位計測、肩部の筋硬度計測を行った後、図1に示すような、軽擦、圧迫及び指圧等の背中、肩及び頚部へのマッサージ施術をマッサージ用化粧料1を用い、専門家のエステティシャンに20分間行ってもらった。施術終了後に、施術前と同様に表面筋電位と筋硬度の計測を行った。体幹部へのマッサージは毎週2回で同じ時間帯に実施するようにし、1ヶ月後に初回と同様に、施術前後に計測を行った。
(化粧料1)
ジメチコン(100パスカル・秒) 30質量%
フェメチコン(3000パスカル・秒) 10質量%
重質流動イソパラフィン 10質量%
スクワラン 50質量%
(製法)室温で攪拌可溶化する。
【0027】
計測したレプリカ、表面筋電位、筋硬度について解析した結果を表3に示す。表3より、マッサージ施術後に、安静時筋緊張度(緩和度77%)及び筋硬度とも有意(P<0.01)に低下し、また、1ヶ月後に安静時筋緊張度(緩和度70%)と筋硬度に加えて、シワ画像解析パラメータも有意(P<0.01)に低下した。このことから、顔面のシワを予防及び/又は改善させる為の、体幹部に施術されるマッサージ用の化粧料1が有効であることが分かる。
【0028】
【表3】


【実施例4】
【0029】
体幹部へ同一のマッサージ施術を行った場合における、マッサージ用の化粧料の種類による効果への違いについて、実施例1と同様の手法を用い、顔面部の前頭筋緊張度への影響から検討した。肩こりに悩んでいる女性被験者48名(35〜54才)を対象に、予め筋緊張度、年齢、シワの程度を測定し、それらの指標が偏らないよう4群に分けておき、洗顔20分おいて、前額部の表面筋電位計測を行った後、図1に示すような、軽擦、圧迫及び指圧等の背中、肩及び頚部へのマッサージ施術をマッサージ用化粧料を用い、専門家のエステティシャン1名により20分間行った。施術終了後に、施術前と同様に表面筋電位の計測を行い、施術前後の安静時筋緊張度を求めた。マッサージ用の化粧料としては、本願発明の化粧料1(オイルタイプ)、化粧料2(オイルゲルタイプ、35℃で軟ペースト状)及び化粧料3(乳化タイプ)と、比較例として、化粧料1のスクワランと重質流動イソパラフィンとをマイクロクリスタリンワックス(1気圧25℃で液体ではない成分)に置換した化粧料4(オイルゲルタイプ、35℃で固体)の4種類を用いた。実施に際しては、エステティシャンの疲労や慣れを考慮し、午前中の施術で施術被験者数は1日あたり6人とし、化粧料の使用順序は、日にち毎にランダムとした。
【0030】
(化粧料1)オイルタイプ
ジメチコン(100パスカル・秒) 30質量%
フェメチコン(3000パスカル・秒) 10質量%
重質流動イソパラフィン 10質量%
スクワラン 50質量%
(製法)室温で攪拌可溶化する。
【0031】
(化粧料2)オイルゲルタイプ、35℃で軟ペースト状
メチコン(100パスカル・秒) 30質量%
フェメチコン(3000パスカル・秒) 10質量%
重質流動イソパラフィン 10質量%
スクワラン 10質量%
マイクロクリスタリンワックス 40質量%
(製法)90℃で攪拌、相溶させ、金皿に流し込み、冷却成形する。
【0032】
(化粧料3)乳化タイプ

ジメチコン(100パスカル・秒) 30質量%
フェメチコン(3000パスカル・秒) 10質量%
重質流動イソパラフィン 10質量%
スクワラン 10質量%
POE(20)ベヘニルエーテル 2質量%
ソルビタンセスキステアレート 1.5質量%

1,2−ヘキシレングリコール 5質量%
水 31.5質量%
(製法)イ、ロを80℃に加熱し、可溶化させ、イに徐々にロを攪拌しながら加え、攪拌冷却する。
【0033】
(比較化粧料4)オイルゲルタイプ、35℃で固体
ジメチコン(100パスカル・秒) 30質量%
フェメチコン(3000パスカル・秒) 10質量%
マイクロクリスタリンワックス 60質量%
(製法)90℃で攪拌、相溶させ、金皿に流し込み、冷却成形する。
【0034】
体幹部へのマッサージ用化粧料の種類による、顔面部の前頭筋緊張度(緩和度)への影響について、施術前後のt検定(paired−t test)を行った結果を表4に示す。表4より、本発明の化粧料1〜3では有意(p<0.01)に安静時筋緊張度(緩和度77〜81%)は低下するが、本発明でない比較化粧料4では安静時筋緊張度(緩和度94%)の低下は認められず、本発明の化粧料の効果が確かめられた。
【0035】
【表4】


【実施例5】
【0036】
実施例4における被験者と、マッサージ用の化粧料1(オイルタイプ)、化粧料2(オイルゲルタイプ、35℃で軟ペースト状)、化粧料3(乳化タイプ)、及び比較例として、化粧料1のスクワランと重質流動イソパラフィンとをマイクロクリスタリンワックス(1気圧25℃で液体ではない成分)に置換した化粧料4(オイルゲルタイプ、35℃で固体)の4種類について、タオルの使用の有無がマッサージ料と皮膚との摩擦係数に及ぼす影響を確認した。前記「肌すべり抵抗測定装置」を用い、接触加重40grの条件下、前腕内側部にマッサージオイルを適用した際のすべり抵抗値(摩擦係数)を計測し、次に接触子をタオルを覆った場合をタオルを使用したものとしてすべり抵抗値を計測し、タオル使用によるマッサージ料と皮膚との摩擦係数の変化を表5に示す。表5より、化粧料1〜3は摩擦係数の変化が小さいが、化粧料4では、タオルの使用時に摩擦係数が大きく上昇し、マッサージ施術が難しく且つ筋緊張を緩和しにくい。このことからタオルの使用によって摩擦係数の変化の少ないものであることが好ましいことが分かる。
【0037】
【表5】


【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によって、顔面のシワを予防、又は改善させるための効果を、適切に発現できるマッサージ料を提供することことができる。その結果、シワ等の肌悩みを減少又は解消し、より多くの顧客に満足してもらえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】体幹部に施術されるマッサージ方法の例を示す図である(図面代用写真)。
【図2】肩こり度を調べるVAS(Visual Analogue Scale)の記入用紙を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区弥生町6番48号
【出願日】 平成17年6月8日(2005.6.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−342089(P2006−342089A)
【公開日】 平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願番号】 特願2005−168554(P2005−168554)