| 【発明の名称】 |
縮合リン酸塩含有硬質カプセル |
| 【発明者】 |
【氏名】田久保 貴久 【住所又は居所】神奈川県相模原市南橋本4−3−36 カプスゲル・ジャパン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】誤用防止及び製造時の便宜(識別性の確保)の為の着色を目的とする硬質カプセルを提供する。
【解決手段】天然色素(特にフラボノイド系)によって着色する場合に、縮合リン酸塩を使用することにより斑点のない美しい色調と光沢を有する硬質カプセルを提供することができる。フラボノイド系色素を使用した場合、原料や製造工程の系から、不可避的に混入するきわめて微量の金属イオンと結合した結果、有色で難溶性の塩を形成したことが、上記斑点が生じる理由であった。縮合リン酸塩を添加することにより、難溶性塩の形成を防止する。これは医薬用あるいは食品用として使用することができ、きわめて有用なものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 縮合リン酸塩を含有することを特徴とする硬質カプセル。 【請求項2】 さらにフラボノイド系色素を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬質カプセル。 【請求項3】 縮合リン酸塩の量が、フラボノイド系色素の量に対し、10重量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の硬質カプセル。 【請求項4】 縮合リン酸塩の量が、フラボノイド系色素の量に対し、20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の硬質カプセル。 【請求項5】 前記縮合リン酸塩がポリリン酸ナトリウム又はピロリン酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の硬質カプセル。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は縮合リン酸塩を含有する硬質カプセル、殊にプラボノイド系色素を含有してなる色調が均一な硬質カプセルに関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、着色された硬質カプセルが用いられてきた。これらの硬質カプセルの着色は、誤用防止及び薬剤製造時の便宜(識別性の確保など)を主な目的とし、また、美麗な色調による商品価値の向上を副次的な目的として、施される。このような目的を達成するためには種々の色のカプセルを用意できることが必要である。 【0003】 しかしながら、従来より、規格化され、用いられてきた合成色素や天然色素に、発ガン性やアレルギーなどの安全性に関する問題(製品自体の使用中止が要求されるような類の問題ではない。)が指摘されることがあり、常に、技術の発展、すなわち、新しい着色料を用いた硬質カプセルの提供が望まれる。しかしながら、一般に、新しい着色料の提供には、超えなければならない技術上の困難を伴う。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 近年、合成の代替品として、食品に汎用されている天然色素が着目され、これを硬質カプセルの着色に用いる試みがなされているが、天然色素の種類によっては皮膜表面に明らかに肉眼で認め得る褐色の微小斑点を生じる場合がある。硬質カプセルを医薬用、または健康食品用に供する場合、このような斑点は異物と同視され、一般的に著しく商品価値を損なうことになる。このような斑点が生じる原因は、着色料を含む染色液中の不溶性物質とも考えられたが、染料液を濾過しても斑点の発生を防止できないことから、その原因の詳細は不明であった。しかし、本発明者が上記斑点を詳細に鋭意検討したところ、この斑点は鉄をはじめとする種々の金属イオンとの反応生成物であることを突き止めた。 【0005】 すなわち、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ある種の天然着色料、特にフラボノイド系色素が、原料や製造工程の系から、不可避的に混入する極めて微量の金属イオンと結合した結果、有色の難溶性の塩を形成したということが、上記斑点が生じる理由であることを突き止めるに至った。 【0006】 のみならず、本発明者は、このような不可避的に存在し得る極微量の金属イオンに起因する問題を解決すべく、さらに鋭意研究を重ねた結果、天然色素、特にフラボノイド系色素を用いる場合、特定の物質、すなわち、縮合リン酸塩を添加することにより、難溶性の塩の形成を有効に防止し、金属イオンをキレート化し、色素との結合を回避することにより斑点の防止に成功し、美しい色調と光沢を有する硬質カプセルが得られることを見出した。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、縮合リン酸塩を含有することを特徴とする硬質カプセルに関する。 【0008】 本発明の硬質カプセルは、好ましくは、さらにフラボノイド系色素を含有することができる。ここで、縮合リン酸塩の量の下限は、フラボノイド系色素の量に対し、10重量%以上が、好ましく、また、20重量%以上がより好ましい。また、縮合リン酸塩の量の上限は、本発明の主要な効果の観点に関する限り、一般的には、それほど厳密でなくてもよいが、フラボノイド系色素の量に対し、100重量%以下が、好ましく、また、50重量%以下がより好ましいといえるであろう。従って、縮合リン酸塩の量は、フラボノイド系色素の量に対して、好ましくは10重量%〜100重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%又は20重量%〜100重量%、もっとも好ましくは20重量%〜50重量%であるといえよう。 【0009】 本発明においては、縮合リン酸塩として、好ましいものの例としては、ポリリン酸ナトリウムやピロリン酸ナトリウムを挙げることができるが、これらに限定されない。 【発明の効果】 【0010】 本発明によれば、天然色素にて着色する場合に、縮合リン酸塩を使用することにより、斑点のない美しい色調と光沢を有する硬質カプセルを提供することができる。本発明の硬質カプセルは、医薬用あるいは食品用として使用することができ、極めて有用なものである。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 縮合リン酸塩は、食品業界において金属封鎖剤や分散剤等の目的に利用され、食品添加物公定書等に収載されている。縮合リン酸塩とは、一般に、ポリリン酸、ピロリン酸、又は、メタリン酸のアルカリ金属との塩を意味し、該アルカリ金属の例としては、ナトリウム又はカリウムが挙げられる。具体的には、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が含まれるが、これらに限定されるものではなく、その他各種の縮合リン酸塩の使用が可能である。好ましくは、縮合リン酸塩がポリリン酸又はピロリン酸の塩であり、さらに好ましくは、ポリリン酸又はピロリン酸のナトリウム塩である。 【0012】 本発明においては、縮合リン酸塩を、単独で、又は、2種以上の組み合わせとして、天然色素の着色時における斑点発生防止の目的で添加するものであるが、その添加順序は特に限定されない。すなわち、例えば、縮合リン酸塩と当該天然色素との水溶液を調製し、これをカプセル製造用のカプセル基材の溶液に加えてもよいし、当該天然色素で予め着色したカプセル基材の溶液に縮合リン酸塩を添加してもよいし、また、縮合リン酸塩を予め添加したカプセル基材の溶液に当該天然色素を添加してもよい。 【0013】 フラボノイド系色素とは、二つのフェニル基がピラン環あるいはそれに近い構造の三つの炭素原子を介して結合している物質群に分類される色素であり、フラボノイド系色素は、更に、フラボン系(カキ色素、カカオ色素、タマリンド色素、コウリャン色素等)、アントシアニン系(シソ色素、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、ブルーベリー色素等)、カルコン系(ベニバナ黄色素、ベニバナ赤色素等)、フラボノール系、オーロン系色素に分類される。好ましくは、フラボン系色素、アントシアニン系色素、カルコン系色素であり、更に好ましくは、フラボン系色素であり、最も好ましくはカキ色素、カカオ色素及びタマリンド色素である。 【0014】 特に好ましくは、カキ色素である。カキ色素は、厚生省の既存添加物名簿(平成8年4月16日厚生省告示第120号)に記載されている、商業上入手可能な公知の色素である。カキ色素は、一般に、カキノキ科のカキ(Diospyros Kaki Thunb)の果実を発酵後、焙焼したものを、温時含水エタノール又は温時弱アルカリ性水溶液で抽出することにより得られた成分を中和して得ることができる。 【0015】 本発明のカプセルは、さらに二酸化チタンを含有することができる。これにより遮光性の向上が期待できる場合がある。また配合する二酸化チタンの量を調節することにより、カプセルの色を連続的に変化させることが期待できる場合もある。二酸化チタンの含有量は、所望のカプセルを実現できる限りどのようなものであってもよいが、好ましい範囲の一例としては、二酸化チタンを基材に対して0.1〜5重量%含有することが挙げられる。 【0016】 色素及び/又は二酸化チタンを添加するには、当業者に極めて周知の方法を用いることができる。例えば、これらをカプセル製造用の基材の溶液に均一に溶解又は分散するように添加すればよい。色素は、一般的には水溶液としてから添加する。均一の溶解又は分散を行うためには、一般に、特別な工夫は必要はい。当業者に広く知られた装置や方法を用いて、溶解や分散を行えば十分である。 【0017】 硬質カプセルは、硬質カプセルを形成できるカプセル基材から製造される。カプセル基材は、硬質カプセルを形成できるものであれば特に制限はない。カプセル基材としては、動物性基材及び非動物性基材がある。具体的には、動物性基材としては、ウシやブタなどの哺乳類由来のゼラチン、あるいは魚コラーゲン由来のゼラチン等が含まれる。非動物性基材としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の水溶性セルロース誘導体や、プルラン、ヘミセルロース、コーンスターチ、又はカルボキシメチルセルロースもしくはその水溶性塩等が含まれる。好ましくは、非動物性基材を用いた硬質カプセルであり、更に好ましくはプルランを用いた硬質カプセルである。 【実施例】 【0018】 以下、各実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
<<実施例A:斑点防止効果確認>> 先ず、精製水400mLにプルラン100gを加え、70℃に加温して攪拌して粘度調整した均一なプルラン水溶液を調製し、この溶液に、フラボノイド系色素の1種であるカキ色素(東洋インキ製造(株)製 「Refresh Brown No.1」)を基材の1.5重量%(1.5g)と下記表1に記載の各濃度の縮合リン酸塩を加え、均一に混合した。 【0019】 当該各混合物をガラス基板上のコーティングし、乾燥前に、0.5%塩化第二鉄水溶液を各1滴、等量的に加えて不溶性物質を生成させてその変色強度を比較することにより縮合リン酸塩の効果を確認した。 【0020】 表1から明らかなように、いずれの縮合リン酸塩にも斑点防止の効果が認められ、その効果は、ポリリン酸ナトリウムの方が大きかった。 【0021】 【表1】
<<実施例B:カプセルの調製>> 以下の方法により、カプセルを精製した。 【0022】 先ず、精製水20Lにプルラン5kgを加え、70℃に加温して攪拌して粘度調整した均一なプルラン水溶液を調製し、この溶液に、フラボノイド系色素の1種であるカキ色素(東洋インキ製造(株)製 「Refresh Brown No.1」)を基材の1.5重量%(75g)と下記表2に記載の各濃度の縮合リン酸塩を加え、均一に混合した。 【0023】 次に、通常用いられるカプセル成型機を使用し、常法により、当該混合物から硬質プルランカプセルを成型した。本実施例で得られたカプセルは、いずれも透明でかつ、斑点のない良好な赤褐色系統の色調を呈した。 【0024】 【表2】
<<実施例C:外観安定性>> 実施例B1〜3のカプセルについて、40℃/75%RH(RHは環境の相対湿度を意味する。以下本明細書において同じ。)及び冷蔵保管5℃における1ヶ月経過後の外観安定性を観察した。 【0025】 表3から明らかなように本発明のカプセルは保管経時に対する外観安定性は良好であった。 【0026】 【表3】
<<実施例D:充填物に対する外観安定性>> 実施例B1〜3のカプセルに市販の鉄製剤(小林製薬製 栄養補助食品「ヘム鉄」)、または亜鉛製剤(小林製薬製 栄養補助食品「亜鉛」)を180mg充填し、40℃/75%RHにおける1ヶ月経過後の外観安定性を観察した。 【0027】 表4から明らかなように、本発明のカプセルは充填物の影響を受けず、保管経時に対する外観安定性は良好であった。 【0028】 【表4】
<<実施例E:崩壊試験>> 実施例B1〜3のカプセル、及び対照としてポリリン酸ナトリウム無添加カプセルについて、日本薬局方規定の標準条件で、37±1℃に加温した精製水を用いた崩壊試験を行い、表5に示す結果を得た。 【0029】 表5から明らかなように、本発明のカプセルと対照カプセルには皮膜の崩壊時間にほとんど差異は認められなかった。 【0030】 【表5】
上記各実験例により、本発明の縮合リン酸塩を添加したカプセルは、天然色素を使用するカプセルの斑点等の変色防止に有効であることが示された。さらに、本発明のカプセルは経時に対して良好な安定性を有し、日本薬局方で定められるカプセルの品質すなわち外観、性状及び純度試験に適合した。また、同様に一般試験法「崩壊試験」により崩壊性を試験しても、従来のカプセルと全く同様の崩壊挙動を示したことから、本発明のカプセルは、医薬用あるいは食品用として使用することが可能であることが示された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502147421 【氏名又は名称】カプスゲル・ジャパン株式会社 【住所又は居所】東京都品川区上大崎2−24−9
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| 【出願日】 |
平成17年6月7日(2005.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096666 【弁理士】 【氏名又は名称】室伏 良信
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| 【公開番号】 |
特開2006−342076(P2006−342076A) |
| 【公開日】 |
平成18年12月21日(2006.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2005−167269(P2005−167269) |
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