| 【発明の名称】 |
ヒト細胞の分化促進剤及びそれを含む製品 |
| 【発明者】 |
【氏名】冷牟田 修一
【氏名】島内 敏次
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| 【要約】 |
【課題】副作用の少ないヒト細胞の分化促進剤を提供する。
【解決手段】γ−リノレン酸のグリセリド体を含む、ヒト細胞の分化促進剤。この分化促進剤は副作用が少なく、また、優れたヒト細胞の分化誘導・促進機能を有することから、表皮メラニンの排出促進作用、細胞のターンオーバーを促進するため、皮膚用薬剤、化粧品、食品等に使用できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 γ−リノレン酸のグリセリド体を含む、ヒト細胞の分化促進剤。 【請求項2】 さらに、油脂を含む請求項1に記載の分化促進剤。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の分化促進剤を含む皮膚用薬剤。 【請求項4】 請求項1又は2に記載の分化促進剤を含む化粧品。 【請求項5】 請求項1又は2に記載の分化促進剤を含む食品。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ヒト細胞の分化促進剤及びそれを含む製品に関する。 【背景技術】 【0002】 皮膚の老化(しみ、しわ等)の治療や、にきびの治療には、外科的な手法や化学的なピーリング等が用いられている。現在、主に行われている方法は、外科的な方法、又はレチノイン酸等を使用したケミカルピーリングである。 例えば、トランス型レチノイン酸等が、表皮角化細胞の分化を誘導する事が知られており、米国では、シミ、しわ、にきびの治療用に皮膚科領域で応用されている。 しかしながら、表皮角化細胞の分化を誘導するとともに、増殖も促進してしまい皮膚炎を起こすため、日本では使用が認められていない。また、動物実験で内服による催奇原性が認められている。さらに、炎症後、色素沈着が認められるケースもある。 【0003】 表皮角化細胞の分化について、ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPAR:Peroxisome prolifarater Activated Receptor)−γを刺激すると、表皮角化細胞の分化が誘導される事が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。 しかしながら、現在報告されているPPAR−γ刺激作用を持つ薬剤は、糖尿病をターゲットとして開発された物であり、原因不明の肝障害等の重篤な副作用を持つ物も知られている。 【非特許文献1】J.Invest.Dermatol.2004 123(2)305−312 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、副作用の少ないヒト細胞の分化促進剤を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究したところ、γ−リノレン酸のグリセリド体が、ヒト細胞の分化を誘導・促進しつつ、その増殖を抑制することを見出し、本発明を完成させた。 本発明によれば、以下のヒト細胞分化促進剤及びそれを含む製品が提供される。 1.γ−リノレン酸のグリセリド体を含む、ヒト細胞の分化促進剤。 2.さらに、油脂を含む請求項1に記載の分化促進剤。 3.上記1又は2に記載の分化促進剤を含む皮膚用薬剤。 4.上記1又は2に記載の分化促進剤を含む化粧品。 5.上記1又は2に記載の分化促進剤を含む食品。 【発明の効果】 【0006】 本発明のヒト細胞分化促進剤は、副作用が少なく、また、優れたヒト細胞の分化誘導・促進機能を有する。このため、表皮メラニンの排出促進作用、細胞のターンオーバーを促進する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0007】 以下、本発明のヒト細胞分化促進剤を具体的に説明する。 本発明の分化促進剤は、有効成分としてγ−リノレン酸のグリセリド体を含む。γ−リノレン酸のグリセリド体としては、mono体、di体及びtri体のいずれも使用できる。好ましくはtri体(トリγ−リノレニン)である。 mono体又はdi体の場合、グリセリン由来の水酸基の他、γ−リノレン酸以外のエステル基として、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α−リノレン酸、ジホモ−γリノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸等の脂肪酸が結合したグリセリド体の誘導体でもよい。 尚、γ−リノレン酸のグリセリド体又はグリセリド体の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また、2種以上混合して使用してもよい。 【0008】 本発明の分化促進剤は、γ−リノレン酸のグリセリド体の他に、油脂を混合した油脂組成物の形態で使用することができる。油脂としては、食品用途又は製剤用途で使用されているものが限定なく使用できる。例えば、コーン油、ダイズ油、サフラワー油、綿実油、魚油等が使用できる。 【0009】 γ−リノレン酸のグリセリド体と油脂の配合比率は、特に制限はなく、分化促進剤の用途に応じて適宜調整すればよいが、混合物に占めるγ−リノレン酸のグリセリド体の重量(体積)を10重量(体積)%〜100重量(体積)%とすることが好ましい。 【0010】 γ−リノレン酸のグリセリド体又はその誘導体は、常法により合成できる。例えば、特開平8−214892号公報を参照して合成できる。尚、市販品として、NU−CHEK−PREP,Inc社が販売している。 【0011】 本発明の分化促進剤は、ヒトの細胞、特に、表皮角化細胞の分化を誘導する機能を有することから、表皮細胞のターンオーバーの促進やメラニンの排出を促進すること等が期待できる。従って、皮膚の老化の抑制、にきび治療用等の皮膚用治療薬として使用できる。 尚、本発明の分化促進剤は、上述したγ−リノレン酸のグリセリド体及び油脂の他に、用途に応じて必要な成分を添加することができる。以下に、分化促進剤の用途例として、皮膚用薬剤、化粧品及び食品について説明する。 【0012】 1.皮膚用薬・化粧品 皮膚用薬剤や化粧品としては、外用剤や内服薬として使用できる。 外用剤として使用する場合は、上記の分化促進剤を、軟膏、ローション、クリーム又は乳液等に混和して使用する。保湿性の面から軟膏に混和することが好ましい。 軟膏等の基剤としては、流動パラフィン、セタノール、オレインアルコール、グリセリン等が使用ができる。 外用剤に占める分化促進剤の含有量(γ−リノレン酸のグリセリド体の含有量)は、使用用途、症状等によって適宜調整すればよいが、10重量(体積)%〜90重量(体積)%であることが好ましい。 【0013】 内服薬として使用する場合は、本発明の分化促進剤を、一般に製剤上許容されている、無害の一種又は二種以上のベヒクル、担体、賦形剤、統合剤、安定剤、香味剤等に混和して、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、水剤等の内服剤とすることができる。また、無菌溶液剤や懸濁液剤等として、注射薬又は輸液としたものを用いることができる。 これらの薬剤は、従来公知の技術を用いて製造することができる。例えば、コーンスターチ、ゼラチン等の結合剤、微晶性セルロース等の賦形剤、馬鈴薯澱粉、アルギン酸ナトリウム等の膨化剤、乳糖、ショ糖等の甘味剤を配剤して、錠剤、顆粒剤等とすることができる。また、常法に従い、γ−リノレン酸のグリセリド体を含有する油脂類を、軟質ゼラチンカプセル又は硬質ゼラチンカプセル等に充填して、カプセル剤とすることができる。さらに、シクロデキストリンとの包接物とすることもできる。 【0014】 2.食品 本発明の分化促進剤を添加した食品は、皮膚の老化抑制やにきびの抑制等に効果を有する機能性食品となる。 添加される食品については、特に制限はなく、例えば、ウエハース、ゼリー、ドレッシング、マーガリン等を挙げることができる。また、上記の内服薬と同様にして製剤化したものを、食品や飼料と混ぜ合わせてもよい。 食品への分化促進剤(γ−リノレン酸のグリセリド体)の添加量は、使用用途、目的等によって適宜調整すればよいが、10重量(体積)%〜90重量(体積)%であることが好ましい。 【実施例】 【0015】 以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。 実施例1 ケラチノサイト細胞(三光純薬社製、NHEK(N)新生児包皮由来)を解凍後、ヌンク社製T25フラスコで、CO2濃度5%、37℃にて培養した。 1日後及び3日後に、培地(三光純薬KGM2)にて全量の培地交換を行った。6日後に、トリプシン溶液、EDTA溶液(いずれも三光純薬社製付着細胞継代用試薬セット)により細胞をはがし、培地に2.5×104ケ細胞/mlとなるよう懸濁し、100μlづつヌンク社製96穴マイクロプレートに分注した。 【0016】 上記の培養液について、CO2濃度5%、37℃にて、2昼夜培養後、アスピレーターにて培地を除去した。 その後、γ−リノレン酸トリグリセリド(NU−CHEK−PREP,Inc社製、代理店:フナコシ(株))の最終濃度(培地全体に対する濃度)が50ppmとなるように、γ−リノレン酸トリグリセリドを溶解したメタノール溶液を、培地全体の10vol%となるように混合した液100μlをマイクロプレートに注いで、細胞を培養した。 その後、この培養液をCO2濃度5%、37℃にて5日間培養した後、ギムザ染色を行った。染色後、顕微鏡にて観察して、ケラチノサイト細胞の分化、増殖の様子を観察した。 図1に実施例1で培養した細胞の顕微鏡写真を示す。 【0017】 実施例2 γ−リノレン酸トリグリセリドの最終濃度(培地全体に対する濃度)が100ppmとなるように変更した他は、実施例1と同様にして細胞を培養し、評価した。 図2に実施例2で培養した細胞の顕微鏡写真を示す。 【0018】 比較例1 γ−リノレン酸トリグリセリドを添加しなかった他は、実施例1と同様にして細胞を培養し、評価した。 図3に比較例1で培養した細胞の顕微鏡写真を示す。 【0019】 比較例2 γ−リノレン酸トリグリセリドに代えて、オレイン酸トリグリセリド(NU−CHEK−PREP,Inc社製)を使用し、その最終濃度を100ppmとした他は、実施例1と同様にして細胞を培養し、評価した。 図4に比較例2で培養した細胞の顕微鏡写真を示す。 【0020】 比較例3 γ−リノレン酸トリグリセリドに代えて、リノール酸トリグリセリド(NU−CHEK−PREP,Inc社製)を使用し、その最終濃度を100ppmとした他は、実施例1と同様にして細胞を培養し、評価した。 図5に比較例3で培養した細胞の顕微鏡写真を示す。 【0021】 図1−5に示すとおり、メタノールのみ(図3)、オレイン酸トリグリセリド(図4)又はリノール酸トリグリセリド(図5)を添加した系では、細胞の分化も、増殖抑制効果も認められなかった。一方、γ−リノレン酸トリグリセリドを50ppm又は100ppm添加した系(図1,2)では、細胞の分化が観測され、さらに、ケラチンの蓄積、増殖を抑制する効果が認められた。 【産業上の利用可能性】 【0022】 本発明のヒト細胞分化促進剤は、美容皮膚治療(レーザー、ピーリングとの併用治療)、機能性食品、皮膚用薬剤、化粧品等に使用できる。 【図面の簡単な説明】 【0023】 【図1】実施例1で培養した細胞の顕微鏡写真である。 【図2】実施例2で培養した細胞の顕微鏡写真である。 【図3】比較例1で培養した細胞の顕微鏡写真である。 【図4】比較例2で培養した細胞の顕微鏡写真である。 【図5】比較例3で培養した細胞の顕微鏡写真である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183646 【氏名又は名称】出光興産株式会社
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| 【出願日】 |
平成17年6月7日(2005.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086759 【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 喜平
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| 【公開番号】 |
特開2006−342074(P2006−342074A) |
| 【公開日】 |
平成18年12月21日(2006.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2005−166709(P2005−166709) |
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