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【発明の名称】 粉末状化粧料
【発明者】 【氏名】岡 隆史
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】原 英二郎
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2−2−1 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【要約】 【課題】粉末状形態をなし、使用時に塗擦すると液化して乳液〜化粧水様の特性が生じる粉末状化粧料(ドライウォーター)であって、アスコルビン酸および/またはその誘導体(薬剤)を配合した粉末状化粧料の耐衝撃性を飛躍的に高めることができ、優れた使用感(きしみ感のなさ)を有するとともに、薬剤安定性、製品長期保存安定性に優れる粉末状化粧料を提供する。

【解決手段】(a)表面積60m2/g以上の疎水化無水ケイ酸を0.1〜20質量%、(b)(b−1)シリコーン系化合物、(b−2)無水ケイ酸、(b−3)多糖類系高分子、(b−4)セルロース系高分子の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(c)アスコルビン酸およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(d)無機塩を0.5〜10質量%、および(e)水を含有する、塗擦により液化する粉末状化粧料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表面積60m2/g以上の疎水化無水ケイ酸を0.1〜20質量%、(b)(b−1)シリコーン系化合物、(b−2)無水ケイ酸、(b−3)多糖類系高分子、(b−4)セルロース系高分子の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(c)アスコルビン酸およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(d)無機塩を0.5〜10質量%、および(e)水を含有する、塗擦により液化する粉末状化粧料。
【請求項2】
(b−1)成分が架橋型シリコーン末である、請求項1記載の粉末状化粧料。
【請求項3】
(b−3)成分がキサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ヒアルロン酸、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプンの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2記載の粉末状化粧料。
【請求項4】
(b−4)成分がメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、球状セルロースの中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸および/またはその誘導体を含む粉末状化粧料に関する。さらに詳しくは、粉末状形態をなし、使用時に塗擦すると液化して乳液〜化粧水様の特性が生じる粉末状化粧料(ドライウォーター)であって、きしみ感がなく、きわめて良好な使用感および仕上がりを得ることができるとともに、耐衝撃性(製剤安定性)、長期保存安定性に優れ、かつ、薬剤(アスコルビン酸および/またはその誘導体)を製剤中に安定に配合し、該成分の機能を十分に発揮し得る粉末状化粧料(ドライウォーター)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるドライウォーターと称される粉末状化粧料では、水や、水以外の水性成分を、疎水化処理した粉末等で被覆して粉末化し、使用時に塗擦すると液化するようになされている。
【0003】
一般に化粧料には、薬剤など種々の有効成分が配合されているが、この薬剤の肌への浸透性促進、保湿性、エモリエント性の付与等を目的として、粉末状化粧料を水、油、液状化粧料等と混合して使用する方法も行われているが、使用性等の点で問題があった。さらに、この有効成分が、水の存在下で容易に分解、変質するなど不安定で製品の物性に悪影響を及ぼしたりするような場合、その配合は、化粧料の剤型のみならず、容器形態、保存条件、取り扱い等において種々の制約を受ける。
【0004】
このような問題に対処すべく種々の技術が提案されている。例えば、特開平6−211620号公報(特許文献1)には、特定の表面積を有する疎水化無水ケイ酸、フッ素化合物被覆処理化粧料粉体、油性成分、水性成分、および不安定有効成分(水存在下不安定成分)を特定量配合することによって、これら水存在下不安定成分の安定な配合を図った粉末化粧料が開示されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の粉末化粧料は、配合されている疎水化無水ケイ酸とフッ素化合物被覆処理化粧料粉体との粉末特性に起因するきしみ感が生じ、使用性の点において問題がある。
【0006】
これに対し、上記特許文献1に記載の化粧料の不具合を解消すべく、本出願人は特開2000−309506号公報(特許文献2)において、特定の疎水化無水ケイ酸と、特定の高分子や無水ケイ酸等の中から選ばれる成分と、水と、所望により水存在下不安定成分を配合した粉末化粧料を提案している。この特許文献2に記載の粉末化粧料は、きしみ感がなく、製品の長期安定性にも優れ、水存在下不安定成分を配合した場合でもこれら成分を安定に製剤中に安定に配合することができるという優れた効果を奏する。
【0007】
【特許文献1】特開平6−211620号公報
【特許文献2】特開2000−309506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の粉末化粧料は、上述したように優れた効果を奏するが、製剤の耐衝撃性(衝撃安定性)についての検討は行っていなかった。その後本発明者らが研究を重ねた結果、水存在下不安定成分として特にアスコルビン酸および/またはその誘導体を配合した場合、耐衝撃性が低くなることがわかった。粉末化粧料を家庭内などで静置した状態で保存し、使用する場合は、耐衝撃性(衝撃安定性)評価はほとんど問題とならないが、小型容器内に粉末化粧料を収容してこれを普段携帯するような場合は、粉末化粧料の耐衝撃性(衝撃安定性)が高くないと、容器内で粉末化粧料が摩擦を受け塗擦された状態が発生し、内包されている液が滲み出す、等の問題が懸念される。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、アスコルビン酸および/またはその誘導体を配合した製剤の耐衝撃性を飛躍的に高めることができ、優れた使用感(きしみ感のなさ)を有するとともに、薬剤(アスコルビン酸および/またはその誘導体)安定性、製剤長期保存安定性に優れる粉末状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、(a)表面積60m2/g以上の疎水化無水ケイ酸を0.1〜20質量%、(b)(b−1)シリコーン系化合物、(b−2)無水ケイ酸、(b−3)多糖類系高分子、(b−4)セルロース系高分子の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(c)アスコルビン酸およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上を0.001〜20質量%、(d)無機塩を0.5〜10質量%、および(e)水を含有する、塗擦により液化する粉末状化粧料を提供する。
【0011】
また本発明は、(b−1)成分が架橋型シリコーン末である、上記粉末状化粧料を提供する。
【0012】
また本発明は、(b−3)成分がキサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ヒアルロン酸、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプンの中から選ばれる1種または2種以上である、上記粉末状化粧料を提供する。
【0013】
また本発明は、(b−4)成分がメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、球状セルロースの中から選ばれる1種または2種以上である、上記粉末状化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、アスコルビン酸および/またはその誘導体を配合した製剤を、幅広い温度領域(−10℃〜+50℃)で保存した場合であっても、耐衝撃性(衝撃安定性)を格段に高めることができ、加えて、薬剤(アスコルビン酸および/またはその誘導体)の安定性、製剤の長期保存安定性に優れる粉末状化粧料が提供される。本発明では特に耐衝撃性に際立って優れた効果を有することから、小型容器内に粉末状化粧料を収容してこれを普段携帯するような場合であっても、容器内で粉末状化粧料が摩擦を受け塗擦された状態が発生して内包されている液が滲み出す、等の不具合を生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
本発明に用いられる(a)成分としての疎水化無水ケイ酸は、微粒子無水ケイ酸表面を疎水化処理したものである。
【0017】
疎水化処理の方法としては、無水ケイ酸に撥水性を付与できる方法であればいかなるものでもよく、その方法は問わないが、例えば気相法、液相法、オートクレーブ法、メカノケミカル法等、通常の表面処理方法を用いることができる。
【0018】
例えば疎水化処理剤を原料粉末に添加して処理を行う場合、適当な溶媒(ジクロルメタン、クロロホルム、ヘキサン、エタノール、キシレン、揮発性シリコーン等)に希釈して添加してもよく、あるいは直接添加してもよい。粉末と処理剤の混合攪拌には、ボールミル、ホジャーサイトボールミル、振動ボールミル、アトライター、ポットミル、ロッドミル、パンミル、ホモミキサー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等も使用することができる。この他にも、粉末表面の活性を利用し、気相反応により100℃以下の低温で環状オルガノシロキサンを粉末表面上で重合させる方法(特公平1−54380号)や、前記方法の後に表面のシリコーンポリマーのSi−H部分にグリセロールモノアリルエーテル等のペンダント基を付加させる方法(特公平1−54381号)等も用いることができる。
【0019】
疎水化処理剤としては、特に限定されるものではないが、脂肪酸デキストリン処理粉末、トリメチルシロキシケイ酸処理粉末、フッ素変性トリメチルシロキシケイ酸処理粉末、メチルフェニルシロキシケイ酸処理粉末、フッ素変性メチルフェニルシロキシケイ酸処理粉末、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の低粘度〜高粘度油状ポリシロキサン処理粉末、ガム状ポリシロキサン処理粉末、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理粉末、フッ素変性メチルハイドロジェンポリシロキサン処理粉末、メチルトリクロルシラン、メチルトリアルコキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルアルコキシシラン等の有機シリル化合物あるいはそれらのフッ素置換体による処理粉末、エチルトリクロルシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、長鎖アルキルトリクロルシラン、長鎖アルキルトリエトキシシラン等の有機変性シランあるいはそれらのフッ素置換体による処理粉末、アミノ変性ポリシロキサン処理粉末、フッ素変性ポリシロキサン処理粉末、フッ化アルキルリン酸処理粉末等が挙げられる。
【0020】
本発明では、例えば微粒子無水ケイ酸の表面をオルガノシラン系化合物、シリコーン化合物等で覆うことにより調製することができる。具体的には、トリメチルシロキシル化無水ケイ酸、ジメチルシロキシル化無水ケイ酸、オクチルシロキシル化無水ケイ酸、シリコーンオイル処理無水ケイ酸、メチルポリシロキサン処理無水ケイ酸等が例示される。
【0021】
本発明では、疎水化無水ケイ酸は表面積が60m2/g以上であることが必要であり、表面積がこれより小さいと、疎水化無水ケイ酸の粒径が大きくなり、(e)成分である水の表面に多量に配向することができず、水を安定に粉末化することが難しくなる。
【0022】
(a)成分の配合量は0.1〜20質量%であり、好ましくは0.1〜10質量%である。配合量が少なすぎると、(e)成分である水を十分に粉末化できず、意図する粉末形態を得ることができなくなるおそれがあり、一方、配合量が多すぎると、多量の水を粉末化することができるようにはなるが、使用時塗擦しても液化が困難となり、官能上好ましくない。
【0023】
(b)成分は、(b−1)シリコーン系化合物、(b−2)無水ケイ酸、(b−3)多糖類系高分子、(b−4)セルロース系高分子の中から選ばれる1種または2種以上の成分である。これらはきしみ感を解消し良好な使用性を発揮させるための成分である。
【0024】
(b−1)成分としてのシリコーン系化合物は、化粧品に配合され得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばシリコーンレジン、架橋型シリコーン末等を用いることができる。シリコーンレジンとしては、例えばSiO2、RSiO3/2、R2SiO(Rは水素、炭素原子数1〜6の炭化水素基またはフェニル基を表す)なる構造単位の1種または2種以上からなる共重合体、あるいはその末端をR3SiO1/2(Rは上記と同じ)で封鎖した共重合体等が挙げられる。架橋型シリコーン末としては、具体的には例えばジメチルシリコーン架橋弾性体等が挙げられる。中でも、製剤の安定性を良好に保ち、しかも優れた使用性を発揮する等の理由により、架橋型シリコーン末等が好ましく用いられる。
【0025】
(b−2)成分としての無水ケイ酸は、(a)成分と異なり、疎水化処理を施さないものを用いる。また(a)成分のような表面積の限定はない。
【0026】
(b−3)成分としての多糖類系高分子は、化粧品に配合され得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばキサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ヒアルロン酸、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン等が好適例として挙げられる。
【0027】
(b−4)成分としてのセルロース系高分子は、化粧品に配合され得るものであれば特に限定されるものでなく、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、球状セルロース等が好適例として挙げられる。
【0028】
なお、本発明では多糖類系高分子、セルロース系高分子は、水溶性、水不溶性のいずれのものも用いられ得る。
【0029】
(b)成分は(b−1)〜(b−4)成分の中から1種または2種以上を用いることができる。中でも、架橋型シリコーン末(特にジメチルシリコーン架橋弾性体)、キサンタンガム、球状セルロース等が特に好ましく用いられる。
【0030】
(b)成分は、後述する(e)成分中に溶解または分散するか、あるいは(a)成分と均一混合して用いる。
【0031】
(b)成分の配合量は0.001〜20質量%である。配合量上限は10質量%が好ましい。また配合量下限は0.005質量%が好ましく、特には0.01質量%である。配合量が少なすぎると、配合されている(a)成分である疎水化無水ケイ酸特有のきしみ感が生じ、(b)成分を添加した効果が現れず、一方、配合量が多すぎると、使用時塗擦しても液化が困難となり、官能上好ましくない。
【0032】
(c)成分は、アスコルビン酸およびその誘導体の中から選ばれる1種または2種以上である。アスコルビン酸は、一般にビタミンCといわれ、その強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有することから美白剤としても用いられている。アスコルビン酸誘導体としては、例えばアスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのアスコルビン酸モノエステル類、2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−アルキルアスコルビン酸などのO−アルキルアスコルビン酸類や、アスコルビン酸−2−グルコシドなどのアスコルビン酸グルコシド類、あるいはこれらの塩などが挙げられる。より具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸−2−グルコシド、2−O−メチルアスコルビン酸、3−O−メチルアスコルビン酸、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸−6−パルミテート、アスコルビン酸二パルミチン酸エステル、6−O−パルミトイルアスコルビン酸−2−O−リン酸、6−O−アシル−2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、アスコルビン酸−2−リン酸、アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウム、アスコルビン酸−2−硫酸、アスコルビン酸−2−硫酸カリウム、アスコルビン酸−2−硫酸バリウム、アスコルビン酸−2−硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸エステル三ナトリウムなどが挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0033】
(c)成分の配合量は0.001〜10質量%である。配合量の上限は7質量%が好ましく、特には5質量%である。配合量の下限は0.005質量%が好ましく、特には0.01質量%である。配合量が少なすぎると、有効成分たる(c)成分の機能を十分に発揮することが難しく、一方、配合量が多すぎても、配合量の増加に見合った効果の増強を見込むことが困難となる。
【0034】
(d)成分としての無機塩は、特に限定されるものでないが、例えば、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ルビジウム、塩化セシウム、塩化アンモニウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化アンモニウム、沃化リチウム、沃化ナトリウム、沃化カリウム、沃化ルビジウム、沃化セシウム、沃化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム、亜硫酸水素ナトリウム等の一価の無機塩;塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸セシウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸カリウム、硫酸コバルト、硫酸ストロンチウム、硫酸リチウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸亜鉛、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸リチウム、炭酸コバルト、硫酸銅、硫酸第一鉄、塩化マンガン、フッ化カルシウム、フッ化コバルト、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化コバルト、フッ化第一鉄、塩化第一鉄、塩化バリウム、塩化マグネシウム、臭化亜鉛、臭化カルシウム、臭化コバルト、臭化鉄、臭化バリウム、臭化マグネシウム、沃化亜鉛、沃化カルシウム、沃化コバルト、沃化鉄、沃化バリウム、沃化マグネシウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸カリウム等の二価の無機塩;塩化アルミニウム、フッ化アルミニウム、フッ化第二鉄、塩化第二鉄、第一リン酸カリウム、第一リン酸カルシウム、リン酸一ナトリウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸一ナトリウム、リン酸コバルト、リン酸三アンモニウム、リン酸三カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三マグネシウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二アンモニウム、リン酸二カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二ナトリウム、リン酸リチウム等の三価の無機塩、などが挙げられる。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0035】
(d)成分の配合量は0.5〜10質量%である。配合量上限は5質量%が好ましい。また配合量下限は0.8質量%が好ましい。配合量が少なすぎると、製剤の耐衝撃性(衝撃安定性)の効果を十分に発揮することが難しく、一方、配合量が多すぎても、配合量の増加に見合った効果の増強を見込むことが困難となる。本願発明では(d)成分を特定量の範囲で配合することにより、特に製剤の耐衝撃性を、幅広い温度領域(−10℃〜+50℃)で保存した場合であっても飛躍的に高めることができる。
【0036】
(e)成分としては、通常の化粧料に用いられる水であれば特に限定することなく用いることができる。
【0037】
(e)成分の配合量は、本発明化粧料に含まれる他の必須成分、任意添加成分の総配合量の残量分配合することができるが、本発明では、その上限が好ましくは98質量%であり、特には90質量%であり、また、その下限が好ましくは30質量%であり、特には60質量%である。配合量が少なすぎると塗擦した時に液化が困難となり、一方、配合量が多すぎると粉末化が難しくなり、官能上好ましくない。
【0038】
上記(a)〜(e)成分を必須成分として含有する本発明粉末状化粧料は、従来、粉末状化粧料に特有の不具合とされていたきしみ感を軽減させ、使用性の点において優れた効果が得られる。また粉末化が良好で、塗擦時に容易に液化し、みずみずしい使用感を与える。特に(d)成分を特定量配合することで、(c)成分を含む粉末状化粧料の耐衝撃性を格段に高めることができるとともに、(c)成分を安定に配合し、それらの機能を十分に発揮し得る。また長期保存安定性に優れる。
【0039】
本発明の粉末状化粧料には、上記成分以外に、通常の化粧料に用いられる各種の任意成分、例えば、保湿剤(例えばグリセリンなどの多価アルコール、等)、香料、pH調整剤、防腐剤、美白剤(ただし(c)成分を除く)、紫外線吸収剤、抗炎症剤、抗菌剤、ホルモン剤、他ビタミン類、抗酸化剤、植物抽出物、ラメ剤、パール剤等を、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0040】
なお本発明の粉末状化粧料では、任意添加成分としてラメ剤・パール剤を配合した場合、分散性よくこれら成分を配合することができるという効果もある。
【0041】
本発明の粉末状化粧料は、(a)成分が、(b)〜(e)成分の周りに吸着した状態となってこれら(b)〜(e)成分を粉末化したものであり、塗擦により力を加えると、この吸着状態が破壊され、粉末化されていた(b)〜(e)成分がにじみ出て液化するとともに、(b)成分の使用感触および(c)成分の有効性が発揮されるものである。
【0042】
本発明の粉末状化粧料は、(a)成分により(b)〜(e)成分を粉末化するものであれば特にその製造方法は限定されるものでない。例えば、(a)成分と(b)成分を攪拌、混合したものと、(c)〜(e)成分を溶解したものとを混ぜ合わせる;(d)、(e)成分に(b)成分を分散あるいは溶解し、ここにさらに(c)成分を加えて混合したものに(a)成分を添加、混合する;(e)成分中に(c)、(d)成分を溶解したものに(b)成分を溶解若しくは分散させ、ここに(a)成分を添加、混合する、等の製造方法が挙げられるが、これらの例示に限定されるものでない。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%で示す。
【0044】
実施例に先立ち、本発明で用いた試験法および評価法を説明する。
【0045】
[製剤安定性(耐衝撃性)試験]
(i)製造直後の試料、(ii)製造後、−10℃、0℃、室温(25℃)、40℃、50℃の温度下で1ヶ月間放置した試料、をそれぞれ容器に充填(4g)し、これを常温下、70cmの高さからプラスチックタイル上に連続3回落下させた後の容器内の試料の状態を、下記基準により判定、評価した。
(判定基準)
++: 粉末状態に変化がみられなかった
+: 小さなダマ(粉末の凝集体)が数個みられたものの、水滴は生じなかった
A: 大きなダマ(粉末の凝集体)が数個みられたものの、水滴は生じなかった
B: 5mm以下の水滴が1〜2個生じた
C: 5mm以下の水滴が数個生じた
D: 5〜10mmの水滴が数個生じた
E: 10mm以上の水滴が多数生じた
【0046】
[使用性(きしみ感)試験]
各実施例品、比較例品の使用性(きしみ感)をパネル(50名)の実使用試験によって下記基準により判定、評価した。
(判定基準)
著効: きしまない
有効: わずかにきしむが、使用上問題のない程度である
やや有効: きしむ
無効: 著しくきしむ
(評価)
◎: 著効、有効、およびやや有効の判定をした被験者が80%以上
○: 著効、有効、およびやや有効の判定をした被験者が50〜80%未満
△: 著効、有効、およびやや有効の判定をした被験者が30〜50%未満
×: 著効、有効、およびやや有効の判定をした被験者が30%未満
【0047】
[薬剤(アスコルビン酸およびその誘導体)安定性試験]
各実施例品について、40℃で保存(1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月)したときのアスコルビン酸およびその誘導体の残存量を、HPLCにより測定し、これから残存率を調べた。
【0048】
[製品の長期保存安定性試験]
各実施例品を、0℃、室温、露光条件(日光照射)下、40℃で6ヵ月間保存したサンプルについて下記基準により評価した。
(評価)
◎: 化粧料は変化しなかった
○: 容器に粉末または水滴が若干付着した
△: 若干離水を起こした
×: 離水が著しく製剤破壊が起こった
【0049】
(実施例1、比較例1)
下記表1に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例1、比較例1の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表1中、ジメチルシリコーンオイル処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルRY200S」(日本アエロジル社製;表面積80m2/g)を、シリコーン系化合物(**)は「シリコーンパウダーE506−W」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いた。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】


【0051】
(製法)
(6)および(7)を粉砕、混合した(A相)。(1)〜(5)、(8)〜(12)を混合、溶解した(B相)。次いでA相とB相を混合、攪拌し、容器に充填した。
【0052】
表1の結果より明らかなように、使用性においては実施例1、比較例1ともにきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例1の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例1に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0053】
(実施例2、比較例2)
下記表2に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例2、比較例2の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表2中、トリメチルシリル基処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルR812S」(日本アエロジル社製;表面積220m2/g)を、セルロース系高分子(**)は「セルロフローC25」(チッソ社製)を用いた。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】


【0055】
(製法)
(1)〜(6)、(8)〜(13)を混合、溶解し、ここに(7)を加え、混合、攪拌し、容器に充填した。
【0056】
表2の結果より明らかなように、使用性においては実施例2、比較例2ともにきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例2の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例2に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0057】
〈アスコルビン酸誘導体の安定性〉
実施例1および2で調製した本発明粉末状化粧料について、上記記載の安定性試験方法により、アスコルビン酸およびその誘導体の安定性を評価した。結果を表3に示す。
【0058】
【表3】


【0059】
表3から明らかなように、実施例1および2の粉末状化粧料は、40℃で6ヵ月経過後もアスコルビン酸誘導体がほとんど残存しており、経時の薬剤安定性において問題のないものであった。
【0060】
〈製品の長期保存安定性〉
実施例1および2で調製した本発明粉末状化粧料について、上記した長期保存安定性試験方法により製品の長期保存安定性を評価した。結果を表4に示す。
【0061】
【表4】


【0062】
表4から明らかなように、実施例1および2の粉末状化粧料は、各保存条件下で6ヵ月経過後も製剤の形態がほとんど変化なく、経時の製品保存安定性において問題のないものであった。
【0063】
(実施例3、比較例3)
下記表5に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例3、比較例3の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表5中、ジメチルシリコーンオイル処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルR202」(日本アエロジル社製;表面積100m2/g)を、無水ケイ酸(**)は「シルデックスL−51」(旭硝子社製)を用いた。結果を表5に示す。
【0064】
【表5】


【0065】
(製法)
(6)および(7)を粉砕、混合した(A相)。(1)〜(5)、(8)〜(11)を混合、溶解した(B相)。次いでA相とB相を混合、攪拌し、容器に充填した。
【0066】
表5の結果より明らかなように、使用性においては実施例3、比較例3ともにきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例3の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例3に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0067】
(実施例4、比較例4)
下記表6に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例4、比較例4の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表6中、トリメチルシリル基処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルR812S」(日本アエロジル社製;表面積220m2/g)を、シリコーン系化合物(**)は「シリコーンパウダーE506−W」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いた。結果を表6に示す。
【0068】
【表6】


【0069】
(製法)
(5)および(6)を粉砕、混合した(A相)。(1)〜(4)、(7)〜(12)を混合、溶解した(B相)。次いでA相とB相を混合、攪拌し、容器に充填した。
【0070】
表6の結果より明らかなように、使用性においては実施例4、比較例4ともにきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例4の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例4に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0071】
〈アスコルビン酸誘導体の安定性〉
実施例3および4で調製した本発明粉末状化粧料について、上記記載の安定性試験方法により、アスコルビン酸誘導体の安定性を評価した。結果を表7に示す。
【0072】
【表7】


【0073】
表7から明らかなように、実施例3および4の粉末状化粧料は、40℃で6ヵ月経過後もアスコルビン酸誘導体がほとんど残存しており、経時の薬剤安定性において問題のないものであった。
【0074】
〈製品の長期保存安定性〉
実施例3および4で調製した本発明粉末状化粧料について、上記した長期保存安定性試験方法により製品の長期保存安定性を評価した。結果を表8に示す。
【0075】
【表8】


【0076】
表8から明らかなように、実施例3および4の粉末状化粧料は、各保存条件下で6ヵ月経過後も製剤の形態がほとんど変化なく、経時の製品保存安定性において問題のないものであった。
【0077】
(実施例5、比較例5、6)
下記表9に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例5、比較例5、6の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表9中、ジメチルシリコーンオイル処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルRY200S」(日本アエロジル社製;表面積80m2/g)を、シリコーン系化合物(**)は「シリコーンパウダーE506−W」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いた。結果を表9に示す。
【0078】
【表9】


【0079】
(製法)
(5)および(6)を粉砕、混合した(A相)。(1)〜(4)、(7)〜(11)を混合、溶解した(B相)。次いでA相とB相を混合、攪拌し、容器に充填した。
【0080】
表9の結果より明らかなように、使用性においては実施例5、比較例5、6はいずれもきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例5の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例5、6に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0081】
(実施例6、比較例7、8)
下記表10に示す組成で粉末状化粧料を調製した。上記試験方法により、実施例6、比較例7、8の使用性(きしみ感)、および製剤安定性(耐衝撃性)を評価した。なお、表10中、トリメチルシリル基処理無水ケイ酸(*)は、「アエロジルR812S」(日本アエロジル社製;表面積220m2/g)を、セルロース系高分子(**)は「セルロフローC25」(チッソ社製)を用いた。結果を表10に示す。
【0082】
【表10】


【0083】
(製法)
(1)〜(5)、(7)〜(12)を混合、溶解し、ここに(6)を加え、混合、攪拌し、容器に充填した。
【0084】
表10の結果より明らかなように、使用性においては実施例6、比較例7、8はいずれもきしみ感が現れず、きわめて良好な使用性を示したが、落下試験においては実施例6の粉末状化粧料は、いずれの条件下においても水滴が生じず(すなわち、粉末状化粧料に内包される液が滲み出すことがなく)、比較例7、8に比べてきわめて良好な製剤安定性(耐衝撃性)を示した。
【0085】
〈アスコルビン酸誘導体の安定性〉
実施例5および6で調製した本発明粉末状化粧料について、上記記載の安定性試験方法により、アスコルビン酸およびその誘導体の安定性を評価した。結果を表11に示す。
【0086】
【表11】


【0087】
表11から明らかなように、実施例5および6の粉末状化粧料は、40℃で6ヵ月経過後もアスコルビン酸またはアスコルビン酸誘導体がほとんど残存しており、経時の薬剤安定性において問題のないものであった。
【0088】
〈製品の長期保存安定性〉
実施例5および6で調製した本発明粉末状化粧料について、上記した長期保存安定性試験方法により製品の長期保存安定性を評価した。結果を表12に示す。
【0089】
【表12】


【0090】
表12から明らかなように、実施例5および6の粉末状化粧料は、各保存条件下で6ヵ月経過後も製剤の形態がほとんど変化なく、経時の製品保存安定性において問題のないものであった。
【0091】
以上詳述したように、本発明のアスコルビン酸および/またはその誘導体を含有する粉末状化粧料は、粉末でありながら、使用時塗擦によって液化し、使用中に清涼感、しっとり感を与え、しかも肌への親和性に優れ、エモリエント性、水分等を付与することができるとともに、きしみ感の全くないきわめて良好な使用感および仕上がりを得ることができるとともに、製剤の耐衝撃性を、幅広い温度領域(−10℃〜+50℃)で保存した場合であっても飛躍的に高めることができ、加えて、薬剤(アスコルビン酸および/またはその誘導体)安定性、製剤の長期保存安定性に優れるので、新しいタイプの化粧料として広く利用が可能である。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目5番5号
【出願日】 平成17年6月1日(2005.6.1)
【代理人】 【識別番号】100098800
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋子

【公開番号】 特開2006−335670(P2006−335670A)
【公開日】 平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願番号】 特願2005−160905(P2005−160905)