| 【発明の名称】 |
水性液状化粧料 |
| 【発明者】 |
【氏名】森 忍 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】増粘性高分子の特性を損なうことなく、製剤の保形性、使用時の延展性、および保存時の安定性に優れた水性液状化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)カチオン性架橋ビニル共重合体と(B)有機塩基化合物を含有し、その含有量比(質量比)が(A):(B)=1:0.0001〜1:0.1である水性液状化粧料。(A)カチオン性架橋ビニル共重合体としては、(a)カチオン性基含有不飽和単量体、(b)アミド基含有不飽和単量体、及び(c)分子中に2以上の不飽和基を有する架橋性不飽和単量体に由来する構成単位を有するものが好ましい。(B)有機塩基化合物としてはアルカノールアミンや塩基性アミノ酸が好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)カチオン性架橋ビニル共重合体と(B)有機塩基化合物とを含有し、その含有量比(質量比)が(A):(B)=1:0.0001〜1:0.1である水性液状化粧料。 【請求項2】 (A)カチオン性架橋ビニル共重合体が、(a)カチオン性基含有不飽和単量体、(b)アミド基含有不飽和単量体、及び(c)分子中に2以上の不飽和基を有する架橋性不飽和単量体に由来する構成単位を有するものである請求項1記載の水性液状化粧料。 【請求項3】 (B)有機塩基化合物がアルカノールアミン又は塩基性アミノ酸である請求項1又は2記載の水性液状化粧料。 【請求項4】 30℃における粘度が500〜30,000mPa・sである請求項1〜3のいずれか1項記載の水性液状化粧料。 【請求項5】 pHが5〜10である請求項1〜3のいずれか1項記載の水性液状化粧料。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、使用時の延展性、及び保存安定性に優れた水性液状化粧料に関する。 【背景技術】 【0002】 皮膚や毛髪に塗布した時に流れてしまうことのない適度な保形性を有する液状化粧料として、油性成分を含有するペースト状の製剤、油中水型乳化製剤、あるいは水溶性高分子による増粘を利用した水性ジェル製剤、水中油型乳化製剤等が知られている。 【0003】 塗布時や塗布後に軽いさっぱりした感触が求められる場合、前者の油性成分を主要成分とした製剤においては、べたつき感が残ったり、自然な延び感が得られないため、好感触に結びつきにくかった。 【0004】 そこで、天然高分子、あるいはこれらに化学修飾を施した半合成高分子、あるいは全合成による水溶性高分子を利用することで、目的に応じた液物性を有する水性製剤の設計が提案されている。 【0005】 例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、カチオン性基含有共重合体からなる増粘剤が記載されている。更に特許文献4、特許文献5及び特許文献6には、同様のカチオン性架橋共重合体を用いた化粧料が記載されている。 【0006】 しかしながら、これら水溶性高分子を化粧品製剤に使用する場合、pHや使用時の感触を調整する等の目的で配合される無機塩や酸、塩基などとの相性によって、製剤の保形性や粘度などの物性が設計からずれてしまい、狙った特徴が充分発現できなかったり、保存時の安定性が低下する場合がある。 【0007】 これは、水溶性高分子が製剤中で構築する構造が強固なものでないため、皮膚や毛髪への塗布による物理的シェアや、皮表や毛髪上の塩類などに敏感に反応して、構造が崩壊する不安定さを有するためと考えられる。 【0008】 【特許文献1】特開平4−183772号公報 【特許文献2】特開平5−140531号公報 【特許文献3】特開平11−71435号公報 【特許文献4】特開2000−178121号公報 【特許文献5】特開2000−178125号公報 【特許文献6】特開2000−178149号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明の課題は、水溶性高分子の水溶液が有する粘弾性やチクソトロピー性を損なうことなく、製剤の保形性、使用時の延展性(延び)、及び保存時の安定性に優れた水性液状化粧料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者は、カチオン性架橋ビニル共重合体とともに用いるpH調整剤として、有機塩基化合物を選択することにより、上記課題を解決することができることを見出した。 【0011】 本発明は、カチオン性架橋ビニル共重合体と有機塩基化合物とを含有し、その含有量比(質量比)が1:0.0001〜1:0.1である水性液状化粧料を提供するものである。 【発明の効果】 【0012】 本発明の水性液状化粧料は、特定の増粘性高分子化合物と有機塩基化合物を組合わせて用いることにより、製剤の保形性、使用時の延び、及び保存時の安定性に優れる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明で用いる成分(A)のカチオン性架橋ビニル共重合体としては、分子中にカチオン性基と架橋構造とを有するものであれば特に制限されないが、例えば前記特許文献3に記載のカチオン性基含有共重合体が挙げられる。特に、(a)カチオン性基含有不飽和単量体の少なくとも1種と、(b)アミド基含有不飽和単量体の少なくとも1種、及び(c)分子中に2以上の不飽和基を有する架橋性不飽和単量体の少なくとも1種を必須単量体とする単量体混合物を重合してなる、これら単量体に由来する構成単位を有する架橋ビニル共重合体が好ましい。 【0014】 (a)のカチオン性基含有不飽和単量体としては、ジアルキルアミノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類又は(メタ)アクリルアミド類;ジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ビニルピリジン類、N−ビニル複素環化合物類;更にこれらアミノ基を有する単量体の酸中和物又は4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアルキルトリアルキル4級アンモニウム塩類、ジアリルジアルキル4級アンモニウム塩などが挙げられる。 【0015】 酸中和物を得るための好ましい酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸、コハク酸、アジピン酸、スルファミン酸などが挙げられ、4級アンモニウム塩を得るための好ましい4級化剤としては、塩化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の硫酸アルキルが挙げられる。 【0016】 単量体(a)の好ましい具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらを前記の4級化剤で4級化した4級アンモニウム塩、あるいはジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。 【0017】 (b)のアミド基含有不飽和単量体としては、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド類、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン等が挙げられる。 【0018】 単量体(b)の好ましい具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、N,N−ジ置換アクリルアミドを用いた場合に使用感が好ましく、特にN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。 【0019】 (c)の分子中に2以上のビニル基を有する架橋性不飽和単量体としては、多価アルコール又は不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、ビス(メタ)アクリルアミド類、ジビニル化合物、ポリアリル化合物等が挙げられる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等が、特に好ましい。 【0020】 単量体(a)、(b)及び(c)は、それぞれ1種以上を用いることができる。 【0021】 単量体(a)と単量体(b)の共重合比率は、(a)/(b)のモル比で、2/98〜98/2、特に3/97〜60/40であるのが、皮膚や毛髪への塗布時の使用感を有し、塗布後の皮膚や毛髪になめらかな感触を付与できる共重合体を提供するために好ましい。 【0022】 また、単量体(c)の割合は、単量体全量中0.002〜5質量%、特に0.002〜3質量%、更には0.002〜1質量%であるのが、液状化粧料として適度な粘性と保形性を与える共重合体を提供するために好ましい。 【0023】 本発明で用いるカチオン性架橋ビニル共重合体は、これらの単量体のほか、更にこれらと共重合可能な他の不飽和単量体を構成成分とすることができる。他の単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタアクリル酸;N−(3−スルホプロピル)−N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン類などが挙げられる。 【0024】 本発明で用いる(A)カチオン性架橋ビニル共重合体は、これらの単量体を用いて、常法により、例えば、水溶液重合法、逆相懸濁重合法、沈殿重合法等の方法により製造することができる。市販品としてポリクオタニウム−52(ソフケアKG−310W、花王)を用いることができる。 【0025】 本発明において(A)カチオン性架橋ビニル共重合体は1種以上を用いることができ、本発明の水性液状化粧料中の含有量は、0.1〜5質量%、特に0.3〜3質量%、更に0.5〜2質量%であるのが好ましい。 【0026】 本発明で用いる(B)有機塩基化合物は、水に溶解した時に塩基性を示す有機化合物であればよい。例えば、メチルアミン、エチルアミン等の1級アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミンなどの2級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類;2−アミノメチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジール、アミノメチルプロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アニリン、トルイジンなどの芳香族アミン類;ピリジン、ピペリジンなどの複素環式アミン類;リジン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸が挙げられる。 【0027】 中でも、化粧料用原料としての汎用性や安全性を踏まえると、アルカノールアミン類及び塩基性アミノ酸が好ましく、特に、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、リジン、アルギニン、ヒスチジンが好ましい。 【0028】 本発明の水性液状化粧料中の有機塩基化合物の含有量は、組成物のpHが皮膚に対して穏和な範囲になるように設定すればよく、例えば30℃におけるpHが5〜10、特に5〜8の弱酸性から中性領域とすることが好ましい。 【0029】 本発明において(A)カチオン性架橋ビニル共重合体と(B)有機塩基化合物の含有量比(質量比)は、1:0.0001〜1:0.1、特に1:0.001〜1:0.05、更に1:0.001〜1:0.03であるのが、水性液状化粧料として適度な粘性と保形性を維持したまま、優れた保存安定性を与えることができる点で好ましい。 【0030】 本発明の水性液状化粧料は、液状形態とするために水を含有し、組成物の粘度が500〜30,000mPa・s、特に1,500〜20,000mPa・sになるように設計することが好ましい。水の含有量は、全組成中に20〜99質量%、特に40〜90質量%であるのが好ましい。ここに「粘度」は、30℃の試料について、B型粘度計(BM)ローターNo.3、6rpm、1分間回転の条件で測定した値をいう。 【0031】 本発明の水性液状化粧料には、前記の成分以外に、例えば、油性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、界面活性剤、アルコール類、防腐剤、有機粉体、無機粉体、色素、香料、抗酸化剤、他の水溶性高分子、植物エキス等を適宜配合することができる。 【0032】 本発明の水性液状化粧料は、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液、紫外線防御化粧料、化粧下地、ファンデーション、メイクアップ化粧料、毛髪化粧料等として使用することができ、特に皮膚用の乳液、美容液の形態が好ましい。 【実施例】 【0033】 製造例1 反応容器中に、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルのジエチル硫酸による四級化物(MOEDES:日東化学工業社製)23.85g、N,N−ジメチルアクリルアミド71.37g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NK-9G:新中村化学社製)0.0429g、イオン交換水350gからなる、予め窒素置換した単量体水溶液を入れ、20分間さらに窒素を吹き込んで反応系内を窒素置換しながら、55℃まで昇温した。次いで、重合開始剤(2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩)を0.22g添加した。30分〜1時間後に全体が柔らかいゲル状となった。そのまま攪拌を続け、重合開始剤添加4時間後に重合を停止させた。餅状の内容物を取り出し、5リットルのエタノール中で10分攪拌洗浄し、乾燥させた。その後、コーヒーミル、ジェットミルで粉砕し、カチオン性架橋ビニル共重合体(以下、共重合体Aという)を得た。 共重合比率(モル比)は、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルのジエチル硫酸による四級化物:N,N−ジメチルアクリルアミド:ポリエチレングリコールジメタクリレートが10:90:0.01である。 【0034】 実施例1 共重合体Aの水溶液に種々のpH調整剤を添加した場合の物性を評価した。 【0035】 即ち、共重合体Aの1質量%水溶液に表1に示す添加剤を1mM濃度で添加した試料の、pH、粘度、皮膚への塗布感触を調べた。評価方法は以下の通りである。 【0036】 (pH) 30℃の試料について、原液のまま、堀場製作所社製pHメーター、品番:F−22で測定した。 【0037】 (粘度) 30℃の試料について、B型粘度計(BM)ローターNo.3、6rpm、1分間回転の条件で測定した。 【0038】 (皮膚への塗布感触) 5人の専門評価者が、皮膚上での保形性と塗布時の感触とについて、「良い」、「普通」、「悪い」の3段階で評価を行った。5人中4人以上が「良い」の場合を○、5人中2人〜3人が「良い」の場合を△、それ以下の場合を×と判定した。 【0039】 結果を表1に示す。 【0040】 【表1】
共重合体Aのみで添加剤のない場合と比べ、リン酸一水素ナトリウム共存下では粘度低下がみられ、感触が損なわれた。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの場合は、少量の添加でpH及び粘度の変化が大きく、塗布感触も低下した。 【0041】 これに対し、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸の場合は、pHを弱酸性〜弱塩基性領域で調整しやすく、かつ粘度及び塗布感触への影響が小さいことがわかった。 【0042】 実施例2 共重合体Aの水溶液に種々のpH調整剤を添加した場合のpH安定性を評価した。 【0043】 即ち、共重合体Aの1質量%水溶液に表2に示す添加剤を所定量添加した試料をそれぞれ蓋つき容器に充填し、50℃の高温環境下にて1ヶ月間保存した。保存開始前と保存後のpHを測定した。測定法は実施例1の場合と同じである。 【0044】 結果を表2に示す。 【0045】 【表2】
【0046】 水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム共存系では保存によりpHが0.5以上変化したのに対し、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸の場合は0.2以内の変化に留まった。 【0047】 実施例3 ジェル状美容液の調製 量(質量%) ・ 共重合体A 1.50 ・ ヒスチジン 0.03 ・ グリセリン 5.00 ・ 1,3−ブチレングリコール 1.00 ・ エチルパラベン 0.01 ・ 精製水 残量 【0048】 得られた美容液は、粘度15,000mPa・s、pH6.5であった。また、製剤を手にとった時に適度な保形性を示し、塗布により伸びの良い軽い感触が感じられる、使用感に優れた製剤であった。更に、高温、常温における品質安定性にも優れたものであった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
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| 【出願日】 |
平成17年5月31日(2005.5.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100131738 【弁理士】 【氏名又は名称】近藤 三雄
【識別番号】100107607 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 実
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| 【公開番号】 |
特開2006−335642(P2006−335642A) |
| 【公開日】 |
平成18年12月14日(2006.12.14) |
| 【出願番号】 |
特願2005−158390(P2005−158390) |
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