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【発明の名称】 癌治療
【発明者】 【氏名】チェ‐ミン テン

【氏名】シェン‐チュ クオ

【氏名】ファン‐ユウ リー

【氏名】ショウ‐リン パン

【氏名】ジー‐ホア グー

【要約】 【課題】特定の薬物投与による癌の治療方法の提供。

【解決手段】下記の一般式で表される化合物の投与による癌の治療法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療を必要とする対象に、有効な量の下記の一般式の化合物を投与することを含み、前記癌が、白血病、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌または腎臓癌である、癌の治療方法。
【化1】



(式中、Ar、ArおよびArのそれぞれは、独立に、フェニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、R、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(CHC(O)OR、(CHCHO、または(CHCH=NORであり、あるいはR1およびR2が一緒になって、R3およびR4が一緒になって、またはR5およびR6が一緒になってO(CHOであり、中に、RおよびR’のそれぞれは、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり、mは0、1、2、3、4、5または6であり、nは0、1、2または3である。)
【請求項2】
Arがフェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Arが5’−フリルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Arがフェニルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
、R、RおよびRのそれぞれがHである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
nが1である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
およびRの一方が、フリルの2位に導入されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
およびRの一方がHであり、他方がCHOHである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Arが5’−フリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
およびRの一方が、フリルの2位に導入されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Arがフェニルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記癌が白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記癌が前立腺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が肺癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記癌が乳癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記癌が腎臓癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記癌が腎臓癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
前記癌が肺癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が肺癌である、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
癌の治療を必要とする対象に、有効な量の下記の一般式の化合物を投与することを含む、癌の治療方法。
【化2】



(式中、Ar、ArおよびArのそれぞれは、独立に、フェニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(O)OR、(CHCHO、または(CHCH=NORであり、あるいはR1およびR2が一緒になって、またはR5およびR6が一緒になってO(CHOであり、Rは(CHC(O)N(OR)R’、またはN(OR)R’であり、中に、RおよびR’のそれぞれは、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり、mは0、1、2、3、4、5または6であり、nは0、1、2または3である。)
【請求項22】
前記癌が白血病、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌または腎臓癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Arがフェニルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
nが1であり、Arがフェニルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Arがフェニルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
がC(O)N(OR)R’である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記癌が肺癌または腎臓癌である、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
癌の治療を必要とする対象に、有効な量の下記の一般式の化合物を投与することを含む、癌の治療方法。
【化3】



(式中、ArおよびArのそれぞれは、独立に、フェニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(CHC(O)OR、(CHCHO、(CHCH=NOR、(CHC(O)N(OR)R’またはN(OR)R’であり、あるいはR1およびR2が一緒になって、またはR3およびR4が一緒になってO(CHOであり、中に、RおよびR’のそれぞれは、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり、mは0、1、2、3、4、5または6であり、nは0、1、2または3である。)
【請求項29】
前記癌が白血病、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌または腎臓癌である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
Arがフェニルである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
Arが5’フリルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
、RおよびRのそれぞれがHであり、RがCH(OH)またはCOCHである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が白血病、腎臓癌、肝臓癌または結腸直腸癌である、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本願は、2002年5月16日に出願された米国特許出願第10/147445号の一部継続出願であり、該米国特許出願の優先権を主張するものである。本願は、米国特許出願第10/147445号、および2002年3月29日に出願された米国仮特許出願第60/368892号との両方の優先権を主張するものである。これら2つの出願の内容を、参照により本明細書に援用する。
(背景)
【0002】
血管形成、すなわち新しい血管の形成は、外傷後の創傷治癒および組織への血流回復のために、健康な身体で起こっている。血管形成プロセスは、様々な正および負の制御因子によって厳密に制御される。身体は多くの疾患状態において血管形成に対する制御を失う。
【0003】
過剰な血管成長は、癌や加齢性黄斑変性症、関節リウマチおよび乾癬などの特定の病態によって引き起こされる可能性がある。過剰な血管形成の結果、新しい血管は、患部組織に栄養を与え、正常な組織を破壊する。癌では、新しい血管によって、腫瘍細胞が循環系内に入り込み、他の器官内に留まるようになる。
【0004】
血管形成は、血管の壁を形成する内皮細胞の分裂および遊走を含む、一連の連続ステップを介して起こる。約15種のタンパク質が、内皮細胞の成長および移動を活性化するものとして知られている。したがって、血管形成は、例えばアンジオゲニン、上皮成長因子、エストロゲン、線維芽細胞増殖因子、インターロイキン−8、プロスタグランジンE1およびE2、腫瘍壊死因子、血管内皮成長因子または顆粒球コロニー刺激因子など、これら活性化タンパク質の阻害剤によって、抑制することができる。
【0005】
過剰な血管形成に関連した障害には、癌(充実性腫瘍と血液悪性腫瘍の両方)、心臓血管疾患(例えばアテローム性動脈硬化症)、慢性炎症(例えば関節リウマチまたはクローン病)、糖尿病(例えば糖尿病性網膜症)、乾癬、子宮内膜症および脂肪過多症が含まれる。例えば、Pharmacological Reviews 52:237−268、2001を参照されたい。血管形成を効果的に阻害する化合物は、これら疾患の治療または予防のための薬物候補である。
(概要)
【0006】
本発明は、いくつかの縮合ピラゾリル化合物が、抗血管形成作用を有しかつある特定の癌細胞系の増殖を阻害するという、驚くべき発見に基づく。
【0007】
したがって、本発明は、癌の治療を必要とする対象に、有効な量の下記の一般式の化合物を投与することを含む、癌の治療方法を特徴とする。
【化1】



式中、Aは、Hまたは下記の一般式の化合物であり、
【化2】



Ar、ArおよびArのそれぞれは、独立に、フェニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジニルまたはピリミジニルであり、R、R、R、R、RおよびRのそれぞれは、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(CHC(O)OR、(CHCHO、(CHCH=NOR、(CHC(O)N(OR)R’、N(OR)R’であり、あるいはR1およびR2が一緒になって、R3およびR4が一緒になって、またはR5およびR6が一緒になってO(CHOであり、RおよびR’のそれぞれは、独立に、HまたはC〜Cアルキルであり、mは0、1、2、3、4、5または6であり、nは0、1、2または3である。(CHは、分枝状または直鎖状であってよい。上記任意の置換基に示される左側の原子は、縮合ピラゾリル環に最も近いことに留意されたい。また、縮合ピラゾリル環内に、1つまたは複数のRまたは(CH部分が存在する場合、そのRまたは(CH部分は、同じであっても異なってもよいことに留意されたい。
【0008】
上記化合物の1つのサブセットは、Aが下記の一般式であり、
【化3】



、R、R、R、RおよびRのそれぞれが、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(CHC(O)OR、(CHCHO、(CHCH=NORであり、あるいはR1およびR2が一緒になって、R3およびR4が一緒になって、またはR5およびR6が一緒になってO(CHOであるものである。いくつかの実施形態では、Ar、ArおよびArのそれぞれが、フェニルまたはフリルであり、R、R、RおよびRのそれぞれが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、nが1である。
【0009】
上記化合物の別のサブセットは、Aが下記の一般式であり、
【化4】



、R、R、RおよびRのそれぞれが、独立に、R、ニトロ、ハロゲン、C(O)OR、C(O)SR、C(O)NRR’、(CHOR、(CHSR、(CHNRR’、(CHCN、(O)OR、(CHCHO、(CHCH=NORであり、あるいはR1およびR2が一緒になって、またはR5およびR6が一緒になってO(CHOであり、Rが、(CHC(O)N(OR)R’またはN(OR)R’であるものである。いくつかの実施形態では、Ar、ArおよびArのそれぞれが、フェニルまたはフリルであり、R、R、RおよびRのそれぞれが、H、ハロまたはC〜Cアルキルであり、nが1である。
【0010】
上記化合物の、さらなる別のサブセットは、AがHであるものである。いくつかの実施形態では、ArおよびArのそれぞれが、フェニルまたはフリルであり、R、RおよびRのそれぞれがHであり、Rが、CH(OH)またはCOCHである。
【0011】
上述の方法によって治療することができる癌の例には、白血病、結腸直腸癌、前立腺癌、肺癌、乳癌および腎臓癌が含まれる。
【0012】
以下に、本発明で使用される例示的な化合物を示す。
【化5】


【0013】
本明細書で使用する「Ar」という用語は、アリール基とヘテロアリール基との両方を指す。アリール、例えばフェニルは、少なくとも1個の芳香環を有する炭化水素環系である。ヘテロアリールは、O、NまたはSなどの少なくとも1個のヘテロ原子を含有する少なくとも1個の芳香環を有する炭化水素環系である。ヘテロアリールの例には、チエニル、フリル、ピロリル、ピリジニルおよびピリミジニルが含まれるが、これらに限定するものではない。「Ar」は、その環上に、1個、2個、3個またはそれ以上の置換基を含有することができる。R、R、R、R、RおよびRに割り当てられたもの(上記参照)の他、置換基は、ニトロ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリルまたはヘテロシクリルであってもよい。本明細書で使用する、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクリルおよびヘテロシクリルは、C〜Cアルキル、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、シアノまたはニトロで置換されてもよい。「アルキル」という用語は、直鎖状アルキルと分枝状アルキルの両方を指すことに留意されたい。
【0014】
上述の縮合ピラゾリル化合物には、化合物そのもの、ならびに適切な場合にはその塩およびそのプロドラッグが含まれる。そのような塩は、例えば、縮合ピラゾリル化合物上の負の電荷を持つ置換基(例えばカルボキシレート)と、陽イオンとの相互作用によって、形成することができる。適切な陽イオンには、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウム陽イオン含まれるが、これらに限定するものではない。同様に、正の電荷をもつ置換基(例えばアミノ)は、負の電荷をもつ対イオンと共に、塩を形成することができる。適切な対イオンには、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩または酢酸塩が含まれるが、これらに限定するものではない。プロドラッグの例には、対象に投与したときに上述の縮合ピラゾリル化合物を提供することが可能な、エステルおよびその他の医薬学的に許容される誘導体が含まれる。
【0015】
また、癌の治療に使用される、上述の縮合ピラゾリル化合物の1種または複数を含有する組成物、およびそのような組成物の癌治療剤の製造における使用も、本発明の範囲内である。
【0016】
本発明の、その他の特徴、目的および利点は、明細書および特許請求の範囲から明らかにされよう。
(詳細な説明)
【0017】
本発明の方法を実施するのに使用される縮合ピラゾリル化合物は、当業者に周知の手順によって調製することができる(例えば、米国特許第5574168号参照)。これらは、以下の合成経路を含む:まず、アリールカルボニル塩化物を別のアリール化合物に結合させることによって、アリールアリールケトンを調製する。どちらのアリール化合物も、任意選択で一置換または多置換型である。次いでケトンを、アリールアルキルヒドラジンと反応させ、すなわちそのアリール基も任意選択で一置換または多置換型であるアリールアルキルヒドラジンと反応させて、3個のアリール基を含有するヒドラゾンを形成する。このヒドラゾン基を、アルキレンリンカーを介して縮合ピラゾリル核に変換し、別のアリール基を、ピラゾリル核の4−Cおよび5−Cで縮合し、第3のアリール基を、ピラゾリル核の3−Cに直接接続する。縮合ピラゾリル化合物の誘導体は、既知の変換を介して、アリール基上の置換基を変更することによって得ることができる。例えば、メトキシカルボニル基(−COMe)は、適切な還元剤によってヒドロキシメチル基(−CHOH)に変換する。別の例として、メトキシカルボニル基をカルボン酸(−COOH)に加水分解し、これを引き続き、より反応性のある基、すなわちアシルハロゲン化物(−C(O)X)に変換する。アシルハロゲン化物は、アンモニウムまたはヒドロキシアミンと反応することができ、それによって、アミド基(−C(O)NH)またはヒドロキサム酸基(−C(O)NHOH)が形成される。
【0018】
上述の合成経路で使用される化学物質には、例えば、溶媒、試薬、触媒、保護基および脱保護基試薬を含めることができる。上記方法は、最終的に縮合ピラゾリル化合物を合成させるため、本明細書で具体的に記述されるステップの前または後に、適切な保護基を付加しまたは除去するステップをさらに含んでもよい。さらに、様々な合成ステップを、所望の化合物が得られる代替の順序または順番で実施することができる。利用可能な縮合ピラゾリル化合物を合成するのに有用な、合成化学の変換および保護基の方法論(保護および脱保護)は、当技術分野で知られており、例えば、R.Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCH Publishers(1989);T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley and Sons(1991);L.FieserおよびM.Fieser、Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1994);および、L.Paquette編、Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1995)、ならびにこれらの改訂版に記載されているものが含まれる。
【0019】
このように合成された縮合ピラゾリル化合物は、カラムクロマトグラフィーや高圧液体クロマトグラフィーまたは再結晶などの方法によって、さらに精製することができる。
【0020】
本発明は、癌の治療を必要とする対象に、有効な量の1種または複数の縮合ピラゾリル化合物と、医薬学的に許容される担体とを投与することを含む、癌の治療方法を特徴とする。「治療」という用語は、癌に罹っており、または癌の徴候があり、または癌になり易い体質を持つ対象に対して、癌または癌の徴候、または癌になり易い体質を治療し、治癒させ、緩和し、軽減し、変化させ、回復させ、寛解させ、改善し、または影響を及ぼすことを目的に、1種または複数の縮合ピラゾリル化合物を含む組成物の施用または投与することを指す。「有効な量」は、この化合物を必要とする対象に投与したときに、対象に治療効果をもたらすことが必要な、縮合ピラゾリル化合物の量を指す。有効な量は、当業者に理解されるように、投与経路、賦形剤の用法、およびその他の薬剤との同時使用の可能性に応じて、様々に変えることができる。
【0021】
本明細書で使用する「癌」は、細胞性腫瘍を指す。自律的増殖能、すなわち急速増殖性の細胞増殖を特徴とする異常な状態または状況、を有する癌細胞。この用語は、組織病理学的なタイプまたは侵襲の段階に関わらず、全てのタイプの癌性増殖または発癌性プロセス、転移組織または悪性変換した細胞、組織または器官を含むことを意味する。癌の例には、白血病や肉腫、骨肉腫、リンパ腫、メラノーマ、卵巣癌、皮膚癌、精巣癌、胃癌、膵臓癌、腎臓癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、頭部および頚部の癌、脳腫瘍、食道癌、膀胱癌、副腎皮質癌、肺癌、気管支癌、子宮体癌、鼻咽頭癌、頚管および肝臓の癌または原発巣不明転移癌などの、癌腫および肉腫が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0022】
本発明の方法を実施するために、縮合ピラゾリル化合物を、吸入スプレイによって、または埋め込まれたリザーバを介して、経口的、非経口的に投与することができる。本明細書で使用する「非経口」には、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、クモ膜下内、病巣内および頭蓋内注射または輸液技法が含まれる。
【0023】
経口投与のための組成物は、錠剤、カプセル、エマルジョンおよび水性懸濁液、分散液および溶液が含まれるがこれらに限定することのない任意の経口的に許容される剤形でよい。錠剤に一般に使用される担体は、ラクトースおよびコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も、典型的な場合、錠剤に添加される。カプセル形態の経口投与の場合、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液またはエマルジョンを経口的に投与する場合、活性成分を、乳化剤または懸濁剤と合わせた油相に懸濁させまたは溶解することができる。必要ならば、特定の甘味剤、着香剤または着色剤を添加することができる。
【0024】
滅菌した注射可能な組成物(例えば水性または油性の懸濁液)は、適切な分散剤または湿潤剤(例えばTween 80など)および懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技法によって配合することができる。滅菌した注射可能な製剤は、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒に、溶解しまたは懸濁させた、滅菌した注射可能な溶液または懸濁液にすることもでき、例えば、1,3−ブタンジオールに溶かした溶液などにすることもできる。用いることができる、許容可能なビヒクルおよび溶媒には、マンニトール、水、リンガー液、および等張食塩水がある。さらに、滅菌した不揮発性油は、従来、溶媒または懸濁媒体(例えば、合成モノ−またはジ−グリセリド)として用いられている。オレイン酸やそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にポリオキシエチル化した形にあるオリーブ油やヒマシ油など、医薬学的に許容可能な天然油なので、注射剤の調製に有用である。これらの油の溶液および懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、あるいはカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤を含有することもできる。
【0025】
吸入組成物は、医薬品製剤の分野で周知の技法に従い調製することができ、ベンジルアルコールまたはその他の適切な防腐剤、生物学的利用能を強化する吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または当技術分野で知られているその他の可溶化剤または分散剤を用いて、生理食塩液に溶かした溶液として調製することができる。
【0026】
医薬品組成物中の担体は、製剤の活性成分に対して相溶性があり(好ましくは、製剤の活性成分を安定化することができる)、かつ治療対象に有毒なものではないという意味で、「許容可能」でなければならない。例えば、シクロデキストリン(縮合ピラゾリル化合物と共に、特定の、より可溶性の錯体を形成する)などの可溶化剤は、縮合ピラゾリル化合物を送達するための医薬品賦形剤として利用することができる。その他の担体の例には、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウムおよびD&Cイエロー#10が含まれる。
【0027】
適切なin vitroアッセイを使用することにより、線維芽細胞増殖因子(FGF)または血管内皮増殖因子(VEGF)の活性を阻害する際の縮合ピラゾリル化合物の効果を、予備的に評価することができる。効き目のある縮合ピラゾリル化合物を選別するために、当技術分野で周知の手順に従って、in vivoアッセイを行うこともできる。以下の具体的な実施例を参照されたい。
【0028】
同様に、適切なin vitroアッセイを使用して、癌細胞の増殖を阻害する際の縮合ピラゾリル化合物の効果を、予備的に評価することができる。縮合ピラゾリル化合物は、in vivoアッセイによって、癌治療の際のこの化合物の効果に関してさらに試験することができる。例えばこの化合物を、癌に罹っている動物(例えば、マウスモデル)に施用することができ、次いでその治療効果を評価する。その結果に基づいて、ピラゾリル化合物の適切な投与量範囲および投与経路を決定することもできる。
【0029】
さらなる労力を費やすことなく、上記の記載によって本発明が十分に実施可能であると考えられる。したがって、下記の特定の実施形態は、単なる例示であって、本発明の残りの部分をいかなる方法によっても少しも限定するものではないと、解釈すべきである。本明細書で引用した、特許も含めた刊行物の全ては、その全体を参照により本明細書に援用する。
【実施例】
【0030】
1−ベンジル−3−(5’−ヒドロキシメチル−2’−フリル)インダゾール(化合物1)の合成
まず、無水塩化カルシウム(88.8mg、0.8mmol)を、無水THF(20mL)中でホウ化水素ナトリウム(60mg、1.6mmol)と4時間撹拌することによって、ホウ化水素カルシウムを調製した。次いで、88.0mgの1−ベンジル−3−(5’−メトキシカルボニル−2’−フリル)インダゾール(0.27mmol)を含有する30mLのTHF溶液を、30±2℃で、ホウ化水素カルシウム溶液に1滴ずつ添加した。この混合物を、6時間加熱還流し、冷却し、クラッシュアイスで急冷し、減圧下に置いてTHFを除去し、濾過することによって、固体生成物を得た。固体を、ジクロロメタンで抽出した。抽出物を50mLに濃縮し、石油エーテルを添加した後に、固体を沈殿させた。沈殿物を収集し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル−ベンゼン)で精製した結果、70.0mgの1−ベンジル−3−(5’−ヒドロキシメチル−2’−フリル)インダゾールを、87%の収率で得た。
【0031】
融点:108〜109℃
MS(%)、m/z:304(M
IR(KBr)vmax:3350cm−1(−OH)
H−NMR(DMSO−d、200MHz)δ:4.51(2H、d、J=5.5Hz、−CHO−)、5.31(1H、t、J=5.5Hz、−OH)、5.70(2H、s、=NCH−)、6.48(1H、d、J=3.4Hz、H−4’)、6.97(1H、d、J=3.4Hz、H−3’)、7.21−7.31(6H、m、H−5、フェニル)、7.45(1H、t、J=8.2Hz、H−6)、7.75(1H、dd、J=8.2、1.8Hz、H−7)、8.12(1H、dd、J=8.2、1.0Hz、C4−H)。
【0032】
DNA合成の阻害
ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、化合物1が存在しない状態(基礎および対照)で、または化合物1の存在下(濃度0.1μM、0.03μM、0.1μM、0.3μMまたは1μM)でインキュベートした。血管内皮成長因子(VEGF)または塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を添加して(基礎を除く)、DNAの合成を誘導し、これを、[H]チミジン取込みに基づいて検出した。結果は、化合物1が、VEGFおよびbFGFで誘導されたHUVECの細胞増殖を、濃度依存的に阻害したことを示している。意外にも化合物1は、VFGFおよびbFGFについて、それぞれ9.0×10−8Mおよび1.4×10−7MというIC50値を有していた。
【0033】
他の23種の縮合ピラゾリル化合物についても試験をした。これらの全ては、HUVECのVEGF誘導細胞増殖を阻害し、いくつかは化合物1と同様に効果があった。
【0034】
管腔形成の阻害
HUVECを、マトリゲル(10mg/mL)でプレコートしたチャンバースライド上で培養した。細胞を、化合物1で処理せず(対照)または化合物1(10μM)で処理した。VEGF(10ng/mL)またはbFGF(10ng/mL)を添加して、管腔形成を誘導した。全ての写真は、100×の倍率で撮影した。結果は、化合物1が、VEGFおよびbFGFで誘導された細長い内皮細胞のネットワーク形成を、阻害したことを示している。
【0035】
血管形成作用の阻害
ヌードマウスに、150ng/mLのVEGFまたはbFGFを含有するマトリゲルプラグを皮下注射した。ビヒクルまたは化合物1を、7日間、マウスに経口投与した(1mg/kg/日、3mg/kg/日、10mg/kg/日、30mg/kg/日、または100mg/kg/日)。血管形成応答を、透明な皮膚を通して目でモニタした。マトリゲルそのものは、血管形成応答を誘発しなかった。7日後、マウスを犠牲にし、in situでマトリゲルプラグを確認して、血管の内方形成を定量した。プラグを除去し、4%ホルムアルデヒド中に固定し、パラフィンに包埋し、5μmの厚さに切断して、組織学的分析にかけ、血管成長を、ヘマトキシリン−エオシン染色によって定量した。全ての写真は、40×の倍率で撮影した。結果は、7日間にわたる化合物1の経口投与によって、VEGFまたはbFGFで誘導された血管形成作用を用量依存的に効果的に阻害したことを示している。
【0036】
血管形成作用の定量分析では、ヌードマウスを上述のように処理し、プラグを除去し、溶解した。ヘモグロビンの濃度を、血管形成の指標として、ヘモグロビン検出キット(Sigma Chem.Co.)を使用して測定した。結果は、化合物1が、VEGFまたはbFGFで誘導された血管形成作用を効果的に阻害したことを示している。
【0037】
癌増殖に対する阻害作用
BALB/c−nuマウスに、A549肺腫瘍細胞を皮下注射した(10細胞/マウス)。29日間接種した後、各腫瘍は、30から50mmのサイズに成長した。マウスを2つのグループに分けた。いくつかのピラゾリル化合物を、0.5%カルボキシメチルセルロースにそれぞれ溶解して、サンプル溶液(1mg/ml)を得た。これらの溶液をそれぞれ、第29日目からマウスに毎日経口投与し(ピラゾリル化合物に関し、10mg/kg/日)、腫瘍サイズを3日ごとまたは4日ごとに測定した。第53日目にペントバルビタールを腹膜内投与することにより、マウスを安楽死させた。腫瘍を取り出し、計量した。
【0038】
結果は、化合物1、12および14で処理したマウスが、意外にもビヒクルで処理したものより小さい腫瘍を持っていたことを示している。
【0039】
いくつかのピラゾリル化合物に関し、上述と同様の手順に従って、それらが他の癌細胞の増殖、すなわちNCI−H226(肺癌細胞)、A498(腎臓癌細胞)、ACHN(腎臓癌細胞)、UO−31(腎臓癌細胞)、HA22T(肝臓癌細胞)、HT−29(結腸直腸癌細胞)、HCT−116(結腸直腸癌細胞)、PC−3(前立腺癌細胞)、MDA−MB−468(乳癌細胞)、およびCCRF−CEM(白血病細胞)の増殖に及ぼす阻害作用についても試験をした。
【0040】
結果は、化合物1、10、11、15および16が、NCI−H226細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1、3、5〜7、11および13〜16が、A498細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物2が、ACHN細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1、2、4および6が、UO−31細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物7が、HT−29細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1、2および5が、HCT−116細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1、4および6〜8が、PC−3細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1が、MDA−MB−468細胞の増殖を効果的に阻害し、化合物1、3、4、6、8および9が、CCRF−CEM細胞の増殖を効果的に阻害したことを示している。意外にも化合物1は、A498細胞、NCI−H226細胞およびMCF−7細胞の増殖を、HA22T細胞の増殖よりも効果的に阻害した。
(その他の実施形態)
【0041】
この明細書に開示される特徴の全ては、どのような組合せでも組み合わせることができる。この明細書に開示される各特徴は、同じ目的、均等な目的、または類似する目的に適う代替の特徴に代えることができる。したがって、他に特に示さない限り、開示される特徴のそれぞれは、包括的な一連の、均等なまたは類似する特徴の単なる例である。
【0042】
上述の内容から、当業者なら、本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、また本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な用法および条件に適合するように本発明の様々な変更および修正を行うことができる。例えば、縮合ピラゾリル化合物と構造的に類似する化合物も、本発明を実施するのに使用することができる。したがって、その他の実施形態も、特許請求の範囲内である。
【出願人】 【識別番号】504335921
【氏名又は名称】カールズバッド テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Carlsbad Technology,Inc.
【出願日】 平成18年5月18日(2006.5.18)
【代理人】 【識別番号】100094318
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 行一

【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一

【公開番号】 特開2006−321799(P2006−321799A)
【公開日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願番号】 特願2006−139242(P2006−139242)