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【発明の名称】 角結膜障害治療剤
【発明者】 【氏名】柴垣 圭一
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【氏名】平井 慎一郎
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【氏名】中村 雅胤
【住所又は居所】奈良県生駒市高山町8916−16 参天製薬株式会社内

【要約】 【課題】角結膜障害治療剤を探索すること。

【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、角膜障害モデルにおいて優れた改善効果を発揮し、ドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角膜炎などの角結膜障害の治療剤として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する角結膜障害治療剤。
【化1】


環Yは置換又は無置換含窒素複素環を示し;
1はカルボキシ基、又は置換若しくは無置換含窒素複素5員環を示し;
2及びR3は同一または異なってもよく、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、又は置換若しくは無置換アルキルカルボニル基を示す。)
【請求項2】
一般式(1)において、
【化2】


4が水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアルキル基を示し;
5及びR6が同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基を示し;
7、R8、R9及びR10が同一又は異なってもよく、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す請求項1記載の角結膜障害治療剤。
【請求項3】
一般式(1)において、
【化3】


4がアルコキシ基又はアルキル基を示し;
5がハロゲン原子又はヒドロキシアルキル基を示し;
6がハロゲン原子、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す請求項1又は2記載の角結膜障害治療剤。
【請求項4】
一般式(1)において、
【化4】


4がアルキル基を示す請求項1又は2記載の角結膜障害治療剤。
【請求項5】
一般式(1)において、
【化5】


10が水素原子、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す請求項1又は2記載の角結膜障害治療剤。
【請求項6】
カルボキシ基のエステルが
【化6】


である請求項3又は5記載の角結膜障害治療剤。
【請求項7】
一般式(1)において、
【化7】


2及びR3が同一又は異なってもよく、水素原子、カルボキシアルキル基又はアルキルカルボニル基を示す請求項1記載の角結膜障害治療剤。
【請求項8】
一般式(1)において、
【化8】


2がカルボキシアルキル基を示し;
3がアルキルカルボニル基を示す請求項1又は7記載の角結膜障害治療剤。
【請求項9】
4’−[[4−メチル−6−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−2−n−プロピルベンズイミダゾール−1−イル]メチル]−1,1’−ビフェニル−2−カルボン酸、2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−2−イミダゾリン−5−オン、2−ブチル−4−クロロ−5−ヒドロキシメチル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレート、N−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−N−バレリル−L−バリン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸、若しくは(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ−ル−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボキシレート又はそれらの塩を有効成分として含有する請求項1記載の角結膜障害治療剤。
【請求項10】
角結膜障害が、ドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎または糸状角膜炎である請求項1〜9のいずれか1記載の治療剤。
【請求項11】
剤型が、点眼剤または眼軟膏剤である請求項1〜10のいずれか1記載の角結膜障害治療剤。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフェニルメチル誘導体又はその塩を有効成分として含有するドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角膜炎などの角結膜障害の治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
角膜は、直径約1cm、厚さ約1mmの透明な無血管の組織であり、また、結膜は、角膜縁より後方の眼球表面と眼瞼の裏面を覆っている粘膜である。角膜や結膜が障害をうけると、視機能に重要な影響を及ぼすことが知られている。角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、ドライアイ等の種々の疾患により引き起こされる角結膜障害は、角膜上皮や結膜上皮の正常な再構築に悪影響を与え、結果として、角膜実質や角膜内皮の構造や機能まで害されることがある。近年、細胞生物学の発展に伴い、細胞の分裂・移動・接着・伸展・分化等に関与する因子が解明されており、これらの因子が角結膜障害の修復に重要な役割を担っていることが報告されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
一方、本発明の有効成分であるビフェニルメチル誘導体は、アンギオテンシンII作用を抑制し、高血圧や心不全などの心血管系疾患の治療剤として有用であることが開示されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3など)。
【0004】
しかし、これらのビフェニルメチル誘導体について、眼疾患、特に角結膜障害に対する薬理作用を検討する報告はなく、どのような基本化学構造を有するビフェニル誘導体が角結膜障害に対し有用であるかについても全く示唆されていない。
【特許文献1】特許第2709225号公報
【特許文献2】特許第2868313号公報
【特許文献3】特公平5−29351号公報
【非特許文献1】臨眼,46,738−743(1992)
【非特許文献2】眼科手術,5,719−727(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、これらの多数の公知ビフェニルメチル誘導体の中から、角結膜障害の治療剤として有用な化合物を見出すことは非常に興味のある課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、角膜障害の治療におけるビフェニルメチル誘導体の効果を鋭意研究したところ、角膜障害モデルを用いた角膜障害治癒効力試験において、特定の基本化学構造を有するビフェニルメチル誘導体が角膜障害に対して優れた改善効果を発揮することを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する角結膜障害治療剤、
【化1】


【0008】
環Yは置換又は無置換含窒素複素環を示し;
1はカルボキシ基、又は置換若しくは無置換含窒素複素5員環を示し;
2及びR3は同一または異なってもよく、水素原子、置換若しくは無置換アルキル基、又は置換若しくは無置換アルキルカルボニル基を示す。)
(2)一般式(1)において、
【化2】


【0009】
4が水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアルキル基を示し;
5及びR6が同一又は異なってもよく、ハロゲン原子、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基を示し;
7、R8、R9及びR10が同一又は異なってもよく、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す前(1)記載の角結膜障害治療剤、
(3)一般式(1)において、
【化3】


【0010】
4がアルコキシ基又はアルキル基を示し;
5がハロゲン原子又はヒドロキシアルキル基を示し;
6がハロゲン原子、ヒドロキシアルキル基、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す前(1)又は(2)記載の角結膜障害治療剤、
(4)一般式(1)において、
【化4】


【0011】
4がアルキル基を示す前(1)又は(2)記載の角結膜障害治療剤、
(5)一般式(1)において、
【化5】


【0012】
10が水素原子、又はカルボキシ基若しくはそのエステルを示す前(1)又は(2)記載の角結膜障害治療剤、
(6)カルボキシ基のエステルが
【化6】


【0013】
である前(3)又は(5)記載の角結膜障害治療剤、
(7)一般式(1)において、
【化7】


【0014】
2及びR3が同一又は異なってもよく、水素原子、カルボキシアルキル基又はアルキルカルボニル基を示す前(1)記載の角結膜障害治療剤、
(8)一般式(1)において、
【化8】


【0015】
2がカルボキシアルキル基を示し;
3がアルキルカルボニル基を示す前(1)又は(7)記載の角結膜障害治療剤、
(9)4’−[[4−メチル−6−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−2−n−プロピルベンズイミダゾール−1−イル]メチル]−1,1’−ビフェニル−2−カルボン酸、2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−2−イミダゾリン−5−オン、2−ブチル−4−クロロ−5−ヒドロキシメチル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレート、N−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−N−バレリル−L−バリン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸、若しくは(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ−ル−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボキシレート又はそれらの塩を有効成分として含有する前(1)記載の角結膜障害治療剤、
(10)角結膜障害が、ドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎または糸状角膜炎である前(1)〜(9)のいずれか1記載の治療剤、および
(11)剤型が、点眼剤または眼軟膏剤である前(1)〜(10)のいずれか1記載の角結膜障害治療剤、
である。
【0016】
本発明の上記一般式(1)で表される基本化学構造を有するビフェニルメチル誘導体(以下「本化合物」とする)で規定した基を更に詳しく説明すると、ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示し、アルキルとは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル等の1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキルを示し、アルコキシとは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等の1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルコキシを示す。
【0017】
置換若しくは無置換含窒素複素環とは、置換基を有してもよい窒素含有複素環を示し、窒素含有複素環としては例えばピリジン、ピリミジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン、インドール、キノリン、フェナントリジン、ベンズイミダゾール等が挙げられ、置換若しくは無置換含窒素複素5員環とは、置換基を有してもよい窒素含有複素5員環であり、窒素含有複素5員環としては例えばピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジン等が挙げられる。
【0018】
また、カルボキシ基のエステルとは、カルボキシ基と置換若しくは無置換アルキルアルコール、置換若しくは無置換アリールアルコール等とからなるエステルを示す。アルキルアルコールの具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、アリールアルコールの具体例として、フェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0019】
一般式[1]におけるR1の好ましい例としては、カルボキシ基、
【化9】


【0020】
2およびR3の好ましい例としては、n−ブチルカルボニル基、1−カルボキシ−2−メチル−プロピル基が挙げられ、
4の好ましい例としては、n−プロピル基、n−ブチル基、エトキシ基が挙げられ、
5の好ましい例としては、塩素原子、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基が挙げられ、
6の好ましい例としては、カルボキシ基、ヒドロキシメチル基、
【化10】


【0021】
7の好ましい例としては、水素原子、メチル基が挙げられ、
8の好ましい例としては、水素原子が挙げられ、
9の好ましい例としては、水素原子、
【化11】


【0022】
10の好ましい例としては、水素原子、カルボキシ基、
【化12】


【0023】
本化合物の好ましい具体例として、例えば4’−[[4−メチル−6−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−2−n−プロピルベンズイミダゾール−1−イル]メチル]−1,1’−ビフェニル−2−カルボン酸、2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−2−イミダゾリン−5−オン、2−ブチル−4−クロロ−5−ヒドロキシメチル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレート、N−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−N−バレリル−L−バリン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソ−ル−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボキシレート、2−エトキシ−1−[[2’−(5−オキソ−2H−1,2,4−オキサジアゾ−ル−3−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸、2−ブチル−4−クロロ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸などが挙げられる。
【0024】
本化合物の塩は、医薬として許容される塩であれば特に制限されず、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩をはじめ、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸との塩、酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸等の有機酸との塩などが挙げられ、第四級アンモニウム塩も本発明における塩に包含される。より好ましい塩は、ナトリウム塩およびカリウム塩である。なお、本化合物は、水和物および溶媒和物の形態をとっていてもよい。また、本化合物の光学異性体、幾何異性体、互変異性体、多形体なども本発明の範囲に含まれる。
【0025】
本化合物は、特許第2709225号公報、特許第2868313号公報、特公平5−29351号公報、特許第2853611号公報、特許第2514282号公報、特許第2749458号公報、特公平7−25738号公報、特許第2645962号公報、特許第3465215号公報に記載された方法に基づいて製造することができる。
【0026】
本発明において、角結膜障害とは、種々の要因により角結膜が損傷を受けた状態にあるものをいい、例えばドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角膜炎などなどが挙げられる。
【0027】
本発明の角結膜障害治療剤は、経口でも非経口でも投与することができる。
【0028】
投与剤型としては、点眼剤、眼軟膏剤、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、特に点眼剤が好ましい。これらは汎用されている技術を用いて調製することができる。例えば、点眼剤は、塩化ナトリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン等の防腐剤等を必要に応じて用いて、調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ましい。
【0029】
眼軟膏剤は、白色ワセリン、流動パラフィン等の汎用される基剤を用いて、調製することができる。また、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、乳糖、結晶セルロ−ス、デンプン、植物油等の増量剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロ−ス カルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、マクロゴ−ル、シリコン樹脂等のコ−ティング剤、ゼラチン皮膜等の皮膜剤などを必要に応じて加えて、調製することができる。
【0030】
本化合物の投与量は症状、年令、剤型等によって適宜選択できるが、点眼剤は0.00001〜5%(w/v)、好ましくは0.001〜3%(w/v)のものを1日1〜数回点眼すればよい。また、経口剤では通常1日当り0.1〜5000mg、好ましくは1〜1000mgを1回または数回に分けて投与すればよい。
【発明の効果】
【0031】
後述するように、角膜障害の治癒効力試験を実施したところ、本化合物はいずれも、角膜障害モデルにおいて優れた改善効果を発揮するので、ドライアイ、角膜潰瘍、角膜炎、結膜炎、点状表層角膜症、角膜上皮欠損、結膜上皮欠損、乾性角結膜炎、上輪部角結膜炎、糸状角膜炎などなどの角結膜障害の治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、薬理試験の結果および製剤例を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0033】
[薬理試験]
角膜障害の治癒効力試験
雄性SDラットを用い、Fujiharaらの方法(Invest. Ophthalmol. Vis. Sci 42(1):96−100 (2001))に準じ、角膜障害モデルを作製した。角膜障害モデル作製後、村上らの方法(あたらしい眼科 21(1):87-90(2004))に準じて角膜障害をスコア判定し、点眼後の角膜障害の改善率を求めた。
【0034】
(実験方法)
雄性SDラットを用い、ネンブタ−ルを投与して全身麻酔を施した後、眼窩外涙腺を摘出し、2ヶ月かけて角膜障害を誘発させた。
【0035】
つぎに、4’−[[4−メチル−6−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イル)−2−n−プロピルベンズイミダゾール−1−イル]メチル]−1,1’−ビフェニル−2−カルボン酸(以下「化合物A」とする)、2−n−ブチル−4−スピロシクロペンタン−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−2−イミダゾリン−5−オン(以下「化合物B」とする)、2−ブチル−4−クロロ−5−ヒドロキシメチル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール 一カリウム塩(以下「化合物C」とする)、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(以下「化合物D」とする)、N−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]−N−バレリル−L−バリン(以下「化合物E」とする)および4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−n−プロピル−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸 一水和物(以下「化合物F」とする)を以下のように投与した。
【0036】
化合物A点眼群:
化合物A(0.005%)を含む生理食塩水を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0037】
化合物B点眼群:
化合物B(0.04%)を含む生理食塩水を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0038】
化合物C点眼群:
化合物C(0.5%)を含む生理食塩水を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群3匹6眼)。
【0039】
化合物D点眼群:
化合物D(0.004%)を含む生理的リン酸緩衝液を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0040】
化合物E点眼群:
化合物E(0.004%)を含む生理的リン酸緩衝液を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0041】
化合物F点眼群:
化合物F(0.004%)を含む生理的リン酸緩衝液を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0042】
なお、コントロール群として、生理食塩水または生理的リン酸緩衝液を両眼に1日6回、14日間点眼した(一群4匹8眼)。
【0043】
点眼開始14日後、角膜の障害部分をフルオレセインにて染色した。角膜の上部、中間部および下部のそれぞれについて、フルオレセインによる染色の程度を下記の基準に従ってスコア判定し、上記各部におけるスコアの合計の平均値から角膜障害の改善率を算出した。正常眼についても上記各部におけるスコアの合計の平均値を求めた。
【0044】
(判定基準)
0:染色されていない
1:染色が疎であり、各点状の染色部分は離れている
2:染色が中程度であり、点状の染色部分の一部が隣接している
3:染色が密であり、各点状の染色部分は隣接している
(結果)
コントロ−ル群(生理食塩水または生理的リン酸緩衝液)におけるスコアの合計の平均値を基準(改善率:0%)にして下記計算式により、化合物A、BおよびC点眼群の改善率をそれぞれ算出した。これらを表1に示す。同様にして求めた化合物DおよびE点眼群の各改善率を表2に、化合物F点眼群の各改善率を表3にそれぞれ示す。なお、スコアの平均値は各8例もしくは6例の平均である。
【0045】
改善率(%)={(コントロ−ル)−(本化合物)}/ 障害度×100
障害度=(コントロ−ル)−(正常眼)
【表1】


【表2】


【表3】


【0046】
(考察)
上記のラットを用いた薬理試験の結果(表1〜3)から明らかなように化合物A〜Fはいずれも、角膜障害を顕著に改善した。
【0047】
[製剤例]
以下に化合物A〜Fを用いた代表的な製剤例を示す。
【0048】
処方例1
100ml中
化合物A 10mg
塩化ナトリウム 900mg
滅菌精製水 適量
化合物Aの添加量を変えることにより、濃度が0.001%(w/v)、0.03%(w/v)、0.1%(w/v)、0.3%(w/v)、1.0%(w/v)、3.0%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0049】
処方例2
100ml中
化合物B 50mg
塩化ナトリウム 800mg
リン酸水素二ナトリウム 100mg
リン酸二水素ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
化合物Bの添加量を変えることにより、濃度が0.002%(w/v)、0.01%(w/v)、0.25%(w/v)、1.25%(w/v)、3%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0050】
処方例3
100ml中
化合物C 100mg
塩化ナトリウム 800mg
リン酸水素二ナトリウム 100mg
リン酸二水素ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
化合物Cの添加量を変えることにより、濃度が0.003%(w/v)、0.01%(w/v)、0.03%(w/v)、0.05%(w/v)、0.3%(w/v)、1%(w/v)、3%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0051】
処方例4
100ml中
化合物D 50mg
塩化ナトリウム 900mg
滅菌精製水 適量
化合物Dの添加量を変えることにより、濃度が0.002%(w/v)、0.01%(w/v)、0.25%(w/v)、1.25%(w/v)、3%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0052】
処方例5
100ml中
化合物E 100mg
塩化ナトリウム 800mg
リン酸水素二ナトリウム 100mg
リン酸二水素ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
化合物Eの添加量を変えることにより、濃度が0.003%(w/v)、0.01%(w/v)、0.03%(w/v)、0.05%(w/v)、0.3%(w/v)、1%(w/v)、3%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0053】
処方例6
100ml中
化合物F 10mg
塩化ナトリウム 800mg
リン酸水素二ナトリウム 100mg
リン酸二水素ナトリウム 適量
滅菌精製水 適量
化合物Fの添加量を変えることにより、濃度が0.001%(w/v)、0.03%(w/v)、0.1%(w/v)、0.3%(w/v)、1.0%(w/v)、3.0%(w/v)の点眼剤を調製できる。
【0054】
処方例7
100g中
化合物C 0.3g
流動パラフィン 10.0g
白色ワセリン 適量
化合物Cの添加量を変えることにより、濃度が1%(w/w)、3%(w/w)の眼軟膏剤を調製できる。
【0055】
処方例8
100g中
化合物F 0.3g
流動パラフィン 10.0g
白色ワセリン 適量
化合物Fの添加量を変えることにより、濃度が1%(w/w)、3%(w/w)の眼軟膏剤を調製できる。

【出願人】 【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市東淀川区下新庄3丁目9番19号
【出願日】 平成18年4月21日(2006.4.21)
【代理人】 【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子

【公開番号】 特開2006−321796(P2006−321796A)
【公開日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願番号】 特願2006−117311(P2006−117311)