| 【発明の名称】 |
眼科用剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】宇水 剛 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号 大正製薬株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】硫酸亜鉛または乳酸亜鉛を含有する眼科用剤とした場合は、点眼時に眼痛を生じる。よって、本発明は、硫酸亜鉛または乳酸亜鉛を配合する眼科用剤において、眼痛を生じない眼科用剤を提供することである。
【解決手段】本発明は、以下の(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とする眼科用剤である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とする眼科用剤。 (a)硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛の一種以上 (b)脂溶性ビタミン類 (c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンヒマシ油類及びポリソルベート類から選ばれる1種又は2種以上の非イオン界面活性剤 【請求項2】 さらに清涼化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の眼科用剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、眼科用剤に関し、詳しくは、硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛の一種以上、脂溶性ビタミン類及びある特定の非イオン界面活性剤を配合すること特徴とする眼科用剤である。 【背景技術】 【0002】 硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛は、抗炎症作用を示すため薬効成分として、点眼剤や洗眼剤等の眼科用剤をはじめとする医薬品に広く用いられている。しかし、硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛を含有する眼科用剤は眼痛を生じることが知られている。 【0003】 また、亜鉛は生体内では酵素の構成成分であり、眼においては、亜鉛が欠乏すると角膜上皮の細胞分裂に変化が生じることが非特許文献1に示されている。 【0004】 脂溶性ビタミン類は、点眼剤や洗眼剤等の眼科用剤に用いられている。特に脂溶性ビタミン類の一つであるビタミンA類は、角結膜上皮の細胞分化を正常化することが非特許文献2及び非特許文献3に示されている。しかし、脂溶性ビタミン類を用いた点眼剤等は、使用時に霧視を生じることが知られている。 【0005】 霧視とは視野に霧がかかったように見える状態であり、症状回復まで時間を要する場合があり、自動車等危険を伴う機械の操作の従事を回避しなければならない。また一過性の症状で、すぐ回復が見られる場合であっても不快な感覚であり、コンプライアンスの観点から改善が望まれる症状である。 【0006】 さらに、硫酸亜鉛と脂溶性ビタミン類を配合する点眼剤が特許文献1に開示されているが、(a)硫酸亜鉛または乳酸亜鉛、(b)脂溶性ビタミン類、(c)非イオン界面活性剤の3成分を同時に含有する眼科用剤の開示はない。 【0007】 【非特許文献1】日本眼科紀要,第41巻,第3号,p494-498,1990年 【非特許文献2】日本コンタクトレンズ学会誌,第36巻,第1号,p13-15,1994年 【非特許文献3】あたらしい眼科,Vol.10,No.10,p1685-1686,1993年 【特許文献1】特表2001−504132号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 硫酸亜鉛または乳酸亜鉛を含有する眼科用剤とした場合は、点眼時に亜鉛に起因する眼痛を生じるため、本発明が解決しようとする課題は、硫酸亜鉛または乳酸亜鉛を配合する眼科用剤において、眼痛を生じない眼科用剤を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究した結果、硫酸亜鉛または乳酸亜鉛、脂溶性ビタミン類及びある特定の非イオン界面活性剤を配合した眼科用剤が、意外にも、亜鉛配合の眼科用剤の特有の眼痛を生じず、また脂溶性ビタミン類に起因する霧視を生じないことを見出し、本発明を完成した。 【0010】 すなわち本発明は、以下の(a)、(b)及び(c)を含有することを特徴とする眼科用剤である。 (a)硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛の一種以上 (b)脂溶性ビタミン類 (c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンヒマシ油類及びポリソルベート類から選ばれる1種又は2種以上の非イオン界面活性剤 【0011】 また、本発明の他の態様は、さらに清涼化剤を含有することを特徴とする前記眼科用剤である。 【発明の効果】 【0012】 本発明により、抗炎症作用を有する硫酸亜鉛または乳酸亜鉛、及び脂溶性ビタミン類を含有する眼科用剤で、使用時に亜鉛に起因する眼痛を生じず、さらに脂溶性ビタミン類に起因する霧視も生じない優れた眼科用剤を提供することが可能になった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 本発明の眼科用剤に用いることができる脂溶性ビタミン類としては薬理学的または生理学的に許容されるものであることを条件として特に限定されないが、例えばビタミンA類のパルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、ビタミンE類の酢酸d-αトコフェロールが挙げられる。 【0014】 パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及び酢酸d-αトコフェロールの配合量は、眼科用剤中、好ましくは0.01〜0.05w/v%である。 【0015】 本発明の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンヒマシ油類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリソルベート類を使用することができ、特に好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60及びポリオキシエチレンヒマシ油35である。 【0016】 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンヒマシ油類及びポリソルベート類の配合量は、眼科用剤中、好ましくは0.05〜5w/v%である。 【0017】 また、眼痛をさらに抑えるために、清涼化剤を加えることが好ましい。清涼化剤としては、メントール、カンフル、ボルネオール等のテルペノイド類、ハッカ油、ユーカリ油、ゲラニオール、ベルガモット油等の精油成分が挙げられる。特に好ましくはメントールである。そのメントールの配合量は、眼科用剤中、好ましくは0.001〜0.05w/v%である。 【0018】 本発明の眼科用剤には、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、眼科用剤として許容される他の成分を配合することができ、例えば、イプシロンアミノカプロン酸、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、塩化ベルベリン等の抗炎症薬、スルファメトキサゾールナトリウム等のサルファ剤、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸ナファゾリン等の血管収縮薬、塩酸ピリドキシン、リン酸リボフラビン、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム等のビタミン類、メチル硫酸ネオスチグミン等のピント調節薬、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸、アスパラギン酸カリウム等のアミノ酸類、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩、その他基剤成分として、エデト酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ホウ砂、ホウ酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)等を挙げることができる。 【0019】 本発明の眼科用剤とは、点眼剤又は洗眼剤である。 【0020】 本発明の眼科用剤は、従来の方法で製造・調製することができる。点眼剤は、1日数回、1回1滴から数滴投与することができ、洗眼剤は、1日数回、眼の洗浄をすることができる。 【0021】 以下に実施例及び試験例を示し、本発明を更に詳細に示す。なお、pH、浸透圧の測定はそれぞれ日本薬局方14局pH測定法、浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に従って測定を行った。 【実施例1】 【0022】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表1に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.96、浸透圧は297mOsmであった。 【実施例2】 【0023】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、酢酸d-αトコフェロールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表1に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.95、浸透圧は290mOsmであった。 【実施例3】 【0024】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、l-メントール、硫酸亜鉛他各成分(下記表1に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは7.02、浸透圧は289mOsmであった。 【実施例4】 【0025】 精製水(85mL)にポリオキシエチレンヒマシ油35、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表1に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.97、浸透圧は300mOsmであった。 【実施例5】 【0026】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表1に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.99、浸透圧は299mOsmであった。 【実施例6】 【0027】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、酢酸レチノールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表2に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.98、浸透圧は298mOsmであった。 【実施例7】 【0028】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、乳酸亜鉛他各成分(下記表2に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは7.02、浸透圧は297mOsmであった。 【実施例8】 【0029】 精製水(85mL)にポリソルベート80、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、硫酸亜鉛他各成分(下記表2に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.95、浸透圧は298mOsmであった。 【実施例9】 【0030】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、カンフル、硫酸亜鉛他各成分(下記表2に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.99、浸透圧は296mOsmであった。 【実施例10】 【0031】 精製水(85mL)にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、パルミチン酸レチノールを溶解させた後、ボルネオール、硫酸亜鉛他各成分(下記表2に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)を添加し、溶解させ、全量を100mLとした。その後ろ過滅菌を行い、無菌の点眼剤を得た。この点眼剤のpHは6.99、浸透圧は296mOsmであった。 【0032】 〔比較例1〕 実施例1の点眼剤からパルミチン酸レチノールを除去し、他の成分は同量(下記表3に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)とした点眼剤を得た。 【0033】 〔比較例2〕 実施例1の点眼剤からポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を除去し、他の成分は同量(下記表3に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)とした点眼剤を得た。 【0034】 〔比較例3〕 実施例2の点眼剤からポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を除去し、他の成分は同量(下記表3に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)とした点眼剤を得た。 【0035】 〔比較例4〕 実施例1の点眼剤からポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60の代わりにポリオキシエチレン200 ポリプロピレン70グリコールを添加し、他の成分は同量(下記表3に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)とした点眼剤を得た。 【0036】 〔比較例5〕 実施例1の点眼剤からポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60の代わりにステアリン酸ポリオキシル40を添加し、他の成分は同量(下記表3に記載、各成分の配合量の単位はmg/100mLである)とした点眼剤を得た。 【0037】 〔試験例1〕 健常者4名に対し、実施例1〜10及び比較例1〜5で得た点眼剤を点眼し、使用時の刺激感と霧視の有無を評価した。なお、点眼剤は1〜2滴ずつ両眼に点眼した。このときの結果を表1〜表3に示した。本発明の点眼剤は、点眼時に眼痛を生じず、かつ霧視を生じないことが示された。 【0038】 〈評価基準〉 (刺激) スコア−0:刺激無し。 スコア−1:ほとんど刺激なし。 スコア−2:やや刺激あり。 スコア−3:刺激あり。 スコア−4:強い刺激あり。 【0039】 (霧視) スコア−0:霧視なし。 スコア−1:ほとんど霧視なし。 スコア−2:やや霧視あり。 スコア−3:霧視あり。 スコア−4:強い霧視あり。 【0040】 【表1】
【0041】 【表2】
【0042】 【表3】
【0043】 〔試験例2〕 実施例1、実施例4及び実施例8で得た点眼剤をガラスアンプルに充填し、50℃に保った。10日後のパルミチン酸レチノールの残存量を下記に示した高速液体クロマトグラフ法で測定した。結果を表4に示す。本発明の点眼剤は、パルミチン酸レチノールを安定に保存できることが示された。特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60とポリオキシエチレンヒマシ油35がパルミチン酸レチノールを安定に保存できることが示された。 【0044】 測定方法: 試料中のパルミチン酸レチノールをプロピオン酸エルゴステロールを内標準物質に用いて高速液体クロマトグラフ法で測定した。即ち、試料水溶液2mLを正確に量り、内標準溶液(プロピオン酸エルゴステロールの2−プロパノール/テトラヒドロフラン(3:2)混液溶液(3→1000))2mLを正確に加え、これに2−プロパノール/テトラヒドロフラン(3:2)混液を加えて10mLとし、試料溶液とした。 【0045】 別に、パルミチン酸レチノール標準品約0.037gを精密に量り、2−プロパノール/テトラヒドロフラン(3:2)混液に溶かし正確に100mLとした。この液2mLを正確に量り、内標準液2mLを正確に加え、2−プロパノール/テトラヒドロフラン(3:2)混液を加えて10mLとし、標準溶液とした。 【0046】 上記した試料溶液及び標準溶液の10μLを用い、下記の条件で測定を行った。 カラム:資生堂カプセルパック UG120 4.6mm× 150mm 溶離液:液体クロマトグラフ用アセトニトリル/水/リン酸 = 980/20/1 検出器:紫外吸光光度計(測定波長280nm) 流速:パルミチン酸レチノールのピークが約25分に検出されるように調整した(通例1mL/分)。 【0047】 【表4】
【産業上の利用可能性】 【0048】 本発明の眼科用剤は、硫酸亜鉛及び乳酸亜鉛から一種以上、脂溶性ビタミン類及びある特定の非イオン界面活性剤を配合することを特徴とし、亜鉛に起因する眼痛を生じず、かつ脂溶性ビタミン類に起因する点眼後の霧視が生じない極めて有用な眼科用剤であり、点眼剤や洗眼剤として利用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002819 【氏名又は名称】大正製薬株式会社 【住所又は居所】東京都豊島区高田3丁目24番1号
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| 【出願日】 |
平成18年4月12日(2006.4.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100115406 【弁理士】 【氏名又は名称】佐鳥 宗一
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| 【公開番号】 |
特開2006−321790(P2006−321790A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2006−110138(P2006−110138) |
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