| 【発明の名称】 |
頭頚部癌抑制剤および医薬組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】畑 隆一郎
【氏名】加藤 靖正
【氏名】小澤 重幸
【氏名】久保田 英朗
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| 【要約】 |
【課題】外科的な手法によらずに頭頚部癌を治療する手段、より具体的には、頭頚部癌、特に口腔領域の扁平上皮癌に対して有効であり、安全性の高い、癌の増殖抑制剤およびそれを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】以下の(A)〜(C)のいずれかを有効成分として含有することを特徴とする、頭頚部癌抑制剤:(A)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列を有する核酸を発現可能な形態で含む発現ベクター;(B)前記(A)の発現ベクターを含む、細胞、組織または細胞株;(C)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の(A)〜(C)のいずれかを有効成分として含有することを特徴とする、頭頚部癌抑制剤: (A)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列を有する核酸を発現可能な形態で含む発現ベクター; (B)前記(A)の発現ベクターを含む、細胞、組織または細胞株; (C)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物。 【請求項2】 前記頭頚部癌が、口腔癌である、請求項1記載の癌抑制剤。 【請求項3】 前記頭頚部癌が、扁平上皮癌である、請求項1または2記載の癌抑制剤。 【請求項4】 前記BRAKポリペプチドが、配列表の配列番号4〜6のいずれかによって表される配列を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の癌抑制剤。 【請求項5】 前記核酸が、配列表の配列番号1〜3のいずれかによって表される配列を有する、請求項4記載の癌抑制剤。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の癌抑制剤および医薬的に許容されうる担体を含有する、医薬組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、頭頚部領域の悪性腫瘍の増殖を抑制または防止するための薬剤等に関する。 【背景技術】 【0002】 BRAK(breast and kidney;「CXCL14」等とも呼ばれる)は、多くの正常組織で発現しており、生体内のホメオスタシス維持に重要と考えられているケモカインである。BRAK遺伝子は、5q31遺伝子座に位置し、99残基の前駆体タンパク質として翻訳され、最終的に77残基の成熟タンパク質となる。BRAKは、哺乳動物間で高度に保存されており、たとえばBRAKのマウスのホモログは、77アミノ酸残基のうちの2つの相同アミノ酸以外はすべてヒトのものと一致している。 【0003】 BRAKが正常細胞・組織では発現している一方で、癌細胞株において発現しないことは、Hromasらにより最初に報告され(Hromas et al., BBRC, 1999:非特許文献1)、ヒト癌組織でも発現していないことが報告されている(Frederick et al., Am. J.Pathol., 2000:非特許文献2)。 【0004】 しかし、BRAKの機能は明らかでなく、また、BRAKを発現しないことが癌の増殖進展の単なる結果であるのか、あるいは原因であるのかは不明であった。 【0005】 頭頚部の癌、特に口腔癌は、他の癌とは区別される特徴を有する。例えば、口腔顎顔面の機能は複雑であるため、手術を行うと、たとえそれが成功しても、顔面の変形、発音・咀嚼等の機能の傷害が生じる可能性が高い。このような傷害は、患者のADL(activities of daily living)およびQOL(quality of life)に大きな影響を与える。そのため、外科的療法は、もしそれが可能であれば避けることが望ましい。 【0006】 また、口腔領域に多く生じる扁平上皮癌や唾液腺癌などは、その病態が多用であるため、病理診断が困難な場合がある。特に、転移の有無や予後の予測を早い段階で診断することは難しい。 【0007】 頭頸部扁平上皮癌において、上皮増殖因子(EGF)受容体シグナルの過剰な活性化が報告されている。本発明者らは、頭頸部扁平上皮癌の進展を阻害するための分子標的を見いだすために、無血清培養した頭頸部扁平上皮癌細胞をEGF処理したときに発現低下する分子をcDNAアレイ法により網羅的に調べたところ、BRAKが種々の扁平上皮癌細胞において顕著に低下することを見いだした(Ozawa, Y. et al., JDR, 2004 :非特許文献3およびOzawa, Y. et al., Metastasis Soc, Res. 2004:非特許文献4)。 【0008】 特表2005−501512(特許文献1)には、BRAKを含むケモカインをコードする遺伝子と抗体をコードする遺伝子とを含むベクターが開示されている。しかし、この文献においては、BRAKがサイトカインおよび抗体との併用においてそれらの効果を高めることが示唆されているが、BRAKが単独で抗腫瘍活性を有することは記載されていない。 【0009】 Schllenbergerら(非特許文献5)には、BRAKがラット角膜における血管新生をインビボで強力に阻害することが記載されている。しかし、この文献には、BRAKの腫瘍の抑制効果については記載されていない。 【0010】 Schwarzeら(非特許文献6)には、前立腺癌細胞株においてマウスまたはヒトBRAKを過剰発現させることにより腫瘍の増殖が抑制されたことが記載されている。しかし、前立腺癌においてはBRAK mRNAが有意にアップレギュレーションされていることから、BRAK発現が低下する頭頚部扁平上皮癌の場合とは異なっている。 【特許文献1】特表2005−501512 【非特許文献1】Hromas R. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 1999 Feb 24; 255(3):703-6 【非特許文献2】Frederick MJ. et al., Am. J. Pathol. 2000 June 156(6):1937-1950 【非特許文献3】Ozawa, Y. et al., JDR, 2004, "2004 IADR Program Book Honolulu March 10-13, 2004," #3708 【非特許文献4】Ozawa, Y. et al., "10th International Congress of the Metastasis Research Society: "Progress Against Tumor Progression" 17th-20th September 2004" #84 【非特許文献5】Schllenberger TD, et al., Cancer Res. 2004 Nov 15; 64(22):8262-70 【非特許文献6】Schwarze, SR. et al., Prostate 2005 Jan 13 (online) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 本発明は、外科的な手法によらずに頭頚部癌を治療する手段、より具体的には、頭頚部癌、特に口腔領域の扁平上皮癌に対して有効であり、安全性の高い、癌の増殖抑制剤およびそれを含む医薬組成物を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 本発明者らは、頭頸部扁平上皮癌細胞の無血清培養においてBRAKが発現しており、上皮増殖因子(EGF)または血清での処理によりその発現が低下すること、BRAKに扁平上皮癌細胞特異的変異が存在することを見出した。そして、BRAKの発現(機能)の低下が癌の進展の結果として生じるものではなく、癌の増殖・進展抑制に密接に関係していると考えた。 【0013】 さらに、BRAKの発現が頭頸部扁平上皮癌細胞株に荷電の変化を生じるようなアミノ酸置換を伴う特異的な2つの変異Y26→H、R60→Cの存在(19例中の15例=79%)を見いだした。この変異は正常細胞にはなかったこと、およびCMVプロモーターによるBRAKの強制発現ベクター(pCL−BRAK)を用いて、BRAKを強制発現した頭頸部扁平上皮癌細胞の移植実験では、瘢痕化がおこることから、BRAKが癌進展抑制活性を持つことを見出し、本発明を完成した。 【0014】 本発明は、 〔1〕以下の(A)〜(C)のいずれかを有効成分として含有することを特徴とする、頭頚部癌抑制剤; (A)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列を有する核酸を発現可能な形態で含む発現ベクター; (B)前記(A)の発現ベクターを含む、細胞、組織または細胞株; (C)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物; 〔2〕前記頭頚部癌が、口腔癌である、前記〔1〕記載の癌抑制剤; 〔3〕前記頭頚部癌が、扁平上皮癌である、前記〔1〕または〔2〕記載の癌抑制剤; 〔4〕前記BRAKポリペプチドが、配列表の配列番号4〜6のいずれかによって表される配列を有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の癌抑制剤; 〔5〕前記核酸が、配列表の配列番号1〜3のいずれかによって表される配列を有する、前記〔4〕記載の癌抑制剤; 〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項記載の癌抑制剤および医薬的に許容されうる担体を含有する、医薬組成物、 を提供する。 【発明の効果】 【0015】 本発明により、外科的手法によらずに、安全に頭頚部癌の抑制を可能にする薬剤が提供される。本発明の癌抑制剤は、頭頚部癌、特に口腔領域の癌および/または扁平上皮癌に有効である。また、我々が見いだしたBRAKの変異は頭頸部扁平上皮癌以外の癌細胞においても見出されているので、本発明により、他の癌にも適用可能な普遍的な癌進展抑制剤および方法が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0016】 上述のとおり、本発明の頭頚部癌抑制剤は、(A)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列を有する核酸を発現可能な形態で含む発現ベクター;(B)前記(A)の発現ベクターを含む、細胞、組織または細胞株;(C)BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物、のいずれかを有効成分として含有する。 【0017】 前記(A)および(C)における「BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物」は、ヒト、マウスその他の任意の生物に由来する天然型のアミノ酸配列を有するBRAKポリペプチドに加え、後述するような癌の増殖を抑制する活性を維持している限りにおいて、天然型のアミノ酸配列と比較して1〜数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入、置換等によって改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。このようなアミノ酸配列の改変は、それをコードする核酸配列に起因するものであってもよく、あるいはポリペプチドの修飾等によって生じるものであってもよく、また、改変が人為的であっても自然発生的であってもよい。たとえば、配列表の配列番号4〜6に記載されたアミノ酸配列を有するポリペプチドおよびこれらに前記のような改変を加えたアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。配列番号4は、ヒトBRAKの前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列、配列番号5は同様に前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列、配列番号6は成熟型ポリペプチドのアミノ酸配列である。好ましくは、BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物は、BRAKのN末端側から約70残基またはそれに相当する配列を含む。なお、本発明に関して、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、厳密に区別されず、互換的に使用される。 【0018】 前記(A)における「BRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列」は、このようないずれかのポリペプチドをコードする任意の配列を意味する。たとえば、配列表の配列番号1〜3に記載されたヌクレオチド配列およびこれらに前記のような改変されたポリペプチドが生じるような改変を有するヌクレオチド配列が挙げられる。配列番号1は、ヒトBRAKの全長cDNA配列、配列番号2および3は、ヒトBRAKのmRNAのcDNA配列である(配列番号2のヌクレオチド番号1は、配列番号1の502番目のヌクレオチドに対応する)。このような配列を有する核酸は、一本鎖または二本鎖のいずれであってもよく、また、DNAまたはこの配列に対応するRNAのいずれであってもよい。 【0019】 前記(A)における発現ベクターの作製に使用されうるベクターとしては、前記BRAKポリペプチドをコードする配列を細胞内において発現することができるものであれば、特に制限されない。例えば、選択マーカーを含むベクターなどの市販のものを有利に使用することができ、プラスミド、ウイルス(ワクシニアウイルス、アデノウイルス、レトロウイルスなど)などの任意の形態のベクターであることができる。当該技術分野で公知の任意の方法にしたがって、このようなベクターに前記のBRAKポリペプチドまたはその機能的等価物をコードする配列を有する核酸を挿入することにより、発現ベクターを作製することができる。 【0020】 前記(B)の細胞、組織または細胞株は、前記の発現ベクターを、公知の方法にしたがって細胞、組織または細胞株に導入することにより作製することができる。これらの細胞、組織または細胞株は、動物、特に哺乳類動物に由来するものであることが好ましく、腫瘍細胞もしくは組織、またはそれらに由来する細胞株などが挙げられる。細胞または組織としては、たとえば口腔上皮癌、唾液腺癌などを使用することができる。また、細胞株としては、たとえばHSC−3株、KB株あるいは口腔幹細胞、骨髄幹細胞などを使用することができる。 【0021】 本発明の癌抑制剤は、このような(A)〜(C)のいずれか1以上を有効成分として含有する。抑制対象の癌としては、頭頚部癌、特に扁平上皮癌および/または口腔癌が挙げられる。 【0022】 癌を抑制する活性の有無は、公知の任意の試験方法によって、抑制剤の候補を適用した場合と適用しない場合(対照)とを腫瘍の生存、増殖、増大などについて比較することによって調べることができる。このような比較試験において、抑制剤の候補を適用した場合について統計的に有意な腫瘍の増殖に関する不利な影響(たとえば増殖の低減・遅延、腫瘍の縮小など)が認められた場合に、その候補物質は抑制活性を有すると判定される。 【0023】 本発明の癌抑制剤の有効投与量は、抑制すべき癌の性質、大きさ、種類、部位など;投与対象個体の状態など;併用する治療の有無または種類など、種々の要因によって変動するが、目安として、有効成分が(A)の発現ベクターである場合、1回あたり1フェムト(10−15)グラム〜1マイクログラム程度、有効成分が(C)のポリペプチドである場合、1ピコ(10−12)グラム〜1ミリグラム程度である。また、有効成分が(B)の細胞等である場合、細胞数として、投与対象個体の体重1kgあたり104〜1010個程度の範囲内が目安である。 【0024】 本発明の癌抑制剤は、そのまま単独で投与することが可能であり、また、医薬組成物として投与することもできる。 【0025】 本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの本発明の癌抑制剤と、少なくとも1つの医薬的に許容されうる担体とを含有する。医薬的に許容されうる担体としては、特に制限はなく、たとえばリポソームまたはその脂質成分、緩衝剤、崩壊剤、結合剤、保存剤など、製剤分野において公知の任意のものの中から、所望の剤型および/または投与経路に応じて適宜選択し、単独でまたは組み合わせて使用することができる。 【0026】 剤型としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、ペースト、軟膏、貼付剤などが挙げられる。 【0027】 投与経路としては、経口、経皮、皮下、皮内、経粘膜、筋内、経膣、頬内、舌下、経直腸、鞘内、硬膜外などが挙げられる。また、全身投与でも局所投与でもよい。好ましくは局所投与である。 【実施例】 【0028】 例1:BRAKの発現による腫瘍塊の縮小 ヒトBRAK前駆体のメッセンジャーRNAに相補的な配列(NM 004887; 配列番号2)を有するDNAを、市販の哺乳類細胞用の発現ベクター「pTargeT(商標)Mammalian Expression Vector(プロメガ社)」のクローニング部位に挿入した。この発現ベクター(「pCL−BRAK」と呼ぶ)を、無血清のダルベッコ変法イーグル培地で培養したヒト舌由来扁平上皮癌細胞(HSC−3細胞)にリポフェクタミンを用いて6時間導入し、ベクターの導入された細胞(「BRAK Expression」)をG418耐性を利用して選択した。 【0029】 対照として、前記のBRAK前駆体配列を含まないpTargeT Mammalian Expression Vectorを同様にHSC−3細胞に導入したもの(「Mock」)を使用した。 【0030】 上記のようにして得られた、BRAKを強制的に高発現させたHSC−3(「BRAK Expression」)またはMockの細胞(それぞれ1×107個)を、6週齢メスBALBcヌードマウスの背部皮下に移植し、腫瘍細胞の定着後、形成された腫瘍塊のサイズの計測を4日おきに行った。 【0031】 結果を図1に示す。pCL−BRAKベクターを導入した移植細胞塊(ヒト癌組織)は、Mockの腫瘍塊よりも常に小さく、pCL−BRAKベクターが腫瘍の増殖抑制作用を持つことが示された。 【0032】 例2:ウェスターンブロットによるヒトBRAKタンパク質の発現の確認 ほぼコンフルエントの前記細胞(BRAKを強制的に高発現させたHSC−3またはMockの細胞)を、血清無添加のDMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)にて一晩培養し、さらに新しい血清無添加のDMEMで2日間培養し、この培養上清を採取した。水に対して培養上清を透析し、次いで凍結乾燥法により蛋白質を濃縮した。ローリー法にて蛋白濃度を測定後、20マイクログラムの蛋白質を15%ポリアクリルアミドゲルによるSDS(ソヂウムドデシル硫酸)電気泳動により分離し、イモビロンP(ミリポア)膜へ転写させた(Bio-Rad社製タンク式転写装置、50V、2時間)。転写用の緩衝液は、25mM Tris/192mM glycine/0.05% SDS/20% methanolであった。 【0033】 転写後の膜を、TBS−T緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.6)、137mM NaCl、0.05% Tween−20)で洗浄し、TBS−Tにより5倍に希釈したBlocking regent−N102でブロッキングを37℃、1時間行った。一次抗体(B&R社製)を、TBS−Tで10倍に希釈したBlocking regent−N102で500倍に希釈し、膜を4℃で一晩処理した。TBS−Tにより洗浄後、イミュノスター(和光純薬)に付属しているビオチン化した二次抗体で37℃、20分処理した。さらに、TBS−Tにより洗浄後、同キットに付属しているアビジンに西洋ワサビパーオキシダーゼを結合させた複合体で37℃、20分処理し、同キットに付属している発光基質を添加して、X線フィルムを感光させ、BRAKタンパク質を検出した(図2、パネル(A))。 【0034】 例3:RT−PCR法によるヒトBRAK mRNAの発現の確認 前記細胞(BRAKを強制的に高発現させたHSC−3またはMockの細胞)層をトリゾール(Invitrogen Life Technology)で溶解し、SuperScript First-strand Synthesis System(Invitrogen Life Technology)でcDNAを作製し、これを鋳型として(50ng RNA相当)、hBRAKS1およびhBRAKA2プライマーを用いてPCRを行った。PCR増幅の条件は94℃、2分で変性後、94℃、30秒;58℃、30秒;72℃、30秒のサイクルを22回行った後、72℃、5分間反応させた。増幅産物をアガロース電気泳動で分離し、エチジウムブロミドでDNAを染色後、写真撮影した(図2、パネル(B))。内部対照としてはβ−アクチンを使用した。 hBRAKS1: AATGAAGCCAAAGTACCCGC hBRAKA2: AGTCCTTTGCACAAGTCTCC 【0035】 図2において、パネル(A)はタンパク質、(B)はRNAについての結果である。pCL−BRAKベクターを導入した細胞においては、多量のBRAKのRNAおよびタンパク質が検出された。したがって、導入したBRAK遺伝子は、細胞中で成功裡に転写され、タンパク質に翻訳されていたことが示された。一方、Mockの細胞においては、BRAKは、RNAまたはタンパク質のいずれとしても同様の条件で検出されなかった。 【0036】 例4:BRAKの発現による腫瘍塊の縮小(2) 例1で得られたpCL−BRAKベクター導入細胞を1ウェル当り1個の細胞濃度で播種し、クローン化した。こうして得た3つのクローンを、Scid (severe combined immuno-deficiency)マウスを使用したこと以外は例1におけるのと同様に移植し、腫瘍塊のサイズを3日目以降4日ごとに計測した。比較のため、上記の操作を例1で得られた対照(Mock)細胞についても行った。 結果を図3に示す。pCL−BRAKベクターを導入した移植細胞塊(ヒト癌組織)は、Mock細胞塊と比較して移植後7日目以降は有意に小さく(p<0.001)、特に移植後27日目以降はすべて500mm3以下となってほとんど検出できない程度にまで縮小した。この結果により、BRAKの腫瘍抑制作用がより明確に確認された。 【図面の簡単な説明】 【0037】 【図1】図1は、移植されたBRAK Expressionベクターを導入した移植細胞塊(ヒト癌組織;「BRAK expression」)および比較のためのBRAK配列を含まないベクター導入移植細胞塊(「Mock」)の経時的な大きさの変化をサイズ範囲別の出現頻度によって示す図である。 【図2】図2は、pCL−BRAK発現ベクターを導入した細胞(「pCL−BRAK」)および非導入細胞(「Mock」)におけるタンパク質(パネル(A))およびRNA(パネル(B))の発現を示す図である。パネル(B)においては、比較のため、内部対照としてのβ−アクチンRNAの発現も示す。 【図3】図3は、クローン化されたBRAK Expressionベクターを導入した移植細胞塊(ヒト癌組織;「BRAK expression」)および比較のためのBRAK配列を含まないベクター導入移植細胞塊(「Mock」)の経時的な大きさの変化をサイズ範囲別の出現頻度によって示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】505079785 【氏名又は名称】学校法人神奈川歯科大学
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| 【出願日】 |
平成17年9月20日(2005.9.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100113402 【弁理士】 【氏名又は名称】前 直美
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| 【公開番号】 |
特開2006−321782(P2006−321782A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−271397(P2005−271397) |
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