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【発明の名称】 ゲルスプレー用エアゾール組成物
【発明者】 【氏名】松井 和弘

【要約】 【課題】粘度の高い水性原液をミスト状に噴射して均一に付着させることができ、かつ塗布面において垂れ落ちにくいエアゾール組成物を提供することを目的とする。

【解決手段】セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤を含有する水性原液、および炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素とジメチルエーテルを含有する液化ガスからなり、水中油型エマルジョンを形成することを特徴とするゲルスプレー用エアゾール組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤を含有する水性原液、および炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素とジメチルエーテルを含有する液化ガスからなり、水中油型エマルジョンを形成することを特徴とするゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項2】
液化ガスが20〜60重量%含まれる請求項1記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項3】
20℃における水性原液の粘度が10,000〜200,000cpsである請求項1または2記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項4】
セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤との重量比が5/1〜1/5である請求項1、2または3記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項5】
セルロース系増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである請求項1、2、3または4記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項6】
液化ガスが炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素を2〜30重量%含有する請求項1、2、3、4または5記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【請求項7】
脂肪族炭化水素がペンタンである請求項1、2、3、4、5または6記載のゲルスプレー用エアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト状に噴射でき、塗布面でゲル状となるゲルスプレー用エアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミスト状に噴射でき、塗布面で増粘してゲル状となるゲル(ジェル)スプレー用エアゾール組成物が製造されており、日焼け止めや消炎鎮痛剤などの皮膚に噴射する製品に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、有効成分を含むゲル状の原体と噴射剤とを含有する人体用エアゾール組成物が開示されている。該エアゾール組成物は通常のスプレーに比べてミストが粗くなるため飛び散りが少なく、また塗布面でゲル状となるため付着力が大きい。また、特許文献2には、原液および噴射剤とからなり、原液が増粘剤0.1〜20重量%とアルコール類50〜99.9重量を含有するジェルスプレー用組成物が開示されている。該ジェルスプレー組成物は原液中にアルコール類を多量に含有しているため、液化ガスを多量に溶解しても圧力の増加を抑制でき、かつジェルが冷感を与えるというものである。
【0004】
ところで、特許文献1および2に記載の組成物は、ゲル状の原体(原液)に噴射剤(液化ガス)を溶解してゲル状原体の粘度を低下させてスプレー可能にしたものであるが、スプレー後は、塗布面で噴射剤が気化することによりゲル状原体は元の粘度に戻る。しかしながら、該組成物における噴射剤は粘性を有する原液に溶解しているため、スプレーして大気圧下になっても気化しにくく、原液が元の粘度に戻るまでには時間がかかる。その結果、塗布する個所によっては垂れ落ちるといった問題が生じていた。
【0005】
【特許文献1】特許第2974081号公報
【特許文献2】特開平7−101851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粘度の高い水性原液をミスト状に噴射して均一に付着させることができ、かつ塗布面において垂れ落ちにくいエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤を含有する水性原液、および炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素とジメチルエーテルを含有する液化ガスからなり、水中油型エマルジョンを形成することを特徴とするゲルスプレー用エアゾール組成物に関する。
【0008】
液化ガスが20〜60重量%含まれることが好ましい。
【0009】
20℃における水性原液の粘度が10,000〜200,000cpsであることが好ましい。
【0010】
セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤との重量比が5/1〜1/5であることが好ましい。
【0011】
セルロース系増粘剤がヒドロキシエチルセルロースであることが好ましい。
【0012】
液化ガスが炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素を2〜30重量%含有することが好ましい。
【0013】
脂肪族炭化水素がペンタンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ジメチルエーテルがゲル状の水性原液に溶解して粘度を低下させるためエアゾール組成物をミスト状に噴射できる。また、噴射時に外相にあるジメチルエーテルは容易に気化するが、脂肪族炭化水素の一部は付着物中に残留して乳化状態を維持するため、塗布直後の粘度上昇が速く、垂れ落ちにくいという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のゲルスプレー用エアゾール組成物は、セルロース系増粘剤と架橋型アクリル系増粘剤を含有する水性原液、および炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素とジメチルエーテルを含有する液化ガスからなるものであり、脂肪族炭化水素が油相となり、水性原液とジメチルエーテルとが水相となって水中油型エマルジョンを形成していることを特徴とするものである。
【0016】
前記セルロース系増粘剤は水性原液の粘度を高くすると共に、エアゾール容器内で脂肪族炭化水素を水相中に乳化させて水中油型エマルジョンを形成し、さらに噴射してジメチルエーテルが気化した後でも水性原液中に脂肪族炭化水素が乳化した状態を維持し噴射物の粘度を高くするために用いられる。
【0017】
前記セルロース系増粘剤としては、たとえば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロースなどがあげられ、特に脂肪族炭化水素との乳化物を形成しやすく、本発明の効果が得られやすい点からヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0018】
前記セルロース系増粘剤の配合量は、水性原液中0.05〜5重量%、さらには0.1〜2重量%であることが好ましい。前記セルロース系増粘剤の配合量が0.05重量%未満の場合は原液の増粘効果、脂肪族炭化水素を水相中に乳化させる効果が得られにくくなり、5重量%を超えると水性原液への配合に手間がかかり、さらに水性原液の粘度が高くなりすぎてミスト状に噴射できなくなる傾向がある。
【0019】
前記架橋型アクリル系増粘剤は、水性原液の粘度を高くすると共に、ミスト状に噴射しやすくするために用いられる。
【0020】
前記架橋型アクリル系増粘剤としては、たとえば、カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸/イタコン酸ステアレス)コポリマーや(アクリル酸/イタコン酸セテス)コポリマー、(アクリル酸/アミノアクリレート/C10−30アルキルPEG−20イタコン酸)コポリマーなどのアクリル酸とイタコン酸エステルからなる共重合体などがあげられ、特にミスト状に噴射しやすい点からカルボキシビニルポリマーが好ましい。
【0021】
前記架橋型アクリル系増粘剤の配合量は、水性原液中0.05〜3重量%、さらには0.1〜1重量%であることが好ましい。前記架橋型アクリル系増粘剤の配合量が0.05重量%未満の場合は水性原液の増粘効果が得られにくく、前記セルロース系増粘剤で原液の粘度を高くした場合はミスト状に噴射し難くなる。3重量%を超えると水性原液への配合が困難になる。
【0022】
なお前記架橋型アクリル系増粘剤を架橋させて水性原液を増粘させるために、水性原液中にpH調整剤を配合することが好ましい。前記pH調整剤としては、たとえば、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン(DEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1、3−プロパンジオール(AMPD)などの有機アルカリ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リン酸などの有機酸、塩酸などの無機酸などがあげられる。
【0023】
前記pH調整剤の配合量としては、水性原液のpHが5〜9、さらには6〜8となる量であることが好ましい。水性原液のpHが5未満の場合は前記架橋型アクリル系増粘剤の架橋が不充分であり、水性原液の粘度が高くならない。pHが9以上の場合は皮膚への刺激が生じやすく、さらにエアゾール容器を腐蝕しやすくなる。
【0024】
なお、前記セルロース系増粘剤と前記架橋型アクリル系増粘剤の配合比が5/1〜1/5、さらには3/1〜1/3である場合、脂肪族炭化水素を乳化しやすく、ミスト状に噴射しやすい点から好ましい。
【0025】
前記水性原液は、前記セルロース系増粘剤と前記架橋型アクリル系増粘剤を、精製水やイオン交換水等の水や、低級アルコールを含有したアルコール水溶液に溶解させ、これにpH調整剤を添加して所望の粘度に調整することにより調製することができる。なお、pH調整剤は水溶液にしておき、原液調合の過程で添加して水性原液の粘度を高くしてもよいが、エアゾール容器に充填する際に添加してエアゾール容器内で水性原液の粘度を高くすることもできる。さらに、製品の用途や目的などに応じて有効成分や低級アルコール、油性成分、界面活性剤、粉末などを配合することができる。
【0026】
前記有効成分としては、たとえば、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、乳酸ナトリウム、d,l−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌・防腐剤;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤;グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類;アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液;ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどの消臭・防臭剤;サリチル酸メチル、インドメタシン、ピロキシカム、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤;l−メントール、カンフルなどの清涼剤;酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;クロタミトン、d−カンフルなどの鎮痒剤;アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤;塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、リドカイン、塩酸リドカインなどの局所麻酔剤、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェミラミンなどの抗ヒスタミン剤;合成香料、天然香料などの香料などがあげられる。
【0027】
前記有効成分の配合量は、水性原液中0.01〜30重量%、さらには0.1〜20重量%であることが好ましい。有効成分の配合量が0.01重量%未満の場合は、噴射物中に含まれる有効成分濃度が低く所望の効果を得るためには多量に噴射する必要がある。30重量%を超えると噴射物中に含まれる有効成分濃度が高くなりすぎて配合する有効成分によっては人体に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0028】
前記低級アルコールは、前記増粘剤や水に溶解しない有効成分を配合しやすくするための補助溶剤、ジメチルエーテルを水性原液中に溶解させるための溶解剤、水性原液の粘度を調製するための粘度調整剤、冷却感を付与するなどの目的で用いられる。前記低級アルコールとしては、たとえば、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数が2〜3の一価のアルコールがあげられる。前記低級アルコールを用いる場合の配合量は、水性原液中1〜40重量%、さらには3〜30重量%であることが好ましい。前記低級アルコールの配合量が1重量%未満の場合は低級アルコールを配合する効果が得られにくく、40重量%を超えると脂肪族炭化水素が溶解しやすくなり乳化し難くなる。
【0029】
前記油性成分は脂肪族炭化水素とともに油相を構成し、艶や光沢の付与、すべりを良くする、保湿性を向上させるなど使用感を向上させるなどの目的で用いられる。前記油性成分としては、たとえば、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワレン、スクワランなどの液状の炭化水素;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどのエステルオイル;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸などの炭素数が10〜20の脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの高級アルコール、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル;アボガド油、ツバキ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、胚芽油、ヤシ油、バーム油などの油脂;ミツロウ、ラノリン、カンデリラロウ、カウナウバロウなどのロウ;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどのワックス類;などがあげられる。
【0030】
前記油性成分を配合する場合の配合量は、水性原液中0.01〜20重量%、さらには0.1〜10重量%配合することが好ましい。前記油性成分の配合量が0.01重量%未満の場合は油性成分の効果が得られにくく、20重量%を超えると脂肪族炭化水素の配合量によっては水中油型エマルジョンを形成せず、油中水型エマルジョンになりやすく、本発明の効果が得られ難い。
【0031】
前記界面活性剤は、脂肪族炭化水素を乳化しやすくするための乳化剤、乳化を安定させる安定化剤などの目的で用いられる。前記界面活性剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ジ、トリ、テトラ、デカなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類などの非イオン系界面活性剤;アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴムなどの高分子系界面活性剤;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコーン系界面活性剤;N−アシルグルタミン酸塩、N-アシルグルタミン、N-アシルグリシン塩、N−アシルアラニン塩などのアミノ酸系界面活性剤;などがあげられる。前記界面活性剤を配合する場合の配合量は、水性原液中0.01〜10重量%、さらには0.1〜5重量%であることが好ましい。前記界面活性剤の配合量が0.01重量%未満の場合は界面活性剤を配合する効果が得られにくく、10重量%を超えるとべたつきや皮膚への刺激性が強くなるなど使用感が低下する。
【0032】
前記粉末は、脂肪族炭化水素を乳化しやすくする乳化補助剤、有効成分を担持する担体、保護剤、付着剤、固体潤滑剤などの目的で用いられる。前記粉末としては、たとえば、タルク、酸化亜鉛、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、マイカ、ゼオライト、セラミックパウダー、窒化ホウ素などがあげられる。
【0033】
前記粉体を用いる場合の配合量は0.1〜10重量%、さらには0.5〜5重量%であることが好ましい。前記粉体の配合量が0.1重量%未満の場合は粉体を配合する効果が得られにくくなり、10重量%を超えるとエアゾール組成物中で凝集したり、バルブや吐出部材で詰まりやすくなる。
【0034】
前記水性原液の20℃における粘度は、10,000〜200,000cpsであることが好ましく、20,000〜100,000cpsであることがより好ましい。粘度が10,000cps未満であると、噴射時に液だれしやすく、200,000cpsを超えると噴射状態が良好な霧状とならない傾向がある。
【0035】
前記液化ガスは、炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素とジメチルエーテルを含有してなるものである。
【0036】
前記炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素はエアゾール容器内では油相を構成し水相中に分散しており、噴射して外相にあるジメチルエーテルが気化した後も、一部が水性原液中に残留して乳化状態を維持し、付着物の粘度を高く保つ作用がある。
【0037】
前記炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素としては、たとえば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどがあげられ、ジメチルエーテルが気化した後も長く水性原液中に残留して粘度の高い状態を維持できる点から炭素数が4〜5である脂肪族炭化水素が好ましく、特に炭素数が5である脂肪族炭化水素(ペンタン)が好ましい。
【0038】
前記炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素の配合量は、液化ガス中2〜30重量%、さらには3〜25重量%であることが好ましい。前記炭素数が3〜5である脂肪族炭化水素の配合量が2重量%未満の場合は均一なエアゾール組成物になりやすく、本発明の効果が得られ難くなる。30重量%を超えると脂肪族炭化水素が分離しやすく水中油型エマルジョンを形成しにくくなり、噴射後の増粘効果が得られ難くなる。
【0039】
前記ジメチルエーテルはエアゾール容器内では水性原液の粘度を低下させてミスト状に噴射するための噴射剤として作用する。前記ジメチルエーテルの配合量は、液化ガス中70〜98重量%、さらには75〜97重量%であることが好ましい。前記ジメチルエーテルの配合量が70重量%未満の場合は原液の粘度が高いときや液化ガス量の少ないときにミスト状になりにくい傾向があり、98重量%を超えると均一なエアゾール組成物になりやすく、塗布直後の粘度上昇効果が得られにくくなる傾向がある。
【0040】
前記液化ガスの配合量は、エアゾール組成物中20〜60重量%、さらには25〜50重量%であることが好ましい。前記液化ガスの配合量が20重量%未満の場合はミスト状に噴射し難くなり、60重量を超えると水中油型エマルジョンを形成し難くなる。
【0041】
本発明のゲルスプレー用エアゾール組成物の製造方法としては、たとえば、水性原液を耐圧容器内に充填し、容器の開口部にエアゾールバルブを載置する。ついで液化ガスをアンダーカップ充填により充填し、エアゾールバルブを耐圧容器の開口部にクリンプなどにより固着する。さらに容器を振るなどの操作によりエアゾール容器内部で混合して水中油型エアゾール組成物を調製する。なお、ジメチルエーテルを先に充填し水性原液中に溶解させて水相を形成し、次いで脂肪族炭化水素を充填して水中油型エマルジョンを調製しても良い。
【0042】
かくして得られる本発明のゲルスプレー用エアゾール組成物は、粘度の高い水性原液をミスト状に噴射して均一に付着させることができ、さらに噴射後短時間で粘度が上昇するため垂れ落ちない。よって、該エアゾール組成物は日焼け止め、消炎鎮痛剤、スキンローション、ヘアセットスプレーなどの用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0043】
製造例1〜5(エアゾール組成物1〜5の調製)
(a)水性原液の調製
下記のA液とB液を調製し、B液をA液に添加して水性原液を調製した。
<A液>
カルボキシビニルポリマー(*1) 0.36
ヒドロキシエチルセルロース(*2) 0.40
メチルパラベン(*3) 0.10
エタノール(*4) 20.00
精製水 59.14
合計 80.00(重量%)
<B液>
トリエタノールアミン(*5) 0.31
精製水 19.69
合計 20.00(重量%)

*1:カーボポール ウルトレッツ10、ノベオン社製
*2:HECダイセル SE850、ダイセル化学工業(株)製
*3:メッキンスM、上野製薬(株)製
*4:99%無変性アルコール
*5:トリエタノールアミン、三井化学(株)製
【0044】
(b)液化ガスの調製
次の配合比(重量比)にしたがって液化ガス1〜5を調製した。
液化ガス1・・・イソペンタン/ジメチルエーテル=5/95
液化ガス2・・・イソペンタン/ジメチルエーテル=10/90
液化ガス3・・・イソペンタン/ジメチルエーテル=15/85
液化ガス4・・・ノルマルブタン/ジメチルエーテル=10/90
液化ガス5・・・ノルマルブタンとイソブタンの混合物(20℃での蒸気圧が0.29MPa)/ジメチルエーテル=10/90
【0045】
(c)エアゾール製品の製造
上記水性原液32.5gと液化ガス17.5gを透明な耐圧ガラス製エアゾール容器(満中量100ml)に充填し、両者を混合してエアゾール組成物1〜5を調製した。なお、エアゾールバルブとしては、ステム孔がφ0.5、ハウジングの下孔がφ1.5、ベーパータップ孔なしのものを用い、押しボタンは噴射孔がφ0.6であるストレート形状のものを用いた。
【0046】
なお、20℃における原液の粘度をB型粘度計により測定したところ、42,000cpsであった。
【0047】
比較製造例1
液化ガスとしてジメチルエーテルを用いた以外は、製造例1と同様にして比較用エアゾール組成物1を得た。
【0048】
比較製造例2
A液にヒドロキシエチルセルロースを配合せず、精製水の配合量を59.54重量%ととした以外は製造例1と同様にして比較用エアゾール組成物2を調製した。20℃における原液の粘度を製造例1と同様に測定したところ、41,000cpsであった。
【0049】
比較製造例3
A液にカルボキシビニルポリマーを配合せず、精製水の配合量を59.5重量%ととし、B液にトリエタノールアミンを配合せず、精製水の配合量を20.0重量%ととした以外は製造例1と同様にして比較用エアゾール組成物3を調製した。20℃における原液の粘度を製造例1と同様に測定したところ、300cpsであった。
【0050】
実施例1〜5および比較例1〜3
製造例1〜5および比較製造例1〜3で調製されたエアゾール組成物の状態を観察した。また、得られたエアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持し、噴射方向に対して垂直となるように設けたガラス板にエアゾール組成物1gを噴射したときの吐出状態、付着性、付着物の状態および垂れ落ちを以下の指標により評価した。なお付着率は、噴射したエアゾール組成物からジメチルエーテルの含有量を差し引いた量を100%として、噴射後5秒後に付着量を測定し、算出した。結果を表1に示す。
【0051】
<エアゾール組成物の状態>
○:安定なエマルジョン
△:やや不安定なエマルジョン
×:均一
【0052】
<吐出状態>
○:ミスト状に広がって吐出する
△:ミスト状になるが、やや広がりが少ない
×:ミスト状にならない(棒状吐出)
【0053】
<付着性>
○:跳ね返りが無く、付着率が90%以上。
【0054】
△:一部跳ね返りがあり、付着率が70〜90%。
【0055】
×:跳ね返りが多く、付着率が70%未満。
【0056】
<付着物の状態>
◎:原液よりも固いゲル
○:原液と同程度の固さのゲル
△:原液よりもやわらかいゲル
×:粘性はあるがほとんど液状
【0057】
<垂れ落ち>
○:噴射直後の垂れ落ちがなく、付着したまま。
△:付着直後は垂れ落ちが認められたが、しばらくすると止まった。
×:付着直後から垂れ落ちが生じ、止まらない。
【0058】
【表1】


【0059】
表1によると、実施例1〜5では、エアゾール組成物は塗布面で良好な付着性を示し、垂れ落ちがないことがわかる。一方、噴射剤としてジメチルエーテルのみを用いた比較例1、増粘剤としてセルロース系増粘剤またはアクリル系増粘剤のいずれか一方のみを用いた比較例2および3では、エアゾール組成物の塗布面での付着性に劣り、垂れ落ちが生じることがわかる。なお、比較例1では、エアゾール組成物はエマルジョンを形成せず、均一であった。
【出願人】 【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
【出願日】 平成17年5月19日(2005.5.19)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太

【公開番号】 特開2006−321760(P2006−321760A)
【公開日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願番号】 特願2005−147127(P2005−147127)