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【発明の名称】 高いフリップフロップ効果を有するネイルカラー
【発明者】 【氏名】出井 俊治
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ株式会社内

【氏名】岡 英雄
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ株式会社内

【要約】 【課題】フリップフロップ効果を有する化粧効果の高いネイルカラーを提供する。

【解決手段】皮膜形成樹脂、可塑剤、着色剤および溶剤を含んでいるネイルカラーであって、着色剤として光輝性顔料および微粒子酸化チタンを使用し、フリップフロップ効果を付与したことを特徴とするネイルカラー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膜形成樹脂、可塑剤、着色剤および溶剤を含んでいるネイルカラーであって、着色剤として光輝性顔料および微粒子酸化チタンを使用し、フリップフロップ効果を付与したことを特徴とするネイルカラー。
【請求項2】
皮膜形成樹脂の固形分100重量部に対し、光輝性顔料および微粒子酸化チタンをそれぞれ5ないし50重量部含んでいる請求項1のネイルカラー。
【請求項3】
皮膜形成樹脂の固形分100重量部に対し、光輝性顔料および微粒子酸化チタンをそれぞれ10ないし30重量部含んでいる請求項1のネイルカラー。
【請求項4】
着色剤としてさらに干渉色顔料を含んでいる請求項1ないし3のいずれかのネイルカラー。
【請求項5】
皮膜形成樹脂の固形分100重量部に対する干渉色顔料の割合が、1ないし5重量部である請求項4のネイルカラー。
【請求項6】
皮膜形成樹脂が、ニトロセルロースを主体とし、これにアルキド樹脂および/またはアクリル樹脂を併用した系である請求項1ないし5のいずれかのネイルカラー。
【請求項7】
可塑剤が、カンファーと、フタル酸エステルおよび/または多塩基酸エステルとの併用系である請求項1ないし5のいずれかのネイルカラー。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかのネイルカラーを塗布してなるつけ爪。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニークな光学的性質を有するネイルカラーおよびそれを使ったつけ爪とに関する。ここでいうユニーク光学的性質とは、視角によって色が変化するフリップフロップ効果を意味し、それによってネイルカラーの化粧効果が高まる。
【背景技術】
【0002】
ネイルエナメル又はネイルラッカーとも呼ばれるネイルカラーの化粧効果を高めるため、チタンマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔に代表されるパール顔料を配合することは公知である。パール顔料により化粧効果が上がる原理はパール顔料から干渉色が生ずるためである。パール顔料の配合のみでは顕著なフリップフロップ効果は得られないが、特開平7−304983公報に記載されている視角により色が変化する顔料を単独で、又は干渉色顔料と併用して配合したフリップフロップ効果を有するネイルカラーが特開平10−72320公報に開示されている。また、特開平10−72317公報は、特開平7−304933公報に記載されている顔料と同様に視角によって色が変化するLC(液晶)顔料を配合したネイルカラーを開示し、特開平11−322541公報はこのネイルカラーと、干渉色又は非干渉色顔料を含む単色ネイルカラーの複層塗膜を形成するためのキットを開示する。
【0003】
しかしながらこれらのフリップフロップ効果を有するネイルカラーに配合される顔料は特殊な高価な顔料であり、また多層塗膜の形成はネイルカラーにとって実用的ではない。
【0004】
そこで安価で容易に入手可能な顔料を使ったフリップフロップ効果の高いネイルカラーの提供が望まれる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−304933公報
【特許文献2】特開平10−72320公報
【特許文献3】特開平10−72317公報
【特許文献4】特開平11−322541公報
【発明の開示】
【0006】
本発明は、ネイルカラーにフリップフロップ効果を付与するため、例えば乗用車のメタリック塗装に使用されている光輝性顔料や干渉色顔料と、紫外線遮蔽の目的で化粧品等に使用されている微粒子酸化チタンを使用する。ネイルカラーは慣用の皮膜形成樹脂の溶液(ビヒクル)に上に述べた顔料成分を分散することにより製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
光輝性顔料は顔料および塗料分野において良く知られており、金属光沢を有する鱗片状顔料を指す。その例はアルミニウム、ステンレス、真ちゅう、銀、金などの金属のフレーク、板状酸化鉄、雲母、鱗片状のガラスなどの基体にメッキ又は蒸着により金属を被覆した顔料、酸化チタン被覆雲母などを含む。アルミニウムフレークが好ましい。光輝性顔料はその反射面が最大となるように塗膜表面に平行に配列させるため、一般に10〜200アスペクト比を有することが好ましい。
【0008】
干渉色顔料は、鱗片状の基体の表面に光を透過する金属酸化物薄膜を被覆したもので、基体の材料は金属、ガラス、セラミックス、雲母などから選ばれ、薄膜を形成する金属酸化物は酸化チタン、酸化鉄などから選ばれる。ただし薄膜を透過した光が基体表面で反射され、再び薄膜を透過して出るように薄膜は透明又は光透過性でなければならない。また水平に配向させるためそのアスペクト比は10〜200であることが好ましい。チタンマイカと呼ばれている酸化チタンで雲母を被覆した干渉色顔料が一般的である。
【0009】
微粒子酸化チタンとして知られる平均粒子径0.1μm以下の酸化チタン粒子は、白色顔料として使用される酸化チタンに比べ、着色力および隠蔽力が著しく低く、透明性が生じ、選択的に紫外線を遮蔽する性質を持っている。このため日焼け止めを目的として化粧料などに使用されている。
【0010】
上記顔料および微粒子酸化チタンが分散されるヒビクルは、皮膜形成樹脂の溶液である。ネイルカラー用の皮膜形成樹脂としてはニトロセルロースが一般的であるが、ニトロセルロースのみでは皮膜の柔軟性、密着性、光沢などが不充分のため、アルキド樹脂、アクリル樹脂などの他の樹脂が併用される。ビヒクルは、通常、ニトロセルロースの可塑剤としてカンファーを含み、フタル酸エステル、アセチルクエン酸トリブチルのような他の可塑剤を含んでいる。溶液はニトロセルロースをよく溶かす酢酸エステルを主体とし、通常エタノール、トルエン等の他の溶剤を混合して用いられる。光輝性顔料および微粒子二酸化チタンは、ビヒクルの樹脂固形分100重量部に対し、それぞれ5〜50重量部の割合で混合される。そのほかネイルカラーは、慣用の添加剤として粘度調整剤、着色顔料、染料などを含むことができる。
【0011】
本発明のネイルカラーは、ヒトの爪又はつけ爪(人工爪)に塗布し、自然乾燥させることによって高いフリップフロップ効果を呈する皮膜を形成する。
【0012】
「フリップフロップ効果」とは、入射光に近い角度で入射光と同じ側で見た色(これを「フロップ」という。)と、入射光の反対側から見た色(これを「フリップ」又は「フェース」という。)が異なる現象をいう。従って同じ塗膜でありながら見る角度によって色が多様に変化する。ここでいう「色」とは色相を含む概念であり、例えばフロップカラーが青味を帯び、フリップカラーが黄味を帯びた色に変化する場合をいう。
【0013】
光輝性顔料および干渉色顔料は、先に述べた種類のものを単独又は組合わせて使用することができる。これらの多くは市販されており、光輝性顔料としてはアルミニウムフレーク顔料が、干渉色顔料としては酸化チタン被覆雲母が最も一般的である。アルミニウムフレーク顔料は自然発火を防止するため、金属石鹸等と練合したペーストの形で市販されている。
【0014】
微粒子酸化チタンも市販されている。本発明の目的に対しては、結晶形がルチルであり、光触媒によってマトリックス樹脂の劣化を防止するため、アルミナ、シリカ、ジルコニア等でコーティングされたものが好ましい。一次粒子の平均粒子径は0.1μm以下、特に10〜50nmの範囲にあるものが好ましい。無色の微粒子酸化チタンに代って又は併用して、本出願人の特許第2585128号に記載されている透明性を保持しつつNi,Co,Ce,Cu,Mn,V,W等の酸化物で着色した有色微粒子酸化チタンを使用することもできる。
【0015】
LC顔料のような顔料自体がフリップフロップ効果を呈する顔料では得られない微粒子酸化チタンの使用による効果は、乳光(オパレセンスともいう。)効果が得られることである。これは微粒子酸化チタンにより光の散乱が強められ、あたかもコロイド溶液に光を当てたように見えるためである。
【0016】
ネイルカラーの主要成分は、皮膜形成樹脂類、可塑剤、溶剤および着色料である。先に述べたように、ネイルカラーの皮膜形成樹脂はニトロセルロースが一般的であるが、皮膜の柔軟性、爪への密着性、光沢などを補うためアルキド樹脂やアクリル樹脂が併用して用いられる。可塑剤は皮膜のひび割れ、剥離を防止するために添加され、ニトロセルロース特有の可塑剤としてカンファーが使用され、ほかにフタル酸ジブチルのようなフタル酸エステル、アセチルクエン酸トリブチルエステルのような多塩基酸エステルが併用される。溶剤はニトロセルロースの良溶媒である酢酸ブチル、酢酸エチルのような酢酸エステルを主体とし、酢酸エステルと併用して溶解性を増すエタノール、ブタノールのようなアルコール類、および主として塗膜からの溶剤離れを良くし、指触乾燥を早める効果を持つトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒を混合して使用される。顔料は前述したとおり、光輝性顔料と微粒子酸化チタンであるが、所望により干渉光顔料および酸化チタン白色顔料、酸化鉄、カーボンブラック、レーキ顔料などの着色顔料を単独又は組合せて配合することができる。他の添加剤として、有機変性ベントナイトが挙げられる。これは溶剤によって膨潤するゲル化剤であり、静置時はゲル化ないし増粘によって顔料の沈降分離を防止するが、筆塗りの力でゲル構造が破壊されて液化し、滑らかな塗膜を形成するのに役立つ。
【0017】
処方は、樹脂固形分100重量部に対して、光輝性顔料および微粒子酸化チタンがそれぞれ5〜50重量部の割合になるように配合される。カンファーはニトロセルロースに対して10〜15重量%、他の可塑剤はニトロセルロース以外の樹脂に対して20〜40重量%の割合で使用される。溶剤は爪に塗り易い粘度と、2〜3分の乾燥時間で指触乾燥が得られる割合で使用される。これは溶剤によりネイルカラーの不輝発分が30〜50%になるように調節することによって達成される。
【0018】
製造法は公知の任意の方法を採用することができるが、各成分をペイントコンディショナー、ディスパー、ロールミル、アトライター、インペラーミルなどの混合機を用いて混合することによって製造することができる。その際各成分を同時に混合するのではなく、例えばニトロセルロースおよび他の樹脂を溶剤に溶解してドープをつくり、これに他の成分を順次混合する方法が一般的である。
【0019】
本発明のネイルカラーは化粧目的でヒト爪に通常の方法で塗布することができるほか、つけ爪(人工爪)にも施すことができる。
【0020】
以下に実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらにおいて「部」および「%」は特記しない限り重量部である。なおこれらのうち、実施例1〜3および比較例1,2は、フリップフロップ効果の評価のため便宜上アクリルポリオール樹脂とメラミン樹脂を皮膜形成樹脂として用いたが、ヒトの爪に直接塗布するための処方は実施例5に示されている。
【0021】
〔実施例1〕(微粒子酸化チタン:アルミニウムフレーク:樹脂=30:10:100の比率で混合されたネイルカラー)
平均一次粒子径30nmのアルミナ・ジルコニア処理微粒子酸化チタン(テイカ社製MT500HD)とアクリルポリオール樹脂(大日本インキ化学工業社製 固形分50%)、溶剤(トルエン:キシレン:酢酸ブチル:ブチルセロソルブ=5:2:2:1の混合溶剤)、メラミン樹脂(大日本インキ化学工業社製 固形分60%)、アルミフレーク(東洋アルミニウム社製 平均粒子径16μm、固形分70%)を用いてネイルカラーを製作した。各成分の配合量と製造方法を以下に示す。
【0022】
表1
成分A
微粒子酸化チタン 8
アクリルポリオール樹脂(固形分) 16
溶剤(トルエン酢酸ブチル=7/3) 24
成分B
アクリルポリオール樹脂(固形分) 9.6
メラミン樹脂(固形分) 5.3
溶剤(トルエン酢酸ブチル=7/3) 5.1
成分C
アルミフレーク(固形分) 5.4
溶剤(トルエン酢酸ブチル=7/3) 21.7
成分D
アクリルポリオール樹脂(固形分) 24.3
メラミン樹脂(固形分) 5.7

【0023】
製造方法
成分Aをペイントコンディショナーを用いて均一に混合した。次いでその上から成分Bを加え、さらに混合した微粒子酸化チタン分散液を得た。次に、成分Cをインペラーミルを用いて混合した後に成分Dを加えたアルミフレーク分散液を得た。次に、微粒子酸化チタン分散液とアルミフレーク分散液と溶剤とを、25:14.9:18の重量比で混合した。
【0024】
〔実施例2〕(微粒子酸化チタン:アルミニウムフレーク:樹脂=10:10:100の比率で混合されたネイルカラー)
実施例1で使用した微粒子酸化チタン分散液、アルミフレーク分散液、アクリルポリオール樹脂、メラミン樹脂、溶剤を、それぞれ20:35:15:3.1:68.3の重量比で混合した以外は全て実施例1と同様にした。
【0025】
〔実施例3〕
実施例1の成分Cの代りに、アルミフレーク5.4、酸化鉄・酸化チタン被覆雲母(赤色系)1.0、溶剤21.7の混合物を用いる以外は全て実施例1と同様にした。
【0026】
〔比較例1〕(微粒子酸化チタンなしの場合のネイルカラー)
アクリルポリオール樹脂、メラミン樹脂、溶剤、シリコーンを、それぞれ98:35:58.8:0.9の重量比で混合した。
【0027】
〔比較例2〕(光輝性板状粉体なしの場合のネイルカラー)
実施例1のアルミフレークの代りに溶剤を用いる以外は全て実施例1と同様にした。
【0028】
次に、実施例及び比較例に対する評価方法を以下に示す。
(1)フリップ・フロップカラーの特性評価
測定対象物をガラス板に塗布、140℃で10分間加熱乾燥し、村上色彩技術研究所社製変角分光測色システムGCMS−3を用いて測色した。光の入射角を−70度とし、受光角を−50度〜50度の範囲で測色した。色空間としてCIE Labを用いた。
値の変化を見ることにより、色味の変化の大きさをつかむことができる。
【0029】
実施例1および実施例2、比較例1のフリップ・フロップ特性の評価結果を表2に示す。
【0030】
表2
実施例1 実施例2 比較例1
受光角(度) b
−50 −18.6 −18.1 0.2
−40 −19.8 −18.5 −0.4
−30 −20.1 −19.1 −1.4
−20 −19.7 −19.2 −3.3
−10 −19.5 −19.4 −2.2
0 −18.3 −17.9 −2.6
10 −15.0 −15.0 −1.9
20 −7.7 −8.9 −1.0
30 4.8 1.1 −0.9
40 18.4 12.5 −1.7
50 26.4 18.7 −5.1

【0031】
表2の結果から、実施例1および実施例2では、受光角の変化によるb値の変化が大きく、フリップ・フロップ性が効果的に得られていることが判る。これに対し、比較例1は微粒子酸化チタンを配合していない場合の例であるが、角度による色の変化は殆んど計測されておらず、フリップ・フロップ性のないことが判る。
【0032】
(2)有用性評価
各実施例、比較例で得たネイルカラーを透明ネイルチップに塗布し、つけ爪を作製した。パネラー10名を用い、各々に上記つけ爪をそれぞれ装着してもらい、光学特性の評価を実施した。優れた光学特性があると感じたパネラーの数を以って評価結果とした。従って数が多い程評価が高いことを示す。
実施例および比較例の有用性評価結果を表3に示す。
【0033】
表3
評価
実施例1 10
実施例2 9
実施例3 10
比較例1 0
比較例2 0

【0034】
表3の結果から、本発明の実施例は、比較例と比べ優れた光学特性を有していることが判る。特に比較例2は光輝性板状顔料なし、微粒子酸化チタンのみ配合した場合の例であるが、比較例2は特異な光学性は感じていないことが判る。
【0035】
〔実施例5〕
処方(%)
ニトロセルロース 15.0
アルキド樹脂 12.0
フタル酸ジブチル 4.0
カンファー 2.0
酢酸ブチル 23.0
酢酸エチル 9.0
エタノール 7.0
トルエン 24.5
有機変性ペントナイト 1.0
アルミフレーク 1.0
微粒子酸化チタン 1.5
【0036】
製造方法:
実施例1に準ずる。
このネイルカラーは、目視により実施例1のネイルカラーと同様なフリップフロップ効果を呈し、速やかに乾燥して爪によく密着した塗膜を形成した。
【出願人】 【識別番号】000215800
【氏名又は名称】テイカ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市大正区船町1丁目3番47号
【出願日】 平成17年5月19日(2005.5.19)
【代理人】 【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫

【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫

【公開番号】 特開2006−321751(P2006−321751A)
【公開日】 平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願番号】 特願2005−146475(P2005−146475)