| 【発明の名称】 |
睡眠改善薬 |
| 【発明者】 |
【氏名】本多 和樹
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| 【要約】 |
【課題】睡眠機構に直接作用して睡眠誘発作用を示し、入眠障害、熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防に有効な睡眠改善剤を提供する。
【解決手段】ビタミンB12類、活性型ビタミンB12類、またはメコバラミンを有効成分とすることを特徴とする睡眠改善剤または入眠障害改善剤。ここで、ビタミンB12類とは、ビタミンB12のほか活性型として知られるメコバラミン(メチルB12)、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン等を意味する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビタミンB12類を有効成分とすることを特徴とする睡眠改善剤。 【請求項2】 活性型ビタミンB12類を有効成分とすることを特徴とする睡眠改善剤。 【請求項3】 活性型ビタミンB12類を有効成分とすることを特徴とする入眠障害改善剤。 【請求項4】 メコバラミンを有効成分として含有することを特徴とする睡眠改善剤。 【請求項5】 メコバラミンを有効成分として含有することを特徴とする入眠障害改善剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、睡眠機構に直接作用して睡眠誘発作用を示すことによる入眠障害、熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防に有効な睡眠改善薬に関する。 【背景技術】 【0002】 睡眠欲求の高い動物の脳内には自然睡眠を誘発する睡眠物質が存在する。本発明者は内因性睡眠物質の生理的作用について研究を行ってきた。内因性睡眠物を研究する過程において外因性の睡眠物質も併せて検証してきた。その中の一つにビタミンB12類がある。ビタミンB12類の睡眠に関する効果としてはすでに睡眠覚醒リズム異常の患者で改善効果が報告されているが、睡眠現象そのものに効果を有するのかについては不明のままである。睡眠覚醒調節には2通りの法則がある。一つは生物時計による1日を周期とした時刻依存性の睡眠覚醒のサーカディアンリズムがあり、これは昼間に眠ろうとしても眠れず夜になると次第に眠くなる現象である。一方、睡眠欲求の高まりとともに脳内に睡眠を促す物質の出現が想定され、この本体が睡眠物質と考えられ、時刻に依存しないで覚醒時間の長さによって睡眠の質と量が決定される睡眠のホメオスタシス現象である。 【0003】 本発明者は、すでにメコバラミンを含むビタミンB12類縁体をラット中枢に連続注入することで、その顕著な睡眠促進効果を明らかにし論文発表してある。本研究では、睡眠のホメオスタシス現象を背景とする、つまり、メコバラミンの睡眠覚醒機構への直接的作用について、睡眠剤としての可能性を明らかにするため経口投与法で我々独自に開発した睡眠評価システムを用いて検証した。この睡眠評価方法は、自然な睡眠覚醒リズムを乱すことなく、脳の特定部位、血管内、胃内に必要な量の薬剤を任意の時間に投与できるドラッグ・デリバリー・システムである。本システムを用いることで実験動物を無拘束状態で脳波、筋電図、脳温、行動量、飲水量及び動画の時系列変化の連続測定ができることから、多くの睡眠物質についてもその生理的作用を検証してきた。 【0004】 ビタミンB12類は、末梢神経障害治療薬として臨床で広く使用されている。一方、ビタミンB12類は、光刺激に対する感受性を増加させる作用や、睡眠リズムを整える作用などがあると報告されているが(非特許文献1)、睡眠導入作用については報告がない。 【0005】 【非特許文献1】Sleep Med. Rev.,2002,Feb;6(1),45-54 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 このような状況で、本発明の目的は、睡眠機構に直接作用して睡眠改善作用を示し、入眠障害、さらに熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防に有効な睡眠改善剤を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、末性神経障害治療薬であるビタミンB12類が睡眠機構に直接作用して睡眠誘発作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】 かかる知見に基づき完成した本発明は、ビタミンB12類を有効成分とすることを特徴とする睡眠改善薬である。 本発明において、ビタミンB12類とは、ビタミンB12のほか活性型として知られるメコバラミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン等である。 【0009】 本発明の睡眠改善薬は、主として経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒、散剤、粉剤、トローチ剤、内服液剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第14改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。必要に応じて公知の製剤添加剤、例えば、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、精製白糖などの賦形剤、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、結晶セルロースなどの結合剤、タルク、沈降炭酸カルシウム、無水ケイ酸などの滑沢剤、カルナバロウ、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのコーティング剤、内服液剤の場合には界面活性剤、溶解補助剤、緩衝剤等を使用することができる。また、その他保存剤、香料、色素、甘味剤、遮光のための着色剤等を使用することができる。 【0010】 投与量は、通常成人に対しで、1日当たり、有効成分として0.1〜10mgを、入眠前に1回ないし数回に分けて経口投与することができる。更にメコバラミンであれば、0.1〜5mgが好ましい。この投与量は患者の年齢、体重、症状により適宜増減することができる。 【0011】 また、必要に応じて、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6等)又はそれらの塩類若しくは誘導体、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE又はそれらの塩類若しくは誘導体、カルシウム、マグネシウム又はそれらの塩類、ならびに還元型グルタチオン又は酸化型グルタチオンを補助薬剤として適宜配合することができる。 【発明の効果】 【0012】 ビタミンB12類は、睡眠機構に直接作用して睡眠改善作用を示すことが明らかになった。本発明は、入眠障害、さらに熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒にも有効な睡眠改善薬を提供した。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 以下、試験例を挙げて本発明を詳細に説明する。 【0014】 試験例 実験動物にはSprague-Dawley 系雄ラット(体重: 300 g,60-70日令)を用いた。 飼育環境は、明期を06:00-18:00、暗期を18:00-06:00、室温を25±1℃、湿度を60±6 %とした。被験動物の大脳皮質表面に金メッキしたEEG記録用ネジ電極を、後部頚筋肉内にEMG記録用の電極を、ネンブタール(50 mg/kg, ip)麻酔下で脳定位固定装置を用いて、それぞれ慢性的に装着した。 手術後1週間の回復期を経た被験動物は、睡眠データ記録用飼育ケージ(幅25cm, 高さ36cm, 奥行き35cm)に移し、7日間馴らしてから試料のメコバラミン(以下メチルB12と略称する)あるいは対照としてVehicle(蒸留水)のみの経口投与を行い、睡眠に対する効果を検証した。 【0015】 睡眠状態の判定は覚醒(W)、ノンレム睡眠(NREM)及びレム睡眠(REM)の3状態をEEG及びEMGの連続記録から自動判定した後、さらに視察判定で確認した。ラットの自発行動量は、飼育ケージに設置した光センサーで検出し、EEG、EMGと同時系列で増幅器からA/D変換器を介して睡眠解析装置SleepSign(キッセイコムテック社)に取り込んだ。睡眠データは対照のVehicle群とメチルB12群を統計的に比較し,メチルB12の睡眠促進効果について評価した。 【0016】 24時間の絶食後、暗期の始まる20分前にメチルB12を0.1mg/kgの用量でラットにゾンデを用いて経口投与した。メチルB12を投与するとNREMは306.8±10.5分(n=10)となり、対照となるVehicle投与の252.5±12.8(n=9)分と比較すると21.5%の統計的有意(P<0.01)な増加となった(図1)。 【0017】 REMではメチルB12の投与で70.5±6.0(n=10)となり、Vehicleの58.5±6.3(n=9)分と比較すると20.5%の増加であったが有意差とはならなかった(P<0.2, 図2)。 【0018】 睡眠潜時はメチルB12が1736±110秒,Vehicleでは1787±152秒でほとんど差がなかった。 【0019】 メチルB12の睡眠効果は、投与後12時間全体に渡り緩やかな作用を示した(図3,4)。 【0020】 メチルB12は急性投与で統計的有意な睡眠効果を示したことから、睡眠覚醒機構に直接作用し睡眠促進効果を発現したと考えられる。したがって、従来よりメチルB12の作用は主に睡眠覚醒の日周リズムに及ぼす効果とされていたが、本研究結果からメチルB12は睡眠機構に直接作用して睡眠誘発作用を発現していると考えられた。 【産業上の利用可能性】 【0021】 本発明により、入眠障害改善薬が提供され、更にリズム位相改善効果を合わせもつメコバラミンは熟眠障害、中途覚醒又は早期覚醒の治療又は予防に有効な新たな睡眠改善薬となりうる。 21世紀における医療では遺伝子治療、低侵襲性治療、再生医療など医療技術が一段と高度化している中で、種々の疾患に対する新規の治療薬や治療法の開発、そしてQOLの向上に貢献できるような薬剤や機能性食品の開発が求められている。本発明者が独自に開発した評価システムを利用することで、今後さらに有望な睡眠剤を発掘できる可能性がある。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】ノンレム睡眠(NREM)における睡眠持続時間を示す。 【図2】レム睡眠(REM)における睡眠持続時間を示す。 【図3】ノンレム睡眠(NREM)における投与後12時間の睡眠効果を示す。 【図4】レム睡眠(REM)における投与後12時間の睡眠効果を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504179255 【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
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| 【出願日】 |
平成17年5月18日(2005.5.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100115406 【弁理士】 【氏名又は名称】佐鳥 宗一
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| 【公開番号】 |
特開2006−321742(P2006−321742A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−145598(P2005−145598) |
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