| 【発明の名称】 |
虚血後血管新生促進剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】多久和 陽
【氏名】尾山 治
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| 【要約】 |
【課題】虚血後の血管新生を促進し、血流を改善することにより、各種虚血性疾患の予防又は治療に有用な医薬を提供する。
【解決手段】スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩を含有する虚血後血管新生促進剤、虚血後血流改善剤、及び虚血性疾患の予防又は治療剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩を含有する虚血後血管新生促進剤。 【請求項2】 生分解性ポリマーを基剤として用いた徐放性製剤である請求項1記載の虚血後血管新生促進剤。 【請求項3】 スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩と生分解性ポリマーとを有機溶媒に溶解した後、有機溶媒を除去することにより得られる請求項2記載の虚血後血管新生促進剤。 【請求項4】 徐放性マイクロカプセルである請求項2又は3記載の虚血後血管新生促進剤。 【請求項5】 生分解性ポリマーが乳酸−グリコール酸共重合体である請求項2〜4のいずれか1項に記載の虚血後血管新生促進剤。 【請求項6】 虚血後血流改善剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の虚血後血管新生促進剤。 【請求項7】 虚血性疾患の予防又は治療剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の虚血後血管新生促進剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、各種虚血性疾患の予防又は治療に有用な虚血後血管新生促進剤に関する。 【背景技術】 【0002】 心筋梗塞、心不全、狭心症、脳梗塞、血管性痴呆、閉塞性動脈硬化症、バージャー病などに代表される心臓、脳及び末梢における虚血性疾患に治療及び予防には、虚血後の血管新生を促進する虚血後血管新生促進剤が有効である。 【0003】 一方、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は血漿中に存在する脂質メディエーターであり、培養細胞において細胞増殖促進作用、細胞遊走調節作用、アポトーシス抑制作用等を有することが知られている。S1PはS1P1〜S1P5の5つのサブタイプのEdgファミリーG蛋白共役型受容体を介して多彩な生理効果を発揮する。そのうち、S1P1、S1P2及びS1P3の3つのサブタイプは全身に広く分布している。生体内におけるS1Pの主要な産生酵素はスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)である。 【0004】 S1P1受容体ノックアウトマウスは胎生期に血管形成不全による出血により死亡し(非特許文献1)、S1P1、S1P2及びS1P3のトリプルノックアウトマウスでは更にその傾向が強くなることが報告されている(非特許文献2)。したがって、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)情報伝達系は胎生期血管成熟に必須の役割を担っていると考えられている。しかしながら、成体における虚血後血管新生については、S1Pの役割は十分解明されていない。 【0005】 【非特許文献1】Liu Y, Wada R, Yamashita T, Mi Y, Deng CX, Hobson JP, Rosenfeldt HM, Nava VE, Chae SS, Lee MJ, Liu CH, Hla T, Spiegel S, Proia RL. Edg-1, the G protein-coupled receptor for sphingosine-1-phosphate, is essential for vascular maturation. J. Clin. Invest., 2000 Oct; 106(8): 951-61 【非特許文献2】Kono M, Mi Y, Liu Y, Sasaki T, Allende ML, Wu YP, Yamashita T, Proia RL. The Sphingosine-1-phosphate Receptors S1P1, S1P2, and S1P3 Function Coordinately during Embryonic Angiogenesis. J. Biol. Chem., 2004 Jul 9; 279(28):29367-73 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、虚血後の血管新生を促進し、血流を改善することにより、各種虚血性疾患の予防又は治療に有用な医薬を提供することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明は、以下の発明を包含する。 (1)スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩を含有する虚血後血管新生促進剤。 (2)生分解性ポリマーを基剤として用いた徐放性製剤である前記(1)に記載の虚血後血管新生促進剤。 (3)スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩と生分解性ポリマーとを有機溶媒に溶解した後、有機溶媒を除去することにより得られる前記(2)に記載の虚血後血管新生促進剤。 (4)徐放性マイクロカプセルである前記(2)又は(3)に記載の虚血後血管新生促進剤。 (5)生分解性ポリマーが乳酸−グリコール酸共重合体である前記(2)〜(4)のいずれかに記載の虚血後血管新生促進剤。 (6)虚血後血流改善剤である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の虚血後血管新生促進剤。 (7)虚血性疾患の予防又は治療剤である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の虚血後血管新生促進剤。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、虚血後の血管新生を促進し、血流を改善することにより、各種虚血性疾患の予防又は治療に有用な医薬を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に用いるスフィンゴシン−1−リン酸は、天然型(D(+)体)、非天然型(L(−)体)、又はそれらの混合物のいずれでもよい。また、スフィンゴシン−1−リン酸の薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、及び亜鉛塩等の無機塩基との塩、並びに有機塩基との塩が挙げられる。 【0010】 本発明に用いるスフィンゴシン−1−リン酸は、例えば、リン酸、五酸化二リン、ポリリン酸、オキシ塩化リン等を用いる一般的なリン酸エステル化法(油化学23,2−8(1974)等)、スフィンゴシルホスホリルコリンにホスホリパーゼDを作用させる方法(J. Biol. Chem., 269, 3181-3188(1994))、スフィンゴシン等にスフィンゴシンキナーゼを作用させる方法等によって製造できる。また市販品を用いてもよい。 【0011】 本発明の虚血後血管新生促進剤及び虚血後血流改善剤は、虚血後の血管新生を促進し、血流を改善することにより、心筋梗塞、心不全、狭心症、脳梗塞、血管性痴呆、閉塞性動脈硬化症、バージャー病などの各種虚血性疾患の治療剤として用いることができる。また、虚血症状が見られたときに投与すれば、これらの虚血性疾患の進行と虚血による障害を未然に防止することができる。 【0012】 以下、本発明の医薬製剤の投与量及び製剤化について説明する。 スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩はそのまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物及びヒトに投与することができる。投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じ適宜選択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、徐放性製剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤等の経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤、貼付剤等の非経口剤が挙げられる。 【0013】 経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。 【0014】 この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。 【0015】 結合剤としては、例えばデンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴールが挙げられる。 【0016】 崩壊剤としては、例えばデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。 【0017】 界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80が挙げられる。 【0018】 滑沢剤としては、例えばタルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコールが挙げられる。 【0019】 流動性促進剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。 【0020】 注射剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、オリブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等を用いることができる。更に必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、注射剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。更に、必要に応じて適宜、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤等を加えてもよい。 【0021】 その他の非経口剤としては、外用液剤、軟膏等の塗布剤、貼付剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、常法に従って製造される。 【0022】 また、本発明の製剤を徐放性製剤として用いる場合には、生分解性ポリマーを基剤として用いることが好ましい。 【0023】 前記生分解性ポリマーの具体例としては、例えばα−ヒドロキシカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸等)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸(例えば、クエン酸等)等の1種以上から無触媒脱水重縮合で合成され、遊離のカルボキシル基を有する重合体あるいはこれらの混合物、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸(例えば、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸等)、無水マレイン酸系重合体(例えば、スチレン−マレイン酸重合体等)等が挙げられる。重合の形式は、ランダム、ブロック、グラフトのいずれでもよい。また、前記α−ヒドロキシカルボン酸類、ヒドロキシジカルボン酸類、ヒドロキシトリカルボン酸類が分子内に光学活性中心を有する場合、D−,L−,DL−体のいずれも用いることができる。これらの中で、末端に遊離のカルボキシル基を有する生分解性ポリマー、例えばα−ヒドロキシカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸等)から合成された重合体(例えば、乳酸−グリコール酸共重合体等)、ポリ−α−シアノアクリル酸エステル等が好ましい。生分解性ポリマーは、更に好ましくはα−ヒドロキシカルボン酸類から合成された重合体、特に好ましくは乳酸−グリコール酸共重合体である。 【0024】 生分解性ポリマーとして乳酸−グリコール酸共重合体又は単重合体を用いる場合、その組成比(モル%)は約100/0ないし約40/60が好ましく、約85/15ないし約50/50が更に好ましい。本明細書においては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸など単重合体のみならず乳酸−グリコール酸共重合体も含めて、単に乳酸−グリコール酸重合体と称することがある。前記乳酸−グリコール酸重合体の重量平均分子量は、約3,000ないし約25,000が好ましく、更に約5,000から約20,000が特に好ましい。 【0025】 前記徐放性製剤は、好ましくは、スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩と前記生分解性ポリマーとを有機溶媒に溶解した後、有機溶媒を除去することにより得ることができる。 【0026】 前記徐放性製剤の製造に用いる有機溶媒は、沸点120℃以下であることが好ましい。該有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素など)、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなど)、酢酸エチル、アセトニトリルなどが挙げられる。これらは適宜の割合で混合して用いてもよい。有機溶媒を単独で用いる場合、例えばジクロロメタン、アセトニトリルなどが好ましい。有機溶媒を混合溶媒として用いる場合、例えばハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなど)と、アルコール類(例えば、エタノール、メタノール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなど)あるいはアセトニトリルとの組み合わせが好ましい。特に、ジクロロメタンとアセトニトリルとの組み合わせが汎用される。ハロゲン化炭化水素と、アルコール類あるいはアセトニトリルとの混合比(体積比)は約40:1〜約1:1であり、好ましくは約20:1〜約1:1である。特に、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンなど)を単独で用いることが望ましい。 【0027】 前記徐放性製剤としては、スフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩とマイクロカプセル基剤(好ましくは、生分解性ポリマー)とを含有する微粒子であればよく、その具体例としては、例えば1個の粒子中に1個の薬物コアーを含有するマイクロカプセル、1個の粒子中に多数の薬物コアーを含有する多核マイクロカプセル、又は分子状で薬物がマイクロカプセル基剤に溶解あるいは分散しているようなマイクロスフェア等が挙げられる。 【0028】 前記徐放性製剤の製造における有機溶媒の除去方法としては、例えば(a)水中乾燥法(O/W法)、(b)相分離法(コアセルベーション法)、(c)噴霧乾燥法及びこれらに準じた方法などが用いられる。 【0029】 本発明の製剤は、剤形、投与経路等により異なるが、1日1〜数回から1〜数回/週〜月の投与が可能である。 【0030】 経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人でスフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩の重量として1〜200mgを、1日数回に分けての服用が適当である。 【0031】 非経口剤として所期の効果を発揮するためには、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通常成人でスフィンゴシン−1−リン酸又はその薬学的に許容される塩の重量として1日1〜50mgの静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当である。 【実施例】 【0032】 以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。 【0033】 [実施例1] 成体における虚血後血管新生のモデルとしては、下肢虚血モデル(Couffinhal T, Silver M, Zheng LP, Kearney M, Witzenbichler B, Isner JM. Mouse model of angiogenesis. Am. J. Pathol., 1998 Jun; 152(6): 1667-79)、心筋梗塞モデル、脳虚血モデルなどが確立されている。以下の実施例では、マウス下肢虚血モデルを用い、急性骨格筋虚血に対するスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の血管新生作用を、S1P筋肉内投与、及び生理的にS1P合成が亢進しているSPHK1トランスジェニックマウスを用いて検討した。 【0034】 (1)方法 マウス 8−12週齢、雄のC57BL/6J及び、SPHK1トランスジェニックマウスを用いた。トランスジェニックマウス(C57BL/6Jバックグラウンド)については同腹の野生型C57BL/6Jを対照とした。 【0035】 一側下肢虚血モデルの作成 術前日に除毛クリームにて腹部〜下腿の除毛を行った。ペントバルビタール(70mg/kg)麻酔、下腹部左傍正中切開にて左下肢筋を露出させた。大腿動静脈を剥離し、そけい靱帯直下及び膝窩動脈分岐下にて8−0絹糸にて結紮、側枝と共に切除した。創内を生理食塩水で洗浄、止血確認後、創を4−0絹糸にて縫合した。 【0036】 S1P徐放性製剤の作成 乳酸−グリコール酸共重合体(和光純薬工業株式会社製PLGA−7510;DL−乳酸/グリコール酸の組成比(モル%)75:25、重量平均分子量10,000)60mgをジクロロメタン(和光純薬)1mlに溶解、スフィンゴシン−1−リン酸(Biomol社製)1mgをジクロロメタン(和光純薬)1ml中にソニケーターを用いて分散し、両者を合わせた上、0.4mlのジクロロメタンで洗い込み、2.4mlの溶液とした。この油層に対し、2.5%ポリビニルアルコール(Sigma社製)12mlを加え、プローブソニケーターにてO/Wのエマルジョンを作成した。ポリビニルアルコールは乳化剤として添加した。このエマルジョンをマグネティックスターラーを用いて室温にて一夜攪拌し、ジクロロメタンを蒸発させることにより、PLGAマイクロカプセルを固化させた。超遠心(44000RPM、5分間)にて固化したPLGAマイクロカプセルを回収し、精製水に分散するという過程を3回繰り返し、ポリビニルアルコールを除去した。最終的に2mlの精製水に溶解、真空凍結乾燥してデシケーター中に陰圧下にて保存した。対照群にはスフィンゴシン−1−リン酸を含まないマイクロカプセルを用いた。用時精製したマイクロカプセル1mgを滅菌した生理食塩水500μLに溶解して注射液とした。 【0037】 薬剤投与 0.1%BSA(fatty acid free)含有生理食塩水にスフィンゴシン−1−リン酸のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を1/2000(容量比)加え、注射液とした。対照群では0.05%DMSO、0.1%BSA含有生理食塩水を用いた。大腿内側に4ヶ所、内外側腓腹筋にそれぞれ1ヶ所ずつの計6ヶ所に27G注射針を用いて10μlずつ術直後より毎日投与した。 【0038】 徐放性製剤を用いた実験では、生理食塩水0.5mlにマイクロカプセル1mgを溶解し注射液とし、術直後に1回大腿内側に4ヶ所、内外側腓腹筋にそれぞれ1ヶ所ずつの計6ヶ所に27G注射針を用いて10μlずつ投与した。 【0039】 レーザードップラー血流計による血流測定 マウスをペントバルビタールにて麻酔し、38℃の恒温槽上に置いたケージ内で約10分間加温後、37℃のホットプレート上にてレーザードップラー血流計(Moor Instruments社(英国)製)を用いて血流測定を行った。下腿部〜指先までの血流を両側について血流を定量し、患側/健側比にて表した。 【0040】 毛細血管密度の定量 術後10日目に深麻酔にてマウスを屠殺し、下腿三頭筋を非固定で凍結標本とした。横断面をラット抗マウスCD31抗体(Pharmingen社製)及びABCキット(Vectastain社製)を用いて免疫組織染色を行った。光学顕微鏡400倍視野で10視野につき単位面積当たりの毛細血管数をカウント、平均した。 【0041】 統計 多群比較には一元配置分散分析を、2群比較にはStudentのt検定を用いた。 【0042】 (2)結果・考察 スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の非徐放化製剤を連日投与したときの患側/健側比の変化を図1に示す。血流は術後7日目ではスフィンゴシン−1−リン酸10−8M投与群において、対照群よりも血流が2.5倍に増加していた。 【0043】 スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の徐放性製剤を単回投与したときの患側/健側比の変化を図2に示す。徐放性製剤とした場合には、単回投与でも5日目及び7日目に有意差(p<0.05)をもって血流増加が認められた。 【0044】 スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の非徐放化製剤を連日投与したときの10日目の毛細血管密度を図3に示す。 【0045】 更に、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の主要な産生酵素であるスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)のトランスジェニックマウスを作出し同様の検討を行ったところ、術後9日目において同腹野生型個体に比べ約1.5倍の血流量の増大を認めた(図4)。 【0046】 以上より、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は成体虚血組織において血管新生促進作用及び血流増加作用を示すことが明らかとなった。 【図面の簡単な説明】 【0047】 【図1】スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の非徐放化製剤を連日投与したときの患側/健側血流比の変化を示す図である。 【図2】スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の徐放性製剤を単回投与したときの患側/健側血流比の変化を示す図である。 【図3】スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)の非徐放化製剤を連日投与したときの10日目の毛細血管密度を示す図である。 【図4】SPHK1トランスジェニックマウス(SK)と同腹野生型個体(WT)における術後の患側/健側血流比の変化を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】504160781 【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
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| 【出願日】 |
平成17年5月18日(2005.5.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904 【弁理士】 【氏名又は名称】島村 直己
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| 【公開番号】 |
特開2006−321740(P2006−321740A) |
| 【公開日】 |
平成18年11月30日(2006.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願2005−145422(P2005−145422) |
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