トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 ダイエタリー製品において栄養補助剤として使用するためのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びγ−ポリグルタメート
【発明者】 【氏名】グアン−フェイ ホ

【氏名】ジェン ヤン

【氏名】トゥ−シウン ヤン

【要約】 【課題】骨粗鬆症や骨折の予防に有効な、カルシウム含量の高い食品の摂取に効果的な、ダイエタリー製品における栄養補助剤の提供。

【解決手段】ダイエタリー製品における栄養補助剤としてのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び/又は1以上のその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートCa++体)の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体又はγ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物のダイエタリー製品における栄養補助剤としての使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用において、前記ダイエタリー製品は栄養物質であり、前記ダイエタリー製品の全乾燥重量に対し0.005重量%〜100重量%の前記栄養補助剤を含む、使用。
【請求項3】
請求項1に記載の使用において、前記ダイエタリー製品は食品又は飼料組成物であり、前記ダイエタリー製品の全乾燥重量に対し0.005重量%〜5重量%の前記栄養補助剤を含む、使用。
【請求項4】
請求項1に記載の使用において、前記γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートCa++体がそれぞれ、5000〜2.5×106の範囲の分子量を有する、使用。
【請求項5】
請求項1に記載の使用において、前記ダイエタリー製品は、デキストロース当量5〜40のマルトデキストラン、乳タンパク質、大豆タンパク質単離物、グルコース、ラクトース、スクロース、フルクトース、小鎖オリゴ−フルクトース、グルカン又は他のオリゴ−ポリ多糖、コラーゲン、コラーゲンゼラチン加水分解物、α−デンプン、大豆タンパク質加水分解物、デンプン部分加水分解物、グリセロール、プロピレングリコール、エタノール、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン、セルロース、他の変性セルロース、及びこれらの混合物から成る群から選択される成分を更に含む、使用。
【請求項6】
請求項1に記載の使用において、前記ダイエタリー製品はソフトゲルカプセル又はハードゲルカプセル、錠剤、又は液剤の形態である、使用。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、腸内でのカルシウム吸収や骨のカルシウム吸収を向上させるためのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物のダイエタリー製品における使用に関する。更に詳細には、本発明は、カルシウムの吸収促進や骨粗鬆症の予防、カルシウム損失の低減、骨強度の維持、成長や健康状態の改善のために、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体、又はこれらの混合物を、食品又は動物用飼料組成物中において錯形成吸着剤(complex adsorbent)又は栄養補助剤として使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
「トランスフォーミング増殖因子−β」(TGF−β)はタンパク質ファミリーの一種であり、進化過程において高度に保存されており、広範な種類の細胞に影響を及ぼす。当初、TGF−βは初代細胞培養を足場非依存的に増殖させる因子として特定された。インビボにおいてTGF−βは、結合組織の形成(deposition)を促進し、間充織細胞の増殖を誘起する。TGF−βは、造血幹細胞(非特許文献1参照)やNK細胞(非特許文献2参照)等の免疫系細胞の増殖及び分化に影響を及ぼす。TGF−βはまた、癌や白血病等の過増殖を抑制するために投与することができる(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2及び3の開示に従って、脱石灰した骨から尿素又は塩酸グアニジンを用いて「骨形成因子(BMP)」を抽出・再沈澱させた。セイデンとトーマス(Seyedin and Thomas)は特許文献4において、カオトロピック剤を用いた抽出と、pH4.8でCMCに吸着したフラクションからの活性物質を回収することにより骨形成刺激骨由来タンパク質を部分精製したことを報告している。この新規なタンパク質フラクションは「骨形成因子(osteogenic factor)」と称され、約30000ダルトン未満の分子量を有すると特定された。
【0004】
アクチビンは、二量体タンパク質であり、構造的にTGF−β1に類似するタンパク質ファミリーの一種で、インヒビンに類似している。インヒビンは、アクチビンサブユニットと他のアクチビンサブユニットとからなるヘテロ二量体である。アクチビンは、卵胞刺激ホルモンの放出(非特許文献3参照)やランゲルハンス島からのインスリン分泌(非特許文献4参照)、骨髄培養における赤芽球多能性前駆細胞(erythroid and multipotential progenitor cell)のコロニー形成(非特許文献5参照)を刺激し、また、インビボにおいて軟骨性骨の形成を誘起する(非特許文献6参照)ことが判明している。
【0005】
骨シアロタンパク質(BSP)は高度にグリコシレート化及びサルフェート化されたリンタンパク質であり、石灰化した結合組織にのみ認められる。ポリグルタミン酸モチーフは、ヒドロキシアパタイトと細胞表面インテグリンとを結合する能力を有する。BSPは骨ニュークリエーターが有する生物物理学的及び化学的機能を有する。ヒドロキシアパタイト結合ポリグルタミン酸配列は二官能性の物質(entites)を提供するが、この物質により、BSPのターゲティングと骨表面への正常細胞及び転移細胞の付着が仲介される(非特許文献7参照)。
【0006】
本技術分野において、可溶性、抗原性及び生物学的タンパク質クリアランスを変化させるためにポリマーと共有結合させて改変したタンパク質に関する文献がある(特許文献5、特許文献6、特許文献7及び特許文献8参照)。特許文献9(1992年11月11日公開)は、骨成長因子と標的組織への親和性を有するターゲティング分子とを含む組成物を開示しており、この骨成長因子及びターゲティング分子はクロスリンカーと化学的に結合している。クロスリンカーとしては合成親水性ポリマーが好ましい。これら分子は骨に対する親和性を有することが好ましい。骨成長因子としてはTGF−β、アクチビン、骨形成因子(BMP)又は骨シアロタンパク質(BSP)が好ましい。標的とする組織の例としては骨や、軟骨、骨成長因子が標的とするその他の各種組織や細胞が挙げられる。これら組成物は、骨形成の促進目的での使用、及び骨粗鬆症や骨関節炎、加齢による骨量損失においてよく見受けられる骨損失の修復や処置における使用を意図したものである。
【0007】
人体のカルシウム吸収は、基本的に二経路によることが知られている。即ち、能動輸送と受動輸送である。能動輸送経路は主としてビタミンD及び種々のホルモンの調節により制御されており、ここではカルシウムは小腸上部において濃度勾配とは逆勾配で吸収される。一方、受動輸送経路では、カルシウムは小腸下部で濃度勾配に従って吸収される。可溶性カルシウムが大量に存在する場合、小腸下部に対する受動輸送の比率が非常に高くなる。能動輸送経路では、可溶性カルシウムの濃度を増加させても一定量以上に吸収量を増加させることはできないが、受動輸送では腸内の可溶性カルシウムの濃度が増加するにつれ吸収が上昇する。腸内のカルシウム吸収率は10〜50%であると報告されている。腸における乳タンパク質であるカゼインの酵素分解物である、カゼインホスホペプチド(CPP)は小腸の可溶性カルシウムの濃度を増加させ、これによりカルシウム吸収を促進させる(特許文献10参照(1995年9月5日発行))。カルシウムは、CPPに含まれる酸性アミノ酸のカルボキシレート基とホスホセリンのホスフェート基に配位することにより可溶性の状態に維持される。
【0008】
【特許文献1】US4816442
【特許文献2】US4294753
【特許文献3】US4455256
【特許文献4】US4434094
【特許文献5】US4261973
【特許文献6】US4301144
【特許文献7】US4179337
【特許文献8】US4830847
【特許文献9】CA2102808
【特許文献10】US5447732
【非特許文献1】オオタ(Ohta)ら,Nature(1987年),329巻,p539
【非特許文献2】ルーク(Rook)ら,J.Immunol.,(1986年),136巻,p3916
【非特許文献3】W.ベール(Vale)ら,Nature(1986年),321巻,p776−79
【非特許文献4】Y.トツカ(Totsuka)ら,Biochem.&Biophys.Res.Comm.(1988年),156巻,p335−39
【非特許文献5】J.ユー(Yu)ら,Nature(1987年),330巻,p765−67
【非特許文献6】M.E.ジョイス(Joyce)ら,J. Cell Biol.(1990年),110巻,p2195−2207
【非特許文献7】ゲインズ(Ganes)ら,「骨シアロタンパク質」,Critical Reviews in Oral Biology and Medicine,10巻(1),p79−98
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
骨粗鬆症や骨折は、高齢者や閉経後の女性によく見られる代謝性疾患である。ダイエタリーカルシウムは、高齢者の骨粗鬆症の予防のためカルシウム要求量を考慮する場合や、骨強度や骨のミネラル密度を増加する際に不可欠である。骨粗鬆症は、骨損失を特徴とする疾患であり、骨折の危険性の増加や背中痛や関節痛に関連している。骨粗鬆症の予防には十分なダイエタリー栄養物、特にカルシウム含有量の高い食品の摂取が重要である。ダイエタリーカルシウムは吸収性及び生体利用性が非常に高く、年齢とともにカルシウム吸収が低下する事実を考えると、高齢者のカルシウム要求量を考慮するうえで重要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物を、ダイエタリーカルシウムの吸収と骨芽細胞の増殖とを促進する栄養補助剤として、食品や動物用飼料において使用することに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明において、栄養補助剤としてγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体又はこれらの混合物を使用すれば、錯体形成によってカルシウム、マグネシウムのいずれも効果的に溶解・安定化することができ、食品や飼料組成物に用いた場合、効果的にカルシウム及びマグネシウムの生体利用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びγ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++及びMg++体)は生分解性であって、L−グルタミン酸から液内発酵プロセス(H.クボタ(Kubota)ら、「枯草菌F−2−01によるポリ(γ−グルタミン酸)の生産(Production of Poly((-Glutamic Acid) by Bacillus subtitlis F-2-01)」、Biosci.Biotech.Biochem.57(7)、1212−1213、1993及びY.オガワ(Ogawa)ら、「ジャー内発酵における枯草菌(ナットウ)によるγ−ポリグルタミン酸の効果的な生産(Efficient Production of (-Polyglutamic Acid by Bacillus subtilis (natto) in Jar Fermentation)」、61(10)、1684−1687、1997参照)によって生産される非毒性バイオポリマーである。γ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++及びMg++体)は吸水性に優れ、金属イオンのCa++、Mg++、Zn++、Mn++、Se++++及びCr+++に対し良好な配位能を有し、錯体を形成する。また、γ−ポリグルタメートのポリアニオン性は水系において前記金属イオンを溶解・安定化するという用途に関し研究されている。図1にγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)及びγ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++、Mg++体)の分子構造を示す。図2、図3及び図4に、1H−NMR、13C−NMR及びFT−IRスペクトルをそれぞれ示す。これらスペクトル及び分析データを表1にまとめた。図5にpH滴定曲線を示す。
【0013】
【表1】


【0014】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)は、重合度が1000から20000までのグルタミン酸のバイオポリマーであり、グルタミック単位同士のγ−ペプチド結合のみから成る。γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びγ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++及びMg++体)は末端アミンと多数のα−カルボン酸/カルボキシレート基とを含む。γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びγ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++及びMg++体)はpHやイオン強度、その他のカチオン性種等の環境条件により、幾つかのコンホメーション状態、即ち、αヘリックス、ランダムコイル、βシート、ヘリックスコイル転移領域及び包み込まれた会合体(enveloped aggregation)として存在する。通常、円二色性(CD)を用いて、αヘリックス体の存在量を222nmにおけるスペクトル強度の関数として測定する。ヘリックスコイル転移は均一な水溶液中で、約pH3〜5から生じ、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)は非結合の形態となり、pHがより高い5〜7にシフトすると結合した形態となる。ランダムコイルから包み込まれた会合体への転移は、γ−PGAの大規模のコンホメーション変化によって二価以上の金属イオンとの配位錯体が形成の場合に生じる。
【0015】
本発明者らの研究により、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びγ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Mg++及びCa++体)は、錯体形成によりカルシウム及びマグネシウムのいずれも溶解・安定化させるのに有効であり、食品や動物用飼料に栄養補助剤として用いる場合、カルシウム及びマグネシウムの生体利用性を高めるのに有効であることが分かった。
【0016】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)はカルシウム塩やマグネシウム塩と反応し、安定した水溶性のカルシウムγ−ポリグルタメートやマグネシウムγ−ポリグルタメートをそれぞれ生成する。本発明者らは、インビトロの細胞培養研究により、配位錯体であるこれらカルシウムγ−ポリグルタメート及びマグネシウムγ−ポリグルタメートには高い吸収性、生体利用性があることを見出した。
【0017】
γ−PGAへの金属吸着には二つの可能な機構、即ち、(A)金属イオンとカルボキシル部位との直接相互作用及び(B)COO-基により生じる静電ポテンシャル場による移動可能な重金属対イオンの保持が関与している。カルボキシレート基との相互作用の他に、アミド結合も弱い相互作用部位を提供することができる。γ−PGAの配座構造とイオン化に加え、水溶液中に存在する加水分解金属種の種類を知ることも重要である。種々の異なる化学種が生成するので、金属イオンに対する吸着能に差が生じ得る。
【0018】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体、γ−ポリグルタメートMg++体又はこれらの混合物をカルシウム及びマグネシウムの錯形成吸着剤として添加し、可溶性及び生体利用性を向上させ腸におけるカルシウム吸収性を高めることを見出した。食料品によっては無機ミネラルの塩やミネラル粉末を含有させることによってミネラル分を増加させたのものもあるが、これらは他の共存物質と不溶な塩を生成する可能性がある。特定ミネラル種を過剰摂取すると他のミネラルの吸着を阻害する可能性があるため、体内のミネラル利用はあまり向上しない。例えば、カルシウムの大量摂取は鉄の吸収を阻害する。更に、食品がミネラル分を含み過ぎると食品の味という点において不利である。また、一般にミネラルは、小腸で吸収されるためには溶解した状態で存在しなければならないと考えられている。
【0019】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び各種γ−ポリグルタメート(Na+、K+、NH4+、Ca++、Mg++体)は小腸下部でミネラルに対し良好な溶解作用を有し、人体又は動物体内でカルシウム吸収を促進する。特に、本発明はγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートCa++体、γ−ポリグルタメートMg++体又はこれらの混合物のダイエタリー製品において栄養補助剤として使用することに関する。
【0020】
本発明の一実施形態において、ダイエタリー製品は栄養物質であり、前記ダイエタリー製品の全乾燥重量に対し0.005重量%〜100重量%の前記栄養補助剤を含む。他の実施形態において、ダイエタリー製品は食品又は飼料組成物であり、前記ダイエタリー製品の全乾燥重量に対し0.005重量%〜5重量%の前記栄養補助剤を含む。
【0021】
本発明に係るダイエタリー製品は、5〜40デキストロース当量のマルトデキストラン、乳タンパク質、大豆タンパク質単離物、グルコース、ラクトース、スクロース、フルクトース、小鎖オリゴ−フルクトース、グルカン又は他のオリゴ−ポリ多糖、コラーゲン、コラーゲンゼラチン加水分解物、α−デンプン、大豆タンパク質加水分解物、デンプン部分加水分解物、グリセロール、プロピレングリコール、エタノール、アラビアガム、グアーガム、カラギーナン(caragheneen)、セルロース及び他の変性セルロース、及びこれらの混合物から成る群から選択される成分を更に含むことができる。更に、前記ダイエタリー製品はソフトゲルカプセル又はハードゲルカプセル、錠剤又は液剤の形状とすることができる。
【0022】
本発明によれば、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートMg++体の分子量は、それぞれ5000〜2.5×106の範囲である。本発明者らは、インビトロの研究において150×103〜450×103ダルトンの範囲の分子量をそれぞれ有するγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートMg++体が骨芽細胞の増殖を促進することを見出し、インビボの研究において産卵鶏のパフォーマンスとブロイラー鶏の成長を向上させることを見出した。
【0023】
市販目的量のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は、液内発酵プロセスにより、枯草菌(納豆菌)(Bacillus subtilis. Bacillus subtilis var. natto)(H.クボタ(Kubota)ら、「枯草菌F−2−01によるポリ(γ−グルタミン酸)の生産(Production of Poly((-Glutamic Acid) by Bacillus subtitlis F-2-01)」、Biosci.Biotech.Biochem.57(7)、1212−1213、1993及びY.オガワ(Ogawa)ら、「ジャー内発酵(Jar Fermentation)における枯草菌(ナットウ)によるγ−ポリグルタミン酸の効果的な生産(Efficient Production of (-Polyglutamic Acid by Bacillus subtilis (natto) in Jar Fermentation)」、61(10)、1684−1687、1997参照)を用いて生産することができ、また、バシラス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)(JP05−316999(1993年3月12日公開)参照)を用いL−グルタミン酸及びグルコースを主な供給原料として使用して生産することができる。微生物培養培地には、炭素源、窒素源、各種無機ミネラル分及び他の栄養分が含まれている。通常、炭素源の一部としてL−グルタミン酸量を3〜12%、グルコースを5〜12%の濃度範囲で用い、クエン酸を0.2〜2%の濃度で用い、ペプトンと硫酸アンモニウム又は尿素とを窒素源として用い、酵母抽出物を栄養源として用い、Mn++、Mg++やNaClをミネラル源として用いる。培養は、適切な通気と撹拌の下、30〜40℃の温度で維持し、pHを尿素溶液又は水酸化ナトリウム溶液を用いて6〜7.5に維持する。培養時間は通常48〜84時間である。γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は細胞外に蓄積される。
【0024】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及びその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は通常、発酵用ブロスから一連の手続により抽出するが、その手続には超遠心や加圧ろ過により細胞を分離し、3〜4倍のエタノールを添加してγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)やその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)を沈澱させる工程が含まれる。沈澱物を水に再度溶解し、新たにエタノールを使用しγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)やその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)を沈澱させる。この溶解−沈澱ステップを数回繰り返し、純粋なγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)やその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)を回収する。
【0025】
通常、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)やその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は、水やエタノール、メタノール等の適切な溶媒に溶解し、pHは5.0〜7.5に調節する。定常的に撹拌しながら、この溶液に、適切に選択した多官能化学架橋剤、例えばポリグリセロールポリグリシジルエーテルやソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレートを添加する。添加量は、架橋剤の種類やヒドロゲルに要求される品質により異なるが、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)又はその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)の重量の0.01〜20%の範囲である。通常、ゲル化反応は50〜120℃の反応温度で1〜4時間で完了するが、使用する器具や条件により異なる。次に、生成したヒドロゲルを凍結乾燥し、乾燥した架橋γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)或いはその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)を生成する。これは、超吸水能を有し、非水溶性であり、水中で完全に膨張すると、無色透明で生分解可能なヒドロゲルを形成する。
【0026】
分子量が5000〜900000のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)又はその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)は、選択された特定の反応条件(pH、温度、反応時間、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)濃度)で制御された酸加水分解により生成することができる。pHについては、HClやH2SO4、他の有機酸等の適切な酸類(acidulants)でpH2.5〜6.5の範囲にすることができる。加水分解の温度は、50〜120℃の範囲にすることができる。反応時間は0.5〜5時間とすることができ、そして分子量1×106以上のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)の濃度は、適宜必要ないかなる濃度とすることもできる。高純度で、低分子量から中程度の分子量のγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)又はその塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体、γ−ポリグルタメートCa++体)を選択的に生成するためには、反応終了後、透析や膜ろ過による更なる精製と乾燥を行う必要がある。酸加水分解速度はpHが低い程、温度が高い程、また、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)の濃度が高い程速い。γ−ポリグルタメート塩(即ち、γ−ポリグルタメートNa+体、γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNH4+体、γ−ポリグルタメートMg++体及びγ−ポリグルタメートCa++体)は、選択したγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)を、選択したNa+、K+、NH4+、Ca++又はMg++の金属イオン塩基性水酸化物溶液又は酸化物と反応させることにより生産することができ、pHは必要に応じて5.0〜7.2の所望の値に調節できる。
【実施例】
【0027】
本発明を更に詳細に説明するため、以下に実施例を示し、本発明がどのように非常に改善されたカルシウム吸収を達成し、骨の成長と強度に健康上の利点をもたらし、カルシウム損失を減らし、骨粗鬆症の症状を軽減するのかを示す。しかしながら、本発明の範囲はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0028】
<実施例1> インビトロにおける細胞培養の研究−骨芽細胞の増殖促進
分子量980×103ダルトンのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)HM、分子量880×103ダルトンのγ−ポリグルタメートNa+体HM及び分子量250×103ダルトンのγ−ポリグルタメートNa+体LMを本研究に使用した。
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び/又はγ−ポリグルタメートNa+体10mgを、10%ウシ胎児血清(FBS)含有F−12DMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)1mLに加え段階希釈を適切に行うことにより、同一組成の栄養培地中におけるγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び/又はγ−ポリグルタメートNa+体の濃度が異なる(0.1%〜4.9×10-5%)培地を調製し、各サンプル200μLを96ウェル培養プレートに三連で添加した。10%ウシ胎児血清(FBS)のみを含むF−12DMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)をコントロールとして用いた。
【0029】
指数増殖期のヒト骨髄幹細胞から骨芽細胞のサンプルを、1200rpmで6分間遠心することにより生育培地から分離し、10mLのリン酸緩衝溶液(PBS)(0.01Mホスフェート、pH7.4)で3回洗浄し、10%ウシ胎児血清(FBS)含有F−12DMEM培地中で再度懸濁し、細胞密度を1×105個/mLとした。活発に増殖している細胞の懸濁液200μLを各サンプルウェルに加えた。96ウェル培養プレートのサンプルをボルテックスミキサーで十分に混合し、5%CO2雰囲気下RH75%、34℃で48時間インキュベートした。MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェノールテトラゾリウムブロミド]溶液(1mg/mL)20μLを各ウェルに加え、十分に混合し再度4時間インキュベートした。10%SDS/0.01N HCl緩衝液100μLを各サンプルウェルに加え、室温で一晩結晶を溶解させた。各サンプルウェルの光学濃度(OD570nm)を測定、記録し、骨芽細胞の増殖向上について計算した。
【0030】
骨芽細胞のミトコンドリアの脱水素酵素はMTT塩(無色のテトラゾリウム塩)と反応し、青色のホルマザン塩の結晶を生成することができる。次いで、ホルマザンの結晶はSDSと反応し、可溶性の青色ホルマザンに変化した。青色ホルマザンの色の強度は骨芽細胞の増殖量を表す。骨芽細胞の増殖の向上は次に示すように計算できる。
増加(MTT)%=((OD570)a−(OD570)c)/(OD570)c×100%
(OD570)a:サンプルウェルの光学濃度
(OD570)c:コントロールウェルの光学濃度
【0031】
<実施例2>
実施例1から得た増殖向上率の結果を表2に示す。
【0032】
【表2】


【0033】
結果から明らかなように、0.39ppmという低濃度においても骨芽細胞の増殖は、γ−ポリグルタメートNa+体HMの場合で130%以上、γ−ポリグルタメートNa+体LMの場合で80%以上、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)HMの場合で125%以上、向上した。より高分子量のγ−ポリグルタメートNa+体HMの場合に、より良好な増殖向上が示された。
【0034】
<実施例3> インビトロにおける細胞培養の研究−骨の形成促進
分子量980×103ダルトンのγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)HM、分子量880×103ダルトンのγ−ポリグルタメートNa+体HM及び分子量250×103ダルトンのγ−ポリグルタメートNa+体LMを本研究に使用した。
【0035】
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び/又はγ−ポリグルタメートNa+体10mgを、10%ウシ胎児血清(FBS)含有F−12DMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)1mLに加え段階希釈を適切に行うことにより、栄養培地中におけるγ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)及び/又はγ−ポリグルタメートNa+体の濃度が異なる(0.1%〜3.1×10-3%)培地を調製し、各サンプル1mLを6ウェル培養プレートに三連で添加した。10%ウシ胎児血清(FBS)のみを含むF−12DMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)をコントロールとして用いた。
【0036】
10%ウシ胎児血清(FBS)含有F−12DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地)2mLを各サンプルウェルに添加し十分に混合した。
指数増殖期のヒト骨髄幹細胞から骨芽細胞のサンプルを、1200rpmで6分間遠心することにより成長培地から分離し、10mLのリン酸緩衝溶液(PBS)(0.01Mリン酸、pH7.4)で3回洗浄し、10%ウシ胎児血清(FBS)含有F−12DMEM培地中で再度懸濁し、細胞密度を1×105個/mLとした。活発に増殖している細胞の懸濁液1mLを各サンプルウェルに加えた。6ウェル培養プレートのサンプルをボルテックスミキサーで十分に混合し、5%CO2雰囲気下RH75%、34℃で7日間インキュベートした。次いで、トリプシン溶液200μLを各ウェルに添加し、34℃で約30秒間反応させた。F−12DMEM培地(ダルベッコ変法イーグル培地)1mLを各サンプルウェルに添加し十分に混合した。懸濁した細胞を回収除去した。pNPP(100μL)/p−ニトロフェニルホスフェート溶液(SK−5900、ベクター社)(2mL)を含有する0.01M重炭酸/炭酸ナトリウム溶液(pH10)1mLを添加し、十分に混合して室温で30分間反応させ、0.1M NaOH溶液1mLを添加し反応を停止させた。410nmでの吸光度を測定し記録した。
【0037】
<実施例4>
実施例3から得た結果を次の表3に示した。
【0038】
【表3】


【0039】
アルカリホスファターゼ活性は骨芽細胞が存在することを示すものである。アルカリホスファターゼ活性は細胞が石灰化する前に高くなり、細胞密度は骨前駆体の分化及び骨形成を規定する。ヒト骨髄幹細胞を1週間培養した場合、骨芽細胞の存在を示すアルカリホスファターゼ活性が出現する(ヴァインレープ(Weinreb)M.、スキナー(Schinar)D.M.及びロダン(Rodan)G.A.1990、「in situハイブリダイゼーションにより可視化したラットの骨発達におけるオステオデンティン及びオステオカルシンの発現、アルカリフォスファターゼの異なるパターン(Different Pattern of Alkaline Phosphatase、Osteodentin, and Osteocalcin Expression in Developing Rat Bone Visualized by in situ Hybridization)」、J.Bone Miner.Res.5:838−842;ヤオ(Yao)K.L.、トデスカン(Todescan)R.Jr.及びソデック(Sodek)J.、1994、「成熟ラットの培養骨髄細胞による石灰化組織形成中のマトリックスタンパク質合成における一時的変化及びmRNAの発現(Temporal Changes in Matrix Protein Synthesis and mRNA Expression during Mineralized Tissue Formation by Adult Rat Bone Marrow Cells in Culture)」、J.Bone Miner.Res.9:231−240;及びヘスベルトソン(Hesbertson)A.及びオービン(Aubin)J.E.1995、「デキサメタゾンはラットの骨髄基質培養物のサブポピュレーション構成を変化させる(Dexamethasone, Alters the Subpopulation Make-Up of Rat Bone Marror Stromal Cultures)」J.Bone Miner.Res.10:285−294参照)。
【0040】
表3の結果はγ−ポリグルタメートNa+体HM及びγ−ポリグルタメートNa+体ヒドロゲルの双方が骨芽細胞の増殖促進において効果的であることを示しており、最適濃度はそれぞれγ−ポリグルタメートNa+体HMの場合で500ppm(0.05%)とγ−ポリグルタメートNa+体ヒドロゲルの場合で6.2ppm(0.0062%)である。低分子量のγ−ポリグルタメートNa+体LMもまた骨芽細胞の増殖を促進するが、1000ppm(0.1%)という非常に高い濃度である。この結果は、γ−ポリグルタメートNa+体が、骨芽細胞とその前駆体による生体利用可能なカルシウムの吸収を効果的に促進することを示唆しており、骨の成長においてγ−ポリグルタメートNa+体の強い親水性と活性コイルコンホメーションが、骨成長因子(TGF−β、アクチビン、骨形成因子(BMP)、骨シアロタンパク質(BSP)等)の機能を、この因子と効果的に錯体形成することにより促進し、骨芽細胞へ因子を輸送し、骨を形成及び成長させる。
【0041】
<実施例5> インビボにおける屋外給餌実験−ユアン−アン(Yuan-an)養鶏場での放牧養鶏(産卵鶏)
73週齢の産卵鶏を本研究に用いた。全8区画(1区画8000羽)を用いた。通常飼料(アホ(Aho)P.W. 2002, 「米国鶏肉産業案内(Introduction to the US chicken meat industry)」801〜818頁、「商用鶏肉・鶏卵の生産(Commercial Chicken Meat and Egg Production)」、第5版、ベル(Bell), D. D.及びウェーバー・ジュニア(Weaver, junior)W.D.編、Kluwer Publishing;ノーウェル(Norwell) BS、ヘブンスタイン(Havenstein) G.B.ら、1994, 「1957年、1991年の「典型的」ブロイラー餌を給餌したときの、生育、生存率、飼料要求率に関する1957年対1991年の比較(Growth, livability, and feed conversion of 1957 vs 1991 broilers when fed "typical" 1957 and 1991 broiler diets)」、Poult. Sci. 73: 1785-1794)を4週間与え、次の4週間は100ppmのγ−ポリグルタメートNa+体LM(分子量200×103〜400×103)を含有する通常飼料を与え、次いで2週間、通常飼料を与え、これら期間に亘って鶏卵サンプルを集めた。鶏卵サンプルについて、卵殻強度、卵殻厚、卵白及び卵黄のpH、卵白高を決定し、HU値(鶏卵の品質の凡その鮮度指数又は健全性指数)を算出した
【0042】
<実施例6>
実施例5で得た結果を表4、5及び6に示した。
【0043】
【表4】


【0044】
【表5】


【0045】
注:1.73週齢の産卵鶏を用いた。
2.4区画(8000羽/区画)を用いた。
3.「*」は鶏卵10個の平均値である。
4.HU値は次のように定義される:
HU=ハウユニット・・・補正された卵アルブミンの高さの値
=100*log(H−G*0.5(30*W*0.37−100)/100+1.9
ここで、H−アルブミンの高さ(mm)
W−卵重(g)
G−32.2、重力定数
5.KGF−卵殻強度の単位
【0046】
【表6】


【0047】
表4、5及び6の結果から、卵黄、卵白の強度及び卵殻強度に顕著な改善が示された。これは、γ−ポリグルタメートNa+体を含有する飼料を与えた期間のHU値の差の減少及びKGF値の差の減少に示されている。γ−ポリグルタメートNa+体を含有する飼料を与えた期間では、卵殻厚、卵白高、卵黄色の全てが改善された。
【0048】
<実施例7> インビボにおける屋外給餌実験−イーチャン(Yee−Thiang)養豚場での放牧養豚
γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、γ−ポリグルタメートNa+体及びγ−ポリグルタメートCa++体の栄養的・健康的側面について子豚(2群2セット)を用いた放牧養豚を39日間行って調べた。標準飼料に対し100ppmの濃度でγ−ポリグルタメートNa+体及びγ−ポリグルタメートCa++体を飼料補助剤として含む。表7に結果を示す。
【0049】
<実施例8>
表7に実施例7の結果を示す。
【0050】
【表7】


【0051】
表7の結果より、γ−ポリグルタメートCa++体は体脂肪の減少及び子豚の飼料要求率(feed-to meat conversion)の減少に有効であるが、γ−ポリグルタメートNa+体ではこの飼料要求率が若干増加し、子豚の体脂肪減少においては効果はほとんど認められないことが明らかとなった。
【0052】
<実施例9> インビボにおける屋外給餌実験−トン−サン(Tong San)養鶏場での放牧養鶏(ブロイラー)
γ−ポリグルタメートNa+体の栄養的・健康的側面をブロイラーの雛(4群2セット)を用いた放牧養鶏を25日間行い調べた。標準飼料に対し100ppmの濃度で分子量250×103のγ−ポリグルタメートNa+体LMを飼料補助剤として含む。表8に結果を示す。
【0053】
<実施例10>
表8に実施例9の結果を示す。
【0054】
【表8】


【0055】
この結果、γ−ポリグルタメートNa+体はカルシウム吸収を促進し、ブロイラーの雌雄両方の全体重を増加させる。25日間の給餌において、開始時体重kg当りの終了時体重の平均はγ−ポリグルタメートNa+体を含有させた通常飼料(ヘブンスタイン(Havenstein) G.B.ら、1994, 「1957年、1991年の「典型的」ブロイラー餌を給餌したときの、生育、生存率、飼料要求率に関する1957年対1991年の比較(Growth、livability、and feed conversion of 1957 vs 1991 broilers when fed "typical" 1957 and 1991 broiler diets)」、Poult. Sci. 73: 1795-1794)を与えた群では4.712kgで、通常飼料(コントロール)を与えた群では4.629kgである。脛骨の長さは、γ−ポリグルタメートNa+体を含有した飼料を適用した試験のブロイラー雄については9.38cm、ブロイラー雌については9.18cmであり、通常飼料を適用したコントロールのブロイラー雄については9.25cm、ブロイラー雌については9.10cmである。脛骨中のカルシウム含有量は通常飼料を適用したコントロールのブロイラー雄については17.66%、ブロイラー雌については16.69%である。
【0056】
<実施例11> インビトロにおける細胞培養研究−3T3−L1細胞モデルによるGTF(ブドウ糖耐性因子)活性の促進
本細胞培養実験には、分子量880×103のγ−ポリグルタメートNa+体HM及び分子量250×103のγ−ポリグルタメートNa+体LMを用いた。
脂肪前駆細胞である3T3−L1のサンプルを解凍し、これを37℃、5%CO2のインキュベーターにおいて10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM(ダルベッコMEM)培地中で一週間培養し、次いで分化培養を行った。分化培養培地DMEM(10%FBS、0.5mM IBMX、1μMDX及び1μg/mLインスリン含有)における2日間の培養の後、脂肪前駆細胞を通常の10%FBSを含有するDMEM培地に移し、更に10日間90%を超える細胞が成熟脂肪細胞に変化するまで培養を継続した。ここで、細胞の形状は当初の星形から油滴状へと変化するため、培養プレートの下部に白色油状物質として視覚的に観察することができる。細胞分化完了後、次の実験を続ける。
【0057】
この成熟脂肪細胞をまず、37℃、5%CO2のインキュベーターにおいて2%FBSを含有した無糖のDMEM培地中で1時間培養し、PBS(0.01Mリン酸緩衝溶液、pH7.4)で洗浄した。次いで、異なる濃度のγ−ポリグルタメートNa+体を含むテストサンプル200μL及び10nMインスリンと2.5g/Lグルコースとを含むKBR溶液200μLを添加し、37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。細胞を遠心分離し、清澄な上清を採取し、グルコース濃度をグルコースアナライザーを用いて分析した。反応前後のグルコース量の差は脂肪細胞による全グルコース摂取量で定義される。摂取されたグルコースの増加率は次に示すようにGTF活性として定義される。
GTF活性の増加(%)=((サンプルによるグルコース摂取量−コントロールによるグルコース摂取量)/コントロールによるグルコース摂取量)×100%
【0058】
<実施例12>
図6に、γ−ポリグルタメートNa+体の分子量の変化の実施例11のGTF活性へ及ぼす効果を示す。
この結果、高分子量、低分子量両方のγ−ポリグルタメートNa+体でGTF活性が増加することが示され、より高分子量のγ−ポリグルタメートNa+体HMは約300ppmで21%という最も高い増加率を示し、低分子量のγ−ポリグルタメートNa+体LMは、濃度が150〜600ppmの範囲内において約33.5%という最高のGTF活性を示した。
【0059】
この結果は、γ−ポリグルタメートNa+体が脂肪細胞のGTFによるグルコースの消費を促進し、これは生体に対し、成長を維持し、健康上の効果を与えるのに非常に有効でありヒトの糖尿病の症状をコントロールするうえで、良好な生物学的機能を発揮し得ることを明らかに示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(A)γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA、H体)、(B)M(I)γ−ポリ−(L)−グルタメートの繰り返し単位[M(I)γ−(L)−PGA]:γ−ポリグルタメートK+体、γ−ポリグルタメートNa+体及びγ−ポリグルタメートNH4+体、(C)M(II)1/2γ−ポリ−(D)−グルタメートの繰り返し単位[M(II)1/2γ−(D)−PGA]:γ−ポリグルタメートCa++体及びγ−ポリグルタメートMg++体(M(I)=K+、Na+、又はNH4+;M(II)=Ca++又はMg++)の化学構造。
【図2】pH中性、温度30℃のD2Oにおける各種(A)γ−ポリグルタメートNa+体、(B)γ−ポリグルタメートK+体、(C)γ−ポリグルタメートNH4+体の400MHz1H−NMRスペクトル。化学シフトは内部標準からppm単位で測定。Xは不純物ピークを示す。それぞれ、縦軸は透過率(%)、横軸は波数(cm-1)を示す。
【図3】pH中性、温度30℃のD2Oにおける各種(A)γ−ポリグルタメートK+体、(B)γ−ポリグルタメートNa+体、(C)γ−ポリグルタメートCa++体及び(D)γ−ポリグルタメートMg++体の13C−NMRスペクトル。化学シフトは内部標準からppm単位で測定。
【図4】KBrペレットによる(C)γ−ポリグルタメートCa++体及び(D)γ−ポリグルタメートMg++体の赤外(FT−IR)吸収スペクトル。
【図5】各種(A)γ−PGAと0.2N NaOH、(B)γ−PGAとCa(OH)2及び(C)γ−PGAと5N NH4OHの25℃でのpH滴定曲線。
【図6】実施例11において例示した各種分子量のγ−ポリグルタメートNa+体のブドウ糖耐性因子(GTF)活性へ及ぼす効果。縦軸はGTF活性の増加(%)、横軸はγ−ポリグルタメートNa+体濃度(ppm)を示す。
【出願人】 【識別番号】503467920
【氏名又は名称】トン ハイ バイオテクノロジー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TUNG HAI BIOTECHNOLOGY CORPORATION
【出願日】 平成17年5月16日(2005.5.16)
【代理人】 【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所

【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸

【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄

【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫

【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹

【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人

【識別番号】100089048
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 康隆

【識別番号】100101317
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 ひろみ

【識別番号】100134935
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 詩木

【公開番号】 特開2006−316022(P2006−316022A)
【公開日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願番号】 特願2005−142168(P2005−142168)