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【発明の名称】 レプチン産生抑制剤
【発明者】 【氏名】亀岡 郁雄

【氏名】宮本 英和

【氏名】牧野 公博

【氏名】杉山 清

【要約】 【課題】レプチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善を目的とするレプチン産生抑制剤を提供する。

【解決手段】レプチン産生抑制剤として、ケイヒ、ソウハクヒ、ルイボス葉、ケイガイ、オウバク、キキョウ、チクジョの生薬を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイヒ、ソウハクヒ、ルイボス葉、ケイガイ、オウバク、キキョウ、チクジョから選ばれる1種又は2種以上の生薬を含有するレプチン産生抑制剤。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、白色脂肪細胞由来レプチンの産生を抑制するレプチン産生抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分子遺伝学の進歩により、レプチンをメディエーターとした新しいエネルギー代謝調節系の分子機構が解明されてきた。
【0003】
レプチンはマウスやヒトなどの哺乳動物に見いだされた蛋白質で白色脂肪細胞で発現する。レプチンの生理的な作用としては、食欲の抑制、体重減少、体温や活動性の増加、血糖値やインスリン分泌の低下、脂肪組織重量の減少、不妊症の改善などの種々な作用が見いだされている。
【0004】
また、肥満などの脂質代謝異常が続くと血清レプチンレベルが高くなりレプチン本来の作用を示さなくなる(レプチン抵抗性)。この結果としてインスリン耐性をもたらしていると示唆される報告もある。このような状態においては血清レプチンレベルを速やかに低下させる、すなわちレプチン産生を抑制することが非常に重要である(非特許文献1、2、3、及び4参照)。
【0005】
レプチンの機能が解明されつつある中、レプチンの働きを促進する研究が様々な観点から盛んになされている。しかし、レプチンを抑制する研究は、アンタゴニストに関するものが見受けられるのみである。
【0006】
近年の研究から、レプチン産生抑制剤やレプチンアンタゴニストを用いることで自己免疫疾患、拒食症、インスリン分泌不足に起因する疾患やインスリン耐性などの様々な症状を改善あるいは予防できることが知られている。
【0007】
特許文献1には、第II種糖尿病におけるインスリン耐性を治療するためレプチンアンタゴニストを使用すること、ならびにかかる耐性を治療するための医薬が示されており、また、特許文献2には、レプチン受容体リガンドであるレプチン受容体アゴニストを、治療を必要とする哺乳動物に投与することからなる視床下部−下垂体−副腎−脂肪軸の調節方法が示されている。
また、特許文献3には、血清レプチン濃度を低下させてレプチン抵抗性を改善し、しかも日常の食品として摂取しやすいジアシルグリセロールからなるレプチン抵抗性改善剤が示されており、また、特許文献4には、レプチン受容体を介したレプチンの作用を阻害したり、レプチンの発現又は分泌あるいはレプチン受容体の発現を阻害するレプチン阻害剤を有効成分として含有する自己免疫疾患の治療および/又は予防剤が示されている。
【非特許文献1】Nature, 372, 425-432 (1994)
【非特許文献2】Nature, 382, 250-252 (1996)
【非特許文献3】Nature, 394, 897-901 (1998)
【非特許文献4】ヒトはなぜ肥満になるのか, 蒲原聖可著, 岩波書店(1998)
【特許文献1】特表2001-500869号公報
【特許文献2】特表2001-514620号公報
【特許文献3】特開2002-3376号公報
【特許文献4】特開2002-201142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年明らかになりつつあるレプチンの生理機能は生体の生命維持機構において重要な役割を担っている。血清レプチンレベルを適正な範囲に制御することでさまざまな生活習慣病や疾病を予防、改善することが期待されている。
しかし、レプチンの産生そのものを制御する手法は未だ見出されていない。
本発明は、レプチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善を目的とするレプチン産生抑制剤に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
レプチンは脂肪細胞で産生されるホルモンであって、レプチンレセプターの多くは視床下部に存在する。脂肪細胞で産生されたレプチンは血中を移動し視床下部のレセプターに結合することでその効果を発現させている。
【0010】
しかし、なんらかの病態、疾患などに起因して、視床下部への移行、レセプターとの結合、結合以降のシグナル伝達などにおけるレプチンシグナルの伝達異常が起きることが知られている。たとえば、肥満状態では血清レプチンレベルが高くなりレプチン本来の作用を示さなくなる(レプチン抵抗性)。
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するためには、レプチンの生体内レベルを適正な範囲に維持することが重要であると考え、レプチンの産生そのものに対して作用を及ぼすレプチン産生抑制剤に着目した。
本発明者らは、レプチン産生抑制剤の開発を目指し、白色脂肪細胞におけるレプチン産生に関して鋭意研究を重ねた。その結果特定の生薬がレプチン産生抑制作用を有することを初めて見出し、この知見により本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0012】
ケイヒ、ソウハクヒ、ルイボス葉、ケイガイ、オウバク、キキョウ、チクジョの生薬は脂肪細胞からのレプチン産生を抑制する作用があり、レプチン産生抑制剤として様々な用途において有用であることが見出された。
これらは化粧品をはじめとする各種の皮膚外用剤や浴用剤さらには飲食物に配合することができ、レプチンに起因する各種疾患、疾病、症状などの予防、緩和、改善を目的とするものへの応用を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のレプチン産生抑制剤は、ケイヒ、ソウハクヒ、ルイボス葉、ケイガイ、オウバク、キキョウ、チクジョから選ばれる1種又は2種以上の混合物を含有するものである。
本発明で使用するケイヒとは、クスノキ科植物のシナニッケイの樹皮を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明で使用するソウハクヒとは、クワ科植物のクワの根皮を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるルイボス葉とは、マメ科植物のルイボスの葉を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるケイガイとは、シソ科植物のケイガイの花穂を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるオウバクとは、ミカン科植物のキハダの樹皮を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるキキョウとは、キキョウ科植物のキキョウの根を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
本発明に用いられるチクジョとは、イネ科植物のハチクあるいはマダケの棹内部を用いるが、地上部さらには同属植物を用いることもできる。
【0014】
本発明において、ケイヒ、ソウハクヒ、ルイボス葉、ケイガイ、オウバク、キキョウ、チクジョとしては、上記の各種部位を未乾燥のまま又は乾燥させた後、そのままで、あるいは、破砕又は粉砕後に搾取して使用することができる。さらに、これらを溶媒で抽出して得られるエキスや、該エキスから抽出溶媒を蒸発、又は凍結乾燥して得られる不揮発分を使用することができる。
【0015】
抽出溶媒としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエンなどの芳香族類等の各種の溶剤が挙げられ、単独あるいは2種以上の混液を任意に組み合わせて使用することができる。
【0016】
本発明で使用される生薬は、医薬または民間薬、食品、化粧品の成分として一般的に用いられているものであり、その安全性が確認されているものである。本発明のレプチン産生抑制剤は、医薬品、化粧品をはじめとする各種の皮膚外用剤や内用剤、浴用剤、飲食物などに配合することができる。
【0017】
本発明のレプチン産生抑制剤は、前記生薬単独あるいは混合物を含有する。生薬の総配合量は、剤型によっても異なるが、蒸発残分をそのまま使用してもかまわないし、目的の用途によって適宜、配合量を調整すれば良い。本発明のレプチン産生抑制剤の使用量は、特に制限はなく、用途や適用により適宜調整することができる。
【0018】
また、本発明のレプチン産生抑制剤は、外用、内用、素材への処理など様々な形態に適用できる。さらに、通常の外用、内用、素材への処理などで使用されている薬剤などとも組み合わせて使用することができるし、これにより本発明の効果がより発現しやすくなる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、前記生薬を単独で、あるいは混合物として含有する。生薬の総配合量は、剤型により適宜異なる。また、本発明の皮膚外用剤の使用量は特に制限はなく、使用者の好みに合わせて適宜調整することができる。
【0020】
また、本発明の浴用剤は、前記生薬を単独あるいは混合物として使用することができ、その総配合量は剤型によって適宜異なる。
【0021】
また、本発明の飲食物並びに飼料は、前記生薬を単独あるいは混合物として使用することができ、その総配合量は形態によって適宜異なる。
【0022】
本発明の皮膚外用剤及び浴用剤には、上記各種生薬の他に、通常の外用剤あるいは入浴剤において使用される公知の機能性成分、例えば保湿剤、エモリエント剤、血行促進剤、細胞賦活剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤、美白剤、過酸化物抑制剤などを配合することができる。
【0023】
例えば、グリセリン、ブチレングリコール、尿素、アミノ酸類などの保湿剤;スクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油などのエモリエント剤;ビタミンE類、トウガラシチンキなどの血行促進剤;核酸などの細胞賦活剤;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ジブチルヒドロキシアニソール(BHA)、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸などの抗酸化剤;グリチルリチン、アラントインなどの抗炎症剤;ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩、パラヒドロキシ安息香酸エステルなどの抗菌剤;アスコルビン酸、アルブチンなどの美白剤;スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)等の過酸化物抑制剤などの種々の公知物質等を配合することができる。
また、オウゴンエキス、イチョウエキス、シャクヤクエキス、胎盤抽出物、乳酸菌培養
抽出物などの植物・動物・微生物由来の各種抽出物などを自由に添加して使用することが出来る。
【0024】
本発明の皮膚外用剤とは、外用可能な剤であって、その剤型には特に制限はなく、例えば、ペースト剤、クリーム、ジェル、軟膏、ローション、乳液、パック、パウダー、パップ剤などが例示できる。
【0025】
本発明の浴用剤の剤型としては、適用可能なあらゆる剤型を意味し、例えば、粉末、顆粒状などの固形製剤、乳液、ペースト状などの液体製剤などが挙げられる。
【0026】
本発明の飲食物並びに飼料の剤型としては、適用可能なあらゆる形態を意味し、例えば、ビスケット、クッキー、錠剤、カプセル剤、キャンディー、粉末などの固形剤や飲料などの液体製剤、ゼリーなどの半固形製剤などが挙げられる。
【0027】
また、本発明の皮膚外用剤、浴用剤ならびに飲食物並びに飼料には、その剤型化のために界面活性剤、油脂類などの基剤成分や、必要に応じて増粘剤、防腐剤、等張化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、香料、着色料など種々の添加剤を併用できる。
【0028】
上記の界面活性剤として、限定されるものではないが、一般的な非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、高級アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、硬化ひまし油のアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ステロール等のアルキレンオキサイド付加物等の非イオン系界面活性剤;アルキル硫酸ナトリウム、アルキロイルメチルタウリンナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等の陰イオン系界面活性剤;塩化アルキルピリジニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸ナトリウム、アルキルポリアミノエチルグリシン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。そして、これらのうち1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0029】
本発明において使用可能な基剤成分として、限定されるものではないが、例えば、オリーブ油、ツバキ油、ホホバ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、杏仁油、スクワラン、スクワレン、馬油など、一般的に知られている油脂類が挙げられる。
【0030】
本発明において使用可能な増粘剤として、限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、及びこれらの各種誘導体;ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロース類及びその誘導体;デキストラン、ゼラチン、アラビアガム、トラガントガムなどのガム類;カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子などが挙げられる。
【0031】
本発明において使用可能な防腐剤として、限定されるものではないが、例えば、パラヒドロキシ安息香酸エステル、塩化アルキルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン塩、ヒノキチオールなどが挙げられる。
【0032】
本発明において使用可能な等張化剤として、限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、などの無機塩類が挙げられる。
【0033】
本発明において使用可能な紫外線吸収剤として、限定されるものではないが、例えば、パラアミノ安息香酸、ベンゾフフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0034】
本発明において使用可能なキレート剤として、限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸、フィチン酸、クエン酸及びこれらの水溶性塩などが挙げられる。
本発明の飲食物には、通常食品に使用されている様々な材料を使用することができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
脂肪細胞を用いた試験
Zen-Bio社から購入したヒト白色脂肪前駆細胞を用いて、規定の調整法に基づき、分化、培養した。
白色脂肪が増殖した培地を100μl吸引後、25mg/ml及び8.5mg/mlの濃度に水−エタノール(1:1)に溶解した生薬抽出物(乾燥品)を、各well当たり6μl加えた。その後wellに、194μlの脂肪細胞用培地を加え全量300μlとした。このwellを5%CO2、37℃で72時間培養した。なお、生薬抽出物の最終濃度は、0.5mg/ml及び0.17mg/mlである。
72時間後、上清の培地を3000rpm、15min遠心し、上清をレプチンの定量に供した。
レプチン量はLeptin(human)ELISAKit(BIOMOL社)を使用して測定した。
【0037】
【表1】


【0038】
表1に示すように、実施例1〜7のエキスは良好なレプチン産生抑制作用を示している。
【出願人】 【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
【出願日】 平成17年5月16日(2005.5.16)
【代理人】 【識別番号】100091731
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 千嘉

【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次

【識別番号】100105290
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 昭次

【公開番号】 特開2006−316020(P2006−316020A)
【公開日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願番号】 特願2005−142082(P2005−142082)