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【発明の名称】 血圧降下に有効なオリゴ糖エステル化物
【発明者】 【氏名】大野 智弘
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内

【氏名】稲垣毅
【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内

【要約】 【課題】安定性と安全性に優れ、価格面においても有利なアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤それらを含有する抗高血圧組成物を提供すること。

【解決手段】本発明は、アリラトースBを含有するアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤、抗高血圧組成物である。更には、医薬、食品用組成物として使用に供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学式(I)で表わされるオリゴ糖エステルのアリラトースBを含有することを特徴とするアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤。
化学式(I)
【化1】


【請求項2】
前記化学式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とするアンジオテンシンII2型受容体作動剤。
【請求項3】
前記化学式(I)で表わされる化合物かを含有することを特徴とするアドレナリンβ2受容体作動剤。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧抑制に有効な剤、オリゴ糖エステル化物に関する。
【背景技術】
【0002】
レニン−アンジオテンシン系はアルドステロン系と相俟って全身血圧、体内水分量、体内電解質バランスなどの恒常性調節機能に関与している。アンジオテンシンIIは、強力な昇圧作用を有するペプチドである。その前駆体であるアンジオテンシンIは、10個のアミノ酸より成るペプチドで肝臓で生成されるレニン基質に腎傍糸球体より分泌されるレニンが作用して生成される。これにアンジオテンシンI変換酵素(ACE)が働き、末端にあるヒスチジンとロイシンが外され、アンジオテンシンIIに変換される。
【0003】
アンジオテンシンIIは強力な血管収縮作用とアルドステロン分泌作用を有する昇圧物質であるが、アンジオテンシンIも単なる前駆物質ではなくカテコールアミンの遊離を促進するなどの生理活性を有することが明らかになっている。
また、レニン−アンジオテンシン系と高血圧症の関係については、強い血管収縮作用を有するアンジオテンシンIIが細胞膜上のアンジオテンシンII受容体を介してその作用を示す。具体的には、アンジオテンシンIIは、アンジオテンシンII1型受容体に結合することによって、血管収縮作用を起こす。アンジオテンシンII受容体には、いくつかのサブタイプが存在しており、そのうちアンジオテンシンII1型(AT1)受容体は、血管収縮作用を有し、アンジオテンシンII2(AT2)受容体は、血管拡張作用を有している。従って、AT1 受容体を拮抗または、AT2受容体を作動させることにより、血圧降下作用が期待できる。
エタノール抽出物から分離したACE阻害作用もしくはアンジオテンシン受容体拮抗作用を有する薬剤などは従来、経口剤として臨床応用されているが、対症治療剤であるため、長期間にわたる反復投与が要求される。このことから、患者の煩わしさを軽減するため、毎朝食後に1回投与する投与方式などがとられているが、服用後の血中活性体濃度の時間推移は一般の経口投与剤に共通するように、服用後3〜4時間で極大値を示し、その後低下するパターンを示す。高血圧症患者においては、夜間から就寝時および明け方の血圧上昇を抑制することが重要であり、午後あるいは夜間にも有効濃度を期待するためには、やや高めの投与量を処方することになるが、この種の薬剤においては投与量の調節が重要であって、高い投与量においては一時的にしても必要以上に高い血中濃度を経験することになり、そのことは目眩やふらつきなどの不快感を時として患者に与える恐れがある。さらに、服用の継続の必要性、他の経口投与用薬物との多剤同時服用など、この種の薬剤の経口投与には患者の負担を無視できないものがあり、また、服用の中断などによる病状の変化が起きる可能性もある。しかし、上述したような問題点を克服するような、長期間服用しても安全で尚且つ確実な治療を行うのに充分満足できるような天然物由来の医薬品や健康補助食品は、現在までのところ全く開発されていないのが現状である。
【0004】
人間の身体は、交感神経と副交感神経によってコントロールされている。交感神経刺激に反応する組織細胞の表面には、アドレナリン受容体があり、これにはαとβの2種類が存在する。α受容体を介する反応は一般的に興奮反応であり、平滑筋や血管の収縮を起こす。

一方、β受容体には3つのサブタイプが存在し、β1受容体刺激によって引起こされる心臓の反応は、心拍数、収縮力、自動性などの増加といった興奮反応であり、β2受容体刺激は、気管平滑筋、腸管平滑筋、子宮筋などの平滑筋の弛緩や血管の拡張、肝臓でのグリコーゲン分解と膵臓でのグルカゴンの分泌促進を引き起こす。また、脂肪細胞に局在しているβ3受容体の刺激は、脂肪分解を促進することが明らかとなっている。
【0005】
β2受容体に関して、これを刺激する化合物は、平滑筋の弛緩や血管の拡張をもたらし、気管支喘息や高血圧症、糖・脂質代謝改善の治療に応用されており、この観点から直接型β2作動薬として、イソプロテレノール(β2受容体作動薬(血管拡張剤);イソメニール、科研製薬株式会社)、サルブタモール(気管支拡張剤;ベネトリン錠、三共株式会社)、テルブタリン(気管支拡張剤;ブリカニール錠、藤沢薬品工業株式会社)、プロカテロール(気管支拡張剤;メプチン錠、大塚製薬株式会社)、フェノテロール(気管支拡張剤;ベロテック錠、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社)など多くの医薬品が開発されているが、これらのβ2受容体作動薬の投与により、副作用が出るかどうかには、かなり個人差があり、また、薬の種類によっても差があるが、動悸、顔のほてり、頻脈、胸痛、不整脈、血圧上昇、頭痛、めまい、不眠、興奮、耳鳴り、手指の震え、しびれ、手足・指がつる、口が乾く、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振、胃部不快感、便秘、過敏症(発疹、かゆみなど)、倦怠感、むくみなどの副作用を頻発する。また、抗うつ薬の1種である塩酸サフラジンや甲状腺ホルモン製剤であるレボチロキシンナトリウム、リオチロニンナトリウムなどの薬と併用することで、作用が増強し副作用が出易くなる。さらに、不整脈や心停止などの激しい副作用が出るため、強心剤のカテコラミン類との併用もできない。
【0006】
上記のような課題を解決すべく鋭意研究を重ね、種々の植物抽出物について探索を続けた結果、発芽玄米よりオリゴ糖エステルのアリラトースBを見出した。アリラトースBは、ヒメハギ科の植物より単離、同定されているが(非特許文献1)、日常食する発芽玄米より単離されたのは新知見である。

【特許文献1】特公平6−17307号公報
【特許文献2】特公平6−17307号公報
【特許文献3】特開2003−137767号公報
【非特許文献1】J.Nat.Prod. ,63,1066-1069,2000
【非特許文献2】伊藤幸彦他、発芽玄米摂取によるglycemic index(GI)、glycemic load(GL)及びインスリン反応、第2回日本glycemic index研究会プログラム(2003年)
【非特許文献3】Hypertension.2003,41(6):1380-5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はアリラトースBを含有するアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤、並びにこれらを利用した医薬、食品組成物を提供することを目的とするものである。アンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤は血圧降下作用を有し、アドレナリンβ2受容体作動剤は血管平滑筋弛緩作用、血管拡張作用、気管支拡張作用を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意研究を重ね、種々の植物抽出物について探索を続けた結果、発芽玄米のアリラトースBに、上記課題に対して、有効な作用があることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、以下の内容を要旨とするものである。
(1)次の化学式(I)で表されるアリラトースBを含有することを特徴とするアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤。
【0010】
化学式(I)
【化1】


【発明の効果】
【0011】
本発明によりアリラトースBを含有する安定性と安全性に優れ、価格面においても有利なアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤それらを含有する抗高血圧組成物を提供することができる。さらに、医薬、食品組成物とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、アリラトースB、これを含有するアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤、アドレナリンβ3受容体作動剤、並びにこれらを利用した医薬、食品組成物について説明する。
【0013】
まず、本発明のアリラトースBは、前記化学式(I)で表わされる化合物である。化学式(I)については、IUPAC名は(E)-((2R,3S,4S,5R,6R)-6-((2S,3S,4S,5R)-3,4-dihydroxy-2,5-bis(hydroxymethyl)-tetrahydroxy-3-methoxyphenyl)acrylateである。
本発明の前記化学式(I)で表わされるアリラトースBは、例えば、発芽玄米のエタノール抽出物から分離して入手することができる。
発芽玄米は、例えば次のような方法により入手できる。玄米をそのまま、あるいは玄米の一部を精米機あるいは無洗米機等で搗精して剥離・裂傷させ、得られた玄米を発芽槽(発芽用タンク)に浸漬する、あるいは発芽に必要な水分を添加する。搗精は、浸漬の後に行うこともできる。発芽の程度は、一般的には胚の部分から0.5mm〜2.0mm程度の膨らみ、あるいは突起部、幼芽が確認できる程度とされるが、発芽によるγ―アミノ酪酸などの栄養成分を分析し、栄養成分が最大となるように発芽時間を設定することもできる。発芽後は、加熱処理等を施して、発芽を停止させるが、その方法としては、蒸煮させても良いし、熱風あるいはマイクロウェーブ、冷却等の適当な方法により、温度処理あるいは乾燥させても良い。
【0014】
発芽玄米は血中コレステロール低下作用、血圧上昇抑制作用(特許文献1参照)、血糖上昇抑制作用(非特許文献2)を有することが知られている。
また、アリラトースBには、これまでに抗腫瘍作用(特許文献2)、抗老化作用(特許文献3参照)、血圧降下作用(非特許文献3)などが知られている。また、オリゴ糖には、αグルコシダーゼ阻害による血糖値降下作用などは知られているが、本発明のオリゴ糖エステルのアリラトースBには血圧低下作用は報告されていない。
本発明の前記化学式(I)で表わされるアリラトースBの製造方法としては、まず、上述のような発芽玄米から糠(デンプン部を含む)を採取し、それから、デンプンを膨化させるため、熱水で処理し、しばらく静置した後、そこに濃度50〜99.5質量%、好ましくは70〜99.5質量%のエタノールを加え、上清を濃縮乾固して、発芽米抽出エキスを得る。次に、発芽玄米抽出エキスから逆相HPLCなどでアリラトースBを分離精製することによって入手することができる。
【0015】
本発明のアンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤は、このようにして得られたアリラトースBをそのままその有効成分として使用してもよいし、或いは上記のようにして得た発芽玄米のエタノール抽出物をそのままの状態で含有する組成物として使用してもよい。このような組成物としては、本発明の効果を損なわず、悪影響を及ぼさない任意の種々の成分をその助剤、媒体または担体として使用し、これに本発明のアリラトースBを含有させることによって組成物を構成することができる。
【0016】
本発明のアリラトースBは、アンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤として使用する場合には、その適用量は、摂取者の年齢、体重、症状、適用経路、適用スケジュール、製剤形態などにより、適宜決定することができるが、例えば、経口投与の場合、アリラトースBの重量基準として、通常成人換算で0.0001〜0.5g/kg程度、より好ましくは0.001〜0.2g/kg程度で、1日数回に分けて投与してもよい。
【0017】
また、適当な基剤、担体、媒体や賦形剤とともに本発明のアリラトースBを配合することによって、アンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤とすることができる。
【0018】
本発明のアリラトースB、アンジオテンシンII1型受容体拮抗剤、アンジオテンシンII2型受容体作動剤、アドレナリンβ2受容体作動剤は、医薬又は食品用の経口組成物として使用することができる。
【0019】
医薬用としての本発明のアリラトースBの適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態として投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記の医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。
【0020】
食品用組成物としては、本発明のアリラトースBをそのまま、又は種々の栄養成分を加えて、又は飲食品中に含有せしめて、高血圧の治療及び予防に有用な保健用食品又は食品素材として使用することができる。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、経口用に適した形態、例えば顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用してもよい。本発明のアリラトースBの配合量は、当該食品または食品用素材の種類や状態等により適宜設定することができる。
【実施例1】
【0021】
次に、本発明を実施例によって更に詳しく説明する。以下の製造例、実施例、処方例は本発明の好ましい例を示すものであり、これに限定されるものではない。また、各例中の「%」は質量基準である。
1)アリラトースBの粗抽出
発芽玄米14kgから糠(デンプン部を含む)を4.1kg調整した。それから、デンプンを膨化させるため、熱水40Lを加えて30分ほど煮沸処理し、液温が40℃以下に下がるまで静置した後、そこに99.5%エタノール40Lを加えて攪拌した。それを4℃で一晩置き、上清を濃縮乾固して、発芽米抽出エキス100gを得た。
2)アリラトースBの精製・分取
得られた発芽米抽出エキス5gを用いて、以下の方法と条件によって分離精製した。

・機器構成:
中圧液体クロマトグラフィーシステム:Kronlab GmbH
逆相カラム:Polygoprep 60−50 RP−18(Macherey&Nagel)
・溶離液:
精製水100%、続いて、精製水100%→メタノール100%のグラジエント、続いて、イソプロパノール100%
・分取物
溶離液が精製水52%+メタノール48%付近で溶出した分画P(0.15g)、を得た。

3)分画Pの高速液体クロマトグラフィーによる分離
分画P0.15gを用いて、以下の方法と条件によって分離精製した。

・機器構成:
全自動分画・精製・分取システム:SEPBOXLight
分取カラム: Merck Select B 250×25mm、10μm
検出器:ELSD(Sedex75)
UV(Merck、254nm)
・溶離液:
流 速:15mL/min
溶離液:A・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸水溶液
B・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸のアセトニトリル:
メタノール=1:1溶液
グラジエント:
時間(分) A(%) B(%)
0.0 72 28
30.0 62 38
30.1 0 100
38.0 0 100


・分取物
分画Pからサンプル(a)6.9mgを分取した。

4)サンプル(a)の高速液体クロマトグラフィーによる純度確認、並びに保持時間の確認
・機器構成:
HPLCシステム:Merck Hitachi
分析カラム: Merck Select B 250×4mm、5μm
検出器:ELSD(Sedex75)
・溶離液:
流 速:1mL/min
溶離液:A・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸水溶液
B・・・0.5mMギ酸アンモニウム、0.1%ギ酸のアセトニトリル:メタノール=1:1溶液
メタノール=1:1溶液
グラジエント:
時間(分) A(%) B(%)
0.0 85 15
30.0 0 100
40.0 0 100

本分析条件により、サンプル(a)の純度と保持時間を確認した。保持時間は9.2分である。
【0022】
5)サンプル(a)の構造決定
上記の3)で分取したサンプル(a)について、LC/MS分析装置及びNMR分析装置を用いて化合物の構造決定を行なった。
【0023】
LC/MS分析の溶離液は4)と同じものを用い、グラジエント条件は適宜調整した。MSシステムはPE-Sciex API150(+/(-)-ESI、Fast-Switching-Mode)を使用した。
【0024】
尚、H−NMR、HSQC、HMBC、HH−COSYは共鳴周波数400MHzあるいは500MHzで測定した。13C−NMRのスペクトルはHMBC、HSQCの手法を用いて帰属した。溶媒は重メタノールを用い、化学シフト基準に使用した(H−NMR3.30ppm、13C−NMR49.0ppm)。
サンプル(a)のLC/MSとNMRのデータを以下に示す。
LC/MS
(+)−ESI:536[M+NH]、357[M−C6H10O5+H]、177[C10NO]
(-)−ESI:547[M+HCOO]、517[M−H]
H−NMR
スペクトルの帰属と化学シフトを表1に示す。
【0025】
【表1】


以上により、サンプル(a)はアリラトースBと同定された。
【実施例2】
【0026】
次に、上記のようにして得たアリラトースBについて、以下に記載する方法によってアンジオテンシン受容体結合試験を行った。

アンジオテンシン受容体結合試験 (AT1 、AT2
(試験方法)[ヒトアンジオテンシンII1型受容体、ヒトアンジオテンシンII2型受容体への結合試験評価]

ヒトアンジオテンシンII1型(AT1)受容体への結合試験評価は、Derk J.Bergsmaらの方法(BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCHCOMMUNICATIONS,183(3) 989−995,1992)を一部改変して行った。

AT1受容体を発現させたチャイニーズハムスター卵巣細胞(以下、CHO細胞と略す)を10mMの塩化マグネシウム、0.1%グルコース及び0.2%ウシ胎児血清を含むダルベコのリン酸塩緩衝液(以下、DPBS++と略す)を用いて十分に洗浄する。それから、遠心分離を行い、得られた沈殿部分の膜画分を、氷冷しておいたトリス緩衝液[5mM 塩化マグネシウム、1mMエチレンジアミン四酢酸、0.1%牛血清アルブミンを含む50mM トリス−塩酸(pH7.4)]を用いて希釈した。

放射リガンド結合試験は、放射リガンドとして0.05nMの[125I]標識した[sar1,Ile8]アンジオテンシンII(以下、SIAと略す)(New England
Nuclear社製、比活性:2200Ci/mmol)を用い、調整した膜画分(10μg/ml)と実施例1で得られたアリラトースB(最終濃度:10及び30μg/ml)を加えて37℃で60分間反応させた。また、非特異的結合は10μM の非放射標識アンジオテンシンIIを用いた。 反応後、ガラスフィルター(Model 701、Skatron Inc.製)を用いて、SIAと結合した膜標品を分離するために瀘過を行ない、2回、上述のトリス緩衝液5mlにて洗浄した。このガラスフィルターをバイアルに入れ、アクアゾール(液体シンチレーション用カクテル)と混合し、液体シンチレーションカウンターにて結合SIA量を測定し、親和性(%)を次式より算出した結果を表2に示した。
親和性(%)=100−〔(C−B)/(C0 −B)〕×100
(式中、C1 は、既知量の供試化合物とSIAが共存している状態でのSIAの膜に対する結合量を表わし、C0
は、供試化合物を除いた時のSIAの膜に対する結合量を表わし、Bは、過剰の非放射標識アンジオテンシンII存在下でのSIAの膜に対する結合量を表わす。)なお、本測定系におけるAT1受容体拮抗剤であるsaralasinのIC50値は、2.4nMであった。
ヒトアンジオテンシンII2型(AT2)受容体への結合試験評価は、TSUZUKIらの方法(BIOCHEMICALAND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS,200(3) 1449−1454,1994)を一部改変して行った。試験は、上記にあるAT1受容体への結合試験と同様に行った。なお、本測定系におけるAT2受容体拮抗剤であるsaralasinのIC50値は、0.13nMであった。結果からもわかるように、本発明のアリラトースBが、アンジオテンシン受容体に作用を有することがわかる。

(結果)
【0027】
【表2】


【実施例3】
【0028】
次に、上記のようにして得たアリラトースBについて、以下に記載する方法によってアドレナリン受容体結合試験を行った。

アドレナリン受容体結合試験 (β2
(試験方法)

アリラトースBのアドレナリンβ2受容体への結合試験は、SMITH,Cらの方法(Cardiovasc.Drugs Ther.,13,123−126(1999))を、一部改変して行った。

すなわち、ヒトアドレナリンβ2受容体を発現させた昆虫細胞sf9から膜画分を調製し、遠心分離を行い、得られた沈殿部分の膜画分を、氷冷しておいたトリス緩衝液[10mM 塩化マグネシウム、2mMエチレンジアミン四酢酸を含む50mM トリス−塩酸(pH7.4)]を用いて希釈した。

放射リガンド結合試験は、放射リガンドとして0.15nMの[3H]標識した(−)CGP12177(Amersham)を用い、調整した膜画分(10μg/ml)と実施例1で得られたアリラトースB(最終濃度:10及び30μg/ml)を加えて22℃で60分間反応させた。また、非特異的結合は50μM のalprenololを用いた。 反応後、ガラスフィルター(Model 701、Skatron Inc.製)を用いて、[3H]標識した(−)CGP12177と結合した膜標品を分離するために瀘過を行ない、2回、上述のトリス緩衝液5mlにて洗浄した。このガラスフィルターをバイアルに入れ、アクアゾール(液体シンチレーション用カクテル)と混合し、液体シンチレーションカウンターにて結合[3H]標識(−)CGP12177量を測定し、親和性(%)を次式より算出した結果を表3に示した。
親和性(%)=100−〔(C−B)/(C0 −B)〕×100
(式中、C1 は、既知量の供試化合物と[3H]標識(−)CGP12177が共存している状態での[3H]標識(−)CGP12177の膜に対する結合量を表わし、C0 は、供試化合物を除いた時の[3H]標識(−)CGP12177の膜に対する結合量を表わし、Bは、過剰(50×10−6M)のalprenolol存在下での[3H]標識(−)CGP12177の膜に対する結合量を表わす。)

なお、本測定系におけるポジティブコントロールとしてのアドレナリンβ2受容体遮断薬であるICI118551のIC50値は、1.7nMであった。
結果からもわかるように、本発明のアリラトースBが、アドレナリン受容体に作用を有することがわかる。

(結果)
【0029】
【表3】


【実施例4】
【0030】
次に、以下に、本発明のアリラトースBの具体的な使用形態である医薬、食品としての処方例を示す。

処方例1: 高血圧の予防、治療用の組成物(錠剤)
上記の実施例1で得られた化学式(I)で表わされるアリラトースBを用いて、常法により下記の配合組成の高血圧の予防、治療用の錠剤を製造した。
【0031】
(組 成) (質量%)
アリラトースB 2.0
乳 糖 77.0
コーンスターチ 20.0
グアーガム 1.0

処方例2:ジュース
上記の実施例1で得られた化学式(I)で表わされるアリラトースBを用いて、常法により下記の配合組成のジュースを製造した。
【0032】
(組 成) (質量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
香 料 0.2
色 素 0.1
アリラトースB 0.2
水 83.28

【出願人】 【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
【住所又は居所】神奈川県横浜市中区山下町89番地1
【出願日】 平成17年5月13日(2005.5.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2006−316017(P2006−316017A)
【公開日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願番号】 特願2005−141996(P2005−141996)