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【発明の名称】 水性皮膚化粧料
【発明者】 【氏名】山村 由子
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】鈴木 一明
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【要約】 【課題】使用感がみずみずしく、肌へのなじみや浸透感に優れる水性皮膚化粧料を提供する。

【解決手段】少なくとも一つの水溶性界面活性剤を配合し、表面張力が33mN/m(25℃)以下、かつ粘度が2.5mPa・s(22℃)以下であることを特徴とする水性皮膚化粧料。本発明の化粧料において、界面活性剤がフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤もしくはアニオン性界面活性剤から選ばれる水溶性界面活性剤であることが好適である。また、本発明の化粧料において、Lab表色系におけるL値が40以上であることが好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの水溶性界面活性剤を配合し、静的表面張力が33mN/m(25℃)以下、かつ粘度が2.5mPa・s(22℃)以下であることを特徴とする水性皮膚化粧料。
【請求項2】
請求項1記載の化粧料において、界面活性剤がフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤もしくはアニオン性界面活性剤から選ばれる水溶性界面活性剤であることを特徴とする水性皮膚化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2記載の化粧料において、Lab表色系におけるL値が40以上であることを特徴とする透明乃至半透明の水性皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は水性皮膚化粧料、特に使用感がみずみずしく、肌へのなじみや浸透感などに優れる水性皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水に代表される水性皮膚化粧料は、基礎化粧料には欠かせないアイテムの一つであり、主として肌に水分や保湿成分などを補給するために使用される。
大部分が水である化粧水は油性化粧料にはないみずみずしい使用感ではあるが、肌は基本的に親油性であるため、肌へのなじみ感や浸透感という点で劣る。
一方、界面活性剤により表面張力が低下し、ぬれ性がよくなることは一般に知られているが、単に界面活性剤を配合してもみずみずしさと肌へのなじみ感、浸透感に優れたものが得られないのが現状であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記背景技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、使用感がみずみずしく、肌へのなじみや浸透感に優れる水性皮膚化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、表面張力と粘度を特定の値以下とすることにより、みずみずしい使用感で、しかも肌へのなじみや浸透感が高く、使用後は肌がやわらかく感じられる水性皮膚化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる水性皮膚化粧料は、少なくとも一つの水溶性界面活性剤を配合し、静的表面張力が33mN/m(25℃)以下、かつ粘度が2.5mPa・s(22℃)以下であることを特徴とする。
本発明の化粧料において、界面活性剤がフッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤もしくはアニオン性界面活性剤から選ばれる水溶性界面活性剤であることが好適である。
また、本発明の化粧料において、Lab表色系におけるL値が40以上である透明乃至半透明化粧料であることが好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、水性皮膚化粧料において表面張力と粘度を特定の値以下とすることにより、みずみずしい使用感で、しかも肌へのなじみや浸透感が高く、使用後は肌がやわらかく感じられるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
水性皮膚化粧料は、その大部分が水である。水の表面張力は約72mN/m(25℃)である。
化粧水においては通常保湿剤やその他の成分が配合されるため、表面張力が約72mN/m(25℃)以下となることがある。しかしながら、界面活性剤を配合しない場合には、水性皮膚化粧料として使用感触に耐え得るような保湿剤やその他の成分の配合量においては、表面張力は最も低くても50mN/m程度までしか低下しない。
本発明においては、肌へのなじみや浸透感を高め、使用後は肌のやわらかさが実感できる化粧料とするために、水溶性界面活性剤を配合して化粧料の表面張力を33mN/m以下(25℃)に低下させる。表面張力がこれ以上であると、肌へのなじみや浸透感、使用後の肌のやわらかさにおいて、十分な効果が得られない。
【0007】
界面活性剤を配合したことによる静的表面張力は通常cmc(ミセル臨界濃度)で最低となり、cmc濃度以上を配合してもほぼ同程度である。よって、界面活性剤は少なくともcmc濃度で水の表面張力を33mN/m以下(25℃)とすることができるものでなけらばならず、できるだけ少量で表面張力を低下させることができるものが好ましい。
このような界面活性剤として、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤もしくはアニオン性界面活性剤が好適に使用できる。
【0008】
水溶性のフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等のアニオン性フッ素系界面活性剤や、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキルエステル等の非イオン性フッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0009】
また、水溶性のシリコーン系界面活性剤としては、POE変性オルガノポリシロキサン、POE・POP変性オルガノポリシロキサン、POEソルビタン変性オルガノポリシロキサン、POEグリセリル変性オルガノポリシロキサンなどの親水基で変性されたオルガノポリシロキサン、好ましくは変性ジメチルポリシロキサンが挙げられる。本発明においてより好ましくは、POE変性ジメチルポリシロキサンであり、例えば、FZシリーズ(東レダウコーニングシリコーン社)が挙げられる。
【0010】
また、水溶性のアニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、硫酸化脂肪酸モノグリセリドナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ケリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸ナトリウム、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0011】
界面活性剤の分子量は特に制限されないが、200〜10万が好適である。200未満の場合には皮膚刺激性などの懸念があり、10万を超えるとぬめり感など使用感に影響を及ぼすことがある。
界面活性剤の配合量としては、多すぎると使用感を損なうことがあるので、化粧料中1%以下とすることが好ましい。
また、本発明の化粧料の粘度は2.5mPa・s(22℃)以下とする。水の粘度は約0.8mPa・s(22℃)であるが、保湿剤や水溶性高分子、その他の配合成分により粘度が2.5mPa・sを超えると、化粧料の表面張力が低くても肌へのなじみや浸透感に欠ける。
【0012】
本発明の水性皮膚化粧料大部分は水であり、化粧料中75質量%以上であることが好ましい。水が少なすぎると他の成分を多量に配合することとなり、みずみずしさや肌へのなじみ、浸透感などが得られないことがある。
本発明においては、水に上記必須成分を溶解して水性皮膚化粧料とすることができるが、本発明の条件・効果を損なわない範囲で、通常化粧料に配合可能なその他の成分を配合することができる。例えば、低級アルコール、保湿剤、水溶性高分子、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、美白剤、紫外線吸収剤、油分、ビタミン類、アミノ酸類、その他各種薬効成分、粉末、香料、色材、界面活性剤などが挙げられる。
【0013】
保湿剤としては、具体的にはポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0014】
保湿剤やその他の水溶性成分を配合する場合には、25質量%以下、さらには20質量%以下とすることが好適である。特に水溶性高分子類はぬめり感など使用感に影響を及ぼすので、配合はなるべく避けるのが好ましい。
【0015】
本発明の化粧料において、油分等の非水溶性成分の量が多かったり、油滴径あるいはミセル径が大きかったりすると、油っぽい感触が生じてみずみずしい感触に欠けるので好ましくない。みずみずしさの指標として、Lab表色系(Hunter Lab system)におけるL値が採用できる。本発明の化粧料においては、みずみずしさの点でL値が40以上、さらには60以上であることが好ましい。
【0016】
L値は化粧料の外観から大体判別でき、L値=40では半透明で、L値が上昇するに従って外観は透明となり、L値=100では透明である。完全可溶化系で透明な外観を有するものはみずみずしさの点では最も好適であるが、肌へのなじみという点ではL値は99以下であることが好ましい。
【0017】
高圧乳化機などにより油分を微粒子化して外観上半透明〜透明とする技術があるが、このような場合でも油分等の非水溶性成分が多くなると、たとえL値が40以上であっても油っぽい感触を生じ、みずみずしい感触に欠けることがある。よって、本発明の化粧料に非水溶性成分を配合する場合は7質量%未満、さらには5質量%未満とすることが好適である。
【0018】
本発明の水性皮膚化粧料の製品形態は、特に制限されず、化粧水の他、美容液、ボディローション、シェービングローションなどが挙げられる。
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量は特に指定のない限り質量%で示す。本発明で用いた試験方法は次の通りである。
【0019】
[表面張力]
水性皮膚化粧料を希釈せずにそのまま試料とし、針先から液滴を滴下する直前の液滴の形状と比重や表面張力との釣り合いによる力学計算により(ペンダントドロップ法)、測定した表面張力の値を用いている。測定機器にはFACE自動接触角計CA-V150(協和界面科学製)・計算プログラムにはFAMAS ver1.7(協和界面科学製)を用いた。
[粘度]
水性皮膚化粧料を希釈せずにそのまま試料とし、試料中で2枚の金属板を振動させたときの共振周波数から算出した粘度の値を用いている。測定機器には音叉型振動式粘度計CJV5000(エーアンドデイ製)を用いた。
[L値]
水性皮膚化粧料を希釈せずにそのまま試料とし、光路長10mmの透明セルにいれて透過光を測定したときのLab表色系におけるL値(Hunter Lab)を用いている。測定機器にはColor-Eye 7000A(Gretag Macbeth製)を用いた。
【0020】
[使用感の官能評価]
専門パネラー20名に使用してもらい、「みずみずしい感触」「肌へのなじみ」「肌への浸透感」「使用後の肌のやわらかさ」についてアンケートを行った。各項目について良好としたパネラーの数により、次のように判定した。
◎:良好と回答したパネラーが18〜20名
○:良好と回答したパネラーが15〜17名
△:良好と回答したパネラーが10〜14名
×:良好と回答したパネラーが0〜9名
【実施例】
【0021】
試験例1 表面張力の影響
下記表1の処方で化粧水を得た。製法は、A部をB部に添加し、可溶化して化粧水を得た。得られた化粧水は、何れも透明であった。
表1の試料4〜5のように、表面張力が高いと肌へのなじみ感や浸透感、使用後の肌のやわらかさにおいて不十分であった。試料4〜5において界面活性剤を増量した場合(試料6〜7)でも表面張力はほとんど変化せず、かえって、みずみずしさが低下した。
これに対して、界面活性剤として特定のシリコーン系界面活性剤を用いて表面張力を33mN/m以下と非常に低くすると、みずみずしく、しかも肌へのなじみ感や浸透感、使用後の肌のやわらかさが非常に優れた化粧水となった。
【0022】
【表1】


【0023】
試験例2 粘度の影響
下記表2の処方で化粧水を得た。製法は、A部をB部に添加し、可溶化して化粧水を得た。得られた化粧水は、何れも透明であった。
表2の試料8〜10のように粘度が2.5mPa・s以下と低い場合に比べて、試料11〜13のように保湿剤や水溶性高分子などの影響により粘度が高くなると、表面張力が25mN/mと低くても、みずみずしさや肌へのなじみ感や浸透感、使用後の肌のやわらかさにおいて不十分となった。
このような結果から、本発明の化粧料の粘度は2.5mPa・s以下とすることが好適である。
【0024】
【表2】


【0025】
試験例3 L値の影響
下記表3の処方で化粧水を得た。製法は、B部のジプロピレングリコールに、A部を加熱混合溶解し、これをC部に添加して、化粧水を得た。
表3のように、表面張力が33mN/m以下、粘度が2.5mPa・s以下であっても、試料18のように油分量が多くなってL値が低く白濁すると、みずみずしさが損なわれる。一方、試料18と同じ組成でも高圧乳化機により微細乳化してL値が40以上となると、みずみずしさは良好なままであった(試料19)。
よって、本発明の化粧料においては、L値が40以上、さらには60以上であることが好適である。
【0026】
【表3】


【0027】
以下、本発明の化粧料の処方例を示す。
処方例1 可溶化系美白化粧水
(A部)
エタノール 10 質量%
POE(24)・POP(13)・2−デシルテトラデシルエーテル 0.3
シリコーン系界面活性剤(FZ2412) 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
フェノキシエタノール 0.1
香料 微量
(B部)
グリセリン 2
POE(14)POP(7)ジメチルエーテル 1
ジプロピレングリコール 0.5
1,3−ブチレングリコール 0.5
アスコルビン酸グルコシド 2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
精製水 残余
【0028】
(製法)
A部をB部に添加し、可溶化して化粧水(表面張力24mN/m、粘度2.1mPa・s、L値100)を得た。
【0029】
処方例2 半透明美白化粧水
(A部)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.2質量%
POE(60)硬化ヒマシ油 0.2
イソポリグリセリル−3−ジメチコン 0.3
スクワラン 0.01
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.05
ジメチルポリシロキサン(20cs) 0.01
流動パラフィン 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.17
香料 微量
(B部)
グリセリン 1
1,3−ブチレングリコール 2
(C部)
シャクヤク抽出液 0.3
水酸化カリウム 適量
アスコルビン酸グルコシド 2
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
オドリコソウエキス 0.1
ヨモギ抽出液 0.3
ハマメリスエキス 0.1
カミツレ抽出液 0.5
精製水 残余
【0030】
(製法)
A部とB部とを混合溶解し、これをC部に添加して半透明化粧水(表面張力29mN/m、粘度1.3mPa・s、L値63)を得た。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目5番5号
【出願日】 平成17年5月11日(2005.5.11)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司

【公開番号】 特開2006−315973(P2006−315973A)
【公開日】 平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願番号】 特願2005−138238(P2005−138238)