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【発明の名称】 磁性ゲル粒子及びその製造方法とこの磁性ゲル粒子を用いるドラッグデリバリー
【発明者】 【氏名】中山 泰秀

【氏名】根本 泰

【要約】 【課題】温和な条件で製造することができ、従って、生理活性物質の変質も防止されるゲル粒子であって、体外から又は体内へ挿入したデバイスから印加する磁力によって疾患部位へゲル粒子を集合、局在化させて効率的に患部を治療することができる磁性ゲル粒子を提供する。

【解決手段】(A)鉄塩(II)を含む水溶液と、(B)塩基性物質を含む水溶液と、(C)アスコルビン酸を含む水溶液とを親油性液体中へ懸濁混合し、次いで、この懸濁液に、(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液を懸濁混合し、その後、この混合液に可視光を照射することにより分散粒子を光架橋させて磁性ゲル粒子を製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)鉄塩(II)を含む水溶液と、
(B)塩基性物質を含む水溶液と、
(C)アスコルビン酸を含む水溶液と
を親油性液体中へ懸濁混合し、次いで、この懸濁液に、
(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液、或いは(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液と(E)生理活性物質を含む水溶液
を懸濁混合し、その後、この懸濁液に可視光を照射することにより、懸濁液中の分散粒子に含まれる高分子化合物を光架橋させてゲル粒子を得ることを特徴とする磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項2】
前記鉄塩(II)がハロゲン化鉄(II)である請求項1記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項3】
前記塩基性物質が、アミノ基、N−アルキルアミノ基及びN,N−ジアルキルアミノ基よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を有する化合物である請求項1又は2に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項4】
前記高分子化合物が、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ケラタン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、エラスチン、ヘパラン硫酸、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、オステオネクチン、エンタクチン、ガゼイン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシドールの側鎖エステル化体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、環状エステルの重合体、ポリビニルアルコールヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項5】
前記生理活性物質が、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗がん剤、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、並びに、RNA及び/又はDNAを導入したベクターよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項6】
前記キサンテン系色素がエオシンである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項7】
前記親油性液体が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及び天然油よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項8】
前記高分子化合物がゼラチンである請求項4ないし7のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項9】
キサンテン系色素で修飾した高分子化合物が、ゼラチン1分子中に1個〜10個のキサンテン系色素分子を導入したものである請求項8に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項10】
キサンテン系色素で修飾した高分子化合物が、ゼラチン1分子中に2個〜6個のキサンテン系色素分子を導入したものである請求項9に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項11】
製造されたゲル粒子の直径が2nm〜200μmである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の磁性ゲル粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のゲル粒子の製造方法により製造された磁性ゲル粒子。
【請求項13】
請求項12に記載の磁性ゲル粒子を含むドラッグデリバリー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)等に用いられる、磁力によって疾患部位へ集合させることができる磁性ゲル粒子及びその製造方法と、この磁性ゲル粒子を用いたドラッグデリバリーに関する。
【背景技術】
【0002】
pH応答性カプセルや経時的に溶解するカプセルなどを利用した経口投与DDSは古くから行われてきたが、近年は、生理活性物質を失活させず、また細胞に傷害を与えることなくゲル内に包埋、封入した数ナノメーター径〜数百ナノメーター径のゲル粒子を静注や経皮経管的手法などで血液中へ直接投与してDDSに用いることが検討されている。
【0003】
このようなゲル粒子の製造方法として、下記非特許文献1及び2がある。非特許文献1及び2では、ベンゾフェノンで修飾した、ゼラチンやポリエチレングリコールに紫外線を照射して架橋し、不溶化させることでゲル粒子を得る。ベンゾフェノンは、紫外光照射すると、プロトン引き抜き反応により分子内にラジカルを発生するため、この反応を利用して、ラジカル重合の開始剤として使用されている。
【非特許文献1】S.Nishi et al, b-FGF Impregnated Hydrogel Micropheres, ASAIO J, 405-410, 1998
【非特許文献2】中山泰秀,光硬化型親水性高分子,人工臓器28,250-255,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1及び2に記載のゲル粒子は、生体適合性に優れるゼラチンを骨格としたゲル粒子に生理活性物質を担持させたものであるため、血管内へ投与できる可能性がある。しかしながら、このようなゲル粒子を血管内へ投与することが、生理活性物質単体を投与することと比較して優位性があるかについては疑問視されている。
【0005】
その理由は以下の通りである。
即ち、紫外線を利用して架橋反応を行うため、担持させた生理活性物質の一部又は全部が失活している可能性がある。更に大きな問題として、このようなゲル粒子を血管内へ投与した場合、肝臓、脾臓、肺、腎臓など貧食細胞系の細胞が多い臓器などでは異物の取り込みが盛んに行われている関係で、ゲル粒子が取り込まれ、結果的に生理活性物質が放出されるのでDDSの効果がある程度は期待できるものの、心筋細胞、神経細胞、血管内皮や毛細血管などではこれらゲル粒子の取り込みは行われない。そのためゲル粒子からの生理活性物質の放出は濃度勾配による拡散現象に依存せざるを得ないが、血管内では血流のためにゲル粒子が局在化する時間が短いため、生理活性物質の放出速度が極端に速くなければDDSへの利用は困難である。
【0006】
本発明は、温和な条件で製造することができ、従って、生理活性物質の変質も防止されるゲル粒子の製造方法であって、体外から又は体内へ挿入したデバイスから印加する磁力によって疾患部位へゲル粒子を集合、局在化させて効率的に患部を治療することができる磁性ゲル粒子と、この方法によって製造された磁性ゲル粒子と、この磁性ゲル粒子を含むドラッグデリバリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(請求項1)のゲル粒子の製造方法は、
(A)鉄塩(II)(以下「(A)成分」と称す場合がある。)を含む水溶液と、
(B)塩基性物質(以下「(B)成分」と称す場合がある。)を含む水溶液と、
(C)アスコルビン酸(以下「(C)成分」と称す場合がある。)を含む水溶液と
を親油性液体中へ懸濁混合し、次いで、この懸濁液に、
(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物(以下「(D)成分」と称す場合がある。)及び(E)生理活性物質(以下「(E)成分」と称す場合がある。)を含む水溶液、或いは(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液と(E)生理活性物質を含む水溶液
を懸濁混合し、その後、この懸濁液に可視光を照射することにより、懸濁液中の分散粒子に含まれる高分子化合物を光架橋させてゲル粒子を得ることを特徴とする。
【0008】
請求項2の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1において、前記鉄塩(II)がハロゲン化鉄(II)であることを特徴とする。
【0009】
請求項3の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1又は2において、前記塩基性物質が、アミノ基、N−アルキルアミノ基及びN,N−ジアルキルアミノ基よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を有する化合物であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記高分子化合物が、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ケラタン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、エラスチン、ヘパラン硫酸、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、オステオネクチン、エンタクチン、ガゼイン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシドールの側鎖エステル化体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、環状エステルの重合体、ポリビニルアルコールヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド及びポリビニルピロリドンよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0011】
請求項5の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記生理活性物質が、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗がん剤、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、並びに、RNA及び/又はDNAを導入したベクターよりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記キサンテン系色素がエオシンであることを特徴とする。
【0013】
請求項7の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記親油性液体が炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及び天然油よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
【0014】
請求項8の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項4ないし7のいずれか1項において、前記高分子化合物がゼラチンであることを特徴とする。
【0015】
請求項9の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項8において、キサンテン系色素で修飾した高分子化合物が、ゼラチン1分子中に1個〜10個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とする。
【0016】
請求項10の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項9において、キサンテン系色素で修飾した高分子化合物が、ゼラチン1分子中に2個〜6個のキサンテン系色素分子を導入したものであることを特徴とする。
【0017】
請求項11の磁性ゲル粒子の製造方法は、請求項1ないし10のいずれか1項において、製造されたゲル粒子の直径が2nm〜200μmであることを特徴とする。
【0018】
本発明(請求項12)の磁性ゲル粒子は、このような本発明の磁性ゲル粒子の製造方法により製造されたものである。
【0019】
本発明(請求項13)のドラッグデリバリーは、このような本発明の磁性ゲル粒子を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のゲル粒子の製造方法にあっては、例えば、上記(A)の鉄塩(II)が親油性液体中で水相へ分散された後に(B)の塩基性物質が懸濁混合されることで鉄塩(II)は鉄水酸化物(II)となり、さらに鉄水酸化物(II)を触媒とする(C)のアスコルビン酸の分解により発生するラジカル酸素で酸化されて磁性粒子である四酸化三鉄粒子となる。この酸化反応は、定量的に反応が進行するため生成するナノサイズの四酸化三鉄粒子の粒子径が揃うという効果がある。
【0021】
さらに生成した四酸化三鉄粒子は、親油性液体中で(D)の高分子化合物で被覆される際に該粒子の表面に存在するアスコルビン酸が該高分子化合物中に存在するキサンテン系色素による架橋反応に必要なラジカルカウンター、所謂、ハイドロゲントナーとして作用して四酸化三鉄粒子を包埋するように不溶化される。このアスコルビン酸をハイドロゲントナーとした光架橋反応は、可視領域の光により架橋されるため、熱や光などエネルギー負荷に弱い生理活性物質であっても失活させることなく、これを外殻高分子ゲル層へ含有させた磁性ゲル粒子を得ることができる。
【0022】
このようにして得られた、本発明の磁性ゲル粒子は、DDS療法において血管内投与後に、磁力によって疾患部位へゲル粒子を集合させて効率的に患部を治療することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で使用する(A)鉄塩(II)を含む水溶液の2価の鉄塩としては、特に制限はないが、塩化鉄、臭化鉄などのハロゲン化鉄(II)を好適に使用することができる。これらの鉄塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0024】
(A)鉄塩(II)を含む水溶液中の鉄塩(II)の濃度としては、0.01〜1モル/リットルの範囲が好ましい。この濃度が0.01モル/リットルよりも低いと得られるゲル粒子の磁気が低くなり、1モル/リットルよりも高いとゲル粒子の粒子径が大きくなってしまう。
【0025】
(B)塩基性物質を含む水溶液の塩基性物質としては、鉄塩(II)から水酸化鉄を生成させるために系のpHを中性〜アルカリ性とすることができれば如何なるものも使用可能であり、一般に、無機化合物のアルカリ金属水酸化物やアミン類が使用可能であるが、後述の(C)アスコルビン酸の光架橋反応時のハイドロゲンドナーとしての性質を補助してキサンテン系色素の架橋反応を加速させる効果を期待して、塩基性物質としては、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基を有する化合物、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジメチルアミン、ジメチルアミノ安息香酸ナトリウム、2-ジメチルアミノエタノール、N-メチル-2-ピロリジノン、ジメチルアミノプロピル酢酸ナトリウム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアクリルアミドオリゴマー、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレートオリゴマー、N-(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドオリゴマー等を使用することが好ましい。これらの塩基性物質は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0026】
(B)塩基性物質を含む水溶液中の塩基性物質濃度としては、過度に高濃度であると、(C)のアスコルビン酸、(D)のキサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)の生理活性物質の縮合、分解、変性、失活などを惹起する可能性があり、過度に低濃度であると鉄塩(II)から水酸化鉄を形成させにくくなり、結果、磁性体である四酸化三鉄を形成できなくなるため、0.01〜10.0モル/L程度であることが好ましく、このような濃度範囲で行うことで、アスコルビン酸の分解によるラジカルの発生速度と四酸化三鉄の生成速度を調和させることが可能となる。
【0027】
(C)アスコルビン酸は、水酸化鉄との接触でラジカル酸素を発生させて水酸化鉄を四酸化三鉄へ酸化させるのと同時に、該四酸化三鉄粒子を被覆するように、後述の(D)成分のキサンテン系色素で修飾した高分子化合物の層が光架橋、不溶化されて形成される際のハイドロゲンドナーとして作用する。つまり、光照射によるキサンテン系色素の架橋反応においてラジカルのカウンターであるハイドロゲンドナーとして作用する。
【0028】
もちろんアスコルビン酸の他にさらにハイドロゲンドナーとしてシステイン類、チオール類、アルコール類、還元糖、ポリフェノール類などを添加して架橋反応を加速させることも可能であるが、必須の構成要素ではない。
【0029】
(C)アスコルビン酸を含む水溶液中のアスコルビン酸濃度としては、過度に高濃度であると水酸化鉄(II)の酸化速度が増大し、酸化反応で生成する微粒子の二次粒子の成長が促進するために、結果、四酸化三鉄粒子の粒子径が大きくなったり、不均一になったりする可能性がある。逆に過度に低濃度であると、溶液が酸性側へシフトし、水酸化鉄(II)の生成が効率良く行われなくなったり、発生するラジカル酸素の量が不足する可能性があるため、0.1〜10.0モル/L程度であることが好ましい。
【0030】
(D)のキサンテン系色素で修飾した高分子化合物は、可視光の照射によりラジカルを発生してゲル化する物質として用いられる。キサンテン系色素で修飾された高分子化合物の高分子化合物としては、具体的には、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ヒアルロン酸、ケラタン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、エラスチン、ヘパラン硫酸、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、オステオネクチン、エンタクチン、ガゼイン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリシドール、ポリグリシドールの側鎖エステル化体、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、環状エステルの重合体、ポリビニルアルコールヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体、ヒドロキシエチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体、アルギン酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。また、ここでいう環状エステルの重合体としては、炭素数2〜14の環状エステル化合物を開環重合することによって合成することができる。かかる環状エステル化合物の例としては、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、カプリロラクトン、ラウロラクトン、バルミトラクトン、ステアロラクトン、グリコシド、ラクチド、クマリン、クロトラクトン、α−アンゲリカラクトンやβ−アンゲリカラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン及びトリメチレンカーボネートなどを挙げることができる。
【0031】
(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0032】
この(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物におけるキサンテン系色素としてはエオシンが好適であり、(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物としてはエオシン化ゼラチンが好適である。このエオシン化ゼラチンについては後に記述するが、ゼラチンをキサンテン系色素で修飾する場合、ゼラチン1分子に対するキサンテン系色素分子の導入数は10個以下が好ましく、特に2〜6個であることが好ましい。この導入数が10よりも多いと、ゼラチンが水へ難溶となり、最終的にはゲル粒子が硬くなる。
【0033】
(E)生理活性物質としては、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、フォルマコリン、バピプロスト、プロスタモリン、プロスタキリン同族体、デキストラン、ローフェプローアルグクロロメチルケトン、デイピリダモール、グリコプロテインの血小板膜レセプタ抗体、組換え型ヒルジン、トロンビン抑制剤、脈管ペプチン、脈管テンシン転換酵素抑制剤、ステロイド、繊維芽細胞成長因子アンタゴニスト、フィッシュオイル、オメガ3ー脂肪酸、ヒスタミン、アンタゴニスト、HMG−CoAリダクテース抑制剤、セラミン、セロトニン阻止抗体、チオプロテイース抑制剤、トリマゾールピリデイミン、インターフェロン、ラパマイシン、FK506、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、形質転換増殖因子α、インスリン様増殖因子、インスリン様増殖因子結合蛋白、肝細胞増殖因子、血管内皮増殖因子、アンジオポイエチン、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、形質転換増殖因子β、潜在型形質転換増殖因子β、アクチビン、骨形質タンパク、繊維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子β、二倍体繊維芽細胞増殖因子、ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子、シュワノーマ由来増殖因子、アンフィレグリン、ベーターセルリン、エピグレリン、リンホトキシン、エリスロエポイエチン、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−1β、インターロイキン−6、インターロイキン−8、インターロイキン−17、インターフェロン、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、拮抗剤、免疫抑制剤、レセプター遮断剤、抗パーキンソン病薬、ビタミン薬、フラボノイド、抗不整脈剤、インスリン、カルシトニン、放射性物質、還元グルタチオン、ニトログリセリン、プロスタグランジン、ポリフェノール、エリスロポイエチン、RNA、DNA、RNA及び/又はDNAを導入したベクターなどを挙げることができる。これらの生理活性物質は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0034】
(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液、又は(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液中の、キサンテン系色素で修飾した高分子化合物濃度は、過度に高濃度であると四酸化三鉄の粒子を包埋する層の密度が高くなり、結果、(E)生理活性物質の担持量が低減し、また、過度に低濃度であると、(E)生理活性物質を担持する層が形成されないか又は四酸化三鉄の粒子を完全に包埋することができなくなるため、0.1〜50重量%程度であることが好ましい。また、(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液、又は(E)生理活性物質を含む水溶液中の、生理活性物質濃度は、使用する生理活性物質の有効ドーズ数と毒性が発現される危険性のある濃度、四酸化三鉄の粒子を包埋する(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物の種類、その形成された層の密度、厚み、目標とする徐放速度などを考慮して当業者によって適宜設定されるが、例えば、ポリエチレングリコール系の高分子化合物(分子量2000程度)を使用して100μm程度の層を形成させて、bFGFを48時間程度で徐放させたい場合であれば、典型的には、0.5〜50.0μg/mL程度であることが好ましい。
【0035】
親油性液体中に前記(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液、(C)アスコルビン酸を含む水溶液、(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液(或いは、(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液と(E)生理活性物質を含む水溶液)を添加する場合、これらはキャピラリー等を使用して液滴として添加混合するか、脱泡撹拌機等の撹拌機を使用して懸濁分散させ、滴下等によって水溶液を添加する際、又は添加した後に親油性液体を撹拌し、水溶液をよく分散させることが好ましい。親油性液体中での懸濁状態でこれらの反応を行うことで、最終的に生成する磁性ゲル粒子の粒度分布を狭く、単分散とすることが可能となる。この場合、得られるゲル粒子の直径が2nm〜200μm、特に10nm〜100μmとなるように分散させるのが好ましい。
【0036】
なお、(D)のキサンテン系色素で修飾した高分子化合物も水溶液としておくが、これは(E)生理活性物質と共に水溶液中に溶解しておいてもよく、これとは別の水溶液としておき、生理活性物質水溶液とは個別に親油性液体中に添加してもよい。
【0037】
(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液(或いは(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液と(E)生理活性物質を含む水溶液)は、親油性液体に前記(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液、及び(C)アスコルビン酸を含む水溶液を添加して懸濁混合した後添加するが、親油性液体への(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液、及び(C)アスコルビン酸を含む水溶液の添加順序については特に制限はなく、これらを同時に親油性液体に添加しても良く、(B)塩基性物質を含む水溶液、(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(C)アスコルビン酸を含む水溶液の順で添加しても良く、(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(C)アスコルビン酸を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液の順で添加しても良く、(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液、(C)アスコルビン酸を含む水溶液の順で添加しても良い。
【0038】
親油性液体としては、ヘキサン、シクロヘキサン、流動パラフィンなどの炭化水素;クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;ヒマシ油、オリーブ油などの天然油;などを用いることができ、これらの親油性液体は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0039】
この親油性液体にポリオキシエチレンセシルエーテル、オキシエチレンオキシプロピレンコポリマー、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤の1種又は2種以上を添加してもよく、これにより粒子をより細かく分散させることができる。界面活性剤の親油性液体への添加量は0.1〜50重量%程度が好適である。
【0040】
また、親油性液体に、ポリエチレングリコール等の増粘剤を添加してもよく、これにより分散粒子径を均一にしたり、分散粒子径を小さくしたりすることができる。増粘剤の親油性液体への添加量は0.1〜20重量%程度が好適である。
【0041】
親油性液体に(A)鉄塩(II)を含む水溶液、(B)塩基性物質を含む水溶液、(C)アスコルビン酸を含む水溶液、更に(D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物及び(E)生理活性物質を含む水溶液((D)キサンテン系色素で修飾した高分子化合物を含む水溶液と(E)生理活性物質を含む水溶液)を添加して懸濁混合した後の光照射は波長400〜700nmの可視光を1〜500mW/cmへ調整して1〜60分程度照射することにより行うことが好ましい。
【0042】
このようにして分散粒子を光架橋によりゲル化させて得られる本発明の磁性ゲル粒子は、直径2nm〜200μm、特に10nm〜100μmであることが好ましい。磁性ゲル粒子の直径が2nm未満では(C)生理活性物質を担持できる量が少なく、磁力への走性がなくなり、200μmを超えると血管閉塞のリスクが高くなる。
【0043】
このような磁性ゲル粒子は生理食塩水中に懸濁させると約1〜30倍に膨潤する。
【0044】
また、この磁性ゲル粒子に含有される四酸化三鉄の含有割合は20〜98重量%であることが好ましい。この割合が多過ぎると(C)生理活性物質を担持できなくなり、少な過ぎると磁力で患部へ誘導する機能が損なわれる問題がある。
【0045】
このような本発明の磁性ゲル粒子は、ドラッグデリバリーとしてDDS療法において血管内投与した後に、磁力によって疾患部位へゲル粒子を集合させることにより、ゲル粒子に担持された生理活性物質により効率的に患部を治療することができる。
【0046】
この場合、磁力の印加方法としては、患部上の体表面から直接印加する方法や、体内へ挿入したデバイスから印可する方法がある。このようなデバイスとしては、経皮的に患部付近の組織へ刺入するものや、患部付近にて磁力を印加することが可能な血管カテーテルや、ステントグラフトのように血管内へ留置するものであって磁気をもつものなどがあるが、この限りではない。
【0047】
本発明の磁性ゲル粒子をドラッグデリバリーとして用いる場合、磁性ゲル粒子の粒径は血管内で異物として認識されやすく、毛細血管の閉塞などの危険性が生じる400nmよりも小さく、かつ、ミニ磁石の方向性が統一されて磁力により集合する機能を有しており、有効ドーズ数の生理活性物質を担持させることさせることを考慮すれば、例えば2〜200nmが好ましい。
【0048】
次に、本発明において用いるのに好適なエオシン化ゼラチンについて説明する。
ここでゼラチンは、分子量5千〜10万、アミノ基約10〜100個/1分子程度の通常のゼラチンで良い。
エオシン化ゼラチンは、下記反応に従ってゼラチンの側鎖にエオシンを導入することにより調製される。
【0049】
【化1】


【0050】
ゼラチン分子へのエオシンの導入数は、例えば、エオシン化ゼラチンの水溶液の吸光度をエオシンの最大吸収波長522nmにおいて測定し、エオシンのモル吸光係数(ε=94755)を基に算出可能であり、ゼラチン1分子に対して1〜10個、特に2〜5個程度が好ましい。このエオシン等の感光基を有する化合物の導入数が少ないとゲル化率が低下し、また必要以上に多くてもゼラチン固有の柔軟性が損なわれる可能性があると共に、水へ難溶性となってしまう。
【0051】
このエオシン化ゼラチンは、粘稠性の液体状である。これを例えば濃度1〜10重量%の水溶液とした場合には、300〜30,000lx程度の可視光、特に生体に対する用途にあっては、300〜15,000lx程度の比較的低照度で、生体に対して影響の低い可視光を0.1〜30分程度照射してゲル状に硬化させることができる。
【実施例】
【0052】
以下に、合成例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0053】
合成例1:鉄塩(II)水溶液,アスコルビン酸水溶液の調製
塩化鉄(II)四水和物(関東化学社製,JIS特級試薬)を24時間の窒素バブリングで十分に脱酸素した精製水(日局,注射用水)へ溶解して0.3M溶液を調製した。
【0054】
同様に脱酸素した精製水へアスコルビン酸(関東化学社製,特級試薬)を溶解し0.3M溶液を調製した。
【0055】
合成例2:エオシン化ゼラチンの合成
ゼラチン(分子量95,000、アミノ基量約37個/分子)に、水溶性カルボジイミドであるN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)の存在下、下記反応でゼラチンの側鎖のアミノ基にエオシンを結合させることにより、ゼラチン1分子当たりエオシン約5個を導入してエオシン化ゼラチンを合成した。精製は透析で行い、ゼラチン鎖へのエオシンの導入率は522nmの吸光度から算出した。
【0056】
【化2】


【0057】
合成例3:キサンテン系色素で修飾した高分子及び生理活性物質を含む溶液の調製
合成例2で合成したエオシン化ゼラチンを濃度11重量%となるよう水へ溶解した。生理活性物質として、ヘパリン及び繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)を水へ溶解した。上記エオシン化ゼラチンと生理活性物質溶液を混合し、キサンテン系色素で修飾した高分子化合物10重量%及び生理活性物質2μg/mLを含む水溶液とした。
【0058】
実施例1
[DDS用磁性ゲル粒子の製造]
0.25Mポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij58)シクロヘキサン溶液1.0Lをホモジナイザー(特殊機化工業社製,ホモディスパーF)にて攪拌しながら0.3M塩化鉄(II)溶液5.0mLを滴下混合した。これらの操作は閉した系で窒素フロー下で行った。続いて0.3Mアスコルビン酸溶液を5.0mL滴下混合し十分に乳化分散させた後にアンモニア水を滴下して乳化分散している水相のpHを約9.0へ調整した。攪拌を1時間続けた後に、合成例3で調製した高分子化合物及び生理活性物質を含む溶液をキャピラリーを使用して50mLを滴下した。その後、光化学反応装置(ウシオ電機製)中でハロゲンランプ(トクヤマ社製)にて波長400nm〜520nmの可視光を200mW/cmに調整して20分間照射し、エオシン化ゼラチンを架橋した。
【0059】
これを4℃の水浴で冷却し、沈殿物を濾過して回収し、シクロヘキサンで洗浄した後にデシケーター中で残留するシクロヘキサンを蒸発させ、平均粒径約1μmのドラッグデリバリシステム用ゲル粒子を得た(図1参照)。
【0060】
このゲル粒子を生理食塩水中に懸濁させると、膨潤し、平均粒径は約10μmとなった(図2参照)。
【0061】
また、このゲル粒子をマッフル炉中で600℃で処理することで表層のゲル層を焼去した後にTEMにて確認すると約10〜60ナノメーターの四酸化三鉄粒子の直方体結晶が観察された(図3参照)。
【0062】
ゲル粒子中の四酸化三鉄含有量は乾燥状態のゲル粒子基準で約90重量%であった。
【0063】
[生理活性物質の徐放性評価]
このようにして得られたDDS用磁性ゲル粒子をDMEM培地中へ懸濁し、経時的に培地中に放出された繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)はELISA法により測定した。
【0064】
経時的に分取したアリコット中のゲル粒子をトルイジンブルー色素の水溶液へ作用させ、ビーズの着色の有無で、ヘパリンの溶出継続性を確認した。繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)は19時間で約90%相当量が放出されていた。ヘパリンは2時間まで着色したが、それ以降はゲル粒子は着色せず、ほぼ全量が2時間で放出されたことが確認された。
【0065】
DMEM培地をマグネットスターラーで攪拌し、容器壁へ永久磁石を配置すると培地の流れの中で拡散することなく、ゲル粒子が容器壁へ集合して目視可能となった。磁石を遠ざけると、ゲル粒子は培地中へ拡散して分散した。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1で製造した磁性ゲル粒子の顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造した磁性ゲル粒子を生理食塩水に懸濁させたときの顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で製造した磁性ゲル粒子を600℃で焼成した後に残ったマグネタイト粒子のTEM写真である。
【出願人】 【識別番号】591108880
【氏名又は名称】国立循環器病センター総長
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成17年4月28日(2005.4.28)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛

【公開番号】 特開2006−306786(P2006−306786A)
【公開日】 平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願番号】 特願2005−131881(P2005−131881)