| 【発明の名称】 |
ビフィズス菌を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 真 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】中村 吉孝 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】成島 聖子 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】矢島 昌子 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】寺原 正樹 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】柴田 剛 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
【氏名】柴崎 美佳 【住所又は居所】神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式会社研究本部内
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| 【要約】 |
【課題】新たなアレルギー予防および/または治療剤および該治療剤を含有する食品組成物を提供する。
【解決手段】ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、受託番号:NITE BP−31)を使用する新たなアレルギー予防および/または治療剤、および該治療剤を含有するアレルギー予防および/または治療用食品組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビフィズス菌を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤。 【請求項2】 ビフィズス菌の処理物であって、当該ビフィズス菌の培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つであるビフィズス菌処理物を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤。 【請求項3】 前記ビフィズス菌がビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)および/またはビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)である請求項1〜2のいずれか1項に記載のアレルギー予防および/または治療剤。 【請求項4】 アレルギー予防および/または治療が血清IgE産生の抑制によるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のアレルギー予防および/または治療剤。 【請求項5】 前記ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアレルギー予防および/または治療剤。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアレルギー予防および/または治療剤の有効量を含有せしめたアレルギー予防および/または治療用食品組成物。 【請求項7】 乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、または発酵乳である請求項6記載のアレルギー予防および/または治療用食品組成物。 【請求項8】 アレルギー予防および/または治療用食品組成物を製造するための請求項1〜7のいずれか1項に記載のアレルギー予防および/または治療剤の使用。 【請求項9】 アレルギー予防および/または治療用食品組成物が、乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、または発酵乳である請求項8記載の使用。 【請求項10】 ビフィズス菌、もしくはビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌、もしくはその培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つである処理物を用いることを特徴とする、アレルギー予防および/または治療 用食品組成物の製造方法。 【請求項11】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)。 【請求項12】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌の処理物であって、当該ビフィズス菌の培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つであるビフィズス菌処理物。 【請求項13】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌または請求項12記載のビフィズス菌処理物を含む食品組成物または飲料。 【請求項14】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌または請求項12記載のビフィズス菌処理物を含む薬剤。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、アレルギー予防および/または治療剤および該アレルギー予防および/または治療剤の有効量を含有せしめたアレルギー予防および/または治療用食品組成物に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、アレルギー疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎など)は増加の一途をたどり、現在では少なくとも人口のおよそ1/5程度が何らかのアレルギー疾患に罹患しているという報告もある。その中で、遺伝子解析技術の進歩に伴い、これらアレルギー疾患の病因、病態の解明、治療法の開発など、細胞・分子レベルでの解析が行なわれ、今後のアレルギー疾患の予防と治療に期待が寄せられている(非特許文献1)。しかし、現在のアレルギー治療薬の多くは対症療法的なものであり、罹患患者数の増大や長期使用に伴う副作用の点からも、より効果的な予防および/または治療法が望まれている。 【0003】 上記問題に鑑み、これまでに各種のビフィズス菌を有効成分とする抗アレルギー剤が提案されている。例えば特許文献1ではビフィズス菌を有効成分とする抗アレルギー剤および発酵食品が開示されている。この文献においてはビフィズス菌の選定を、食物抗原をマウス腹腔内に投与することで誘導された全身性免疫における抗原特異的IgE抗体の産生を指標として行っている。しかし、食物アレルギーに対する治療効果は、全身性免疫系における抗体産生を指標としたのでは適切に評価できないと考えられる。経口的に摂取される食物は、腸管によって吸収されると同時に腸管付属リンパ組織(gut associated lymph-atic tissue;GALT)と呼ばれる、全身免疫系と異なる腸管独自の免疫系によって認識され、通常であれば経口免疫寛容を誘導するが、一方で、IgE抗体産生を誘導して、食物アレルギーを発症させる場合もある(非特許文献2)。本来免疫寛容を誘導するはずの食物が、食物アレルギーを誘発する発症機構は未だ十分に解明されていないが、少なくとも腸管免疫系と全身免疫系との双方が食物アレルギー発症に絡んでいると考えられ、全身免疫系を使用してアレルギー治療効果を評価した場合、食物アレルギーに対する治療効果が反映されているとは考えにくい。食物アレルギーに代表されるような経口的に投与された食物アレルゲンに対して誘導される抗原特異的IgE抗体の産生に対するビフィズス菌の抑制効果については全く不明である。したがって、この様にして選定された既存のビフィズス菌を用いても、目的とするアレルギー予防および/または治療剤や食品組成物を調製するには、未だ改良の余地が多く残されているのが現状である。 【0004】 【特許文献1】特開平10−309178号公報 【非特許文献1】赤星光輝,玉利真由美,白川太郎、「アレルギー疾患における最近の話題」、最新医学、58(2)、p.7−14(2003) 【非特許文献2】伊勢渉、食物アレルギー制御研究の進展 腸管免疫系における食品アレルゲンの認識 、農林水産技術研究ジャーナル、24(.5), pp.9-14 (2001) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 すなわち、本発明が解決しようとする課題は、食物アレルギーを始めとするアレルギーに対して抗アレルギー活性を有するビフィズス菌を選定し、該ビフィズス菌および/または該ビフィズス菌の処理物を用いたアレルギー予防および/または治療剤、またはこれを含有するアレルギー予防および/または治療用食品組成物を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであって、本発明者らは、目的とするアレルギー予防および/または治療剤に用いるビフィズス菌を選抜するに際し、次のような基準を新たに設定し、鋭意選定作業を行った。すなわち、本発明者らは、ヒト腸内由来の数多くのビフィズス菌のうち、ヒト成人またはヒト乳幼児の糞便より独自に分離したビフィドバクテリウム属14菌株から、食物抗原を経口的に投与することで誘導される抗原特異的IgEの産生を抑制する能力が高い菌株の選定について鋭意研究を重ねた。その結果、ビフィズス菌の中でも、ある種のビフィズス菌に、経口的に摂取した食物によって誘導される抗原特異的IgEの産生抑制能が高い菌株があることを見いだし、本発明を完成するに到った。特に、前記ビフィズス菌としては、ビフィドバクテリウム属の菌体であるビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)に特に強いIgE産生抑制能が存在することを見出し、本発明を完成させた。 【0007】 よって、本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、用いるビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)が死菌であってもアレルギー予防および/または治療効果を奏し、さらに生菌として投与した場合は腸内細菌叢改善効果等の相乗効果が期待できるものである。特に上記に記載の効果は、食物アレルギーモデルを用いて評価したものであり、本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、食物アレルギーに対しても治療効果が高いと期待できる。 【0008】 すなわち、本発明は、 [1] ビフィズス菌を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤、 [2] ビフィズス菌の処理物であって、当該ビフィズス菌の培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つであるビフィズス菌処理物を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤、 [3] 前記ビフィズス菌がビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)および/またはビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)である前記[1]〜[2]のいずれか1つに記載のアレルギー予防および/または治療剤、 [4] アレルギー予防および/または治療が血清IgE産生抑制によるものである前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のアレルギー予防および/または治療剤、 [5] 前記ビフィズス菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌である前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のアレルギー予防および/または治療剤、 [6] 前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のアレルギー予防および/または治療剤の有効量を含有せしめたアレルギー予防および/または治療用食品組成物、 [7] 乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、または発酵乳である前記[6]記載のアレルギー予防および/または治療用食品組成物、 [8] アレルギー予防および/または治療用食品組成物を製造するための前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載のアレルギー予防および/または治療剤の使用、 [9] アレルギー予防および/または治療用食品組成物が、乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、または発酵乳である前記[8]記載の使用、 [10] ビフィズス菌、もしくはビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌、もしくはその培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つである処理物を用いることを特徴とする、アレルギー予防および/または治療用食品組成物の製造方法、 [11] ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、 [12] ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌の処理物であって、当該ビフィズス菌の培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物、液状物、希釈物、破砕物から選ばれる少なくとも1つであるビフィズス菌処理物、 [13] ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌または前記[12]記載のビフィズス菌処理物を含む食品組成物または飲料、 [14] ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)の群から選ばれてなる少なくとも1つのビフィズス菌または前記[12]記載のビフィズス菌処理物を含む薬剤、 を提供するものである。 【発明の効果】 【0009】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、後述する実施例において確認されるとおり食物抗原を経口的に投与することで誘導される食物アレルギーモデル動物試験において明らかに抗原特異的なIgE抗体の産生を効果的に抑制することができることから、本発明において見出されたビフィズス菌を使用することにより、食物アレルゲンが関与すると考えられる食物アレルギーを始め、各種のアレルギー疾患、例えば花粉アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性胃腸炎などの予防および/または治療に有効な新たなアレルギー予防および/または治療剤、およびアレルギー予防および/または治療剤を含有せしめたアレルギー予防および/または治療用食品組成物を提供することが可能になった。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 以下、本発明を詳細に説明する。 今回、食物抗原を経口的に投与することで血中に抗原特異的IgEが誘導される食物アレルギーモデルマウスを用いて成人および乳児の糞便より独自に分離した複数のビフィズス菌のIgE抑制能を比較検討した。その結果、検討した分離株の内、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)に特に強いIgE抑制能が存在するという新たな知見が得られた。したがって、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)を使用することにより、本発明の目的に叶う新規なアレルギー予防および/または治療剤、およびアレルギー予防および/または治療剤を含有せしめたアレルギー予防および/または治療用食品組成物を提供することが可能となった。 【0011】 本発明らは、これらの菌株を独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターまたは独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託した。以下に寄託を特定する内容を記載する。 【0012】 本発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001株(Bifidobacterium longum OLB6001)を下記の条件で寄託した。 (1) 寄託機関名:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター (2) 連絡先:〒305−8566 茨城県つくば市東1−1−1 中央第6 電話番号029−861−6029 (3) 受託番号:FERM P−13610 (4) 識別のための表示:Bifidobacterium longum No.7 (5) 寄託日: 平成5年4月20日 【0013】 本発明者らは、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290株(Bifidobacterium longum OLB6290)を下記の条件で寄託した。 (1) 寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター (2) 連絡先:〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 電話番号0438−20−5580 (3) 受託番号:NITE P−75 (4) 識別のための表示:Bifidobacterium longum OLB6290 (5) 寄託日: 平成17年2月3日 【0014】 本発明者らは、ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378株(Bifidobacterium bifidum OLB6378)を下記の条件で寄託した。 (1) 寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター (2) 連絡先:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 電話番号0438-20-5580 (3) 受託番号:NITE BP−31 (4) 識別のための表示:Bifidobacterium bifidum OLB6378 (5) 原寄託日: 平成16年(2004年)10月26日 (6) ブタペスト条約に基づく寄託への移管日:2006年1月18日 【0015】 本発明のビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001株(Bifidobacterium longum OLB6001、FERM P−13610)、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290株(Bifidobacterium longum OLB6290)、およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、NITE BP−31)は、以下の菌学的性質を有するものである。 【0016】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001株は、ヒト成人糞便由来のグラム陽性偏性嫌気性菌であり、菌形状は桿菌または分岐状の多形であり、芽胞の形成、運動性はない。BL寒天培地(栄研)平板上で本菌を塗布し、スチールウール法にて37℃48時間培養すると、不透明な円形半球状の光沢を有するコロニーを形成する。アラビノース、キシロース、リボース、グルコース、フラクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、メレチトースに対する発酵性を有する。 【0017】 ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290株は、ヒト乳幼児糞便由来のグラム陽性偏性嫌気性桿菌であり、芽胞の形成はない。16S rRNA領域の種特異的プライマーである、BiLON−1:TTC CAG TTG ATC GCA TGG TC(配列番号1)およびBiLON−2:GGG AAG CCG TAT CTC TAC GA(配列番号2)にてPCRを行い、PCR産物を確認している。アラビノース、キシロース、リボース、グルコース、マンノース、フラクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、メレチトースに対する発酵性を有する。 【0018】 ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378株は、ヒト乳幼児糞便由来のグラム陽性偏性嫌気性桿菌である。Lactobacilli MRS Broth(Difco、Ref.No.288130)上に本菌を塗布し、AnaeroPack・ケンキ(三菱ガス化学製)使用による嫌気状態にて37℃18時間培養すると、Y字型の菌形態が観察される。また、Bifidobacterium bifidumの特異的プライマー(腸内フローラシンポジウム8、腸内フローラの分子生物学的検出・同定、光岡知足、松本隆広)、具体的には、16S rRNA領域の種特異的プライマーである、BiBIF−1:CCA CAT GAT CGC ATG TGA TT(配列番号3)、およびBiBIF−2:CCG AAG GCT TGC TCC CAA A(配列番号4)を用いたPCRでPCR産物が認められる。 【0019】 本発明の菌株を培養するための培地としてはビフィズス菌の培地に通常用いられる培地を用いることができる。すなわち本発明に利用できる培地は特に限定されず、主炭素源のほか窒素源、無機物その他の栄養素を所定範囲の量で含有する培地であれば、いずれの培地も使用可能である。炭素源としてはラクトース、グルコース、スクロース、フラクトース、澱粉加水分解物、廃糖蜜などが使用菌の資化性に応じて使用できる。窒素源としてはカゼインの加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、大豆タンパク質加水分解物等の有機窒素含有物が使用できる。ほかに増殖促進剤として肉エキス、魚肉エキス、酵母エキス等が用いられる。 【0020】 培養は嫌気条件下で行うことが好ましく、炭素ガスを通気しながら培養する方法などの公知の手法を適用することができるが、通常用いられる液体静置培養などによる微好気条件や、あるいはバッチ培養条件下など他の手法を用いて培養することもできる。培養温度は25〜50℃、特に35〜42℃が好ましいが、本発明はこれに限定されず、菌が生育できる温度であれば他の温度条件でもよい。培養中の培地のpHは、6.0〜7.0に維持することが好ましいが、菌が生育することができる時間であれは他のpH条件であってもよい。培養時間は好ましくは3〜48時間、さらに好ましくは8〜24時間、特に好ましくは10〜20時間であるが、菌が生育することができる時間であれは他の培養時間であってもよい。 【0021】 また、得られた菌体は上記のような処理を行ったビフィズス菌処理物として使用することができる。ビフィズス菌処理物としては、培養物、その濃縮物、さらにペースト状に加工したもの、各種方法による乾燥物(噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物など)、媒体に分散させた液状物、希釈剤による希釈物、乾燥物をミルなどで破砕した破砕物、などが含まれる。本発明は、本発明による菌体を含むビフィズス菌処理物も提供する。本明細書ではこれらを、「ビフィズス菌処理物」あるいは「処理物」と略記することがある。 【0022】 上記の方法で得られたビフィズス菌および/またはその処理物は、そのまま、生菌、または殺菌後、破砕あるいは未粉砕した処理物として、単独または複数種の混合物として経口投与することができる。本発明のビフィズス菌および/またはその処理物は、食物アレルギーモデル動物試験において明らかに抗原特異的なIgE抗体の産生を効果的に抑制することができることから、ヒトおよび動物におけるアレルギー予防、およびアレルギー症状の軽減(治療)に有効である。 また、本発明では75℃で60分間加熱処理を行って不活性化した菌体でもアレルギー抑制効果があることが分かった。したがって、本発明の菌体を含む処理物はその中の菌体が生菌体のみならず、死菌体または破砕物であっても有用である。これにより、これまで粉ミルクなど厳しい生物学的規格を有する製品においても添加することが可能となり、本発明の菌体は製品形態などによらず様々な製品にも応用できる。 すなわち、本発明のビフィズス菌、その処理物、それを有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤、および医薬品としてのみならず、飲食品として予防および/または治療剤を含有してなるアレルギー予防および/または治療用食品組成物として使用することができる。 【0023】 本発明のビフィズス菌および/またはその処理物は、単独または医薬品や食品に通常使用されうる他の成分との混合物として経口投与したり、他の抗アレルギー活性を有する化合物や微生物等と併用したりすることにより、アレルギー予防および/または治療に使用できる。 【0024】 I型アレルギーではIgE産生が高まることが知られている。このため、IgE産生を抑制する効果のある本発明品は、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、外来蛋白に対する過敏症、アナフィラキシー反応等の症状を軽減する効果が期待できる。 本発明のアレルギー予防および/または治療剤の適用可能なアレルギーの種類としては、これらに限定されないが、例えば、I型アレルギー、IV型アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性胃腸炎、アナフィラキシー反応、薬物アレルギー、じんましん、血清病、溶血性貧血、接触性皮膚炎、重症筋無力症、グッドパスチェア症候群、糸球体腎炎等を挙げることができる。 本発明において予防および/または治療の対象となるアレルギーの原因となるアレルゲンの種類としては、これらに限定されないが、例えば食品(小麦、大麦、オーツ麦、ライ麦、そば、卵、乳、チーズ、落花生、米、トウモロコシ、アワ、キビ、ヒエ、大豆、じゃがいも、やまいも、にんにく、たまねぎ、ニンジン、パセリ、セロリ、トマト、オレンジ、もも、りんご、キウイフルーツ、メロン、イチゴ、バナナ、くるみ、ゴマ、まつたけ、あわび、いか、いくら、えび、かに、さけ、さば、アジ、イワシ、タラ、イカ、タコ、ホタテ、牛肉、鶏肉、豚肉、ゼラチン等)、動物(イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハト等やその皮膚、体毛、糞、羽毛等)、昆虫(蛾、蟻、ユスリカ、スズメバチなど、およびこれら昆虫の分泌物、鱗粉)、ダニ、寄生虫(アニサキス、回虫など)、草木(スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネ科植物、ヨモギ、ハンノキ等やその花粉、樹液等)、かび、ほこり、ハウスダスト、ゴム、金属、化学薬品、医薬品、等を挙げることができる。 【0025】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤としては培養終了後のビフィズス菌培養液をそのまま又は遠心分離、濾別などにより菌体を含む培養液として使用することもできる。さらに培養液を濃縮して濃縮物とするほか、これ乾燥して菌体濃度を乾燥物1gあたり1010cell以上として使用することもできる。ここで菌体濃度は特に限定されないが、濃縮液で1010cell/g以上、乾燥物で1011cell/g以上とするのが好ましい。遠心分離、濾別、濃縮は通常用いられている手法で行う。また乾燥は、例えば真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥等により行うことができる。また得られた菌体を含む培地、濃縮物、乾燥物などは、投与前に加熱殺菌、放射線殺菌などの方法による殺菌等などにより死菌として用いることもできるが、通常用いられる手法で生菌として用いることもできる。 【0026】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤の医薬品または飲食品への配合量は、その目的、用途(予防剤、治療剤等)、形態、剤型、症状、体重などに応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないがその含量としては、全体量に対して、0.001〜100%(w/w)の含量で配合することができ、さらに好ましくは0.1〜100%の含量で配合することができる。 【0027】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤の医薬品または飲食品としての一日当たりの摂取量は、投与経路、ヒトを含む投与対象動物の年齢、体重、症状、目的など、種々の要因を考慮して、適宜設定することができる。本発明はこれに限定されないが、あえて挙げるなら、0.1〜10000mg/kg体重を摂取することができ、好ましくは0.1〜1000mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜100mg/kg体重を摂取することができる。しかしながら、長期間に亘って予防および/または治療の目的で摂取する場合には、上記範囲よりも少量であってもよいし、また本有効成分は、安全性について問題がないので、上記範囲よりも多量に摂取しても一向にさしつかえない。 また本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、経口投与または非経口投与(筋肉内、皮下、静脈内、坐薬、経皮等)のいずれでも投与できる。本発明のアレルギー予防および/または治療剤を摂取できるのは、成年であってもよいが、乳幼児や老人であっても構わない。 【0028】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、医薬品または飲食品いずれの形態でも利用することができる。例えば、医薬品として直接投与することにより、または特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品として直接摂取することにより各種のアレルギーの予防および/または治療をすることが期待される。また、各種飲食品(牛乳、加工乳、乳飲料、清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、アイスクリーム、キャンディ、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、栄養食品等)に添加し、これを摂取してもよい。 【0029】 具体的には、食品組成物として使用する場合には、各種飲食品(牛乳、清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、栄養食品等)に添加し、これを摂取してもよい。本発明のアレルギー予防および/または治療剤をそのまま使用したり、他の食品ないし食品成分と混合したりするなど、通常の食品組成物における常法にしたがって使用できる。また、その性状についても、通常用いられる飲食品の状態、例えば、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよい。 【0030】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤には、水、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を混合して使用することができる。タンパク質としては、例えば全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、ホエイ粉、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質分離物、α―カゼイン、β―カゼイン、κ−カゼイン、β―ラクトグロブリン、α―ラクトアルブミン、ラクトフェリン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質、これら加水分解物;バター、乳性ミネラル、クリーム、ホエイ、非タンパク態窒素、シアル酸、リン脂質、乳糖等の各種乳由来成分などが挙げられる。糖類、加工澱粉(テキストリンのほか、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維などが挙げられる。脂質としては、例えば、ラード、魚油等、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂;パーム油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられ、ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなどが挙げられる。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などが挙げられる。本発明のアレルギー予防および/または治療剤を含有する飲食品の製造において、これらの成分は、合成品であっても天然由来品のいずれでもよく、および/またはこれらを多く含む食品を用いてもよい。またこれらの成分は、2種以上を組み合わせて使用することができる。 【0031】 本発明のアレルギー予防および/または治療剤を食品や薬剤の製造に使用する場合、製造方法は当業者に周知の方法によって行うことができる。当業者であれば、本発明のビフィドバクテリウム菌体または処理物を他の成分と混合する工程、成形工程、殺菌工程、発酵工程、焼成工程、乾燥工程、冷却工程、造粒工程、包装工程等を適宜組み合わせ、所望の食品や薬剤を作ることが可能である。 【0032】 本発明の本発明のアレルギー予防および/または治療剤を医薬品として使用する場合は、形態としては、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、溶液、シロップ剤、乳液等による経口投与をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬である本発明の菌体および/または処理物に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。 【0033】 さらに本発明のアレルギー予防および/または治療剤は、乳幼児の育児用調製粉乳やフォーロアップミルクにその有効量を添加してアレルギー予防および/または治療用食品組成物とすることができる。また、保健機能食品や病者用食品にも適用することができる。保健機能食品制度は、内外の動向、従来からの特定保健用食品制度との整合性を踏まえて、通常の食品のみならず錠剤、カプセル等の形状をした食品を対象として設けられたもので、特定保健用食品(個別許可型)と栄養機能食品(規格基準型)の2種類の類型からなる。本発明のアレルギー予防および/または治療剤を含有する特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品として直接摂取することにより各種のアレルギーの予防および/または治療をすることが期待される。 なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。 【実施例】 【0034】 以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、%表示は特に明示しない限り、重量%を意味する。 【0035】 [実施例1](食物抗原を経口的に投与することで抗原特異的IgEが誘導される食物アレルギーモデルマウスを用いてのIgE抑制試験) [被検菌株] ヒトの糞便から単離したビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌13株(Bifidobacterium longum OLB6001、 Bifidobacterium longum OLB6290、Bifidobacterium longum MEP170501、Bifidobacterium longum MEP170502、Bifidobacterium longum MEP170503、Bifidobacterium longum MEP170504、Bifidobacterium bifidum MEP170505、Bifidobacterium bifidum MEP170506、Bifidobacterium bifidum MEP170507、Bifidobacterium breve MEP170508、Bifidobacterium breve MEP170509、Bifidobacterium breve MEP170510、Bifidobacterium breve MEP170511)を以降の試験に供した。試験に供する菌をGAM培地で培養(37℃、一晩)した。集菌後、生理食塩水で2回、滅菌蒸留水で1回洗浄したのち、75℃で60分間加熱処理し、凍結乾燥した。 なお、菌株名にMEPと記載された菌株は明治乳業株式会社保有菌株である。 【0036】 [経口投与による食物アレルギー誘発と被検菌株の投与] 3週齢の雌性、C57BL/6Nマウス(各群n=10、日本クレア)に、上記方法にて得られた各ビフィズス菌加熱処理菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を2週間自由摂取させた(被検菌体投与群)。対照群には表1に示す組成の飼料を2週間自由摂取させた。その後7週間は、全ての群にMF飼料(オリエンタル酵母)を与えた。さらにその後2週間、被検菌体投与群には上記方法にて得られた各ビフィズス菌加熱処理菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を、対照群には表1に示す組成の飼料を自由摂取させた。飼育終了後、全採血を行い、それぞれのマウスの血清を用いてラット皮内急性アナフィラキシー反応(以降、PCA反応ともいう)試験を行い、抗カゼイン特異的IgE抗体の陽性率を対照群、被検菌体投与群の間で比較した。 【0037】 【表1】
【0038】 表1に記載のAIN-76ビタミンミックスおよびAIN-76ミネラルミックスは、米国国立栄養研究所(AIN)から1977年に発表されたマウスやラットにおける栄養研究用の標準精製飼料であるAIN-76に配合されているビタミンミックスおよびミネラルミックスを指す。 【0039】 [PCA反応によるIgE抑制効果の判定] 7週齢の雄性、SDラット(日本SLC)の背部を除毛し、皮内にマウスの血清を25μlずつ注射した。マウスの血清の皮内注射より24時間後、カゼインを2mg/mlとエバンスブルー(和光純薬工業)を1%含む溶液0.5mlをラットの尾静脈に注射した。さらにカゼイン、エバンスブルーの静脈注射から30分後に、背部皮下のエバンスブルー色素の漏出の有無を目視判定し、色素漏出が認められたものをPCA反応陽性とした。各群10匹中のPCA反応陽性数を求め、対照群と被検菌体投与群のPCA反応陽性数をカイ二乗検定により危険率5%で有意差検定を行った。 【0040】 [結果および考察] 結果を表2に示す。対照群では10匹中9匹でPCA反応陽性となった。一方、本発明のビフィズス菌加熱処理菌体投与群では菌株によりPCA反応陽性率が異なった。中でも、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、およびビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)投与群ではPCA反応陽性数が共に10匹中6匹と、対照群および他のビフィズス菌投与群(陽性数が10匹中7〜9匹)に比べ低いPCA反応陽性数を示した。いずれの群においても有意差は認められなかった。 【0041】 【表2】
【0042】 [確認試験] 試験菌株の中でも、PCA反応性の高かったビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(FERM P−13610)、およびビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(NITE P−75)投与群について、再度同様の経口投与試験を実施し、PCA反応によるIgE抑制試験を行った。結果を表3に示す。対照群のマウス15匹中13匹でPCA反応陽性となった。一方、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(FERM P−13610)投与群は10匹中6匹、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(受託番号:NITE P−75)投与群では10匹中5匹がPCA反応陽性となった。いずれも対照群に比べPCA反応陽性率は低値を示した。さらに、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(受託番号:NITE P−75)投与群は対照群に比べ、危険率5%水準(カイ二乗検定)で有意な差が確認された。 【0043】 【表3】
【0044】 以上から、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6001菌株(Bifidobacterium longum OLB6001、受託番号:FERM P−13610)、およびビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)は食物アレルギーモデルマウスへの経口投与において抗原特異的なIgE産生を抑制することが示された。 【0045】 [実施例2](食物抗原を経口的に投与することで抗原特異的IgEが誘導される食物アレルギーモデルマウスを用いてのIgE産生抑制試験) [被検菌株] ヒトの糞便から単離したビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌の中から、実施例1で加熱死菌体での有効性が確認されたビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75)、および、それに加えて当社保有のビフィズス菌であるビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株(Bifidobacterium bifidum OLB6378、受託番号:NITE BP−31)を、以下の試験に供した。ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株はGAM培地で静置培養(37℃、一晩)した。さらに集菌後、生理食塩水で2回、滅菌蒸留水で1回洗浄したのち、75℃で60分間加熱処理し、凍結乾燥して菌体を得た。また、ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株については、工業的に大量調製した菌体を試験に用いた。具体的には、ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株をカゼイン分解培地に接種し、炭酸ガス雰囲気下に水酸化ナトリウムを適宜添加してpH6.0〜6.5の範囲になるように調整しながら中和培養(37℃、1晩)した。培養後に、集菌し、凍結乾燥して菌体を得た。この凍結乾燥物は生菌を含むものである。 【0046】 [経口投与による食物アレルギー誘発と被検菌株の投与] 3週齢の雌性、C57BL/6Nマウス(日本クレア)に、上記方法にて得られたビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株またはビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株を摂取させた。OLB6290群(n=10)には、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株の菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を、2週間自由摂取させた。OLB6378群(n=15)には、中和培養で得たビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株の菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を、2週間自由摂取させた。陽性対照群(n=15)には表1に示す組成の飼料を与えた。陰性対照群(n=3)には表1に示す組成の飼料からカゼインを除いた飼料を、2週間自由摂取させた。その後7週間は、全ての群にMF飼料(オリエンタル酵母)を与えた。さらにその後2週間、OLB6290群には、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株の菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を、2週間自由摂取させた。OLB6378群には、中和培養で得たビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株の菌体を0.1%添加した表1に示す組成の飼料を、2週間自由摂取させた。陽性対照群には表1に示す組成の飼料を与えた。陰性対照群には表1に示す組成の飼料からカゼインを除いた飼料を、2週間自由摂取させた。飼育終了後、全採血を行い、それぞれのマウスの血清を用いてラット皮内急性アナフィラキシー反応(以降、PCA反応ともいう)試験を行い、抗カゼイン特異的IgE抗体の陽性率をOLB6290群、OLB6378群、陽性対照群、陰性対照群の間で比較した。 【0047】 [PCA反応によるIgE抑制効果の判定] 7週齢の雄性、SDラット(日本SLC)の背部を除毛し、皮内にマウスの血清を25μlずつ注射した。マウスの血清の皮内注射より24時間後、カゼインを2mg/mlとエバンスブルー(和光純薬工業)を1%含む溶液0.5mlをラットの尾静脈に注射した。さらにカゼイン、エバンスブルーの静脈注射から30分後に、背部皮下のエバンスブルー色素の漏出の有無を目視判定し、色素漏出が認められたものをPCA反応陽性とした。各群中のPCA反応陽性数を求め、各群の匹数で除してPCA反応陽性率を求めた。陽性対照群とOLB6290群、OLB6378群、陰性対照群のPCA反応陽性率をフィッシャーの直接確率法により危険率5%で有意差検定を行った。 【0048】 [結果および考察] 結果を図1に示す。陽性対照群のPCA反応陽性率は86%、陰性対照群のPCA反応陽性率は0%であった。一方、本発明のビフィズス菌を投与した群では菌株間によりPCA反応陽性率が異なったが、いずれも陽性対照群よりも低い値を示した。中でも、OLB6378群は陽性対照群よりも有意に(p<0.05)低いPCA反応陽性率を示した。 【0049】 以上から、ビフィドバクテリウム・ロンガムOLB6290菌株(Bifidobacterium longum OLB6290、受託番号:NITE P−75), およびビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(Bifidobacterium bifidum OLB6378、受託番号:NITE BP−31)は、死菌のみならず生菌も、食物アレルギーモデルマウスへの経口投与において抗原特異的なIgE産生を抑制することが示された。 【産業上の利用可能性】 【0050】 本発明により新たなアレルギー予防および/または治療剤が提供された。該アレルギー予防および/または治療剤は乳児用調製粉乳、保健機能食品、または病者用食品にその有効量を添加することによりアレルギー予防および/または治療用食品組成物を提供する。 【図面の簡単な説明】 【0051】 【図1】食物抗原を経口的に投与することで抗原特異的IgEが誘導される食物アレルギーモデルマウスを用いてのIgE抑制試験(実施例2)の結果を示すグラフである。*:p<0.05 (vs.陽性対照群、フィッシャーの直接確率法) 。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006138 【氏名又は名称】明治乳業株式会社 【住所又は居所】東京都江東区新砂1丁目2番10号
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| 【出願日】 |
平成18年3月3日(2006.3.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2006−273852(P2006−273852A) |
| 【公開日】 |
平成18年10月12日(2006.10.12) |
| 【出願番号】 |
特願2006−57675(P2006−57675) |
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